(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0006】
キャビティー内に発光素子が搭載される発光素子搭載用基板に設けられる端子は、発光素子を搭載するスペースを確保する都合上、一般的にキャビティー内の内側面の近傍に設けられる。このため、当該端子からキャビティーの外に延在する配線もキャビティー内の内側面の近傍において当該内側面に沿って設けられるのが通常である。また、この配線や端子を容易に設ける観点から、配線や端子はスクリーン印刷により形成される場合がある。しかし、キャビティーの内側面の付近にスクリーン印刷を行おうとすると、キャビティーの外側と配線が設けられる位置との段差にスクリーンの撓みが追従できない現象が生じ易い。この場合、配線を適切に印刷できず、断線等の原因となる。確かに特許文献1に記載のように、配線の一部が形成される凹部の側面が傾斜面とされることが、配線を適切に印刷する観点から好ましい。しかし、上記現象は、特許文献1の記載のように、単にキャビティーの側面を傾斜する場合であっても生じることが、本発明者等らの鋭意検討により明らかとなった。
【0007】
そこで、本発明は、スクリーン印刷を用いて配線を容易に形成することができる発光素子搭載用基板、及び、それを用いた発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、本発明の発光素子搭載用基板は、発光素子が搭載される素子搭載部を主面に有する平板状の基体部と、前記素子搭載部を囲んだ状態で前記主面に設けられ、前記基体部と反対側が開口する環状の部材であって、開口縁が四角形のそれぞれの角が丸みを帯びる形状をなし、当該四角形の辺に相当する直線部位と当該四角形の角に相当する曲線部位とを有する枠体部と、前記直線部位と接する前記枠体部の内側面に沿って当該直線部位と隣接する前記曲線部位から延在する延在部と、を備え、前記延在部は、前記枠体部の開口面と前記基体部の前記主面との間に位置すると共に端子が配置される端子配置面と、前記曲線部位と前記端子配置面を接続すると共に配線が配置される配線配置面とを有し、前記配線配置面は、前記配線配置面と接続される前記曲線部位から前記素子搭載部に向かう方向に傾斜する傾斜領域を有することを特徴とするものである。
【0009】
特許文献1のように角に丸みを帯びない矩形状の枠体部の内側面の近傍において当該内側面に沿って配線配置面が設けられる場合、枠体部の角付近における内側面等に配線を形成しようとしても、スクリーン印刷時において、スクリーンの印刷面に対する表面追随性が良好とはいえない。そこで、上記発光素子搭載用基板においては、枠体部の開口縁を四角形の角が丸みを帯びた形状とし、この丸みを帯びた曲線部位に配線配置面を接続することで、スクリーン印刷時において、スクリーンやスキージの印刷面に対する表面追随性を改善している。しかも、配線配置面は、曲線部位から素子搭載部に向かう方向に傾斜する傾斜領域を有する。別言すれば、配線配置面は、延在部が延在する方向に沿って端子配置面に向かって進むにつれ枠体部の開口面から素子搭載部に向かう方向に傾斜するとともに、配線配置面と接続される曲線部位から延在部が延在する方向に垂直に進むにつれ枠体部の開口面から素子搭載部に向かう方向に傾斜する傾斜領域を有する。一般的にスクリーンを枠体上に配置して、スクリーンの一部が枠体により形成されるキャビティー内に入り込むようにスクリーンを撓ませる場合、開口の中心が最もキャビティー内に入り込みやすい。従って、このような傾斜領域を有することで、スクリーン印刷時において、スクリーンがより自然な状態で変形して、スクリーンの配線配置面に対する表面追随性がより良好とされる。このため、配線を容易に形成することができる。
【0010】
また、前記傾斜領域において、前記配線配置面は凸面状とされることが好ましい。配線配置面が凸面状とされることで、配線配置面が平面状とされる場合よりも、より自然にスクリーンが変形し、スクリーンの配線配置面に対する表面追随性がより向上する。
【0011】
また、上記の発光素子搭載用基板において、前記延在部を一対備え、一方の前記延在部は、互いに対向する前記内側面の一部の一方に接して設けられ、他方の前記延在部は、互いに対向する前記内側面の一部の他方に接して設けられることが好ましい。
【0012】
