(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6003067
(24)【登録日】2016年9月16日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】容器およびそれを用いた物品情報音声報知システム
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20160923BHJP
G09B 21/00 20060101ALI20160923BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20160923BHJP
B65D 5/44 20060101ALI20160923BHJP
【FI】
B65D25/20 P
G09B21/00 B
G06K19/06 028
B65D5/44 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-14316(P2012-14316)
(22)【出願日】2012年1月26日
(65)【公開番号】特開2013-154885(P2013-154885A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年11月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090893
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 敏
(72)【発明者】
【氏名】土村 健治
(72)【発明者】
【氏名】古田 晴子
【審査官】
西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−129626(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3138456(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3000720(JP,U)
【文献】
特開平05−051083(JP,A)
【文献】
特開2004−69745(JP,A)
【文献】
特開2003−72764(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3152955(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 23/00−25/56
B65D 5/00− 5/76
G06K 19/06
G09B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する収納部を備えるとともに、
前記物品を表現するための情報を外側からスキャナーで読み取るためにコード化された物品コードを一体に備える容器において、
前記物品コードの近傍に触覚で識別可能なかぎ状の触覚識別部を備え、
前記かぎ状の長さが縦方向より横方向が大であることを特徴とする、容器。
【請求項2】
前記触覚識別部が凸状であることを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記触覚識別部が、前記物品コードの対角に沿うことを特徴とする、請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
物品を収納する収納部を備えるとともに、
前記物品を表現するための情報をスキャナーで読み取るためにコード化された別体の物品コードを内在させ、透過性材料で形成された容器において、
前記物品コードを前記容器越しに前記スキャナーで読み取り可能とした容器であって、
前記物品コードの近傍で前記透過性材料に形成された容器上に、触覚で識別可能なかぎ状の触覚識別部を備え、
前記かぎ状の長さが縦方向より横方向が大であることを特徴とする、容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納する収納部と、前記物品を表現するための情報をスキャナーで読み取るためにコード化された物品コードとを一体に備える容器およびそれを用いた物品情報音声報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者や視覚障害者にとって商品カタログなどの文字は、しばしば小さくて見にくいことがある。これに対して、特許文献1では、商品カタログの商品にそれぞれバーコードを付与し、このバーコードをスキャナーでスキャンすると商品の固有情報がスピーカーから音声にて流れるような商品情報報知装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−110730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、重度の視覚障害者にとっては、このバーコードのある箇所を認識することさえ困難であり、商品情報を十分に得ることができないという問題があった。