(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液体供給源から、気体弁ユニットおよび液体弁ユニットを有する弁器具を設けた液体栓まで延在する少なくとも1本の液体導管を有する液体給配システムにおける液体の温度を維持のための方法であって、
液体を前記液体栓から出した後に前記液体導管に逆向きの圧力勾配を生じさせることによって前記液体導管から液体を排除し、液体が前記液体供給源に向けて逆方向に流れることをもたらす一方、液体導管へと気体を流入させてそこを逆方向に流れる液体と置き換えるステップと、
前記液体導管が空になった場合、前記液体の逆方向の流れを止めるステップと、
液体を前記液体栓から再び出す必要がある場合、前方への圧力勾配を前記液体導管に生じさせることにより、前記液体供給源から前記液体栓へと液体が流れることをもたらして前記液体導管から気体を排除するステップと
を具え、前記液体導管から気体を排除して前記液体導管内に液体を再充填する前記ステップが3つのステップ、すなわち
前記液体栓を開栓することにより始まり、前記液体栓の開栓が前記液体導管に沿って逆向きに伝播する物理的変数の変化をもたらして第2のステップが始まる第1のステップと、
前記液体導管に前記液体供給源からの液体を再充填する一方、残留気体を前記液体弁ユニットの液体流路から分かれた前記気体弁ユニットの気体流路を介して逃がすことを可能にすることを伴う前記第2のステップと、
液体が前記液体栓に達した時に始まり、液体が前記液体流路から前記液体栓を通って流れ出ることを可能にするように前記液体流路を開くことを伴う第3のステップと
で行われ、液体を前記液体供給源から前記液体導管に再充填する前記第2のステップの終りに液体が前記弁器具に達すると、前記気体弁ユニットに隣接して位置する圧縮可能な気体の容積により、その動きが弱められることを特徴とする方法。
前記弁器具は、前記液体栓を閉栓して前記液体導管へと気体を入れると共に前記液体栓を開栓して前記液体供給源から液体を前記液体導管に再充填する際に前記液体導管から気体を逃がすことを可能にするような弁体(115)を具えていることを特徴とする請求項3に記載の液体給配システム。
前記弁器具は、液体栓を開栓した場合に雰囲気圧の作用により第1の位置から第2の位置へと変位するようになった可撓性の隔壁(119,119',119")を具え、前記変位が物理的変数の前記変化を前記液体導管に沿って逆向きに伝播させることを特徴とする請求項3に記載の液体給配システム。
物理的変数の前記変化が前記液体導管に沿って伝播する圧力増大を伴い、これによって前記液体導管を液体で再充填することを伴う前記第2のステップが始まることを特徴とする請求項3に記載の液体給配システム。
前記液体導管を液体で再充填して液体が前記弁器具に達すると、前記可撓性の隔壁を元の前記第1の位置へと変位させ、これにより前記第3のステップが始まることを特徴とする請求項9に記載の液体給配システム。
前記気体弁ユニットが閉鎖された気体システムの一部を形成し、前記少なくとも1つの気体流路(113)が閉鎖された容積(113',403')の加圧気体と連通することを特徴とする請求項3に記載の液体給配システム。
前記減衰装置は、前記液体導管(7)の一端部に配された内部中空本体(401)を具え、前記圧縮可能な容積がこの内部中空本体(401)の内側または外側の気体、すなわち空気の容積(403,403')によって形成されることを特徴とする請求項3に記載の液体給配システム。
前記弁器具に隣接して流量制御器具(300)が配され、この流量制御器具は前記液体栓に隣接する液体の流れを制限するように機能することを特徴とする請求項3に記載の液体給配システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この背景に対し、本発明の主たる目的は、液体「弾性」を作る空気噴射器が必要ではないより単純な方法および器具を提供することである。
【0005】
他の目的は、種々の液体栓と中央の液体供給源との間で分離した電気ケーブルを必要としないより単純な方法および器具を提供することである。
【0006】
さらなる目的は、液体が液体供給源から液体栓へと送り込まれる場合、液体が液体栓に達した瞬間に気体、すなわち空気が逃げることを確実にできるようにした弁器具を提供することである。しかしながら、その時、液体が通って来ないように空気弁を閉じるべきである。特許文献2はこの点に関して触れていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的を達成するため、本発明は、液体導管から気体を追い出して液体導管に液体を再充填するステップが3つのステップ、すなわち
