(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
<1.第1の実施形態>
(1−1.硬貨処理装置の構成)
図1を参照しながら、第1の実施形態に係る硬貨処理装置1の構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る硬貨処理装置1の内部構成を示す概略図である。なお、
図1(a)は、硬貨処理装置1の正面側から内部を見た図であり、
図1(b)は、側面側から内部を見た図である。
【0025】
硬貨処理装置1は、店舗等に設置されたレジスターで取り扱われる硬貨を管理する。硬貨処理装置1は、硬貨を一括して受け入れた後、各硬貨の硬貨認識を行って金種を判別する。その後、硬貨処理装置1は、判別結果に応じて金種毎に硬貨を選別し、選別した硬貨を出金する。
【0026】
図1に示すように、硬貨処理装置1は、硬貨受領部10と、硬貨繰り出し部12と、硬貨判別部14と、選別搬送路20と、リジェクト硬貨収容部26と、一時保留部30と、返却箱34と、金種別ホッパ36と、出金箱40と、硬貨移送部50と、制御ユニット90とを有する。
【0027】
硬貨受領部10は、投入される硬貨Cを受ける部分である。硬貨受領部10は、硬貨処理装置1の上方、かつ前面側に位置する。硬貨受領部10は、硬貨Cが投入される投入口11を有する。投入口11は、硬貨Cを一括して投入し易いように、広く開口している。硬貨受領部10に投入された硬貨Cは、硬貨繰り出し部12に落下する。
【0028】
硬貨繰り出し部12は、硬貨受領部10の下方に位置し、硬貨受領部10から落下した硬貨Cを一枚ずつ繰り出す。硬貨繰り出し部12内には、例えば回転円盤(不図示)が設けられている。硬貨繰り出し部12内の硬貨Cは、回転円盤が回転する際の遠心力により移動して、一枚ずつ硬貨判別部14へ繰り出される。
【0029】
硬貨判別部14は、硬貨繰り出し部12から繰り出された硬貨Cの真偽、金種等の判別を行う。硬貨判別部14は、硬貨Cを認識するセンサ(不図示)を有し、センサで検出した硬貨Cの特徴に基づいて、硬貨の真偽、金種等を判別する。硬貨判別部14は、判別した硬貨Cを選別搬送路20に搬送する。
【0030】
選別搬送路20は、硬貨判別部14による判別結果に基づいて、硬貨Cを選別して搬送する。選別搬送路20は、搬送路上流側に位置するリジェクト口21と、搬送路下流側に位置する金種別の受入口22a〜22fとを有する。硬貨判別部14において真貨で無いと判別された硬貨Cは、リジェクト口21を通過する。真貨であると判別された硬貨Cは、金種別に受入口22a〜22fを通過する。
【0031】
リジェクト硬貨収容部26は、リジェクト口21を通過した硬貨を収容する。リジェクト口21の下方には、リジェクト口21を通過した硬貨をリジェクト硬貨収容部26へ導くリジェクトシュートが配置(
図1に示す矢印Rのルートで配置)されている。リジェクト硬貨収容部26は、硬貨処理装置1の前面に開閉可能な扉28を有する。扉28が開いた際に、操作者はリジェクト硬貨収容部26を装置外へ引き出し可能である。
【0032】
一時保留部30は、金種別の受入口22a〜22fを通過した硬貨を、金種別に収容する。受入口22a〜22fの下方には、受入口22a〜22fを通過した硬貨を一時保留部30へ導く硬貨落下シュートが配置(
図1に示す矢印Qのルートで配置)されている。一時保留部30は、周囲の4面を囲むフレーム内を金種別に区切って直線状に並んだ金種別の一時保留部30a〜30fで構成されている。
【0033】
返却箱34は、一時保留部30が矢印H方向に移動した際に、一時保留部30から落下する硬貨を収容する。返却箱34は、使用者によって硬貨処理装置1の正面から装置外へ引き出し可能になっている。
【0034】
金種別ホッパ36は、一時保留部30が矢印S方向に移動した際に、一時保留部30から落下する硬貨を金種別に収納する。金種別ホッパ36は、金種別の一時保留部30a〜30fに対応するように直線状に並べられた複数の金種別ホッパ36a〜36fで構成されている。金種別ホッパ36a〜36fは、
図1に示す矢印T方向に、硬貨を一枚ずつ繰り出す繰り出し部も有する。
【0035】
出金箱40は、金種別ホッパ36a〜36fから繰り出された(送り出された)硬貨を、金種別に集積する。出金箱40は、着脱部45に対して着脱可能に設けられ、使用者によって硬貨処理装置1の前面から装置外へ引き出し可能になっている。金種別ホッパ36a〜36fの下方には、繰り出された硬貨を出金箱40へ導くシュートが配置(
