(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記螺合部は、前記ロック部材側歯車部と前記接続部材側歯車部とが噛合した状態で前記被螺合部に螺合させる方向の力が与えられた場合に、前記ロック部材側歯車部及び前記接続部材側歯車部のうちの一方の歯車部の山部が他方の歯車部の山部を乗り越えるように、径方向の外側に弾性変形可能である、請求項1に記載の接続部材。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、特許文献1に記載のルアーロックコネクターが知られている。
【0003】
特許文献1に記載のルアーロックコネクターは、雌コネクターに嵌合接続される。具体的に、ルアーロックコネクターは、コネクター芯部と、コネクター芯部の外周部に取り付けられた外筒部とを備えている。
【0004】
コネクター芯部は、雌コネクターのテーパーに嵌合可能なテーパーを有する。外筒部は、コネクター芯部の軸方向に抜け止めされた状態で、コネクター芯部の外周部に回転可能に取り付けられている。また、外筒部は、雌コネクターの外周部に設けられた突起に螺合可能な内ネジを備えている。
【0005】
特許文献1に記載のルアーロックコネクターは、コネクター芯部に対して外筒部を回転させて外筒部の内ネジと雌コネクターの突起とを螺合することにより、コネクター芯部のテーパーと雌コネクターのテーパーとを軸方向に嵌合させることができる。これにより、ルアーロックコネクターと雌コネクターとの間の流体のやり取りが可能な状態で、ルアーロックコネクターと雌コネクターとが接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のルアーロックコネクターでは、雌コネクターに接続された状態において、コネクター芯部に対する外筒部の回転方向への移動が規制されていない。そのため、ルアーロックコネクターに対して外部から振動が加わった場合等に、外筒部の締付が緩むことによりコネクター芯部と雌コネクターとの嵌合状態を適切に保持できないおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、被接続部材に接続された状態で、被接続部材に対する嵌合状態を保持することができる接続部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、被接続部材との間で流体をやり取り可能な状態で、前記被接続部材に接続可能な接続部材であって、前記被接続部材に設けられた被嵌合部に対して規定の嵌合方向に嵌合可能な嵌合部と、前記被嵌合部と前記嵌合部とが嵌合した状態で前記被接続部材に形成された被連通通路に連通する連通通路とを有する接続部材本体と、前記被接続部材に形成された被螺合部に対して螺合可能な螺合部と、前記螺合部が前記接続部材本体に対して前記嵌合方向に沿った軸回りに回転可能となり、かつ、前記螺合部と前記被螺合部との螺合に伴い前記接続部材本体に対して非締付位置から締付位置へ向けて前記軸方向に移動することにより前記嵌合方向に向けた力を前記接続部材本体に供給可能となるように、前記接続部材本体の外周に取り付けられた取付部とを有するロック部材と、前記締付位置にある前記取付部の前記接続部材本体に対する前記軸回りの回転が規制されるように、前記締付位置にある前記取付部と前記接続部材本体とを係合する係合機構と、を備え
、前記係合機構は、前記取付部の内周面に形成されたロック部材側歯車部と、前記非締付位置にある前記取付部の前記ロック部材側歯車部から離間するとともに前記締付位置にある前記取付部の前記ロック部材側歯車部に噛合するように、前記接続部材本体の外周面に形成された接続部材側歯車部と、を備え、前記接続部材側歯車部の山部が軸方向で前記被接続部材側に向かうに従い径方向の外側に広がるように傾斜する外側面を有するとともに前記ロック部材側歯車部の谷部が軸方向で前記被接続部材側に向かうに従い径方向の外側に広がるように傾斜する内側面を有し、被締付位置から締付位置へ向けた前記取付部の移動に伴い摺動抵抗が増加するように前記接続部材側歯車部の山部の外側面と前記ロック部材側歯車部の谷部の内側面とが圧接され、前記接続部材本体には、前記接続部材側歯車部の谷部の底面から立ち上がるとともに前記ロック部材側歯車部の山部の端面に当接することにより前記接続部材本体に対する前記ロック部材の前記軸方向の移動を規制する規制面が形成され、前記ロック部材側歯車部の山部の端面と前記規制面とが当接した状態において、前記ロック部材側歯車部の山部の天面と前記接続部材側歯車部の谷部の底面とは、非接触である、接続部材を提供する。