前記液体栓を開栓することにより始まり、前記液体栓の開栓が物理的変数の変化をもたらし、この変化が第2のステップを始めるために検出器によって検出される第1のステップと、
前記液体導管に前記液体供給源からの液体を再充填する一方、残留気体を前記液体栓の液体流路から分かれた気体流路を介して逃がすことを可能にすることを伴う前記第2のステップと、
液体が前記液体栓に達した時点で始まり、液体が前記液体流路から前記液体栓を通って流れ出ることを可能にするように前記液体流路を開くことを伴う第3のステップと
で行われる改善された方法を提供し、この方法は、液体を前記液体供給源から前記液体導管に再充填する前記第2のステップの終りに、液体が前記少なくとも1つの分岐気体流路に達すると、前記少なくとも1つの分岐気体流路と連通する気体の圧縮可能な容積によってその動きが弱められることで特徴付けられる。
【0008】
さらに、この発明はまた、この方法を行うために設計され、液体供給源から延在する液体導管に結合される液体栓および弁器具を持つ流体給配システムに関し、前記弁器具は、
液体流路を介して前記液体導管から前記液体栓へと液体を移送するための液体弁ユニットと、
この液体弁ユニットに近接して設けられ、前記液体栓が使用中ではない場合に前記液体導管内の液体を気体で置き換えるために前記液体導管へと気体を送り込む気体弁ユニットと
を具え、
前記気体弁ユニット(110,116)は前記液体流路(112)から分かれた少なくとも1つの分岐気体流路(113)を具え、
前記気体弁ユニット(110,116)は気体入口弁としても気体出口弁としても共に機能し、前記少なくとも1つの分岐気体流路(113)は、前記液体栓(9)を閉栓した後に気体を前記液体導管(7)に送給すると共に前記液体栓を開栓することで前記液体供給源からの液体を前記液体導管に再充填する際に入っている気体を前記液体導管から逃がすようにさせるために共に用いられ、
前記弁器具は3つのステップ、すなわち
前記液体栓(9)を開栓することにより始まり、前記液体栓の開栓が物理的変数の変化をもたらし、この変化が第2のステップを始めるために検出器によって検出される第1のステップと、
前方への圧力勾配の発生を伴って前記液体導管に前記液体供給源からの液体を再充填する一方、残留気体を前記少なくとも1つの分岐気体流路(113)を介して逃がすことを可能にすることを伴う前記第2のステップと、
前記気体弁ユニット(110,116)に液体が達するによって始まり、液体が前記液体流路(118,112)から前記液体栓(9)を通って流れ出ることを可能にするように前記液体流路を開くことを伴う第3のステップと
で前記液体の再充填を可能にし、
前記液体給配システムは、圧縮可能な容積を含む減衰器具(400)が前記気体弁ユニットに隣接して配され、これにより液体が充填処理中に前記弁器具に達すると、液体の動きが弱められることを特徴とする。
【0009】
本発明のさらなる好ましい特長によると、前記センサーが集約的に配される。次に、液体導管それ自体は、液体導管に沿った物理的変数の変化を伝えるために用いられる。従って、このような変化、すなわち信号は液体供給源へと逆に伝播し、これは2つのさらなる再充填操作のステップを始めよう。
【0010】
物理的変数は静圧であってよいが、これはまた、導管中の気体を介した圧力パルスか、何らか他の代わりの圧力変化か、音響信号の如き動的変化であってもよく、あるいはこれが導管の壁を伝わるか、または導管の壁に沿って伝わる電気信号であってよい。導管の壁を金属または導管の壁への導電被覆の如き導電材料から作ることができる。導管の壁に結合されたスイッチ、または導管の壁に組み込まれるか配される導電層あるいは導電線は、液体導管に沿って伝播する電気信号を引き起こすように作動することができる。
【0011】
何れにしろ、開栓操作の始まりを示す信号をフィードバックするため、配線またはケーブルを分ける必要性がまったくない。
【0012】
この点に関し、例えば気体、すなわち空気弁を開くことによって液体導管内の静圧の変化が容易に達成され、液体導管内の気体、すなわち空気圧が増大し、雰囲気圧に近付くようになっている。
【0013】
