特許第6002922号(P6002922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6002922ブラシレス直流モーターの回転速度制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6002922
(24)【登録日】2016年9月16日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】ブラシレス直流モーターの回転速度制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/16 20160101AFI20160923BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20160923BHJP
   H02K 16/04 20060101ALI20160923BHJP
   H02K 29/08 20060101ALI20160923BHJP
【FI】
   H02P6/16
   H02K11/33
   H02K16/04
   H02K29/08
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-219986(P2014-219986)
(22)【出願日】2014年10月29日
(65)【公開番号】特開2016-86607(P2016-86607A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2014年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】514275543
【氏名又は名称】瑞展動能股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100080252
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 征四郎
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】劉金錫
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐久男
【審査官】 マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−125566(JP,A)
【文献】 特開2007−252199(JP,A)
【文献】 特開2004−343856(JP,A)
【文献】 特開2004−015880(JP,A)
【文献】 特開2012−029540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/16
H02K 11/33
H02K 16/04
H02K 29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシレス直流モーターの回転速度制御システムは、少なくともブラシレス直流モーター、インバーター回路、ゲート駆動回路、マイクロコントローラーを備え、
前記ブラシレス直流モーターには、少なくとも2個の固定子、1個のローターを設置し、前記2個の固定子は、相同の軸心に沿って配列し設置され、前記各固定子は、円環状を備える本体を備え、前記本体上には、本体中心へと延伸する固定子歯を設置し、前記各固定子歯末端には、チップを設置し、前記各固定子歯上には、所定のゲート数のコイルを巻いて設置し、しかも前記2個の固定子のチップは、ローターを取り囲む周方向に相互に配置されることにより、それぞれ円孔状構造形態を呈し、前記ローターは、2個の固定子の円孔状構造形態内に相対して設置され、前記ローターは、シャフト上に、複数の永久磁石を取り囲んで設置し、しかも全ての永久磁石は、シャフトの外周において、N極/S極が交互に配置する方式で配列して設置され、
前記インバーター回路は、ブラシレス直流モーターの2個の固定子と直流電源との間に電気的に連接し、
前記ゲート駆動回路は、前記マイクロコントローラーと前記インバーター回路との電気的連接を構成し、前記マイクロコントローラーにより、外部の回転速度制御信号に連接し、
前記各固定子歯の隣接するコイルの間隔は、180度/m(mは固定子の個数)の電気角を有し、
