(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、特許文献1では、家屋20に設置された充放電制御装置21で充放電の設定を行う。このため、充放電の設定を行うためには、ユーザは、家屋20内に行かなければならない。また、特許文献1では、電気自動車10と充放電制御装置21(外部機器)との間の充放電に着目されており、バッテリ11から車内への電力供給については検討されていない。
【0005】
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、ユーザの操作を簡便にすると共に、ユーザの利便性を向上することが可能な電動車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電動車両は、外部給電装置からバッテリへの充電、前記バッテリから車外機器への給電及び前記バッテリから車内機器への給電を可能とするものであって、前記外部給電装置又は前記車外機器のコネクタである第1コネクタが接続される第1接続部と、前記車内機器のコネクタである第2コネクタが接続される第2接続部と、前記第1接続部及び前記第2接続部と前記バッテリとの間に配置され、前記バッテリからの直流を交流に変換して前記第1接続部又は前記第2接続部に出力する変換器と、前記第1接続部及び前記第2接続部と前記変換器との間に配置され、前記変換器の接続先を前記第1接続部と前記第2接続部とで切り替える切替器と、前記第1接続部への前記第1コネクタの接続又は前記第2接続部への前記第2コネクタの接続を判定する接続判定部と、前記変換器から出力される定格電圧をユーザの操作により設定する定格電圧設定部と、車両起動スイッチと、前記接続判定部の判定結果及び前記定格電圧設定部の選択状態並びに前記車両起動スイッチの選択状態の組み合わせに応じて、前記変換器及び前記切替器を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、給電のためにユーザが操作する定格電圧設定部の選択状態に加え、接続判定部の判定結果(すなわち、第1接続部又は第2接続部の接続状態)及び車両起動スイッチの選択状態に応じて、変換器及び切替器を制御する。このため、ユーザの操作を簡便にすることが可能となる。また、車外との間の充電及び給電に加え、車内への給電を可能とする。このため、ユーザの利便性を向上することができる。さらに、接続判定部の判定結果及び車両起動スイッチの選択状態を、変換器及び切替器の制御に反映させることができるため、安全性を優先した給電を行うことが可能となる。
【0008】
前記制御部は、前記定格電圧設定部により前記第1接続部と前記変換器との接続時に設定可能な前記定格電圧が選択されているにもかかわらず、前記第1接続部に前記第1コネクタが接続されていない場合、前記第2接続部への給電をするように前記変換器及び前記切替器を制御してもよい。
【0009】
一般に、外部給電装置側又は車外機器側のコネクタ(第1コネクタ)が接続される第1接続部は、車外に面するように配置されるのに対し、車内機器のコネクタ(第2コネクタ)が接続される第2接続部は、車室内に面するように配置されることが多いと考えられる。このため、仮に電動車両が衝突した場合、第1接続部よりも第2接続部の方が短絡又は地絡の可能性が低いと考えられる。本発明によれば、定格電圧設定部により第1接続部と変換器との接続時に設定可能な前記定格電圧が選択されているにもかかわらず、第1接続部に第1コネクタが接続されていない場合、第2接続部への給電を優先する。このため、電動車両の安全性を高めることが可能となる。
【0010】
前記第1接続部における前記定格電圧は、前記第2接続部における前記定格電圧よりも高くしてもよい。これにより、外部給電装置からバッテリへの充電又はバッテリから車外機器への給電を高電圧で行うことが可能となる。また、上記のように、第2接続部への給電を優先する場合、より低い電圧での給電を優先させることになるため、電動車両の安全性をさらに高めることが可能となる。
【0011】
前記変換器は、前記バッテリからの直流を交流に変換して前記第1接続部又は前記第2接続部に出力すると共に、前記外部給電装置から前記第1接続部に供給された交流を直流に変換して前記バッテリに出力し、前記制御部は、前記車両起動スイッチがオフであり且つ前記第1接続部に前記第1コネクタが接続されているとき、前記外部給電装置からの受電要求又は前記車外機器からの給電要求に応じて、前記変換器を制御してもよい。
【0012】
