(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸込みユニットは、2次的に吸込みを行って前記検診対象物が前記フィルターに着床した後に下降して前記フィルターを前記容器の入口から引き離した後にさらに吸込みを行って前記フィルターに載置された溶液及び検査に邪魔になる物質を排出することを特徴とする請求項1に記載の吹込み方式を用いた検診対象物の着床装置。
前記検診対象物が着床された前記フィルターの上端に前記スライドが位置した状態で、前記吹込みユニットが1次的に前記フィルターに空気を吹き込むと、前記フィルターの採取膜が膨らみながら前記採取膜が前記スライドに近付いて前記検診対象物が前記スライドに着床し、次いで、前記吹込みユニットが2次的に前記フィルターに空気を吹き込むと、前記スライドに着床した前記検診対象物が均一に拡散するとともに、前記検診対象物が前記スライドに強固に着床することを特徴とする請求項1に記載の吹込み方式を用いた検診対象物の着床装置。
前記容器の前記混合液に含まれている前記検診対象物の分布比を判断するために前記混合液の濁度を測定する比濁度測定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の吹込み方式を用いた検診対象物の着床装置。
前記容器及び前記スライドに含まれているバーコード情報の一致の有無を確認するバーコード認識手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の吹込み方式を用いた検診対象物の着床装置。
【背景技術】
【0002】
細胞などの対象物を顕微鏡などの検査手段を用いて検診するためには、スライドに所定の量の対象物を着床させなければならない。このために、原始的な方法としては、刷毛に対象物を付けてスライドに塗布する方法が用いられていた。
また、ピストンを用いて中身を採取する装置も開発されているが、従来のソリューションタンク及び細胞検診装置について簡略に説明すると、ソリューションタンクは、子宮頸部細胞などを採取具を用いて採取した後に、細胞を検査するために細胞を液中に混合させるのに使用可能であり、このようなソリューションタンクは、細胞を採取した採取具を入れて蓋をした容器の構造を有し、ユーザーが手や装置を用いて震とうして液中に細胞を混入させるものである。このようなソリューションタンクは、液の保管用にその用途が限定されており、このため、細胞をスライドに移す装置には液を収容する別途の容器が配設されている。すなわち、ソリューションタンクに加えて、別途の容器を必要とする。
さらに、このような従来の装置の液を収容する容器は、上方が開口された構造を有するため、空気との接触が避けられない。なお、採取膜が置かれたフィルターをシリンダー状の本体が支持し、本体に対して出入りするピストンによって容器から液を吸い込み、本体及び容器は螺合されている。
従来は、刷毛に付けられた細胞を液に分散するためのソリューションタンクが別途存在し、ソリューションタンクを振とうさせて細胞が十分に液中に拡散された状態で液を他の容器に注ぎ込んでフィルターの下に吸込み具を密着して液を吸い込み、フィルターによってろ過された細胞をスライドにこすって採取していた。
しかしながら、採取膜をスライドに近付けるために容器から本体を引き離すと、容器に残留されている混合液が重力によって下方に降り注がれてなくなるため残留液を再使用することができず、しかも、衛生的ではない。
また、容器に液を注ぎ込み、吸込み具を用いて所定の量を吸い込んだ後にも容器に残留されている液は大気に既に露出されているため、再使用に際して検査の正確性が保証されなくなる。
さらに、このような装置は、ソリューションタンクからスライドに細胞を移す過程を一々にユーザーの手作業を用いて行うが故に長時間がかかり、ユーザーの手からスライドに汚染物質や不純物が移される虞がある。また、一定ではない量の対象物がスライドに着床されたり対象物が重なり合ったりして検査の正確性が低下し、しかも、対象物が損傷される虞があるという問題がある。