開栓操作を始める必要がある場合、液体栓の開栓を通常の取手によって達成することができるが、代わりに液体栓の近傍に人の腕または手の存在を検出する近接または接触センサーによってこれを達成することができる。
【0014】
本発明のさらなる有利な特長は、特に本発明による液体給配システムの好ましい実施形態に関して以下の説明および添付した特許請求の範囲から明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】上述した特許文献1に開示されたような液体給配システムを概略的に例示する。
【
図3a】本発明による液体栓器具における弁器具の好ましい一実施形態を第1の操作モードにて例示する。
【
図3b】本発明による液体栓器具における弁器具の好ましい一実施形態を第2の操作モードにて例示する。
【
図3c】本発明による液体栓器具における弁器具の好ましい一実施形態を第3の操作モードにて例示する。
【
図4a】
図3a〜
図3cによる弁器具がどのように働くのかを概略的に例示する。
【
図4b】
図3a〜
図3cによる弁器具がどのように働くのかを概略的に例示する。
【
図4c】
図3a〜
図3cによる弁器具がどのように働くのかを概略的に例示する。
【
図4d】
図3a〜
図3cによる弁器具がどのように働くのかを概略的に例示する。
【
図4e】
図3a〜
図3cによる弁器具がどのように働くのかを概略的に例示する。
【
図5a】弁器具の第2の実施形態がどのように作動するのかを
図4aと同様な方法にて例示する。
【
図5b】弁器具の第2の実施形態がどのように作動するのかを
図4bと同様な方法にて例示する。
【
図5c】弁器具の第2の実施形態がどのように作動するのかを
図4ceと同様な方法にて例示する。
【
図5d】弁器具の第2の実施形態がどのように作動するのかを
図4dと同様な方法にて例示する。
【
図5e】弁器具の第2の実施形態がどのように作動するのかを
図4eと同様な方法にて例示する。
【
図6a】弁器具のさらなる実施形態を異なる操作モードにて例示する。
【
図6b】弁器具のさらなる実施形態を異なる操作モードにて例示する。
【
図6c】弁器具のさらなる実施形態を異なる操作モードにて例示する。
【
図6d】弁器具のさらなる実施形態を異なる操作モードにて例示する。
【
図6e】弁器具のさらなる実施形態を異なる操作モードにて例示する。
【
図6f】弁器具のさらなる実施形態を異なる操作モードにて例示する。
【
図6g】弁器具のさらなる実施形態を異なる操作モードにて例示する。
【
図6h】弁器具のさらなる実施形態を異なる操作モードにて例示する。
【
図6i】弁器具のさらなる実施形態を異なる操作モードにて例示する。
【
図7a】本発明による液体給配システムにおける液体栓器具を概略的に例示する。
【
図7b】本発明による液体給配システムにおける液体栓器具を概略的に例示する。
【
図7c】本発明による液体給配システムにおける液体栓器具を概略的に例示する。
【
図8a】
図7a,
図7bおよび
図7cの液体栓器具に配された減衰装置および流量制御器具を例示する。
【
図8b】
図7a,
図7bおよび
図7cの液体栓器具に配された本発明による減衰装置および流量制御器具を例示する。
【
図8c】
図7a,
図7bおよび
図7cの液体栓器具に配された本発明による減衰装置および流量制御器具を例示する。
【
図8d】
図7a,
図7bおよび
図7cの液体栓器具に配された本発明による減衰装置および流量制御器具を例示する。
【
図8e】
図7a,
図7bおよび
図7cの液体栓器具に配された本発明による減衰装置および流量制御器具を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
さて、本発明による液体栓器具の好ましい実施形態を例示する添付した図面を参照して本発明がさらに以下に説明されよう。
【0017】
以下の説明において、この液体給配システムは水に対して意図される。しかしながら、当業者らは、代わりにこのシステムを他のあらゆる液体に対して意図することができることを理解しよう。さらに、このシステムは温水用に設計されている。同様に、このシステムを冷水または何か他の冷たい液体の給配用に代わりに用いることができる。
【0018】
図1に示した水給配システムは、上述した特許文献1に開示された実施形態の1つと同一である。しかしながら、以下で明らかとなるように、本発明によって与えられる改良は、液体栓器具9または10にそれぞれ配置された弁器具17,18の改良された機能および構成上の具体化にある。