前記インバーター回路は、直列または並列接続方式を採用し、電気的に連接し、
また、前記インバーター回路は、8個のトランジスターを備え、前記各トランジスターの内の4個のトランジスターは1個の固定子のコイル回路に連接し、別の前記各トランジスターは別の1個の固定子のコイル回路に連接し、前記ゲート駆動回路は前記各トランジスターにそれぞれ連接する、
ことを特徴とするブラシレス直流モーターの回転速度制御システム。
【請求項2】
前記ブラシレス直流モーターの回転速度制御システムは、ブラシレス直流モーターのローター周辺に、少なくとも1個のホールセンサー部品を設置し、
前記ローターの永久磁石位置の変化に応じて、対応する電流信号を発生することを特徴とする請求項1に記載のブラシレス直流モーターの回転速度制御システム。
【請求項3】
前記隣接するチップの間隙の範囲は、2mm〜5mmであることを特徴とする請求項1に記載のブラシレス直流モーターの回転速度制御システム。
【請求項4】
前記ブラシレス直流モーターの回転速度制御システムにおいて、前記ブラシレス直流モーターのローター周辺には、少なくとも1個のホールセンサー部品を設置し、前記マイクロコントローラーと電気的に連接し、
前記ホールセンサー部品により、前記ローターの回転速度を探知することを特徴とする請求項2に記載のブラシレス直流モーターの回転速度制御システム。
【請求項5】
前記ブラシレス直流モーターの回転速度制御システムにおいて、前記ブラシレス直流モーターのローター周辺には、少なくとも2個のホールセンサー部品を設置し、前記マイクロコントローラーと電気的に連接し、
内1個のホールセンサー部品により、前記ローターの回転速度を探知し、別の1個のホールセンサー部品により、電流交換のタイミングを探知することを特徴とする請求項2に記載のブラシレス直流モーターの回転速度制御システム。
【請求項6】
前記ブラシレス直流モーターの回転速度制御システムにおいて、前記ブラシレス直流モーターのローター周辺には、少なくとも3個のホールセンサー部品を設置し、前記マイクロコントローラーと電気的に連接し、
内1個のホールセンサー部品により、前記ローターの回転速度を探知し、別の1個のホールセンサー部品により、電流交換のタイミングを探知し、さらに別の1個のホールセンサー部品により、前記ローターの回転方向を探知して判断することを特徴とする請求項2に記載のブラシレス直流モーターの回転速度制御システム。
【請求項7】
前記マイクロコントローラーにより、外部回転速度制御信号、及び前記少なくとも1個のホールセンサー部品の電流信号に連接し、しかも受信した回転速度制御信号、及び前記ホールセンサー部品が伝送する信号に基づき、前記ゲート極を制御して、回路を駆動し、2個の固定子のコイル回路を交互に駆動することを特徴とする請求項2に記載のブラシレス直流モーターの回転速度制御システム。
【請求項8】
前記マイクロコントローラー14により、外部回転速度制御信号、及び前記少なくとも1個のホールセンサー部品の電流信号に連接し、しかも受信した回転速度制御信号、及び前記ホールセンサー部品が伝送する信号に基づき、任意の固定子のコイル回路を駆動し、これにより通電した固定子と対応するローターとは、相互作用電磁場を形成することを特徴とする請求項2に記載のブラシレス直流モーターの回転速度制御システム。
【請求項9】
前記各固定子には、8個の固定子歯をそれぞれ設置し、前記ローターには、8個の永久磁石を設置することを特徴とする請求項1〜8の任意の1項に記載のブラシレス直流モーターの回転速度制御システム。
【請求項10】
前記各固定子には、偶数個の固定子歯をそれぞれ設置し、
前記ローターには、偶数個の永久磁石を設置することを特徴とする請求項1〜8の任意の1項に記載のブラシレス直流モーターの回転速度制御システム。
【請求項11】
前記各固定子には、偶数個の固定子歯をそれぞれ設置し、
前記ローターには、前記固定子に対応する偶数個の永久磁石を設置することを特徴とする請求項1〜8の任意の1項に記載のブラシレス直流モーターの回転速度制御システム。
【請求項12】
前記各固定子は、相同の構造形態の複数のシリコンスチール片をそれぞれ重ねて構成することを特徴とする請求項1〜8の任意の1項に記載のブラシレス直流モーターの回転速度制御システム。
【請求項13】