図1に示す矢印Tのルートで配置)されている。出金箱40には、個々に硬貨を取り出すことができる金種別の出金小箱42a〜42fが直線状に並べて収納されている。出金小箱42a〜42fは、金種別ホッパ36a〜36fに対応して設けられている。なお、硬貨処理装置1の本体側には、出金箱40が装着されている状態か取り外されている状態かを検出するセンサ(不図示)が設けられている。
【0036】
硬貨移送部50は、
図2に示すように出金箱40が取り外された状態で、金種別ホッパ36a〜36fから繰り出された硬貨を取り出し口60へ向けて移送する。硬貨移送部50は、前後搬送部52と、一括小箱54と、ステージ56と、上下搬送部58と、取り出し口60とを有する。
【0037】
(前後搬送部の構成)
前後搬送部52は、着脱部45に装着された出金箱40の下方に位置する。前後搬送部52は、出金箱40が着脱部45から取り外された場合に、繰り出し部の一例である金種別ホッパ36a〜36fから繰り出された硬貨が、着脱部45を通過して落下するようになっている。前後搬送部52は、落下した硬貨を受け止めて、搬送方向下流側に位置する収容部の一例である一括小箱54へ搬送する。
【0038】
図2は、前後搬送部52の構成例を説明するための図である。
図2では、出金箱40が取り外されている。
図2に示すように、前後搬送部52は、搬送ベルト70と、搬送モータ71と、側壁73、74と、押し出し部材の一例である押し出し板76と、ガイド部材の一例である出口ガイド78と、位置検出センサ80、81と、を有する。
【0039】
搬送ベルト70は、金種別ホッパ36(出金別ホッパ36a〜36f)の下方に位置し、搬送モータ71の駆動力を受けて搬送方向(
図2(b)のY方向)に回転可能である。そして、搬送ベルト70は、搬送方向に沿って設けられた金種別ホッパ36a〜36fから繰り出された硬貨を受け止めて、回転することにより搬送方向下流側に位置する一括小箱54へ硬貨を搬送する。なお、搬送ベルト70は、硬貨を一括小箱54へ搬送する順方向への回転と、順方向とは逆方向への回転とが可能である。
【0040】
側壁73、74は、搬送ベルト70の両側に、搬送方向に沿って設けられている。側壁73、74は、搬送ベルト70により搬送される硬貨(搬送ベルト70上に集積された硬貨)が、搬送ベルト70から溢れることを規制する。ここで、側壁73、74の高さは、一度に出金処理する硬貨の枚数に対応する集積高さ以上に設定されている。
【0041】
押し出し板76は、搬送ベルト70に取り付けられており、搬送ベルト70の回転に連動して移動する。押し出し板76は、待機位置と、押出位置との間を、搬送ベルト70の回転(順方向又は逆方向への回転)に伴い往復移動する。押し出し板76が待機位置に位置する際に、金種別ホッパ36a〜36fから硬貨が繰り出される。押し出し板76は、押出位置に位置する際に、搬送ベルト70に集積された硬貨を一括小箱54へ落とすように押し出す機能を有する。
【0042】
第1の実施形態に係る押し出し板76は、詳細は後述するが、待機位置から押出位置へ移動する際に、間欠移動する。すなわち、押し出し板76は、待機位置から押出位置へ移動する際に、複数の一時停止位置で停止する。
【0043】
また、押し出し板76は、搬送ベルト70上に集積された硬貨が上流側へ移動することを規制する。さらに、押し出し板76は、
図3に示すように、側壁73、74に対して入れ子構造になっており、押し出し板76と側壁73、74の間を硬貨Cが上流側へ向けて通過できないようになっている。
図3は、押し出し板76と側壁73、74の関係を説明するための模式図である。
【0044】
出口ガイド78は、搬送ベルト70の搬送方向の最下流の上方であって、押出位置に位置する押し出し板76の近傍に設けられている。出口ガイド78は、搬送ベルト70から一括小箱54へ移動する硬貨をガイドする。また、出口ガイド78は、下流側の搬送出口において搬送ベルト70上に集積した硬貨の高さを規制する。このように規制することで、搬送ベルト70上に硬貨が高く堆積したことに起因して硬貨が散乱することを抑制できるので、一括小箱54に硬貨が入らないことを防止できる。なお、出口ガイド78が規制する硬貨の高さは、硬貨が一括小箱54に確実に入るような高さが望ましい。
【0045】