【0010】
本発明では、係合機構によって締付位置にある取付部の接続部材本体に対する軸回りの回転が規制される。これにより、接続部材に対して外部から振動が加わった場合であっても、螺合部の被螺合部に対する締付が緩むのを抑制することができる。したがって、本発明によれば、被接続部材に接続された状態で、被接続部材に対する嵌合状態を保持することができる。
【0011】
具体的に、前記係合機構は、前記取付部の内周面に形成されたロック部材側歯車部と、前記非締付位置にある前記取付部の前記ロック部材側歯車部から離間するとともに前記締付位置にある前記取付部の前記ロック部材側歯車部に噛合するように、前記接続部材本体の外周面に形成された接続部材側歯車部と、を備えている
。
【0012】
そのため、被螺合部に対する螺合部の螺合に伴い取付部を被締付位置から締付位置へ移動させることにより、ロック部材側歯車部と接続部材側歯車部とを噛合させることができる。これにより、締付位置にある取付部の接続部材本体に対する軸回りの回転を規制することができる。一方、取付部が非締付位置にある状態では、ロック部材側歯車部と接続部材側歯車部とが離間しているので、取付部を軸回りに回転させることにより螺合部を被螺合部に螺合することができる。
【0013】
さらに、前記接続部材側歯車部の山部が軸方向で前記被接続部材側に向かうに従い径方向の外側に広がるように傾斜する外側面を有するとともに前記ロック部材側歯車部の谷部が軸方向で前記被接続部材側に向かうに従い径方向の外側に広がるように傾斜する内側面を有し、被締付位置から締付位置へ向けた前記取付部の移動に伴い摺動抵抗が増加するように前記接続部材側歯車部の山部の外側面と前記ロック部材側歯車部の谷部の内側面とが圧接される。
【0014】
これにより、螺合部を被螺合部に締め付けることに伴いロック部材側歯車部の内周面と接続部材側歯車部の外周面との間の摺動抵抗が増加する。そのため、前記各歯車部の噛合に加えて前記摺動抵抗によって、接続部材本体に対する取付部の回転をより有効に規制することができる。
【0015】
また、前記接続部材本体には、前記接続部材側歯車部の谷部の底面から立ち上がるとともに前記ロック部材側歯車部の山部の端面に当接することにより前記接続部材本体に対する前記ロック部材の前記軸方向の移動を規制する規制面が形成されている
。
【0016】
そのため、取付部の移動に伴い接続部材側歯車部の谷部に入り込むロック部材側歯車部の山部の端面が規制面に当接することにより、ロック部材の軸方向の移動が規制される。これにより、取付部の移動に伴い前記圧接による反力を受けて取付部が径方向の外側に広げられることにより、ロック部材側歯車部と接続部材側歯車部との噛合が外れてしまうという不具合を回避することができる。
【0017】
さらに、前記ロック部材側歯車部の山部の端面と前記規制面とが当接した状態において、前記ロック部材側歯車部の山部の天面と前記接続部材側歯車部の谷部の底面とは、非接触である
。
【0018】
この態様では、ロック部材(取付部)のうち前記圧接により径方向の外側に押し広げられ難い部分(山部)に前記端面が位置する。これにより、ロック部材側歯車部の山部の端面を確実に接続部材本体の規制面に当接させることができる。したがって、ロック部材側歯車部と接続部材側歯車部との噛合が外れてしまう不具合をより有効に抑制することができる。
【0019】
ここで、前記ロック部材側歯車部の山部と前記接続部材側歯車部の谷部との組み合わせ、及び、前記ロック部材側歯車部の谷部と前記接続部材側歯車部の山部の組み合わせの双方について各歯車部の圧接を行なう場合、各歯車部の寸法誤差が生じると、2つの組み合わせのうちの一方についての圧接が強すぎて他方について圧接が弱くなってしまうおそれがある。これに対し、
本発明では、
接続部材側歯車部の山部と前記ロック部材側歯車部の谷部との組み合わせのみについて圧接させるため、他方の組み合わせからの影響を排除することができる。したがって、
