特許第6002236号(P6002236)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6002236ハニカム乾燥体の切断方法、ハニカム構造体の製造方法、ハニカム乾燥体、及び、ハニカム構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6002236
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】ハニカム乾燥体の切断方法、ハニカム構造体の製造方法、ハニカム乾燥体、及び、ハニカム構造体
(51)【国際特許分類】
   B28B 11/16 20060101AFI20160923BHJP
   B28B 11/12 20060101ALI20160923BHJP
   B28B 11/24 20060101ALI20160923BHJP
【FI】
   B28B11/16
   B28B11/12
   B28B11/24
【請求項の数】16
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-539555(P2014-539555)
(86)(22)【出願日】2012年10月5日
(86)【国際出願番号】JP2012075977
(87)【国際公開番号】WO2014054168
(87)【国際公開日】20140410
【審査請求日】2015年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 隼人
(72)【発明者】
【氏名】石川 茂治
【審査官】 伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−256622(JP,A)
【文献】 特開2004−358843(JP,A)
【文献】 特開昭62−124907(JP,A)
【文献】 特開平11−290699(JP,A)
【文献】 特開昭62−260758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 11/00− 11/24
B28B 3/20− 3/26
B26F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備える柱状のハニカム成形体が乾燥されてなるハニカム乾燥体を、ウォータージェットを用いて所定の長さに切断するウォータージェット切断工程を行うことを特徴とするハニカム乾燥体の切断方法。
【請求項2】
前記ハニカム乾燥体は、成形助剤及び有機バインダを含有する請求項1に記載のハニカム乾燥体の切断方法。
【請求項3】
前記成形助剤は、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、及び、ポリアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載のハニカム乾燥体の切断方法。
【請求項4】
前記有機バインダは、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及び、ポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2又は3に記載のハニカム乾燥体の切断方法。
【請求項5】
押出成形機からセラミック原料を連続的に押出成形することにより、流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備える未切断のハニカム成形体を作製する成形工程と、
前記未切断のハニカム成形体を乾燥させて未切断のハニカム乾燥体を作製する乾燥工程とを行い、
前記ウォータージェット切断工程において前記未切断のハニカム乾燥体を切断する請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム乾燥体の切断方法。
【請求項6】
前記成形工程、前記乾燥工程及び前記ウォータージェット切断工程を連続的に行い、
前記ウォータージェット切断工程では、前記ウォータージェットの噴射ノズルの移動速度を前記ハニカム乾燥体の移動速度に同期させることにより、前記ハニカム乾燥体を切断する請求項5に記載のハニカム乾燥体の切断方法。
【請求項7】
前記成形工程において、前記押出成形機から押出成形されるハニカム成形体の移動速度を速度センサーにより計測し、
前記ウォータージェット切断工程において、前記ハニカム乾燥体が移動する方向と平行な方向へ前記ウォータージェットの噴射ノズルが移動する速度を、前記速度センサーにより計測される移動速度と同一にする請求項6に記載のハニカム乾燥体の切断方法。
【請求項8】
前記乾燥工程では、高周波誘電乾燥により、前記未切断のハニカム成形体を乾燥させる請求項5〜7のいずれかに記載のハニカム乾燥体の切断方法。
【請求項9】
押出成形機からセラミック原料を連続的に押出成形することにより、流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備える未切断のハニカム成形体を作製する成形工程と、
前記未切断のハニカム成形体を前記所定の長さよりも長くなる長さに仮切断する仮切断工程と、
前記仮切断されたハニカム成形体を乾燥させて仮切断されたハニカム乾燥体を作製する乾燥工程とを行い、
前記ウォータージェット切断工程において前記仮切断されたハニカム乾燥体を切断する請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム乾燥体の切断方法。
【請求項10】
前記ハニカム乾燥体の水分率は0〜6質量%である請求項1〜9のいずれかに記載のハニカム乾燥体の切断方法。
【請求項11】
前記ウォータージェットの噴射ノズルと前記ハニカム乾燥体の上面とのなす角度が5〜85°である請求項1〜10のいずれかに記載のハニカム乾燥体の切断方法。
【請求項12】
前記ウォータージェットの噴射ノズルと前記ハニカム乾燥体の長手方向に垂直な断面における全ての上記セル隔壁とのなす角度が5〜85°である請求項1〜11のいずれかに記載のハニカム乾燥体の切断方法。
【請求項13】
前記ウォータージェットの水圧が200〜400MPaである請求項1〜12のいずれかに記載のハニカム乾燥体の切断方法。
【請求項14】
前記ウォータージェット切断工程における切断速度が15〜150mm/秒である請求項1〜13のいずれかに記載のハニカム乾燥体の切断方法。
【請求項15】
前記ハニカム乾燥体の開口率は、60〜90%である請求項1〜14のいずれかに記載のハニカム乾燥体の切断方法。
【請求項16】
流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備えるハニカム焼成体からなるハニカム構造体の製造方法であって、
請求項1〜15のいずれかに記載のハニカム乾燥体の切断方法により得られた所定の長さを有するハニカム乾燥体を焼成することによりハニカム焼成体を作製する焼成工程を含むことを特徴とするハニカム構造体の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム乾燥体の切断方法、ハニカム構造体の製造方法、ハニカム乾燥体、及び、ハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
バス、トラック、乗用車等の車両及び建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中に含有されるスス等のパティキュレート(以下、PMともいう)が周囲の環境又は人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。
そこで、排ガス中のPMを捕集し、排ガスを浄化するフィルタとして、多孔質セラミックからなるハニカム構造体が種々提案されている。
【0003】
以下、ハニカム構造体の製造方法の一例について説明する。
まず、セラミック粉とバインダと分散媒液等とを混合して湿潤混合物(セラミック原料)を調製する。そして、この湿潤混合物を連続的に押出成形し、押出成形された未切断の成形体をワイヤー等を用いて所定の長さに切断することにより、角柱形状のハニカム成形体を作製する。
【0004】
次に、得られたハニカム成形体を乾燥させる。その後、所定のセルに目封じを施し、セルのいずれかの端部が封止された状態とした後、脱脂処理及び焼成処理を施し、ハニカム焼成体を作製する。
【0005】
この後、ハニカム焼成体の側面にシール材ペーストを塗布し、ハニカム焼成体同士を接着させることにより、シール材層(接着材層)を介してハニカム焼成体が複数個結束した状態のハニカム焼成体の集合体を作製する。次に、得られたハニカム焼成体の集合体に対して、円柱状等の所定の形状に切削加工を施してセラミックブロックを形成する。最後に、セラミックブロックの外周にシール材ペーストを塗布してシール材層(外周コート層)を形成することにより、ハニカム構造体を製造することができる。
【0006】
特許文献1には、セラミック原料を成形してハニカム成形体を作製し、ハニカム成形体に乾燥処理を施した後、切断ディスク(ブレード)を用いてハニカム成形体の両端を切断する技術が開示されている。
【0007】
特許文献2には、押出成形機により連続的に成形された成形品を、ウォータージェット切断機により切断する連続成形品の切断方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−320312号公報
【特許文献2】特開2004−358843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ワイヤー等を用いて成形体を切断する場合、切断後のハニカム成形体の端面の上端が下方に向けて曲がってしまう変形が生じる場合がある。また、ハニカム成形体は、乾燥により収縮する場合がある。そのため、特許文献1に記載されているように、乾燥後のハニカム成形体の端面を切断することにより、変形が生じた部分を除去することができ、また、乾燥後のハニカム成形体の長さを調整することもできる。
【0010】
特許文献1に記載の従来の方法では、乾燥処理を施されたハニカム成形体(以下、本明細書ではハニカム乾燥体ともいう)の両端をブレードを用いて切断しているが、ブレードを用いた切断を行うと、切断面にバリが発生することがあり、切断面のバリをブラシ等を用いて除去する端面処理工程を行う必要があった。また、切断により生じたセラミック粉がセル内に詰まることがあり、セル内に詰まったセラミック粉はエアーブロー等の工程により除去する必要があった。