本発明に関連する従来の技術としては、大韓民国登録特許第10−1058409号がある。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施形態について説明するが、発明の要旨とは無関係な一部の構成は省略又は圧縮する。ここで、たとえ省略された構成要素であるとしても必ずしも本発明において不要な構成要素であるとは限らず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって係合されて使用可能である。
図1は、本発明の好適な実施形態による吹込み方式を用いた検診対象物の着床装置の外部斜視図であり、
図2は、
図1に示す吹込み方式を用いた検診対象物の着床装置から前方扉を取り外した装置の斜視図であり、
図3は、
図2の正面図であり、
図4は、本発明の好適な実施形態による吹込み方式を用いた検診対象物の着床装置に用いられるフィルターの一部を切り欠いたフィルターの部分切欠斜視図である。
図1乃至
図4に示すように、本発明の実施形態による検診対象物の着床装置100(以下、「検診対象物の着床装置」と称する。)は、容器固定手段110と、蓋開閉手段120と、フィルター搬送手段(図示せず)と、吸込みユニット140と、吹込みユニット150及びスライド固定手段160を備える。
容器固定手段110は、細胞などの検診対象物が含まれている混合液が入れられた容器10を固定するために設けられる。容器10に入れられた混合液は、検診対象物と溶液が混合されたものである。ここで、容器固定手段110は、後述する吸込みユニット140の上端に配設され、容器10の入口を下方に向わせて容器10を支持し、容器10を上に持ち上げたり下に下降させたりする。
本発明の実施形態による検診対象物の着床装置100に用いられる容器10の入口には、混合液が急激に降り注がれることを防ぐとともに、MUCUS(粘液質)、検査に邪魔になる物質をろ過させるための小孔を有する1次蓋フィルター11が形成されている。容器10に入れられている混合液は、吸込みユニット140が作動すれば、1次蓋フィルター11を通過して容器10の外部に抜け出る。
蓋開閉手段120は、容器固定手段110に固定された容器10の下において容器10の蓋を開閉するために設けられる。このような蓋開閉手段120は、容器固定手段110の下の位置に突き出て容器10の蓋を把持して一方向に回転させて容器10の蓋(図示せず)を開放した後、開放された入口にフィルター50が密着されるのに邪魔にならないように再び後退する。
フィルター搬送手段(図示せず)は、フィルター搬送レール130に沿ってフィルター50を吸込みユニット140及び吹込みユニット150の上に搬送するために設けられる。フィルター搬送手段(図示せず)は、吸込みユニット140及び吹込みユニット150の左側に配設されたフィルター50を右側に押して吸込みユニット140又は吹込みユニット150に位置させるために横方向に出没する搬送バー(図示せず)を備え、搬送バーは、フィルター50を右側に押した後に元の位置に後退する。
フィルター50は、吸込みユニット140の左側に配設されたフィルター収納空間180に積み重ねられて収納されている。
図4に示すように、フィルター50は、上面の中央にラミネート構造の小孔が形成された透明な採取膜59が多孔性挿入物51によって支持され、多孔性挿入物51の下に多数の通孔52aが形成されている支持部52が形成され、支持部52の周りには対象物が含まれている混合液が入れられた容器10の入口に嵌入する円周状に上方に突き出た係合用フランジ54が形成される。
係合用フランジ54が形成された部分の反対面に相当するフィルター50の下面の中央には、後述する吸込みユニット140の円周状に突き出たフランジ141と嵌合される円周状係合溝58が形成される。
【0008】
図5は、本発明の好適な実施形態による吹込み方式を用いた検診対象物の着床装置において、容器の入口とフィルターが係合された状態を示す正面図であり、
図6は、本発明の好適な実施形態による吹込み方式を用いた検診対象物の着床装置において、容器とフィルターが引き離された状態を示す正面図であり、
図7は、本発明の好適な実施形態による吹込み方式を用いた検診対象物の着床装置において、吸込みユニットの空気の吹込みを用いて容器の内部の検診対象物を浮遊させる状態を示す概念図である。
図3、
図5及び