前記各永久磁石の軸方向の長さは、前記2個の固定子のチップの設置範囲を含むことを特徴とする請求項1〜8の任意の1項に記載のブラシレス直流モーターの回転速度制御システム。
【請求項14】
前記インバーター回路は、8個の電子部品を含み、
前記各電子部品の内の4個の電子部品は、1個の固定子のコイル回路に連接し、
別の前記各電子部品は、別の1個の固定子のコイル回路に連接し、
前記ゲート駆動回路は、前記各電子部品にそれぞれ連接することを特徴とする請求項1〜8の任意の1項に記載のブラシレス直流モーターの回転速度制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーター回転速度の制御技術に関し、低速運転時に高トルクを出力でき、及び高速運転時に低トルクを出力できるブラシレス直流モーターの回転速度制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
モーター(電動機と別称)は電力を機械エネルギーに転換し、機械を駆動して回転、振動或いは直線運動を行わせるものである。
それは、自動コントロールと電動機器分野に広く運用されている他、日常生活では多くの家電製品に、モーターが運用されている。
そのため、モーターの種類と運用もますます多様化している。
【0003】
モーターの種類は非常に多く、駆動電流の違いにより、おおよそ直流モーターと交流モーターに分類される。
その基本構造は、固定子(Stator)とローター(Rotor)により構成される。
【0004】
交流モーターは、構造がシンプルで価格が低廉であるが、かつては変速コントロールが比較的困難であったため、定回転速度或いは多段階変速に主に応用されてきた。
交流モーターは実際の運転時に、その回転速度は、供給される電流の周波数と正比例するため、原則的には、周波数が高くなればなるほど回転速度も速くなる。
インバーターが交流モーターの変速コントロールに応用されるようになり、工業的には既にかなりの期間となることと、近年の大型IC回路の急速な発展によるパワー電子部品の進歩により、複雑なコントロールが、マイクロプロセッサーを基礎とするソフトウエアにより実現されるようになっている。
【0005】
一般に直流モーターのローターは、電磁石(エナメル線を巻いて構成)で、固定子は永久磁石である。
永久磁石は磁場を構成し、コイルを巻いた電磁磁石はローターを構成する。
電流の方向を適時に改変することで、ローターは同一方向に持続的に回転する。
【0006】
例えば、ブラシ直流モーターは、電流が電気ブラシを流れることで、電機子を回転させ、発生した垂直磁場により、ローター上に多数組の線を巻き付け、電気ブラシ(brush)と整流(commutator)の調整を通して、電機子に流入する電流は、ローター磁場をコントロールし、磁場における垂直の方向を保持させられる。
【0007】
一方、ブラシレス直流モーターは、ブラシ直流モーターの電気ブラシと整流子のメンテナンス問題を解決することができる。
その動作原理の、ブラシ式直流モーターとの最大の差異は、ブラシレス直流モーターは電子式の整流に改変し、ローターと固定子磁場を所定位相差に保持する目的を達成することである。
【0008】
従来のブラシレス直流モーターの回転速度を調整する際には、電圧可変することにより、達成することができ、これは一見、簡単で容易に感じられる。
しかし、モーターに大きな負荷がかかっている時には、深刻なトルク不足の問題が起きる。
そのため、電力が大きい電源を選択しなければ、モーターを靜止状態から起動して運転させることはできない。
これでは、ブラシレス直流モーターに使用する電源は制限されるばかりか、ブラシレス直流モーターのフルタイム運転過程においてもより多くの電力を消費してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】台湾特許TWI353705
【特許文献2】台湾特許TWI411198
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上述した発明は使用上に欠点があり、改善する必要がある。その原因は下記の通りである。
【0011】
従来のブラシレス直流モーターにおいて回転速度を調整する際に、モーターに負荷がかかっている時には、深刻なトルク不足の問題が起きるため、電力が大きい電源を選択しなければ、モーターを靜止状態から起動して運転させることはできない。