そのため、端面にバリが発生したり、セラミック粉がセル内に詰まったりすることのないハニカム乾燥体の切断方法が待望されていた。
【0011】
特許文献2には、押出成形機から連続的に成形された成形体を切断する方法としてのウォータージェット切断が記載されている。特許文献2において切断される対象物は、押出成形機から連続的に成形された成形体であることから、水分を多く含む柔らかい成形体である。
特許文献2では水分を既に多く含む成形体に対して水をかけてウォータージェット切断を行うので、成形体に水をかけたとしても成形体の特性が大きく変化することはないと思われる。言い換えれば、特許文献2に記載されたウォータージェット切断は、水分を既に多く含む成形体に対して使用可能な切断方法として提案された方法であるといえる。
【0012】
ハニカム構造体(ハニカム焼成体)を製造する工程において、押出成形機から連続的に成形された成形体は水分を多く含むため、成形工程後に乾燥工程を行うことによって端面の変形を防止することが行われる。すなわち、乾燥工程が一旦施されたハニカム乾燥体に対して、再度水をかける工程を行うことは、乾燥工程の趣旨を没却するため、当業者であれば通常は考えない行為であった。
【0013】
本発明者らは、上記のような状況を踏まえ、ハニカム乾燥体を切断する好適な方法について検討した。その結果、ハニカム乾燥体に対して水を噴射して切断を行うウォータージェット切断を用いることにより、端面にバリが発生したり、セラミック粉がセル内に詰まったりすることなくハニカム乾燥体を所定の長さに切断することができるということを見出し、本発明に想到した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
すなわち、本発明のハニカム乾燥体の切断方法は、流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備える柱状のハニカム成形体が乾燥されてなるハニカム乾燥体を、ウォータージェットを用いて所定の長さに切断するウォータージェット切断工程を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明のハニカム乾燥体の切断方法では、ハニカム乾燥体をウォータージェットを用いて所定の長さに切断する。
ウォータージェットを用いた切断を行うと、端面にバリがほとんど生じることがなく、また、セラミック粉がセル内に詰まることもほとんどないという効果が生じる。
そのため、バリの除去やセル内のセラミック粉の除去を行う必要がなく、ハニカム構造体の製造工程を大きく簡略化することができる。
【0016】
従来のハニカム乾燥体の切断方法において生じるバリやセラミック粉は、ブレードの厚み分の切りしろに相当する。ハニカム乾燥体をブレードで切断する場合、摩擦熱が発生するため、切断時に生じたセラミック粉やバリがハニカム乾燥体の端面に付着しやすく、またセラミック粉は軽いので切断後に舞い上がってハニカム乾燥体に付着することがある。
一方、ウォータージェットを用いた切断では、切断によって生じたセラミック粉は、ウォータージェットの水流にのって切断と同時に洗い流される。また、熱の発生がないため、切断面への付着を生じることがない。そのため、バリやセラミック粉の詰まりがない綺麗な切断面が得られるのである。
また、ハニカム乾燥体をウォータージェットを用いて切断したとしても、ハニカム乾燥体はそれほど濡れることはなく、水はセル隔壁に浸透していかないため、端面が変形するほどにハニカム乾燥体の強度が低下することはない。ハニカム乾燥体では、焼成後のハニカム焼成体と異なり、セル隔壁に連通する気孔を含んでいないために水がセル隔壁に浸透しにくいものと推測される。
焼成後のハニカム焼成体では、セル隔壁に連通する気孔を有するため、ウォータージェット切断を行った場合にはセル隔壁に水が浸透してしまうという問題が生ずるものと思われる。
すなわち、本発明者らは、ハニカム形状を有し、水分量が少ない部材のうち、ハニカム乾燥体がウォータージェット切断に特に適した材料であることを見出したのである。
そして、ハニカム乾燥体はそれほど濡れることがなく、端面が変形することがないので、ウォータージェット切断工程の後に再度端面処理を行う必要はない。
【0017】
本発明のハニカム乾燥体の切断方法では、上記ハニカム乾燥体は、成形助剤及び有機バインダを含有することが望ましい。
ハニカム乾燥体が成形助剤及び有機バインダを含んでいると、ハニカム乾燥体の表面張力が小さくなる。そのため、ウォータージェット切断によって水が触れる場合でも水がはじかれて、セル隔壁内に水が浸透しにくくなる。その結果、ハニカム乾燥体が濡れることがさらに防止される。
また、上記成形助剤は、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、及び、ポリアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが望ましく、上記有機バインダは、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及び、ポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
上記成形助剤及び上記有機バインダがこれらのものであると、成形助剤及び有機バインダを含むことによる効果がよりはっきりと得られる。
【0018】
本発明のハニカム乾燥体の切断方法では、押出成形機からセラミック原料を連続的に押出成形することにより、流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備える未切断のハニカム成形体を作製する成形工程と、
上記未切断のハニカム成形体を乾燥させて未切断のハニカム乾燥体を作製する乾燥工程とを行い、
上記ウォータージェット切断工程において上記未切断のハニカム乾燥体を切断することが望ましい。
【0019】
未切断のハニカム成形体を乾燥させてハニカム乾燥体を作製し、ウォータージェット切断を行うことにより、所定の長さのハニカム乾燥体を1回の切断処理により作製することができる。そのため、ハニカム構造体を製造するための全体の工程を簡略化することができる。
また、特許文献1に記載された方法とは異なり、端面が変形した部分の除去を行わなくてもよいため、材料の損失を低減することができる。
長手方向に所定の長さを有するハニカム焼成体を作製するためには、ハニカム成形体、ハニカム乾燥体、ハニカム焼成体のいずれかに対して切断処理を行うことが考えられるが、ハニカム乾燥体に対して切断処理を行うことが最適である。
ハニカム成形体に対して切断処理を行っても、その後に変形が生じるため、特許文献1に記載されているように乾燥工程後に再度切断処理を行う必要が生じる。
ハニカム焼成体に対して切断処理を行うことを考えると、連続的に押出成形されたハニカム成形体、ハニカム乾燥体を切断せずに、そのまま焼成炉に導入することは困難である。また、セルが封止されたハニカム焼成体を作製する場合は、ハニカム焼成体を切断した後に両端面に対して封止工程を行い、封止部の再焼成を行う必要がある。また、ハニカム焼成体はセラミックが焼結された固い材料であるため、切断に要するエネルギーが大きく、切削具の磨耗も大きくなる。
ハニカム乾燥体に対して切断処理を行う場合は、1回の切断で所定の長さのハニカム乾燥体を得ることができ、切断されたハニカム乾燥体の両端面に対して封止工程を行うことができる。
【0020】
本発明のハニカム乾燥体の切断方法では、上記成形工程、上記乾燥工程及び上記ウォータージェット切断工程を連続的に行い、
上記ウォータージェット切断工程では、上記ウォータージェットの噴射ノズルの移動速度を上記ハニカム乾燥体の移動速度に同期させることにより、上記ハニカム乾燥体を切断することが望ましい。
また、上記成形工程において、上記押出成形機から押出成形されるハニカム成形体の移動速度を速度センサーにより計測し、
上記ウォータージェット切断工程において、上記ハニカム乾燥体が移動する方向と平行な方向へ上記ウォータージェットの噴射ノズルが移動する速度を、上記速度センサーにより計測される移動速度と同一にすることが望ましい。
【0021】
ウォータージェットの噴射ノズルの移動速度を上記ハニカム乾燥体の移動速度に同期させることによって、ハニカム乾燥体の切断面が垂直になるように切断することができる。
また、ハニカム成形体の移動速度を速度センサーにより計測し、ウォータージェットの噴射ノズルが移動する速度を速度センサーにより計測した速度と同一にすることにより、移動速度の同期を行うことができる。
【0022】
本発明のハニカム乾燥体の切断方法では、上記乾燥工程では、高周波誘電乾燥により、上記未切断のハニカム成形体を乾燥させることが望ましい。
【0023】
高周波誘電乾燥は、ハニカム成形体の上方及び下方もしくは右方及び左方に設けられた、相対する電極板の間に電流を流し、高周波エネルギーによってハニカム成形体内の水分子を運動させ、摩擦熱を発生させることによって行われる。
高周波誘電乾燥では、マイクロ波乾燥と同様、物体自体が発熱体となり加熱することができる。一方、高周波は、マイクロ波よりも大きい電力半減深度(照射された電磁波の電力密度が半減する距離)を有している。そのため、ハニカム成形体を内部まで短時間で均一に乾燥させることができる。また、高周波誘電乾燥にすることで、局所加熱が可能なため設備を短くすることができ、簡易的な電磁波シールドを設けるのみで良いため、設備をより簡略化することができる。
【0024】
本発明のハニカム乾燥体の切断方法では、押出成形機からセラミック原料を連続的に押出成形することにより、流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備える未切断のハニカム成形体を作製する成形工程と、
上記未切断のハニカム成形体を上記所定の長さよりも長くなる長さに仮切断する仮切断工程と、
上記仮切断されたハニカム成形体を乾燥させて仮切断されたハニカム乾燥体を作製する乾燥工程とを行い、
上記ウォータージェット切断工程において上記仮切断されたハニカム乾燥体を切断することが望ましい。
【0025】
上記方法でも、特許文献1に記載された方法と異なり、ハニカム乾燥体の切断をウォータージェットを用いて行うため、バリやセラミック粉の詰まりがない綺麗な切断面を得ることができる。
【0026】