【0019】
図1のシステムにおいて、水は逆止め弁1を介して真水の供給源S、例えば公共水道または地域水道から温水タンク2へと供給され、ここで水は相対的に高い温度、一般的には60〜90℃の範囲に加熱される。温水器2を通過する温水の再循環ループ22と、量が変化する空気または気体を収容するように機能する流体圧力容器3とがある。温水は温水器2に隣接する循環ポンプ(図示せず)によって循環され、2つのさらなる逆止め弁4a,4bがこの循環を一方向にのみ維持することを確実にしよう。さらに、2つの場所24および23でループ22につながる温水送給ライン6がある。この温水送給ライン6にはポンプ5があり、これは建物内の種々の温水栓につながるすべての温水導管7,8が不活性、すなわち塞がっている場合にのみ、作動しよう。
【0020】
それぞれの温水導管7,8には、それぞれ開閉することができる制御弁11および12と、それぞれ液面センサー13および14と、それぞれ圧力センサー15および16とがある。これらすべての構成要素は、温水タンク2ならびに循環ループ22およびその橋渡しライン6と共に温水供給源の近くに集約的に配置されている。温水橋渡しライン6にもまた、逆止め弁25および制御弁26がある。
【0021】
温水タンク2および再循環ループ22および橋渡し温水ライン6は、循環水が常に高温に保持されて温水を温水導管7,8へと連続的に供給するので、加熱源、すなわち温水供給源として見なすことかできる。必要ならば、この温水供給源を断熱筺体に収容することができ、あるいはこれらの構成要素を断熱材料によって個々に覆うことができる。
【0022】
上述した特許文献1に記述されているように、温水をそれぞれの蛇口9および10から出す場合、温水はただ単に液体導管7,8内に存在しよう。蛇口9,10を閉じた場合、多分導管内の温水の温度に実質的に影響を与えないわずかな遅れ(例えば数分)の後、個々の導管に残っている温水がポンプ5によって、もとの温水供給源2,22へと逆方向に押し出されよう。この処置において、温水は液体導管7,8内の空気または気体によって置き換えられよう。温水が排除された場合、個々の弁11,12が閉じられ、大気圧よりも充分に低い低圧の気体、すなわち空気が導管7,8内に残留しよう。
【0023】
温水を再び蛇口9または10から出す場合、再充填操作が始められよう。この目的のため、ここで詳細に記述するように、本発明は改善された再充填操作を提供する。
【0024】
蛇口9または10が例えば関連する取手を動かすか、遠隔または接触センサーによって開栓される場合、関連する弁器具17,18が物理的変数の変化を引き起こし、この変化、すなわち信号は、この変化、すなわち信号を検出する圧力センサー15,16または何か別なセンサーの如き、集約的に配されたセンサーまでずっと液体導管7,8に沿って好ましくは伝播しよう。これに引き続き、それぞれ弁11または12を開くように第2のステップが始められ、これによって温水が蛇口9,10の近傍に配した弁器具まで液体導管7,8に沿って前方方向にずっと流れよう。水が空気または気体の弁ユニットに達すると、(この空気弁ユニットが閉鎖した気体システムの一部を形成しない限り)空気または気体弁が閉じ、 隣接する液体弁内の液体のための分離流路が開いて蛇口9,10を介し温水を通す。
【0025】
以下に記述される実施形態のいくつかにおいて、温水栓を開栓することによって変化する物理的な変数は、空気弁ユニットの内側の気体、すなわち空気の静圧か、水栓の開栓によって発生する圧力パルスか、電圧または電流であろう。
【0026】
液体栓器具における好ましい弁器具が
図3a,
図3bおよび
図3cに例示され、この実施形態は
図2aおよび
図2bに例示した従来技術の弁器具から開発された器具である。
【0027】
図2aおよび
図2bに示した従来技術の弁器具(それ自体周知であるが、
図1に示したものと同じようなシステムでは、そうではない)には、3つの管継手、すなわち液体導管に結合される1つの管継手101と、液体栓に結合される反対側の管継手102と、外気に独立につながる管継手103とを持った弁ハウジング100がある。管継手101および102間の円筒状流路の中央には、比較的硬質であるが可撓性材料の弁体105が取り付けられている。この弁体105は、管継手102の内側端部にて環状フランジ102aにしっかりと保持された中央側の中空部107を具えている。この弁体105はまた、液体栓へと液体を通過させるためのいわゆるダックビル状逆止め弁を形成する上部108と、軸線方向他端にて径方向外側に延在するリング、すなわち管継手103と連通する多数の穴、すなわち空気または気体の流路102cを有する弁座102bと協力して傘形弁を形成する環状部106とを含む。管継手103内の空気(または気体)圧が管継手101内の空気(または気体)圧力よりも高い場合、
