特許第6002029号(P6002029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6002029
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】流量演算装置および流量制御装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/50 20060101AFI20160923BHJP
   G01F 1/00 20060101ALI20160923BHJP
   F16K 37/00 20060101ALI20160923BHJP
   G05D 7/06 20060101ALI20160923BHJP
【FI】
   G01F1/50
   G01F1/00 X
   F16K37/00 M
   G05D7/06 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-282331(P2012-282331)
(22)【出願日】2012年12月26日
(65)【公開番号】特開2014-126425(P2014-126425A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】野間口 謙雄
(72)【発明者】
【氏名】松村 剛宏
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−207694(JP,A)
【文献】 特許第5113722(JP,B2)
【文献】 特許第2772159(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F1
G05D7
F16K37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路に接続された調節弁の絞り部よりも上流側を流れる流体の圧力である第1の圧力、前記調節弁の絞り部よりも下流側を流れる流体の圧力である第2の圧力、および、前記第1の圧力と前記第2の圧力との差圧のうち少なくとも2つを取得する取得部と、
前記調節弁の弁開度を取得する弁開度取得部と、
前記取得部により取得された前記第1の圧力、前記第2の圧力および前記差圧のうち少なくとも2つに基づいて、前記第1の圧力、前記第1の圧力と前記第2の圧力との差圧および流体の飽和蒸気圧に基づく第1の係数を演算する係数演算部と、
前記調節弁を通過する流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的ではない状態における、前記第1の圧力と前記第2の圧力の差圧および前記弁開度と、流量係数とを対応付けて記憶した第1のテーブルと、
前記調節弁を通過する流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的である状態における、前記第1の係数および前記弁開度と、流量係数とを対応付けて記憶した第2のテーブルと、
前記係数演算部により演算された前記第1の係数と閾値とを比較し、前記第1の係数が前記閾値以上の場合に前記調節弁を通過する流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的であると判定する判定部と、
前記判定部により前記調節弁を通過する流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的ではないと判定された場合、前記差圧および前記弁開度と前記第1のテーブルとに基づいて流量係数を導出し、この流量係数と前記差圧とに基づいて前記調節弁を流れる流体の流量を演算し、前記判定部により前記調節弁を通過する流体の流れにおいてキャビテーションが支配的であると判定された場合、前記第1の係数および前記弁開度と前記第2のテーブルとに基づいて流量係数を導出し、この流量係数と前記差圧とに基づいて前記調節弁を流れる流体の流量を演算する流量演算部と
を備えることを特徴とする流量演算装置。
【請求項2】
請求項1記載の流量演算装置において、
前記係数演算部は、前記第1の係数をXF、前記差圧をΔP、前記第1の圧力をP1、前記飽和蒸気圧をPVとしたとき、XF=ΔP/(P1−PV)から前記第1の係数を演算することを特徴とする流量演算装置。
【請求項3】
請求項2記載の流量演算装置において、
前記閾値を記憶する記憶部
をさらに備え、
前記閾値は、弁開度に応じて設定されている
ことを特徴とする流量演算装置。
【請求項4】
請求項2記載の流量演算装置において、
前記流路を流れる流体の温度を取得する温度取得部と、
前記流体の温度毎の飽和蒸気圧を記憶した第3のテーブルと
をさらに備え、
前記係数演算部は、前記温度取得部により取得された前記流体の温度と、前記第3のテーブルとに基づいて導出した飽和蒸気圧を用いて、前記第1の係数を演算する
ことを特徴とする流量演算装置。
【請求項5】
流路に接続された調節弁を流れる流体の流量を演算する流量演算装置と、この流量演算装置により演算された前記流量が設定値に一致するよう前記調節弁の開度を制御する弁制御装置とを備えた流量制御装置であって、
前記流量演算装置は、請求項1乃至4の何れか1項に記載された流量演算装置からなる
