(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のように、シートクッションの中央部分に回転部が設けられた車両用シートにおいて、乗り心地を良くするためには、回転部の内部に設けられたクッション材として、軟質な材料を用いることが望ましい。
【0005】
しかしながら、回転部のクッション材として軟質な材料を用いると、乗員の乗降時の回転トルクが、回転部の回転座面から回転板に伝わりにくく、回転部のスムーズな回転が阻害される。また、回転部のクッション材として軟質な材料を用いると、回転部のクッション材が外周側へ膨らんで非回転部と擦れ、回転部のスムーズな回転が阻害される。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、シートクッションにおける回転部分をスムーズに回転させることができる車両用シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、シートクッションにおけるシート上下方向に沿った軸線周りの外周部分を構成する非回転部と、前記非回転部の内周側に設けられ、乗員が着座する回転座面と、前記回転座面の下方に設けられ、前記軸線周りに回転可能な回転板と、前記回転座面及び前記回転板と一体回転可能に前記回転座面と前記回転板との間に設けられ、上下方向に沿った厚みが回転中心側部分よりも外周部分で薄くされたクッション材と、を備える。
【0008】
本発明の請求項1では、シートクッションにおける回転部分(回転座面、クッション材及び回転板)の回転力を発生させる構成として、例えば、乗員が回転座面を回転させる構成と、回転板を駆動する駆動部を有する構成と、を用いることができる。
【0009】
乗員が回転座面を回転させる構成では、例えば、乗員が、車両のドア側を向いた状態で回転座面に着座した後、車両前方へ向きを変えることで、回転座面において回転力が発生する。また、乗員が、車両前方を向いて回転座面に着座した状態から車両のドア側へ向きを変えることで、回転座面において回転力が発生する。
【0010】
これらの回転力は、回転板と回転座面との間に設けられたクッション材を介して、回転座面から回転板へ伝わり、回転座面、クッション材及び回転板が一体に回転する。これにより、乗員の車両に対する乗降が補助される。
【0011】
一方、回転板を駆動する駆動部を有する構成では、駆動部の回転力は、回転板と回転座面との間に設けられたクッション材を介して、回転板から回転座面へ伝わり、回転座面、クッション材及び回転板が一体に回転する。
【0012】
これにより、乗員は、車両のドア側を向いた状態及び車両前方へ向いた状態の一方から他方へ状態変化し、乗員の車両に対する乗降が補助される。
【0013】
ここで、請求項1の構成では、クッション材の外周部分は、上下方向に沿った厚みが回転中心側部分よりも薄くされている。このため、クッション材の外周部分の当該厚みが、回転中心側部分と同じ又は厚い場合に比べ、クッション材は、乗員の荷重を受けても非回転部側(外周側)に膨らみにくい。これにより、クッション材が非回転部と擦れにくく、シートクッションにおける回転部分(回転座面、クッション材及び回転板)をスムーズに回転させることができる。
【0014】
また、クッション材の外周部分の上下方向に沿った厚みが回転中心側部分よりも薄くされることで、クッション材の外周部分の当該厚みが回転中心側部分と同じ又は厚い場合に比べ、クッション材全体のねじれ変形が抑制される。これにより、回転力が、回転座面及び回転板の一方から他方へ伝わりやすく、回転部分(回転座面、クッション材及び回転板)をスムーズに回転させることができる。
【0015】
請求項1の発明は、さらに、前記クッション材、前記回転座面及び前記回転板と一体回転可能に前記クッション材と前記回転板との間に設けられ、かつ、前記クッション材の前記外周部分の底面を支持し、前記クッション材よりも硬質とされた硬質部材を備える。
【0016】
請求項1の構成では、クッション材と回転板との間に設けられた硬質部材が、クッション材の外周部分の底面を支持するので、当該硬質部材が、回転中心側部分よりも厚みが薄くされた外周部分と回転板との間の隙間を埋めるスペーサとして機能する。すなわち、回転座面と回転板との間に介装される介装部材(クッション材及び硬質部材)の上下方向に沿った厚みを、回転中心側部分と外周部分とで一定にできる。これにより、回転板を回転座面に沿って平面状に形成することができ、回転板の加工が容易となる。
【0017】