一対の延在部が形成されることで、発光素子に電気的に接続される信号ラインとグランドラインとをそれぞれの延在部上に分けて配置することができる。従って、より容易に配線を形成することができる。
【0013】
この場合、一方の前記延在部と他方の前記延在部とは、前記配線配置面から前記端子配置面に向かう方向が互いに逆方向とされることが好ましい。
【0014】
発光素子搭載用基板をこのように構成することで、枠体部によって形成されるキャビティーの中心を基準として、それぞれの延在部を点対称に近づけることができる。従って、配置される発光素子から出射する光の光軸が、発光素子搭載用基板の垂直な方向から傾くことを抑制することができる。
【0015】
また、一方の前記延在部と他方の前記延在部とは、前記配線配置面から前記端子配置面に向かう方向が互いに同じ方向とされることも好ましい。
【0016】
発光素子搭載用基板をこのように構成することで、スクリーン印刷で配線を形成する際に延在部が延在する方向に印刷を行うことで、それぞれの延在部の配線配置面上に形成される配線を略同じ条件で形成することができる。従って、それぞれの延在部の配線配置面上に形成される配線の性質が異なることを抑制することができる。
【0017】
また、上記発光素子搭載用基板は、前記開口の外側から前記傾斜領域を通り前記端子配置面上まで延在する前記配線を更に備え、前記端子配置面上の前記配線が前記端子とされることにより、発光素子を搭載できる状態となる。
【0018】
そして、このような状態の発光素子搭載用基板と、発光素子と、を備え、前記発光素子の端子と前記発光素子搭載用基板の前記端子とが電気的に接続されて、発光装置とされる。この発光装置に用いられる発光素子搭載用基板は、上記のようにスクリーン印刷を用いて容易に配線を形成することができるため、発光装置は、断線による不良率を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明にかかる発光素子搭載用基板、及び、これを用いた発光装置の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、理解の容易のため、それぞれの図のスケールと、以下の説明に記載のスケールとが異なる場合がある。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る発光装置の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の発光装置100は、発光素子搭載用基板1と、発光素子搭載用基板1に搭載される発光素子50とを主な構成として備える。発光装置100は発光素子50を封止する封止樹脂をその他の構成として備えるが、
図1では理解の容易のため封止樹脂が省略されている。
【0022】
発光素子搭載用基板1は、基板本体5と、基板本体5の表面に形成される配線導体40と、を備えている。
【0023】
基板本体5は、基体部10と、基体部10上に形成される枠体部20と、基体部10と枠体部20とで囲まれる空間内に配置される一対の延在部30とから成る。なお、本実施形態では、基体部10と枠体部20とそれぞれの延在部30とは、一体のセラミック焼結体から成る。
【0024】
基板本体5を構成するセラミック焼結体としては、アルミナを主成分とするセラミック焼結体や、窒化アルミニウムを主成分とするセラミック焼結体や、ムライトを主成分とするセラミック焼結体や、低温焼成の一種であるガラス−セラミック焼結体等を挙げることができ、主成分としてアルミナを含み、添加成分としてバリウム元素を含むセラミック焼結体が、光の反射効率が優れる観点からより好ましい。
【0025】
図2は、
図1の発光素子搭載用基板のA−A線を通る面における断面図であり、
図3は、
図1の発光素子搭載用基板のB−B線を通る面における断面図である。
図2、
図3において破線で示すように、仮に基体部10と枠体部20と延在部30とを分解する場合、基体部10は平板状の部位とされる。この基体部10の枠体部20側の面である主面11における略中心は、発光素子50が配置される素子搭載部とされる。この素子搭載部は、発光素子50を搭載することができる領域である限りにおいて特に制限が無く、その周りの領域と特に区別されない領域とされても良く、発光素子50が搭載され易いように立体的な形状とされていても良い。そして、基体部10の主面11の内、枠体部20で囲まれる領域における少なくとも素子搭載部以外の領域は、基体部10を構成するセラミック焼結体が露出した状態とされ、発光素子50が発光する光を反射する反射面とされている。
