(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の光伝送基板を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0024】
<第1実施形態>
図1は、本発明の光伝送基板の第1実施形態を示す斜視図、
図2は、
図1中のA−A断面図、
図3は、
図2中のB−B断面図、
図4は、
図1中の矢印C方向から見た図、
図5は、
図1中の矢印D方向から見た図である。なお、以下では、説明の都合上、
図1〜
図4(
図8、
図9についても同様)の上側を「上方」、下側を「下方」と言う。また、
図1、
図3〜
図5中の右側を「右側」、左側を「左側」という。
【0025】
図1〜
図3に示すように、光伝送基板1Aは、基板5と、基板5に設置された帯状の光導波路3aと、光導波路3aに長手方向に沿って通過する光100を反射するミラー4a〜4cと、ミラー4a〜4cに対応して光導波路3a上に設けられたレンズ6a〜6cと、基板5上に設けられ、光導波路3aと光学的に接続されるコネクタ8を接続する接続部材2とを備えている。なお、以下では、コネクタ8を接続部材2に接続した状態を「接続状態」という。また、本実施形態では、光100は、接続状態において、光導波路3aを
図2中の矢印方向に通過する。すなわち、光100は、光導波路3aからコネクタ8に向かう。
【0026】
以下、各部の構成について説明する。
まず、基板5について説明する。
図2および
図3に示すように、基板5は、光伝送基板1Aを構成する各部を支持する機能を有するものであり、その上面50には、光導波路3aと接続部材2とが設置されている。
【0027】
図2に示すように、基板5は、第1の絶縁層51と、第1の導体パターン(導体回路)52と、第2の絶縁層53と、第2の導体パターン(導体回路)54と、第3の絶縁層55と、第3の導体パターン(導体回路56)と、被覆層(ソルダーレジスト層)57とを有し、これらがこの順に下側から積層された(配置された)積層体で構成されている。
【0028】
なお、基板5の総厚は、特に限定されず、例えば、0.25〜3.2mmであるのが好ましく、0.5〜1.5mmであるのがより好ましい。
【0029】
第1の導体パターン52、第2の導体パターン54、第3の導体パターン56は、それぞれ、導電性を有する金属材料で構成されたものであり、互いに電気的に接続されている。そして、第1の導体パターン52、第2の導体パターン54、第3の導体パターン56のうちのいずれか1つは、電源や制御装置(図示せず)と接続することができるように構成されている。
【0030】
なお、各導体パターンは、それぞれ、例えば、金属箔をエッチングすることにより所定のパターンに形成することができる。また、金属箔としては、特に限定されないが、例えば、銅箔を好適に用いることができる。これにより、各導体パターンは、それぞれ、比較的抵抗値が小さいものとなる。
【0031】
第1の絶縁層51は、第1の導体パターン52を外部から絶縁する層である。第2の絶縁層53は、第1の導体パターン52と第2の導体パターン54とを絶縁する層である。第3の絶縁層55は、第2の導体パターン54と第3の導体パターン56とを絶縁する層である。このような各絶縁層により、各導体パターンの不本意なショート(短絡)を確実に防止することができる。
【0032】
被覆層57は、第3の導体パターン56の少なくとも一部を覆うように形成されている。これにより、第3の導体パターン56を保護することができ、よって、例えば、第3の導体パターン56の劣化やショートを防止することができる。
【0033】
なお、第1の絶縁層51、第2の絶縁層53、第3の絶縁層55および被覆層57の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、各種樹脂材料が挙げられ、特に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂が好ましい。
【0034】
また、本実施形態では、基板5は、上記のような積層体で構成されるが、これに限らず、単層構成であってもよい。
【0035】
基板5の上面50には、光導波路3aが設置されている。この光導波路3aは、
図1および
図5に示すように、その全体形状が帯状をなしている。
【0036】
図2および