位置検出センサ80は、押し出し板76の待機位置を検出するセンサであり、位置検出センサ81は、押し出し板76の押出位置を検出するセンサである。位置検出センサ80、81は、例えば光学センサであり、押し出し板76の被検出部がセンサを遮光した際に押し出し板76の位置を検出する。
【0046】
図1に戻って、硬貨処理装置1の構成例の説明を続ける。
一括小箱54は、前後搬送ベルト52の搬送方向下流側に位置し、前後搬送ベルト52で搬送された硬貨を集積する。一括小箱54の大きさは出金箱40よりも小さいため、一括小箱54の硬貨の集積量は出金箱40の集積量よりも小さい。一括小箱54は、前後搬送ベルト52で搬送された硬貨を集積する第1位置(
図1(b)に示す位置)と、第1位置よりも上方の取り出し口60に対向する第2位置とに位置する。また、一括小箱54は、金種別に硬貨を集積する出金箱40とは異なり、種類が異なる硬貨を一括して集積する。
【0047】
ステージ56は、一括小箱54を支持する。上下搬送部58は、一括小箱54を支持したステージ56を、上下方向に搬送する。上下搬送部58は、
図2に示すように、一括小箱54を第1位置と第2位置の間で移動するように、ステージ56を上方に搬送する。
【0048】
取り出し口60は、第2位置に位置する一括小箱54に集積された硬貨を使用者が取り出すためのものである。取り出し口60は、出金箱40よりも上方に設けられている。具体的には、取り出し口60は、使用者が屈まずに一括小箱54を取り出させる位置に設けられている。
【0049】
制御ユニット90は、硬貨処理装置1の全体動作を制御する。制御ユニット90は、上述した各構成要素の動作を制御する制御部と、制御部が実行するプログラムや各種のデータを記憶する記憶部と、を有する。
【0050】
(1−2.出金処理例)
上述した構成の硬貨処理装置1の出金処理例について説明する。
【0051】
硬貨処理装置1は、出金処理として、第1の出金処理又は第2出金処理を実行可能である。第1の出金処理は、例えばレジスターで使用する釣銭準備金としての硬貨の出金処理や、両替等での硬貨の出金処理をいう。第2の出金処理は、例えば金融機関等の外務員が使用する釣銭準備金としての硬貨の出金処理や、両替等での硬貨の出金処理をいう。第1の出金処理の際には、多量の硬貨が出金されるため、出金箱40に硬貨が集積される。第2の出金処理の際には、少量の硬貨が出金されるため、一括小箱54に硬貨が集積される。
【0052】
以下では、第2の出金処理の一例について説明する。第2の出金処理は、出金ホッパ36a〜36fに硬貨が収納され、かつ出金箱40が引き出された状態から開始される。
【0053】
まず、使用者が、表示部に表示される出金画面で、金種毎の硬貨の出金枚数を入力すると、出金ホッパ36a〜36fに設けられた繰り出し部により、該当する金種の硬貨が繰り出される。ここで、出金箱40が引き出されているので、繰り出された硬貨は、
図1の矢印Tのルートで着脱部45を通過して前後搬送部52の搬送ベルト70上に落下する。
【0054】
その後、搬送ベルト70が回転することで、搬送ベルト70上の硬貨を前方に搬送する。搬送された硬貨は、第1位置に位置する一括小箱54内に集積される。その後、上下搬送部58が、回転することで、一括小箱54が載置されたステージ56が上方に移動する。
【0055】
そして、ステージ56の移動に伴い一括小箱54が取り出し口60に対向する第2位置に位置すると、ステージ56の移動が停止する。その後、使用者は、取り出し口60の扉を開くと、一括小箱54を取り出すことができる。この際に、取り出し口60から一括小箱54を取り出す誘導画面が表示される。
【0056】
(1−3.ベルトによる硬貨搬送時の問題点)
ところで、搬送ベルト70により硬貨を搬送する場合に、以下のような問題が発生する恐れがある。
【0057】
すなわち、搬送ベルト70上に硬貨の集積量が多い場合や、硬貨がベルト上で片寄って集積された場合に、搬送ベルト70が硬貨を搬送すると、一括小箱54に硬貨が一気に落下しようとするために、硬貨が一括小箱54に入らずに溢れる恐れがある。また、押し出し板76によって押された硬貨が出口ガイド78で規制されることで、硬貨が押し出し板76と出口ガイド78の間でロックしてしまう場合がある。そして、ロックした状態で押し出し板76を更に移動させようとすると、硬貨が飛び跳ねて搬送経路外に飛び散る恐れがある。
【0058】