これでは、ブラシレス直流モーターに使用する電源は制限されるばかりか、ブラシレス直流モーターのフルタイム運転過程においてもより多くの電力を消費してしまう。
【0012】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、応用するブラシレス直流モーターの低速運転時に高トルクを出力でき、及び高速運転時に低トルクを出力できるブラシレス直流モーターの回転速度制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によるブラシレス直流モーターの回転速度制御システムは、少なくともブラシレス直流モーター、インバーター回路、ゲート駆動回路、マイクロコントローラーを備える。
ブラシレス直流モーターには、2個の固定子、1個のローターを設置する。
2個の固定子は、相同の軸心に沿って配列し設置される。
各固定子は、円環状を備える本体を備える。
本体上には、本体中心へと延伸する固定子歯を設置する。
各固定子歯末端には、チップを設置する。
各固定子歯上には、所定のゲート数のコイルを巻いて設置する。
しかも、2個の固定子のチップは、相互に交差し取り囲んで、円孔状構造形態を呈する。
ローターは、2個の固定子の円孔状構造形態内に相対して設置される。
ローターは、シャフト上に、複数の永久磁石を取り囲んで設置する。
しかも、全ての永久磁石は、シャフトの外周において、N極/S極が交差して配置する方式で配列して設置される。
【0014】
インバーター回路は、ブラシレス直流モーターの2個の固定子と直流電源との間に電気的に連接する。
ゲート駆動回路は、マイクロコントローラーとインバーター回路との電気的連接を構成する。
マイクロコントローラーにより、外部の回転速度制御信号に連接する。
【0015】
上述した技術的特徴を利用し、本発明のブラシレス直流モーターの回転速度制御システムは、使用時には、インバーター回路を通して、2個の固定子と直流電源との電気的連接を構成する。
しかも、マイクロコントローラー及びゲート駆動回路の統合作動に対応し、受信した回転速度制御信号、及びホールセンサー部品が伝送する信号に基づき、2個の固定子のコイル回路を交互に駆動し、或いは任意の固定子のコイル回路を駆動し、通電した固定子とローターに、相互作用電磁場を形成させる。
こうして、ローターは同一方向に持続的に回転する。
これにより、2個の固定子のコイル回路を交互に駆動する方式を通して、低速運転時に高トルクを出力し、及び任意の固定子のコイル回路を駆動する方式を通して、高速運転時に低トルクを出力できる回転速度制御効果を達成する。
上述の技術的特徴に基づき、ブラシレス直流モーターの回転速度制御システムは、ブラシレス直流モーターのローター周辺に、少なくとも1個のホールセンサー部品を設置し、ローターの永久磁石位置の変化に応じて、対応する電流信号を発生する。
上述の技術的特徴に基づき、インバーター回路は、直列または並列接続方式を採用し、電気的に連接する。
上述の技術的特徴に基づき、隣接するチップとの間隙の範囲は、2mm〜5mmである。
上述の技術的特徴に基づき、各固定子歯の隣接するコイルとの間隔(180度/m)の電気角を有する。mは固定子の個数である。
上述の技術的特徴に基づき、ブラシレス直流モーターのローター周辺には、少なくとも1個のホールセンサー部品を設置し、マイクロコントローラーと電気的に連接し、ホールセンサー部品により、ローターの回転速度を探知する。
上述の技術的特徴に基づき、ブラシレス直流モーターのローター周辺には、少なくとも2個のホールセンサー部品を設置し、マイクロコントローラーと電気的に連接し、内1個のホールセンサー部品により、ローターの回転速度を探知し、別の1個のホールセンサー部品により、電流交換のタイミングを探知する。
上述の技術的特徴に基づき、ブラシレス直流モーターのローター周辺には、少なくとも3個のホールセンサー部品を設置し、マイクロコントローラーと電気的に連接し、内1個のホールセンサー部品により、ローターの回転速度を探知し、別の1個のホールセンサー部品により、電流交換のタイミングを探知し、別の1個のホールセンサー部品により、ローターの回転方向を探知して判断する。