図6を参照する。吸込みユニット140は、フィルター50の上に検診対象物を着床させるために設けられる。吸込みユニット140の上端には円周状に突き出たフランジ141が形成されており、吸込みユニット140が上昇するときにフランジ141がフィルター50の下端の円周状係合溝58に載置される。また、フランジ141の内側には負圧を発生させる内部空間142が配設され、内部空間142は、空気噴射及び吸込み手段(図示せず)に連結されている。空気噴射及び吸込み手段(図示せず)としては、空気の噴射及び空気の吸込みが行えるポンプ装置が採用される。このように吸込みユニット140の上にフィルター50が載置されると、
図5に示すように、吸込みユニット140は垂直に上昇してフィルター50の上方に突き出た係合用フランジ54を容器10の入口に密着させる。
吸込みユニット140の上部に配設されたフィルター50と混合液が入れられた容器10の入口が密着されると、
図5及び
図7に示すように、空気噴射及び吸込み手段(図示せず)を用いてフィルター50に空気を吹き込む吹込み工程が行われる。すなわち、吸込みユニット140を用いてフィルター50に空気を吹き込むと、フィルター50を経て空気が容器10の入口を介して容器10の内部に吹き込まれて容器10の1次蓋フィルター11に沈殿されていた検診対象物が浮遊することによって、検診対象物が容器10の内部の混合液に均一に分散する。
吹込み工程が終わると、吸込みユニット140の空気噴射及び吸込み手段がフランジ141の内部空間142の空気を吸い込んで内部空間142に負圧を発生させ、これによって、容器10内の混合液が容器10の1次蓋フィルター11を通過して下に抜け出る。混合液が容器10の1次蓋フィルター11を通過すれば、フィルター50の採取膜59と、多孔性挿入物51及び支持部52の通孔52aを通過した溶液は吸込みユニット140に吸い込まれ、検診対象物はフィルター50の採取膜59を通過できずに採取膜59の上に残留される。
一方、吸込みユニット140は、内部の圧力センサー(図示せず)を用いて吸込みユニット140の内部の圧力を測定して、検診対象物がフィルター50の上に着床される過程を制御する。すなわち、吸込みユニット140の空気噴射及び吸込み手段を用いて内部空間142の空気を吸い込んで検診対象物がフィルター50の採取膜59に積もって採取膜59の小孔を閉塞すると、吸込みユニット140の内部の圧力は次第に下がる。このため、圧力センサーを用いて測定した吸込みユニット140の内部の圧力が設定圧力に達すると、空気噴射及び吸込み手段による吸込みが中断される。
吸込みユニット140の内部の圧力が設定圧力に達するということは、フィルター50の採取膜59に所要の検診対象物が着床されたことを意味する。吸込みの中断の基準となる設定圧力は、対象物の種類に応じて異なり、設定及び再設定を行うことができる。
また、吸込みユニット140の空気噴射及び吸込み手段は、フィルター50と容器10が密着された状態で吸込み過程を1回以上繰り返し行ってもよい。すなわち、吸込み及び吸込み解放を交互に繰り返し行ってより多量の検診対象物をフィルター50の採取膜59に着床させるが、この過程は、容器10に残留されている混合液の量が少量であるときに有用である。すなわち、容器10に残留されている混合液の量が少量である場合、1回の負圧の発生では採取膜59に所要の検診対象物が着床されないこともある。このため、吸込み手段を用いて吸込み及び吸込み解放を繰り返し行ってフィルター50及び1次蓋フィルター11に繰り返し緊張及び弛緩を与えることによって、たとえ容器10に残留されている混合液が少量であっても、残留されている検診対象物をできる限り多量フィルター50に着床させることができる。空気噴射及び吸込み手段による吸込みの繰り返し回数は、設定及び再設定することができる。
吸込みユニット140によって容器10に入れられた混合液の検診対象物がフィルター50に着床すると、容器固定手段110が容器10を上に持ち上げ、フィルター50は容器10の入口から引き離される。
【0009】
図8は、本発明の好適な実施形態による吹込み方式を用いた検診対象物の着床装置の吸込みユニットを用いて容器の内部の混合液を1次的に吸い込み、容器とフィルターが引き離された状態で2次的にフィルターを吸い込む過程を示す概念図である。
図6及び