図3に示すように、光導波路3aは、クラッド層(第1のクラッド層(クラッド部))33aと、コア層32と、クラッド層(第2のクラッド層(クラッド部))33bとで構成され、これらの層をこの順に下側から積層してなるものである。
【0037】
図3に示すように、コア層32は、長尺状をなす複数本(本実施形態では、3本)のコア部(導波路チャンネル)34a、34b、34cと、複数本(本実施形態では、4本)の側面クラッド部(クラッド部)35a、35b、35c、35dとを有し、これらが光導波路3aの幅方向に交互に配置されている。このように光導波路3aは、複数本のコア部を有するマルチチャンネルタイプを構成する。
【0038】
コア部34a〜34cと側面クラッド部35a〜35dとは、互いに光の屈折率が異なり、その屈折率の差は、特に限定されないが、0.5%以上であるのが好ましく、0.8%以上であるのがより好ましい。なお、上限値は、特に設定されなくてもよいが、好ましくは5.5%程度とされる。
【0039】
また、コア部34a〜34cは、側面クラッド部35a〜35dに比べて屈折率が高い材料で構成され、また、クラッド層33a、33bに対しても屈折率が高い材料で構成されている。
【0040】
コア部34a〜34c、側面クラッド部35a〜35dの各構成材料は、それぞれ、特に限定されない。本実施形態では、コア部34a〜34cと側面クラッド部35a〜35dとは同一の材料で構成されており、それらの屈折率の差は、各部を構成する材料の化学構造の差異により発現している。
【0041】
コア層32の構成材料には、コア部34a〜34cを通過する光に対して実質的に透明な材料であればいかなる材料をも用いることができるが、具体的には、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料の他、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスのようなガラス材料等を用いることができる。
【0042】
このうち、本実施形態のように化学構造の差異により屈折率差を発現させるためには、紫外線、電子線のような活性エネルギー線の照射により(あるいはさらに加熱することにより)屈折率が変化する材料であるのが好ましい。
【0043】
このような材料としては、例えば、活性エネルギー線の照射や加熱により、少なくとも一部の結合が切断あるいは結合したり、少なくとも一部の官能基が脱離改変したり等して、化学構造が変化し得る材料が挙げられる。
【0044】
具体的には、ポリシラン(例:ポリメチルフェニルシラン)、ポリシラザン(例:ペルヒドロポリシラザン)等のシラン系樹脂や、前述したような構造変化を伴う材料のベースとなる樹脂としては、分子の側鎖または末端に官能基を有する以下の(1)〜(6)のような樹脂が挙げられる。(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合して得られるノルボルネン型モノマーの付加(共)重合体、(2)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との付加共重合体、(3)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、および必要に応じて他のモノマーとの付加共重合体、(4)ノルボルネン型モノマーの開環(共)重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、(5)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、(6)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、または他のモノマーとの開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂等のノルボルネン系樹脂、その他、光硬化反応性モノマーを重合することにより得られるアクリル系樹脂、エポキシ樹脂。
【0045】
なお、これらの中でも特にノルボルネン系樹脂が好ましい。これらのノルボルネン系ポリマーは、例えば、開環メタセシス重合(ROMP)、ROMPと水素化反応との組み合わせ、ラジカルまたはカチオンによる重合、カチオン性パラジウム重合開始剤を用いた重合、これ以外の重合開始剤(例えば、ニッケルや他の遷移金属の重合開始剤)を用いた重合等、公知のすべての重合方法で得ることができる。
【0046】