図2a中の矢印Aによって示すように、空気または気体の流路102cを通って傘形弁106のリング部の周囲を通過する空気(または気体)の流れがあろう。
【0028】
他方、管継手101内の圧力が管継手103内の圧力よりも高い場合、傘形弁106が弁座102bに対して塞がり、管継手101を通って流れるすべての液体はダックビル形弁108が開くことをもたらし、管継手102に液体を通させよう。従って、従来技術の弁器具は、一方向(
図2a)への空気の入口弁として、他方向(
図2b)への液体の逃がし弁として機能しよう。
【0029】
さて、本発明による新たな種類の弁器具が
図3a,
図3bおよび
図3cに例示されている。この修正された弁器具は、傘形弁116と、管継手112に隣接した端部にダックビル形弁118を持った中央中空部117とを有する弁体115を具えている。重要なことだが、弁体115はまた可撓性の隔壁119を有し、その径方向外側端部が、管継手112と連通する弁器具の中央中空部112aにしっかりと固定されている。従って、可撓性の隔壁119は保持部として役立ち、弁体115はこれが2つの異なる軸線方向の位置、すなわち傘部116が空気弁座112bに当接すると共に空気弁座から離れて曲がる(
図3a)ことにより逆止め弁部として機能する
図3aおよび
図3cの第1の軸線方向の位置と、傘部116が空気弁座116から距離をあけて位置し、両方向(矢A1およびA2)の空気流を可能にすると共に空気逃がし弁部(矢印A2)としても機能する第2の位置(
図3b)との間を軸線方向に移動可能となるように、隔壁によって保持される。従って、
図3bはこの弁器具の新奇な特徴を例示し、従来技術の弁器具と比較すると、空気が両方向に流れることを可能すると共に空気弁ユニットが空気入口弁としても空気逃がし弁としても共にまた機能する。
【0030】
図3cに示す位置における弁器具は、
図2bの従来技術の弁器具に対応し、液体が管継手111を通り、中央のダックビル形弁部118を通り、そして管継手112を通って流れ出ることを可能にし、これは液体流路を形成する。この位置において、傘形弁部116が閉じられて管継手111内の圧力は管継手113内の圧力よりも高いか、またはほぼ等しくされる。
【0031】
この新奇な弁器具110,115は、
図4a,
図4b,
図4c,
図4d,
図4eに例示するように、次のように作動しよう。
【0032】
図4aは、給湯栓9または10をちょうど閉じた状況(
図1を比較)を例示する。この時、隔壁119と(液体流路が蛇口と連通する)管部112との間のチャンバー114内の水圧は、図示したように、ダックビル形弁118を閉じさせる程度にまで増大しよう。もちろん、蛇口9または10を閉じて流れる水を止めた場合、水圧は弁体115の他方側でも、また管継手111に結合する温水導管7,8内においても増大しよう。水圧または圧力パルスの増大は、導管7,8を逆方向に通って関連する圧力センサー15または16まで直ちに伝播しよう。これが起きると、可能性としてわずかな遅れの後、弁11,12が開かれ、温水が温水導管7,8を逆方向に通って温水供給源2,22まで押し戻されるように、ポンプ5が始動しよう。この処置中の温水導管7,8内の圧力は急速に減少しよう。そして、これは傘形弁部116を弁座112bから離れて屈曲させ、これによって外気または気体が(おそらく、
図4aに示した閉鎖気体システム113"から)弁ハウジング110の空気または気体の流路112cを通って流れるようにさせる。逆方向に流れる空気または気体(
図4bおよび
図4d中の矢印A1)は、温水導管7,8内の温水に置き換わろう。
【0033】
液面センサー13,14が温水導管7,8から水が完全に除かれたことを検出した場合、弁11,12が閉じられると共にポンプ5が停止されよう。ダックビル形弁118により閉じ込められた非圧縮性の温水がチャンバー114に留まっているので、弁器具の弁体115は、その上部の第1の位置に留まっていよう。従って、