そこで、本実施形態では、上述した問題を解決すべく、搬送ベルト70に硬貨を間欠搬送させるように搬送処理を行う。この際、押し出し板76は、待機位置から押出位置へ移動する際に、一時停止位置で一時停止しながら移動する間欠移動を行う。
【0059】
(1−4.押し出し板76の移動処理)
図4及び
図5を参照しながら、第1の実施形態に係る第2の出金処理における押し出し板76の移動処理について説明する。押し出し板76の移動処理は、制御ユニット90によって実行される。すなわち、制御ユニット90の制御部は、記憶部に記憶されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて、押し出し板76の移動処理を実行する。
【0060】
図4は、第1の実施形態に係る第2の出金処理における押し出し板76の移動処理を示すフローチャートである。
図5は、第1の実施形態に係る移動処理における押し出し板76の位置を説明するための模式図である。
【0061】
図4のフローチャートは、押し出し板76が待機位置に位置する状態から開始される。
図4のフローチャートで、制御ユニット90は、使用者等が指定した硬貨の出金枚数に基づいて、金種別ホッパ36a〜36fから硬貨を繰り出させる(ステップS102)。繰り出された硬貨は、停止中の搬送ベルト70上に集積される。この際、搬送方向上流側の金種別ホッパ36d〜36fから繰り出される硬貨は、搬送ベルト70上の同一位置に集積される。これは、金種別ホッパ36e、36fから繰り出された硬貨が、ガイド85(
図5)によって金種別ホッパ36dから繰り出された硬貨の集積位置と同じ位置に案内されるからである。
【0062】
次に、金種別ホッパ36a〜36fから出金枚数の硬貨の繰り出しが完了すると(ステップS104:Yes)、制御ユニット90は、搬送モータ71を駆動させて搬送ベルト70を回転させることにより、待機位置に位置する押し出し板76を下流側へ移動させる。第1の実施形態では、制御ユニット90は、まず、押し出し板76の第1の移動動作を行う(ステップS106)。
【0063】
ここで、第1の移動動作について説明する。第1の移動動作において、待機位置に位置する押し出し板76は、一時停止位置aに移動して所定時間だけ停止した後に、下流側の一時停止位置bに移動する。その後も、押し出し板76は、一時停止位置bで所定時間だけ停止した後に、下流側の一時停止位置cに移動する。すなわち、押し出し板76は、移動と停止を繰り返しながら、待機位置から一時停止位置dまで移動する。
【0064】
ここで、一時停止位置aは、搬送方向において金種別ホッパ36dと金種別ホッパ36eの間の位置であり、一時停止位置bは、金種別ホッパ36cと金種別ホッパ36dの間の位置であり、一時停止位置cは、金種別ホッパ36bと金種別ホッパ36cの間の位置であり、一時停止位置dは、金種別ホッパ36aと金種別ホッパ36bの間の位置である。そして、一時停止位置a〜dの間の間隔は、金種別ホッパ36a〜36fの搬送方向における間隔と同じである。また、一時停止位置dは、押し出し板76の近傍に硬貨が集積されている場合に、一時停止位置dに位置する押し出し板76と出口ガイド78との間で硬貨が圧迫されない位置に設定されている。これにより、押し出し板76と出口ガイド78の間で硬貨がロックすることを防止できる。
【0065】
上述した第1の移動動作が行わる際に、搬送ベルト70上に集積された硬貨は、下流側へ向けて搬送される。この際に、搬送ベルト70上の硬貨は、ベルト上で滑ったり、上流側へ転がる場合があるが、押し出し板76に押されて下流側に搬送される。
【0066】
また、上述した第1の移動動作を行うことにより、搬送ベルト70上に集積された硬貨を崩すことができる。例えば、搬送ベルト70上に集積した硬貨の山は、押し出し板76の移動開始時(すなわち、搬送モータ71の起動時)には、慣性の法則によって元の位置に留まろうとするため、搬送方向の上流側に徐々に崩れる。また、押し出し板76の一時停止時(搬送モータ71の駆動停止時)には、搬送ベルト70上に集積した硬貨の山は、同様に慣性の法則によって、下流側に崩れる。これにより、搬送ベルト70上の硬貨の山が低くなり(硬貨の集積状態が均されて)、硬貨が一括小箱54に少しずつ落下することになる。この結果、一括小箱54に硬貨が一気に落下しようとするために、硬貨が一括小箱54に入らずに溢れる問題を解消できる。
【0067】