図2に示すように、コア層32の両面には、それぞれ、クラッド層33a、33bが配置されている。クラッド層33a、33bは、それぞれ、コア層32の下部および上部に位置するクラッド部を構成するものであり、コア層32に接している。これにより、
図3に示すように、コア部34a〜34cは、それぞれ、その全外周面をクラッド部に囲まれる構成となる。よって、コア部34a〜34cは、それぞれ導光路として機能する。
【0047】
クラッド層33a、33bの構成材料としては、例えば、前述したコア層32の構成材料と同様の材料を用いることができるが、特にノルボルネン系ポリマーが好ましい。例えば、比較的低い屈折率を有するノルボルネン系ポリマーとしては、末端にエポキシ構造を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位を含むものが好ましい。かかるノルボルネン系ポリマーは、特に低い屈折率を有するとともに、コア層32との密着性が良好である。
【0048】
また、ノルボルネン系ポリマーは、アルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むものが好ましい。アルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むノルボルネン系ポリマーは、柔軟性が高いため、かかるノルボルネン系ポリマーを用いることにより、光導波路3aに高いフレキシビリティ(可撓性)を付与することができる。
【0049】
アルキルノルボルネンの繰り返し単位が有するアルキル基としては、例えば、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられるが、ヘキシル基が特に好ましい。なお、これらのアルキル基は、直鎖状または分岐状のいずれであってもよい。
【0050】
ヘキシルノルボルネンの繰り返し単位を含むことにより、ノルボルネン系ポリマー全体の屈折率が上昇するのを防止することができる。
【0051】
以上のような構成の光導波路3aは、所定の(例えば600〜1550nm程度)の波長領域の光を使用したデータ通信において好適に使用される。
【0052】
なお、光導波路3aは、例えば接着剤層(図示せず)を介して基板5に固定されている。
【0053】
このような構成の光導波路3aにはコア部34a〜34cを通過する光100を反射するミラー4a、4b、4cが形成されている。
【0054】
図3に示すように、ミラー4aは、コア部34aに設けられ、ミラー4bは、コア部34bに設けられ、ミラー4cは、コア部34cに設けられている。また、ミラー4a〜4cは、光導波路3aの幅方向に沿って整列して設けられている。ミラー4a〜4cは、同様の構成であるため、以下、ミラー4bについて代表的に説明する。
【0055】
図2に示すように、ミラー4bは、光導波路3aに、例えば、レーザー照射により楔形に掘り込み加工を施して形成される。これにより得られた楔状の空間41bには、2つの傾斜面42b、43bが臨んでいる。この2つの傾斜面42b、43bのうちの傾斜面42bがミラー4bとして機能する。
【0056】
ミラー4a〜4cをレーザー照射により形成する場合、用いるレーザーとしては、例えば、ArF及びKrF等のエキシマレーザー、YAGレーザー、CO2レーザー等が挙げられる。
【0057】
レーザーの照射エネルギーは、特に限定されないが、1〜10mJ程度であるのが好ましく、5〜7mJ程度であるのがより好ましい。これにより、短時間で光導波路3aの構成材料を除去することができる。また、レーザーの照射する際の周波数は、特に限定されないが、50〜300Hz程度であるのが好ましく、200〜250Hz程度であるのがより好ましい。周波数が前記範囲内であると、傾斜面42bは確実に平滑なものとなる。
【0058】
この傾斜面42bは、光導波路3a(コア部34b)の延在(長手)方向に対して所定の傾斜角度θで傾斜しており、かつ、その右側と左側では、屈折率が異なっている。このため、コア部34bを通過する光100は、傾斜面42bに到達すると、この傾斜面42b(ミラー4b)で反射され、上側に屈曲される。
この傾斜角度θは、42〜48°が好ましく、43〜47°がより好ましい。
【0059】
このような傾斜角度θに設定された傾斜面42bでは、コア部34bを通過する光100は、略直角に反射され、光導波路3aの真上に位置するコネクタ8に入射する。これにより、光導波路3aと光ファイバ81bとは光学的に接続される。
光導波路3aの上面36aには、レンズ6a、6b、6cが設けられている。