図4cに例示するように、導管7,8内の空気または気体の圧力のわずかな増加の後、傘弁要素116は座112bに対して閉まり、関連する水栓が開栓するまで、この位置に留まっていよう。
【0034】
給湯栓を(取手を操作することによるか、あるいは遠隔または接触センサーを介するかの何れかによって)再び開栓した場合、チャンバー114内に閉じ込められている多量の水が蛇口を介して大気圧にさらされ、これは水が流れ出て隔壁119を解放させ、これによって弁体115を
図4dに示す第2の位置へと移動させよう。同時に、温水導管7,8内の空気または気体の圧力が大気圧よりも低く、従って空気または気体は弁体115の傘要素116を容易に通り抜けよう(
図4d中の矢印A1)。
【0035】
従って、温水供給源に向けて逆向きに伝播する導管7内の空気または気体の圧力あるいは圧力パルスがさらに増大しよう。増大した空気または気体の圧力あるいは圧力パルスは、圧力センサー15または16によって検出され、関連する弁11または12を開弁させる。次に、温水は温水導管7または8の順方向中に流れよう。この導管に残っている空気または気体は、液体の前方に向けて押圧され、
図4d中の矢印A2によって例示するように、弁器具を通り抜けるその流路に達しよう。温水は迅速に温水導管7,8を通って流れ、最終的に弁体115の傘部116に対して衝突しよう。この衝突は、以下に説明するように効果的に弱められよう。これが起きた場合、蛇口が開かれることを念頭に入れると、弁体115は再びその第1の位置へと移動し、これによって傘形弁116を閉止しよう。同時に、水圧および開栓のためにダックビル形弁118が開き、温水が関連する蛇口9または10へと管継手112を通り、場合によっては相対的に短い長さの管を介して分岐液体流路を通り抜けるようにしよう。
【0036】
その後、蛇口を閉じると、弁器具110,115は再び
図4aに示す位置を取ろう。
【0037】
上述した操作の順序は、本発明の弁器具、特に弁体115を軸線方向に位置決めすることを可能にする隔壁119に関する構成および操作を例示する。特に、
図4dに示す位置は重要であり、空気または気体が空気弁を両方向(A1,A2)とも通過することを可能にする。
【0038】
本発明の弁器具を異なる実施形態へと変更することができ、そのうちの2つが
図5a〜
図5eおよび
図6a〜
図6iにそれぞれ例示されている。
図5aなどに示す第2の実施形態における弁体115'は、
図4a〜
図4eに示したものと同様であり、傘形弁部116'と、弁体115'が2つの位置の何れか一方を取ることを可能にする隔壁119'とを持つ。しかしながら、弁体115'の中央部はむくであって、水のための中央軸線方向流路を有していない。代わりに、弁体115'と並列に、温水が管継手111から管継手112へと流れることを可能にする分岐液体逆止め弁118'がある。この構造的な相違を除き、
図5a〜
図5eに示した弁器具は、前の実施形態と全く同じように作動する。
【0039】
第3実施形態は
図6a,
図6bなどに例示されている。弁体115,115'が隔壁119"に置き換えられ、これは水チャンバー114"に収容された水と関連して前の実施形態と全く同じ方法で作動する。空気弁ユニットは空気入口弁部116aおよび空気逃がし弁部116bを具えている。また、前の実施形態の場合のような並列の液体弁118"がある。
【0040】
図6a,
図6bおよび
図6cに示した状況は、
図4a,
図4bおよび
図4cに示したそれらと正確に対応する。
図6dにおいて、隔壁119"は多量の液体が開いた蛇口を通って大気圧へと解放されるので、その第2の位置に移動する。この移動は、温水導管7,8内の気圧を増大させ、この圧力の変化またはパルスは圧力センサー15,16によって検出され、弁11または12が開いて温水が温水導管7,8を通って弁器具および蛇口に向けて流れることを可能にするようになっている。導管内に残留する空気または気体は、空気逃がし弁部116bを通って解放されよう(
図6e中の矢印A2)。温水が弁器具に達すると、空気逃がし弁116bが閉じて隔壁119"がその第1の位置へと移動しよう。また、温水は、液体弁118"を通り、分岐液体流路を介して給水栓へと、さらに、場合によっては短い長さの管を介して給水栓へと流れることを可能にされよう。
【0041】