本発明によれば、ロック部材側歯車部の内周面と接続部材側歯車部の外周面との間の摺動抵抗を適切に得ることができる。
【0020】
前記接続部材において、前記螺合部は、前記ロック部材側歯車部と前記接続部材側歯車部とが噛合した状態で前記被螺合部に螺合させる方向の力が与えられた場合に、前記ロック部材側歯車部及び前記接続部材側歯車部のうちの一方の歯車部の山部が他方の歯車部の山部を乗り越えるように、径方向の外側に弾性変形可能であることが好ましい。
【0021】
この態様では、ロック部材側歯車部と接続部材側歯車部とが噛合した状態、つまり、被螺合部に対して螺合部が螺合した状態で、クリック感を生じさせながら両歯車部を空回りさせることができる。これにより、接続部材の使用者に対し、螺合部の締め付けが完了したことを知らせることができる。
【0022】
そのため、上述のように、ロック部材側歯車部の内周面と接続部材側歯車部の外周面とを圧接させる場合には、使用者による締め付け過ぎを抑止することにより、ロック部材の軸方向の移動を規制することができる。これにより、取付部の移動に伴い前記圧接による反力を受けて取付部が径方向の外側に広げられることにより、ロック部材側歯車部と接続部材側歯車部との噛合が外れてしまうという不具合を回避することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、被接続部材に接続された状態で、被接続部材に対する嵌合状態を保持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0026】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る接続部材1は、被接続部材2との間で流体をやり取り可能な状態で、被接続部材2に接続可能である。
【0027】
まず、被接続部材2について説明する。被接続部材2は、被連通通路2dを内側に有する筒状の被嵌合部2aと、被嵌合部2aの端部の外側面から径方向の外側に突出する2つの被螺合部2cとを備えている。被嵌合部2aは、いわゆる雌ルアーコネクタである。具体的に、被嵌合部2aの内側面のうち開口部から所定範囲に亘る部分は、開口部に近づくに従い広がる雌テーパ面2bとされている。各被螺合部2cは、被嵌合部2aの周方向で180°間隔に配置されている。
【0028】
接続部材1は、連通通路3aを内側に有する筒状の接続部材本体3と、接続部材本体3に対して被接続部材2をロックするためのロック部材4とを備えている。以下、
図1の左側を接続部材1の先端側と定義し、
図1の右側を接続部材1の基端側と定義する。
【0029】
図1及び
図2を参照して、接続部材本体3は、被接続部材2の被嵌合部2aに対して規定の嵌合方向(
図1の中心線に沿って右から左に向かう方向)に嵌合可能な嵌合部5と、嵌合部5の基端側に設けられているとともにロック部材4を保持するためのロック保持部6と、ロック保持部6の基端側に設けられているとともに流体を案内するための流体案内部7とを備えている。
【0030】
嵌合部5は、前記被嵌合部2aと嵌合することにより、嵌合部5と被嵌合部2aとの間の流体の流通を規制しながら、被接続部材2の被連通通路2dと接続部材本体3の連通通路3aとを連通させる。本実施形態に係る嵌合部5は、いわゆる雄ルアーコネクタである。具体的に、嵌合部5の外側面は、先端側に向かうに従い細くなる雄テーパ面5aとされている。
【0031】
ロック保持部6は、後述するロック部材4に通される挿通部6aと、挿通部6aの先端側に設けられた接続部材側歯車部6dと、接続部材側歯車部6dの先端側に設けられた先端側規制部6bと、挿通部6aの基端側に設けられた基端側規制部6cとを備えている。
【0032】
挿通部6aは、
図1の中心線を中心とする円筒状の部分である。
【0033】
接続部材側歯車部6dは、
図1の中心線を中心とする周方向に山部6eと谷部6fとが交互に並んで配置された部分である。周方向における山部6eの幅は、
図2に示すように、先端側へ向かうに従い広くなる。一方、周方向における谷部6fの幅は、先端側へ向かうに従い狭くなる。また、山部6eは、
図4に示すように、前記挿通部6aの外側面から先端側に向かうに従い径方向の外側に広がるように傾斜する外側面6gを有する。谷部6fは、
