(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コイルユニットを前記スライド機構によるスライド方向と直交する左右方向へと揺動させる回動機構をさらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された給電装置。
前記回動機構は、検出センサにより前記コイルユニットの表面に存在する異物を検出する場合に、前記コイルユニットを左右方向に揺動させることを特徴とする請求項4に記載された給電装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る非接触給電システムの構成を模式的に示すブロック図である。非接触給電システムは、地上側の給電装置100と、車両側ユニットを含む車両200とを備え、給電装置100から非接触で電力を供給し、車両200に設けられるバッテリ28を充電するシステムである。
【0012】
給電装置100は、車両200の駐車スペースを備える充電スタンドなどに設置されており、車両200に対して電力を供給する。この給電装置100は、電力制御部11と、送電コイル装置12と、無線通信部14と、制御部15とを主体に構成されている。
【0013】
電力制御部11は、交流電源300から送電される交流電力を、高周波の交流電力に変換し、送電コイル(送電コイル装置12)に送電するための回路である。この電力制御部11は、整流部111と、PFC(Power Factor Correction)回路112と、インバー
タ113と、センサ114とを備えている。
【0014】
整流部111は、交流電源300に電気的に接続され、交流電源からの出力交流電流を整流する。PFC回路112は、整流部111からの出力波形を整形することで力率を改善するための回路であり、整流部111とインバータ113との間に接続されている。インバータ113は、平滑コンデンサやIGBT等のスイッチング素子、PWM制御回路等を含む電力変換装置であり、制御部15からの制御信号に基づいて、直流電流を高周波の交流電流に変換し、送電コイルに供給する。センサ114は、PFC回路112とインバータ113との間に接続され、電流や電圧を検出する。
【0015】
送電コイル装置12は、車両200側の受電コイル22に対して非接触で電力を供給するための送電コイルを備えるユニットであり、送電コイルは金属等の導電体からなる導線を巻回して構成されている。この送電コイル装置12は、車両200を駐車する駐車スペースに配置されている。本実施形態では、駐車スペースへの駐車形態が後ろ向き駐車であることを前提に説明することとし、この送電コイル装置12は、駐車スペースの外側であって車両後方側に配置されている。送電コイル装置12の詳細については後述する。
【0016】
無線通信部14は、車両200側に設けられた無線通信部24と双方向に通信を行う。無線通信部14と無線通信部24との間の通信周波数には、インテリジェントキーなどの車両周辺機器で使用される周波数より高い周波数が設定されているため、無線通信部14と無線通信部24との間で通信を行っても、車両周辺機器は、当該通信による干渉を受け
にくい。無線通信部14及び無線通信部24との間の通信には、例えば各種の無線LAN方式が用いられ、遠距離に適した通信方式が用いられている。
【0017】
制御部15は、給電装置100を総括的に制御する機能を担っている。例えば、制御部15は、電力制御部11、送電コイル装置12及び無線通信部14を制御する。制御部15は、無線通信部14と無線通信部24との間の通信により、電力供給を開始する旨の制御信号を車両200側に送信したり、車両200側からの電力を受給したい旨の制御信号を受信したりする。制御部15は、センサ114の検出電流に基づいて、インバータ113のスイッチング制御を行い、送電コイルから供給される電力を制御する。この制御部15としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。
【0018】
また、本実施形態との関係において、制御部15は、充電動作時には、送電コイル装置12を制御して、送電コイルを車両200側の受電コイル22と対峙するように移動させたり、充電動作の終了に伴い、送電コイル装置12を制御して、送電コイルを受電コイル22から離間させたりする。
【0019】
車両200は、受電コイル22と、無線通信部24と、充電制御部25と、整流部26と、リレー部27と、バッテリ28と、インバータ29と、モータ30と、通知部32とを備えている。
【0020】
受電コイル22は、給電装置100側の送電コイルから非接触で電力を受けるためのコイルであり、金属等の導電体からなる導線を巻回して構成されている。この受電コイル22は、例えば、車両200の底面(シャシ)等で後方の車輪の間といった目的箇所に設けられている。この受電コイル22の中央部には、送信部23が設けられている。送信部23は、送電コイル装置12側に電磁波を送信する送信用のアンテナであり、例えば磁界アンテナ等が用いられる。