図8に示すように、フィルター50が容器10の入口から引き離された状態で、吸込みユニット140は、再び適正な吸込み力(又は、吸込み量)にて吸込みをさらに行う。フィルター50が容器10から引き離された状態で吸込みユニット140がさらに吸込みを行うと、フィルター50の採取膜59に残留されていた検診対象物以外の溶液及び検査に邪魔になる物質が吸込みユニット140にさらに吸い込まれ、これに伴い、フィルター50の採取膜59には検診対象物及び僅かな液体のみが残留する。もし、吸込みユニット140を用いて容器10の混合液を吸い込んで混合液がフィルター50の採取膜59に着床された状態でフィルター50を移動してスライド20に塗抹されれば、溶液及び検査に邪魔になる物質に起因して、検診対象物をスライド20への塗抹が妨げられる。溶液がフィルター50の採取膜59に過量に存在すれば、スライド20に検診対象物が付着されるときに付着領域が溶液に起因して広く広がってしまうため、検診対象物がスライド20の観察領域を逸脱して不要な領域にまで分布し、これに加えて、フィルター50からスライド20への空気の噴射による検診対象物の転移が上手に行われず、しかも、検診対象物が転移されるときに溶液に起因してスライド20への検診対象物の付着率が低下されるためである。
吸込みユニット140がさらなる吸込みを終えると、吸込みユニット140が下降してフィルター50と吸込みユニット140が引き離され、フィルター搬送手段(図示せず)は、検診対象物が着床されたフィルター50をスライド固定手段160の下、且つ、吹込みユニット150の上部に搬送する。
スライド固定手段160は、吹込みユニット150の上端に配設され、下方が開放してスライド20の着床面が下に露出するようにスライド20を支持する。
【0010】
図9は、本発明の好適な実施形態による吹込み方式を用いた検診対象物の着床装置において、フィルターが吹込みユニットに移動した状態を示す正面図であり、
図10は、本発明の好適な実施形態による吹込み方式を用いた検診対象物の着床装置において、吹込みユニットが上昇してフィルターがスライドの着床面に近付いた状態を示す正面図であり、
図11は、本発明の好適な実施形態による吹込み方式を用いた検診対象物の着床装置において、吹込みユニットによる1次吹込み時にフィルター上の検診対象物がスライドに着床する状態を示す概念図(a)及び吹込みユニットによる2次吹込み時にスライドに着床した検診対象物がスライドの上に均一に拡散されながら一層確実に着床する状態を示す概念図(b)である。
図3、
図9及び
図10に示すように、吹込みユニット150は、フィルター50に空気を噴射してフィルター50に着床された検診対象物をスライド20に転移する機能をするものであり、吹込みユニット150の上端には円周状に突き出たフランジ151が形成され、フランジ151の内側には陽圧が発生する空間152が設けられている。
フィルター50が吹込みユニット150の上方に搬送された後に吹込みユニット150が上昇すれば、吹込みユニット150の上端に円周状に突き出たフランジ151がフィルター50の下端の円周状係合溝58に係合される。このように吹込みユニット150が垂直に上昇して吹込みユニット150の上にフィルター50が載置されてフィルター50を一緒に上昇させ、その結果、フィルター50の上方の採取膜59はスライド20の着床面と隣り合う。次いで、吹込みユニット150は、フィルター50の底面に1次的に空気を噴射し、フィルター50に空気が噴射されれば、フィルター50の採取膜59が膨らんで採取膜59とスライド20の着床面との間の誘電分極現象が起き、これによって、検診対象物が変形無しに単層にスライド20の着床面に転移して付着する(
図11の(a))。
1次空気噴射が終わってからしばらくの間放置すると、採取膜59が多孔性挿入物51に密着され、再び2次空気噴射が行われる。2次空気噴射は、スライド20の着床面に着床された検診対象物に再び空気を吹き込むことであり、着床された検診対象物を塊化させることなくスライド20の上に均一に拡散させるとともに、スライド20の上に着床された検診対象物をより一層確実にスライド20の上に付着させる役割を果たす(
図11の(b))。
このように吹込みユニット150を用いた空気の噴射によってフィルター50の採取膜59にある検診対象物がスライド20の着床面に着床する。
吹込みユニット150のノズル153から噴出される空気の量及び噴出回数は、対象物の種類に応じて予め指定可能である。