【0060】
図3に示すように、レンズ6aは、ミラー4aとコネクタ8との間に配置され、レンズ6bは、ミラー4bとコネクタ8との間に配置され、レンズ6cは、ミラー4cとコネクタ8との間に配置されている。具体的には、レンズ6aは、光導波路3aの上面36aのうち、ミラー4aにより反射された光100が通過する部分に設けられ、レンズ6bは、光導波路3aの上面36aのうち、ミラー4bにより反射された光100が通過する部分に設けられ、レンズ6cは、光導波路3aの上面36aのうち、ミラー4cにより反射された光100が通過する部分に設けられている。
【0061】
また、レンズ6a〜6cは、光導波路3aの幅方向に沿って整列して設けられている。なお、レンズ6a〜6cは、同様の構成であるため、レンズ6bについて代表的に説明する。
【0062】
図2および
図3に示すように、レンズ6bは、凸レンズであり、その平面視において円形をなすプラノコンペックスレンズで構成される。また、レンズ6bの底面61は、平面で構成されており、光導波路3aの上面36aに、例えば、接着剤等で固定されている。レンズ6bの上面62は、凸状をなす湾曲面で構成されている。また、レンズ6bの焦点は、接続状態において、コネクタ8の下端面(基板5に臨む面)82と一致するよう設定されている。
【0063】
通常、コア部34bを通過し、ミラー4bにより反射された光100は、発散するが、このような構成のレンズ6bを設けることにより、収束された後、光ファイバ81bに入射するようになる。これにより、より多くの光100が光ファイバ81bに入射することができ、光100の損失の発生を抑制することができる。よって、信頼性が高く高品質な光通信を提供し得る光伝送基板1Aを得ることができる。
これに対し、レンズ6bを省略した場合、ミラー4bにより反射され、発散された光の一部は、光ファイバ81bに入射されない。この場合、光ファイバ81bに入射されない光は損失となり、光ファイバ81bに入射する光量が少なくなる。この結果、光のS/N比が低下してしまう。
【0064】
レンズ6bを構成する材料としては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料の他、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスのような各種ガラス材料、サファイア、水晶のような各種結晶材料等が挙げられる。
【0065】
図5に示すように、レンズ6a〜6cを囲み、かつ、光導波路3aを跨ぐように、基板5上に接続部材2が設けられている。接続部材2は、その平面視において、レンズ6a〜6cを一括して包含している。これにより、レンズ6a〜6cは、接続部材2によって保護され、レンズ6a〜6cに汚れが付着することが防止される。
【0066】
この接続部材2は、正面壁部21と、背面壁部22と、これらを繋ぐ右側壁部23、および左側壁部24とで構成されている。
【0067】
正面壁部21および背面壁部22は、それぞれ、板部材で構成され、光導波路3aの長手方向に対向配置されている。また、右側壁部23および左側壁部24とは、それぞれ、板部材で構成され、光導波路3aの幅方向に対向配置されている。このような構成により、接続部材2は、その全体形状が四角形の筒状をなしている。
【0068】
これらの4つの壁部21〜24で囲まれる空間内に、コネクタ8が挿入される。すなわち、この空間を規定する接続部材2の部分が、コネクタ8が挿入される挿入部25を構成する。また、各壁部21〜24は、基板5に対して垂直に設けられている。これにより、コネクタ8の挿入部25に対する挿入方向は、基板5に対して垂直な方向となっている。
【0069】
このように、本実施形態における光伝送基板1Aとコネクタ8の接続方向は垂直な方向となっているため、第1の導体パターン52、第2の導体パターン54、第3の導体パターン56のパターン形状にもよるが、基板5の任意の場所に接続部材2を設置することができる。これにより、接続部材2を設置する際の設計の自由度、すなわち、光伝送基板1Aの設計自由度が高くなる。
【0070】
図1および
図4に示すように、正面壁部21の下端部の略中央には、正面壁部21の下端部に開放する長方形の切欠き(凹部)211が形成され、背面壁部22の下端部の略中央には、背面壁部22の下端部に開放する長方形の切欠き(凹部)221が形成されている。これらの切欠き211、221は、
図1中の矢印c方向から見た正面視(