【0021】
無線通信部24は、給電装置100側に設けられた無線通信部14と、双方向に通信を行う。
【0022】
整流部26は、受電コイル22に接続され、受電コイル22で受電された交流電力を直流に整流する整流回路により構成されている。
【0023】
リレー部27は、充電制御部25の制御によりオン及びオフが切り変わるリレースイッチを備えている。リレー部27は、当該リレースイッチをオフにすることで、バッテリ28側と、充電回路部側となる受電コイル22及び整流部26とを切り離すことできる。
【0024】
バッテリ28は、車両200の電力源であり、例えば複数の二次電池を電気的に接続して構成されている。
【0025】
インバータ29は、IGBT等のスイッチング素子、PWM制御回路等を含む電力変換装置であり、制御信号に基づいて、バッテリ28から出力される直流電流を交流電流に変換し、当該交流電力をモータ30に供給する。モータ30は、例えば三相の交流電動機により構成され、車両200を駆動させるための駆動源である。
【0026】
通知部32は、警告ランプ、ナビゲーションシステムのディスプレイ又はスピーカ等により構成され、車室内のインストルメントパネル等に配置されている。この通知部32は、充電制御部25による制御に基づいて、ユーザに対して光、画像又は音等を出力する。
【0027】
充電制御部25は、バッテリ28の充電を制御する機能を担っている。例えば、充電制御部25は、無線通信部24及び通知部32を制御する。充電制御部25は、無線通信部24及び無線通信部14の通信により、電力供給を開始する旨の制御信号を給電装置100側から受信したり、電力を受給したい旨の制御信号を車両200側に送信したりする。
【0028】
また、図示を省略しているが、充電制御部25は、車両200全体を制御するコントローラとCAN通信網で接続されている。当該コントローラは、インバータ29のスイッチング制御や、バッテリ28の充電状態(SOC)を管理している。充電制御部25は、コントローラから得られるバッテリ28のSOCに基づいて満充電を判断した場合に、充電を終了する旨の制御信号を給電装置100側に送信する。
【0029】
本実施形態に係る非接触給電システムでは、送電コイルと受電コイル22との間で、電磁誘導作用により非接触状態で高周波電力の送電を行う。すなわち、送電コイルに電圧が加わると、送電コイルと受電コイル22との間に磁気的な結合が生じ、送電コイルから受電コイル22へ電力が供給される。
【0030】
以下、本実施形態の特徴の一つである送電コイル装置12について説明を行う。
図2は、送電コイル装置12の外観を模式的に示す斜視図である。
図3は、送電コイル装置12の構成を模式的に示す分解斜視図である。送電コイル装置12は、筐体120と、送電パッド125と、パッド昇降部130と、ジョイントレール部150と、スライド駆動部170とで構成されている。
【0031】
筐体120は、その内部に、送電パッド125と、パッド昇降部130と、ジョイントレール部150と、スライド駆動部170とを収容している。筐体120は、ドーム形状を備えており、上面部と、その周囲に延設されたフランジ状の側面部とで形成されている。駐車スペースと対峙する側面部122には開口123が形成されており、この開口123により、内部に収容する送電パッド125を出し入れすることができる。
【0032】
送電パッド125は、図示しない送電コイルと、これを収容する筐体とを主体に構成されているユニット(コイルユニット)である。送電パッド125を収容する筐体は、磁気的な影響を考慮して、例えば樹脂材で形成されている。
【0033】
また、送電パッド125の中央部には、受信部126(
図8参照)が設けられている。受信部126は、送信部23から送信された電磁波を受信するアンテナであり、例えば磁界アンテナ等が用いられる。さらに、送電パッド125には、送電パッド125の上面に存在する金属等の異物を検出する異物検出センサ(図示せず)、例えばコイルセンサが配設されている。
【0034】
図4は、パッド昇降部130の構成を模式的に示す斜視図である。パッド昇降部130は、送電パッド125を受電コイル22へと近接させるために、送電パッド125を上下方向に昇降させる機能を担っている。パッド昇降部130は、アーム機構132と、アーム基部136と、スライドレール140と、駆動アーム145とを備えている。
【0035】
アーム機構132は、送電パッド125を支持するとともに、当該送電パッド125を昇降させるためのものである。このアーム機構132は、回動アーム133と、リンクアーム134と、ガスステイ135とを備えている。
【0036】
回動アーム133は、その一端が送電パッド125の下面に配設されたブラケット137と回転自在に接続され、その他端がアーム基部136に配設されたブラケット138と
回転自在に接続されている。
【0037】