また、クッション材の外周部分の底面を支持する硬質部材が、クッション材よりも硬質とされているので、硬質部材は、乗員の荷重を受けても非回転部側(外周側)に膨らみにくい。これにより、硬質部材が非回転部と擦れにくく、シートクッションにおける回転部分(回転座面、クッション材及び回転板)をスムーズに回転させることができる。
【0018】
また、硬質部材がクッション材よりも硬質とされているので、前記介装部材(クッション材及び硬質部材)全体のねじれ変形も抑制される。これにより、回転力が、回転座面及び回転板の一方から他方へ伝わりやすく、回転部分(回転座面、クッション材及び回転板)をスムーズに回転させることができる。
【0019】
請求項2の発明では、前記硬質部材は、その回転中心側部分に開孔を有し、前記クッション材の前記回転中心側部分は、前記開孔を通じて前記回転板の上面に接合されている。
【0020】
請求項2の構成によれば、クッション材の回転中心側部分が、回転板の上面に接合されているので、クッション材の回転中心側部分と回転板との間に部材が介装される場合に比べ、回転座面と回転板との間の距離を短くできる。これにより、回転力が、回転座面及び回転板の一方から他方へ伝わりやすく、回転部分(回転座面、クッション材及び回転板)をスムーズに回転させることができる。
【0021】
また、硬質部材は、クッション材の回転中心側部分の下方に開孔を有しているので、開孔を有さない場合に比べ、硬質部材の材料コストを低減できる。
【0022】
請求項3の発明では、前記硬質部材は、さらに、前記クッション材の前記外周部分に対する支持位置よりも下方の位置で前記クッション
材の前記回転中心側部分の底面を支持する。
【0023】
請求項3の構成によれば、硬質部材が、クッション材の回転中心側部分及び外周部分を支持している。このため、クッション材の厚みを厚くすることなく、硬質部材の厚みを変えることで、回転座面と回転板との間の距離を調整することができる。すなわち、回転部分(回転座面、クッション材及び回転板)をスムーズに回転させる効果を維持しつつ、周囲の構成に合わせて、回転座面と回転板との間の距離(高さ)を調整することができる。
【0026】
請求項4の発明では、前記クッション材の前記外周部分は、上下方向の厚みが回転中心側から外周側に向けて徐々に薄くされている。
【0027】
請求項4の構成によれば、クッション材の外周部分における回転座面での感触が急激に変化することが抑制できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、上記構成としたので、シートクッションにおける回転部分をスムーズに回転させることができる車両用シートを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。なお、各図に示す矢印FRはシート前方を示し、矢印UPはシート上方を示し、矢印RHはシート右方(シート幅方向一側)を示し、矢印LHはシート左方(シート幅方向他側)を示す。
【0031】
[第1実施形態]
(車両用シート10の構成)
第1実施形態に係る車両用シート10は、
図1に示されるように、運転席又は助手席等に用いられるセパレートシートとされている。具体的には、車両用シート10は、乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション12と、乗員の上体を支持するシートバック14と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト16と、を備えている。
【0032】
シートクッション12は、シートクッション12におけるシート上下方向に沿った軸線周りの外周部分を構成する非回転部20と、非回転部20の内周側に配置された回転部30と、を備えている。
【0033】
非回転部20は、シートクッション12における回転をしない部分であり、車両のフレーム100(
図2参照)に固定されるようになっている。非回転部20は、具体的には、乗員が着座する着座部(座面)24と、着座部24のシート幅方向の両端部に配置されシート上方側に突出するサイドサポート部26と、を有している。
【0034】
着座部24は、回転部30が収容される円孔22を有している。円孔22は、非回転部20におけるシート幅方向の中央部であって、非回転部20におけるシート後方向側(シートバック14側)に配置されている。すなわち、回転部30が収容される円孔22は、シートクッション12に着座した乗員の臀部の位置に形成されている。したがって、回転部30の後述の回転座面32は、主に、乗員の臀部を支持する機能を有し、非回転部20の着座部24(座面)は、主に、乗員の大腿部を支持する機能を有している。