特に、購入した複数の商品を家庭で保管している場合など、所望の商品を手にすることが困難で、他人の助けを借りたりしなければならず、自立した生活を送ることが困難であった。そこで、この発明の目的は、スキャナーで読み取るための物品コードの位置を触覚で識別可能な容器およびそれを用いた物品情報音声報知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため請求項1に記載の発明は、物品を収納する収納部を備えるとともに、
前記物品を表現するための情報を外側からスキャナーで読み取るためにコード化された物品コードを一体に備える容器において、
前記物品コードの近傍に触覚で識別可能なかぎ状の触覚識別部を備え
、
かぎ状の長さが縦方向より横方向が大であることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の容器において、前記触覚識別部が
凸状であることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の容器において、前
記触覚識別部
が、前記物品コードの対角に沿うことを特徴とする。
【0009】
請求項
4に記載の発明は、物品を収納する収納部を備えるとともに、
前記物品を表現するための情報をスキャナーで読み取るためにコード化された別体の物品コードを内在させ、透過性材料で形成された容器において、
前記物品コードを前記容器越しに前記スキャナーで読み取り可能とした容器であって、
前記物品コードの近傍で前記透過性材料に形成された容器上に、触覚で識別可能なかぎ状の触覚識別部を備え
、
前記かぎ状の長さが縦方向より横方向が大であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、物品を収納する収納部を備えるとともに、前記物品を表現するための情報を外側からスキャナーで読み取るためにコード化された物品コードを一体に備える容器において、前記物品コードの近傍に触覚で識別可能なかぎ状の触覚識別部を備え
、前記かぎ状の長さが縦方向より横方向が大である。
【0012】
したがって、物品コードの位置を触覚で識別可能な容器を提供することができる。これによって、例えば、視覚障害者が自立した生活を送ることを容易にする。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、前記触覚識別部が
凸状であるので、物品コードの位置を触覚で識別可能な容器を提供することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、前
記触覚識別部
が、前記物品コードの対角に沿うので、物品コードをいっそう認識しやすい触覚識別部を形成することができる。
【0016】
請求項
4に記載の発明によれば、物品を収納する収納部を備えるとともに、前記物品を表現するための情報をスキャナーで読み取るためにコード化された別体の物品コードを内在させ、透過性材料で形成された容器において、前記物品コードを前記容器越しに前記スキャナーで読み取り可能とした容器であって、前記物品コードの近傍で前記透過性材料に形成された容器上に、触覚で識別可能なかぎ状の触覚識別部を備え
、前記かぎ状の長さが縦方向より横方向が大である。
【0017】
したがって、物品コードの位置を触覚で識別可能な容器を提供することができる。これによって、例えば、視覚障害者が自立した生活を送ることを容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この発明の容器の一例のカートンの斜視図である。
【
図3】(a)は
図2の部分拡大図、(b)は(a)のA矢視断面図である。
【
図4】
図1のカートンに適用した物品情報音声報知システムのブロック図である。
【
図5】(a),(b)は凹状の触覚識別部の別の例を示す図である。
【
図6】(a)は、凹状の触覚識別部のさらに別の例を示す平面図、(b)は(a)のB矢視断面図である。
【
図7】この発明の容器の別の例としてのパウチの正面図である。
【
図8】この発明の容器のさらに別の例としての音楽CDケースの、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は音楽CDケースに内蔵する歌詞カードの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施形態について説明する。