リンクアーム134は、中間点において屈曲自在に構成されたアーム部材であり、その一端が送電パッド125側のブラケット137と回転自在に接続され、その他端がアーム基部136側のブラケット138と回転自在に接続されている。このリンクアーム134は、回動アーム133及び一対のブラケット137,138とともにリンク機構を構成し、ブラケット138における接続端(基端)を中心とする回動アーム133の回動動作をアシストする。
【0038】
ガスステイ135は、内部に高圧ガスを作動油と共に封入しており、送電パッド125に対して上向き方向の付勢力を付与する付勢手段である。ガスステイ135は、送電パッド125とアーム基部136との間に設けられており、その一端を送電パッド125の下面に接続し、他端をアーム基部136に接続している。ガスステイ135は、ガス反力を通じて、送電パッド125の上昇と、上昇位置における送電パッド125の姿勢の保持とを行うことができる。
【0039】
アーム基部136は、アーム機構132を支持する支持部材である。また、アーム基部136は、スライドレール140をアーム機構132に連結する部材としても機能する。アーム基部136は、ブラケット138を介してアーム機構132を支持し、このブラケット138には回動機構139が取り付けられている。回動機構139は、ブラケット138及びアーム機構132を左右方向に回動させることができる。
【0040】
スライドレール140は、車両200の前後方向に延在するレール部材であり、アーム基部136の左右両サイドに設けられている。このスライドレール140は、後述するジョイントレール部150にサポートされて車両200の前後方向にスライドすることで、アーム機構132を車両200の前後方向にスライド移動させる。
【0041】
個々のスライドレール140の先端には、ストレート形状のフレーム141が前方に延出するように取り付けられている。このフレーム141には、前後方向移動をサポートするために、車輪142が回転自在に配設されている。また、フレーム141の前側には、フロントカバー143が配設されている。このフロントカバー143は、筐体120に設けられた開口123を開閉する蓋部として機能する。
【0042】
駆動アーム145は、略L字形状に屈曲した一対の部材であり、その一端がアーム基部136に回転自在に接続され、その他端がスライド駆動部170に接続されている。駆動アーム145は、スライド駆動部170の動作に伴い前後方向に移動することにより、送電パッド125を含むアーム機構132を車両200の前後方向にスライド移動させる。
【0043】
ジョイントレール部150は、ジョイントレール151と、アームカバー153とを備えている。
【0044】
ジョイントレール151は、スライドレール140と同様に車両200の前後方向に延在するレール部材であり、スライドレール140の左右側方にそれぞれ配設されている。このジョイントレール151は、スライドレール140を内包した状態でこれを滑走可能に保持しており、スライドレール140に対して車両200の前後方向のスライドを許容する。
【0045】
ジョイントレール151には、
図5(a)に示すように、ロック機構152が設けられている。ロック機構152によってロックがなされている状態では、ロック機構152とスライドレール140の係合部140aとが係合し、これにより、ジョイントレール15
1に対するスライドレール140のスライド動作が規制される。
【0046】
また、ジョイントレール151は、後述するアウタレール175にサポートされて、車両200の前後方向にスライド可能に構成されている。ジョイントレール151は、前述のロック状態において、ジョイントレール151自身が車両200の前後方向にスライドすることで、スライドレール140及びこれに連結されたアーム機構132を車両200の前後方向にスライド移動させる。
【0047】
アームカバー153は、左右のジョイントレール151に跨がるように、個々のジョイントレール151に連結されている。このアームカバー153は、回動アーム133の後端領域、すなわち、回動アーム133の回動支点側に相当する端部領域を上方から覆うように設定されている。アームカバー153の内側領域には、回転可能に支持されたガイドホイール154(
図6参照)が配設されており、このガイドホイール154は、回動アーム133を上方から押圧する力を作用させる。なお、ガイドホイール154は、自身が回転することで回動アーム133の前後方向のスライド移動を許容することができる。
【0048】
スライド駆動部170は、車両200の前後方向に送電パッド125をスライド移動させる機能を担っている。このスライド駆動部170は、ベースプレート171と、ワイヤガイド172と、スライダ173と、アウタレール175とを備えている。
【0049】
ベースプレート171は、地面に固定して配置される基部であり、その上部に、ワイヤガイド172と、アウタレール175とを固定的に配設している。また、このベースプレート171は、筐体121の下面部としての役割も担っている。
【0050】