本発明のハニカム乾燥体の切断方法では、上記ハニカム乾燥体の水分率は0〜6質量%であることが望ましい。
【0027】
ハニカム乾燥体の水分率が6質量%を超えると、ハニカム乾燥体が形状を保つことが困難となる。特に開口率が75%以上のハニカム成形体を作製する場合にその傾向が顕著である。
【0028】
本発明のハニカム乾燥体の切断方法では、上記ウォータージェットの噴射ノズルと上記ハニカム乾燥体の上面とのなす角度が5〜85°であることが望ましい。
ハニカム乾燥体の長手方向に垂直な断面において最も外側に位置する壁(以下、外周壁とも呼ぶ)は、他のセル隔壁と比較して厚さが厚いことがあり、切断が困難になり易い部位である。
ハニカム乾燥体の外周壁の向きとウォータージェットの向きが平行になると、ウォータージェットが移動する過程で、ウォータージェットが平行な外周壁に当たったときには一度に切断すべき壁の合計厚さが極めて厚くなるため強い切断力が要求されるのに対し、平行な外周壁から外れたときには一度に切断すべき壁の合計厚さが薄く、それほど強い切断力が要求されなくなる。すなわち、ウォータージェットの移動過程において切断すべき壁の厚さ(切断量)の変動が大きくなってしまう。
ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面とのなす角度を上記範囲に定めることによって、ハニカム乾燥体の外周壁の向きとウォータージェットの向きが平行にならないようにすることができるため、切断すべき壁の厚さ(切断量)の変動幅を小さくして、安定した切断を行うことができる。
【0029】
本発明のハニカム乾燥体の切断方法では、上記ウォータージェットの噴射ノズルと上記ハニカム乾燥体の長手方向に垂直な断面における全ての上記セル隔壁とのなす角度が5〜85°であることが望ましい。
ハニカム乾燥体のセル隔壁の向きとウォータージェットの向きが平行になると、ウォータージェットが移動する過程で、ウォータージェットが平行なセル隔壁に当たったときには一度に切断すべき壁の合計厚さが極めて厚くなるため強い切断力が要求されるのに対し、平行なセル隔壁から外れたときには一度に切断すべき壁の合計厚さが薄く、それほど強い切断力が要求されなくなる。すなわち、ウォータージェットの移動過程において切断すべき壁の厚さ(切断量)の変動が大きくなってしまう。
ウォータージェットの噴射ノズルとセル隔壁とのなす角度を上記範囲に定めることによって、ウォータージェットの向きがどのセル隔壁とも平行にならないため、切断すべき壁の厚さ(切断量)の変動幅を小さくして、安定した切断を行うことができる。
【0030】
本発明のハニカム乾燥体の切断方法では、上記ウォータージェットの水圧が200〜400MPaであることが望ましい。
【0031】
ウォータージェットの水圧が200〜400MPaであると、切断面へのバリの発生やセル内へのセラミック粉の詰まりの発生がより効果的に抑制され、よりきれいな切断面が得られる。
【0032】
本発明のハニカム乾燥体の切断方法では、上記ウォータージェット切断工程における切断速度が15〜150mm/秒であることが望ましい。
【0033】
切断速度が上記範囲であると、ハニカム構造体を製造するプロセスの中でウォータージェット切断工程が律速になることがなく、生産効率の妨げにならない点で有効である。
【0034】
本発明のハニカム乾燥体の切断方法では、上記ハニカム乾燥体の開口率は、60〜90%であることが望ましい。
【0035】
本発明のハニカム乾燥体の切断方法では、高い開口率を有するハニカム乾燥体に対しても、ハニカム乾燥体の変形を抑制することができる。
【0036】
本発明のハニカム構造体の製造方法は、流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備えるハニカム焼成体からなるハニカム構造体の製造方法であって、
本発明のハニカム乾燥体の切断方法により得られた所定の長さを有するハニカム乾燥体を焼成することによりハニカム焼成体を作製する焼成工程を含むことを特徴とする。
【0037】
本発明のハニカム乾燥体は、流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備える柱状のハニカム成形体が乾燥されてなるハニカム乾燥体を、ウォータージェットを用いて所定の長さに切断することによって得られることを特徴とする。
【0038】
ウォータージェットを用いて所定の長さに切断されたハニカム乾燥体は、バリやセラミック粉の詰まりがない綺麗な切断面を有するハニカム乾燥体である。
【0039】
本発明のハニカム構造体は、流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備える柱状のハニカム成形体が乾燥されてなるハニカム乾燥体を、ウォータージェットを用いて所定の長さに切断することによって得られた所定の長さを有するハニカム乾燥体を得て、上記所定の長さを有するハニカム乾燥体を焼成することにより得られるハニカム焼成体を有することを特徴とする。
【0040】
ウォータージェットを用いて所定の長さに切断されたハニカム乾燥体は、バリやセラミック粉の詰まりがない綺麗な切断面を有するハニカム乾燥体であるため、上記ハニカム乾燥体を焼成することにより得られるハニカム焼成体を有するハニカム構造体も、バリやセラミック粉の詰まりがない綺麗な切断面を有するハニカム構造体となり、ハニカムフィルタ等の用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法を実施する方法の一例を模式的に示す側面図である。
図2図2は、ハニカム乾燥体の形状の一例を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、本実施形態で用いることができるウォータージェット切断機の噴射ノズル部分の一例を模式的に示す断面図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、ハニカム乾燥体の長手方向に垂直な断面における、ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面及びセル隔壁との角度の関係を模式的に示す断面図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、ハニカム乾燥体の長手方向に垂直な断面における、ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面及びセル隔壁との角度の関係を模式的に示す断面図である。
図6図6は、複数本の噴射ノズルを同時に用いてウォータージェット切断工程を行う場合の例を模式的に示す側面図である。
図7図7(a)は、本実施形態のハニカム構造体の製造方法において製造するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図であり、図7(b)は、図7(a)に示すハニカム焼成体のA−A線断面図である。
図8図8は、本実施形態のハニカム構造体の製造方法において製造するハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
図9図9(a)は実施例1で得られたハニカム乾燥体の切断面の写真であり、図9(b)は比較例1で得られたハニカム乾燥体の切断面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0043】
(第一実施形態)
以下、本発明のハニカム乾燥体の切断方法、及び、本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態である第一実施形態について説明する。
【0044】
本発明の第一実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法では、流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備える柱状のハニカム成形体が乾燥されてなるハニカム乾燥体を、ウォータージェットを用いて所定の長さに切断するウォータージェット切断工程を行う。
また、押出成形機からセラミック原料を連続的に押出成形することにより、流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備える未切断のハニカム成形体を作製する成形工程と、
上記未切断のハニカム成形体を乾燥させて未切断のハニカム乾燥体を作製する乾燥工程とを行い、
上記ウォータージェット切断工程において上記未切断のハニカム乾燥体を切断する。
【0045】
図1は、本発明の第一実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法を実施する方法の一例を模式的に示す側面図である。
本実施形態では、押出成形機、高周波誘電乾燥装置、ウォータージェット切断機、コンベアが組み合わされた成形乾燥切断装置を用いることができる。
成形乾燥切断装置1は、押出成形機50、高周波誘電乾燥装置40、ウォータージェット切断機30、及び、コンベア60を備えている。
また、成形乾燥切断装置1は、押出成形機から押出成形されるハニカム成形体の速度を計測するための速度センサー70を備えている。速度センサー70は、押出成形直後の速度を計測することが望ましい。
【0046】
まず、押出成形機を用いてセラミック原料を連続的に押出成形することによりハニカム成形体を作製する成形工程を行う。
押出成形機50はその先端に金型を備えており、金型の形状に応じて、所定の形状のハニカム成形体10が連続的に押出成形される。
本実施形態で成形されるハニカム成形体は、流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備えるハニカム成形体である。ハニカム成形体の形状は後に詳しく説明するハニカム乾燥体の形状と同様である。
押出成形されたハニカム成形体10はコンベア60の上に載せられてコンベア60の移動方向に沿って押出された方向に向けて移動する。
本実施形態において、押出成形の速度は、特に限定されるものではないが、1〜10m/minであることが望ましく、2〜7m/minであることがより望ましい。
【0047】
ハニカム成形体は、セラミック粉末、有機バインダ、成形助剤、水等を含む湿潤混合物からなるセラミック原料が押出成形されてなり、水分率が10〜25質量%以上と高くなっている。
【0048】
続いて、ハニカム成形体を乾燥させてハニカム乾燥体を作製する乾燥工程を行う。