図4)において重なっており、切欠き211、221には、光導波路3aが挿入されている。
【0071】
光導波路3aのレンズ6a〜6cは、接続部材2の平面視において壁部21〜24で規定される空間の略中央部に位置(露出)している。したがって、接続状態では、コネクタ8の下端面82が、レンズ6a〜6cに対向する。
【0072】
図4に示すように、切欠き211、221の幅W2は、光導波路3aの幅W1よりも大きい。また、
図2に示すように、切欠き211、221の高さH3は、それぞれ、光導波路3aの厚さH2とレンズ6aの厚さH1を合わせた厚さ(総厚)より大きい。
【0073】
したがって、光導波路3aは、切欠き211、221(凹部)内において、光導波路3aと接続部材2との間には間隙26が形成される。換言すれば、接続部材2と光導波路3aのコア部34a〜34cとは非接触の状態である。これにより、コア部34a〜34cの損失悪化が防止される。この結果、光伝送基板1Aを搭載する電子機器において、その信頼性が向上する。
【0074】
接続部材2の挿入部25内には、コネクタ8をレンズ6a〜6cに対して位置決めする位置決め手段7が設けられている。
【0075】
本実施形態では、
図3に示すように、位置決め手段7は、右側壁部23の内壁面230と左側壁部24の内壁面240にそれぞれ設けられた段差部27で構成されている。段差部27は、内壁面230と内壁面240とに内側に突出して形成された部分である。
【0076】
各段差部27の上面は、基板5の上面50と略平行に形成されており、接続状態において、コネクタ8の下端面82の一部が当接する当接面270として機能している。これにより、コネクタ8は、下方への移動(挿入部25への挿入深さ)が規制される。すなわち、段差部27は、コネクタ8の挿入部25に対する挿入深さを規制する規制部を構成する。
【0077】
また、当接面270と基板5の上面50との離間距離L1は、光導波路3aの厚さH2とレンズ6aの厚さH1を合わせた厚さ(総厚)より大きい。これにより、コネクタ8は、レンズ6a〜6cと非接触の状態で当接面270により支持される。すなわち、コネクタ8は、レンズ6a〜6cとの間に間隙26が形成されるよう、当接面270に支持される。すなわちコネクタ8とレンズ6a〜6cとは、それぞれ非接触である。この結果、光導波路3aの持つ本来の高い伝送特性を確実に維持することができる。
【0078】
また、
図2に示すように、コア部34bを厚さ方向に2等分する中心線200とコネクタ8との距離H4は、0.05〜5mmが好ましく、0.1〜4mmがより好ましい。
【0079】
上記構成の接続部材2の構成材料としては、例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、オレフィン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、耐熱ナイロン系樹脂、PPS樹脂のような各種樹脂材料、ステンレス鋼、アルミニウム合金のような各種金属材料、またはこれらのうちの2つ以上を組み合わせた材料等が挙げられる。
【0080】
このような接続部材2は、基板5に、例えば、接着剤、はんだ等により固定されている。
【0081】
以上のような構成の光伝送基板1Aは、例えば、ルータ装置、WDM装置、携帯電話器、自動車、ゲーム機、パーソナルコンピュータ、テレビ、ホーム・サーバー、その他各種電化製品等に搭載することができる。
【0082】
このような接続部材2には、コネクタ8が接続される。
図3に示すように、コネクタ8は、複数本(本実施形態では3本)の光ファイバ81a〜81cと、光ファイバ81a〜81cを一括して保持するコネクタハウジング83とを有する。
【0083】
コネクタハウジング83は、筐体で構成され、その内側に、光ファイバ81a〜81cの下端部が固定されている。
【0084】
光ファイバ81aは光が通過するコア部84aと、コア部84aを囲むクラッド部85aを有している。光ファイバ81bは光が通過するコア部84bと、コア部84bを囲むクラッド部85bを有している。光ファイバ81cは光が通過するコア部84cと、コア部84cを囲むクラッド部85cを有している。
【0085】