ワイヤガイド172は、多角形状の筒状部材で構成されており、全体的には、車両200と対峙する前方側が開放された略U字形状を備えている。このワイヤガイド172には、所定の溝172aがその形状に沿って形成されており、当該溝内には、当該一対の駆動ワイヤ(図示せず)が配設されている。
【0051】
スライダ173は、駆動アーム145の数に対応して一対用意されている。個々のスライダ173は、前述のワイヤガイド172の溝172aに配設されており、当該溝172aに沿って滑走可能に挟持されている。スライダ173は、その上端部がワイヤガイド172の上方に突出されており、当該上端部には、駆動アーム145の他端が回転自在に接続される。
【0052】
また、個々のスライダ173は、ワイヤガイド172の溝172a内に配設された駆動ワイヤと接続されている。個々の駆動ワイヤは、図示しない駆動機構を通じて、引き込み又は送り出し可能に構成されており、一対のスライダ173は、駆動ワイヤの動作に応じて、同期した状態でワイヤガイド172に沿ってスライド移動する。
【0053】
アウタレール175は、ジョイントレール151又はスライドレール140と同様に車両200の前後方向に延在するレール部材であり、ワイヤガイド172の平行部位の左右側方にそれぞれ配設されている。このアウタレール175は、ジョイントレール151を内包した状態でこれを滑走可能に保持しており、ジョイントレール151に対して車両200の前後方向のスライドを許容する。
【0054】
このような構成の送電コイル装置12において、以下、充電動作に伴う一連の動作について説明する。まず、給電装置100の制御部15は、
図6,7に示すように、送電パッド125を筐体120内に格納した状態に制御している。ここで、駐車スペースへの車両200の駐車が完了すると、制御部15は、車両200側からの電力を需給したい旨の制
御信号を受信する。かかる制御信号の受信に応答して、制御部15は、送電パッド125を筐体120の外部へと送り出し、これを車両200側の受電コイル22と対峙するように近接させる。
【0055】
具体的には、スライド駆動部170のスライダ173が初期位置に存在する場合、アーム機構132は、筐体120内に収容されており、その前後方向の可動範囲のうち最も後方位置(ホームポジション)に存在する。また、アーム機構132は、その上下方向の可動範囲のうち最も下方位置(ホームポジション)に存在している。制御部15がスライド駆動部170に対して送電パッド125を含むアーム機構132の前方へのスライド移動を指示する制御信号を出力すると、図示しない駆動手段が動作し、これにより、駆動ワイヤを動作させる。駆動ワイヤの動作によりスライダ173が初期位置から前方へと押し出されると、スライダ173はワイヤガイド172(溝172a)に沿って移動する。
【0056】
スライダ173の移動にともない駆動アーム145も前方へと押し出されるため、駆動アーム145が接続するアーム機構132も前方へと移動する。ここで、アーム機構132がホームポジションに存在する場合、アーム機構132の側方に設けられたスライドレール140とジョイントレール151とはロック機構152によってロック状態が形成されている。一方、ジョイントレール151は、アウタレール175によって車両200の前後方向の移動が許容されている。これにより、アーム機構132は、ジョイントレール151を含むジョイントレール部150を伴って前方へとスライド移動する。
【0057】
図5(b)に示すように、アーム機構132が所定位置まで移動すると、ジョイントレール151とスライドレール140とをロックしているロック機構152の係合状態が機械的に解除される。また、ロック機構152によるジョイントレール151とスライドレール140との係合状態の解除は、ジョイントレール151の溝151aとアウタレール175の溝175aとを係合状態に設定する。これにより、スライドレール140は、ジョイントレール151に沿ってスライド移動が許容される一方、ジョイントレール151は、アウタレール175に対するスライド移動が規制される。したがって、このタイミング以降は、スライドレール140を含むアーム機構132のみが前方へと移動する。
【0058】
図8,9は、アーム機構132の上昇動作の説明図である。駆動アーム145がさらに前方へ移動すると、アーム機構132もこれに伴って前方へと移動する。この際、アーム機構132の後端領域が、アームカバー153から抜け出ると、回動アーム133に対するガイドホイール154による押圧力が開放される。このため、ガスステイ135のガス反力を受けて回動アーム133が上方へと回動し、送電パッド125が上昇する。送電パッドが所定の高さHLに到達すると、ストッパー146による機械的な制約を受けるため回動アーム133の回動動作が制限される。高さHLは、回動アーム133に形成されたスロット形状に応じて設定することができ、車両200側に搭載される受電コイル22の最小高さに応じて設定される。
【0059】
