特許第6003642号(P6003642)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東レ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6003642-直描型水なし平版印刷版原版 図000004
  • 特許6003642-直描型水なし平版印刷版原版 図000005
  • 特許6003642-直描型水なし平版印刷版原版 図000006
  • 特許6003642-直描型水なし平版印刷版原版 図000007
  • 特許6003642-直描型水なし平版印刷版原版 図000008
  • 特許6003642-直描型水なし平版印刷版原版 図000009
  • 特許6003642-直描型水なし平版印刷版原版 図000010
  • 特許6003642-直描型水なし平版印刷版原版 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6003642
(24)【登録日】2016年9月16日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】直描型水なし平版印刷版原版
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/00 20060101AFI20160923BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20160923BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20160923BHJP
【FI】
   G03F7/00 504
   G03F7/004 505
   G03F7/039
【請求項の数】4
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2012-504942(P2012-504942)
(86)(22)【出願日】2012年1月13日
(86)【国際出願番号】JP2012050562
(87)【国際公開番号】WO2012099003
(87)【国際公開日】20120726
【審査請求日】2014年12月16日
(31)【優先権主張番号】特願2011-6570(P2011-6570)
(32)【優先日】2011年1月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】首藤 勇太
(72)【発明者】
【氏名】飯原 明宏
(72)【発明者】
【氏名】後藤 一起
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智之
【審査官】 倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−330268(JP,A)
【文献】 特開2009−175388(JP,A)
【文献】 特開2009−014946(JP,A)
【文献】 特開2006−137819(JP,A)
【文献】 特開2005−309126(JP,A)
【文献】 特開2005−281358(JP,A)
【文献】 特開平11−311854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に少なくとも感熱層およびシリコーンゴム層をこの順に有する直描型水なし平版印刷版原版であって、該感熱層がノボラック樹脂、ポリウレタンならびに光熱変換物質を少なくとも含有し、かつ、少なくともノボラック樹脂を含む相と、ポリウレタンを含む相とを有する相分離構造を有する直描型水なし平版印刷版原版。
【請求項2】
前記感熱層が有機錯化合物をさらに含む請求項1に記載の直描型水なし平版印刷版原版。
【請求項3】
前記ポリウレタンがポリイソシアネートと多価アルコールの反応物であるポリウレタンであって、ポリイソシアネートの少なくとも50モル%が芳香族ポリイソシアネートである請求項1または2に記載の直描型水なし平版印刷版原版。
【請求項4】
前記ノボラック樹脂の重量平均分子量が5000以下である請求項1〜3のいずれかに記載の直描型水なし平版印刷版原版。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直描型水なし平版印刷版原版に関するものであり、特にレーザー光で直接製版できる直描型水なし平版印刷版原版に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまでに、シリコーンゴムやフッ素樹脂をインキ反発層として使用した、湿し水を用いない平版印刷(以下、水なし平版印刷という)を行うための印刷版が種々提案されている。水なし平版印刷は、画線部と非画線部とをほぼ同一平面に存在させ、画線部をインキ受容性、非画線部をインキ反発性として、インキ付着性の差異を利用して画線部のみにインキを着肉させた後、紙などの被印刷体にインキを転写して印刷をする平版印刷方法であり、湿し水を用いることなく印刷できることが特徴である。
【0003】
水なし平版印刷版原版の露光方法としては様々な方法が提案されている。これらは、原画フィルムを介して紫外線照射を行う方式と、原画フィルムを用いることなく原稿から直接画像を書き込むコンピュータートゥプレート(以下、CTPという)方式とに大別される。CTP方式としては、レーザー光を照射する方法、サーマルヘッドで書き込む方法、ピン電極で電圧を部分的に印加する方法、インクジェットでインキ反発層またはインキ受容層を形成する方法などが挙げられる。これらの中で、レーザー光を照射する方法は、解像度および製版速度の面で、他の方式よりも優れている。
【0004】
レーザー光を照射する方法は、光反応によるフォトンモード方式と、光熱変換を行って熱反応を起こさせるヒートモード方式の2つの方式に分けられる。特にヒートモード方式は、明室で取り扱える利点と、光源となる半導体レーザーの急激な進歩によって、その有用性は大きくなっている。
【0005】
このようなヒートモード方式に対応した直描型水なし平版印刷版原版に関して、これまでに様々な提案がなされてきた。中でも、少ないレーザー照射エネルギーで製版でき、画像再現性が良好な直描型水なし平版印刷版原版として、感熱層中に気泡を有する直描型水なし平版印刷版原版(例えば、特許文献1参照)が提案されている。また、少ないレーザー照射エネルギーで製版でき、画像再現性が良好な直描型水なし平版印刷版原版の製造方法として、溶解度パラメーターが17.0(MPa)1/2以下の有機溶剤を含有する感熱層組成物溶液を塗布する工程、感熱層組成物を乾燥する工程を有する直描型水なし平版印刷版原版の製造方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−300586号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2005−331924号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜2に記載された技術により得られる直描型水なし平版印刷版原版は高感度であり、露光後に物理的な力を加えるだけで現像できる。しかしながら、高感度の直描型水なし平版印刷版原版は、水なし平版印刷版を製造する工程において、露光部のシリコーンゴム層が浮き上がる「火膨れ」と呼ばれる現象が生じ、浮き上がったシリコーンゴム層が露光機や自動現像機内の搬送ローラーに転写することがあった。搬送ローラーに転写したシリコーンゴム層は、次に処理する版の版面へ再転写し、露光阻害や現像阻害を起こすことがあった。
【0008】
そこで、本発明は、かかる従来技術の課題を解決し、高感度で火膨れが生じにくい、すなわちラチチュードの広い直描型水なし平版印刷版原版を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、基板上に少なくとも感熱層およびシリコーンゴム層をこの順に有する直描型水なし平版印刷版原版であって、該感熱層がノボラック樹脂、ポリウレタンならびに光熱変換物質を少なくとも含有し、かつ、少なくともノボラック樹脂を含む相と、ポリウレタンを含む相とを有する相分離構造を有する直描型水なし平版印刷版原版である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高感度で火膨れ耐性に優れた、ラチチュードの広い直描型水なし平版印刷版原版を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】露光部のシリコーンゴム層が浮き上がる「火膨れ」現象が起きた印刷版断面の電子顕微鏡写真。
図2】露光部分のシリコーンゴム層の一部が搬送ローラーに転写する現象が起きた状態を示す、従来技術の印刷版の模式図。
図3】露光部分のシリコーンゴム層の一部が搬送ローラーに転写する現象が抑制された状態を示す、本発明の印刷版の模式図。
図4】感熱層の相分離構造による「火膨れ」現象抑制機構の模式図。
図5】実施例1により得られた感熱層表面の光学顕微鏡写真。
図6】実施例9により得られた感熱層表面の光学顕微鏡写真。
図7】実施例11により得られた感熱層表面の光学顕微鏡写真。
図8】比較例6により得られた感熱層表面の光学顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の直描型水なし平版印刷版原版は、基板上に少なくとも感熱層およびシリコーンゴム層をこの順に有する直描型水なし平版印刷版原版であって、該感熱層がノボラック樹脂、ポリウレタンならびに光熱変換物質を少なくとも含有し、かつ、少なくともノボラック樹脂を含む相と、ポリウレタンを含む相とを有する相分離構造を有する。ここで、水なし平版印刷版原版とは、湿し水を用いずに印刷が可能な平版印刷版原版を指し、直描型水なし平版印刷版原版とは、レーザー光を用いて原稿から直接画像を書き込むことができる水なし平版印刷版原版を指す。