成形工程と乾燥工程の間に切断工程は行われないので、乾燥工程で得られるハニカム乾燥体は未切断のハニカム乾燥体である。
【0049】
押出成形機50からハニカム成形体10が移動する方向には、高周波誘電乾燥装置40が設けられている。高周波誘電乾燥装置40は、加熱対象物であるハニカム成形体10を挟むように設けられた上側電極41、下側電極42を備えている。
高周波誘電乾燥では、ハニカム成形体を電極で挟んで高周波電圧を印加することにより、ハニカム成形体に含まれる水分子を運動させ、摩擦熱を発生させる。その結果、ハニカム成形体が乾燥されてハニカム乾燥体となる。
【0050】
図1に示す高周波誘電乾燥装置40では、ハニカム成形体10の上下に電極がそれぞれ設けられているが、電極の位置はハニカム成形体の上下に限定されるものではなく、ハニカム成形体を挟むように電極が設けられていればよい。例えばハニカム成形体を側面側(左右側)から挟むように2つ(一対)の電極が設けられていてもよい。
【0051】
図1に示すように、押出成形されたハニカム成形体10は、コンベア60によって、順次連続的に高周波誘電乾燥装置40内を移動する。
なお、高周波誘電乾燥装置40は、ハニカム成形体10から蒸散した水蒸気を乾燥空間の外へ排出する排気手段(図示せず)を備えていることが望ましい。乾燥空間内の湿度雰囲気を一定に保つことができるためである。また、水蒸気を排出する排気手段は、ハニカム乾燥体のセル内に存在する水蒸気を排出するためにウォータージェット切断機30の後に設置されていてもよい。
【0052】
高周波誘電乾燥の周波数としては、13.56MHz、27.12MHz又は40.68MHzが使用できるが、13.56MHzが特に望ましい。周波数が13.56MHzであると、波長が長く、ハニカム成形体を均一に乾燥できるためである。
【0053】
高周波誘電乾燥の出力は、特に限定されるものではないが、0.5〜60kWであることが望ましく、3〜50kWであることがより望ましく、6〜45kWであることが特に望ましい。
高周波誘電乾燥の出力が0.5kW未満であると、ハニカム成形体の乾燥が不充分となり、ハニカム乾燥体の変形が生じやすくなり、成形速度を著しく低くする必要がある。または、乾燥設備を長くする必要があり、全工程短縮の効果を小さくしてしまう。
一方、高周波誘電乾燥の出力が60kWを超えると、ハニカム成形体の水分が急速に蒸発しやすくなる。ハニカム成形体の水分が失われると、有機分が振動し、その結果、温度が高くなりすぎてしまう。そのため、ハニカム成形体が燃えてしまうことがある。
【0054】
高周波誘電乾燥を行う場合、ハニカム成形体の長手方向に沿った電極の長さは、乾燥後のハニカム乾燥体の水分量を低減させる程度、コンベアの移動速度、印加電圧等を考慮して定めることができるが、例えば、0.4〜7.0mであることが望ましく、1.0〜5.0mであることがより望ましい。電極の長さが0.4mより短いと、ハニカム成形体を充分に乾燥するためには、高周波の出力を高くしても、成形速度が遅くなりすぎる。一方、電極の長さが7.0mを超えると、全工程短縮の効果を小さくしてしまう。
【0055】
高周波誘電乾燥装置の電極の枚数は、ハニカム成形体の上下又は左右に1枚ずつでなくてもよく、ハニカム成形体の上下又は左右1枚ずつの電極を1組として、2組以上の電極が設けられていてもよい。
2組以上の電極が設けられている場合、電極の組み合わせごとに印加電圧を変化させることによって、より詳細な乾燥条件を設定することができる。
【0056】
乾燥工程においても、コンベアの移動速度は、押出成形の速度と同一である。
【0057】
電極の形状は板状であることが望ましく、その大きさは限定されるものではないが、例えば、長さ0.4〜7m×幅30〜100mmの長方形状であることが望ましい。
電極の幅は、ハニカム成形体の幅の1〜3倍であることが望ましい。電極の幅がハニカム成形体の幅の1倍未満、及び、3倍を超える場合には、ハニカム乾燥体の乾燥状態が不均一になりやすい。
【0058】
また、電極とハニカム成形体との距離は1〜30mmであることが望ましく、特に、上部電極とハニカム成形体との距離は1〜15mmであることが望ましい。電極とハニカム成形体との距離が1mm未満であると、ハニカム成形体及び電極が接触することにより短絡させてしまう。一方、上記距離が30mmを超えると、出力を高くする必要がある。
【0059】
本実施形態においては、高周波誘電乾燥により乾燥工程を行うことが望ましいが、未切断のハニカム成形体を乾燥させる方法はこれに限定されるものではない。未切断のハニカム成形体を乾燥させる方法としては、高周波誘電乾燥の他、例えば、マイクロ波乾燥、熱風乾燥、又は、凍結乾燥等が挙げられる。これらの乾燥方法は、単独で行ってもよいし、複数種類を組み合わせて行ってもよい。
【0060】
乾燥工程においては、ハニカム乾燥体の水分率が0〜6質量%となるまで乾燥を行うことが望ましく、0〜1質量%となるまで乾燥を行うことがより望ましい。
ここで、「ハニカム乾燥体の水分率」は、乾燥工程直後のハニカム乾燥体の質量と絶乾状態のハニカム乾燥体の質量との差から、乾燥工程直後のハニカム乾燥体の含水量を算出し、この含水量を乾燥工程直後のハニカム乾燥体全体の質量で除することにより算出することができる。また、ハニカム乾燥体の水分率は、加熱乾燥式水分計(エー・アンド・ディ製MX−50)により測定することができる。
ハニカム乾燥体の水分率が6質量%を超えると、ハニカム乾燥体が形状を保つことが困難となる。特に開口率が75%以上のハニカム成形体を作製する場合にその傾向が顕著である。ハニカム乾燥体の水分率を1質量%以下にすると、ウォータージェット切断工程の後で再度、乾燥させる必要がないため、全工程をより短縮することが可能となる。
【0061】
本実施形態において、乾燥時間は、乾燥後のハニカム乾燥体の水分量を低減させる程度、印加電圧等を考慮して定めることができるが、0.5〜5分間であることが望ましく、1〜3分間であることがより望ましい。
乾燥時間が0.5分間未満であると、出力を上げても乾燥が不充分となりやすくなる。一方、乾燥時間が5分間を超えると、乾燥が進行しすぎるため、ハニカム乾燥体に反り又はクラック等が発生しやすくなる。また、全工程が長くなってしまう。
【0062】
本実施形態において、乾燥温度は、80〜130℃であることが望ましく、85〜120℃であることがより望ましい。
乾燥温度が80℃未満であると、乾燥が不充分となりやすくなる。一方、乾燥温度が130℃を超えると、乾燥が急激に進行しすぎるため、ハニカム乾燥体に反り又はクラック等が発生しやすくなる。
【0063】
本実施形態において、押出成形機の金型の先端から未切断のハニカム成形体の乾燥を開始するまでの距離は、0〜300mmであることが望ましい。上記の距離の上限は、200mmであることがより望ましい。また、上記の距離の下限は、10mmであってもよく、30mmであってもよい。
上記の距離が300mmを超えると、未切断のハニカム成形体が変形しやすくなる。特に開口率が75%以上のハニカム成形体を作製する場合にその傾向が顕著である。
【0064】
本実施形態においては、ハニカム成形体及び/又はハニカム乾燥体を押出成形機側が下方になるように角度をつけて乾燥させることが望ましい。つまり、ハニカム成形体及び/又はハニカム乾燥体の押出成形機側が水平面に対して下方に、切断工程側が水平面に対して上方になるように傾いた状態で乾燥させることが望ましい。
ハニカム乾燥体のセル内に存在する乾燥工程で発生した水蒸気をハニカム乾燥体の長手方向の切断工程側の先端から容易に排出することができ、水蒸気がセル内で再び液化することを防ぐことができるためである。
【0065】
上記の場合、ハニカム成形体及び/又はハニカム乾燥体の下面と水平面とのなす角度は、5〜30°であることが望ましい。
上記角度が5°未満では、乾燥工程と切断工程の距離が長い場合には、水蒸気が充分に排出されないことがある。また、上記角度が30°を超えると、ハニカム成形体のコンベアによる搬送速度が遅くなり、成形工程での押出成形の速度との不一致により、ハニカム乾燥体に歪みが生じやすくなる。
【0066】
本発明のハニカム乾燥体の切断方法で切断する対象物であるハニカム乾燥体の形状の例について、図面を用いて以下に説明する。
図2は、ハニカム乾燥体の形状の一例を模式的に示す斜視図である。
図2に示すハニカム乾燥体20は、未切断のハニカム乾燥体であり、複数のセル21がセル隔壁22を隔てて長手方向(図2中、矢印fの方向)に並設されるとともに、その周囲に外周壁23が形成されている。ハニカム乾燥体20においては、セル21の端部は封止されていない。
図2には、ハニカム乾燥体が未切断のハニカム乾燥体であることを示すために、一方の端部を省略して示している。
【0067】
ハニカム乾燥体の組成は、ハニカム成形体の組成と同様であり、セラミック粉末、有機バインダ、成形助剤、水等を含むことが望ましいが、水が乾燥工程によって除かれてその水分率が0〜6質量%となっていることが望ましい。
【0068】
セラミック粉末としては、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック、ケイ素含有炭化ケイ素等が挙げられる。これらのなかでは、炭化ケイ素、または、ケイ素含有炭化ケイ素が好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導性等に優れるからである。
なお、ケイ素含有炭化ケイ素は、炭化ケイ素に金属ケイ素が配合されたものであり、炭化ケイ素を60wt%以上含むケイ素含有炭化ケイ素が好ましい。
【0069】
有機バインダとしては特に限定されないが、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及び、ポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。これらのなかでは、メチルセルロースがとくに望ましい。有機バインダの配合量は、通常、セラミック粉末100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。
【0070】
成形助剤としては特に限定されないが、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、及び、ポリアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
【0071】