図5に示すように、挿通部6aの外側面から先端側に向かうに従い径方向の外側に広がるように傾斜する外側面6iを有する。ただし、谷部6fの外側面の勾配は、山部6eの外側面の勾配よりも緩やかである。したがって、山部6eの外側面(天面)と谷部6fの外側面(底面)との間には、先端側に向かうに従い落差が大きくなる段差が形成される。なお、
図8に示すように、山部6eの周方向の2箇所の角部には、丸み部6hがそれぞれ形成されている。
【0034】
先端側規制部6bは、
図1の中心線を中心とする円筒状の部分である。また、
図4に示すように、先端側規制部6bの基端側の外側面は、前記接続部材側歯車部6dの山部6eの外側面よりも径方向の外側に位置する。したがって、先端側規制部6bの基端面6jは、前記谷部6fの底面から立ち上がるとともに、谷部6fの底面から山部6eよりも径方向の外側の位置までの範囲に亘り設けられている。この基端面6jは、後述するロック部材4が接続部材本体3から先端側へ抜けるのを規制する規制面として機能する。なお、先端側規制部6bの先端側の外側面は、先端側に向かうに従い径方向の内側に傾斜する傾斜面とされている。この傾斜面は、ロック部材4に対して接続部材本体3を圧入するために用いられる。
【0035】
基端側規制部6cは、
図1の中心線を中心とする円筒状の部分である。また、
図4に示すように、基端側規制部6cの外側面は、前記挿通部6aの外側面よりも径方向の外側に位置する。したがって、基端側規制部6cの先端面6kは、挿通部6aの外側面から径方向の外側の範囲に設けられている。この先端面6kは、後述するロック部材4が接続部材本体3から基端側へ抜けるのを規制する。
【0036】
図2を参照して、流体案内部7は、嵌合部5及びロック保持部6を通じて被接続部材2に流体を案内し、又は、被接続部材2から案内された流体を受ける部分である。具体的に、本実施形態に係る流体案内部7は、図外の薬液吐出装置に接続された薬液案内用のチューブの先端部に固定されている。なお、流体案内部7は、他の部材から流体を受けることに限定されず、それ自体が流体を吐出又は吸引するもの(シリンジ等)であってもよい。
【0037】
図1及び
図3を参照して、ロック部材4は、前記被接続部材2の被螺合部2cに対して螺合可能な螺合部8と、螺合部8が
図1の中心線回りに回転可能となるように、接続部材本体3の外周に取り付けられた取付部9とを備えている。
【0038】
螺合部8は、
図1の中心線を中心とする筒状の筒状本体8aと、筒状本体8aの内周面に形成された2本のねじ溝8b(
図3では1本のみを示す)とを有する。各ねじ溝8bは、前記被接続部材2の各被螺合部2cにそれぞれ螺合する2条ねじを規定する。
【0039】
取付部9は、螺合部8の基端側の開口を塞ぐように設けられた取付板9aと、取付板9aに形成された挿通穴9bと、挿通穴9bを規定する取付板9aの内側面に形成されたロック部材側歯車部9dとを備えている。
【0040】
挿通穴9bは、
図1の中心線を中心とする円形の穴である。挿通穴9bの内径は、接続部材本体3の挿通部6aの外径よりも大きい。したがって、取付部9が挿通部6aの外周に配置されることにより、ロック部材4は、接続部材本体3に対し、
図1の中心線回りに回転可能で、かつ、
図1の中心線に沿って移動可能である。
【0041】
ロック部材側歯車部9dは、
図1の中心線を中心とする周方向に
図3に示す山部9eと谷部9fとが交互に並んでは位置された部分である。周方向における山部9eの幅は、
図3に示すように、先端側へ向かうに従い狭くなる。一方、周方向における谷部9fの幅は、先端側に向かうに従い広くなる。また、山部9eは、
図5に示すように、挿通穴9bを規定する取付部9(取付板9a)の内側面から先端側に向かうに従い径方向の外側に広がるように傾斜する内側面9gを有する。谷部9fは、
図4に示すように、挿通穴9bを規定する取付部9の内側面から先端側に向かうに従い径方向の外側に広がるように傾斜する内側面9iを有する。ただし、山部9eの内側面9gの勾配は、谷部9fの内側面9iの勾配よりも緩やかである。したがって、山部9eの内側面(天面)9gと谷部9fの内側面(底面)9iとの間には、先端側に向かうに従い落差が大きくなる段差が形成される。また、内側面9gの傾斜角は、前記接続部材側歯車部6dの谷部6fの外側面の傾斜角に一致する。同様に、内側面9iの傾斜角は、接続部材側歯車部6dの山部6eの外側面の傾斜角に一致する。なお、