【0013】
本発明の直描型水なし平版印刷版原版について、以下に説明する。
本発明の直描型水なし平版印刷版原版は、基板上に少なくとも感熱層およびシリコーンゴム層をこの順に有する。
【0014】
基板としては、従来印刷版の基板として用いられてきた寸法的に安定な公知の紙、金属、ガラス、フィルムなどを使用することができる。具体的には、紙;プラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)がラミネートされた紙;アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅などの金属板;ソーダライム、石英などのガラス板;シリコンウエハー;セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのプラスチックのフィルム;上記金属がラミネートまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルムなどが挙げられる。プラスチックフィルムは透明でも不透明でもよいが、検版性の観点からは、不透明のフィルムが好ましい。
【0015】
これら基板のうち、アルミニウム板は寸法的に極めて安定であり、しかも安価であるので特に好ましい。また、軽印刷用の柔軟な基板としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
【0016】
基板の厚みは特に限定されず、平版印刷に使用される印刷機に対応した厚みを選択すればよい。
【0017】
次に、本発明に好ましく用いることができる感熱層について説明する。感熱層は、レーザー描画により物性が変化する層および/またはレーザー描画によりシリコーンゴム層との接着力が低下する層である。感熱層は、(A)ノボラック樹脂、(B)ポリウレタンならびに、(C)光熱変換物質を少なくとも含有し、かつ、少なくともノボラック樹脂を含む相と、ポリウレタンを含む相とを有する相分離構造を有する。また、感熱層は、(D)有機錯化合物をさらに含有しても良い。
【0018】
前記ノボラック樹脂を含む相は、ポリウレタンを含んでも良い。また、前記ポリウレタンを含む相は、ノボラック樹脂を含んでも良い。この場合、感熱層は、ポリウレタンを相対的に少なく含む相とポリウレタンを相対的に多く含む相との相分離構造を有する。感熱層において、ポリウレタンを相対的に多く含む相の部分は、局所的に低感度化される、すなわち感熱層とシリコーンゴム層との接着力が高くなる、ことが実験的に確認できている。
【0019】
前記特許文献1〜2に記載されるような高感度の直描型水なし平版印刷版原版は、露光後に物理的な力を加えるだけで現像できる。このため、水なし平版印刷版原版を露光して水なし平版印刷版を製造する工程において、露光部のシリコーンゴム層が浮き上がる「火膨れ」と呼ばれる現象が生じる場合がある。「火膨れ」現象が起きた印刷版の断面の電子顕微鏡写真を図1に示す。「火膨れ」現象が起きた場合、露光後の直描型水なし平版印刷版原版を搬送する際に、好ましくないことに、浮き上がったシリコーンゴム層が露光機や自動現像機内の搬送ローラーに転写する場合がある。この状況を図2の模式図に示す。搬送ローラーに転写したシリコーンゴム層は、次に処理する版の版面へ再転写し、露光阻害や現像阻害などの原因となる。この火膨れの現象は、直描型水なし平版印刷版原版が高感度であるほど、起こりやすくなる。また、火膨れの現象は、露光量が多くなるほど、起こりやすくなる。
【0020】
本発明の直描型水なし平版印刷版原版は、感熱層が、前記のように少なくともノボラック樹脂を含む相と、ポリウレタンを含む相との相分離構造を有することにより、ポリウレタンを相対的に多く含む相が、局所的に感熱層とシリコーンゴム層との接着力を保ち、火膨れ現象を抑制することができる。すなわち、火膨れ耐性が向上する。本発明の直描型水なし平版印刷版原版を図2の従来技術の水なし平版印刷版原版と同様に露光して搬送した場合の模式図を図3に示す。本発明の直描型水なし平版印刷版原版では、シリコーンゴム層が浮き上がった部分が生じても、図4に示すように、局所的に接着力が高い部分が、感熱層とシリコーンゴム層との接着力を保つために、図3に示すように、シリコーンゴム層が露光機や自動現像機内の搬送ローラーに転写することなく搬送できる。これによって、「火膨れ」現象による露光阻害や現像阻害を防止できる。
【0021】
感熱層の相分離構造は、直描型水なし平版印刷版原版の感熱層を、光学顕微鏡を用いて、1000倍の倍率で観察することにより観察することができる。例えば、1辺10cmの正方形に断裁した試料を、光学顕微鏡:“ECLIPSE”L200((株)ニコン製、透過モード、対物レンズ:“CFI LU Plan Apo EPI”50×((株)ニコン製))に接続されたデジタルカメラ:“DXM”1200F((株)ニコン製)で1080×1280ピクセルの解像度で画像を撮影(モニター上の総合倍率:1000倍、観察視野180×240μm)することにより、相分離構造を観察できる。この際、個々の相分離構造が、いずれかの方向に対して、1μm以上の直線的な大きさを有している場合に相分離構造を形成していると判定した。なお、感熱層上にシリコーンゴム層を積層した状態で光学顕微鏡観察を行うと、ノイズが多く、相分離構造の観察が困難となる場合があるため、感熱層が露出された試料を観察することが好ましい。
【0022】
相分離構造の個別の相の大きさは、感熱層において、ポリウレタンと他の構成成分との相溶性を選択することによって制御できる。また、感熱層を形成する方法を選択することによっても制御できる。感熱層構成成分を含む感熱層組成物溶液を基板に塗布した後、乾燥することにより感熱層を作製する方法を用いる場合、溶液濃度や乾燥速度を選択することによって相分離構造の個別の相の大きさを制御できる。
【0023】
相分離構造の個別の相の大きさを制御することによって、火膨れ耐性と精細度の高い画像形成を両立できる。この場合には、光学顕微鏡の観察視野全体でポリウレタンを相対的に多く含む相の面積率が50面積%以下であることが好ましい。一方、火膨れ耐性をより向上させる観点からは、ポリウレタンを相対的に多く含む相の面内占有率は5面積%以上が好ましく、10面積%以上がより好ましい。
【0024】
また、感熱層の相分離構造は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察によっても観察することができる。より詳しくは、直描型水なし平版印刷版原版から連続(超薄)切片法によって試料を作製し、加速電圧100kV、倍率15000倍の条件で感熱層のTEM観察を行うことにより、相分離構造を確認することができる。感熱層上にシリコーンゴム層を積層した試料を用いる場合に有用な観察方法である。
【0025】
以下、感熱層を構成する各成分について説明する。
(A)ノボラック樹脂
本発明の直描型水なし印刷版原版に用いられるノボラック樹脂の例としては、下記に例示するフェノール類と、下記に例示するアルデヒド類とを酸性触媒下で反応させて得られるノボラック樹脂が挙げられる。
【0026】
前記フェノール類としては、例えば、フェノール;m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール等のクレゾール類;2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、3,4−キシレノール等のキシレノール類;アルキルフェノール類;アルコキシフェノール類;イソプロペニルフェノール類;アリールフェノール類;ポリヒドロキシフェノール類等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのフェノール類の中では、フェノールまたはo−クレゾールが好ましい。
【0027】
前記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのアルデヒド類の中では、ホルムアルデヒドが好ましい。
【0028】
前記酸性触媒としては、塩酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸等を使用することができる。
【0029】
上記のノボラック樹脂の中では、フェノールノボラック樹脂またはo−クレゾールノボラック樹脂が好ましい。
【0030】
ノボラック樹脂の重量平均分子量は、5000以下が好ましく、4000以下がより好ましい。重量平均分子量が5000以下のノボラック樹脂を用いることで、レーザー照射時の架橋切断が容易となり、感度をより向上させることができる。一方、ノボラック樹脂の重量平均分子量は、500以上が好ましく、800以上がより好ましい。重量平均分子量が500以上のノボラック樹脂を用いることで、感熱層とシリコーンゴム層の接着性が向上する。なお、本発明において、ノボラック樹脂の重量平均分子量は、GPC(gel permeation chromatography)法により求めたものを言う。ただし、GPC法で測定されるのは相対的な分子量分布および重量平均分子量であり、本発明における重量平均分子量とは、標準物質であるポリスチレンに換算された分子量である。
【0031】
ノボラック樹脂の含有量は、塗工性の観点から感熱層の全固形分中20〜95重量%が好ましい。下限は50重量%以上がより好ましく、また、上限は90重量%以下がより好ましい。
【0032】
(B)ポリウレタン
本発明の直描型水なし印刷版原版に用いられるポリウレタンの例としては、下記に例示するポリイソシアネートと多価アルコールより得られるポリウレタンを挙げることができる。ポリウレタンは直鎖でも分岐していてもよく、また、水酸基などの種々の官能基を有してもよい。これらを2種以上含有してもよい。