図1には、この発明の容器の一例としてのブランク紙から形成されたカートン10を示す。カートン10は、内側に例えば、スナック菓子(物品)を収納している。カートン10は、スナック菓子を収納する収納部11が形成されるとともに、バーコード(物品コード)BCを側面12Aに印刷にて形成する(すなわち、バーコードBCを側面12Aに一体に備える)。バーコードBCは、収納部11に収納されたスナック菓子がどのようなものであるかを表現するためのコード化された情報である(バーコードに代えて二次元バーコードであってもよい)。この情報としては、商品名、原材料、賞味期限などが挙げられる。このバーコードBCは、スキャナーで読み取るためのものである。
【0021】
そして、バーコードBCの外側近傍には、かぎ状(L字状)に凹状の触覚識別部15を備える。この例では、バーコードBCの近傍外側に凹状の触覚識別部15が形成されている。この凹状の触覚識別部15は手で触れて識別が可能であり、視覚障害者でも認識することができる。また、視覚に障害がない人であっても、暗闇で触覚によって認識することを可能にする。
【0022】
カートン10の展開図を
図2に示す。カートン10は、側面12A,12B,12C,12D、上面13A、下面13B、フラップF1,F2,F3,F4,F5,F6、さらに、糊付部Jで構成される。側面12Aは、罫線14Aを介して糊付部Jと連続して形成され、罫線14Bを介して上面13Aと連続して形成され、罫線14Cを介して側面1
2Bと連続して形成され、罫線14Dを介して
下面13Bと連続して形成される。側面12Bは、罫線14Fを介してフラップF3と連続して形成され、罫線14Eを介してフラップF4と連続して形成され、罫線14Gを介して側面12Cと連続して形成される。側面12Cは、罫線14Hを介して側面12Dと連続して形成される。側面12Dは、罫線14Iを介してフラップF5と連続して形成され、罫線14Jを介してフラップF6と連続して形成される。上面13Aは、罫線14Lを介してフラップF1と連続して形成される。下面13Bは、罫線14Kを介してフラップF2と連続して形成される。
【0023】
罫線14A〜14Lの全てに沿って一端、パネルを山折りした後、糊付部Jに接着剤を塗布して、側面12Dの裏面側に貼り付ける。そして、フラップF3,F5を折り込んだ後、上面13AをフラップF1を差し込むことによって閉じる。また、フラップF4,F6を折り込んだ後、下面13BをフラップF2を差し込むことによって閉じる。このようにして、カートン10を形成する。
【0024】
バーコードBCは、
図3に示すように、バーコードエリアBA内に印刷される。バーコードエリアBAの外側近傍には、凹状の触覚識別部15を形成する。凹状の触覚識別部15は、凹状の触覚識別部15Aと凹状の触覚識別部15Bとが連続して構成される。凹状の触覚識別部15は、罫線と同様の方法でブランク紙に押罫を形成することでなる。凹状の触覚識別部15はバーコードエリアBAのやや外側でバーコードエリアBAの2つの対角に沿うようにしてかぎ状に形成される。縦方向に形成されるのが凹状の触覚識別部15A、横方向に形成されるのが凹状の触覚識別部15Bである。凹状の触覚識別部15Aは、側面12Aと側面12Bとの間に形成される罫線14Cから距離D1の位置に形成される。また、凹状の触覚識別部15Bは、側面12Aと下面13Bとの間に形成される罫線14Dから距離D1の位置に形成される。凹状の触覚識別部15Aは長さL2に形成され、凹状の触覚識別部15Bは長さL1に形成される。なお、この例では、長さL1=21mm、長さL2=8mmとするが、これに限定されるものではない。
【0025】
このように構成されたカートン10の使用方法を
図4を用いて説明する。例えば、視覚障害者(使用者)が異なる種類の食品(物品)をそれぞれ収容した複数のカートン10を自宅に保存しているとする。そして、そのなかから所望の食品を内装するカートン10を見つけたいときは、それぞれのカートン10のバーコードBCを、別に備えるスキャナーSCに読み取らせる。このとき、バーコードBCの外側近傍には、凹状の触覚識別部15が形成されているので、視覚障害者が指で触ることでこの凹状の触覚識別部15を認識することができる。これによって、スキャナーSCにかざすバーコードBCの位置を認識することができる。
【0026】
スキャナーSCは、読み取ったバーコードBCの情報を制御部CTに転送し、これを音声信号に変換してスピーカー(報知手段)SPより音声にて発信する。このようにして、視覚障害者は、独力で複数のカートン10から所望の食品を見つけることができる。なお、カートン10、スキャナーSC、スピーカーSPによって物品情報音声報知システムBSを構成する。ここでは、視覚障害者が所望のカートン10を認識する動作を例示したが、この発明の容器はこれに限定されるものではなく、目の見える人が暗闇で所望のカートン10を認識するためにも適用することができる。
【0027】
なお、凹状の触覚識別部15に代えて、