その後、制御ユニット90は、押出位置の直前の一時停止位置dに押し出し板76が停止してから所定時間経過すると、搬送モータ71を起動させて押し出し板76を上流側へ移動させる第2の移動動作を行う(ステップS108)。第2の移動動作においては、押し出し板76が、搬送方向において一時停止位置bと一時停止位置cの間の一時停止位置eに移動する。なお、上記では、一時停止位置eが一時停止位置bと一時停止位置cの間に位置することとしたが、これに限定されず、例えば一時停止位置eが一時停止位置cと一時停止位置dの間に位置しても良い。
【0068】
第2の移動動作により、搬送モータ71の起動時(押し出し板76の移動開始時)に、硬貨が搬送方向の下流側に崩れることで、硬貨の山が更に低くなる。特に、搬送ベルト70の押し出し板76の近傍に金種別ホッパ36d〜36fから繰り出された硬貨が集積されている場合には、硬貨を効果的に崩すことが可能となる。
【0069】
その後、制御ユニット90は、一時停止位置eに押し出し板76が停止してから所定時間経過すると、搬送モータ71を駆動させて、押し出し板76を下流側の押出位置へ移動させる第3の移動動作を行う(ステップS110)。この際、制御ユニット90は、位置検出センサ81が移動中の押し出し板76を検出することで、押し出し板76の移動を停止して押出位置に位置させる。
【0070】
第3の移動動作により、搬送ベルト70上に残っていた硬貨が、押し出し板76に押されて一括小箱54に少しずつ落下する。前述した第1の移動動作及び第2移動動作の際に硬貨が少しずつ一括小箱54に落下するので、第3の移動動作の際に多量の硬貨が一括小箱54に落下することは抑制される。また、第2の移動動作で押し出し板76の近傍の硬貨の山が崩れるので、第3の移動動作の際に硬貨が押し出し板76と出口ガイド78の間でロックすることも防止できる。
【0071】
その後、制御ユニット90は、押出位置に位置する押し出し板76を待機位置に移動させる(ステップS112)。この際、制御ユニット90は、位置検出センサ80が移動中の押し出し板76を検出することで、押し出し板76の移動を停止して待機位置に位置させる。これにより、第1の実施形態に係る押し出し板76の移動処理が完了する。
【0072】
なお、上記では、押出位置と待機位置のみを位置検出センサ80、81で検出することとしたが、これに限定されず、例えば、一時停止位置a〜eも、センサによって検出しても良い。これにより、押し出し板76を正確な位置で停止させることが可能となる。
【0073】
また、第3の移動動作の後、押し出し板76を搬送方向の上流側に少し(例えば、一時停止位置dまで)移動させた後に、押出位置に再度移動させる移動動作(ダメ押し動作とも呼ぶ)を行っても良い。これにより、搬送ベルト70上に万一残っていた硬貨を、一括小箱54に確実に落下されることが可能となる。
【0074】
(1−5.有効性)
上述したように、第1の実施形態においては、
図5に示すように、制御ユニット90は、押し出し板76を待機位置から押出位置へ移動させる際に、押し出し板76を一時停止位置で一時停止しながら移動(間欠移動)させる。すなわち、制御ユニット90は、押し出し板76が取り付けられた搬送ベルト70に硬貨を間欠搬送させる。
【0075】
押し出し板76が一時停止位置で一時停止しながら移動する場合には、押し出し板76の移動開始時又は停止時に、搬送ベルト70上に集積された硬貨が崩されるので、硬貨の山が低くなり、硬貨の山が均される。これにより、搬送ベルト70上の硬貨が徐々に一括小箱54に落下するので、硬貨が溢れることを抑制できる。また、硬貨の山を低く抑えられることにより、硬貨が押し出し板76と出口ガイド78の間でロックすることを抑制できるので、硬貨が飛び跳ねることを抑制できる。
【0076】
また、第1の実施形態によれば、金種別ホッパ36a〜36fからの硬貨の繰り出し枚数を少なくすることなく(別言すれば、硬貨の枚数が多くても)、搬送ベルト70上の硬貨を適切に搬送することが可能となる。
【0077】
<2.第2の実施形態>
第2の実施形態では、搬送ベルト70上の硬貨の集積位置と集積枚数の情報に基づいて、押し出し板76の移動動作(間欠移動)を制御する。これにより、例えば搬送ベルト70上の硬貨の枚数が少ない場合には、第1の移動動作や第2の移動動作を行わないことにより、処理時間を短くできる。以下においては、
図6〜
図9を参照しながら、第2の実施形態に係る第2の出金処理における押し出し板76の移動処理について説明する。