図8に示すように、山部9eの周方向の2箇所の角部には、丸み部9hがそれぞれ形成されている。
【0042】
本実施形態では、接続部材側歯車部6dの山部6eの外側面6g(天面)とロック部材側歯車部9dの谷部9fの内側面9i(底面)とは、接続部材本体3に対する取付部9の先端側への移動に伴い摺動抵抗が増加するように、圧接される。具体的に、
図4に示す位置から取付部9の先端面9cが先端側規制部6bの基端面6jに当接する位置まで取付部9が移動するまでの間に、
図6に示すように山部6eの外側面6gと谷部9fの内側面9iとが当接するように、外側面6g及び内側面9iの直径が設定されている。そのため、この当接状態からさらに先端側へ取付部9を移動させることに伴い、取付部9と接続部材本体3との間の摺動抵抗が増加する。
【0043】
一方、本実施形態では、
図5に示す位置から取付部9の先端面9cが先端側規制部6bの基端面6jに当接する位置まで取付部9が移動するまでの間、接続部材側歯車部6dの谷部6fの外側面6iとロック部材側歯車部9dの山部9eの内側面9gとが非接触であるように、外側面6i及び内側面9gの直径が設定されている。なお、
図7は、取付部9が
図6に示す位置まで移動した状態における接続部材側歯車部6dの谷部6fとロック部材側歯車部9dの山部9eとの関係を示したものである。この状態において、谷部6fと山部9eとの間には、
図8に示すように、ギャップGが形成されている。
【0044】
以下、本実施形態に係る接続部材1を被接続部材2に接続する際の動作について説明する。
【0045】
接続部材1と被接続部材2との接続前の段階では、ロック部材4は、被接続部材2(被螺合部2c)に拘束されない。したがって、この状態では、
図4及び
図5に示すように、ロック部材4は、取付部9が接続部材側歯車部6dよりも基端側に位置するように、移動させることができる。以下、このときの取付部9の位置を非締付位置という。この非締付位置において、接続部材側歯車部6dとロック部材側歯車部9dとは互いに離間している。そのため、ロック部材4は、接続部材本体3に対し、
図1に示す中心線回りに回転可能で、かつ、中心線に沿って移動可能である。
【0046】
この状態で、接続部材本体3の嵌合部5を被接続部材2の被嵌合部2aに圧入することにより、嵌合部5を被嵌合部2aに嵌合する。次いで、この嵌合状態を保持するために、ロック部材4を回転させて、被接続部材2の被螺合部2cに対してロック部材4の螺合部8を螺合する。
【0047】
被螺合部2cに螺合部8を螺合すると、ロック部材4は、接続部材本体3に対して先端側に移動する。この移動の過程において、ロック部材側歯車部9dと接続部材側歯車部6dとが噛合する。これにより、接続部材本体3に対するロック部材4の回転が規制される。なお、このときの取付部9の位置及びこれよりも先端側の位置を締付位置という。
【0048】
また、ロック部材4の先端側への移動の過程において、接続部材側歯車部6dの山部6eの外側面6gとロック部材側歯車部9dの谷部9fの内側面9gとが当接する。したがって、この状態からさらにロック部材4を回転させると、取付部9と接続部材本体3との間の摺動抵抗が増加する。この摺動抵抗の増加によって、より確実にロック部材4の回転を規制することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、締付位置にあるロック部材4に対し、被螺合部2cに螺合させる方向の力を与えることにより、螺合部8が径方向の外側に弾性変形可能である。これにより、両歯車部6d、9dのうちの一方の歯車部の山部に他方の歯車部の山部を乗り越えさせながら、ロック部材4を回転することができる。なお、本実施形態では、
図8に示すように、各山部6e、9eに丸み部が形成されているので、一方の山部が他方の山部をスムーズに乗り越えることができる。
【0050】
以上説明したように、前記実施形態では、接続部材側歯車部6d及びロック部材側歯車部9dによって締付位置にある取付部9の接続部材本体3に対する軸回りの回転が規制される。これにより、接続部材1に対して外部から振動が加わった場合であっても、螺合部8の被螺合部2cに対する締付が緩むのを抑制することができる。したがって、前記実施形態によれば、被接続部材2に接続された状態で、被接続部材2に対する嵌合状態を保持することができる。