ことを特徴とする流量制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調節弁を通過する流体の流量を演算する流量演算装置およびこの流量演算装置を備えた流量制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラント等の配管を流れる流体の流量は、配管に設けられた調節弁により制御されている。具体的には、下式(1)により調節弁を通過する流量Qを算出し、この流量Qが設定流量Qspに一致するように調節弁の開度を制御することにより、調節弁を所定の流量の流体が通過するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。ここで、ΔPは、調節弁の一次側(上流側)流路での圧力P1と二次側(下流側)流路での圧力P2との差圧(P1−P2)、Cvは、流量係数であり、調節弁の弁開度θ毎に設定されるものである。
【0003】
Q=A・Cv・ΔP1/2 ・・・(1)
【0004】
このうち、調節弁の流量係数Cvは、調節弁の口径や種別ごとに違うため、対象となる調節弁に合わせて適切な値を求めておく必要がある。そこで、例えば数Pa毎など予め複数の差圧を設定し、これらの差圧ごとに調節弁の開度を例えば数%毎など所定値毎に変えたときの各開度に対応する流量係数Cvの値を求め、この値を差圧と各開度に対応させたテーブルを、出荷時に調節弁のアクチュエータや流量の測定装置などのメモリに記憶させている。そして、実際の流量を測定する際には、そのテーブルと測定された差圧および調節弁の実際の開度とに基づいて対応するCv値を導出し、上式(1)に代入することで流量Qを取得し、この流量Qが設定流量Qspに一致するように調節弁の開度を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−094160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した流量係数のテーブルは、調節弁内でキャビテーションが生じていない状態を前提としているので、調節弁内でキャビテーションが生じ、キャビテーション流れが支配的になると流量係数Cv値テーブルの各Cv値は実際の値に対応しなくなる。すると、上式(1)を用いて求めた流量Qが実際の流量ではなくなるため、結果として、正確な流量制御が行えなかった。
【0007】
そこで、本発明は、キャビテーション流れが支配的になっているときでも正確な流量制御を行うことができる流量演算装置および流量制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述したような課題を解決するために、本発明に係る流量演算装置は、流路に接続された調節弁の絞り部よりも上流側を流れる流体の圧力である第1の圧力、調節弁の絞り部よりも下流側を流れる流体の圧力である第2の圧力、および、第1の圧力と第2の圧力との差圧のうち少なくとも2つを取得する取得部と、調節弁の弁開度を取得する弁開度取得部と、取得部により取得された第1の圧力、第2の圧力および差圧のうち少なくとも2つに基づいて、第1の圧力、第1の圧力と第2の圧力との差圧および流体の飽和蒸気圧に基づく第1の係数を演算する係数演算部と、調節弁を通過する流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的ではない状態における、第1の圧力と第2の圧力の差圧および弁開度と、流量係数とを対応付けて記憶した第1のテーブルと、調節弁を通過する流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的である状態における、第1の係数および弁開度と、流量係数とを対応付けて記憶した第2のテーブルと、調節弁を通過する流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的であるか否かを判定する判定部と、判定部により調節弁を通過する流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的ではないと判定された場合、差圧および弁開度と第1のテーブルとに基づいて流量係数を導出し、この流量係数と差圧とに基づいて調節弁を流れる流体の流量を演算し、判定部により調節弁を通過する流体の流れにおいてキャビテーションが支配的であると判定された場合、第1の係数および弁開度と第2のテーブルとに基づいて流量係数を導出し、この流量係数と差圧とに基づいて調節弁を流れる流体の流量を演算する流量演算部とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
上記流量演算装置において、係数演算部は、第1の係数をXF、差圧をΔP、第1の圧力をP1、飽和蒸気圧をPVとしたとき、XF=ΔP/(P1−PV)から第1の係数を演算するようにしてもよい。
【0010】
また、上記流量演算装置において、弁開度に応じて設定された閾値を記憶する記憶部をさらに備え、判定部は、係数演算部により演算された第1の係数と、記憶部に記憶された閾値とを比較し、第1の係数が閾値以上の場合に調節弁を通過する流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的であると判定するようにしてもよい。
【0011】