【0026】
なお、基体部10の大きさは、発光素子50の大きさ等により変わるため特に限定されないが、例えば、3.5mm(縦幅)×3.5mm(横幅)×0.5mm(厚み)とされる。
【0027】
また、基体部10の互いに対向する一対の側面のそれぞれには、配線導体40の一部である一対の接続用配線44を設けるための一対の溝15が設けられている。この溝15は、基板本体5の厚み方向に延在しており、厚み方向に垂直な断面の形状が略半円形とされている。
【0028】
枠体部20は、基体部10の主面11上において、素子搭載部を取り囲むように形成される環状の部位である。枠体部20の基体部10と反対側の面である上面21は平面状とされる。また、枠体部20の外周側の側面の形状は、基体部10の側面の形状と同様とされており、外周側の側面には、基体部10から延在する溝15が形成されている。つまり、溝15は、
図1に示すように、基体部10の底面から枠体部20の上面21にかけて形成されている。
【0029】
また、枠体部20は、上述のように環状の部位であるため、枠体部20には、厚み方向に貫通孔が形成されている。枠体部20は、基体部10上に形成されているため、基板本体5としてみると、枠体部20は、基体部10と反対側が開口していることになる。この開口を形成する枠体部20の開口縁22は、四角形のそれぞれの角が丸みを帯びて面取りされた形状とされている。従って、開口縁22は、当該四角形の辺に相当する4つの直線部位22aと、直線部位22aをそれぞれ連結し当該四角形の角に相当する4つの曲線部位22bとに分解することができる。本実施形態では、開口縁22は、正方形の各角が丸みを帯びた曲線状に面取りされた形状とされている。開口縁22と接する内側面23は、枠体部20の開口方向(基体部10から枠体部20に向かう方向)において、外側に向かって広がる傾斜面とされている。内側面23のうち開口縁22のそれぞれの直線部位22aに接する部位は平面状の平面部位23aとされ、開口縁22それぞれの曲線部位22bと接する部位は曲面状の曲面部位23bとされる。従って、内側面23は、4つの平面部位23aと、平面部位23aをそれぞれ連結する4つの曲面部位23bとに分解することができる。ただし、
図1より明らかなように内側面23のうち一部は、延在部30により目視できない状態とされる。
【0030】
なお、枠体部20のサイズは、特に限定されないが、例えば3.5mm(縦幅)×3.5mm(横幅)×0.4mm(厚み)とされ、枠体部20で囲まれた領域で露出している基体部10の主面11に対する内側面23の角度は、特に限定されないが、例えば110°とされる。
【0031】
一対の延在部30は互いに同じ形状とされる。一方の延在部30は、開口空間Hから見る場合に特定の平面部位23aに沿った一定の方向に延在するように形成されており、他方の延在部30は、一方の延在部30が接する内側面23の平面部位23aと対向する内側面23の平面部位23aに沿って延在するように形成されている。また、それぞれの延在部30は、延在部30が延在する方向において、内側面23の互いに対向する部位同士を接続するように形成されている。すなわち、仮に基体部10と枠体部20と延在部30とを分解可能であるとすると、延在部30は、特定の内側面23の曲面部位23bから、当該特定の曲面部位23bと平面部位23a介して隣り合う曲面部位23bまで延在している。それぞれの延在部30は、後述する端子41が形成される端子配置面31と、後述する内部配線42が形成される配線配置面32とを有する。また、一方の延在部30と他方の延在部30とは、配線配置面32から端子配置面31に向かう方向が互いに逆方向とされる。このため、枠体部20で囲まれる空間の中心を基準として、延在部30は点対称に形成されることになる。また、延在部30が延在する方向とは、配線配置面32から端子配置面31に向かう方向のことである。
【0032】
端子配置面31は、後述のように端子が配置される面であり、開口縁22と素子搭載部(基体部10の主面11)との間に位置し、内側面23の平面部位23aに接している。そして、本実施形態では、端子配置面31は、主面11と平行な面とされ、主面と段差が生じている。