制御部15は、アーム機構132を前方に移動させるとともにアーム機構132を左右方向に回動させながら、送電パッド125を受電パッド22a(受電コイル22を収容して車両200の底部に搭載される筐体)に最も接近する位置まで移動させる。具体的には、制御部15は、アーム機構132をスライド移動させながら、送信部23から送信される電磁波を受信し、その信号強度の強弱を測定する。そして、制御部15は、測定結果に基づいて、送電パッド125が受電パッド22aに接近しているかを確認しながら、受電コイル22に最接近する位置までアーム機構132のスライド移動を実施する。つぎに、制御部15は、アーム機構132を左右方向に回動させながら、送信機23から送信される電磁波を受信し、その信号強度の強弱を測定する。そして、制御部15は、送電パッド125が受電パッド22aに接近しているかを確認しながら、受電コイル22に最接近す
る位置までアーム機構132の左右方向の回動を実施する。
【0060】
図9に示すように、送電パッド125が高さHLの状態で受電パッド22aに最接近したら、制御部15は、アクチュエータ(図示せず)を通じてストッパー146による規制を解放する。これにより、ガスステイ135のガス反力を受けて回動アーム133が上方へと回動し、受電パッド22aと接触する高さまで送電パッド125が上昇する。ここで、送電パッド125と受電パッド22aとの絶対距離が減少すると、受信器126で受信する送信器23から送信される電磁波は増大する。送電パッド125が受電パッド22aと接触することで、送電パッド125と受電パッド22aとの間の距離が一定になると、受信器126で受信する信号強度も安定するので、制御部15は、その状態をもって送電パッド125が受電パッド22aに接触したと判断してもよい。
【0061】
なお、高さHLから送電パッド125を上昇させる場合、回動アーム133の回動にともない、送電パッド125は受電パッド22aよりも後方へと後退することとなる(位置P2)。このため、送電パッド125が受電パッド22aに接触した状態で、アーム機構132を前方へとスライド移動させることで、送電パッド125の中心位置と、受電パッド22aの中心位置との位置合わせを行うことができる。制御部15は、アーム機構132をスライド移動させながら、送信機23から送信される電磁波を受信し、その信号強度の強弱を測定する。そして、制御部15は、測定結果に基づいて、送電パッド125が受電パッド22aに接近しているかを確認しながら、受電コイル22に最接近する位置までアーム機構132のスライド移動を実施する。ここで、高さHMは、アーム機構132による送電パッド125の最も上昇した位置を示す。
【0062】
制御部15は、このような準備が整った状態で、充電動作を実行する。充電動作に先駈けて検知センサにより異物検出動作を行う場合には、制御部15はアーム機構132を回動させて送電パッド125を左右方向に揺動させることが好ましい。これにより、送電パッド125を静止させたまま異物検出を行う場合と比較して、異物に対する反応が顕著に表れることとなるので、異物の検出精度を上げることができる。
【0063】
一方、充電を終了する場合、あるいは、車両200が移動させられた場合、制御部15は、送電パッド125を受電パッド22aから離間させるとともに、送電パッド125を筐体120内へと格納する。
【0064】
具体的には、送電パッド125が受電パッド22aと接触する位置に存在する場合、スライド駆動部170のスライダ173もワイヤガイド172の前方位置に存在する。制御部15がスライド駆動部170に対して送電パッド125を含むアーム機構132の後方へのスライド移動を指示する制御信号を出力すると、図示しない駆動機構が動作し、これにより、駆動ワイヤを動作させる。駆動ワイヤの動作によりスライダ173が後方へと引き込まれると、このスライダ173はワイヤガイド172(溝172a)に沿って移動する。制御部15は、スライダ173が初期位置に復帰するまで、スライド駆動部170の動作を継続する。
【0065】
スライダ173の移動にともない駆動アーム145も後方へと引き戻されると、駆動アーム145が接続するアーム機構132も後方へと移動する。そして、スライダ173が初期位置に戻るまでの過程において、前述した上昇動作とは逆の手順をたどることとなる。
【0066】
例えば、アーム機構132が後方へとスライド移動すると、回動アーム133の後端部がジョイントレール部150のアームカバー153内に進入する。アームカバー153への進入が進むと、アッパーガイドホイール154によって回動アーム133が押さえつけ
られるため、回動アーム133が下方へと回動し、送電パッド125が下降する。アーム機構132の後端部がアームカバー153に完全に進入すると、アーム機構132は最下方位置(ホームポジション)へと復帰する。
【0067】
また、