【0033】
ポリイソシアネートとしては、芳香族ポリジイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートまたは脂肪族ポリイソシアネートを使用できる。芳香族ポリジイソシアネートが好ましい。
【0034】
芳香族ポリイソシアネートとしては、パラフェニレンジイソシアネ−ト、2,4−または2,6−トルイレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等が例示される。これらはそれぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0035】
脂肪族または脂環族ポリイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添m−キシレンジイソシアネート等が例示される。これらはそれぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0036】
また、前記ポリイソシアネートの変性体、誘導体等を用いることができる。このような変性体または誘導体としては、例えば、ポリイソシアネートとアルコールとの反応物であるウレタン変性体;2個あるいは3個のポリイソシアネートの反応物としての二量体(別名ウレチジオン)または三量体(別名イソシアヌレート);脱炭酸ガスにより生成するポリカルボジイミド;あるいはポリイソシアネート、アルコール、アミン化合物などとの反応物であるアロハネート変性体、ビュレット変性体、ウレア変性体など;さらにはブロックドイソシアネートなどが挙げられる。
【0037】
ポリイソシアネートは、少なくとも50モル%が芳香族ポリイソシアネートであることが好ましく、すべてが芳香族ポリイソシアネートであることがより好ましい。芳香族ポリイソシアネートが50モル%以上のとき、直描型水なし平版印刷版原版は高感度で火膨れが生じにくい。
【0038】
多価アルコールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、およびその他に大きく分類することができる。
【0039】
ポリエーテルポリオールとしては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、p−キシリレングリコール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールジヒドロキシプロピルエーテル等が挙げられる。
【0040】
ポリエステルポリオールは、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどにさらに分類することができる。
【0041】
縮合系ポリエステルポリオールは、多価カルボン酸およびその無水物とグリコールおよび/またはトリオールとの脱水縮合により得られる。
【0042】
多価カルボン酸および多価カルボン酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水ヘット酸、無水ハイミック酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
【0043】
縮合系ポリエステルポリオールとしては、具体的には、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリヘキサメチレンネオペンチルアジペート、ポリエチレンヘキサメチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート等を例として挙げることができる。
【0044】
ラクトン系ポリエステルポリオールとしては、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類の開環重合より得られるものが挙げられる。
【0045】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の低分子量ポリオールを開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物や、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコールと、エチレンカーボネートの開環重合物とを共重合した非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
【0046】
その他の多価アルコールとしては、例えば、β−ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水酸基を有するアクリル(あるいはメタクリル)単量体とアクリル(あるいはメタクリル)酸エステルとの共重合体であるアクリルポリオール、末端に水酸基を含有するブタンジエンおよびそれらの共重合体であるポリブタジエンポリオール、部分ケン化EVAなどなどが挙げられる。さらには種々の含燐ポリオール、ハロゲン含有ポリオール、フェノール系ポリオールなどが挙げられる。
【0047】
多価アルコールとしては、ポリエステルポリオールが好ましく、ポリエステルポリオールの中でも、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオールが好ましい。
【0048】
本発明において、感熱層の相分離構造は、前記ノボラック樹脂とポリウレタンとの溶解性の違いを利用して形成することができる。特に、熱軟化点が200℃以上であるポリウレタンを使用することで、ノボラック樹脂を主成分とする相とポリウレタンを主成分とする相を相分離構造が形成されやすいことが、実験的に明らかになっている。
【0049】
ここで、ポリウレタンの熱軟化点は、高化式フローテスターCFT−500D((株)島津製作所製)を用い、JIS−K 7210(1999年)に基づいて測定することができる。1gの測定試料を昇温温度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、プランジャー降下量−温度曲線を描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2(測定試料の半分が流出したときの温度)に対応する温度を、軟化点とする。
【0050】
感熱層の全固形分に占めるノボラック樹脂とポリウレタンの含有量は、両者の合計が25重量%以上であることが好ましく、55重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましい。ノボラック樹脂とポリウレタンの合計含有量が25重量%であれば、相分離構造を形成しやすい。
【0051】
感熱層の全固形分中のポリウレタンの含有量は、相分離構造の形成の観点から、感熱層の全固形分中5重量%以上が好ましい。一方、感度をより高く維持する観点から、感熱層の全固形分中30重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましい。
【0052】
ノボラック樹脂とポリウレタンの合計に対して、ポリウレタンが8重量%以上であることが火膨れ抑制のために好ましく、10重量%以上であることがより好ましい。また、ノボラック樹脂とポリウレタンの合計に対して、ポリウレタンが25重量%以下であることが直描型水なし平版印刷版原版を高感度とするために好ましい。
【0053】
(C)光熱変換物質
光熱変換物質としては、レーザー光を吸収するものであれば特に限定されないが、赤外線または近赤外線を吸収する顔料または染料が好ましい。例えば、カーボンブラック、カーボングラファイト、アニリンブラック、シアニンブラックなどの黒色顔料;フタロシアニン、ナフタロシアニン系の緑色顔料;結晶水含有無機化合物;鉄、銅、クロム、ビスマス、マグネシウム、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、コバルト、バナジウム、マンガン、タングステンなどの金属粉;またはこれら金属の硫化物、水酸化物、珪酸塩、硫酸塩、燐酸塩、ジアミン化合物錯体、ジチオール化合物錯体、フェノールチオール化合物錯体、メルカプトフェノール化合物錯体などを挙げることができる。
【0054】
また、赤外線または近赤外線を吸収する染料としては、エレクトロニクス用や記録用の染料で、最大吸収波長が700nm〜1500nmの範囲にあるシアニン系染料、アズレニウム系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、アゾ系分散染料、ビスアゾスチルベン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、ペリレン系染料、フタロシアニン系染料、ナフタロシアニン金属錯体系染料、ポリメチン系染料、ジチオールニッケル錯体系染料、インドアニリン金属錯体染料、分子間型CT染料、ベンゾチオピラン系スピロピラン、ニグロシン染料などが好ましく使用される。
【0055】
これらの染料のなかでも、モル吸光度係数εの大きなものが好ましく使用される。具体的には、εは1×10以上が好ましく、より好ましくは1×10以上である。εが1×10以上であれば、初期感度をより向上させることができる。
【0056】
感熱層は、これらの光熱変換物質を2種以上含有してもよい。吸収波長の異なる2種以上の光熱変換物質を含有することにより、発信波長の異なる2種以上のレーザーに対応させることができる。
【0057】
これらのなかでも、光熱変換率、経済性および取り扱い性の面から、カーボンブラック、赤外線または近赤外線を吸収する染料が好ましい。
【0058】
光熱変換物質の含有量は、現像性の観点から、感熱層の全固形分中0.1〜70重量%が好ましい。含有量の下限は0.5重量%以上がより好ましく、上限は40重量%以下がより好ましい。
【0059】
(D)有機錯化合物
