【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明制御方法にあっては次のような第1の解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
排気通路にNOx触媒が配設されたエンジンと、該エンジンにより駆動されるジェネレータと、該ジェネレータの発電電力が蓄電されるバッテリと、該ジェネレータの発電電力と該バッテリにより駆動される走行用モータと、を備えた内燃機関の排気ガス浄化制御方法であって、
前記NOx触媒でのNOx吸蔵量を検出する第1ステップと、
前記バッテリの充電量を検出する第2ステップと、
前記第1ステップと前記第2ステップとでの検出結果に基づいて、前記バッテリの充電量が所定量以下となる期間と前記NOx触媒のNOx吸蔵量が所定値以上となる期間とが重なることを予測する第3ステップと、
前記第3ステップで期間の重なりが予測されたとき、前記第1ステップで検出されるNOxの吸蔵量が前記所定値以上となる前にあらかじめ、前記エンジンの運転状態を理論空燃比よりもリーンな空燃比でのリーン運転状態から理論空燃比以下のリッチな空燃比でのリッチ運転状態へ切換える第4ステップと、
前記エンジンを前記リッチ運転状態で運転しているときは、前記ジェネレータでの発電電力を低減させて該エンジンの駆動負荷を低減する第5ステップと、
を備えているようにしてある。
【0009】
上記解決手法によれば、NOxパージのためにリッチ運転状態へ切換えられたときは、発電電力の低減によってエンジンの駆動負荷が低減されるので、プリイグニッションの発生や燃焼音増大が防止あるいは低減されることになる。また、パージを実行する際に、バッテリの充電量が所定量以下となることが予測されるときは、通常のパージ実行時期よりも早めにパージを実行することにより、パージ実行の際に発電電力を低減させてもバッテリ充電量が極端に低下してしまうことが防止されることになる。
【0010】
上記第1の解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2〜請求項6に記載のとおりである。すなわち、
前記第4ステップでの前記リッチ運転状態を、前記バッテリの充電量の低減度合が小さいときは第1所定期間継続して行う一方、該バッテリの充電量の低減度合が大きいときは、該第1所定期間中断続して行うか又は該第1所定期間よりも短い第2所定時間だけ継続して行う、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、バッテリの充電量の低減度合に応じて、パージの実行期間あるいは実行態様を適切に設定して、請求項1に対応した効果をより十分に発揮させる上で好ましいものとなる。
【0011】
前記リーン運転状態で発電を行なう際に、前記バッテリの充電量が小さくかつ該充電量の低減度合が大きいときは、エンジン回転数を増大させて発電電力を増大させる、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、バッテリ充電量が大きく低下することが予測されるときは、発電電力を増大して、バッテリ充電量が極端に低下してしまうことを未然に防止することができる。
【0012】
前記第3ステップにおいて、前記第1ステップで検出されるNOx吸蔵量が前記所定値よりも小さい第2所定値以上であり、かつ前記第2ステップで検出される充電量が所定の充電量範囲内にあるときに、前記期間の重なりを生じるときであると予測する、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、期間の重なりを予測する具体的な手法が提供される。また、NOx吸蔵量とバッテリ充電量をみるだけでよいので、特別なセンサ等を別途用いることなく簡単に予測することができる。
【0013】
前記
第5ステップでは、発電を中止することにより前記エンジン駆動負荷が低減される、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、プリイグニッション発生と燃焼音増大とを極めて効果的に防止することができる。
【0014】
前記エンジンが、水素を燃料として運転される、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、特にプリイグニッション発生や燃焼音増大を生じやすくなる水素を燃料として用いた場合に、請求項1に対応した効果を得ることができる。
【0015】
前記目的を達成するため、本発明制御方法にあっては次のような第2の解決手法を採択してある。すなわち、請求項7に記載のように
排気通路にNOx触媒が配設されたエンジンと、該エンジンにより駆動されるジェネレータと、該ジェネレータの発電電力が蓄電されるバッテリと、該ジェネレータの発電電力と該バッテリにより駆動される走行用モータと、を備えた内燃機関の排気ガス浄化制御方法であって、
前記NOx触媒でのNOx吸蔵量を検出する第11ステップと、
前記バッテリの充電量を検出する第12ステップと、