【0035】
また、着座部24及びサイドサポート部26は、
図2に示されるように、それぞれ、発泡ウレタン等を用いて形成されたクッションパッド28と、クッションパッド28を被覆するカバー体29と、を有して構成されている。カバー体29は、表皮材29Aと、表皮材の内面(裏面)に設けられたワディング材29Bと、を有して構成されている。表皮材29Aは、布やレザー等を用いて形成されている。ワディング材29Bは、発泡ウレタン等の弾性部材で構成されており、表皮材29Aの裏面に接合されている。
【0036】
(回転部30の構成)
回転部30は、
図1に示されるように、シートクッション12における回転する部分であり、円盤状に形成されている。具体的には、回転部30は、
図2に示されるように、乗員が着座する回転座面(着座部)32と、回転座面32の下方に設けられた回転板34と、回転板34と回転座面32との間に設けられたクッション材36と、クッション材36と回転板34との間に設けられクッション材36よりも硬質とされた硬質部材38と、を有している。
【0037】
回転座面32は、クッション材36を被覆する被覆部材としてのカバー体40によって構成されている。すなわち、カバー体40(後述の表皮材40A)の表面が回転座面32となっている。カバー体40は、表皮材40Aと、表皮材40Aの内面(裏面)に設けられたワディング材40Bと、を有して構成されている。表皮材40Aは、布やレザー等を用いて形成されている。ワディング材40Bは、発泡ウレタン等の弾性部材で構成されており、表皮材40Aの裏面に接着剤等により接合されている。
【0038】
回転板34は、金属材料を用いて形成された円板で構成されている。回転板34の下方側には、回転板34をシート上下方向に沿った軸線周りに回転可能に支持する支持機構50が設けられている。
【0039】
支持機構50は、車両のフレーム100に固定される固定側部材52と、軸受としてのボールベアリング54と、回転板34と一体回転する可動側部材56と、回転板34と一体回転する軸部(ピン)58と、を有している。軸部58は、具体的には、回転板34の下方へ突出する円柱状に形成されており、その上部が回転板34の回転中心部分に固定されている。
【0040】
可動側部材56は、軸部58の外周を囲む円筒状に形成された円筒部56Aと、円筒部56Aの上端部から径方向外側に張り出したフランジ部56Bと、を有している。フランジ部56Bが、ボルト等の固定部材(図示省略)により回転板34の底面に固定されている。なお、
図2において、当該固定部材の固定位置が一点鎖線Pにて示されている。円筒部56Aは、その内周面がボールベアリング54の外輪54Aの外周面に固定されている。
【0041】
固定側部材52は、車両のフレーム100に固定される環状(リング状)のベースプレート52Aと、ベースプレート52Aの内周部に設けられ軸部58を回転可能に支持する支持部52Bと、ベースプレート52Aの外周部に設けられボールベアリング54の内輪54Bに固定される固定部52Cと、を有している。
【0042】
ベースプレート52Aは、具体的には、ボルト等の固定部材59により、車両のフレーム100に固定されている。支持部52Bは、円筒状に形成されており、軸部58の下端側部分が内部に挿入されて軸部58を回転可能に支持している。すなわち、軸部58の外周面と、円筒状の支持部52Bの内周面とが摺動するようになっている。固定部52Cも円筒状に形成されており、その外周面が、ボールベアリング54の内輪54Bの内周面に固定されている。
【0043】
このように、支持機構50によって回転可能に支持された回転板34は、回転座面32に着座した乗員が、車両のドア側(例えば、シート右方側)を向いた状態と車両前方(シート前方)を向いた状態との間で状態変化できるように、回転角度が設定されている。具体的には、回転板34は、例えば、およそ90度の回転角度の範囲で回転するように、ストッパー(図示省略)により回転角度が規制されている。なお、回転板34の回転規制がなされない構成であってもよい。
【0044】
また、回転板34には、回転座面32に着座した乗員が、車両のドア側(例えば、シート右方側)を向いた状態、及び、車両前方(シート前方)を向いた状態を維持するように、回転板34が係止(ロック)される係止機構が設けられていてもよい。
【0045】
なお、回転板34には、回転板34を回転駆動する駆動部が設けられておらず、乗員が回転座面32を回転させることにより、回転部30を回転させる回転力が発生するようになっている。すなわち、本実施形態では、回転部30は、マニュアルにより回転するようになっている。
【0046】