有機錯化合物は、金属と有機化合物からなり、ノボラック樹脂等の活性水素を有するポリマーの架橋剤として、および/または、熱硬化反応の触媒として機能する。
【0060】
有機錯化合物としては、金属に有機配位子が配位した有機錯塩、金属に有機配位子および無機配位子が配位子した有機無機錯塩、金属と有機分子が酸素を介して共有結合している金属アルコキシド類などが挙げられる。これらの中でも、配位子が2個以上のドナー原子を有し、金属原子を含む環を形成するような金属キレート化合物が、有機錯化合物自身の安定性や感熱層組成物溶液の安定性などの面から好ましく用いられる。
【0061】
有機錯化合物を形成する主な金属としては、Al(III)、Ti(IV)、Mn(II)、Mn(III)、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Ni(II)、Ni(IV)、Cu(I)、Cu(II)、Zn(II)、Ge、In、Sn(II)、Sn(IV)、Zr(IV)、Hf(IV)が好ましい。Al(III)は感度向上効果が得られやすい点から特に好ましく、Ti(IV)は印刷インキやインキ洗浄剤に対する耐性が発現しやすい点から特に好ましい。
【0062】
また、配位子としては、酸素、窒素、硫黄などをドナー原子として有する配位基を有する化合物が挙げられる。配位基の具体例としては、酸素をドナー原子とするものとしては、−OH(アルコール、エノールおよびフェノール)、−COOH(カルボン酸)、>C=O(アルデヒド、ケトン、キノン)、−O−(エーテル)、−COOR(エステル、R:脂肪族または芳香族炭化水素を表す)、−N=O(ニトロソ化合物)、−NO(ニトロ化合物)、>N−O(N−オキシド)、−SOH(スルホン酸)、−PO(亜リン酸)などが挙げられる。窒素をドナー原子とするものとしては、−NH(1級アミン、アミド、ヒドラジン)、>NH(2級アミン、ヒドラジン)、>N−(3級アミン)、−N=N−(アゾ化合物、複素環化合物)、=N−OH(オキシム)、−NO(ニトロ化合物)、−N=O(ニトロソ化合物)、>C=N−(シッフ塩基、複素環化合物)、>C=NH(アルデヒド、ケトンイミン、エナミン類)、−NCS(イソチオシアナト)などが挙げられる。硫黄をドナー原子とするものとしては、−SH(チオール)、−S−(チオエーテル)、>C=S(チオケトン、チオアミド)、=S−(複素環化合物)、−C(=O)−SH、−C(=S)−OH、−C(=S)−SH(チオカルボン酸)、−SCN(チオシアナト)などが挙げられる。
【0063】
上記のような金属と配位子から形成される有機錯化合物のうち、好ましく用いられる化合物としては、Al(III)、Ti(IV)、Fe(II)、Fe(III)、Mn(III)、Co(II)、Co(III)、Ni(II)、Ni(IV)、Cu(I)、Cu(II)、Zn(II)、Ge、In、Sn(II)、Sn(IV)、Zr(IV)、Hf(IV)などの金属のβ−ジケトン類、アミン類、アルコール類またはカルボン酸類との錯化合物が挙げられる。Al(III)、Fe(II)、Fe(III)、Ti(IV)またはZr(IV)のアセチルアセトン錯体またはアセト酢酸エステル錯体などが特に好ましい錯化合物として挙げられる。
【0064】
このような化合物の具体例としては、例えば以下のような化合物を挙げることができる。アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(プロピルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(ブチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(ヘキシルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(ノニルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(ヘキサフルオロペンタジオネート)、アルミニウムトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノ(アセチルアセトネート)、アルミニウムビス(アセチルアセトネート)モノ(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビス(プロピルアセトアセテート)モノ(アセチルアセトネート)、アルミニウムビス(ブチルアセトアセテート)モノ(アセチルアセトネート)、アルミニウムビス(ヘキシルアセトアセテート)モノ(アセチルアセトネート)、アルミニウムビス(プロピルアセトアセテート)モノ(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビス(ブチルアセトアセテート)モノ(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビス(ヘキシルアセトアセテート)モノ(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビス(ノニルアセトアセテート)モノ(エチルアセトアセテート)、アルミニウムジブトキシドモノ(アセチルアセトネート)、アルミニウムジイソプロポキシドモノ(アセチルアセトネート)、アルミニウムジイソプロポキシドモノ(エチルアセトアセテート)、アルミニウム−s−ブトキシドビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムジ−s−ブトキシドモノ(エチルアセトアセテート)、アルミニウムジイソプロポキシドモノ(−9−オクタデセニルアセトアセテート)など。チタニウムトリイソプロポキシドモノ(アリルアセトアセテート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(トリエタノールアミン)、チタニウムジ−n−ブトキシドビス(トリエタノールアミン)、チタニウムジイソプロポキシドビス(アセチルアセトネート)、チタニウムジ−n−ブトキシドビス(アセチルアセトネート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジ−n−ブトキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムトリ−n−ブトキシドモノ(エチルアセトアセテート)、チタニウムトリイソプロポキシドモノ(メタクリルオキシエチルアセトアセテート)、チタニウムオキサイシドビス(アセチルアセトネート)、チタニウムテトラ(2−エチル−3−ヒドロキシヘキシルオキサイド)、チタニウムジヒドロキシビス(ラクテート)、チタニウム(エチレングリコーレート)ビス(ジオクチルフォスフェート)など。ジルコニウムジ−n−ブトキシドビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムテトラキス(ヘキサフルオロペンタンジオネート)、ジルコニウムテトラキス(トリフルオロペンタンジオネート)、ジルコニウムトリ−n−プロポキシドモノ(メタクリルオキシエチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムテトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、トリグリコラートジルコン酸、トリラクテートジルコン酸など。鉄(III)アセチルアセトネート、ジベンゾイルメタン鉄(II)、トロポロン鉄、トリストロポロノ鉄(III)、ヒノキチオール鉄、トリスヒノキチオロ鉄(III)、アセト酢酸エステル鉄(III)、鉄(III)ベンゾイルアセトネート、鉄(III)ジフェニルプロパンジオネート、鉄(III)テトラメチルヘプタンジオネート、鉄(III)トリフルオロペンタンジオネートなど。感熱層は、これらを2種以上含有してもよい。
【0065】
このような有機錯化合物の含有量は、感熱層の全固形分中0.5〜50重量%が好ましく、3〜30重量%がより好ましい。有機錯化合物の含有量を0.5重量%以上とすることによって、上記のような効果をより高めることができる。一方、含有量を50重量%以下とすることによって、印刷版の高い耐刷性を維持することができる。
【0066】
また、直描型水なし平版印刷版原版において、感熱層は、ノボラック樹脂に加えて他の活性水素基含有化合物を含有してもよい。活性水素基含有化合物としては、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合物などが挙げられるが、水酸基含有化合物が好ましい。
【0067】
水酸基含有化合物は、フェノール性水酸基含有化合物、アルコール性水酸基含有化合物に分類できる。
【0068】
フェノール性水酸基含有化合物としては、例えば、ヒドロキノン、カテコール、グアヤコール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、ジヒドロキシアントラキノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、レゾール樹脂、レゾルシンベンズアルデヒド樹脂、ピロガロールアセトン樹脂、ヒドロキシスチレンの重合体および共重合体、ロジン変性フェノール樹脂、エポキシ変性フェノール樹脂、リグニン変性フェノール樹脂、アニリン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、ビスフェノール類などが挙げられる。
【0069】
アルコール性水酸基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、7−オクテン−1,2−ジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリビニルアルコール、セルロースおよびその誘導体、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの重合体および共重合体などが挙げられる。