また、上記流量演算装置において、流路を流れる流体の温度を取得する温度取得部と、流体の温度毎の飽和蒸気圧を記憶した第3のテーブルとをさらに備え、係数演算部は、温度取得部により取得された流体の温度と、第3のテーブルとに基づいて導出した飽和蒸気圧を用いて、第1の係数を演算するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明に係る流量制御装置は、流路に接続された調節弁を流れる流体の流量を演算する流量演算装置と、この流量演算装置により演算された流量が設定値に一致するよう調節弁の開度を制御する弁制御装置とを備えた流量制御装置であって、流量演算装置は、上述した流量演算装置からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、調節弁を通過する流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的ではないと判定されると、調節弁を通過する流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的ではない状態における、第1の圧力と第2の圧力の差圧および弁開度と、流量係数とを対応付けて記憶した第1のテーブルに基づいて流量係数を導出し、キャビテーション流れが支配的であると判定されると、調節弁を通過する流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的である状態における、第1の係数および弁開度と、流量係数とを対応付けて記憶した第2のテーブルに基づいて流量係数を導出し、このようにして導出した流量係数を用いて調節弁を流れる流体の流量を演算するので、キャビテーション流れが支配的である場合でも正確な流量制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る流量制御システムの構成を模式的に示す図である。
図2図2は、流量演算装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、第1のテーブルの構成を説明するための図である。
図4図4は、第2のテーブルの構成を説明するための図である。
図5図5は、弁制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
[流量制御システムの構成]
図1に示すように、本実施の形態に係る流量制御システムは、流路1と、この流路1に設けられた調節弁2と、流路1に設けられた温度センサ3と、調節弁2内の絞り部よりも上流側(一次側)に設けられた一次側圧力センサ4と、調節弁2内の絞り部よりも下流側(二次側)に設けられた二次側圧力センサ5と、調節弁2に設けられた弁開度センサ6と、流路1を流れる流体の流量を制御する流量制御ユニット7とを備えている。
【0017】
流路1は、プラント等に設けられる1つの配管からなり、内部を流体が流通する。
【0018】
調節弁2は、内部に流路を有するとともに、その流路の途中に絞り部を有する弁本体と、この弁本体内部に配設されて絞り部を通過する流体の流量を規制する弁体、この弁体を駆動させることにより開度を制御する電動アクチュエータやポジショナ等の流量制御ユニット7で構成され、流量制御ユニット7からの制御信号に基づいて弁開度を変えることにより、調節弁2を通過する流体の流量、すなわち、流路1内部を流れる流体の流量を制御する。
【0019】
温度センサ3は、公知の温度センサからなり、流路1内部を流れる流体の温度Tを測定する。この測定結果は、流量制御ユニット7に送信される。
【0020】
一次側圧力センサ4は、公知の圧力センサからなり、調節弁2内の絞り部よりも上流側(一次側)の流路中を流れる流体の圧力P1を測定する。この測定結果は、流量制御ユニット7に送信される。
【0021】
二次側圧力センサ5は、公知の圧力センサからなり、調節弁2内の絞り部よりも下流側(二次側)の流路中を流れる流体の圧力P2を測定する。この測定結果は、流量制御ユニット7に送信される。
【0022】
弁開度センサ6は、調節弁2の弁開度θを測定するセンサからなる。この測定結果は、流量制御ユニット7に送信される。
【0023】
<流量制御ユニットの構成>
流量制御ユニット7は、温度センサ3、一次側圧力センサ4、二次側圧力センサ5および弁開度センサ6から受信する測定結果に基づいて流路1を流れる流体の流量を演算する流量演算装置8と、この流量演算装置8による演算結果に基づいて制御信号を生成して調節弁2に送信することにより、調節弁2の弁開度を制御する弁制御装置9とを備えている。
【0024】
≪流量演算装置の構成≫
ここで、流量演算装置8は、図2に示すように、温度取得部11と、一次圧取得部12と、二次圧取得部13と、第3のテーブル14と、飽和蒸気圧導出部15と、差圧演算部16と、係数演算部17と、弁開度取得部18と、閾値記憶部19と、判定部20と、第1のテーブル21と、第2のテーブル22と、流量演算部23とを備えている。
【0025】
温度取得部11は、温度センサ3から、この温度センサ3により測定された流路1を流れる流体の温度Tを取得する機能部である。取得した温度Tは、飽和蒸気圧導出部15に出力される。
【0026】
第3のテーブル14は、流体の温度Tと、飽和蒸気圧PVとを対応付けて記憶したデータテーブルからなる。一例として、第3のテーブル14には、例えば0.1℃毎など所定値刻みで設定された温度T1と、各温度T1に対応する飽和蒸気圧PVとが対応付けて記憶されている。
【0027】
飽和蒸気圧導出部15は、温度取得部11から入力された流路1を流れる流体との温度T1と、第3のテーブル14とに基づいて、流路1を流れる流体の飽和蒸気圧PVを導出する。具体的には、第3のテーブル14を参照して、温度取得部11から入力された温度Tに対応する飽和蒸気圧PVを導出する。この導出した飽和蒸気圧PVは、係数演算部17に出力される。このように、流体温度Tに応じた飽和蒸気圧PVが導出されるので、後述する係数演算部17による圧力比XFの演算精度が向上する。
【0028】