【0033】
配線配置面32は、後述のように配線が配置される面であり、開口縁22の曲線部位22bと端子配置面31とを接続する。上記のように端子配置面31は、開口縁22と素子搭載部との間に位置するため、開口縁22と端子配置面31との間には段差が生じる。このため配線配置面32は、この段差をうめる傾斜面とされ、配線配置面32と接続される曲線部位22bから素子搭載部に向かう方向に傾斜する。具体的には、
図1、
図2に示すように、配線配置面32は、配線配置面32と接続される曲線部位22bから延在部30が延在する方向に沿って端子配置面31に向かって進むにつれ、枠体部20の開口面から素子搭載部に向かう方向に傾斜している。さらに、
図1、
図3に示すように、配線配置面32は、配線配置面32と接続される曲線部位22bから延在部30が延在する方向に垂直に進むにつれ枠体部20の開口面から素子搭載部に向かう方向に傾斜する。配線配置面32は、このように傾斜する傾斜領域を有するのである。そして、本実施形態では、延在部30が延在する方向、及び、この方向に直交する方向のどちらにおいても、配線配置面32の傾斜は、曲線部位22bと接する部分においては、枠体部20の上面21と略面一とされるが、曲線部位22bから開口空間Hの中心に向かうにつれて傾斜がきつくなる。すなわち、配線配置面32が接する曲線部位22bから離れるにつれて、延在部30が延在する方向、及び、この方向に直交する方向に進む単位長さ当たりの開口面から素子搭載部に向かう大きさが大きくなる。こうして、上記領域では、配線配置面32は、凸面状とされるのである。
【0034】
また、それぞれの延在部30の露出する側面は、枠体部20の内側面23と同様にして、枠体部20の開口方向に進むにつれて外側に向かって広がる傾斜面とされている。
【0035】
基板本体5の表面には、上述のように配線導体40が設けられている。この配線導体40は、金属等の導体の層で構成されており、基板本体5における枠体部20の上面21上に設けられる上面配線43と、基板本体5の底面上から基板本体5の側面上わたって形成される接続用配線44と、上面配線43と接続され延在部30上に設けられる内部配線42とを有する。
【0036】
接続用配線44は、発光装置100が外部の端子と電気的に接続されるための配線である。接続用配線44は、溝15が形成される互いに対向するそれぞれの側面上に形成され、一対の接続用配線44は、基板本体5の底面上の互いに対向する縁を含む領域から基板本体5の側面上にわたってそれぞれ形成され、上面配線43に接続されている。なお、基板本体5の側面上の接続用配線44は、それぞれの溝15の内周面上、及び、これらの溝15が形成される側面の一部に形成されている。
【0037】
上面配線43は、枠体部20の上面21において、上面21と溝15が形成されている側面との縁に沿って形成される。上述のように溝15は、基体部10及び枠体部20の互いに対向する側面のそれぞれに一対ずつ形成されているため、上面配線43は、枠体部20の上面21上において、溝15が形成されている互いに対向する一対の縁に沿って一対形成されており、それぞれの上面配線43は、互いに対向する側面上に形成される接続用配線44とそれぞれ接続されている。さらに、上面配線43は、枠体部20の縁に沿って形成される部分から垂直に分岐する分岐部分を有しており、この分岐部分が延在部30に向かって延在している。そして、この分岐部分が延在部30上の内部配線42に接続されている。一対の上面配線43のうち、一方の上面配線43の分岐部分が一方の延在部30上の内部配線42に接続され、他方の上面配線43の分岐部分が他方の延在部30上の内部配線42に接続されている。
【0038】
内部配線42は、延在部30の配線配置面32から端子配置面31まで延在しており、配線配置面32上に位置する内部配線42の端部が端子41とされる。
【0039】
配線導体40のうち、内部配線42と上面配線43とは、スクリーン印刷によって同じ工程内で共に形成される。接続用配線44はめっき加工により形成される。また、上面配線43のうち接続用配線44と接続される部位、すなわち枠体部20の上面21における溝15が形成される縁の近傍の部位は、接続用配線44と共にめっき加工により形成される。従って、上面配線43のうち、溝15が形成される縁の近傍の部位は、スクリーン印刷により形成された導体上にめっき加工された導体が積層されるのである。こうして、上面配線43と接続用配線44とが断線することが防止されている。