【0070】
また、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート、ポリビニルブチラール樹脂、および公知の方法によって水酸基を導入したポリマーなどを含有してもよい。
【0071】
また、直描型水なし平版印刷版原版において、感熱層は、必要に応じて各種の添加剤を含有してもよい。例えば、塗布性を改良するためにシリコーン系界面活性剤やフッ素系界面活性剤などを含有してもよい。また、シリコーンゴム層との接着性を強化するためにシランカップリング剤、チタンカップリング剤などを含有してもよい。これら添加剤の含有量はその使用目的によって異なるが、一般的には感熱層中0.1〜30重量%が好ましい。
【0072】
また、高感度化の目的で、直描型水なし平版印刷版原版は、感熱層に気泡を有していてもよい。感熱層に気泡を形成する方法としては、例えば、特開2005−300586号公報や特開2005−331924号公報に記載の方法を挙げることができる。
【0073】
さらに、原版作製直後の高感度化に加えて、経時後においても高感度を維持する目的で、直描型水なし平版印刷版原版は、感熱層に液泡を有していてもよい。感熱層に、210〜270℃の範囲に沸点を有する液体を含む液泡を有することが好ましく、これにより、高い感度を長期間維持することのできる直描型水なし平版印刷版原版を得ることができる。すなわち、210℃以上の沸点を有する液体を含むことにより、液泡としての形態を長期間維持させることが容易となり、高い感度を長期間維持することができる。一方、270℃以下の沸点を有する液体を含むことにより、初期感度をより高くすることができることに加え、感熱層表面への液体のブリードアウトや、現像時のシリコーンゴム層の剥離を抑制することができる。
【0074】
なお、ここで、液体の沸点とは大気圧下における沸点を指す。また、液泡が2種以上の液体を含む場合など、沸点を複数有する場合には、210〜270℃の範囲に沸点を有する液体の割合が60重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、100重量%であることがさらに好ましい。
【0075】
液泡に含まれる液体は、加熱発生ガス分析によって発生ガスを捕集し、そのガス組成を分析することによって特定できる。
【0076】
また、液泡に含まれる液体の溶解度パラメーターは、17.0(MPa)1/2以下が好ましく、16.5(MPa)1/2以下がより好ましい。溶解度パラメーターが17.0(MPa)1/2以下の液体は、前述したポリマーとの相溶性が低いことから、かかる液体に対するポリマーの溶解度および/またはポリマーに対する液体の溶解度が低くなり、感熱層中で液泡として容易に存在させることができる。
【0077】
溶解度パラメーターは、Hildebrandの溶解度パラメーターを指し、液体のモル蒸発熱をΔH、モル体積をVとするとき、δ=(ΔH/V)1/2により定義される量δをいう。溶解度パラメーターの単位には(MPa)1/2を用いる。溶解度パラメーターが17.0(MPa)1/2以下の液体としては、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、アルキレンオキサイドジアルキルエーテル類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。経済性および安全性の点から脂肪族飽和炭化水素が好ましい。
【0078】
液泡に含まれる液体の溶解度パラメーターは、加熱発生ガス分析によって発生したガス組成を分析し、構造を特定することによって文献値から確認することもできる。
【0079】
210〜270℃の範囲に沸点を有し、溶解度パラメーターが17.0(MPa)1/2以下である液体として、例えば、炭素数12〜18の直鎖状、分岐状または環状の炭化水素、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点:212℃、溶解度パラメーター:16.0(MPa)1/2)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点:256℃、溶解度パラメーター:15.8(MPa)1/2)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:216℃、溶解度パラメーター:16.2(MPa)1/2)、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点:261℃、溶解度パラメーター:16.2(MPa)1/2)、トリプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点:215℃、溶解度パラメーター:15.1(MPa)1/2)などのアルキレングリコールジアルキルエーテル類などが挙げられる。これらを2種以上含んでもよい。
【0080】
感熱層に含まれる液泡は、TEM観察により観察することができる。より詳しくは、直描型水なし平版印刷版原版から連続(超薄)切片法によって試料を作製し、加速電圧100kV、倍率15000倍の条件で感熱層のTEM観察を行うことにより、液泡を観察することができる。
【0081】
感熱層にこのような気泡や液泡を有する直描型水なし平版印刷版原版は、感度が高いことから、火膨れが生じやすい傾向がある。本発明は、このような高感度の原版に対して、特に高い効果を奏する。
【0082】
感熱層の膜厚は、耐刷性と生産性の観点から0.1〜10g/mが好ましい。膜厚の下限は0.5g/m以下がより好ましく、また、上限は7g/m以下がより好ましい。
【0083】
基板と感熱層間の接着性向上、光ハレーション防止、検版性向上、断熱性向上、耐刷性向上等を目的に、前述の基板と感熱層の間にプライマー層を有してもよい。プライマー層としては、例えば特開2004−199016号公報等に記載されたプライマー層を挙げることができる。
【0084】
本発明に用いられるシリコーンゴム層としては、これまでに水なし平版印刷原版として提案された、付加反応型、縮合反応型、および、付加反応型と縮合反応型の併用系、いずれのタイプのシリコーンゴム層も使用可能である。例えば特開2007−78918号公報、特開2005−309302号公報、特開2009−80422号公報等に記載されたシリコーンゴム層を挙げることができる。
【0085】
シリコーンゴム層の膜厚は、インキ反発性と耐傷性の観点から、0.1〜10g/mが好ましい。下限は0.5g/m以上がより好ましく、また、上限は7g/m以下がより好ましい。
【0086】
水なし平版印刷版原版は、シリコーンゴム層保護の目的で、シリコーンゴム層上に保護フィルムおよび/または合紙を有してもよい。
【0087】
保護フィルムとしては、レーザー光を良好に透過する厚み100μm以下のフィルムが好ましい。代表例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、セロファンなどを挙げることができる。また、曝光による原版の感光を防止する目的で、特開平2−063050号公報に記載されたような種々の光吸収剤や光退色性物質、光発色性物質を保護フィルム上に有してもよい。
【0088】
合紙としては、機械的強度の観点から、秤量30g/m以上のものが好ましい。一方、120g/m以下のものが好ましく、経済的に有利であるばかりでなく、水なし平版印刷版原版と紙の積層体が薄くなり、作業性が有利になる。90g/m以下のものがより好ましい。好ましく用いられる合紙の例として、例えば、情報記録原紙40g/m(名古屋パルプ(株)製)、金属合紙30g/m(名古屋パルプ(株)製)、未晒しクラフト紙50g/m(中越パルプ工業(株)製)、NIP用紙52g/m(中越パルプ工業(株)製)、純白ロール紙45g/m(王子製紙(株))、クルパック73g/m(王子製紙(株))などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0089】
次に、本発明の直描型水なし平版印刷版原版の製造方法の例を記載する。前述の感熱層構成成分を含む感熱層組成物溶液を基板に塗布し、感熱層を形成する。本発明においては、前述のノボラック樹脂とポリウレタンの溶解性の違いにより、感熱層に相分離構造を形成することができる。
【0090】
感熱層構成成分の溶剤として、溶解度パラメーターが17.0(MPa)1/2以下の溶剤と溶解度パラメーターが17.0(MPa)1/2を超える溶剤とを含有することによって、感熱層に気泡または液泡が形成できる。溶解度パラメーターが17.0(MPa)1/2を超える溶剤は、感熱層構成成分を溶解または分散する役割を持ち、溶解度パラメーターが17.0(MPa)1/2以下の溶剤は、感熱層中に気泡または液泡を形成する役割を持つ。
【0091】
上記溶解度パラメーターが17.0(MPa)1/2を超える溶剤としては、感熱層構成成分を溶解または分散できるものが好ましい。例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、アミド類などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0092】
溶解度パラメーターが17.0(MPa)1/2を超える溶剤中、沸点30〜200℃の溶剤を80重量%以上含むことが好ましく、95重量%以上含むことがより好ましい。また、沸点200℃以下の溶剤を80重量%以上含むことにより、後述する乾燥により、感熱層から容易に除去することができる。なかでも、沸点80℃以下の溶剤を80重量%以上含むことがより好ましく、90重量%以上含むことがより好ましい。沸点30℃以上の溶剤を80重量%以上含むことにより、特別な冷却装置などを用いることなく常温での安定的な塗液調製を容易に行うことができる。