直流から交流への変換(DC−AC変換)と交流から直流への変換(AC−DC変換)の両方を変換器が実行可能となることにより、給電及び充電のための回路を共用化し、電動車両のコンパクト化を図ることが可能となる。また、車両起動スイッチがオフであり且つ第1接続部に第1コネクタが接続されているときには、外部給電装置からの受電要求(充電要求)又は車外機器からの給電要求に応じて、変換器を制御する。このため、変換器によるDC−AC変換とAC−DC変換の切替えを簡易に行うことが可能となる。
【0013】
本発明に係る電動車両は、バッテリから車外機器及び車内機器への給電を可能とするものであって、前記車外機器のコネクタである第1コネクタが接続される第1接続部と、前記車内機器のコネクタである第2コネクタが接続される第2接続部と、前記第1接続部及び前記第2接続部と前記バッテリとの間に配置され、前記バッテリからの直流を交流に変換して又は前記バッテリからの出力電圧を変圧して、前記第1接続部又は前記第2接続部に出力する変換器と、前記第1接続部及び前記第2接続部と前記変換器との間に配置され、前記変換器の接続先を前記第1接続部又は前記第2接続部で切り替える切替器と、前記第1接続部への前記第1コネクタの接続又は前記第2接続部への前記第2コネクタの接続を判定する接続判定部と、車両起動スイッチと、前記接続判定部の判定結果及び前記車両起動スイッチの選択状態の組み合わせに応じて、前記変換器及び前記切替器を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、接続判定部の判定結果(すなわち、第1接続部又は第2接続部の接続状態)及び車両起動スイッチの選択状態に応じて、変換器及び切替器を制御する。このため、ユーザの操作を簡便にすることが可能となる。また、車外への給電に加え、車内への給電を可能とする。このため、ユーザの利便性を向上することができる。さらに、接続判定部の判定結果及び車両起動スイッチの選択状態を、変換器及び切替器の制御に反映させることができるため、安全性を優先した給電を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザの操作を簡便にすると共に、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
A.一実施形態
1.構成
[1−1.全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る電動車両12(以下「車両12」ともいう。)を含む電力システム10の概略構成図である。電力システム10は、車両12に加え、外部給電装置14(以下「給電装置14」ともいう。)と、車外機器16と、車内機器18とを備える。
【0018】
[1−2.車両12]
(1−2−1.車両12の全体構成)
車両12は、走行モータ20(以下「モータ20」ともいう。)と、インバータ22と、走行用バッテリ24(以下「バッテリ24」ともいう。)と、インレット26と、車内コンセント28と、双方向チャージャ30と、切替スイッチ32と、インレット接続検知部34と、定格電圧設定部36と、車両起動スイッチ38と、電子制御装置40(以下「ECU40」という。)とを有する。
【0019】
(1−2−2.モータ20)
モータ20は、3相交流ブラシレス式であり、インバータ22を介してバッテリ24から供給される電力に基づいて車両12の駆動力F[N](又はトルク[N・m])を生成する。また、モータ20は、回生を行うことで生成した電力(回生電力Preg)[W]をバッテリ24並びに図示しないダウンバータ、低電圧バッテリ及び補機に出力することでバッテリ24の充電等を行う。
【0020】
(1−2−3.インバータ22)
インバータ22は、3相フルブリッジ型の構成とされて、陽極側及び陰極側のメイン電力線42p、42nを介して供給されたバッテリ24からの直流を3相の交流に変換してモータ20に供給する一方、回生動作に伴う交流/直流変換後の直流をバッテリ24(並びに前記ダウンバータ、前記低電圧バッテリ及び前記補機)に供給する。
【0021】
(1−2−4.バッテリ24)
バッテリ24は、複数のバッテリセルを含む蓄電装置(エネルギストレージ)であり、例えば、リチウムイオン2次電池、ニッケル水素電池又はキャパシタ等を利用することができる。本実施形態ではリチウムイオン2次電池を利用している。なお、インバータ22とバッテリ24との間に図示しないDC/DCコンバータを設け、バッテリ24の出力電圧又はモータ20の出力電圧を昇圧又は降圧してもよい。
【0022】
(1−2−5.インレット26、車内コンセント28、双方向チャージャ30及び切替スイッチ32)