一次圧取得部12は、一次側圧力センサ4から、この一次側圧力センサ4により測定された一次側流路を流れる流体の圧力P1を取得する機能部である。取得した圧力P1は、差圧演算部16および係数演算部17に出力される。
【0029】
二次圧取得部13は、二次側圧力センサ5から、この二次側圧力センサ5により測定された二次側流路を流れる流体の圧力P2を取得する機能部である。取得した圧力P2は、差圧演算部16および係数演算部17に出力される。
【0030】
差圧演算部16は、一次圧取得部12から入力された圧力P1と、二次圧取得部13から入力された圧力P1との差圧ΔP(=P1−P2)を演算する機能部である。この得演算した差圧ΔPは、係数演算部17および流量演算部23に出力される。
【0031】
係数演算部17は、飽和蒸気圧導出部15から入力された飽和蒸気圧PVと、一次圧取得部12から入力された圧力P1と、差圧演算部16から入力された差圧ΔPとに基づいて、第1の係数を演算する機能部である。本実施の形態では、その第1の係数として圧力比XFを演算する。この圧力比XFとは、一方が差圧ΔP、他方が圧力P1または圧力P2と飽和蒸気圧との差分からなる比を意味する。具体的には、係数演算部17は、下式(2)に基づいて圧力比XFを演算する。この演算した圧力比XFは、判定部20および流量演算部23に出力される。
【0032】
XF=ΔP/(P1−PV) ・・・(2)
【0033】
上式(2)により、判定部20により流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的か否かを判定するために必要な圧力比XFを算出することができる。
【0034】
弁開度取得部18は、弁開度センサ6から、この弁開度センサ6により測定された調節弁2の弁開度θを取得する機能部である。取得した開度θは、判定部20および流量演算部23に出力される。
【0035】
閾値記憶部19は、判定部20による判定動作に用いられる閾値A(θ)を記憶した機能部である。この閾値A(θ)は、調節弁2の開度θ毎に設定される固有の値である。同じ調節弁2であっても、開度θが異なるとキャビテーション流れが支配的となる圧力比の大きさも異なってくる。そこで、閾値記憶部19には、例えば1°毎など所定値刻みで設定された調節弁2の開度θと、各開度θに対応する閾値A(θ)とが対応付けて記憶されている。これにより、より正確に流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的か否かを判定することが可能となる。
【0036】
判定部20は、流体の流れにおいてキャビテーションが支配的か否かを判定する機能部である。本実施の形態において、判定部20は、係数演算部17から入力された圧力比XFと、弁開度取得部18から入力された開度θと、閾値記憶部19に記憶された閾値A(θ)とに基づいて判定する。具体的には、判定部20は、閾値記憶部19を参照して、弁開度取得部18から入力された開度θに対応する閾値A(θ)を取得し、この閾値A(θ)と圧力比XFとを比較する。そして、XFの値が閾値A(θ)の値より小さい場合(XF<A(θ))、流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的ではないと判定する。一方、XFの値が閾値A(θ)の値以上の場合(XF≧A(θ))、流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的であると判定する。この判定結果は、流量演算部23に出力される。
【0037】
第1のテーブル21は、流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的ではない場合における、開度θおよび差圧ΔPと、流量係数Cvとの関係を示すデータテーブルである。具体的には、図3に示すように、縦軸に例えば1°毎など所定値刻みで設定された調節弁2の開度θ(θ1〜θi)、横軸に例えば1[Pa]毎など所定値刻みで設定された差圧ΔP(=X〜XXX)をとり、各レコードに対応する流量係数Cv(Cvv1i〜Cvv3i)が記憶されている。
【0038】
第2のテーブル22は、流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的である場合における、開度θおよび圧力比XFと、流量係数Cvとの関係を示すデータテーブルである。具体的には、図4に示すように、縦軸に例えば1°毎など所定値刻みで設定された調節弁2の開度θ(θ1〜θj)、横軸に所定値刻みで設定された圧力比XF(XFv=Y〜YYY)をとり、各レコードに対応する流量係数Cv(Cvvc1j〜Cvvc3j)が記憶されている。
【0039】
流量演算部23は、調節弁2を通過する流体の流量Qを演算する機能部である。具体的には、差圧演算部16から入力された差圧ΔPと、流量係数Cvと上式(1)に代入することにより、現在、調節弁2を通過している流体の流量Qを演算する。この演算された流量Qは、弁制御装置9に出力される。
ここで、上式(1)に代入する流量係数Cvは、次のように導出される。
【0040】
判定部20により流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的ではないと判定された場合、流量演算部23は、第1のテーブル21を参照して、弁開度取得部18から入力された開度θおよび差圧演算部16から入力された差圧ΔPに対応する流量係数Cvを導出し、この導出した流量係数Cvを上式(1)に代入する。
【0041】