上述の技術的特徴に基づき、マイクロコントローラーにより、外部回転速度制御信号及び少なくとも1個のホールセンサー部品の電流信号に連接し、しかも受信した回転速度制御信号、及びホールセンサー部品が伝送する信号に基づき、ゲート極を制御して、回路を駆動し、2個の固定子のコイル回路を交互に駆動する。
【0016】
上述の技術的特徴に基づき、マイクロコントローラーにより、外部回転速度制御信号及び少なくとも1個のホールセンサー部品の電流信号に連接し、しかも受信した回転速度制御信号、及びホールセンサー部品が伝送する信号に基づき、任意の固定子のコイル回路を駆動し、これにより通電した固定子と対応するローターとは、相互作用電磁場を形成する。
各固定子には、8個の固定子歯をそれぞれ設置し、ローターには、8個の永久磁石を設置する。
各固定子には、偶数個の固定子歯をそれぞれ設置し、ローターには、偶数個の永久磁石を設置する。
各固定子には、偶数個の固定子歯をそれぞれ設置し、ローターには、固定子に対応する偶数個の永久磁石を設置する。
各固定子は、複数の相同構造形態のシリコンスチール片を重ねて構成する。
各永久磁石の軸方向の長さは、2個の固定子のチップの設置範囲を含む。
【0017】
本発明のブラシレス直流モーターの回転速度制御システムは、2個の固定子のコイル回路を交互に駆動する方式を通して、低速運転時に高トルクを出力し、及び任意の固定子のコイル回路を駆動する方式を通して、高速運転時に低トルクを出力でき、高出力の電源を使用しなくとも、モーターの運転を起動することができ、しかもモーターの運転が設定した回転速度に達すると、任意の固定子のコイル回路を駆動する方式の運転に切り換えられ、ブラシレス直流モーター使用電源の制限を低下させられるばかりか、ブラシレス直流モーターのフルタイム運転過程において節電効果を備える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のブラシレス直流モーターの回転速度制御システムの構成模式図である。
図2】本発明のブラシレス直流モーターの外観立体図である。
図3】本発明のブラシレス直流モーターの構造分解図である。
図4】本発明のブラシレス直流モーターの構造断面図である。
図5】本発明のブラシレス直流モーターにおいて、交互に2個の固定子のコイル回路を駆動する方式で運転する時、その固定子とローターの磁性の相互作用関係を示す模式図である。
図6】本発明のブラシレス直流モーターにおいて、任意の固定子のコイル回路を駆動する方式で運転する時、その固定子とローターの磁性の相互作用関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(一実施形態)
本発明の一実施形態によるブラシレス直流モーターの回転速度制御システムは、低速運転時に高トルクを出力でき、及び高速運転時に低トルクを出力できるブラシレス直流モーターの回転速度制御システムであって、低速運転時に高トルクを出力し、高速運転時に低トルクを出力する回転速度制御効果を達成でき、非常に広い範囲の回転速度の変化に対応可能である。
【0020】
本発明の一実施形態によるブラシレス直流モーターの回転速度制御システムを以下に図面に基づいて説明する。
本発明のブラシレス直流モーターの回転速度制御システムの構成模式図である図1に示すように、本発明のブラシレス直流モーターの回転速度制御システムは、一ブラシレス直流モーター20、少なくとも1個のホールセンサー部品11、インバーター回路12、ゲート駆動回路13、マイクロコントローラー14を備える。
【0021】
図1〜5に示すように、ブラシレス直流モーター20には、2個の固定子21、1個のローター22を設置する。
2個の固定子21は、相同の軸心に沿って配列し設置される。
各固定子21は、円環状を備える本体211を備える。
本体211上には、本体211中心へと延伸する固定子歯212を設置する。
各固定子歯212末端には、チップ213を設置する。
各固定子歯213上には、所定のゲート数のコイル214を巻いて設置する。
【0022】
各固定子21の隣接するチップ213の間隙は、2mm〜5mmで、間隙が2mmより小さければ、巻き線は困難で、5mmより大きければ、無用の磁力を生じ易く、コストも高い。
しかも、2個の固定子21のチップ213は、ローター22を取り囲む周方向に交互に配置されることにより、それぞれ円孔状の構造形態を呈する。
【0023】