【0093】
感熱層組成物溶液の塗布前に、基板の塗布面を脱脂しておくことが好ましい。必要により、基板上に前述のプライマー層構成成分を含むプライマー層組成物液を塗布してプライマー層を形成した後に、プライマー層上に感熱層を形成してもよい。次いで、感熱層上に、前述のシリコーンゴム層構成成分を含むシリコーンゴム層組成物液を塗布し、シリコーンゴム層を形成することにより、直描型水なし平版印刷版原版を得ることができる。各組成物液は、前述の構成成分に加え、必要に応じて溶剤など他の成分を含有してもよい。
【0094】
各液の塗布装置としては、例えば、スリットダイコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、リバースロールコーター、ナチュラルロールコーター、エアーナイフコーター、ロールブレードコーター、バリバーロールブレードコーター、トゥーストリームコーター、ロッドコーター、ワイヤーバーコーター、ディップコーター、カーテンコーター、スピンコーターなどが挙げられる。
【0095】
各層の乾燥や硬化のために加熱処理を行ってもよい。加熱処理装置としては、例えば、熱風乾燥機や赤外線乾燥機等の一般的な加熱装置が挙げられる。
【0096】
得られた直描型水なし平版印刷版原版上に、保護フィルムおよび/または合紙を積層して保管することが、版面保護の観点から好ましい。
【0097】
次に、本発明の直描型水なし平版印刷版原版から水なし平版印刷版を製造する方法について説明する。ここで、水なし平版印刷版とは、インキ反発層となるシリコーンゴム層のパターンを表面に有する印刷版であって、シリコーンゴム層のパターンを非画線部、シリコーンゴム層のない部分を画線部とし、非画線部と画線部のインキ付着性の差異を利用して画線部のみにインキを着肉させた後、紙などの被印刷体にインキを転写する印刷方法に使用される印刷版である。水なし平版印刷版の製造方法は、直描型水なし平版印刷版原版を、レーザービームを用いて、目的とする像に従って露光する工程(露光工程)、および、露光された直描型水なし平版印刷版原版を水または水に界面活性剤を添加した液の存在下で摩擦し、露光部のシリコーンゴム層を除去する工程(現像工程)を含む。
【0098】
まず、露光工程について説明する。直描型水なし平版印刷版原版を、デジタルデータによって走査されるレーザービームにより、目的とする像に従って露光する。直描型水なし平版印刷版原版が保護フィルムを有する場合は、保護フィルムを剥離してから露光することが好ましい。露光工程で用いられるレーザー光源としては、発光波長領域が700〜1500nmの範囲にあるものが挙げられる。これらの中でも近赤外領域付近に発光波長領域が存在する半導体レーザーやYAGレーザーが好ましく用いられ、具体的には、明室での版材の取扱い性などの観点から、780nm、830nmまたは1064nmの波長のレーザー光が製版に好ましく用いられる。
【0099】
次に、現像工程について説明する。露光後の原版は、水または水に界面活性剤を添加した液(以下、現像液という)の存在下で摩擦することにより、露光部のシリコーンゴム層を除去する。摩擦処理としては、(i)例えば、現像液を含浸した不織布、脱脂綿、布、スポンジなどで版面を拭き取る方法、(ii)現像液で版面を前処理した後に水道水などをシャワーしながら回転ブラシで擦る方法、(iii)高圧の水や温水、または水蒸気を版面に噴射する方法などが挙げられる。
【0100】
現像に先立ち、前処理液中に一定時間版を浸漬する前処理を行ってもよい。前処理液としては、例えば、水や水にアルコールやケトン、エステル、カルボン酸などの極性溶媒を添加したもの、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類などの少なくとも1種からなる溶媒に極性溶媒を添加したもの、あるいは極性溶媒が用いられる。また、上記の現像液組成には、公知の界面活性剤を添加することも自由に行われる。界面活性剤としては、安全性、廃棄する際のコストなどの点から、水溶液にしたときにpHが5〜8になるものが好ましい。界面活性剤の含有量は現像液の10重量%以下であることが好ましい。このような現像液は安全性が高く、廃棄コストなどの経済性の点でも好ましい。さらに、グリコール化合物あるいはグリコールエーテル化合物を主成分として用いることが好ましく、アミン化合物を共存させることがより好ましい。
【0101】
前処理液、現像液としては、特開昭63−179361号公報、特開平4−163557号公報、特開平4−343360号公報、特開平9−34132号公報、特許第3716429号公報に記載された前処理液、現像液を用いることができる。前処理液の具体例としては、PP−1、PP−3、PP−F、PP−FII、PTS−1、PH−7N、CP−1、NP−1、DP−1(何れも東レ(株)製)などを挙げることができる。
【0102】
また、画線部の視認性や網点の計測精度を高める目的から、これらの現像液にクリスタルバイオレット、ビクトリアピュアブルー、アストラゾンレッド等の染料を添加して現像と同時に画線部のインキ受容層の染色を行うこともできる。さらには、現像の後に上記の染料を添加した液によって染色することもできる。
【0103】
上記現像工程の一部または全部は、自動現像機により自動的に行うこともできる。自動現像機としては現像部のみの装置、前処理部および現像部がこの順に設けられた装置、前処理部、現像部および後処理部がこの順に設けられた装置、前処理部、現像部、後処理部および水洗部がこの順に設けられた装置等を使用できる。このような自動現像機の具体例としては、TWL−650シリーズ、TWL−860シリーズ、TWL−1160シリーズ(いずれも東レ(株)製)等や、特開平4−2265号公報、特開平5−2272号公報、特開平5−6000号公報などに開示されている自動現像機を挙げることができる。これらを単独または併用して使用することができる。
【0104】
現像処理された水なし平版印刷版を積み重ねて保管する場合には、版面保護の目的で、版と版の間に合紙を挟んでおくことが好ましい。
【実施例】
【0105】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。各実施例および比較例における評価方法は以下のとおりである。
【0106】
<ノボラック樹脂の重量平均分子量の測定>
ノボラック樹脂の重量平均分子量は、GPC法を用いて、以下の条件で求めた。ノボラック樹脂をテトラヒドロフランに濃度0.2w/v%となるように加え、室温で緩やかに撹拌した。目視観察でノボラック樹脂が良好に溶解していることを確認し、得られた溶液をメンブレンフィルター(孔径0.45μm、東ソー(株)製)で濾過したものを試料とした。
装置:ゲル浸透クロマトグラフGPC(東ソー(株)製)
検出器:示差屈折率検出器 RI(8020型、感度32、東ソー(株)製)
カラム:TSKgel G4000HXL、G3000HXL、G2000HXL(東ソー(株)製)
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
注入量:0.200mL
標準試料:単分散ポリスチレン(東ソー(株)製)
<ポリウレタンの熱軟化点の測定>
ポリウレタンの熱軟化点は、高化式フローテスターCFT−500D((株)島津製作所製)を用い、JIS−K 7210(1999年)に基づいて測定した。1gの測定試料を昇温温度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、プランジャー降下量−温度曲線を描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2(測定試料の半分が流出したときの温度)に対応する温度を、軟化点とした。
【0107】
<相分離構造観察>
アルミ基板上にプライマー層および感熱層を設けた、シリコーンゴム層積層前の試料を1辺10cmの正方形に断裁し、光学顕微鏡:“ECLIPSE”L200((株)ニコン製、透過モード、対物レンズ:“CFI LU Plan Apo EPI”50×((株)ニコン製))に接続されたデジタルカメラ:“DXM”1200F((株)ニコン製)で感熱層表面の画像を撮影し(モニター上の総合倍率:1000倍)、評価した。個々の相分離構造が、いずれかの方向に対して1μm以上の直線的な大きさを有している場合に相分離構造を形成していると判定した。個々の相分離構造の大きさが、1μm未満、もしくは相分離が確認できなかった場合は、相分離構造を形成していないと判定した。
【0108】
<火膨れ耐性の評価>
得られた直描型水なし平版印刷版原版を製版機“PlateRite”8800E(大日本スクリーン製造(株)製)に装着し、照射エネルギー:80mJ/cmで全面露光した。製版機から排出された全面露光版の表面を目視観察し、シリコーンゴム層の浮きの有無を評価した。シリコーンゴム層の浮きが認められなかった場合には、照射エネルギーを5mJ/cmずつ増やしていき、シリコーンゴム層の浮きが認められるまで、もしくは175mJ/cmに到達するまで同様の評価を行い、シリコーンゴム層の浮きが認められない最高の露光量(火膨れ耐性最高露光量)を求めた。
【0109】
<ベタ再現性の評価>
上述の火膨れ耐性評価で得られた全面露光版を、自動現像機“TWL−860KII”(東レ(株)製)を使用し、前処理液:なし、現像液:水道水(室温)、後処理液:水道水(室温)、通版速度:80cm/分の条件で現像を行った。この一連の操作によって、レーザー照射部のシリコーンゴム層が剥離した直描型水なし平版印刷版を得た。得られた印刷版を目視観察し、露光部全体のシリコーンゴム層が完全に剥離できた最低の露光量(ベタ再現最低露光量)を求めた。
【0110】
<ラチチュード>