ハニカム乾燥体には、可塑剤や潤滑剤が含まれていてもよく、可塑剤としては、特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。また、潤滑剤は特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。
さらに、ハニカム乾燥体には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤が添加されていてもよい。
【0072】
ハニカム乾燥体が有機バインダや成形助剤といった有機物を含んでいると、ハニカム乾燥体の表面の表面張力が小さいため、ウォータージェット切断工程において水がはじかれて、セル隔壁に水が浸透しにくくなるため好ましい。
また、ハニカム乾燥体は焼成されていないため、多孔質体となっていない。そのため、セル隔壁に連通する気孔を含んでおらず、ウォータージェット切断工程においてセル隔壁に水が浸透しにくい。
そのため、ウォータージェット切断工程により切断されたハニカム乾燥体の水分率は未切断のハニカム乾燥体の水分率とほぼ同じ値を保つことが可能である。
【0073】
ハニカム乾燥体の形状は、図2に示すような四角柱形状に限定されるものではなく、他の多角柱形状、楕円柱、断面台形状、断面扇形状等の形状であってもよい。
また、セル形状も断面正方形状に限定されるものではなく、四角形、五角形、六角形、八角形等の他の多角形状でもよく、円形、楕円形状でもよい。また、複数種類の形状のセルが1つのハニカム乾燥体に含まれていてもよく、例えば、正方形状のセルと八角形状のセルの組み合わせが挙げられる。
【0074】
以下、上記ハニカム乾燥体をウォータージェットを用いて所定の長さに切断するウォータージェット切断工程について説明する。
乾燥工程を経た未切断のハニカム乾燥体はウォータージェット切断機によって所定の長さに切断される。
【0075】
ウォータージェット切断機は、高圧水の衝撃力により粉砕切断を行うことのできる装置であり、その先端にある噴射ノズルから高圧水が噴出される。
図3は、本実施形態で用いることができるウォータージェット切断機の噴射ノズル部分の一例を模式的に示す断面図である。
図3は、ウォータージェット切断機の噴射ノズル31を模式的に示しており、高圧水導入口32、ウォーターノズル33、下部ノズル34、空気/研磨材導入口35を示している。
高圧水は高圧水導入口32から導入され、ウォーターノズル33を経て下部ノズル34から噴出される。空気/研磨材導入口35からは空気又は研磨材が導入されてもよい。研磨材は、切断対象物が硬い場合に用いると有効であり、研磨材としてはガーネット等を用いることができる。
噴射ノズルから噴出される水の水圧は200〜400MPaであることが望ましい。また、噴出される水の流速は600〜900m/秒であることが望ましい。
【0076】
ウォータージェット切断機の噴射ノズルは、水を噴出しながら、ハニカム乾燥体の長手方向と垂直な断面を横切る方向(図1において紙面の手前側から奥側(又は奥側から手前側)の方向)に移動して、ハニカム乾燥体の長手方向と垂直な方向にハニカム乾燥体を切断する。そして、長手方向に所定の長さを有するハニカム乾燥体を得ることができる。
なお、ウォータージェット切断機には、噴射ノズルの位置を移動させることができる図示しない駆動機構が設けられている。
【0077】
ウォータージェット切断工程における切断速度は15〜150mm/秒であることが望ましい。噴射ノズルの移動速度を調整することによって切断速度を調整することができる。
【0078】
図1に示すような、コンベアを備えた成形乾燥切断装置を用いて、成形工程、乾燥工程及びウォータージェット切断工程を連続的に行う場合、ウォータージェット切断工程を行う際にコンベアが駆動しており、ハニカム乾燥体がコンベアの移動速度で移動していることとなる。
この場合、ウォータージェット切断機の噴射ノズルを移動させる方向として、コンベアの駆動方向と同じ方向への移動を加えて、噴射ノズルの移動速度をコンベアの移動速度、すなわちハニカム乾燥体の移動速度に同期させることが望ましい。このように切断することにより、ハニカム乾燥体の切断面が垂直になるようにすることができる。
この際、成形工程において、押出成形機から押出成形されるハニカム成形体の移動速度を速度センサーにより計測し、ウォータージェット切断工程において、ハニカム乾燥体が移動する方向と平行な方向へウォータージェット切断機の噴射ノズルが移動する速度を、速度センサーにより計測される移動速度と同一にすることにより、移動速度の同期を正確に行うことができる。
【0079】
また、成形工程、乾燥工程及びウォータージェット切断工程は連続的に行わなくてもよく、ウォータージェット切断工程を行う直前にコンベアの駆動を停止して、ウォータージェット切断機の噴射ノズルをコンベアの駆動方向に垂直な方向に移動させて、ハニカム乾燥体の切断面が垂直になるようにウォータージェット切断工程を行ってもよい。
【0080】
本実施形態のハニカム乾燥体の切断方法において、ウォータージェット切断工程の開始から終了までにわたって、ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面とのなす角度は、5〜85°であることが望ましい。より望ましくは15〜75°であり、さらに望ましくは30〜60°である。
また、ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の長手方向に垂直な断面における全てのセル隔壁とのなす角度は、5〜85°であることが望ましい。より望ましくは15〜75°であり、さらに望ましくは30〜60°である。
ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面及びセル隔壁との角度が5〜85°の範囲に定められているということは、ウォータージェットの水流の向きがハニカム乾燥体の外周壁の向き及びセル隔壁の向きと平行にはならず、少なくとも5°以上傾いていることを意味する。
ウォータージェットの水流の向きがハニカム乾燥体の外周壁の向き及びセル隔壁の向きと傾いていることによって、一度に切断すべき壁の合計厚さ(切断量)の変動幅を小さくして、安定した切断を行うことができる。断面が正方形のハニカム乾燥体でありセル形状が正方形の時、上記角度を45°にすると、ハニカム乾燥体のセル隔壁の最大の累積切断量を最も減らすことが出来る。一方で、上記角度を15〜30°もしくは60〜75°程度にすることで、累積切断量を減らすと共に、最大切断深さも深くならないため、ウォータージェットがハニカム乾燥体の切断範囲において広がりすぎず、平面度の高い切断面を得ることができる。
累積切断量とは、セル隔壁の厚さ×cosθ×通過するセル隔壁数であり、最大の切断深さとは、ハニカム乾燥体1辺の長さ/sinθとなる。(θはウォータージェットの噴射ノズルとセル隔壁とのなす角度である)
【0081】
ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面とのなす角度は、ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面とのなす角度のうちハニカム乾燥体の側にあって小さいほうの角度として定められる。ハニカム乾燥体の上面とは、ハニカム乾燥体にウォータージェットが当たる面を意味する。
また、ウォータージェットの噴射ノズルとセル隔壁とのなす角度は、ウォータージェットの噴射ノズルとセル隔壁とのなす角度のうち小さいほうの角度として定められる。セル隔壁の向きは、ハニカム乾燥体の長手方向に垂直な断面における、セルに対して同じ位置関係にあるセル隔壁の繰り返し構造を繋いでなる直線の示す向きである。
【0082】
以下、図面に基づき、ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面とのなす角度、及び、ウォータージェットの噴射ノズルとセル隔壁とのなす角度に関する説明を行う。
図4(a)及び図4(b)は、ハニカム乾燥体の長手方向に垂直な断面における、ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面及びセル隔壁との角度の関係を模式的に示す断面図である。
図4(a)及び図4(b)には、ハニカム乾燥体のセル形状の一例として、断面正方形状のセルが並んでいる場合を示しており、ウォータージェットの噴射ノズル31が図4(a)に示す位置から図4(b)に示す位置に向かって動く様子を示している。
図4(a)及び図4(b)では、ウォータージェットの噴射ノズル31の方向に沿って噴射されるウォータージェットの向きを線Lで示している。
ハニカム乾燥体の上面とは、ハニカム乾燥体にウォータージェットが当たる面を意味する。図4(a)に示す位置では面24、図4(b)に示す位置では面25がハニカム乾燥体20の上面である。
【0083】
ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面とのなす角度は、図4(a)では線Lと面24とのなす角度のうち、α1で表される角度であり、図4(b)では線Lと面25とのなす角度のうち、α2で表される角度である。
図4(a)及び図4(b)におけるα1、α2はいずれも45°である。
【0084】
セル隔壁の向きは、ハニカム乾燥体の長手方向に垂直な断面における、セルに対して同じ位置関係にあるセル隔壁の繰り返し構造を繋いでなる直線の示す向きである。
図4(a)及び図4(b)では線m1、線m2がそれぞれセル隔壁22の向きを示している。
【0085】
ウォータージェットの噴射ノズルとセル隔壁とのなす角度は、図4(a)及び図4(b)では線Lと線m1とのなす角度のうちθ1で表される角度、及び、線Lと線m2とのなす角度のうちθ2で表される角度である。
図4(a)及び図4(b)におけるθ1、θ2はいずれも45°である。
累積切断量とは、セル隔壁の厚さ×cosθ1(又はθ2)×通過するセル隔壁数であり、最大の切断深さとは、ハニカム乾燥体1辺の長さ/sinθ1(又はθ2)となる。
【0086】
ハニカム乾燥体の長手方向に垂直な断面においてセル形状が複数種類含まれる場合のウォータージェットの噴射ノズルとセル隔壁とのなす角度の定め方の例について以下に説明する。
図5(a)及び図5(b)は、ハニカム乾燥体の長手方向に垂直な断面における、ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面及びセル隔壁との角度の関係を模式的に示す断面図である。