インレット26には、外部給電装置14のコネクタ112(以下「外部給電コネクタ112」又は「給電コネクタ112」ともいう。)又は車外機器16のコネクタ122(以下「車外機器コネクタ122」又は「受電コネクタ122」ともいう。)が接続される。インレット26は、図示しない充電リッドにより覆われており、通常時は車外から見ることができないが、前記充電リッドが開かれると車外に露出する。換言すると、インレット26は、車外に面するように配置される。インレット26には、インレット26とチャージャ30とを結ぶ電力線50a、50bの一端が接続される。加えて、インレット26には、インレット26とECU40とを結ぶ通信線52の一端が接続される。
【0023】
車内コンセント28(以下「コンセント28」ともいう。)には、車内機器18のプラグ142(以下「車内機器コネクタ142」ともいう。)が接続される。コンセント28は、例えば、図示しないフロントパネルに形成されて車内に面するように配置される。コンセント28には、コンセント28と電力線50a、50bとを結ぶ電力線54a、54bの一端が接続される。本実施形態の車内コンセント28には、通信線は存在しないが、インレット26のように通信線を設けることも可能である。
【0024】
双方向チャージャ30(以下「チャージャ30」ともいう。)は、インレット26及びコンセント28とバッテリ24との間に設けられ、ECU40の指令に基づいて作動する。チャージャ30は、インレット26からの交流(AC)を直流(DC)に変換してバッテリ24に出力するAC/DC変換器60と、バッテリ24からのDCをACに変換してインレット26又は車内コンセント28に出力するDC/AC変換器62とを有する。
【0025】
切替スイッチ32は、ECU40からの指令に応じて、双方向チャージャ30の接続先をインレット26、コンセント28又はオフ(OFF)に切り替える。
【0026】
なお、バッテリ24とインレット26又はコンセント28との間等には、
図1に示していない各種の回路部品又はセンサを設けてもよい(外部給電装置14、車外機器16及び車内機器18についても同様である。)。例えば、バッテリ24の手前(メイン電力線42p、42n上)において、陽極側及び陰極側のメインコンタクタ(図示せず)を設けることも可能である。
【0027】
(1−2−6.インレット接続検知部34)
インレット接続検知部34は、インレット26に対する外部給電装置14の給電コネクタ112又は車外機器16の受電コネクタ122の接続を検知してECU40に出力する。
【0028】
(1−2−7.定格電圧設定部36)
定格電圧設定部36(以下「設定部36」ともいう。)は、バッテリ24から車外機器16又は車内機器18に対して給電する際の定格電圧Vrを、ユーザの操作により設定する部位である。
【0029】
図1に示すように、設定部36は、第1給電スイッチ70(以下「給電スイッチ70」又は「スイッチ70」ともいう。)と、第2給電スイッチ72(以下「給電スイッチ72」又は「スイッチ72」ともいう。)とを有する。スイッチ70は、定格電圧Vrとして100Vを選択するものであり、スイッチ72は、定格電圧Vrとして200Vを選択するものである。
【0030】
本実施形態の給電スイッチ70、72は、図示しない光源を組み込んだオンオフスイッチであり、オン(ON)のときに点灯し、オフ(OFF)のときに消灯する。ECU40は、スイッチ70、72の一方が選択されると、他方を選択することができないようにスイッチ70、72のオンオフを制御する。従って、設定部36では、スイッチ70がオンであり且つスイッチ72がオフである状態、スイッチ70がオフであり且つスイッチ72がオンである状態及び両方のスイッチ70、72がオフである状態のいずれかを選択可能である。
【0031】
(1−2−8.車両起動スイッチ38)
車両起動スイッチ38(以下「起動スイッチ38」又は「スイッチ38」ともいう。)は、車両12の起動を行うためのスイッチ(いわゆるイグニションスイッチ(IGSW))である。起動スイッチ38は、例えば、図示しないスイッチノブを備えるロータリ式であり、図示しないインスツルメントパネルに向かって左側から「オフ(OFF)」、「ACC」(アクセサリ)及び「オン(ON)」の位置を選択可能である。起動スイッチ38が「オン」の位置にあるとき、モータ20の作動(車両12の走行)が可能となる。起動スイッチ38は、プッシュボタン等のその他のスイッチであってもよい。
【0032】
(1−2−9.ECU40)
ECU40は、車両側通信線80を介して車両12の各部からの入力を受け付け又は各部を制御するものであり、入出力部90、演算部92及び記憶部94を含む。本実施形態において、ECU40は、チャージャ30及び切替スイッチ32を制御することにより、外部給電装置14からバッテリ24への充電及びバッテリ24から車外機器16又は車内機器18への給電を制御する(詳細は後述する。)。