【0040】
発光素子50は、特に図示しないが、半導体の層や複数の電極を有して成り、単一或いは複数の波長帯域の光を出射することができるように構成され、信号入力用の端子とグランド接続用の端子とが設けられている。この発光素子50は、枠体部20で囲まれる素子搭載部上に配置され、図示しない接着剤により固定されている。そして、一方の延在部30上の端子41と発光素子50の一方の端子とがボンディングワイヤ51により電気的に接続され、他方の延在部30上の端子41と発光素子50の他方の端子とがボンディングワイヤ51により電気的に接続される。本実施形態の発光素子搭載用基板1は、一対の延在部30が形成されているため、信号ライン用の配線とグランドライン用の配線とをそれぞれの延在部30上に分けて配置することができる。
【0041】
さらに発光素子50の各端子と端子41とがボンディングワイヤ51を介して電気的に接続された状態で、枠体部20で囲まれる空間内には、少なくとも発光素子50及びボンディングワイヤ51を覆うように図示せぬ封止樹脂が充填される。この封止樹脂は、発光素子50が発光する光を透過可能な光透過性の樹脂とされる。封止樹脂に用いる樹脂としては、発光素子50が発光する光を透過する樹脂である限りにおいて、特に限定されないが、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂を挙げることができ、発光装置100の耐久性を向上させる観点からシリコーン樹脂がより好ましい。また、封止樹脂には蛍光体が含有されても良く、このような蛍光体としては、発光素子から出射する光を受けて、他の波長の光を発光可能なものであれば良い。
【0042】
このような発光装置100は、基板本体5の底面や側面に形成された接続用配線44が、外部の電気回路基板の端子に接続されて使用される。発光装置100の使用状態においては、接続用配線44に印加される電圧が、内部配線42やボンディングワイヤ51等を介して、発光素子50へ印加され、この電圧により発光素子50が発光する。発光素子50が発光する光は、封止樹脂を透過して直接発光装置100の外部に出射したり、基体部10の枠体部20で囲まれる領域のうち露出している部分や、枠体部20の内側面23のうち露出している部分や、延在部30の側面のうち露出している部分で反射して、発光装置100の外部に出射する。
【0043】
また、本実施形態の発光素子搭載用基板1においては、上述のように、枠体部20の内側面23や延在部30の側面が、枠体部20の開口方向において、外側に向かって広がる傾斜面とされる。このため、枠体部20の内側面23のうち露出する部分で反射する光や、延在部30の側面のうち露出している部分で反射する光は、進行方向が枠体部20の開口方向に近づくように補正される。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の発光素子搭載用基板1によれば、基板本体5において、枠体部20の開口縁22を四角形の角が丸みを帯びた形状とし、この丸みを帯びた曲線部位22bに配線配置面32を接続している。従って、上記のようにスクリーン印刷で内部配線42を形成する際に、スクリーンの印刷面に対する表面追随性が改善される。
【0045】
しかも、配線配置面32は、枠体部20の開口縁22の曲線部位22bから延在部30が延在する方向に沿って進むにつれ枠体部20の開口面から素子搭載部に向かう方向に傾斜するのみならず、開口縁22の曲線部位22bから延在部30が延在する方向に垂直に進むにつれ枠体部20の開口面から素子搭載部に向かう方向に傾斜する領域を有する。従って、スクリーン印刷時において、スクリーンがより自然な状態で変形して、スクリーンの配線配置面32に対する表面追随性がより良好とされる。このため、本実施形態の発光素子搭載用基板1では配線を容易に形成することができるのである。このため、本実施形態の発光素子搭載用基板1では断線が抑制される。
【0046】
このように発光素子搭載用基板1の断線が抑制されるため、発光装置100は断線による不良率を低減することができる。
【0047】