このようにフィルター50とスライド20の着床面を微細に引き離した状態で吹込みユニット150を用いて検診対象物をスライド20の着床面に着床するので、検診対象物が押し潰されることによる損傷を最小限に防ぐことができ、空気圧によって対象物がスライド20着床面に均一に付着する。
吹込みユニット150によってフィルター50の採取膜59の上に載置されていた検診対象物がスライド20の着床面に着床すると、吹込みユニット150は元の位置に下降し、吹込みユニット150上のフィルター50は、後続する作業のためにフィルター搬送手段(図示せず)によって搬送される新たなフィルター50によって押されてフィルター回収箱(図示せず)に落下する。
一方、吸込みユニット140及び吹込みユニット150の下端には、吸込みユニット140及び吹込みユニット150を垂直に搬送する手段と、吸込みユニット140の空気噴射及び吸込み手段(図示せず)及び吹込みユニット150のノズル153を用いて空気を吸込み又は噴出する、すなわち、空気圧を調節する手段と、吸込みユニット140の内部空間142に落下する液を回収する手段と、が設けられている。吸込みユニット140及び吹込みユニット150を垂直に搬送する手段としては、空圧シリンダー、油圧シリンダー又はリードスクリューなど種々の公知の手段が採用される。
一方、本発明の実施形態による検診対象物の着床装置100は、タッチスクリーン方式の入力可能なディスプレイ手段1、2及び制御手段(図示せず)を備える。
ディスプレイ手段1、2に入力された指令に基づき、制御手段(図示せず)が各構成要素を制御する。
また、制御手段(図示せず)には、各構成要素を制御する数値及び指令がプログラミングされて記憶されており、ディスプレイ手段220に入力された指令及びプログラミングされた内容と、圧力センサーにおいて測定された内容に基づいて、フィルター搬送手段(図示せず)を制御するか、蓋開閉手段120を制御するか、吸込みユニット140を搬送するか、空気噴射及び吸込み手段(図示せず)の空気噴射量、吸込み量と噴射及び吸込みの回数を制御するか、吹込みユニット150を搬送するか、ノズル153の空気噴出量及び回数などを制御し、各種の作業状況をディスプレイ手段220に送信し、ユーザーは、ディスプレイ手段220を用いて作業状況を確認することができる。
【0011】
以下、本発明による吹込み方式を用いた検診対象物の着床装置を用いて検診対象物をスライドに着床させる過程について説明する。
容器固定手段110に、細胞などの検診対象物が含まれている混合液が入れられた容器10を、容器10の入口が下を向くように固定する。
蓋開閉手段120は、容器固定手段110に固定された容器10の下に移動して容器10の蓋を把持して一方向に回転させて容器10の蓋を開放した後に再び後退する。
フィルター搬送手段(図示せず)は、フィルター50を吸込みユニット140に搬送する。
吸込みユニット140が上昇して吸込みユニット140のフランジ141がフィルター50の下端の円周状係合溝58に係合する。吸込みユニット140にフィルター50が係合されると、吸込みユニット140は垂直に上昇してフィルター50の上方に突き出た係合用フランジ54が容器10の入口に密着される。
フィルター50と容器10の入口が密着すると、吸込みユニット140を用いてフィルター50に空気を吹き込んで容器10の内部に空気を吹き込み、その結果、容器10の1次蓋フィルター11に沈殿されていた検診対象物190が浮遊することによって、検診対象物が混合液の上に均一に分散する。
すなわち、容器10は、入口が下方を向いた状態で容器固定手段110に固定されているため、容器10の内部の検診対象物は容器10の下部の1次蓋フィルター11に沈殿する。このため、容器10の1次蓋フィルター11には高い濃度にて検診対象物が存在するため、吸込みユニット140が最初の吸込みを行うときには相対的に多量の検診対象物がフィルター50に排出され、2回目の吸込みを行うときには相対的に少量の検診対象物がフィルター50に排出される。これは、最初に容器10の1次蓋フィルター11に過度に密集していた検診対象物が最初の吸込み過程において多量排出されるため、後続する吸込み過程においては検診対象物の割合が顕著に下がるためである。このように吸込みを行う度に検診対象物の分布比に大きなバラツキが発生することを防ぐために、本発明は、吸込みユニット140が吸込みを行う前に、