【0033】
図1に示すように、本実施形態の演算部92は、バッテリ24への充電及びバッテリ24からの給電を制御する充電/給電制御を実行する充電/給電制御部100を有する。充電/給電制御部100は、切替スイッチ32を制御する切替スイッチ制御(
図3)を実行する切替スイッチ制御部102と、双方向チャージャ30を制御する双方向チャージャ制御(
図4)を実行するチャージャ制御部104とを有する。
【0034】
[1−3.外部給電装置14]
図1に示すように、外部給電装置14は、交流電源110と、外部給電コネクタ112(以下「給電コネクタ112」、「外部コネクタ112」又は「コネクタ112」ともいう。)と、給電制御部114(以下「制御部114」ともいう。)とを有する。交流電源110は、例えば、家庭用電源を用いることができる。この場合、外部給電装置14は、交流電源110を一部に含むというよりは、むしろ車両12と交流電源110とを電気的に連結する装置として機能させてもよい。
【0035】
コネクタ112には、交流電源110からの電力線116a、116bと、制御部114からの通信線118が接続されている。制御部114は、車両12のECU40との通信等に基づいて、給電装置14から車両12への充電を制御する。
【0036】
なお、
図1では、外部給電装置14を単一の装置(スタンドアローン型装置)として示しているが、外部給電装置14は、電力網(グリッド)の一部を構成するものであってもよい。換言すると、外部給電装置14は、いわゆるスマートグリッドを構成するものとすることも可能である(車外機器16についても同様である。)。
【0037】
[1−4.車外機器16]
車外機器16は、車両12の外部において車両12から電力供給を受ける機器である。
図1に示すように、車外機器16は、負荷120と、車外機器コネクタ122と、制御部124(以下「受電制御部124」ともいう。)とを有する。コネクタ122は、車両12のインレット26との連結に用いられる。コネクタ122には、負荷120に連結される電力線126a、126bと、制御部124からの通信線128が接続されている。制御部124は、通信線130を介して負荷120を制御すると共に、車両12のECU40との通信等に基づいて、車両12から負荷120への給電を制御する。
【0038】
[1−5.車内機器18]
車内機器18は、車両12の内部において車両12から電力供給を受ける機器である。車内機器18は、必ずしも車両12に搭載又は固定されたものである必要はなく、一時的に車両12内に持ち込まれたものであってもよい。
図1に示すように、車内機器18は、負荷140と、プラグ142と、制御部144とを有する。プラグ142は、車内コンセント28との連結に用いられる。プラグ142には、負荷140に連結される電力線146a、146bが接続されている。制御部144は、通信線148を介して負荷140を制御する。
【0039】
2.各種制御
以下では、本実施形態における各種制御を説明する。本実施形態のECU40(充電/給電制御部100)は、バッテリ24の充電及び給電を選択的に行うバッテリ充電/給電制御を実行する。バッテリ充電/給電制御は、切替スイッチ32を制御する切替スイッチ制御と、双方向チャージャ30を制御する双方向チャージャ制御とを含む。
【0040】
[2−1.切替スイッチ32及び双方向チャージャ30の制御の概要]
図2は、バッテリ充電/給電制御の概要を説明するための図である。
図2に示すように、本実施形態では、ECU40による制御を決定するための条件として、起動スイッチ38の設定(オン(ON)/オフ(OFF))と、インレット26へのコネクタ112又は122の接続と、給電スイッチ70、72の設定(100V/200V/OFF)を用いる。また、ECU40による具体的な制御として、切替スイッチ32の接続先の選択、チャージャ30が用いる定格電圧Vrの選択並びにこれらの選択の結果としての電動車両12の動作が含まれる。
【0041】
より具体的には、起動スイッチ38がオン(ON)である場合、ECU40は、車両12からの給電を可能とする。その際、インレット26に対してコネクタ112又は122が接続されている場合、インレット26を介しての給電を可能とする。一方、インレット26に対してコネクタ112及び122が接続されていない場合、車内コンセント28を介しての給電を可能とする。
【0042】
また、インレット26を介して給電を行う場合、給電スイッチ70、72の設定に応じて定格電圧Vrを選択する。車内コンセント28を介して給電を行う場合、給電スイッチ70、72の設定にかかわらず定格電圧Vrを100Vとする。但し、第2給電スイッチ72(200V)がONである場合、車内コンセント28を介しての給電を行わないことも可能である。