【0078】
図6は、第2の実施形態に係る第2の出金処理における押し出し板76の移動処理を示すフローチャートである。
図7〜
図9は、第2の実施形態に係る移動処理における押し出し板76の位置を説明するための模式図である。
【0079】
第6のフローチャートも、押し出し板76が待機位置に位置する状態から開始される。
図6のフローチャートで、制御ユニット90は、使用者等が指定した硬貨の出金枚数に基づいて、金種別ホッパ36a〜36fから硬貨を繰り出させる(ステップS202)。繰り出された硬貨は、停止中の搬送ベルト70上に集積される。
【0080】
次に、制御ユニット90は、金種別ホッパ36a〜36からの繰り出された硬貨の総枚数が所定枚数よりも大きく(第1条件)、かつ各金種の硬貨の枚数が、それぞれ所定枚数より大きい(第2条件)か否かを判定する(ステップS204)。そして、ステップS204で第1条件と第2条件の少なくともいずれか一方が満たされない場合には(No)、制御ユニット90は、
図7に示すように、押し出し板76の第1の移動動作及び第2の移動動作を行わずに、第3の移動動作を行う(ステップS216)。
【0081】
第1条件と第2条件の少なくともいずれか一方が満たされない場合には、搬送ベルト70上に集積された硬貨の山の高さが低い。このため、かかる場合には、押し出し板76を一時停止させて硬貨の山を崩さなくても、一括小箱54に硬貨が一気に落下することを防止できる。また、押し出し板76の第1の移動動作及び第2の移動動作を行わないことで、処理時間を短くできる。
【0082】
一方で、ステップS204で第1条件及び第2条件が満たされている場合には(Yes)、制御ユニット90は、最も多くの硬貨が繰り出された金種別ホッパから繰り出された硬貨の枚数を判定する(ステップS206)。そして、制御ユニット90は、ステップS206で判定された硬貨の枚数に応じて、第1の移動動作において、押し出し板76を一時停止させる回数を決定する。
【0083】
具体的には、硬貨の枚数が設定値であるn枚以上である場合には、制御ユニット90は、第1の移動動作の際に、
図8(a)に示すように4つの一時停止位置a、b、c、dに押し出し板76を一時停止させる(ステップS208)。硬貨の枚数が設定値であるm枚以上n(nは、mより大きい)枚未満である場合には、制御ユニット90は、第1の移動動作の際に、
図8(b)に示すように2つの位置停止位置b、dに押し出し板76を一時停止させる(ステップS210)。硬貨の枚数がm枚未満である場合には、制御ユニット90は、第1の移動動作の際に、
図8(c)に示すように1つの一時停止位置dで押し出し板76を停止させる(ステップS212)。
【0084】
このように、第2の実施形態では、最も多く繰り出された金種の硬貨の枚数が多いほど、第1の移動動作の際に押し出し板76を一時停止させる回数を増やしている。硬貨の枚数が多いほど搬送ベルト70上の硬貨の山が高くなりやすいので、一時停止させる回数を増やすことで硬貨の山を低くできる。一方で、硬貨の枚数が少ない場合には、一時停止させる回数が少なくても硬貨の山が低くできるので、処理時間を短くできる。
【0085】
次に、制御ユニット90は、上流側の2つの金種別ホッパ36e、36fから繰り出された硬貨の合計枚数が、所定枚数以上であるか否かを判定する(ステップS214)。そして、ステップS214で硬貨の合計枚数が所定枚数以上である場合には(Yes)、制御ユニット90は、
図9(a)に示すように押し出し板76の第2の移動動作を行った後に第3の移動動作を行う(ステップS216、S218)。一方で、ステップS214で硬貨の合計枚数が所定枚数未満である場合には(No)、制御ユニット90は、
図9(b)に示すように第2の移動動作を行わずに第3の移動動作を行う(ステップS218)。
【0086】
上流側の2つの金種別ホッパ36e、36fからの硬貨の繰り出し枚数が多いほど、押し出し板76の近傍の硬貨の山が大きくなりやすい。このため、硬貨の合計枚数が所定枚数以上の場合に押し出し板76を上流側へ移動させる第2の移動動作を行うことで、押し出し板76の近傍の硬貨の山を効果的に崩して低くできるので、第3の移動動作の際に硬貨がロックすることを防止できる。一方で、硬貨の合計枚数が所定枚数未満の場合には、押し出し板76の近傍の硬貨の山が高くないので、第2の移動動作を行わなくても第3の移動動作の際に硬貨がロックする恐れが無い。そして、第2の移動動作を行わないことによって、処理時間を短くできる。
