(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記逃げ部及び前記嵌合部は、前記第2方向において前記一端縁から離間するにつれて前記基準面からの高さが大きくなる傾斜形状とされている請求項1記載の読取ユニット。
前記突出部には、前記逃げ部に対して前記嵌合部とは反対側から隣接し、前記筐体が前記第1軸心周りに前記第1位置から前記第2位置とは反対側に揺動することを規制する規制部が形成されている請求項1乃至4のいずれか1項記載の読取ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の読取ユニットでは、イメージセンサの筐体をキャリッジの基準面から離間させるような衝撃等が作用することにより、位置決め部の突出部と凹部との嵌合が外れ、イメージセンサのキャリッジに対する第1方向の位置決めができなくなるおそれがある。その対策として、突出部の高さを大きくし、突出部と凹部との嵌合長さを増やすことが考えられる。しかしながら、突出部の高さを単純に大きくすると、第1位置と第2位置との間で変位する筐体に対して突出部が干渉し易くなるので、イメージセンサを第1位置から第2位置まで揺動させながらキャリッジに支持させるという組み付け作業に無理が生じる。また、突出部を高くすることに合わせて、支持部の位置を高くした場合、読取ユニット、ひいては画像読取装置の薄型化を実現することが難しくなってしまう。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、イメージセンサをキャリッジに対して精度よく位置決めしつつ、薄型化を実現できる読取ユニット及び画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の読取ユニットは、第1方向に延びるキャリッジと、
前記第1方向に延びる筐体と、前記筐体に収容され、前記第1方向に整列する複数の受光素子とを有するイメージセンサとを備え、
前記キャリッジが前記イメージセンサを支持することにより構成される読取ユニットであって、
前記キャリッジは、基準面と、前記第1方向の両端側に設けられた一対の支持部と、前記第1方向に直交し、かつ前記基準面に平行な第2方向において、前記基準面に対して一方側に位置する一端縁とを有し、
前記筐体は、前記一対の支持部に対応する位置に設けられ、それぞれ対応する前記支持部に揺動可能に支持される一対の被支持部を有し、
前記キャリッジと前記筐体とは、前記一対の支持部に、対応する前記一対の被支持部が軸支されることにより、前記筐体が前記基準面から離間する方向に傾斜した第1位置と、前記筐体が前記基準面に接近した第2位置との間で変位可能に、前記第1方向と平行、かつ前記一端縁に近い第1軸心周りで揺動可能に構成され、
前記キャリッジと前記筐体との間には、前記筐体の前記キャリッジに対する前記第1方向の位置決めを行う位置決め部が設けられ、
前記位置決め部は、前記キャリッジに設けられ、前記第2位置にある前記筐体に向かって前記基準面から突出する突出部と、前記筐体に設けられ、前記第2位置で前記突出部と嵌合する凹部とを含み、
前記突出部には、前記一端縁側に位置し、前記第1位置にある前記筐体との干渉を避ける高さに設定された逃げ部と、前記第2方向において前記逃げ部よりも前記一端縁から離間し、前記基準面からの高さが前記逃げ部よりも大きくされ、前記第2位置で前記凹部に嵌入する嵌合部とが形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の読取ユニットでは、突出部に逃げ部と嵌合部とが形成されている。そして、逃げ部は一端縁側に位置し、第1位置にある筐体との干渉を避ける高さに設定されている。嵌合部は、第2方向において逃げ部よりもキャリッジの一端縁から離間している。これにより、第2位置に対する第1位置の角度を大きくすることができるので、第1位置にある筐体に対して、基準面からの高さが逃げ部よりも大きくされた嵌合部が干渉し難くなる。そして、筐体が第1位置から第2位置に揺動し、嵌合部が第2位置で凹部に嵌入することにより、突出部全体の高さを大きくすることなく、嵌合部の高さのみを大きくして、嵌合部と凹部との嵌合長さを大きくすることができる。その結果、この読取ユニットでは、イメージセンサの筐体をキャリッジの基準面から離間させるような衝撃等が作用しても、位置決め部の突出部と凹部との嵌合が外れ難い。
【0011】
したがって、本発明の読取ユニットでは、イメージセンサをキャリッジに対して精度よく位置決めしつつ、薄型化を実現できる。
【0012】
逃げ部及び嵌合部は、第2方向において一端縁から離間するにつれて基準面からの高さが大きくなる傾斜形状とされていることが望ましい。この構成によれば、嵌合部が逃げ部によって補強されるので、嵌合部のみが高く突出する場合と比較して、嵌合部が破損し難い。
【0013】
一対の被支持部は、第1方向に突出する軸部であることが望ましい。また、一対の支持部
には、対応する前記軸部を収容する軸孔
が形成されていることが望ましい。この構成によれば、一対の支持部が軸部であり、一対の被支持部が軸孔である場合と比較して、筐体を小型化し易い。