図7に示すように、吹込み過程を行って、1次蓋フィルター11に沈殿されている検診対象物を混合液の全体の領域に亘って均一に分布させる。従って、容器10の混合液を複数回吸き込む場合、吸込みを行う度にフィルター50に着床される検診対象物が毎回同じ分布比にて分布されて抽出する検診対象物の同一性を確保することができる。
吸込みユニット140による吹込み工程が終わると、吸込みユニット140の空気噴射及び吸込み手段(図示せず)がフランジ141の内部空間の空気を吸い込んで容器10内の混合液が容器10の1次蓋フィルター11を通過して下に抜け出る。
容器10の下に抜け出た検診対象物は、フィルター50の採取膜59に着床される。
吸込みユニット140は、内部の圧力が設定圧力に達すると、吸込みユニット140による吸込みが中断され、次いで、吸込みユニット140が下降しながらフィルター50が容器10の入口から引き離される。
フィルター50が容器10の入口から引き離された状態で、
図8に示すように、吸込みユニット140は、再び適正な吸込み力(又は、吸込み量)にて吸込みをさらに行ってフィルター50の採取膜59に存在する溶液及び検査に邪魔になる物質をさらに吸い込んで排出し、フィルター50の採取膜59には検診対象物及び僅かな液体のみが残留する。
吸込みユニット140がさらなる吸込みを終えると、吸込みユニット140が下降してフィルター50と吸込みユニット140が引き離され、フィルター搬送手段(図示せず)は、フィルター50をスライド20と吹込みユニット150との間に搬送する。
次いで、吹込みユニット150が垂直に上昇して吹込みユニット150の上端にフィルター50が係合された後に、吹込みユニット150がフィルター50を一緒に上昇させてフィルター50の採取膜59がスライド20の着床面と隣り合う。
図10及び
図11に示すように、吹込みユニット150は、フィルター50の底面に1次的に空気を噴射してフィルター50の採取膜59を膨らませ、このとき、瞬時に誘電分極現象が発生して検診対象物が変形なしに単層にスライド20の着床面に転移されて付着する。
1次空気噴射が終わった後、しばらくの間の休止期間を有し、該休止期間が経過すると、再び吹込みユニット150による2次的な空気の噴射が行われる。吹込みユニット150による2次的な空気の噴射によってスライド20の着床面に着床された検診対象物190が塊化されることなくスライド20の上に均一に拡散し、その結果、検診対象物がより一層確実にスライド20の上に付着する。
吹込みユニット150を用いたフィルター50からスライド20への検診対象物の着床が終わると、吹込みユニット150が下降してフィルター50から引き離され、フィルター50はフィルター搬送手段(図示せず)によって搬送される新たなフィルター50によって押されてフィルター回収箱(図示せず)に落下する。
【0012】
以上、詳述したように、本発明の装置は、吸込みユニット140において吸込みを行う前に吹込み過程を行って容器10の1次蓋フィルター11に沈殿されている検診対象物を浮遊させて混合液の全体の領域に均一に分布させ、その結果、吸込みを用いて抽出を行う度に抽出される検診対象物の同一性を確保することができる。
すなわち、本発明の検診対象物の着床装置において検診対象物を貯留している容器には1次蓋フィルターが配設されており、容器の入口が下方を向くように逆さまに設けられるため、検診対象物が1次蓋フィルターに沈殿することが避けられない。このため、検診対象物が1次蓋フィルターに沈殿した状態で直ちに吸込みを行うと、混合液の吸込み量に比べて相対的に多量の検診対象物が吸い込まれてしまう。フィルターを新たなものに切り換え、このようにして数回に亘って吸込みユニットによる吸込みを行うと、たとえ同じ量の混合液を吸い込んだとしても、検診対象物の量は減り続ける。すなわち、最初の吸込みには過剰な検診対象物が着床し、その後には、吸込みを行う度に検診対象物の量が減るという問題がある。このため、検診対象物の均一性が確保されない。
本発明は、上記の問題を解消したものである。