接続状態において、光ファイバ81aの光軸は、レンズ6aの光軸と一致するように配置され、光ファイバ81bの光軸は、レンズ6bの光軸と一致するように配置され、光ファイバ81cの光軸は、レンズ6cの光軸と一致するように配置されている。このため、接続状態では、光ファイバ81aのコア部84aと光導波路3aのコア部34aとがレンズ6aを介して光学的に接続され、光ファイバ81bのコア部84bと光導波路3aのコア部34bとがレンズ6bを介して光学的に接続され、光ファイバ81cのコア部84cと光導波路3aのコア部34cとがレンズ6cを介して光学的に接続される。これにより、コネクタ8と光伝送基板1Aとの間で光100を使用したデータ通信を行うことができる。
【0086】
<第2実施形態>
図6は、本発明の光伝送基板の第2実施形態を示す斜視図、
図7は、
図6に示す光伝送基板の平面図である。
【0087】
以下、これらの図を参照して本発明の光伝送基板の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、レンズの設置数が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0088】
図7に示すように、光導波路3bのコア層32には、12本のコア部(導波路チャンネル)34a’、34b’、34c’、34e’、34f’、34g’、34h’、34i’、34j’、34k’、34L’が並設されている。
【0089】
また、光導波路3bの上面36bのコア部34a’に対応する(真上に位置する)部分には、レンズ6a’が設けられ、光導波路3bの上面36bのコア部34b’に対応する部分には、レンズ6b’が設けられ、光導波路3bの上面36bのコア部34c’に対応する部分には、レンズ6c’が設けられ、光導波路3bの上面36bのコア部34d’に対応する部分には、レンズ6d’が設けられ、光導波路3bの上面36bのコア部34e’に対応する部分には、レンズ6e’が設けられ、光導波路3bの上面36bのコア部34f’に対応する部分には、レンズ6f’が設けられ、光導波路3bの上面36bのコア部34g’に対応する部分には、レンズ6g’が設けられ、光導波路3bの上面36bのコア部34h’に対応する部分には、レンズ6h’が設けられ、光導波路3bの上面36bのコア部34i’に対応する部分には、レンズ6i’が設けられ、光導波路3bの上面36bのコア部34j’に対応する部分には、レンズ6j’が設けられ、光導波路3bの上面36bのコア部34k’に対応する部分には、レンズ6k’が設けられ、光導波路3bの上面36bのコア部34L’に対応する部分には、レンズ6L’が設けられている。
【0090】
レンズ6a’〜6L’は、隣り合うレンズ同士が、光導波路3bの延在方向にずれて配置されている。レンズ6a’、6c’、6e’、6g’、6i’、6k’(以下、これらを「レンズ群60A」という)が光導波路3bの幅方向に1列に整列し、レンズ6b’、6d’、6f’、6h’、6j’、6L’(以下、これらを「レンズ群60B」という)が光導波路3bの幅方向に1列に整列している。すなわち、光導波路3bの幅方向に整列したレンズ群60Aと、光導波路3bの幅方向に整列したレンズ群60Bとは、光導波路3bの延在方向に離間して配置されている(以下、この配置を「千鳥配置」という)。
【0091】
また、コア部34a’のレンズ6a’に対応する(真下に位置する)部分には、ミラー4a’が設けられ、コア部34b’のレンズ6b’に対応する部分には、ミラー4b’が設けられ、コア部34c’のレンズ6c’に対応する部分には、ミラー4c’が設けられ、コア部34d’のレンズ6d’に対応する部分には、ミラー4d’が設けられ、コア部34e’のレンズ6e’に対応する部分には、ミラー4e’が設けられ、コア部34f’のレンズ6f’に対応する部分には、ミラー4f’が設けられ、コア部34g’のレンズ6g’に対応する部分には、ミラー4g’が設けられ、コア部34h’ のレンズ6h’に対応する部分には、ミラー4h’が設けられ、コア部34i’のレンズ6i’に対応する部分には、ミラー4i’が設けられ、コア部34j’のレンズ6j’に対応する部分には、ミラー4j’が設けられ、コア部34k’のレンズ6k’に対応する部分には、ミラー4k’が設けられ、コア部34L’のレンズ6L’に対応する部分には、ミラー4L’が設けられている。
【0092】
図6および
図7に示すように、レンズ群60Aは、接続部材2Aに一括して包含されている(重なっている)。レンズ群60Bは、接続部材2Bに一括して包含されている。
【0093】