上述の方法により得られた火膨れ耐性最高露光量、およびベタ再現最低露光量から以下の式でラチチュードを算出した。
ラチチュード(mJ/cm)=火膨れ耐性最高露光量(mJ/cm)−ベタ再現最低露光量(mJ/cm
<直描型水なし平版印刷版原版のTEM観察>
レーザー照射前の直描型水なし平版印刷版原版から超薄切片法によって試料を作製し、透過型電子顕微鏡H−1700FA型(日立製)を使用して、加速電圧100kV、倍率2000倍(液泡観察のみ8000倍)で直描型水なし平版印刷版原版の感熱層およびシリコーンゴム層を観察した。
【0111】
(合成例1)ポリウレタンAの合成
四ツ口フラスコにポリブチレンアジペートジオール(数平均分子量2000)200重量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート75重量部を仕込み、乾燥窒素雰囲気下100℃で2時間反応した後、DMF670重量部をさらに仕込み系内均一とした。系内温度を50℃とした後、エチレングリコール14.4重量部を仕込み、70℃で4時間鎖伸長反応を行い、樹脂濃度30%、粘度40,000mPa・s(20℃)のポリウレタンAを得た。
【0112】
(実施例1)
厚さ0.24mmの脱脂したアルミ基板(三菱アルミ(株)製)上に、下記のプライマー層組成物液を塗布し、200℃で90秒間乾燥し、膜厚10g/mのプライマー層を設けた。なお、プライマー層組成物液は、下記成分を室温にて撹拌混合することにより得た。
【0113】
<プライマー層組成物液>
(a)エポキシ樹脂:“エピコート”(登録商標)1010(ジャパンエポキシレジン(株)製):35重量部
(b)ポリウレタン:“サンプレン”(登録商標)LQ−T1331D(三洋化成工業(株)製、固形分濃度:20重量%):375重量部
(c)アルミキレート:“アルミキレート”ALCH−TR(川研ファインケミカル(株)製):10重量部
(d)レベリング剤:“ディスパロン”(登録商標)LC951(楠本化成(株)製、固形分:10重量%):1重量部
(e)酸化チタン:“タイペーク”(登録商標)CR−50(石原産業(株)製)のN,N−ジメチルホルムアミド分散液(酸化チタン50重量%):60重量部
(f)N,N−ジメチルホルムアミド:730重量部
(g)メチルエチルケトン:250重量部
次いで、下記の感熱層組成物溶液を前記プライマー層上に塗布し、120℃で30秒間加熱し、膜厚1.4g/mの感熱層を設けた。なお、感熱層組成物溶液は、下記成分を室温にて撹拌混合することにより得た。
【0114】
<感熱層組成物溶液>
(a)フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂:“スミライトレジン”(登録商標)PR50716(住友ベークライト(株)製、重量平均分子量:約3500):99重量部
(b)ポリウレタン溶液:“サンプレン”(登録商標)LQ−X5(三洋化成工業(株)製、50モル%以上が芳香族ポリイソシアネートのポリイソシアネートとポリエステルポリオールより得られるポリウレタン、熱軟化点:185℃、固形分濃度:30重量%):56重量部
(c)赤外線吸収染料:“PROJET”825LDI((株)Avecia製):15重量部
(d)チタニウムジ−n−ブトキシビス(アセチルアセトネート)溶液:“ナーセム”(登録商標)チタン(日本化学産業(株)製、固形分濃度:73重量%):12重量部
(e)テトラヒドロフラン(沸点:66℃):620重量部
(f)メチルエチルケトン(沸点:79℃):51重量部
(g)エタノール(沸点:78℃):129重量部
(h)イソパラフィン:“アイソパー”(登録商標)M(エッソ化学(株)製、沸点:223〜254℃、溶解度パラメーター:14.7(MPa)1/2):17重量部
上記感熱層を設けた試料を用いて、前記方法により相分離構造の有無を観察した。得られた感熱層表面の光学顕微鏡写真を図5に示す。図中の目盛は20μmを示す。ポリウレタンを相対的に少なく含むマトリックス相の中に、ポリウレタンを相対的に多く含む相が網目状に分布した相分離構造を示している。
【0115】
次いで、下記の有色顔料含有シリコーンゴム層組成物液を前記感熱層上に塗布し、135℃で80秒間加熱し、膜厚1.8g/mのシリコーンゴム層を設け、直描型水なし平版印刷版原版を得た。
【0116】
<シリコーンゴム層組成物液>
ジルコニアビーズ:“YTZ”(登録商標)ボール(φ0.6mm、(株)ニッカトー製)2000gを充填した密閉可能なガラス製規格瓶中に、“アイソパー”(登録商標)G(エッソ化学(株)製):420g、“プレンアクト”(登録商標)KR−TTS(味の素ファインテクノ(株)製):40g、N650紺青(大日精化(株)製):100gを投入し、密閉後、小型ボールミル回転架台(アズワン(株)製)にセットし、0.4m/秒の回転速度で336時間分散することで、有色顔料分散液を得た。得られた有色顔料分散液3重量部に対して、下記成分を室温にて撹拌混合することにより、シリコーンゴム層組成物液を得た。
(a)イソパラフィン:“アイソパー”(登録商標)E(エッソ化学(株)製):550重量部
(b)両末端ビニルポリジメチルシロキサン“DMS”V52(ゲレスト社製):81.28重量部
(c)SiH基含有ポリシロキサン:“HMS”991(ゲレスト社製):3重量部
(d)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシイミノ)シラン:3重量部
(e)3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:“サイラエース”(登録商標)S510(チッソ(株)製):4重量部
(f)白金触媒:“SRX”212(東レダウコーニングシリコーン(株)製):7重量部
このように作製された直描型水なしCTP平版印刷版原版について、上記方法で相分離構造の観察、火膨れ耐性およびベタ再現性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0117】
得られた直描型水なし平版印刷版原版について、前記方法によりTEM観察を行ったところ、感熱層中に液泡が観察された。液泡の平均直径は0.15μmであった。液泡の分析を行ったところ、“アイソパー”M由来の223〜254℃の範囲に沸点を有する液体の存在が確認された。
【0118】
(実施例2)
感熱層中のポリウレタンを合成例1で作製したポリウレタンA(芳香族ポリイソシアネートとポリエステルポリオールより得られるポリウレタン、熱軟化点:185℃、固形分濃度30重量%)に変更した以外は全て実施例1と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0119】
(実施例3)
感熱層組成物溶液中のテトラヒドロフランを398重量部に変更した以外は全て実施例1と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0120】
(実施例4)
感熱層組成物溶液中のテトラヒドロフランを1020重量部に変更した以外は全て実施例1と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0121】
(実施例5)
感熱層組成物溶液中のノボラック樹脂を94重量部に、ポリウレタンを75重量部に、テトラヒドロフランを607重量部にした以外は全て実施例1と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0122】
(実施例6)
感熱層組成物溶液中のノボラック樹脂を97重量部に、ポリウレタンを65重量部に、テトラヒドロフランを614重量部にした以外は全て実施例1と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0123】
(実施例7)
感熱層組成物溶液中のノボラック樹脂を102重量部に、ポリウレタンを47重量部に、テトラヒドロフランを627重量部にした以外は全て実施例1と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0124】
(実施例8)
感熱層組成物溶液中のノボラック樹脂を105重量部に、ポリウレタンを37重量部に、テトラヒドロフランを633重量部にした以外は全て実施例1と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0125】
(実施例9)
感熱層組成物溶液中のノボラック樹脂を“スミライトレジン”(登録商標)PR50731(住友ベークライト(株)製、重量平均分子量:約8000):88重量部に変更し、ポリウレタンを“サンプレン”(登録商標)LQ−336N(三洋化成工業(株)製、50モル%以上が芳香族ポリイソシアネートのポリイソシアネートとポリエステルポリオールより得られるポリウレタン、熱軟化点:215℃、固形分濃度:30重量%):93重量部に変更し、イソパラフィンを“アイソパー”(登録商標)H(エッソ化学(株)製、沸点:178〜188℃、溶解度パラメーター:14.7(MPa)1/2):26重量部に、テトラヒドロフランを585重量部に変更した以外は全て実施例1と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製した。実施例9により得られた感熱層表面の光学顕微鏡写真を図6に示す。図中の目盛は10μmを示す。ポリウレタンを相対的に少なく含むマトリックス相の中に、ポリウレタンを相対的に多く含む相が網目状に分布した相分離構造を示している。
【0126】
得られた直描型水なし平版印刷版原版について、前記方法によりTEM観察を行ったところ、感熱層中に気泡が観察された。気泡の直径は0.1〜0.7μmであった。また、実施例1と同様に、相分離構造の観察、火膨れ耐性およびベタ再現性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0127】