【0043】
起動スイッチ38がOFFである場合、インレット26に対してコネクタ112又は122が接続されていることを条件として、ECU40は、インレット26を介しての給電又は充電を可能とする。この際、給電スイッチ70、72の選択をすることはできず、ECU40は、給電スイッチ70、72を常にOFFとする。
【0044】
また、給電又は充電のいずれを行うかは、通信線52を介してECU40に入力される外部要求信号Srに応じて決定される。すなわち、インレット26に給電コネクタ112が接続されて、給電制御部114から外部要求信号Srとしての受電要求信号が入力された場合、ECU40は、バッテリ24の充電を行う。また、インレット26に車外機器コネクタ122が接続されて、受電制御部124から外部要求信号Srとしての給電要求信号が入力された場合、ECU40は、バッテリ24からの給電を行う。給電又は充電に際しての定格電圧Vrは、外部要求信号Srで規定される電圧(100V又は200V)に設定される。
【0045】
なお、起動スイッチ38の位置が「ACC」(アクセサリ)である場合は、起動スイッチ38がオン(ON)である場合又は起動スイッチ38がオフ(OFF)である場合のいずれかに含めることが可能である。
【0046】
[2−2.切替スイッチ制御]
図3は、切替スイッチ制御のフローチャートである。ステップS1において、ECU40は、インレット26に対して外部コネクタ112又は122が接続されているか否かを判定する。インレット26に対して外部コネクタ112又は122が接続されている場合(S1:YES)、ステップS2において、ECU40は、切替スイッチ32の接続先をインレット26とする。この場合、定格電圧Vrが100V又は200Vのいずれになるかは、後述する
図4のフローチャートにより設定される。
【0047】
インレット26に対して外部コネクタ112、122が接続されていない場合(S1:NO)、ステップS3において、ECU40は、起動スイッチ38がONであるか否かを判定する。起動スイッチ38がONである場合(S3:YES)、ステップS4において、ECU40は、切替スイッチ32の接続先を車内コンセント28とする。なお、ステップS4の前に、200V用の第2給電スイッチ72が選択されている否かを判定し、100V用の第1給電スイッチ70が選択されている場合、切替スイッチ32の接続先を車内コンセント28とし、第2給電スイッチ72が選択されている場合、切替スイッチ32の接続先をOFFとしてもよい。
【0048】
ステップS3において、起動スイッチ38がONでない場合(S3:NO)、ステップS5において、ECU40は、切替スイッチ32をOFFにする。
【0049】
[2−3.双方向チャージャ制御]
図4は、双方向チャージャ制御のフローチャートである。ステップS11において、ECU40は、起動スイッチ38がONであるか否かを判定する。起動スイッチ38がONでない場合(S11:NO)、ステップS12において、ECU40は、インレット26に対する外部コネクタ112又は122の接続があるか否かを判定する。インレット26に対する外部コネクタ112又は122の接続がない場合(S12:NO)、ステップS13において、ECU40は、双方向チャージャ30の動作を停止させる。
【0050】
インレット26に対する外部コネクタ112又は122の接続がある場合(S12:YES)、ステップS14において、ECU40は、外部の制御部(すなわち、制御部114又は124)からの外部要求信号Sr(受電要求信号又は給電要求信号)に応じて双方向チャージャ30を制御する。具体的には、制御部114から受電要求信号を受信した場合、ECU40は、受電要求信号で示された定格電圧Vr(100V又は200V)となるように双方向チャージャ30のAC/DC変換器60を制御する。また、制御部124から給電要求信号を受信した場合、ECU40は、給電要求信号で示された定格電圧Vr(100V又は200V)となるように双方向チャージャ30のDC/AC変換器62を制御する。
【0051】
図4のステップS11に戻り、起動スイッチ38がONである場合(S11:YES)、ステップS15において、ECU40は、インレット26に対する外部コネクタ112又は122の接続があるか否かを判定する。インレット26に対する外部コネクタ112又は122の接続がある場合(S15:YES)、ステップS16において、ECU40は、第1給電スイッチ70がONであるか否かを判定する。
【0052】