図5(a)に示すような凹状の触覚識別部115を形成してもよい。この例では、バーコードエリアBAの上下外側近傍に直線状に形成される。また、凹状の触覚識別部15に代えて、
図5(b)に示すような凹状の触覚識別部215を形成してもよい。この例では、バーコードエリアBAを囲むように略四角形状に形成される。そして、図中、右下部分を切り欠いて、目印部215Gとする。このように、目印部215Gを形成することで、使用者はバーコードBCの上下左右を容易に認識することができ、適切な向きでスキャナーSCにバーコードBCをかざすことができる。
図5(b)の場合には、凹状の触覚識別部を付したときに、目印部215Gが凹状の触覚識別部のどの位置に形成されているかを予め使用者に周知させておくことが必要となる。なお、凹状の触覚識別部215はこの形状に限定されるものではなく、左右または上下の形状が非対称であればどのような形状であってもよい。
【0028】
図6(a),(b)にはさらに別の例を示す。この例では、バーコードエリアBAを全て凹状の触覚識別部315とする。この凹状の触覚識別部315の段差Hは0.05〜0.5mmとすることが望ましい。このようにすることで、上述の例と比べて凹状の触覚識別部315の領域が格段に広がり、容易にバーコードBCの位置を認識することができる。また、凹状の触覚識別部315にバーコードBCを印刷するので、カートン10を複数並べて保存したり搬送したりするときに、隣接するカートン10の側面同士が擦れたとしても、バーコードBCの印刷された箇所が擦れて不鮮明とならず、スキャナーSCによる読み取り不良を回避することができる。
【0029】
また、物品情報音声報知システムBSに使用する、スキャナーSC、スピーカーSP、制御部CTは1つの装置に備えられていても良い。このような装置の例として、スマートフォンやラップトップコンピュータなどのようなものが挙げられる。さらに、物品コードとして二次元バーコードを用いるときは、スキャナーSCに代えて、スマートフォンなどに備えるディジタルカメラの機能を用いて二次元バーコードを読み取るようにしてもよい。
【0030】
なお、上述の4つの例について、触覚識別部として、凹状ではなく凸状としてもよい。凸状とすることで、指で触ったときに触覚識別部をいっそう認識しやすくなる。また、触覚識別部は、これらに限定されるものではなく、指で触って認識できるような凹凸が形成されればどのような形状、材質であってもよい。
【0031】
図7には、この発明の容器の別の例としての、サキイカ(物品)が充填されたパウチ(容器)410を示す。パウチ410は、2枚の略矩形の積層フィルムを重ね合わせて4方の縁をヒートシールにて貼り合わせることで形成される(この貼り合せ部をヒートシール部HSと称す)。上部のヒートシール部HSは両側部および底部のヒートシール部HSよりも幅広に形成される。上部のヒートシール部HSの上端付近の中央には貫通孔を設ける。この貫通孔は、商品をハンガーラックなどに陳列する際に引掛けて吊るすためのものである。
【0032】
左側のヒートシール部HSの上部には、ノッチ414が形成されている。ノッチ414は、上部のヒートシール部HSよりも低い位置に形成される。使用時には、ノッチ414からパウチ410上部を切り落として本体部412の上部を開封し、本体部412内に充填されたサキイカ(物品)を取り出し可能とする。
【0033】
上部のヒートシール部HSの右側には、バーコード(物品コード)BCがバーコードエリアBA内に印刷される。このバーコードエリアBAの外側近傍には、凸状の触覚識別部415を形成する。凸状の触覚識別部415はバーコードエリアBAのやや外側でバーコードエリアBAの2つの対角に沿うようにしてかぎ状に形成される。この凸状の触覚識別部415は上述の例の
凹状の触覚識別部15と同一の構成である。凸状の触覚識別部415は、2枚の積層フィルムを重ねて4方の縁をヒートシールにて貼り合わせる際に同時に、または、上部のヒートシール部HSを形成した後に形成される。また、バーコードBCは、凸状の触覚識別部415を形成する前に印刷される。なお、バーコードBCには、上述の例と同様に、商品名、原材料、賞味期限などの情報がコード化されて記録されている。
【0034】
このように構成された複数のパウチ410から、所望のパウチ410を認識する方法については、
図4で説明した方法と同様である。対象は、視覚障害者のみならず、目の見える人が暗闇で所望のパウチ410を認識する場合も含まれる。なお、この発明の容器は、パウチ410に限定されるものではなく、どのようなタイプのパウチに適用してもよい。
【0035】