図3に示すように、アームカバー153の左右側方の内側には、サイドガイドホイール155が回転自在に配置されている。送電パッド125の位置合わせに伴い、アーム機構132を左右方向に回動させた場合には、アーム機構132は、左右方向に所定角度だけオフセットした状態を保持している。この場合、アーム機構132は、後方へのスライド移動にともない、サイドガイドホイール155によりその姿勢が矯正され、前後方向に揃うように設定される。これにより、アーム機構132のホームポジションへの復帰動作をスムーズに実現することとしている。
【0068】
つぎに、ロック機構152によるジョイントレール151とアウタレール175とのロック状態が解除されると、このロック機構152はジョイントレール151とスライドレール140とをロック状態に設定する。これにより、アーム機構132は、ジョイントレール151を含むジョイントレール部150を伴って前方へとスライド移動し、最終的に、アーム機構132は前後方向におけるホームポジションへと復帰する。
【0069】
その際、スライドレール140の前側部のフロントカバー143は、筐体120の開口123に、フロントカバー143の周縁部に配置されたシール部材(図示せず)を挟んで密着することで、内部部品を保護する。この場合、スライダ173をワイヤガイド172の曲げ部を通過するように配置することで、駆動ワイヤ174の引き込みスピードは減速することとなる。これにより、フロントカバー143の引き込み力を増幅し、シール部材を高い密着力で挟み込み、これにより、シール性能の向上を図ることができる。
【0070】
このように本実施形態に係る地上側の給電装置100において、筐体120は、開閉可能なフロントカバー143を介して送電パッド125を出入り自在に格納しており、充電時に車両を駐車させる駐車スペースに対して車両前後方向の外側に配設されている。また、給電装置100は、送電パッド125を駐車スペースの面方向に沿って車両前後方向にスライド移動させるスライド機構と、送電パッド125を上下方向に昇降させるアーム機構132と、を有している。そして、受電コイル22に送電コイルを対峙させる場合には、スライド駆動部170により送電パッド125を車両200の下方位置へと導くとともに、アーム機構132により送電パッド125を上昇させる。
【0071】
かかる構成によれば、送電パッド125を駐車スペースの面方向に沿って車両前後方向にスライド移動させることができるので、コイル同士の車両前後方向における位置合わせを精度よく行うことができる。
【0072】
また、地上側の送電コイルを駐車スペースの外部に配置することができるので、駐車スペース内での存在が邪魔となったり、車両200によって踏みつけられるといった外部衝撃から保護したりすることができる。また、送電パッド125を筐体120内に格納しておくことができるので、不必要な場面において送電パッド125が外部に曝されることで、異物による影響を抑制することができる。
【0073】
ここで、本実施形態において、スライド機構は、送電パッド125に連結されたアーム機構132を支持する支持部材であるアーム基部136及びスライドレール140と、この支持部材をスライド可能に支持させるレール部材であるジョイントレール151及びアウタレール175と、を有している。かかる構成によれば、レール部材同士のスライド動作を通じて、アーム機構132のスライド移動を可能とすることができる。
【0074】
また、本実施形態において、アーム機構132は、送電パッド125を支持する回動アーム133と、送電パッド125に対して上向き方向の付勢力(ガス反力)を付与するガスステイ(付勢手段)135と、回動アーム133を基端側を中心に回動させるリンクアーム134と、を有している。ここで、アーム機構132は、スライド機構によりアーム機構132が筐体120外へとスライド移動することで回動アーム133の回動規制が解除されて、回動アームの回動が許容されることとなる。かかる構成によれば、ガスステイ135のガス反力を通じて単純な構成にて、送電パッド125を適切なタイミングで上昇させることを可能としている。また、上下方向の位置合わせを受電パッド22aとの接触させることで行うことができる。
【0075】
また、本実施形態において、給電装置100は、送電パッド125を左右方向へと揺動させる回動機構139をさらに有している。かかる構成によれば、車両左右方向における位置合わせを適切に行うことができる。
【0076】
また、本実施形態において、回動機構139は、検出センサにより送電パッド125の表面に存在する異物を検出する場合に、送電パッド125を左右方向に揺動させることとしている。かかる構成によれば、送電パッド125を静止させたまま異物検出を行う場合と比較して、異物に対する反応が顕著に表れることとなるので、異物の検出精度を上げることができる。
【0077】
また、非接触給電システムの車両200側のユニットは電気自動車に搭載されるが、ハイブリッド車両等の車両でもよい。
【0078】
以上、本発明に係る地上側の給電装置を含む非接触給電システムについて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。