図6gに示した実施形態において、可撓性の隔壁19"を固定端子部材121と接触状態にする(移動可能な)金属接触部材120が設けられ、電圧供給源122、例えばDC電源または電池に電気的に接続される固定端子部材121には電圧が印加される。可撓性の(従って移動可能な)隔壁119"の金属接触部材120は、 温水導管7の壁の導電層124に導電線123を介して接続される。中央に配された温水供給源(
図1中の2,22,6)に隣接し、導電層124は制御ユニット130に接続される。この制御ユニット130は、隔壁19"がその上部、すなわち第1の位置(
図6a,
図6b,
図6c)に位置している限り、すなわち温水が水栓17を通って流れ、この蛇口が開いている限り、電圧信号を与えよう。平行な一対の接触部材125,126は、隔壁19"をその第1の位置に位置させた場合、この隔壁が接地または基準電圧値に保持されることを確実にしよう。
【0042】
給水栓17が閉じられる(か、またはセンサーによって塞がれる)と、温水導管7内の水圧が直ちに上昇し、集約して配された圧力センサー15,16を始動させ、その結果、ポンプ5が始動して液体導管7内にまだ残っている温水を吸引しよう。閉じた給水栓と隔壁119"と閉じた液体逆止め弁118"との間の多量の非圧縮性の水のため、隔壁119"はその第1の上側の位置に留まり、制御ユニット130に電圧信号を供給し続けよう。空気(または気体)は、気体入口弁部116aを通って吸引され、導管7から送出される水に置き換えられよう。水排除措置の完了後、給水栓を再び開栓するまで、(低圧の)気体、すなわち空気が導管内に留まっていよう。
【0043】
給水栓を再び開く(か、またはセンサーにより開栓する)と、開いた蛇口を通って大気圧に連通するため、隔壁119"の上側の液体チャンバー114"内の水圧が増大し、隔壁119"を第2の位置(
図6d)へと解放しよう。次に、金属接触部材120が固定端子部材121から離れて移動すると、電気的電圧信号が遮断されよう。この変化は制御ユニット130により検出され、中央の弁11を開くことによって第2のステップの再充填操作を引き起こし、温水が温水導管7へと再び供給されるようになっている。残留する空気(または気体)は、温水が弁器具に達するまで空気逃がし弁部116bを通って排出されよう。次に、隔壁119"はその第2、すなわち下側位置からその第1、すなわち上側位置へと再び移動しよう。
【0044】
従って、
図6gの実施形態は、給水栓が開栓すると共に温水が温水導管7を通って供給されるべきであることを示す弁器具からの信号が導管に沿って給水栓器具から中央制御装置へと電気信号として与えられることを除き、前述の実施形態と同じ方法で作動する。
【0045】
図6gのものと同様なさらなる一実施形態が
図6hに示されている。ここにおける信号はまた、温水導管7を伝わる電気信号である。この場合、壁128または温水導管7の外側ではなく、外側の管127、例えば可撓性プラスチックホースの内側に埋設した2本の導電線(か、あるいは導電被覆または導電層)124a,124bがある。これら2本の線124a,124bは、隔壁119"の下に配された可撓性検知体120aにワイヤー部123a,123bを介して結合される。隔壁が下方に移動すると、可撓性検知体はその電気的特性、例えばその抵抗を変更し、隔壁がその第1、すなわち(図示したような)上側位置からその第2、すなわち(
図6dに対応する)下側位置へと移動した場合、電気信号が受信機130aの中央に受信されよう。
【0046】
音響信号発生器120bを隔壁119"の下に配した他の実施形態が
図6iに例示され、この音響信号発生器は可撓性本体に収容され、この可撓性本体が圧縮された時に作動しよう。
【0047】
隔壁119"がその上側、すなわち第1の位置からその下側、すなわち第2の位置へと移動した時に発生する音響信号は、温水導管7の内側をこれに沿って伝播しよう。前述の実施形態の場合のように、給水栓9,17(
図1および
図7a)が開栓する時、これが起こる。
【0048】
音響信号は、中央に配した音響センサー130bによって検出され、これは水供給源からの水を温水導管に再充填することを伴う一方、残留する気体が空気逃がし弁部116bから排出されることを可能にする第2のステップを開始しよう。
【0049】
図7aには給水栓器具の可能な構造が示され、これは一体化した弁器具110,115をその管継手111,112,113と共に含み、後者は分岐空気流路である。また、混合器具201に接続する冷水導管200もある。さらに、温水導管7の端部と弁器具110,115との間に配された流量制御器具300および減衰器具400がある。