【0087】
その後、制御ユニット90は、押出位置に位置する押し出し板76を待機位置に移動させる(ステップS220)。これにより、第2の実施形態に係る押し出し板76の移動処理が完了する。
【0088】
上述した
図6〜
図9で説明した実施形態は、一例に過ぎず、例えば、搬送ベルト70上の硬貨の集積状態を検出するためのセンサを設けて、センサの検出結果に基づいて、押し出し板76の移動を制御しても良い。これにより、搬送ベルト70上の硬貨の集積状態に応じた、正確な制御を行うことができる。
【0089】
<3.第3の実施形態>
第1の実施形態及び第2の実施形態では、金種別ホッパ36a〜36fからの硬貨の繰り出しが完了してから、押し出し板76の第1〜第3の移動動作を行なっていた。
【0090】
これに対して、第3の実施形態では、最も多くの硬貨が繰り出された金種別ホッパからの硬貨の繰出枚数が所定枚数以上である場合には、金種別ホッパ36a〜36fから繰り出すべき硬貨の枚数の半分だけ繰り出した後、待機位置に位置する押し出し板76を下流側の第2待機位置に移動させた後に、残りの枚数の硬貨の繰り出しを行う。このように、金出別ホッパ36a〜36fからの硬貨の繰り出しの途中で、搬送ベルト70上の硬貨の集積位置をずらすことで、硬貨の集積が偏ることを抑制できるので、より効果的に、押し出し板76が硬貨を押し出す際の飛び跳ねやこぼれが防止できる。
【0091】
図10は、第3の実施形態に係る移動処理における押し出し板76の位置を説明するための模式図である。
図10に示すように、第2待機位置は、待機位置(第1待機位置)と同様に、金種別ホッパ36a〜36fから落下した硬貨Cが集積される位置よりも上流側の位置である。また、第2待機位置は、待機位置から、金種別ホッパ36a〜36fの隣合うホッパの間隔の半分だけ移動した位置である。
【0092】
そして、第3の実施形態では、制御ユニット90は、使用者等が指定した硬貨の出金枚数から、各金種別ホッパ36a〜36fからの硬貨の繰り出し枚数を判定する。そして、制御ユニット90は、最も多くの硬貨が繰り出される金種の硬貨枚数を特定し、特定した硬貨枚数が所定枚数以上である場合には、押し出し板76が待機位置に位置した状態で、出金枚数の半分だけ金種別ホッパ36a〜36fから繰り出す。これにより、
図10(a)に示すように、出金枚数の半分の硬貨が搬送ベルト70上に集積される。
【0093】
その後、制御ユニット90は、
図10(b)に示すように、待機位置に位置する押し出し板76を第2待機位置に移動させる。これにより、搬送ベルト70上の硬貨の山は、隣合うホッパの間の位置に位置することになる。
【0094】
その後、制御ユニット90は、出金枚数の残りの硬貨を金種別ホッパ36a〜36fから繰り出す。繰り出された硬貨は、
図10(c)に示すように、1回目の繰り出しで形成された硬貨の山の間に集積される。これにより、搬送ベルト70の硬貨の山が均された状態となる。
【0095】
その後、制御ユニット90は、第2待機位置に位置する押し出し板76を押出位置に移動させる第3の移動動作を行う。これにより、搬送ベルト70上に均された硬貨が、第3の移動動作の際に、徐々に一括小箱54に落下する。これにより、押し出し板76が硬貨を押し出す際の飛び跳ねやこぼれが防止できる。また、第2の実施形態と組み合わせることにより、より大きな効果が奏される。
【0096】
なお、上記では、押し出し板76が第2待機位置に位置する際に、出金枚数の残り半分の硬貨を繰り出すこととしたが、これに限定されない。例えば、待機位置に位置する押し出し板76を第2待機位置に向けて、通常時の移動速度よりもゆっくり移動させながら、出金枚数の残り半分の硬貨を繰り出すこととしても良い。これにより、処理時間を短くできる。
【0097】
また、上記では、押し出し板76を第2待機位置に移動させた後に、第1の移動動作及び第2の移動動作を行わずに第3の移動動作を行うこととしたが、これに限定されない。例えば、第2待機位置に位置する押し出し板76に対して、第1の実施形態と同様に、第1〜第3の移動動作を行なっても良い。これにより、搬送ベルト70上の硬貨が更に均されることになる。
【0098】
<4.第4の実施形態>