クッション材36は、具体的には、発泡ウレタン等の弾性部材で構成されており、カバー体40、回転板34及び硬質部材38に対して接着剤により接合(固定)されている。
【0047】
ここで、本実施形態では、クッション材36は、上下方向に沿った厚みが回転中心側部分36Aよりも外周部分36Bで薄くされている。なお、回転中心側部分36Aとは、クッション材36の回転中心を含み、かつ、クッション材36におけるシート上下方向に沿った軸線周りの外周面を含まない部分である。外周部分36Bとは、クッション材36におけるシート上下方向に沿った軸線周りの外周面を含み、かつ、回転中心側部分36Aの外周を囲む部分である。
【0048】
クッション材36の外周部分36Bは、上下方向の厚みが回転中心側から外周側に向けて徐々に薄くされている。外周部分36Bの底面36Cは、外周側に向かって上り勾配となる傾斜面となっている。この底面36Cの外周端部分は、回転座面32(回転板34)に沿った面(略水平面)となっている。上下方向の厚みが薄くされた外周部分36Bは、フランジ部56Bが、ボルト等の固定部材(図示省略)により回転板34の底面に固定された固定位置(一点鎖線P)の外周側に位置している。
【0049】
クッション材36の回転中心側部分36Aは、硬質部材38の後述の開孔39を通じて回転板34の上面に接合されている。すなわち、回転板34は、クッション材36の外周部分36Bに対する硬質部材38の支持位置よりも下方の位置で、クッション材36の回転中心側部分36Aの底面を支持している。
【0050】
硬質部材38は、クッション材36よりも硬質の材料として、例えば、ゴム材料が用いられている。なお、この硬質の材料としては、ゴム材料に限られず、例えば、金属材料であってもよい。
【0051】
また、硬質部材38は、その回転中心側部分に開孔39を有する環状(リング状)に形成されている。この開孔39内部に対して、クッション材36の回転中心側部分36Aの下部が収容されている。さらに、硬質部材38は、クッション材36の外周部分36Bの底面36Cを支持している。すなわち、硬質部材38は、クッション材36の外周部分36Bの底面36Cを支持する支持部として機能している。
【0052】
また、硬質部材38の上下方向に沿った厚みは、クッション材36の外周部分36Bの厚みに対応して、回転中心側から外周側に向けて徐々に厚くされている。すなわち、硬質部材38の上面38Aは、外周側に向かって上り勾配となる傾斜面となっている。この上面38Aの外周端部分は、回転座面32(回転板34)に沿った面(略水平面)となっている。
【0053】
なお、回転座面32と回転板34との間に介装される介装部材(クッション材36及び硬質部材38で構成される部材)は、下方に向けて徐々に縮径されている。これにより、前記介装部材の外周面が下方に行くにつれて徐々に、非回転部20から離れている。
【0054】
(第1実施形態の作用効果)
第1実施形態の構成によれば、乗員が、車両のドア側(例えば、シート右方側)を向いた状態で回転座面32に着座した後、車両前方(シート前方)へ向きを変えることで、回転座面32において、例えば
図1の矢印B方向の回転力が発生する。また、乗員が、車両前方(シート前方)を向いて回転座面32に着座した状態から車両のドア側(例えば、シート右方側)へ向きを変えることで、回転座面32において、例えば
図1の矢印C方向の回転力が発生する。
【0055】
これらの回転力は、回転板34と回転座面32との間に設けられたクッション材36を介して、回転座面32から回転板34へ伝わり、回転座面32、クッション材36及び回転板34が一体に回転する。これにより、乗員の車両に対する乗降が補助される。
【0056】
ここで、本実施形態の構成では、クッション材36の外周部分36Bは、上下方向に沿った厚みが回転中心側部分36Aよりも薄くされている。このため、クッション材36の外周部分36Bの当該厚みが、回転中心側部分36Aと同じ又は厚い場合に比べ、クッション材36は、シートクッション12に着座した乗員の荷重を受けても非回転部20側(外周側)に膨らみにくい。これにより、クッション材36が非回転部20と擦れにくく、シートクッション12の回転部30(回転座面32、クッション材36及び回転板34)をスムーズに回転させることができる。
【0057】
また、クッション材36の外周部分36Bの上下方向に沿った厚みが、回転中心側部分36Aよりも薄くされることで、クッション材36の外周部分36Bの当該厚みが回転中心側部分36Aと同じ又は厚い場合に比べ、クッション材36全体のねじれ変形が抑制される。これにより、回転力が、回転座面32から回転部30へ伝わりやすく、シートクッション12の回転部30(回転座面32、クッション材36及び回転板34)をスムーズに回転させることができる。