ローター22は、2個の固定子21の円孔状構造形態内に相対して設置される。
ローター22は、シャフト221上に、複数の永久磁石222を取り囲んで設置する。
しかも、全ての永久磁石222は、シャフト221の外周において、N極/S極が交互に配置する方式で配列して設置される。
【0024】
該各固定子歯212の隣接するコイル214との相互間の間隔(180度/m)の電気角を有する。mは、固定子の個数である。
ここで、機械角と電気角の関係は、固定子の個数により決まることは疑いの余地を挟まない。
各固定子歯212の隣接するコイルの相互間の間隔は、180度/mの電気角を有する。mは、固定子の個数である。
よって、電気角の1個の周期は、機械角の1個の周期と対応しない。
本発明の実施形態では、2個の固定子21を例とし、各固定子21の固定子歯212は8個で、その電気角の1個の周期は、ローター22の回転角の1/4に相当する。
この時、電気角が一定角度中の感知電圧であろうとも、機械角の異なる位置で検出された感知電圧に変わる。
もし、機械角が異なるなら、固定子21の個数の機械式構造に基づき、感知電圧中で変化の状況が生じる。
【0025】
少なくとも1個のホールセンサー部品11は、ブラシレス直流モーター20のローター22周辺に相対して設置される。
これにより、ローター22の永久磁石222の位置の変化に応じて、対応する電流信号を発生する。
本実施形態中では、ブラシレス直流モーター20のローター22周辺には、マイクロコントローラー14と電気的に連接する3個のホールセンサー部品11を設置する。
1個のホールセンサー部品は、ローターの回転速度を感知し、1個のホールセンサー部品は、電流交換のタイミングを感知し、1個のホールセンサー部品は、ローターの回転方向を感知して判断する。
【0026】
インバーター回路12は、ブラシレス直流モーター20の2個の固定子21と直流電源との間に電気的に連接する。
インバーター回路12は、少なくとも4個の電子部品により構成される。
各電子部品は、電気的に連接し、インバーター回路12を構成する。
本発明実施形態では、電子部品は8個である。
インバーター回路12は、直列または並列接続方式を採用し、電気的に連接する。
【0027】
ゲート駆動回路13は、マイクロコントローラー14とインバーター回路12との電気的連接を構成する。
マイクロコントローラー14により、外部回転速度制御信号及び少なくとも1個のホールセンサー部品11の電流信号に連接する。
電子部品は、トランジスターである。
【0028】
図1、2の実施形態に示すように、インバーター回路12は、8個のトランジスターQ1〜Q8を備える。
トランジスターQ1〜Q4は、1個の固定子のコイル回路に連接する。
トランジスターQ5〜Q8は、別の1個の固定子のコイル回路に連接する。
ゲート駆動回路13は、トランジスターQ1〜Q8にそれぞれ連接する。
これにより、トランジスターQ1〜Q8のオープン或いは遮断をコントロールする。
【0029】
しかも、受信した回転速度制御信号、及びホールセンサー部品11がマイクロコントローラー14にフィードバックした信号に基づき、ゲート駆動回路13を制御して、信号をインバーター回路12へと伝送させる。
インバーター回路12は、複数の電子部品を同時に起動し、対応する電子部品の電磁場を切換え、N極/S極交差を形成する。
これにより、2個の固定子21のコイル回路を同時に起動して交互に駆動し、ゲート駆動回路13は、トランジスターQ1〜Q8のオープン或いは遮断をコントロールする。
これにより、2個の固定子21のコイル回路に交互に通電する。
【0030】
或いは、受信した回転速度制御信号、及びホールセンサー部品11がマイクロコントローラー14にフィードバックした信号に基づき、ゲート駆動回路13を制御して、信号をインバーター回路12へと伝送させる。
インバーター回路12は、いくつかの電子部品だけを駆動し、任意の固定子に影響を及ぼす電子部品に切り換える。
こうして、任意の固定子21のコイル回路を駆動し、通電した固定子21と対応するローター22とは、相互作用電磁場を形成し、ゲート駆動回路13は、トランジスターQ1〜Q8のオープン或いは遮断をコントロールする。
これにより、任意の固定子21のコイル回路は単相通電する。
【0031】