第1給電スイッチ70がONである場合(S16:YES)、ステップS17において、ECU40は、定格電圧Vrが100VとなるようにDC/AC変換器62を動作させてインレット26を介しての給電を行う。第1給電スイッチ70がONでない場合(S16:NO)、ステップS18において、ECU40は、定格電圧Vrが200VとなるようにDC/AC変換器62を動作させてインレット26を介しての給電を行う。
【0053】
図4のステップS15に戻り、インレット26に対する外部コネクタ112、122の接続がない場合(S15:NO)、ステップS19において、ECU40は、定格電圧Vrが100VとなるようにDC/AC変換器62を動作させてインレット26を介しての給電を行う。なお、ステップS19の前に、第1給電スイッチ70が選択されている否かを判定し、第1給電スイッチ70が選択されている場合、定格電圧Vrが100VとなるようにDC/AC変換器62を動作させてインレット26を介しての給電を行い、第1給電スイッチ70が選択されていない場合、双方向チャージャ30の動作を停止させてもよい。
【0054】
3.本実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態によれば、給電のためにユーザが操作する定格電圧設定部36の選択状態に加え、インレット接続検知部34(接続判定部)の判定結果(すなわち、インレット26(第1接続部)の接続状態)及び起動スイッチ38の選択状態に応じて、チャージャ30(変換器)及び切替スイッチ32を制御する(
図2〜
図4)。このため、ユーザの操作を簡便にすることが可能となる。また、車外との間の充電及び給電に加え、車内への給電を可能とする(
図1及び
図2参照)。このため、ユーザの利便性を向上することができる。さらに、インレット接続検知部34の判定結果及び起動スイッチ38の選択状態を、チャージャ30及び切替スイッチ32の制御に反映させることができるため、安全性を優先した給電を行うことが可能となる。
【0055】
外部給電装置14又は車外機器16側の外部コネクタ112、122(第1コネクタ)が接続されるインレット26(第1接続部)は、車外に面するように配置される。これに対し、車内機器18のプラグ142(第2コネクタ)が接続される車内コンセント28(第2接続部)は、車室内に面するように配置される。このため、仮に電動車両12が衝突した場合、インレット26よりも車内コンセント28の方が短絡又は地絡の可能性が低いと考えられる。
【0056】
本実施形態によれば、起動スイッチ38がONであり(
図3のS3:YES、
図4のS11:YES)且つインレット26に対する外部コネクタ112、122の接続がない場合(S1:NO、S15:NO)、ECU40(制御部)は、給電スイッチ70、72の選択状態を確認することなく、定格電圧Vrを100Vとして車内コンセント28に給電する(S4、S19)。換言すると、ECU40は、定格電圧設定部36によりインレット26(第1接続部)とチャージャ30との接続時に設定可能な定格電圧Vr(200V)が選択されているにもかかわらず、インレット26に外部コネクタ112(第1コネクタ)が接続されていない場合、車内コンセント28(第2接続部)への給電をするようにチャージャ30及び切替スイッチ32を制御して、車内コンセント28(第2接続部)への給電を優先する(
図2及び
図3)。このため、電動車両12の安全性を高めることが可能となる。
【0057】
本実施形態において、インレット26(第1接続部)における定格電圧Vrが200Vである場合、車内コンセント28(第2接続部)における定格電圧Vr(100V)よりも高い。これにより、外部給電装置14からバッテリ24への充電又はバッテリ24から車外機器16への給電を高電圧で行うことが可能となる。また、上記のように、車内コンセント28への給電を優先する場合、より低い電圧での給電を優先させることになるため、電動車両12の安全性をさらに高めることが可能となる。
【0058】
本実施形態において、チャージャ30(変換器)は、バッテリ24からの直流を交流に変換してインレット26又は車内コンセント28に出力すると共に、外部給電装置14からインレット26に供給された交流を直流に変換してバッテリ24に出力する(
図1)。また、ECU40(制御部)は、起動スイッチ38がオフであり(
図4のS11:NO)且つインレット26に外部コネクタ112、122(第1コネクタ)が接続されているとき(S12:YES)、外部給電装置14からの受電要求又は車外機器16からの給電要求に応じて、チャージャ30を制御する(S14)。
【0059】