【0058】
また、本実施形態の構成では、クッション材36と回転板34との間に設けられた硬質部材38が、クッション材36の外周部分36Bの底面36Cを支持するので、硬質部材38が、回転中心側部分36Aよりも厚みが薄くされた外周部分36Bと回転板34との間の隙間を埋めるスペーサとして機能する。すなわち、回転座面32と回転板34との間に介装される介装部材(クッション材36及び硬質部材38で構成される部材)の上下方向に沿った厚みを、回転中心側部分と外周部分とで一定にできる。これにより、回転板34を回転座面32に沿って平面状に形成することができ、回転板34の加工が容易となる。
【0059】
また、クッション材36の外周部分36Bの底面36Cを支持する硬質部材38が、クッション材36よりも硬質とされているので、硬質部材38は、乗員の荷重を受けても非回転部20側(外周側)に膨らみにくい。これにより、硬質部材38が非回転部20と擦れにくく、シートクッション12における回転部30(回転座面32、クッション材36及び回転板34)をスムーズに回転させることができる。
【0060】
また、硬質部材38がクッション材36よりも硬質とされているので、前記介装部材(クッション材36及び硬質部材38で構成される部材)全体のねじれ変形も抑制される。これにより、回転力が、回転座面32から回転板34へ伝わりやすく、回転部30(回転座面32、クッション材36及び回転板34)をスムーズに回転させることができる。
【0061】
さらに、本実施形態の構成によれば、クッション材36の回転中心側部分36Aが、回転板34の上面に接合されているので、クッション材36の回転中心側部分36Aと回転板34との間に部材が介装される場合に比べ、回転座面32と回転板34との間の距離を短くできる。これにより、回転力が、回転座面32から回転板34へ伝わりやすく、回転部30(回転座面32、クッション材36及び回転板34)をスムーズに回転させることができる。
【0062】
また、硬質部材38は、クッション材36の回転中心側部分36Aの下方に開孔39を有しているので、開孔39を有さない場合に比べ、硬質部材38の材料コストを低減できる。
【0063】
また、本実施形態の構成によれば、外周部分36Bは、上下方向の厚みが回転中心側から外周側に向けて徐々に薄くされている。このため、回転中心側部分36Aよりも薄い外周部分36Bにおける回転座面32での感触が急激に変化することが抑制できる。例えば、外周部分36Bの厚みが一定で、回転中心側部分36Aと外周部分36Bとの間で、大きな段差がある場合では、回転座面32での感触が急激に変化することになり、乗り心地に影響を与える。
【0064】
[第2実施形態]
(車両用シート200の構成)
次に、第2実施形態に係る車両用シート200について説明する。
図3は、第2実施形態に係る車両用シート200を示す
図1のA−A線断面図である。ここでは、第1実施形態と異なる部分を説明し、第1実施形態と同一機能を有する部分については、同一符号を付して、適宜、説明を省略する。
【0065】
第2実施形態に係る車両用シート200は、第1実施形態の硬質部材38に代えて、硬質部材238を有している。第1実施形態の硬質部材38が開孔39を有していたのに対して、硬質部材238は、開孔39を有していない。
【0066】
具体的には、硬質部材238は、クッション材36の外周部分36Bと回転板34との間に配置された外周部分238Bと、クッション材36の回転中心側部分36Aと回転板34との間に配置された回転中心側部分238Aと、を有している。
【0067】
硬質部材238の外周部分238Bが、クッション材36の外周部分36Bの底面36Cを支持し、硬質部材238の回転中心側部分238Aが、クッション材36の回転中心側部分36Aの底面36Dを支持している。クッション材36の回転中心側部分36Aは、回転板34ではなく、硬質部材238の回転中心側部分238Aの上面に接合されている。
【0068】
硬質部材238の回転中心側部分238Aの上下方向に沿った厚みは、硬質部材238の外周部分238Bの上下方向に沿った厚みよりも薄くされている。すなわち、硬質部材238の回転中心側部分238Aは、クッション材36の外周部分36Bに対する支持位置よりも下方の位置でクッション材36の回転中心側部分36Aの底面を支持している。
【0069】
なお、硬質部材238の材料は、前述の硬質部材38と同様に、ゴム材料などが用いられる。また、硬質部材238の外周部分238Bは、前述の硬質部材38と同様の形状とされている。