【0014】
本発明の読取ユニットでは、嵌合部の先端が平坦であることが望ましい。この構成によれば、嵌合部の先端が尖っている場合と比較して、嵌合部が破損し難い。
【0015】
突出部には、逃げ部に対して嵌合部とは反対側から隣接し、筐体が第1軸心周りに第1位置から第2位置とは反対側に揺動することを規制する規制部が形成されていることが望ましい。この構成によれば、規制部により、イメージセンサが第1位置からずれないように第1軸心周りに位置決めされるので、被支持部を支持部に支持させる作業を行い易い。
【0016】
規制部は、逃げ部に隣接しつつ第1方向に沿って延設されるリブであることが望ましい。この場合、簡素なリブにより、規制部を容易に形成できる。
【0017】
本発明の画像読取装置は、前記読取ユニットと、
原稿台を有し、前記原稿台の下側に前記読取ユニットを収容するハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、前記読取ユニットを前記第2方向に往復移動させる駆動部と、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の画像読取装置では、本発明の読取ユニットが奏する作用効果により、衝撃等によって位置決め部を構成する突出部と凹部との嵌合が外れることを抑制し、かつ画像読取装置の薄型化を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0021】
(実施例)
図1に示すように、実施例の画像読取装置1は、本発明の画像読取装置の具体的態様の一例である。
図2〜
図4に示すように、この画像読取装置1には、本発明の読取ユニットの具体的態様の一例である読取ユニット3が用いられている。
図1では、操作パネル5が設けられた側を装置の前側と規定し、操作パネル5に向かった場合に左手に来る側を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、
図2以降の各図に示す各方向は、全て
図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、
図1等に基づいて、画像読取装置1が備える各構成要素について説明する。
【0022】
<全体構成>
図1及び
図2に示すように、画像読取装置1は、本体部8と開閉部9とを備えている。本体部8は、扁平な略箱状体であり、その前側には、
図1に示す操作パネル5が設けられている。
図2に示すように、本体部8の上面には、プラテンガラス19が配設され、そのプラテンガラス19の上面は略水平に延在する読取面8Aとされている。読取面8Aには、原稿を静止させた状態で読み取る際に、原稿が載置される。原稿は、用紙等のシートや、書籍等である。プラテンガラス19は、本発明の「原稿台」の一例である。
【0023】
図1に示すように、開閉部9は、本体部8の後面側上端縁に配設された図示しないヒンジにより、左右方向に延びる開閉軸心X9周りに揺動可能に本体部8に支持されている。開閉部9は、
図1に実線で示すように、閉じた状態では読取面8Aを上方から覆っている。その一方、開閉部9は、
図1に二点鎖線で示すように、その前側が上方かつ後方に変位するように開閉軸心X9周りに揺動することにより、読取面8Aの上方を開放する。これにより、ユーザは読取対象の原稿を読取面8Aに載置することができる。
【0024】
図1及び
図2に示すように、開閉部9の上側には、供給トレイ9Aが設けられている。また、開閉部9内には、
図2に示すように、自動原稿搬送機構4が配設されている。自動原稿搬送機構4は周知のものであるので説明は簡略するが、供給トレイ9Aに載置される複数枚の原稿を1枚ずつ分離し、搬送経路P1に沿って順次搬送する。
【0025】
本体部8の下側部分には、画像形成ハウジングFが設けられている。図示は省略するが、画像形成ハウジングFには、インクジェット方式又はレーザ方式等の画像形成部が収容されている。本体部8の上側部分には、画像読取ハウジングRが設けられている。画像読取ハウジングRは、
図2〜
図4に示すように、ベース部10、プラテンガラス19、図示しない枠体等を有して構成されている。画像読取ハウジングRは、本発明の「ハウジング」の一例である。
【0026】
図3及び
図4に示すように、ベース部10は、熱可塑性樹脂の射出成形品である。ベース部10には、底面11及び周壁12A、12B、12L、12R等が形成されている。
【0027】
底面11は、略水平に延在する略矩形平面である。なお、本実施例において、「略水平に延在する」とは、平面内に凸部又は、凹部を含んでいてもよいし、ある程度の傾斜、湾曲又は屈曲を含んでいてもよい。
【0028】
周壁12A、12B、12L、12Rはそれぞれ、底面11の前後左右の端縁から上方に向けて突出している。前側の周壁12Aと、後側の周壁12Bと、左側の周壁12Lと、右側の周壁12Rとは、底面11の周縁を囲うことにより、その内側に収容領域10Aを形成している。収容領域10Aには、読取ユニット3、駆動部30及び配線ケーブル50が収容されている。
【0029】
図2に示すプラテンガラス19は、