直流から交流への変換(DC−AC変換)と交流から直流への変換(AC−DC変換)の両方をチャージャ30が実行可能となることにより、給電及び充電のための回路を共用化し、電動車両12のコンパクト化を図ることが可能となる。また、起動スイッチ38がオフであり且つインレット26(第1接続部)に外部コネクタ112、122(第1コネクタ)が接続されているときには、外部給電装置14からの受電要求(充電要求)又は車外機器16からの給電要求に応じて、チャージャ30を制御する。このため、チャージャ30によるDC−AC変換とAC−DC変換の切替えを簡易に行うことが可能となる。
【0060】
4.変形例
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0061】
[4−1.電動車両12(適用対象)]
上記実施形態では、電動車両12は、駆動源としてモータ20のみを有し、電力源としてバッテリ24のみを有する狭義の電気自動車(battery vehicle)であった(
図1)。しかしながら、例えば、バッテリ24への充電又はバッテリ24からの給電に着目すれば、これに限らない。例えば、電動車両12は、モータ20に加えてエンジンを駆動源とするハイブリッド車両であってもよい。或いは、電動車両12は、バッテリ24に加えて燃料電池を電力源とする燃料電池車両とすることも可能である。或いは、電動車両12は、バッテリ24に加え、エンジンからの駆動力により発電するジェネレータを電力源とする車両であってもよい。
【0062】
上記実施形態では、電力システム10を電動車両12に適用したが、これに限らず、別の対象に適用してもよい。例えば、電力システム10を船舶や航空機等の移動体に用いることもできる。
【0063】
[4−2.バッテリ24]
上記実施形態では、バッテリ24をモータ20の電力源として用いたが、これに限らない。例えば、車外からバッテリ24への充電及びバッテリ24から車外又は車内への給電の観点からすれば、バッテリ24は、駆動源としてのモータ20へ電力供給する代わりに、車両12の補機に電力を供給するものであってもよい。
【0064】
[4−3.チャージャ30(変換器)]
上記実施形態において、チャージャ30は、AC/DC変換器60及びDC/AC変換器62を有する双方向タイプであった。換言すると、AC/DC変換器60及びDC/AC変換器62は、いずれも同一のインレット26に接続されていた。しかしながら、例えば、インレット接続検知部34の出力及び定格電圧設定部36の選択状態並びに起動スイッチ38の選択状態の組み合わせに応じてチャージャ30及び切替スイッチ32を制御する観点からすれば、これに限らない。例えば、AC/DC変換器60が接続するインレット(第1インレット)と、DC/AC変換器62が接続するインレット(第2インレット)とを別々に設けることも可能である。
【0065】
上記実施形態において、チャージャ30は、インレット26を介して外部給電装置14からの充電を行うためのAC/DC変換器60と、インレット26を介して車外機器16に又は車内コンセント28を介して車内機器18に給電を行うためのDC/AC変換器62を有していた。しかしながら、例えば、インレット接続検知部34の出力及び定格電圧設定部36の選択状態並びに起動スイッチ38の選択状態の組み合わせに応じてチャージャ30及び切替スイッチ32を制御する観点からすれば、これに限らない。
【0066】
例えば、チャージャ30は、DC/AC変換器62を有し、AC/DC変換器60を有さなくてもよい。或いは、チャージャ30は、AC/DC変換器60を有し、DC/AC変換器62を有さないことも可能である(この場合、AC/DC変換器60は、インレット26を介して外部給電装置14からの充電と、車内コンセント28を介して車内充電装置(図示せず)からの充電とを行うものとすることができる。)。
【0067】
上記実施形態では、車外からバッテリ24への充電用にAC/DC変換器60を用い、バッテリ24から車外又は車内への給電用にDC/AC変換器62を用いた。しかしながら、例えば、充電用又は給電用の変換器としての観点からすれば、その他の変換器を用いることも可能である。例えば、車外から供給される電流がDCである場合、AC/DC変換器60の代わりにDC/DC変換器を用いることができる。或いは、車外に供給する電流がDCである場合、DC/AC変換器62の代わりにDC/DC変換器を用いてもよい。
【0068】
[4−4.切替スイッチ32(切替器)]
上記実施形態では、3つの接続位置(OFFを含む。)を切り替える1つのスイッチとしての切替スイッチ32により、インレット26又は車内コンセント28と双方向チャージャ30との接続を切り替えた(