一方、判定部20により流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的であると判定された場合、流量演算部23は、第2のテーブル22を参照して、弁開度取得部18から入力された開度θおよび係数演算部17から入力された圧力比XFに対応する流量係数Cvを導出し、この導出した流量係数Cvを上式(1)に代入する。このとき、圧力比XFは、判定部20による判定で用いられた圧力比XFが用いられるので、再度の演算が不要となるので、演算負荷を軽減することができる。
【0042】
このように、流量演算装置8では、流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的か否かを判定し、キャビテーション流れが支配的ではない場合には第1のテーブル21、キャビテーション流れが支配的である場合には第2のテーブル22に基づいて導出された流量係数を用いて流量を演算するので、より正確な流量を得ることができる。
【0043】
このような流量演算装置8は、流量制御ユニット7である電動アクチュエータやポジショナが内蔵するCPU等の演算回路と、メモリ等の記憶回路と、インストールされたプログラムとから構成される。すなわちハードウェア資源とソフトウェアとが協働することによって、上記のハードウェア資源がプログラムによって制御され、上述した温度取得部11、一次圧取得部12、二次圧取得部13、第3のテーブル14、飽和蒸気圧導出部15、差圧演算部16、係数演算部17、弁開度取得部18、閾値記憶部19、判定部20、第1のテーブル21、第2のテーブル22および流量演算部23が実現される。
【0044】
≪弁制御装置の構成≫
弁制御装置9は、図5に示すように、流量取得部31と、設定値取得部32と、弁開度演算部33と、信号生成部34とを備えている。
【0045】
流量取得部31は、流量演算装置8から、この流量演算装置8により演算された調節弁2を通過する流体の流量Qを取得する機能部である。取得した流量Qは、弁開度演算部33に出力される。
【0046】
設定値取得部32は、流量制御ユニット7と通信可能に接続された上位装置から調節弁2を通過させる流体の流量の設定値Qspを取得する機能部である。取得した設定値Qspは、弁開度演算部33に出力される。
【0047】
弁開度演算部33は、流量取得部31から入力された流量Qと、設定値取得部32から入力された設定値Qspとに基づいて、流量Qが設定値Qspに一致するようになる調節弁2の開度を演算する機能部である。この演算結果は、信号生成部34に出力される。
【0048】
信号生成部34は、調節弁2の開度を、弁開度演算部33から入力された調節弁2の開度とするための制御信号を生成する機能部である。この生成した制御信号は、調節弁2に出力される。これにより、調節弁2の開度は、制御信号により特定される開度に制御され、設定値Qspに対応する流量の流体が調節弁2を通過することとなる。
【0049】
このような弁制御装置9は、流量演算装置8と同様、流量制御ユニット7である電動アクチュエータやポジショナが内蔵するCPU等の演算回路と、メモリ等の記憶回路と、インストールされたプログラムとから構成される。すなわちハードウェア資源とソフトウェアとが協働することによって、上記のハードウェア資源がプログラムによって制御され、上述した流量取得部31、設定値取得部32、弁開度演算部33および信号生成部34が実現される。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態によれば、判定部20により流体の流れにおいてキャビテーション流れが支配的か否かを判定し、キャビテーション流れが支配的ではないと判定されると、キャビテーション流れが支配的ではない状態における、圧力P1と圧力P2の差圧ΔPおよび弁開度θと、流量係数Cvとを対応付けて記憶した第1のテーブル21に基づいて流量係数Cvを導出し、キャビテーション流れが支配的であると判定されると、キャビテーション流れが支配的である状態における、圧力比XFおよび弁開度θと、流量係数Cvとを対応付けて記憶した第2のテーブル22に基づいて流量係数Cvを導出し、このようにして導出した流量係数Cvを用いて調節弁2を流れる流体の流量Qを演算するので、キャビテーション流れが支配的である場合であっても正確な流量制御を行うことができる。
【0051】
なお、本実施の形態では、差圧演算部16により一次圧取得部12により取得された圧力P1と二次圧取得部13により取得された圧力P2から差圧ΔPを演算する場合を例に説明したが、流路1に差圧計を設け、この差圧計の測定結果をそのまま差圧ΔPとして用いるようにしてもよい。この場合には、圧力P1と圧力P2のうち少なくとも一方を取得できれば、他方についても差圧ΔPから演算することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、調節弁を用いる各種システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…流路、2…調節弁、3…温度センサ、4…一次側圧力センサ、5…二次側圧力センサ、6…弁開度センサ、7…流量制御ユニット、8…流量演算装置、9…弁制御装置、11…温度取得部、12…一次圧取得部、13…二次圧取得部、14…第3のテーブル、15…飽和蒸気圧導出部、16…差圧演算部、17…係数演算部、18…弁開度取得部、19…閾値記憶部、20…判定部、21…第1のテーブル、22…第2のテーブル、23…流量演算部、31…流量取得部、32…設定値取得部、33…弁開度演算部、34…信号生成部。
図1
図2
図3
図4
図5