図5(a)及び図5(b)に示すハニカム乾燥体120では、断面八角形状の大容量セル121aと断面正方形状の小容量セル121bが並んでいる。
図5(a)及び図5(b)には、ウォータージェットの噴射ノズルが図5(a)に示す位置から図5(b)に示す位置に向かって動く様子を示している。
【0087】
図5(a)及び図5(b)において、ウォータージェットの噴射ノズル31の方向に沿って噴射されるウォータージェットの向きである線L、ハニカム乾燥体120の上面124、125、及び、ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面とのなす角度α1、α2の定義は図4(a)及び図4(b)で示す線L、ハニカム乾燥体20の上面24、25及び角度α1、α2の定義と同様である。
図5(a)及び図5(b)におけるα1は60°α2は30°である。
【0088】
図5(a)及び図5(b)に示す例のように、ウォータージェット切断工程において、ハニカム乾燥体にウォータージェットが当たる面が切り替わる際にウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面とのなす角度が変化してもよい。
【0089】
図5(a)及び図5(b)において、セル隔壁の向きは、断面八角形状の大容量セル121aと断面正方形状の小容量セル121bの間を隔てるセル隔壁122aの向きであるm1、m2、及び、断面八角形状の大容量セル121a同士の間を隔てるセル隔壁122bの向きであるm3、m4で示される。
ウォータージェットの噴射ノズルとセル隔壁とのなす角度は、ウォータージェットの噴射ノズルとセル隔壁とのなす角度のうち小さいほうの角度として定められるので、ウォータージェットの噴射ノズルとセル隔壁とのなす角度は、図5(a)及び図5(b)では線Lと線m1とのなす角度のうちθ1で表される角度、線Lと線m2とのなす角度のうちθ2で表される角度、線Lと線m3とのなす角度のうちθ3で表される角度、及び、線Lと線m4とのなす角度のうちθ4で表される角度である。
図5(a)及び図5(b)におけるθ1は60°、θ2は30°、θ3は15°、θ4は75°である。
【0090】
ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面とのなす角度、及び、ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の長手方向に垂直な断面における全てのセル隔壁とのなす角度を調整するための方法の例としては、地面に対し略平行な面を備えるコンベア上で四角柱状のハニカム乾燥体を搬送し、ウォータージェット切断機の噴射ノズルを地面に対して垂直な方向から所定の角度傾ける方法等が挙げられる。
【0091】
ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面との距離は、1〜10mmであることが望ましい。ウォータージェットはノズルからの距離が遠くなるほど広がり易くなるため、上記の距離を1〜10mmとすることで、ハニカム乾燥体の切断面の平面度を高くすることができる。
【0092】
ウォータージェット切断工程において、複数本の噴射ノズルを同時に用いて、複数本のハニカム乾燥体を1回の切断動作で得るようにしてもよい。
例えば、所定の長さのハニカム乾燥体2本分の長さを有する未切断のハニカム乾燥体を得たのち、ウォータージェット切断工程で2箇所の切断を同時に行うことができる。
図6は、複数本の噴射ノズルを同時に用いてウォータージェット切断工程を行う場合の例を模式的に示す側面図である。
図6に示す成形乾燥切断装置2は、ウォータージェット切断機30a、30bを備えている。
そして、未切断のハニカム乾燥体20の長さが所定の長さの2本分に到達した時点で、2箇所のウォータージェット切断機30a、30bを同時に動作させてハニカム乾燥体20aの前後でウォータージェット切断を行うことにより、切断されたハニカム乾燥体20a、20bを同時に得ることができる。
また、ハニカム乾燥体の1箇所の切断面に対して、複数本の噴射ノズルを用いてもよい。この場合、1本のノズルから噴射されるウォータージェットにより切断する切断長さを短くすることができるため、切断時間を短縮することが可能となる。特に、噴射ノズルを傾けた場合は、部分的に切断長さが異なるため、その効果が顕著となる。
複数本の噴射ノズルを用いる場合、ウォータージェットの水流が干渉しないように噴射ノズルの向きを定めることが望ましい。
【0093】
本実施形態のハニカム乾燥体の切断方法により得られた切断後のハニカム乾燥体は、平面度に優れており、ウォータージェット切断により得られた切断面の平面度を0.2mm以下とすることができる。平面度は、3次元測定機(例えば、ミツトヨ社製、BH−V507)を用いて測定することができる。もしくは、ウォータージェット切断により得られた切断面に平板を押し当て、その面から切断面までの距離を9点測定し、その値を元に仮想的な最小自乗平面を求めて、その仮想平面と各測定点との距離の最大と最小の差を求めることで算出することもできる。
【0094】
また、本発明のハニカム乾燥体の切断方法により得られた切断後のハニカム乾燥体は、セラミック粉がセルに詰まることがほとんどなく、ハニカム乾燥体の切断面のセル詰まり率を5%以下とすることができる。
セル詰まり率は、切断面の電子顕微鏡(SEM)写真を、画像処理にて二値化し、セル開口部のみの面積を算出し、セル詰まりがないハニカム乾燥体の切断面の同様の二値化画像のセル開口部のみの面積から除することで求められる。
【0095】
また、本実施形態のハニカム乾燥体の切断方法により得られた切断後のハニカム乾燥体の開口率は60〜90%であることが望ましく、70〜90%であることがより望ましい。
ここで、「ハニカム乾燥体の開口率」とは、端面の開口面積を端面全体の面積で除することにより開口面積比を算出し、この開口面積比を100で乗ずることにより算出することができる。
ハニカム乾燥体のセル隔壁の厚さは、0.07〜0.46mmであることが望ましく、0.10〜0.26mmであることがより望ましく、0.10〜0.21mmであることがさらに望ましい。
上記厚さのセル隔壁は、排ガス中のPMを捕集するのに充分な厚さを有するとともに、圧力損失の増加を効果的に抑制することができる。
上記セル隔壁の厚さが0.07mm未満では、セル隔壁の厚さが薄くなりすぎるため、ハニカム構造体の機械的強度が低下する。一方、セル隔壁の厚さが0.46mmを超えると、セル隔壁が厚くなりすぎるため、排ガスがセル隔壁を通過する際の圧力損失が大きくなる。
【0096】
以下、本実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法により得られた所定の長さを有するハニカム乾燥体を用いてハニカム構造体を製造する方法である、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法について説明する。
【0097】
(1)所定の長さを有するハニカム乾燥体を得た後、ハニカム乾燥体の所定のセルに封止材となる封止材ペーストを充填して上記セルを目封止する目封止工程を行う。ここで、封止材ペーストとしては、ハニカム成形体の作製に用いた湿潤混合物を用いることができる。
なお、触媒担持体として用いるハニカム構造体を製造する場合、目封止工程は行わなくてもよい。
【0098】
(2)ハニカム乾燥体を脱脂炉中、300〜650℃に加熱し、ハニカム乾燥体中の有機物を除去する脱脂工程を行った後、脱脂されたハニカム乾燥体を焼成炉に搬送し、2000〜2200℃に加熱する焼成工程を行うことにより、ハニカム焼成体を作製する。
なお、セルの端部に充填された封止材ペーストは、焼成され、封止材となる。
また、目封止工程、脱脂工程および焼成工程の条件は、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
【0099】
図7(a)は、本実施形態のハニカム構造体の製造方法において製造するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図であり、図7(b)は、図7(a)に示すハニカム焼成体のA−A線断面図である。
図7(a)及び図7(b)に示すハニカム焼成体110の形状は、上述したハニカム乾燥体の形状とほぼ同様であり、多数のセル111がセル隔壁112を隔てて長手方向(図7(a)中、矢印gの方向)に並設されるとともに、その周囲に外周壁113が形成されている。そして、セル111のいずれかの端部は、封止材114で封止されている。
従って、一方の端面が開口したセル111に流入した排ガスG(図7(b)中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、必ずセル111を隔てるセル隔壁112を通過した後、他方の端面が開口した他のセル111から流出するようになっている。排ガスGがセル隔壁112を通過する際に、排ガス中のPM等が捕集されるため、セル隔壁112は、フィルタとして機能する。
【0100】
このように、セルのいずれか一方の端部が封止されたハニカム焼成体を含むハニカム構造体は、セラミックフィルタとして好適に使用することができる。
また、セルのいずれの端部も封止されていないハニカム焼成体を含むハニカム構造体は、触媒担持体として好適に使用することができる。
【0101】
(3)支持台上で複数個のハニカム焼成体を接着材ペーストを介して順次積み上げて結束する結束工程を行い、ハニカム焼成体が複数個積み上げられてなるハニカム集合体を作製する。
接着材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機粒子とからなるものを使用する。また、上記接着材ペーストは、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
【0102】
上記接着材ペーストに含まれる無機粒子としては、例えば、炭化物粒子、窒化物粒子等が挙げられる。具体的には、炭化ケイ素粒子、窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機粒子の中では、熱伝導性に優れる炭化ケイ素粒子が望ましい。
【0103】