図1)。しかしながら、例えば、インレット26又は車内コンセント28と双方向チャージャ30との接続を切り替える観点からすれば、これに限らない。例えば、インレット26及び車内コンセント28それぞれに対応させてオンオフスイッチを用いることも可能である。この場合、インレット26とチャージャ30の接続及び車内コンセント28とチャージャ30との接続を別個に切り替えることが可能となる。
【0069】
[4−5.インレット接続検知部34]
上記実施形態では、インレット26へのコネクタ112、122の接続を判定するインレット接続検知部34を設ける一方、車内コンセント28へのプラグ142の接続を判定する接触検知部(車内コンセント接続検知部)を設けなかった(
図1)。しかしながら、当該車内コンセント接続検知部を設けることも可能である。この場合、プラグ142の接続を検出可能となるため、切替スイッチ32が車内コンセント28に接続されている場合でも、車内コンセント28にプラグ142が接続されていなければ、ECU40は、チャージャ30(AC/DC変換器60又はDC/AC変換器62)の動作を停止し、省電力化を図ることが可能となる。
【0070】
或いは、前記車内コンセント接続検知部を設ける場合、インレット接続検知部34を省略することも可能である。
【0071】
[4−6.定格電圧設定部36]
上記実施形態では、定格電圧設定部36は、2つの給電スイッチ70、72を備えていた(
図1)。しかしながら、例えば、定格電圧Vrを切り替える観点からすれば、定格電圧設定部36はその他の構成であってもよい。例えば、定格電圧設定部36は、スイッチノブを備える1つのロータリ式スイッチであってもよい。
【0072】
上記実施形態では、定格電圧Vrを定格電圧設定部36により切り替え可能とした。しかしながら、例えば、インレット26(第1接続部)又は車内コンセント28(第2接続部)の接続状態と起動スイッチ38の選択状態に応じて、チャージャ30及び切替スイッチ32を制御する観点からすれば、定格電圧Vrを固定して定格電圧設定部36を省略することも可能である。
【0073】
[4−7.切替えの制御ロジック]
上記実施形態では、
図2に示す組合せでチャージャ30及び切替スイッチ32を制御した。しかしながら、例えば、インレット接続検知部34の出力及び定格電圧設定部36の選択状態並びに起動スイッチ38の選択状態の組み合わせに応じてチャージャ30及び切替スイッチ32を制御する観点からすれば、これに限らない。
【0074】
例えば、
図2では、起動スイッチ38がオンであるとき、給電スイッチ70、72のいずれかが選択されるようにしたが、ユーザの操作等により給電スイッチ70、72のいずれもオフにすることも可能である。この場合、ECU40は、インレット26へのコネクタ122の接続又は車内コンセント28へのプラグ142の接続があっても、バッテリ24からの給電を行わなくてもよい。
【0075】
或いは、
図2では、起動スイッチ38がオフであるとき、給電スイッチ70、72をいずれもオフとしたが、起動スイッチ38がオフであるとき(例えば、「ACC」がオフに含まれ、起動スイッチ38が「ACC」の位置にあるとき)、給電スイッチ70、72をオン可能としてもよい。この場合、オンにした給電スイッチ70又は72に応じて定格電圧Vrを選択することもできる。
【0076】
或いは、
図2では、起動スイッチ38がオンであり且つインレット26への接続がある場合、切替スイッチ32をインレット26に接続させたが、起動スイッチ38がオンであれば、インレット26への接続にかかわらず、切替スイッチ32を車内コンセント28に接続させることも可能である。
【0077】
或いは、バッテリ24への充電又はバッテリ24からの給電に関連する部位に故障が生じた場合も含めて、チャージャ30及び切替スイッチ32を制御することも可能である。例えば、インレット接続検知部34からECU40への信号が異常を示す場合(例えば、当該信号の電圧が正常範囲内にない場合)、ECU40は、起動スイッチ38がオンであれば、給電スイッチ70、72の設定にかかわらず、切替スイッチ32を車内コンセント28に接続させ、定格電圧Vrが100Vとなるようにチャージャ30を制御してもよい。
【0078】
或いは、給電スイッチ70、72からのECU40への信号が異常を示す場合(例えば、当該信号の電圧が正常範囲内にない場合)、ECU40は、起動スイッチ38がオンであれば、給電スイッチ70、72の設定にかかわらず、定格電圧Vrが100Vとなるようにチャージャ30を制御してもよい。この場合、インレット26への接続があれば、切替スイッチ32をインレット26に接続し、インレット26への接続がなければ、切替スイッチ32を車内コンセント28に接続させることができる。