前記第11ステップと前記第12ステップとでの検出結果に基づいて、前記バッテリの充電量が所定量以下となる期間と前記NOx触媒のNOx吸蔵量が所定値以上となる期間とが重なることを予測する第13ステップと、
前記第13ステップで期間の重なりが予測されたとき、前記エンジンの出力を高めて発電電力を増大させて、前記バッテリの充電量をあらかじめ高めると共にNOx吸蔵量の
増大割合を大きくする第14ステップと、
前記第11ステップで検出されるNOxの吸蔵量が前記所定値以上となったときに、前記エンジンの運転状態を理論空燃比よりもリーンな空燃比でのリーン運転状態から理論空燃比以下のリッチな空燃比でのリッチ運転状態へ切換える第15ステップと、
前記エンジンを前記リッチ運転状態で運転しているときは、前記ジェネレータでの発電電力を低減させて該エンジンの駆動負荷を低減する第16ステップと、
を備えているようにしてある。
【0016】
上記第2の解決手法によれば、NOxパージのためにリッチ運転状態へ切換えられたときは、発電電力の低減によってエンジンの駆動負荷が低減されるので、プリイグニッションの発生や燃焼音増大が防止あるいは低減されることになる。また、パージを実行する前にあらかじめ、エンジン出力を増大させて発電電力を高めることによりバッテリの充電量を高めておくので、通常のパージ実行時期よりも早めにパージを実行しつつ、パージ実行の際に発電電力を低減させてもバッテリ充電量が極端に低下してしまうことが防止されることになる。
【0017】
前記目的を達成するため、本発明装置にあっては次のような第1の解決手法を採択してある。すなわち、請求項8に記載のように、
排気通路にNOx触媒が配設されたエンジンと、該エンジンにより駆動されるジェネレータと、該ジェネレータの発電電力が蓄電されるバッテリと、該ジェネレータの発電電力と該バッテリにより駆動される走行用モータと、を備えた内燃機関の排気ガス浄化装置であって、
前記NOx触媒でのNOx吸蔵量を検出する吸蔵量検出手段と、
前記バッテリの充電量を検出する充電量検出手段と、
前記各検出手段での検出結果に基づいて、前記バッテリの充電量が所定量以下となる期間と前記NOx触媒のNOx吸蔵量が所定値以上となる期間とが重なることを予測する予測手段と、
前記予測手段によって前記期間の重なりが予測されたとき、前記吸蔵量検出手段で検出されるNOxの吸蔵量が前記所定値以上となる前にあらかじめ、前記エンジンの運転状態を理論空燃比よりもリーンな空燃比でのリーン運転状態から理論空燃比以下のリッチな空燃比でのリッチ運転状態へ切換える空燃比変更手段と、
前記エンジンを前記リッチ運転状態で運転しているときは、前記ジェネレータでの発電電力を低減させて該エンジンの駆動負荷を低減する駆動負荷低減手段と、
を備えているようにしてある。上記解決手法によれば、請求項1の制御方法を実現するための装置が提供される。
【0018】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項9に記載のとおりである。すなわち、
前記空燃比変更手段は、前記バッテリの充電量の低減度合が小さいときは前記リッチ運転状態を第1所定期間継続して行う一方、該バッテリの充電量の低減度合が大きいときは、該リッチ運転状態を該第1所定期間中断続して行うか又は該第1所定期間よりも短い第2所定時間だけ継続して行う、ようにしてある(請求項9対応)。この場合、請求項2に対応した制御方法を実現するための装置が提供される。
【0019】
前記目的を達成するため、本発明装置にあっては次のような第2の解決手法を採択してある。すなわち、請求項10に記載のように、
排気通路にNOx触媒が配設されたエンジンと、該エンジンにより駆動されるジェネレータと、該ジェネレータの発電電力が蓄電されるバッテリと、該ジェネレータの発電電力と該バッテリにより駆動される走行用モータと、を備えた内燃機関の排気ガス浄化制御方法であって、
前記NOx触媒でのNOx吸蔵量を検出する吸蔵量検出手段と、
前記バッテリの充電量を検出する充電量検出手段と、
前記各検出手段での検出結果に基づいて、前記バッテリの充電量が所定量以下となる期間と前記NOx触媒のNOx吸蔵量が所定値以上となる期間とが重なることを予測する予測手段と、
前記予測手段によって前記期間の重なりが予測されたとき、前記エンジンの出力を高めて発電電力を増大させて、前記バッテリの充電量をあらかじめ高めると共にNOx吸蔵量の
増大割合を大きくする発電電力増大手段と、
前記吸蔵量検出手段で検出されるNOxの吸蔵量が前記所定値以上となったときに、前記エンジンの運転状態を理論空燃比よりもリーンな空燃比でのリーン運転状態から理論空燃比以下のリッチな空燃比でのリッチ運転状態へ切換える空燃比変更手段と、
前記エンジンを前記リッチ運転状態で運転しているときは、前記ジェネレータでの発電電力を低減させて該エンジンの駆動負荷を低減する駆動負荷低減手段と、
を備えているようにしてある。上記解決手法によれば、請求項7の制御方法を実現するための装置が提供される。