前述したように、レンズ6a’〜6L’が千鳥配置となっていることにより、隣り合うレンズ6a’〜6L’同士の間隔は、光導波路3bの幅方向にすべてのレンズが1列に整列して設けられた場合の隣り合うレンズ同士の間隔に比べ、大きく設定することができる。これにより、レンズ6a’〜6L’同士の間隔が大きい分、より大きい直径のレンズ6a’〜6L’を用いることができる。よって、ミラー4a’で屈曲した光100は、レンズ6a’をより多く透過することができ、ミラー4b’で屈曲した光100は、レンズ6b’をより多く透過することができ、ミラー4c’で屈曲した光100は、レンズ6c’をより多く透過することができ、ミラー4d’で屈曲した光100は、レンズ6d’をより多く透過することができ、ミラー4e’で屈曲した光100は、レンズ6e’をより多く透過することができ、ミラー4f’で屈曲した光100は、レンズ6f’をより多く透過することができ、ミラー4g’で屈曲した光100は、レンズ6g’をより多く透過することができ、ミラー4h’で屈曲した光100は、レンズ6h’をより多く透過することができ、ミラー4i’で屈曲した光100は、レンズ6i’をより多く透過することができ、ミラー4j’で屈曲した光100は、レンズ6j’をより多く透過することができ、ミラー4k’で屈曲した光100は、レンズ6k’をより多く透過することができ、ミラー4L’で屈曲した光100は、レンズ6L’をより多く透過することができる。この結果、光導波路3bの持つ本来の高い伝送特性をより確実に維持することができる。
【0094】
さらに、本実施形態では、接続部材2A、2Bが、光導波路3bの延在方向に沿って設けられている。接続部材2Aは、平面視でレンズ群60Aを一括して包含するよう設けられ、接続部材2Bは、平面視でレンズ群60Bを一括して包含するよう設けられている。この場合、接続部材2A、2Bは、レンズ群60Aとレンズ群60Bとを一括して包含するように設けられた場合の接続部材に比べ、小さいものを用いることができる。これにより、光伝送基板1Cは、接続部材2A、2Bを設置する際の設計の自由度がさらに高くなる。
【0095】
<第3実施形態>
図8は、本発明の光伝送基板の第3実施形態を示す断面図である。
【0096】
以下、この図を参照して本発明の光伝送基板の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、接続部材の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0097】
図8に示すように、本実施形態における接続部材2Cは、正面壁部21と背面壁部22と右側壁部23および左側壁部24とで構成される本体20を備え、さらに支持板28とレンズ6d、6e、6fとを備えている。支持板28は、板状をなし、右側壁部23と左側壁部24との間に架設されている。支持板28の上面280は、当接面270と同一平面上に位置している。支持板28の上面280には、コネクタ8の下端面82が当接している。また、支持板28は、レンズ6a〜6cを構成する材料と同じ材料で構成されている。
【0098】
支持板28の下面281には、下方に向って突出した凸レンズであるレンズ6d、6e、6fが設けられている。レンズ6dはレンズ6aと対向するよう設けられている。レンズ6eはレンズ6bと対向するよう設けられている。レンズ6fはレンズ6cと対向するよう設けられている。
【0099】
このような構成により、ミラー4aで屈曲した光100は、レンズ6aとレンズ6dと支持板28とを順に透過し、コア部84aに入射する。ミラー4bで屈曲した光100は、レンズ6bとレンズ6eと支持板28とを順に透過する。コア部84bに入射し、ミラー4cで屈曲した光100は、レンズ6cとレンズ6fと支持板28とを順に透過し、コア部84cに入射する。
【0100】
このような構成の接続部材2Cを備える光伝送基板1Cは、光100が2つのレンズを透過して接続される。この構成により、光100が1つのレンズを透過する第1実施形態の光伝送基板1Aに比べ、光100の指向性がさらに向上し、光100が、光ファイバ81a〜81cにより確実に入射することができる。
【0101】
<第4実施形態>
図9は、本発明の光伝送基板の第4実施形態を示す断面図である。なお、以下では、説明の都合上、
図9の上側を「表側」、下側を「裏側」と言う。
【0102】
以下、この図を参照して本発明の光伝送基板の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、支持板の配置が異なること以外は第3実施形態と同様である。
