(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図面等を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の液晶表示装置1の断面図である。
図2は、第1実施形態の光学シート11〜13、スペーサ積層体30の配置を説明する図、スペーサ積層体30単体の断面図である。
図中及び以下の各方向の説明は、便宜上、
図1に図示する状態を基準にして、上下方向Z(厚み方向)、左右方向X、奥行方向Y(
図1の紙面の法線方向)とする。
図1の配置状態では、液晶パネル4の観察方向は、下側Z1から上側Z2に向かう方向である。つまり、観察者側は、下側Z1である。なお、通常の実使用上は、液晶表示装置1を立てて、上下方向Zを水平方向になるように配置して、観察方向を水平方向にする。
【0010】
図1に示すように、液晶表示装置1は、例えば、コンピュータのモニタ、テレビ受像機等に利用される表示装置である。
液晶表示装置1は、光源2、枠体3、液晶パネル4、光学シート11〜13、導光板20、反射板21、押板22、ネジ23、スペーサ積層体30を備える。液晶パネル4、光学シート11〜13、導光板20、反射板21、押板22は、下側Z1からこの順番で配置されている。
液晶表示装置1は、光源2、枠体3、光学シート11〜13、導光板20、反射板21、押板22、ネジ23、スペーサ積層体30から構成される面光源装置に、液晶パネル4が組み込まれて構成される。
【0011】
光源は、液晶パネル4を照光するための部材である。光源2は、導光板20の側面近傍に複数配列されている。光源2は、導光板20の側面に光を入射する。光源2は、例えば、LED(発光ダイオード)、CCFL(熱陰極蛍光管)等を用いる。
枠体3は、液晶パネル4、光学シート11〜13、導光板20、反射板21、スペーサ積層体30等を収容する部材である。枠体3の側面には、必要に応じて、光源2等の光源部を設けたり、液晶パネル4に接続される電気ケーブル(図示せず)を通す貫通孔が設けられている。
枠体3の下部(液晶パネル4側)は、この液晶表示装置1の面方向(XY平面)の中央側(内側)に突出するつば部3aになっている。
つば部3aは、枠体3の下部の全周に設けられている。つば部3aは、液晶パネル4の縁部を押さえるようになっている。
【0012】
液晶パネル4は、最も下側Z1に配置されている。液晶パネル4は、透過型であるので、光学シート11〜13によって拡散された光によって、上側Z2から照明されて、観察者がその表示内容を視認できる。
【0013】
光学シート11〜13は、導光板20の下側Z1(観察者側)に、複数配置される。光学シート11〜13は、導光板20から下側Z1に発した光線を、拡散、屈折、偏光、反射等して、液晶パネル4に均一に導く部材である。光学シート11〜13は、例えば、拡散シート、プリズムシート、偏光反射シート等である。
光学シート11〜13は、そのXY平面の外形が、導光板20、反射板21、液晶パネル4に比べると、一回り小さい。光学シート11〜13は、その厚みが、導光板20に比べると十分に薄い樹脂シートであり、その剛性が低い。
【0014】
導光板20は、例えば、アクリル板等の透明板である。光源2の光線は、導光板20に入射すると、導光板20内を通過して、導光板20から下側Z1に向けて出光する。
反射板21は、導光板20から上側Z2に出光した光を、下側Z1に向けて反射する部材である。
押板22は、反射板21の上面を下側Z1に加圧する板材である。
ネジ23は、押板22のフランジ状のつば部22aを、枠体3の上面(Z2側)にネジ止めして、押板22、枠体3を結合する。このネジ止めは、押板22が反射板21をバランスよく加圧できるように、複数個所設けられている。
なお、枠体3、押板22、ネジ23は、液晶パネル4、光学シート11〜13、導光板21の間にスペーサ31〜35(後述する)を配置した状態で、これらの縁部に上下方向Zに圧力をかけて、光学シート11〜13を加圧保持する加圧保持部である。
【0015】
スペーサ積層体30は、隙間S1〜S4を有するように、光学シート11〜13を配置する部材である。
図2(a)に示すように、スペーサ積層体30は、奥行方向Yの手前側Y1及び奥側Y2にも配置されている。また、奥行方向Yにおいて、断面形状における各構成、各長さの設定は、
図1と同様である。
以下、
図1に示す左側X1に配置されたスペーサ積層体30の構成について、主に説明する。
【0016】
スペーサ積層体30は、5つのスペーサ31〜35を備える。スペーサ31〜35は、上側Z2から見たときに、光学シート11〜13の全周縁部に配置される(
図2(a)参照)。
スペーサ31は、液晶パネル4及び光学シート11間の隙間S1に配置されている。
スペーサ32は、光学シート11,12間の隙間S2に配置されている。
スペーサ33は、光学シート12,13間の隙間S3に配置されている。
スペーサ34,35は、光学シート13(導光板の観察面側1つ目の光学シート)及び導光板20間の隙間S4に配置されている。
つば部3aは、スペーサ31〜35を目隠しする十分な長さ(幅)を有している。このため、観察者が液晶パネル4を観察した場合に、スペーサ31〜35が観察されることはない。