原則的には、本発明のブラシレス直流モーターの回転速度制御システムは、使用時には、インバーター回路12を通して、2個の固定子21と直流電源との電気的連接を構成する。
しかも、マイクロコントローラー14及びゲート駆動回路13の統合作動に対応し、受信した回転速度制御信号、及びホールセンサー部品11が伝送する信号に基づき、2個の固定子21のコイル回路(図5参照)を交互に駆動し、或いは任意の固定子21のコイル回路(図6参照)を駆動する方式で、通電した固定子21とローター22に、相互作用電磁場を形成させる。
こうして、ローター22は同一方向に持続的に回転する。
【0032】
上述実施形態においては、ホールセンサー部品を利用しモーターのローター位置を感知して検出し、他のセンサーを利用して、モーターのローター位置を感知して検出する。
【0033】
すなわち、本発明のブラシレス直流モーターシステムは、高出力の電源を必要とせず、応用するブラシレス直流モーターを、靜止状態から起動して運転できる。
しかも、設定した回転速度まで運転後、任意の固定子のコイル回路を駆動する方式での運転に切り換えられる。
これにより、ブラシレス直流モーター使用電源の制限を低下させられるばかりか、ブラシレス直流モーターのフルタイム運転過程において節電効果を備える。
【0034】
さらに、本発明が応用するブラシレス直流モーター20の実施時には、各固定子21相同の構造形態の複数のシリコンスチール片を重ねてそれぞれ構成する。
本実施形態中では、各固定子21には、8個の固定子歯212をそれぞれ設置し、ローター22には、8個の永久磁石222を設置する。
しかも、各永久磁石222の軸方向の長さは好ましくは、2個の固定子21のチップ213の設置範囲を含む。
【0035】
また当然、各固定子21には、偶数個の固定子歯をそれぞれ設置でき、ローター22には、偶数個の永久磁石222を設置できる。
例えば、8個の固定子歯212は、4個の永久磁石222に対応し、或いは各固定子21には、偶数個の固定子歯212をそれぞれ設置し、ローター22には、固定子21に対応する偶数個の永久磁石222を設置する。
【0036】
本発明が応用するブラシレス直流モーターは、具体的実施時には、各固定子の固定子歯の個数及びローターの永久磁石の個数は、実際のサイズい応じて、違った個数を配置して設計することができる。
しかも、適当な駆動回路の対応作動により、各固定子のコイル整流タイミングを効果的にコントロールでき、ブラシレス直流モーター全体の運転効率を簡単に向上させられ、或いは回転速度の変化範囲を拡大することができる。
【0037】
従来の技術と比較すると、本発明のブラシレス直流モーターの回転速度制御システムは、2個の固定子のコイル回路を交互に駆動する方式を通して、低速運転時に高トルクを出力し、及び任意の固定子のコイル回路を駆動する方式を通して、高速運転時に低トルクを出力できる。
その回転速度制御の方法は、高出力の電源を使用しなくとも、モーターの運転を起動することができる。
【0038】
しかも、モーターの運転が設定した回転速度に到達後は、任意の固定子のコイル回路を駆動する方式での運転に切り換えられ、これにより、ブラシレス直流モーター使用電源の制限を低下させられるばかりか、ブラシレス直流モーターのフルタイム運転過程において節電効果を備える。
こうして、ブラシレスモーター制御システムは、低速運転時に高トルクを出力し、高速運転時に低トルクを出力する回転速度制御効果を達成でき、非常に広い範囲の回転速度の変化に対応可能である。
【0039】
上述の実施形態の説明を総合すると、本発明の操作、使用、及び本発明が生じる効果を充分理解することができる。しかし、以上に述べた実施形態は単に本発明の好ましい実施形態であり、これによって本発明の特許請求の範囲を限定することではない。即ち本発明の特許請求の範囲及び説明書の内容に基づいて、同等効果を有する簡単な変化及び修飾は、全て、本発明の範囲内に属するものとする。
【符号の説明】
【0040】
Q1〜Q8 トランジスター
11 ホールセンサー部品
12 インバーター回路
13 ゲート駆動回路
14 マイクロコントローラー
20 ブラシレス直流モーター
21 固定子
211 本体
212 固定子歯
213 チップ
214 コイル
22 ローター
221 シャフト
222 永久磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6