【0051】
前記実施形態によれば、被螺合部2cに対する螺合部8の螺合に伴い取付部9を被締付位置から締付位置へ移動させることにより、ロック部材側歯車部9dと接続部材側歯車部6dとを噛合させることができる。これにより、締付位置にある取付部9の接続部材本体3に対する軸回りの回転を規制することができる。一方、取付部9が非締付位置にある状態では、ロック部材側歯車部9dと接続部材側歯車部6dとが離間しているので、取付部9を軸回りに回転させることにより螺合部8を被螺合部2cに螺合することができる。
【0052】
前記実施形態では、螺合部8を被螺合部2cに締め付けることに伴いロック部材側歯車部9dの内周面と接続部材側歯車部6dの外周面との間の摺動抵抗が増加する。そのため、前記各歯車部6d、9dの噛合に加えて前記摺動抵抗によって、接続部材本体3に対する取付部9の回転をより有効に規制することができる。
【0053】
前記実施形態によれば、取付部9の移動に伴い接続部材側歯車部6dの谷部6fに入り込むロック部材側歯車部9dの山部9eの端面(取付部9の先端面9c)が先端側規制部6bの基端面(規制面)6jに当接することにより、ロック部材4の軸方向の移動が規制される。これにより、取付部9の移動に伴い前記圧接による反力を受けて取付部9が径方向の外側に広げられることにより、ロック部材側歯車部9dと接続部材側歯車部6dとの噛合が外れてしまうという不具合を回避することができる。なお、前記実施形態では、ロック部材側歯車部9dの谷部9fの端面(取付部9の先端面9c)も、基端面6jに当接することにより、接続部材本体3からのロック部材4の軸方向の抜け止めに寄与する。
【0054】
前記実施形態では、ロック部材4(取付部9)のうち前記圧接により径方向の外側に押し広げられ難い部分(山部9e)にも先端面9cが位置する。これにより、ロック部材側歯車部9dの山部9eの先端面9cを確実に接続部材本体3の基端面6jに当接させることができる。したがって、ロック部材側歯車部9dと接続部材側歯車部6dとの噛合が外れてしまう不具合をより有効に抑制することができる。
【0055】
前記実施形態では、ロック部材側歯車部9dの谷部9fと接続部材側歯車部6dの山部6eとの組み合わせのみについて、ロック部材側歯車部9dの内周面と接続部材側歯車部6dの外周面とが圧接されている。ロック部材側歯車部9dの山部9eと接続部材側歯車部6dの谷部6fとの組み合わせについても各歯車部6d、9dの圧接を行なう場合、各歯車部6d、9dの寸法誤差が生じると、2つの組み合わせのうちの一方についての圧接が強すぎて他方について圧接が弱くなってしまうおそれがある。これに対し、前記実施形態では、2つの組み合わせの一方のみについて圧接させるため、他方の組み合わせからの影響を排除することができる。したがって、前記実施形態によれば、ロック部材側歯車部9dの内周面と接続部材側歯車部6dの外周面との間の摺動抵抗を適切に得ることができる。なお、前記実施形態に代えて、ロック部材側歯車部9dの山部9eと接続部材側歯車部6dの谷部6fとの組み合わせについてのみ、圧接を行なってもよい。
【0056】
前記実施形態では、ロック部材側歯車部9dと接続部材側歯車部6dとが噛合した状態、つまり、被螺合部2cに対して螺合部8が螺合した状態で、クリック感を生じさせながら両歯車部6d、9dを空回りさせることができる。これにより、接続部材1の使用者に対し、螺合部8の締め付けが完了したことを知らせることができる。
【0057】
なお、本実施形態では、接続部材1が雄ルアーコネクタからなる嵌合部5を有し、被接続部材2が雌ルアーコネクタからなる被嵌合部2aを有する例について説明したが、これに限定されない。例えば、接続部材1が雌ルアーコネクタからなる嵌合部5を有し、被接続部材2が雄ルアーコネクタからなる被嵌合部2aを有していてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、接続部材1が雌ねじ部からなる螺合部8(ねじ溝8b)を有し、被接続部材2が雄ねじ部からなる被螺合部2cを有する例について説明したが、これに限定されない。例えば、接続部材1が雄ねじ部からなる螺合部8を有し、被接続部材2が雌ねじ部からなる被螺合部2cを有していてもよい。