また、スペーサ31〜35の左右方向Xの長さL31aは、光学シート11〜13が面方向の一方側(
図1の矢印A参照)に偏って配置されても、光学シート11〜13が反対側(左側X1)のスペーサ31〜35から脱落しないようになっている。つまり、光学シート11〜13外周の隙間の総計(長さL11a及び長さL11bの総計)は、スペーサ31〜35の長さL31aよりも十分に小さい。
スペーサ31〜35は、PET等の樹脂シートである。5つのスペーサ31〜35の表面は、艶消しの黒色である。これは、液晶表示装置1内での迷光を抑制するためである。
【0017】
図2(b)に示すように、5つのスペーサ31〜35は、接着材36で結合されて一体的に構成されている。接着材36は、加圧により圧縮されて変形する(
図1参照)。
液晶パネル4に装着される前のスペーサ積層体30単体の形状は、つまり、スペーサ積層体30の加圧保持部に加圧される前の形状は、蛇腹状であり、XY平面中央側(右側X2)に至る程、スペーサ間の間隔L31b(上下方向Z(厚み方向)の間隔)が広くなっている。これは、折り曲げ加工した樹脂シートが、復元しようとするためである。
なお、スペーサ31〜35は、樹脂シートで形成されているので、スペーサ積層体30単体の状態では、ある程度の腰がある。このため、スペーサ積層体30は、単体の状態でも、安定して形状維持でき、取扱いが簡単である。
なお、
図2(c)に示すように、スペーサ積層体30の背側(左側X1)に、十分に薄く、また、柔軟性を有する部材(樹脂シート、紙材等)の背37を設けてもよい。この場合には、スペーサ積層体30は、より安定して形状維持できるので、取扱いがより簡単である。なお、
図2(d)に示すように、この背37は、加圧により圧縮し潰れてしまうので、組み立てやスペース等の問題はない。
【0018】
上記構成による液晶表示装置1の光学シート11〜13等の保持構造、及びその作用等について説明する。
図1に示すように、液晶パネル4は、枠体3のつば部3aに載置され、また、スペーサ積層体30は、液晶パネル4の縁部に当接する。押板22は、反射板21、導光板20を介して、スペーサ積層体30を加圧する。このため、スペーサ積層体30は、液晶パネル4の上面(背面)縁部と、導光板20の縁部によって、上下方向Zに加圧される。
隙間S1〜S4には、樹脂により形成されたスペーサ31〜35が、全周に配置される。このため、光学シート11〜13は、剛性が低くても、全周縁部をスペーサ31〜35に挟まれ、スペーサ31〜35の弾性により適度に加圧されて保持される。
そのため、ネジ止めによって縁部が加圧されても、隙間S1〜S4が維持できる。これにより、液晶表示装置1は、液晶パネル4及び光学シート11間、光学シート11〜13同士間、光学シート13及び導光板20間において、接触、密着(光学密着等)を抑制できる。
【0019】
ここで、これらの密着等は、ムラ等の発生原因になる。例えば、平坦面同士が密着すれば光学密着に起因するムラの原因になる。また、例えば、光学シート11〜13がプリズムシートである場合には、プリズム頂点が他の光学シート等に接触、密着すれば、プリズムが所望の光学性能を発揮できないことに起因する輝点等の発生の原因になってしまう。
これに対して、液晶表示装置1は、隙間S1〜S4を維持できるので、これらの密着等を抑制でき、ムラ等の発生を抑制できる。
【0020】
また、液晶表示装置1は、ネジ止めにより上下方向Zに加圧されることにより、適切な大きさの隙間S1〜S4を維持しながら、余分な隙間(例えば、導光板20及び反射板21間の隙間)を減らすことができる。これにより、液晶表示装置1は、上下方向Zの大きさを小さくでき、薄型にできる。
つまり、液晶表示装置1は、光学密着等に起因するムラ等の発生を抑制しながら、上下方向Zの厚みを小さくできるわけである。
【0021】
光学シート11〜13は、周囲に長さL11a,L11bの隙間を有するにように、スペーサ31〜35によって挟まれて保持される。このため、光学シート11〜13は、熱膨張等によって面方向に伸長した場合に、この隙間を伸長するスペースとして利用できる。このため、光学シート11〜13は、上下方向Zへの撓みが抑制される。
そのため、液晶表示装置1は、熱膨張にともなう光学シート11〜13間等の接触、密着を抑制できる。これにより、液晶表示装置1は、加圧のみでなく、熱膨張にともなうムラ等の発生も抑制できる。
【0022】
スペーサ31〜35は、5つであるのに対して、隙間S1〜S4の数は、4つである。つまり、スペーサ31〜35は、隙間S1〜S4の数よりも多い。そして、光学シート13、導光板20間の隙間S4には、2つのスペーサ34,35が配置されているが、他の隙間S1〜S3は、それぞれ1つのスペーサ31〜33のみである。この理由は、以下の通りである。
導光板20の出光面(Z1側)は、平坦面であることが多いため、密着等が発生しやすい傾向がある。このため、光学シート13及び導光板20間の隙間S4を、他の隙間S1〜S3よりも大きくして、密着等の発生を抑制している。
【0023】