図8(a)〜(c)には、この発明の容器のさらに別の例として、CDケース510を示す。CDケース510は、透過性材料であるプラスチックで形成され、音楽CD(コンパクトディスク:物品)を内側に収納するためのものである。CDケース510は、ケース本体511と、ケース本体511に内装される歌詞カード512とで構成される。ケース本体511は、上ケース511Uと下ケース511Dとからなり、上ケース511Uが下ケース511Dに対して回動支点511Rにて回動可能に取り付けられている。上ケース511Uを開けると内側に収納部が露出する。この収納部には歌詞カード512や音楽CDを収納する。上ケース511Uには、4つの支持部511Aが一体に形成されている。歌詞カード512は、これらの支持部511Aに載置されて上ケース511Uに収納される。
【0036】
歌詞カード512は紙製で、その表面512Uにはバーコード(物品コード)BCが印刷にて形成されている。バーコードBCはバーコードエリアBA内に印刷される。バーコードBCには、歌手(または、演奏者や落語などの話者)の名、アルバムタイトル、発売年などの情報がコード化されている。
【0037】
一方、上ケース511Uの上面511UAには、一対の突出部(触覚識別部)515,515を一体に備える。この突出部515は、かぎ状(L字状)に形成される。突出部515は、歌詞カード512を上ケース511Uに収納したときに、平面視で、バーコードエリアBAが一対の突出部515内に収まるように形成される。すなわち、
図8(a)に示すように(歌詞カード512を上ケース511Uに収納したときに)、突出部515は、バーコードエリアBAのやや外側でバーコードエリアBAの2つの対角に沿うようにしてかぎ状に形成される。このように、この例では、ケース本体511と歌詞カード512とを別体に備える。
【0038】
このように構成されたCDケース510の使用方法を
図4を参照しながら説明する。なお、
図4にて記されている符号10は510と読み替えるものとする。例えば、視覚障害者が異なる音楽CD(物品)をそれぞれ収容した複数のCDケース510を自宅に保存しているとする。そして、そのなかから所望の音楽CDを内装するCDケースを見つけたいときは、それぞれのCDケース510のバーコードBCを、別に備えるスキャナーSCに読み取らせる。このとき、バーコードBCの外側近傍には、突出部515が形成されているので、視覚障害者が指で触ることでこの突出部515を認識することができる。これによって、スキャナーSCにかざすバーコードBCの位置を認識することができる。
【0039】
スキャナーSCは、ケース本体511越しに読み取ったバーコードBCの情報を制御部CTに転送し、これを音声信号に変換してスピーカー(報知手段)SPより音声にて発信する。このようにして、視覚障害者は、独力で複数のCDケース510から所望の音楽CDを見つけることができる。なお、CDケース510、スキャナーSC、スピーカーSPによって物品情報音声報知システムBSを構成する。ここでは、視覚障害者(使用者)が所望のCDケース510を認識する動作を例示したが、この発明の容器はこれに限定されるものではなく、目の見える人が暗闇で所望のCDケース510を認識するためにも適用することができる。
【0040】
また、突出部515の形状は、かぎ状に限定されるものでなく、バーコードエリアBAの上下に沿ってそれぞれ直線状に突出部を形成してもよい。また、バーコードエリアBAを矩形に一周取り囲むように突出部を形成してもよい。この場合、矩形の突出部の4隅のいずれか1つの角部付近に目印を施してもよい。目印としては、角部を斜めにカットするように突出部を設け、5角形状としてもよい。目印を形成することで、使用者はバーコードBCの上下左右を認識することができ、適切な向きでスキャナーSCにバーコードBCをかざすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明の容器は、視覚障害者のみならず、目の見える人が暗闇で内装された物品を認識する場合に適用しうる。また、容器に内装される物品は、上述の例にあるような、スナック菓子、飲料、音楽CDに限定されるものではなく、あらゆる食品やデータ用のCDまたはDVDを識別するためにも適用しうる。さらに、例えば、化粧品、石鹸、アクセサリーなどを収納する容器にも適用しうる。また、自宅にて、複数の容器から所望の容器を識別するときにのみ使用することに限定されるものではなく、例えば、視覚障害者が商店で商品を購入するときに、商品の情報を得るための容器として適用してもよい。これに加えて、病院のプラスチック製の診察券、クレジットカードなどの表面にバーコードおよび触覚識別部を一体に備え、複数ある物品から所望の物品を選択する場合に適用してもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 カートン(容器)
11 収納部
15,115,215,315,415 凹状の触覚識別部
410 パウチ(容器)
510 CDケース(容器)
515 突出部(触覚識別部)
BC バーコード(物品コード)
BS 物品情報音声報知システム
SC スキャナー
SP スピーカー(報知手段)