【0070】
(第2実施形態の作用効果)
第2実施形態の構成によれば、硬質部材238が、クッション材36の回転中心側部分36A及び外周部分36Bを含む全体を支持している。このため、クッション材36の厚みを厚くすることなく、硬質部材238の厚みを変えることで、回転座面32と回転板34との間の距離を調整することができる。すなわち、シートクッション12の回転部30(回転座面32、クッション材36及び回転板34)をスムーズに回転させる効果を維持しつつ、周囲の構成に合わせて、回転座面32と回転板34との間の距離(高さ)を調整することができる。
【0071】
[
参考例]
(車両用シート300の構成)
次に、
参考例に係る車両用シート300について説明する。
図4は、
参考例に係る車両用シート300を示す
図1のA−A線断面図である。ここでは、第1実施形態と異なる部分を説明し、第1実施形態と同一機能を有する部分については、同一符号を付して、適宜、説明を省略する。
【0072】
参考例に係る車両用シート300は、第1実施形態に係る車両用シート10が硬質部材38を有していたのに対して、硬質部材38を有していない。また、
参考例に係る車両用シート300は、第1実施形態の回転板34に代えて、回転板334を有している。
【0073】
回転板334は、クッション材36の回転中心側部分36Aの底面36Dを支持する第1支持部331と、第1支持部331の支持位置よりも上方の位置でクッション材36の外周部分36Bの底面36Cを支持する第2支持部332と、第1支持部331と第2支持部332と連結する連結部333と、を有している。
【0074】
第2支持部332の上面332Aは、外周側に向かって上り勾配となるとなっている。この上面332Aの外周端部分は、回転座面32(回転板34)に沿った面(略水平面)となっている。
【0075】
回転板334は、具体的には、第2支持部332が第1支持部331に対して上方側に位置するように、プレス加工された単一の金属板から構成されている。なお、第2支持部332を第1支持部331の上方側に位置させるための加工としては、プレス加工に限られず、他の加工を用いてもよい。
【0076】
(
参考例の作用効果)
参考例の構成によれば、回転板334で、すなわち、一部品で、クッション材36における高さの異なる回転中心側部分36Aと外周部分36Bとを支持するので、部品点数が低減できる。
【0077】
また、
参考例の構成によれば、硬質部材38を有していないため、非回転部20側(外周側)に膨らんで非回転部20に接触し得る部材が、クッション材36だけになる。このため、非回転部20との擦れが発生しにくく、シートクッション12の回転部30(回転座面32、クッション材36及び回転板34)をスムーズに回転させることができる。
【0078】
また、硬質部材38を有していないため、硬質部材38がない分、回転座面32と回転板34との間の距離を短くできる。これにより、回転力が、回転座面32から回転板34へ伝わりやすく、回転部30(回転座面32、クッション材36及び回転板34)をスムーズに回転させることができる。また、硬質部材38がない分、支持機構50等を配置するスペースを大きくすることができる。
【0079】
(変形例)
上記第1、第2実施形態、及び参考例では、車両用シートが運転席又は助手席等に用いられるセパレートシートとされていたが、後部座席等に用いられる複数人が着座可能なベンチシートとされていてもよい。
【0080】
また、
上記第1、第2実施形態、及び参考例では、乗員が回転座面32を回転させることで回転部30の回転力を発生させる構成であったが、回転板34を駆動する駆動部を有する構成であってもよい。
【0081】
回転板34を駆動する駆動部を有する構成では、駆動部の回転力は、回転板34と回転座面32との間に設けられたクッション材36を介して、回転板34から回転座面32へ伝わり、回転部30(回転座面32、クッション材36及び回転板34)が一体に回転する。これにより、乗員は、車両のドア側を向いた状態及び車両前方へ向いた状態の一方から他方へ状態変化し、乗員の車両に対する乗降が補助される。この構成においても、クッション材36の外周部分36Bの厚みが薄いことで、回転力が、回転板34から回転座面32へ伝わりやすく、シートクッション12の回転部30(回転座面32、クッション材36及び回転板34)をスムーズに回転させることができる。
【0082】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成しても良い。