【0103】
図9に示すように、本実施形態における接続部材2Dは、支持板28の上面280が当接面270より下側にずれて配置されている。上面280が下側にずれて配置されている分、接続状態で、コネクタ8の下端面82と支持板28の上面280との間に間隙26’が形成されているため、上面280には、凸レンズであるレンズ6g、6h、6iをさらに配置することができる。また、本実施形態では、光導波路3aからレンズ6a〜6cは、省略されている。
【0104】
レンズ6gとレンズ6jとは、それぞれの底面61が支持板28を介して対向するよう設けられている。レンズ6hとレンズ6kとは、それぞれの底面61が支持板28を介して対向するよう設けられている。レンズ6iとレンズ6Lとは、それぞれの底面61が支持板28を介して対向するよう設けられている。すなわち、レンズ6dの表側にレンズ6gが設けられ、レンズ6eの表側にレンズ6hが設けられ、レンズ6fの表側にレンズ6iが設けられている。
【0105】
また、レンズ6g〜6iには、接続状態でコネクタ8の下端面82との間に間隙26’が形成されている。すなわち、接続状態で、レンズ6g〜6iは、コネクタ8と非接触となっている。これにより、光ファイバ81a〜81cの伝送特性を維持することができる。
【0106】
また、レンズ6d〜6fには、光導波路3aとの間に間隙26が形成されている。すなわち、レンズ6d〜6fは、光導波路3aと非接触となっている。これにより、光導波路3aの伝送特性を維持することができる。
【0107】
このような構成により、ミラー4aで屈曲した光100は、レンズ6dと支持板28レンズ6gとを順に透過し、コア部84aに入射する。ミラー4bで屈曲した光100は、レンズ6eと支持板28とレンズ6hとを順に透過し、コア部84bに入射する。ミラー4cで屈曲した光100は、レンズ6fと支持板28とレンズ6iとを順に透過し、コア部84cに入射する。
【0108】
以上、本発明の光伝送基板を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、光伝送基板を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0109】
なお、第1実施形態、および第2実施形態において、光は、光導波路を通過しミラーにより反射され、レンズを介して、光ファイバに入射するが、本発明ではこれに限らず、光は、光ファイバから出射され、レンズを介して、ミラーにより反射され、光導波路のコア部を通過する構成となっていてもよい。
【0110】
また、各実施形態において、光伝送基板と光学的に接続される導光路は光ファイバであるが、本発明ではこれに限らず、光伝送基板に接続されるコネクタが有する導光路は、光導波路でもよい。
【0111】
さらに、本発明では、接続部材とコア部とは非接触であるが、接着剤層が介在されていてもよい。
【0112】
なお、各実施形態におけるレンズはプラノコンペックスレンズで構成されているが、本発明ではこれに限らず、フレネルレンズで構成されていてもよい。これにより、レンズの厚さをより薄くすることができ、よって、光伝送基板の小型化を図ることができる。
【0113】
また、各実施形態において、接続部材に接続される相手体であるコネクタは、基板に対して垂直に挿入されるが、本発明ではこれに限らず、接続部材に対して水平に挿入されるよう構成されていてもよい。
【0114】
また、第3実施形態および第4実施形態では、本体と支持板とは、別体として構成されているが、本願発明ではこれに限らず、本体と支持板とは一体的に形成されていてもよい。
【0115】
また、各実施形態において、接続部材に接続されるコネクタは、ミラーを有していてもよい。すなわち、接続部材に接続されるコネクタは、光路変換機能を有していてもよい。
【0116】
また、各実施形態において、接続部材は基板に設けられているが、本発明ではこれに限定されず、コア部に非接触であれば、光導波路の上面に設けられていてもよい。この場合、切欠きの高さは、レンズの厚さより大きい。
【0117】
また、各実施形態において、接続部材の外形形状は四角形の筒状をなしているが、本発明ではこれに限定されず、円筒状、多角形の筒状等をなしていてもよい。
【0118】
また、各実施形態では、接続部材は基板に対して接着剤で固定されているが、本発明ではこれに限定されず、基板と接続部材とのうちの一方に設けられたガイドピンと、他方に設けられたガイド孔等で固定されていてもよい。