なお、導光板20の出光面が平坦面でない場合等のように、光学シート13及び導光板20間での密着等が発生しにくいときには、光学シート13及び導光板20のスペーサを1つにしたり削除したりして、密着等がより起きやすい他の隙間にスペーサを2つ以上配置してもよい。さらに、密着等が起きにくい光学シート13間の隙間には、スペーサを配置しなくてもよい。このように、液晶表示装置1は、必要に応じて、スペーサ31〜35の数の配分を柔軟に変更できる。
また、スペーサ31〜35の数は、5つに限られず、6つ以上設けてもよい。この場合には、光学シート11〜13間のうち密着等が起きやすい隙間に複数のスペーサを配置すれば、より効果的にムラ等を抑制できる。また、この場合には、仮に開発、製造時等に光学シート11〜13間の密着等が発生してしまったときでも、スペーサ31〜35の数の配分の変更が簡単である。
【0024】
各部材の枠体3への組み込み方法について説明する。
図3は、第1実施形態の各部材を積層する工程を説明する断面図である。
図4は、第1実施形態のスペーサ積層体30及び光学シート11〜13の組み込みを説明する斜視図である。
液晶表示装置1は、作業者、製造機械等が以下の手順で組み立てを行う。
(1)
図3に示すように、枠体3のつば部3a上に液晶パネル4を載置する。
(2)
図4に示すように、光学シート11〜13間にスペーサ32,33を挿入しながら、光学シート11〜13の全周にスペーサ積層体30を装着する。なお、スペーサ31〜35の間隔L31b(
図2(c)参照)は、XY平面中央側に至る程、広くなっているので、この挿入作業は、簡単である。
これにより、光学シート11〜13及びスペーサ積層体30から構成されるアッセンブリが製造される。
(3)
図3に示すように、上記(2)で製造したアッセンブリを、枠体3に収容して、液晶パネル4上に載置する。
(4)導光板20、反射板21、押板22を順に載置する。
(5)押板22のつば部22a、枠体3の上面(Z2側)をネジ止めして、上下方向Zに加圧する。
このネジ止めにより、液晶パネル4及び光学シート11間、光学シート11〜13間、光学シート13及び導光板20間等の間隔が狭まり、また、接着材36が押し潰される。これにより、必要な隙間S1〜S4を残して、余分な隙間がなくなる。
また、スペーサ積層体30は、XY平面中央側に至る程、上下方向Zの間隔L31bが広くなっているので、光学シート11〜13は、縁部から中央側にかけて、徐々に加圧されていく。これにより、光学シート11〜13は、面方向において、偏りを抑制するようにスライドして、ほぼ中央に配置される(矢印B,C,D参照)。このため、液晶表示装置1は、面方向における偏りを抑制して、光学シート11〜13を配置できる。
【0025】
以上説明したように、本実施形態の液晶表示装置1は、ムラ等の発生を抑制しながら、上下方向Zの厚みを小さくできるので、薄型にできる。また、スペーサ積層体30及び光学シート11〜13の組み込み作業が簡単である。
【0026】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾(下2桁)に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図5は、第2実施形態の液晶表示装置201の断面図、スペーサ積層体230に光学シート11〜13を組み込んだ状態の断面図である。
図5(a)に示すように、本実施形態の液晶表示装置201は、スペーサ積層体230の形態を第1実施形態から変更した。
図5(b)に示すように、スペーサ積層体230は、スペーサ231〜237を備える。スペーサ231〜237は、冊子状に積層され、背を接着材238で綴じられている。このため、スペーサ積層体230は、スペーサ231〜237の折り曲げ加工等が必要なく、製造が簡単である。
なお、接着材238は、スペーサ積層体230を枠体3に装着後に上下方向Zに加圧されて、圧縮される(
図5(a)参照)。
【0027】
また、スペーサ231〜237は、第1実施形態よりも枚数が多い。
このため、スペーサ積層体230は、光学シート11〜13間のスペーサの配置枚数の自由度が大きい。これにより、液晶表示装置201は、光学シート11〜13間等の密着が発生してしまったときに、スペーサの数の配分を変更するといった対策を、より簡単に講ずることができる。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0029】
(変形形態)
(1)実施形態において、スペーサ積層体は、光学シートの全周に配置される例を示したが、これに限定されない。例えば、スペーサ積層体は、光学部材の辺部のうち対向する1組の辺部に配置されていてもよい。光学部材は、対向する辺部を保持すれば、ある程度安定して保持できるからである。この場合には、部品点数を少なくして、最小限の構成にでき、装置を小型にできる。
【0030】
(2)実施形態において、スペーサは、全ての光学シート間に配置された例を示したが、これに限定されない。例えば、スペーサは、密着、接触によるムラ等が発生する光学シート間のみに配置してもよい。
この場合にも、光学シート間の隙間の数よりも、スペーサの数を多くすることにより、スペーサの数の配分を柔軟に変更することができる。