また、本実施形態の発光素子搭載用基板1では、一方の延在部30と他方の延在部30とは、配線配置面32から端子配置面31に向かう方向が互いに逆方向とされており、枠体部20に囲まれる空間の中心を基準としてそれぞれの延在部30が点対称とされている。従って、発光素子50から出射する光の光軸が、発光素子搭載用基板1の垂直な方向から傾くことを抑制することができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図4、
図5を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0049】
図4は、本発明の第2実施形態にかかる発光装置を
図1と同様にして示す図であり、
図5は、
図4の発光装置200のC−C線を通る面での断面図である。
【0050】
図4に示すように、本実施形態の発光装置200に用いられる発光素子搭載用基板2は、一対の延在部30が、互いに互いに同じ方向を向く点において、第1実施形態の発光素子搭載用基板1と異なる。つまり、本実施形態の発光素子搭載用基板2では、一方の延在部30と他方の延在部30における配線配置面32から端子配置面31に向かう方向が互いに同じ方向とされるのである。
【0051】
そして、
図5に示すように、それぞれの延在部30における配線配置面32の傾斜している領域は、延在部30が延在する方向に垂直な方向において、互いに逆向きとされる。
【0052】
また、一対の延在部30の向きが同一をされるため、
図4に示すように、溝15が形成されている上面21の縁に沿って形成される上面配線43のうち、配線配置面32が接続される側の上面配線43は、二つに分割されている。このため分割されたそれぞれの上面配線43同士がショートしない様に、接続用配線44も2つに分割されている。一方、2つに分割された接続用配線44が形成される側面と対向する側面には、発光装置200を固定するために用いられ、特に電気的な接続がなされない固定用配線45が形成されている。
【0053】
なお、それぞれの配線は、第1実施形態におけるそれぞれの配線と同様の方法により形成される。
【0054】
以上、本実施形態の発光装置200に用いられる発光素子搭載用基板2では、スクリーン印刷で内部配線42を形成する際に延在部30が延在する方向に印刷を行うことで、それぞれの内部配線42を略同じ条件で形成することができる。従って、それぞれの内部配線42の性質が同じとなるようにすることができる。
【0055】
以上、本発明について、第1、第2実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】
例えば、上記実施形態では、基板本体5が一体のセラミックにより形成されるとしたが、基体部10と枠体部20と延在部30とを個別に形成して接着しても良い。さらに、基板本体5は、セラミックで構成されなくても良く、例えば、樹脂により構成されても良い。
【0057】
また、上記のように、配線配置面32は、配線配置面32と接続される開口縁22の曲線部位22bから延在部30が延在する方向に沿って前記端子配置面31に向かって進むにつれ枠体部20の開口面から素子搭載部に向かう方向に傾斜するとともに、配線配置面32と接続される開口縁22の曲線部位22bから延在部30が延在する方向に垂直に進むにつれ枠体部20の開口面から素子搭載部に向かう方向に傾斜する領域を有する。配線配置面32は、このような構成を有する限りにおいて、当該領域が上記実施形態の発光素子搭載用基板1,2ように凸面状とされなくても良く、当該領域が上記のように傾斜する平面状とされても良い。ただし、配線配置面32が凸面状とされる方が、配線配置面32が平面状とされる場合よりも、スクリーン印刷時においてスクリーンがより自然に変形し、スクリーンの配線配置面32に対する表面追随性がより向上するため好ましい。
【0058】
また、上記実施形態では、端子配置面31は主面11と平行とされたが、端子配置面31は主面11と平行とされなくても良い。しかし、ボンディングワイヤのボンディングを自動機で良好に行う観点から、上記実施形態のように端子配置面31は主面11と平行とされることが好ましい。
【0059】
以上説明したように、本発明によれば、スクリーン印刷を用いて配線を容易に形成し得る発光素子搭載用基板、及び、それを用いた発光装置が提供され、照明分野等への利用が期待される。