第4の実施形態では、押し出し板76の第1の移動動作が、第1の実施形態と異なる。具体的には、第1の実施形態では、押し出し板76を一時停止位置aに移動させて所定時間経過した後に、一時停止位置bに移動させていた。これに対して、第4の実施形態での第1の移動動作では、上流側の一時停止位置aに位置する押し出し板76を、待機位置に戻して所定時間経過した後に、一時停止位置bに移動させる。これにより、搬送ベルト70の搬送方向上流側(特に、押し出し板76の近傍)に集積した硬貨を、早い段階で崩すことができる。
【0099】
図11は、第4の実施形態に係る移動処理における押し出し板76の位置を説明するための模式図である。
【0100】
第4の実施形態では、制御ユニット90は、押し出し板76の第1の移動動作として、
図11に示すように、まず待機位置に位置する押し出し板76を一時停止位置aに移動させる。その後、制御ユニット90は、所定時間経過すると、一時停止位置aに位置する押し出し板76を待機位置に移動させる。この際に、搬送方向の上流側(特に、押し出し板76の近傍)に集積した硬貨が、搬送方向の下流側に崩れる。このため、押し出し板76の近傍に集積した硬貨を、早い段階で均すことが可能となる。
【0101】
制御ユニット90は、さらに所定時間経過すると、待機位置に位置する押し出し板76を一時停止位置bに移動させる。この際に、搬送方向の上流側に集積した硬貨が、搬送方向の上流側に崩れる。その後、制御ユニット90は、第1の実施形態と同様に、一時停止位置bに位置する押し出し板76を一時停止位置c、dに移動させる。その後の第2の移動動作及び第3の移動動作は、第1の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0102】
なお、上記では、一時停止位置aに位置する押し出し板76を待機位置に一旦戻すこととしたが、これに限定されない。一時停止位置b、c、dに位置する押し出し板76を待機位置に一旦戻しても良い。そして、第2の実施形態と組み合わせることにより、硬貨が多く集積して箇所を狙って、硬貨の山を崩すことが可能となる。
【0103】
また、第2の実施形態のように、搬送ベルト70上の硬貨の集積位置と集積枚数の情報に基づいて、一時停止位置に位置する押し出し板76を待機位置に戻すか否かを判断しても良い。
【0104】
また、第3の実施形態と組み合わせて、出金枚数の半分の硬貨を繰り出した(1回目の繰り出し)ところで押し出し板76を第2待機位置に移動させた後、一時停止させた状態で残りの硬貨を繰り出し(2回目の繰り出し)ても良い。かかる場合には、2回目の硬貨を繰り出す前に、1回目の繰り出された硬貨の山が崩されるので、2回目の繰り出し後の硬貨の山を低くできる。
【0105】
<5.第5の実施形態>
第1〜第4の実施形態では、搬送ベルト70の搬送処理時において、待機位置に位置する押し出し板76を、一時停止させながら押出位置まで移動させていた。これに対して、第5の実施形態では、待機位置に位置する押し出し板76を、加減速させながら押出位置まで移動させる。
【0106】
図12は、第5の実施形態に係る移動処理における押し出し板76の位置を説明するための模式図である。
【0107】
第5の実施形態では、制御ユニット90は、金種別ホッパ36a〜36fからの硬貨の繰り出しが完了すると、待機位置に位置する押し出し板76を、加減速させながら押出位置まで移動させる。制御ユニット90は、搬送モータ71の回転速度を加減速することにより、押し出し板76が加減速を繰り返しながら移動する。
【0108】
ところで、搬送モータ71の回転速度の加減速は、
図12に示すように、搬送モータ71を駆動させるON信号を所定間隔でOFFにすることにより実現される。ただし、これに限定されず、例えば、搬送モータ71の回転速度を検出して、ONとOFFを繰り返しても良い。
【0109】
第5の実施形態では、押し出し板76が加減速する際に、搬送ベルト70上に集積された硬貨が崩れる。特に、押し出し板76が加減速を繰り返しながら移動することにより、硬貨を効果的に崩すことが可能となる。また、第5の実施形態では、押し出し板76を一時停止させないため、処理時間を短くすることができる。
【0110】
上記では、押し出し板76の第1〜第3の移動動作を行わないこととしたが、これに限定されず、例えば、第1〜第3の移動動作の際に押し出し板76を加減速させながら移動させても良い。また、第2〜第4の実施形態と組み合わせて実施しても良い。
【0111】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。