本発明の吸込みユニットは、容器からフィルターに検診対象物を着床するに当たって、1次的にフィルターに空気を吹き込む吹込み工程を行って、容器の1次蓋フィルターに沈殿していた検診対象物を混合液の上に浮遊させて混合液の上に検診対象物を均一に分布させ、検診対象物が混合液の上に均一に分布した状態で2次的に混合液を吸き込む工程を行って検診対象物をフィルターの上に着床させる。このため、吸込みユニットが吸込みを行う度に均一な量の検診対象物がフィルターの上に着床するという顕著な作用効果が奏される。
また、吸込みユニット140を用いて混合液を吸い込んでフィルター50に着床するとき、容器10とフィルター50を引き離した状態で吸込みをさらに行って、フィルター50に存在する溶液及び検査に邪魔になる物質を除去し、その結果、検診対象物をスライド20に高い歩留まりにて正確な位置に着床させることができ、スライド20に着床した検診対象物の純度を高めることができる。
さらに、圧力センサーを用いて所定の量の対象物のみをフィルター50に着床させ、これをスライド20に着床させることができる。
加えて、空気圧によって対象物が重なり合うことなくスライド20に均一に拡散するので、検査の正確性が上がる。
また、空気圧を用いて対象物をスライド20に着床させるので、対象物への物理的な接触が起こらず、その結果、対象物が損傷しない。
さらに、たとえ混合液に少量の対象物が残留されていても、負圧の発生を数回繰り返し行って容器10に残留されているほとんど全ての対象物をフィルター50に着床させることができ、既存の接触方式ではなく、瞬間的な空気圧を用いて対象物をスライド20に着床させるので移動速度が顕著に上がり、フィルター50に着床された検診対象物がスライド20にほとんど移動し、フィルター50に残留される量は非常に少ないので、フィルター50からスライド20に対象物を移す作業の効率が非常に高い。
【0013】
本発明によれば、細胞などの対象物が含まれている混合液が入れられた容器10から細胞を分離してスライド20に採取するあらゆる作業が自動化されるので作業時間が短縮され、ユーザーの手からスライド20に汚染物質や不純物が移される虞がない。
また、本発明による検診対象物の着床装置は、混合液が入れられた容器の内部に細胞などの検診対象物が含まれている量を測定する比濁度測定手段(図示せず)を備えていてもよい。比濁度測定手段は、容器固定手段の近くに設けられて容器の混合液の濁度を測定して混合液内の検診対象物の分布比が高いか否かを判断する。比濁度測定手段を用いた測定の結果、混合液の濁度が高いと判断されれば、混合液に対象物が多量含まれていると判断し、混合液の濁度が低いと判断されれば、混合液に対象物が少量含まれていると判断する。比濁度測定手段を用いた測定の結果、濁度が高いと判断されて混合液に対象物が多量含まれていると判断されれば、吸込みユニットの吸込み強度が小さくても十分な量の対象物をフィルターに着床させることができるので、制御手段は吸込みユニットの吸込み強度を下げ、濁度が低いと判断されれば、吸込みユニットの吸込み強度を上げる。その結果、たとえ濁度が異なっても適正量の検診対象となる細胞を容器から抽出することができてフィルター及びスライドには検診対象となる細胞が単層に塗抹される。比濁度測定手段又は透明度測定手段には様々なタイプのものがあり、これらは公知の手段であるためその具体的な説明を省略する。
また、本発明による検診対象物の着床装置は、バーコード認識手段(図示せず)を備えていてもよい。混合液容器及びスライドの両方にはバーコード情報が書き込まれ、バーコード認識手段を用いて混合液容器及びスライドのそれぞれに書き込まれたバーコード情報を確認して比較して相互間の一致有無を確認する。このため、たとえ多量の検診対象物を一括して処理しても、検診対象物が他人のものと混ざることを防ぐことができて検査の信頼性を確保することができる。バーコード認識手段には種々のタイプのものがあり、公知の手段であるためその具体的な説明を省略する。バーコード認識手段は、容器及びスライドに書き込まれたバーコードを認識するために容器固定手段及びスライド固定手段と隣り合う適切な個所に設けられる。
上述した本発明の好適な実施形態は単なる例示のために開示されたものであり、本発明の技術分野における通常の知識を有する当業者であれば、本発明の思想及び範囲内において様々な修正、変更及び付加が行え、このような修正、変更及び付加は、本発明の特許請求の範囲に属するものと認められる。