上記接着材ペーストに含まれる無機繊維及び/又はウィスカとしては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等からなる無機繊維及び/又はウィスカ等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機繊維の中では、アルミナファイバが望ましい。また、無機繊維は、生体溶解性ファイバであってもよい。
【0104】
さらに、上記接着材ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等を添加してもよい。バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。
【0105】
(4)ハニカム集合体を加熱することにより接着材ペーストを加熱固化して接着材層とし、四角柱状のセラミックブロックを作製する。
接着材ペーストの加熱固化の条件は、従来からハニカム構造体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
【0106】
(5)セラミックブロックに切削加工を施す切削加工工程を行う。
具体的には、ダイヤモンドカッターを用いてセラミックブロックの外周を切削することにより、外周が略円柱状に加工されたセラミックブロックを作製する。
【0107】
(6)略円柱状のセラミックブロックの外周面に、外周コート材ペーストを塗布し、乾燥固化して外周コート層を形成する外周コート層形成工程を行う。
ここで、外周コート材ペーストとしては、上記接着材ペーストを使用することができる。なお、外周コート材ペーストとして、上記接着材ペーストと異なる組成のペーストを使用してもよい。
なお、外周コート層は必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設ければよい。
外周コート層を設けることによって、セラミックブロックの外周の形状を整えて、円柱状のハニカム構造体とすることができる。
【0108】
図8は、本実施形態のハニカム構造体の製造方法において製造するハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
図8に示すハニカム構造体100では、ハニカム焼成体110が複数個ずつ接着材層101を介して結束されてセラミックブロック103を構成し、さらに、このセラミックブロック103の外周に外周コート層102が形成されている。なお、外周コート層は、必要に応じて形成されていればよい。このような、ハニカム焼成体が複数個結束されてなるハニカム構造体は、集合型ハニカム構造体ともいう。
【0109】
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において製造するハニカム構造体は、1つのハニカム焼結体からなるハニカム構造体であってもよい。このような、1つのハニカム焼結体からなるハニカム構造体は、一体型ハニカム構造体ともいう。一体型ハニカム構造体を製造する場合、セラミック粉末としてコージェライト又はチタン酸アルミニウムを用いることが望ましい。
【0110】
一体型ハニカム構造体を製造する場合には、押出成形により成形するハニカム成形体の大きさが、集合型ハニカム構造体を製造する場合に比べて大きく、その外形が異なる他は、集合型ハニカム構造体を製造する場合と同様にしてハニカム成形体を作製すればよい。
【0111】
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において、製造するハニカム構造体を構成するハニカム焼結体のセル壁には、排ガスを浄化するための触媒を担持させてもよい。
担持させる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が望ましい。また、その他の触媒として、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属、ゼオライト等を用いることもできる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0112】
以下、本実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法、及び、ハニカム構造体の製造方法の作用効果について列挙する。
(1)本実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法では、ハニカム乾燥体をウォータージェットを用いて所定の長さに切断することによって、端面にバリがほとんど生じておらず、また、セラミック粉がセル内にほとんど詰まっていないハニカム乾燥体を得ることができる。
そのため、切断後にバリの除去やセル内のセラミック粉の除去を行う必要がなく、ハニカム構造体の製造工程を大きく簡略化することができる。
【0113】
(2)本実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法では、未切断のハニカム成形体を乾燥させてハニカム乾燥体を作製し、ウォータージェット切断を行うことにより、所定の長さのハニカム乾燥体を1回の切断処理により作製することができる。そのため、ハニカム構造体を製造するための全体の工程を簡略化することができる。また、端面が変形した部分の除去を行わなくてもよいため、材料の損失を低減することができる。
【0114】
(3)本実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法では、上記成形工程、上記乾燥工程及び上記ウォータージェット切断工程を連続的に行い、上記ウォータージェット切断工程では、上記ウォータージェットの噴射ノズルの移動速度を上記ハニカム乾燥体の移動速度に同期させることにより、上記ハニカム乾燥体を切断することができる。
このようにすることで、ハニカム乾燥体の切断面が垂直になるように切断することができる。
【0115】
(4)本実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法では、乾燥工程において高周波誘電乾燥により、上記未切断のハニカム成形体を乾燥させることができる。高周波誘電乾燥により、ハニカム成形体を内部まで短時間で均一に乾燥させることができる。
【0116】
(5)本実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法では、上記ウォータージェットの噴射ノズルと上記ハニカム乾燥体の上面とのなす角度を5〜85°とすることができる。また、上記ウォータージェットの噴射ノズルと上記ハニカム乾燥体の長手方向に垂直な断面における全ての上記セル隔壁とのなす角度を5〜85°とすることができる。
このようにすると、ウォータージェット切断工程における、一度に切断すべき壁の厚さ(切断量)の変動幅を小さくして、安定した切断を行うことができる。
【0117】
(6)本実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法では、ウォータージェットの水圧を200〜400MPaとすることができる。水圧をこのように定めると、切断面へのバリの発生やセル内へのセラミック粉の詰まりの発生がより効果的に抑制され、よりきれいな切断面が得られる。
【0118】
(7)本実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法では、ウォータージェット切断工程における切断速度を15〜150mm/秒とすることができる。切断速度が上記範囲であると、ハニカム構造体を製造するプロセスの中でウォータージェット切断工程が律速になることがなく、生産効率の妨げにならない点で有効である。
【0119】
(8)本実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法で切断するハニカム乾燥体の開口率は、60〜90%とすることができる。本実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法では、高い開口率を有するハニカム乾燥体に対しても、ハニカム乾燥体の変形を抑制することができる点で有効である。
【0120】
(9)本実施形態に係るハニカム構造体の製造方法では、本実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法を用いることができる。そのため、ハニカム構造体の製造工程を大きく簡略化してハニカム構造体を製造することができる。
【0121】
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0122】
(実施例1)
平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末54.8重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末23.5重量%とを混合し、得られた混合物に対して、有機バインダ(メチルセルロース)4.4重量%、潤滑剤(日油(株)製 ユニルーブ)2.6重量%、グリセリン1.2重量%、及び、水13.5重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た後、押出成形機から連続的に押出成形する成形工程を行った。
本工程では、図2に示したハニカム乾燥体20と同様の形状の未切断のハニカム成形体を作製した。
セル隔壁の厚さは0.40mm(16mil)、セル密度は200個/inchとした。
成形速度は0.1m/分とした。
【0123】
次いで、押出成形機の金型から30mmの地点から設置された高周波誘電乾燥装置を用いて、未切断のハニカム成形体を乾燥させて、未切断のハニカム乾燥体を作製した。
高周波誘電加熱の出力は0.3kW、周波数は13.56MHz、電極の長さは150mmとした。
【0124】
続いて、ウォータージェット切断機を用いてハニカム乾燥体を切断し、切断されたハニカム乾燥体を作製した。
ウォータージェット切断機のウォーターノズル径を0.2mm、下部ノズル径を0.5mm、水圧を300MPaとし、切断速度は19.1mm/s、噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面との角度を45°、噴射ノズルの先端とハニカム乾燥体の上面との距離を1mmとした。
【0125】
以後、セルの端部が図7(a)に示す位置で目封止されるようにセルの目封止を行った。
なお、上記湿潤混合物を封止材ペーストとして使用した。セルの目封止を行った後、封止材ペーストを充填したハニカム乾燥体を乾燥機を用いて乾燥させた。