【0050】
この本発明による減衰器具400は、より詳細に
図8a,
図8bおよび
図8cに示される。これは、温水導管7の内側端部に延在する小径の内側管401を含み、これは温水導管7の内側および内側管401の外側に環状の容積を形成する。温水導管7の端部には、内側管401と温水導管7との間をシールする丈夫な材料による環状の停止リング402がある。
【0051】
水が温水導管7の端部に比較的高速で達すると、再充填処理の最終段階にて多量の気体、すなわち空気が環状のチャンバー403内に捕捉されよう。このようにして、この多量の空気または気体が圧縮され、水の高速流動が制動されよう。従って、突発的な衝撃が関連する最大圧力および騒音と共に回避されよう。
【0052】
弁器具110,115での最終的な水撃のさらなる緩和として、流量制御器具300が温水導管7の端部と弁器具110,115との間に挿入される。
【0053】
図8dおよび
図8eに例示するように、この流量制御器具は、固定した硬質のリング部材302によって下流側で支持された弾性リング301を含む。圧力が増加すると、弾性リング301が圧縮されて軸線方向に変形し、これによりこれが径方向内側に膨らむことをもたらし、
図8eに示すように、小径の軸線方向流路が形成されるようになっている。このようにして、自由な流路がより小さくなるので、水の流れが減少しよう。
【0054】
減衰器具400および流量制御器具300の組み合わせは、再充填処理の最終段階にて高流速の水の穏やかな衝撃を確実にしよう。
【0055】
図7bおよび
図7cには、給湯栓17のアクチュエーターの2つの変形実施形態が示されている。
図7bにおいて、蛇口管部の上の機械式取手140(
図7a)は、蛇口の前方に物品、例えば自分の手を洗うことを望む彼/彼女の片手の存在を間接的に検知する1つ、または好ましくは2つの光センサー部材141,142を含む光センサーによって置き換えられている。光センサー部材141,142は、電気制御器具143に接続し、混合器201から栓出口146までつながる管部145に挿入された弁144を操作(開または閉)しよう。
【0056】
構成要素141〜144は、
図7aの機械式取手140としてまさに機能しよう。
【0057】
図7cにおいて、給水栓には接触センサー120cを設けた取手140'が設けられ、接触センサーは、中央に配した制御ユニット130cに導電体124cを介してつながっている。取手140'に触れるか、これを動かす、すなわち持ち上げると、制御ユニット130cは上述した
図6gに示す実施形態と同様な方法にて、すなわち3つの連続するステップ(逆方向へ信号を伝播させること、温水導管内へ水を再充填すること、水が液体流路を通って給水栓まで流れ出ることを可能にすること)にて再充填処理を始めよう。
【0058】
この明細書には種々の弁器具の実施形態が開示されている。当業者らに関し、添付した特許請求の範囲によって規定された範囲内にて種々の変更を行うことができることは明白である。例えば、(
図6aから
図6iに例示したように)一方が気体、すなわち空気を出すと共に他方が気体、すなわち空気を出すための2つの分岐空気流路があってもよい。
【0059】
上に示したように、液体弁と蛇口との間に長さの短い配管があってもよい。また、2つ以上の蛇口を(蛇口と液体弁との間の液体の全容量が小さく限り)短い管を介して共通の液体弁に結合することができる。
【0060】
図6gの導電線124a,125bの如き導電線を保護外側管127の外に配することができる。重要かつ有利な特徴は、その変化、すなわち信号が温水導管7に沿って伝播するということである。
【0061】
さらに、液体栓器具は隔壁と同じ方法で作動する機械的結合機構を具えることができる。
【0062】
最後に、加圧気体を収容した小さな気体容器113'を管継手113(
図3a,
図4a)または気体弁部品116a,116bに接続することができ、あるいはこの容器をチャンバー403によって構成することができ、さもなければこのチャンバー403は小さな気体容器403'に対する気体流路の一部を形成することができる。代わりに、チャンバー403が気体弁ユニット110,116を構成するか、これを気体弁に置き換えることができる。何れの場合においても、これらの代わりの実施形態は液体栓器具が使用中ではない場合、気体に対する閉鎖系を形成し、これは液体導管内の液体を置換しよう。