(実施例10)
感熱層組成物溶液中のノボラック樹脂を94重量部に、ポリウレタンを75重量部に、テトラヒドロフランを598重量部にした以外は全て実施例9と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0128】
(実施例11)
感熱層組成物溶液中のノボラック樹脂を99重量部に、ポリウレタンを56重量部に、テトラヒドロフランを612重量部にした以外は全て実施例9と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表1に示す。実施例11により得られた感熱層表面の光学顕微鏡写真を図7に示す。図中の目盛は10μmを示す。ポリウレタンを相対的に少なく含むマトリックス相の中に、ポリウレタンを相対的に多く含む相が網目状に分布した相分離構造を示している。
【0129】
(実施例12)
感熱層組成物溶液中のノボラック樹脂を105重量部に、ポリウレタンを37重量部に、テトラヒドロフランを625重量部にした以外は全て実施例9と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0130】
(実施例13〜16)
感熱層組成物溶液中のノボラック樹脂を“スミライトレジン”(登録商標)PR50716(住友ベークライト(株)製、重量平均分子量:約3500)に変更した以外は、全てそれぞれ実施例9〜12と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0131】
(実施例17)
感熱層組成物溶液中のイソパラフィンを、“アイソパー”M(エッソ化学(株)製、沸点:223〜254℃、溶解度パラメーター:14.7(MPa)1/2)17重量部に、テトラヒドロフランを594重量部に変更した以外は全て実施例9と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0132】
(実施例18)
感熱層組成物溶液中のポリウレタンを“サンプレン”(登録商標)LQ−258(三洋化成工業(株)製、50モル%以上が芳香族ポリイソシアネートのポリイソシアネートと、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールの混合物より得られるポリウレタン、熱軟化点:205℃、固形分濃度:35重量%):48重量部に、テトラヒドロフランを628重量部に変更した以外は全て実施例1と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0133】
(実施例19)
感熱層組成物溶液中のポリウレタンを“サンプレン”(登録商標)LQ−2700(三洋化成工業(株)製、50モル%以上が芳香族ポリイソシアネートのポリイソシアネートとポリエーテルポリオールより得られるポリウレタン、熱軟化点:200℃、固形分濃度:30重量%)に変更した以外は全て実施例1と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0134】
(実施例20)
感熱層組成物溶液中のポリウレタンを“サンプレン”(登録商標)LQ−2300(三洋化成工業(株)製、50モル%以上が芳香族ポリイソシアネートのポリイソシアネートとポリエーテルポリオールより得られるポリウレタン、熱軟化点:210℃、固形分濃度:30重量%)に変更した以外は全て実施例1と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0135】
(比較例1)
感熱層組成物溶液中のポリウレタンを、“サンプレン”LQ−T1331D(三洋化成工業(株)製、50モル%未満が芳香族ポリイソシアネートのポリイソシアネートとポリエステルポリオールより得られるポリウレタン、熱軟化点:171℃、濃度:20重量%):140重量部に、テトラヒドロフランを539重量部に変更した以外は全て実施例9と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0136】
(比較例2)
感熱層組成物溶液中のポリウレタンを“サンプレン”(登録商標)IB−114B(三洋化成工業(株)製、50モル%未満が芳香族ポリイソシアネートのポリイソシアネートとポリエステルポリオールより得られるポリウレタン、熱軟化点:110℃、固形分濃度:30重量%)に変更した以外は全て実施例17と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0137】
(比較例3)
感熱層組成物溶液中のポリウレタンを“サンプレン”(登録商標)IB−104(三洋化成工業(株)製、50モル%未満が芳香族ポリイソシアネートのポリイソシアネートとポリエステルポリオールより得られるポリウレタン、熱軟化点:110℃、固形分濃度:30重量%)に変更した以外は全て実施例17と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0138】
(比較例4)
感熱層組成物溶液中のポリウレタンを“サンプレン”(登録商標)IB−465(三洋化成工業(株)製、50モル%未満が芳香族ポリイソシアネートのポリイソシアネートとポリエステルポリオールより得られるポリウレタン、熱軟化点:120℃、固形分濃度:30重量%)に変更した以外は全て実施例17と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0139】
(比較例5)
感熱層組成物溶液中のポリウレタンを“ニッポラン”(登録商標)5196(日本ポリウレタン(株)製、50モル%未満が芳香族ポリイソシアネートのポリイソシアネートとポリカーボネートポリオールより得られるポリウレタン、熱軟化点:90℃、固形分濃度:30重量%)に変更した以外は全て実施例9と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0140】
(比較例6)
感熱層組成物溶液中のノボラック樹脂を105重量部に、ポリウレタンを37重量部に、テトラヒドロフランを625重量部にした以外は全て比較例5と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表2に示す。比較例6により得られた感熱層表面の光学顕微鏡写真を図8に示す。図中の目盛は10μmを示す。相分離は確認できなかった。
【0141】
(比較例7)
感熱層組成物溶液中のノボラック樹脂を“スミライトレジン”(登録商標)PR50716(住友ベークライト(株)製、重量平均分子量:約3500)に、イソパラフィンを、“アイソパー”M(エッソ化学(株)製、沸点:223〜254℃、溶解度パラメーター:14.7(MPa)1/2)17重量部に、テトラヒドロフランを547重量部に変更した以外は、全て比較例1と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0142】
(比較例8)
感熱層組成物溶液中のポリウレタンを“ニッポラン”(登録商標)5196(日本ポリウレタン(株)製、50モル%未満が芳香族ポリイソシアネートのポリイソシアネートとポリカーボネートポリオールより得られるポリウレタン、熱軟化点:90℃、固形分濃度:30重量%)に変更した以外は全て実施例8と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0143】
(比較例9)
感熱層組成物溶液中のポリウレタンを、“サンプレン”LQ336N:19重量部と“ニッポラン”(登録商標)5196:19重量部に変更した以外は全て比較例6と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0144】
(比較例10)
感熱層を特開2000−238448の実施例3と同様にして、下記の組成を有する感熱層組成物溶液を用いて作製した以外は全て実施例1と同様にして、直描型水なし平版印刷版原版を作製し、評価した。結果を表2に示す。
(a)赤外線吸収染料:“KAYASORB”IR−820B(日本化薬(株)製) :10重量部
(b)シランカップリング剤:“TSL”8370(東芝シリコーン(株)製) :14重量部
(c)チタニウムジ−n−ブトキシビス(アセチルアセトネート)溶液:“ナーセム”(登録商標)チタン(日本化学産業(株)製、固形分濃度:73重量%):9重量部
(d)フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂:“スミライトレジン”PR−50731(住友デュレズ(株)製) :33重量部
(e)“エポキシエステル”3000M(共栄社化学(株)製):25重量部
(f)ポリウレタン溶液:“サンプレン”(登録商標)LQ−909L(三洋化成工業(株)製、50モル%以上が芳香族ポリイソシアネートのポリイソシアネートとポリエステルポリオールより得られるポリウレタン、熱軟化点:160℃、固形分濃度:30重量%):19重量部
(g)テトラヒドロフラン :650重量部
(h)ジメチルホルムアミド :200重量部
(i)アセチルアセトン :150重量部
【0145】
【表1】
【0146】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明によれば、高感度で火膨れ耐性に優れた、ラチチュードの広い直描型水なし平版印刷版原版を得ることができる。
【符号の説明】
【0148】
1: 露光後火膨れが起きた感熱層
2: シリコーンゴム層
3: プライマー層
4: 印刷版
5: 搬送ローラー
6: 搬送ローラーに転写したシリコーンゴム層
A: 露光部分
B: 未露光部分
7: 露光後の感熱層の上部
8: ポリウレタンを相対的に少なく含む層
9: ポリウレタンを相対的に多く含む層
図2
図3
図4
図1
図5
図6
図7
図8