【0126】
続いて、セルの目封止を行ったハニカム乾燥体を400℃で脱脂する脱脂処理を行い、さらに、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成処理を行った。
これにより、ハニカム焼成体を作製した。
作製したハニカム焼成体は、気孔率が42%、平均気孔径が11μm、大きさが34.3mm×34.3mm×150mm、セルの数(セル密度)が200 個/inch、開口率が60%、セル隔壁の厚さが0.40mm(16mil)の炭化ケイ素焼結体からなるハニカム焼成体であった。
【0127】
続いて、平均繊維長20μmのアルミナファイバ30重量%、平均粒子径0.6μmの炭化ケイ素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む耐熱性の接着材ペーストを用いてハニカム焼成体を多数結束させ、さらに、接着材ペーストを120℃で乾燥固化させて接着材層を形成して角柱状のセラミックブロックを作製した。
【0128】
続いて、角柱状のセラミックブロックの外周をダイヤモンドカッターを用いて切断することにより略円柱状のセラミックブロックを作製した。
【0129】
続いて、接着材ペーストと同様の組成からなるシール材ペーストをセラミックブロックの外周面に塗布し、シール材ペーストを120℃で乾燥固化させて外周コート層を形成することにより、円柱状のハニカム構造体の製造を完了した。
ハニカム構造体の直径は143.8mm、長手方向の長さは150mmであった。
【0130】
(実施例2〜9)
ウォータージェット切断の切断条件を、実施例1の切断条件から表1に示すように変更したほかは実施例1と同様にしてハニカム乾燥体の切断を行った。その他の工程の条件も実施例1と同様にしてハニカム構造体の製造を行った。
表1に示す「ノズル角度」は噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面との角度である。噴射ノズルの移動に伴いウォータージェットが当たる上面が変わってノズル角度が変化する場合、角度の小さいほうの値を表1に示した。実施例2〜9におけるハニカム乾燥体の形状は断面正方形の角柱形状であるので、例えば、実施例2であれば、ノズル角度は30°又は60°となるが、表1には小さいほうの角度である30°を示している。
表1に示す「ノズル距離」は噴射ノズルの先端とハニカム乾燥体の上面との距離である。
実施例2〜9の全てにおいて、ウォータージェット切断機の下部ノズル径は0.5mm、水圧は300MPaである。
【0131】
(比較例1)
実施例1の工程と同様に成形工程を行ったのち、未切断のハニカム成形体をワイヤーにより切断して切断されたハニカム成形体を作製した。その後、マイクロ波乾燥機を用いてハニカム成形体を乾燥して、ハニカム乾燥体を作製した。
続いて、特許文献1に記載された方法を参考にして、ハニカム乾燥体の端部を切断ディスク(ブレード)を用いて切断した。具体的には、直径が205mm、厚さが1.2mmのダイヤモンドカッターを用いて、切断ディスクの周速度4300m/minの条件で切断を行った。
【0132】
(切断面の評価)
実施例1及び比較例1で作製した、切断されたハニカム乾燥体の切断面の写真を撮影して、セル詰まり率を算出した。
図9(a)は実施例1で得られたハニカム乾燥体の切断面の写真であり、図9(b)は比較例1で得られたハニカム乾燥体の切断面の写真である。
写真から明らかなように、実施例1で得られた、ウォータージェット切断で切断された切断面にはセラミック粉の詰まりが全くなく、きれいな断面となっていた。一方、比較例1で得られた、ブレード切断で切断された切断面には、セル内へのセラミック粉の詰まり及びバリが観察された。
また、セル詰まり率を算出したところ、実施例1のハニカム乾燥体の切断面のセル詰まり率は0%であり、比較例1のハニカム乾燥体の切断面のセル詰まり率は50.7%であった。
同様に、実施例2〜9のセル詰まり率の測定結果を表1に記載する。
【0133】
(水濡れの評価)
実施例1〜9における水濡れ量を、ハニカム乾燥体の切断直後の重量と、完全に乾燥させた時の重量の差で評価した。結果を表1に記載する。実施例1〜9の全てにおいて、水濡れ量は0.97〜2.32gであった。1日間の自然放置による吸水での重量増加が1.0g程度であることを考慮すると、実施例1〜9の水濡れ量は非常に小さい値であるといえる。
【0134】
(平面度の評価)
実施例1及び比較例1で作製したハニカム乾燥体の側面の平面度を3次元測定機(ミツトヨ社製、BH−V507)を用いて測定した。
その結果、実施例1のハニカム乾燥体の切断面の平面度は0.12mm、比較例1のハニカム乾燥体の切断面の平面度は0.17mmであり、ウォータージェット切断により得られた実施例1のハニカム乾燥体の切断面の平面度が優れていた。同様に、実施例2〜9の平面度の測定結果を表1に記載する。
【0135】
【表1】
【0136】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法、及び、ハニカム構造体の製造方法について説明する。
本発明の第二実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法は、押出成形機からセラミック原料を連続的に押出成形することにより、流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備える未切断のハニカム成形体を作製する成形工程と、
上記未切断のハニカム成形体を上記所定の長さよりも長くなる長さに仮切断する仮切断工程と、
上記仮切断されたハニカム成形体を乾燥させて仮切断されたハニカム乾燥体を作製する乾燥工程とを行い、
上記ウォータージェット切断工程において上記仮切断されたハニカム乾燥体を切断する。
【0137】
本実施形態では、成形工程の後、乾燥工程を行う前に仮切断工程を行い、仮切断されたハニカム成形体を得る。
本実施形態における成形工程は、第一実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法における成形工程と同様にすることができ、未切断のハニカム成形体を得ることができる。
【0138】
続いて、未切断のハニカム成形体を仮切断する。
仮切断の方法としては、切断部材としてワイヤー(金属線又は樹脂被覆された金属線)等を用いた切断等の方法が挙げられる。
仮切断工程では、最終的に得るハニカム乾燥体の長手方向の長さ(所定の長さ)よりも長くなるようにハニカム成形体を切断して、仮切断されたハニカム成形体を得る。
仮切断工程では、切断部材の移動速度をハニカム成形体の移動速度に同期させることにより、仮切断を行ってもよい。
また、押出成形機から押出成形されるハニカム成形体の移動速度を速度センサーにより計測し、
上記ハニカム成形体が移動する方向と平行な方向へ切断部材が移動する速度を、上記速度センサーにより計測される移動速度と同一にするようにしてもよい。
【0139】
続いて、仮切断されたハニカム成形体を乾燥させて、仮切断されたハニカム乾燥体を作製する乾燥工程を行う。
乾燥の方法としては、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いた乾燥方法を用いることができる。
【0140】
続いて、仮切断されたハニカム乾燥体をウォータージェット切断により所定の長さに切断する。
本実施形態においては、仮切断されたハニカム乾燥体の両端をウォータージェット切断により切断して、所定の長さに調整することが望ましい。
このようにすることで、バリやセラミック粉の詰まりがない綺麗な切断面を有する所定の長さのハニカム乾燥体を得ることができる。
ウォータージェット切断工程の条件(切断速度、水圧、噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面とのなす角度、噴射ノズルとハニカム乾燥体の長手方向に垂直な断面における全ての上記セル隔壁とのなす角度等)は、第一実施形態と同様にすることができる。
【0141】
また、本実施形態においては、仮切断されたハニカム乾燥体を所定の位置に固定しておき、その両端を切断することが望ましい。また、ウォータージェット切断機を2台用いて、仮切断されたハニカム乾燥体の両端を同時に切断するようにすると、所定の長さを有するハニカム乾燥体を効率よく得ることができる。
【0142】
本発明の第二実施形態に係るハニカム構造体の製造方法は、ハニカム構造体の製造に用いる所定の長さを有するハニカム乾燥体が本発明の第二実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法により切断されたハニカム乾燥体である他は、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体の製造方法と同様にすることができるので、その詳細な説明を省略する。
【0143】
以下、本実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法、及び、ハニカム構造体の製造方法の作用効果について列挙する。
本発明の第二実施形態に係るハニカム乾燥体の切断方法では、未切断のハニカム成形体を上記所定の長さよりも長くなる長さに仮切断する仮切断工程と、上記仮切断されたハニカム成形体を乾燥させて仮切断されたハニカム乾燥体を作製する乾燥工程とを行い、上記ウォータージェット切断工程において上記仮切断されたハニカム乾燥体を切断する。
このような方法でも、ハニカム乾燥体を所定の長さに切断する方法がウォータージェット切断であるため、バリやセラミック粉の詰まりがない綺麗な切断面を有するハニカム乾燥体を得ることができる。
そして、本発明の第二実施形態では、第一実施形態に記載した(1)、(5)〜(9)の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0144】
10 ハニカム成形体
20、20a、20b、120 ハニカム乾燥体
21、111、121a、121b セル
22、112、122a、122b セル隔壁
24、25、124、125 ハニカム乾燥体の上面
30、30a、30b ウォータージェット切断機
31 噴射ノズル
40 高周波誘電乾燥装置
50 押出成形機
70 速度センサー
100 ハニカム構造体
110 ハニカム焼成体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9