図3等に示す前側の周壁12Aと、後側の周壁12Bと、左側の周壁12Lと、右側の周壁12Rとによって自己の周縁が下側から支持されている。また、プラテンガラス19は、図示しない枠体が自己の周縁に対して上側から当接しつつ、ベース部10に組み付けられることにより、画像読取ハウジングRに固定されている。プラテンガラス19は、底面11と間隔を有して対向するとともに、収容領域10Aを覆っている。
【0030】
底面11には、ガイドレール29が形成されている。ガイドレール29は、底面11における前後方向の略中央に位置して、上方に突出しつつ左右方向に延びている。ガイドレール29の左端は、左側の周壁12Lの下部まで延びている。ガイドレール29の右端は、右側の周壁12Rの下部まで延びている。
【0031】
図3及び
図4に示すように、読取ユニット3は、キャリッジ200と、イメージセンサ150とを備えている。
【0032】
キャリッジ200は、前後方向に細長い樹脂製部材であり、前側の周壁12A及び後側の周壁12Bの近傍まで延びている。前後方向は、本発明の「第1方向」の一例である。キャリッジ200は、ガイドレール29に案内されることにより、底面11の左端側から右端側までの間で往復移動可能となっている。
【0033】
イメージセンサ150は、収容領域10A内でプラテンガラス19に対して下側から対向するようにキャリッジ200に支持されている。イメージセンサ150がキャリッジ200に支持される具体的構成については、後で詳しく説明する。
【0034】
イメージセンサ150は、前後方向に延びる筐体100と、筐体100に収容された複数の受光素子151とを有している。
図3及び
図4では、複数の受光素子の集合体に符号151を付している。各受光素子151は、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等の周知の画像読取センサである。各受光素子151は前後方向に直線状に整列している。受光素子151全体としての前後方向の長さは、読取面8Aに載置される原稿(本装置が読取可能とする最大サイズの原稿)の前後幅を越える程度に大きくされている。イメージセンサ150は、キャリッジ200の移動に伴って、底面11の左端側から右端側までの間で往復移動する。
【0035】
駆動部30は、駆動源30M、駆動プーリ31、従動プーリ32及びタイミングベルト33を有している。
【0036】
駆動源30Mは、電動モータと、その電動モータに噛み合う複数個のギヤ群とからなる。駆動源30Mは、左側の周壁12Lに隣接し、かつ、ガイドレール29の左端に対して後側に位置している。駆動源30Mは、図示しない制御部に制御されて回転する。
【0037】
駆動プーリ31は、駆動源30Mのギヤ群のうち、最も前側のギヤに一体成形されている。駆動プーリ31は、左側の周壁12Lに隣接し、かつ、ガイドレール29の左端に対して、後側に位置している。駆動プーリ31は、上下方向に延びる軸心周りに回転可能となっている。
【0038】
図示しない制御部に制御されて、駆動源30Mの電動モータが回転すると、駆動プーリ31が回転駆動される。制御部が電動モータの回転方向を切り替えることにより、駆動プーリ31は、正回転又は逆回転する。
【0039】
従動プーリ32は、右側の周壁12Rに隣接し、かつ、ガイドレール29の右端に対して、後側に位置している。従動プーリ32は、上下方向に延びる軸心周りに回転可能となっている。
【0040】
タイミングベルト33は、駆動プーリ31と従動プーリ32とに巻き掛けられた無端ベルトである。図示は省略するが、タイミングベルト33において、駆動プーリ31から従動プーリ32まで平行に延びる一対の直線部分の一方は、キャリッジ200に連結されている。これにより、駆動プーリ31の正回転及び逆回転に伴うタイミングベルト33の変位がキャリッジ200に伝達され、キャリッジ200が左右方向に往復移動可能となっている。
【0041】
配線ケーブル50は、複数本の被覆電線が帯状に接続されてなり、可撓性を有するフレキシブルフラットケーブルである。配線ケーブル50は、底面11の後端側に配設されている。配線ケーブル50の一端部50Aは、本体部8内に設けられた図示しない制御部に電気的に接続されている。配線ケーブル50の他端部50Bは、キャリッジ200に固定され、その先において、イメージセンサ150とコネクタ100Cを介して電気的に接続されている。配線ケーブル50は、キャリッジ200の移動に追従可能な弛み50Cを有しており、イメージセンサ150による画像の読取処理を妨げないようになっている。
【0042】
<画像読取動作>
この画像読取装置1では、読取面8Aに載置された原稿を読み取る場合、駆動部30が作動し、
図2に示すように、キャリッジ200に搭載されたイメージセンサ150を本体部8内における左端側から右端側に移動させる。これにより、イメージセンサ150の各受光素子151は、読取面8Aに載置された原稿の画像を読み取る。その後、駆動部30は、読み取りを終えたイメージセンサ150を本体部8内における右端側から左端側に移動させ、元の位置に復帰させる。
【0043】
また、この画像読取装置1では、供給トレイ9Aに載置される複数枚の原稿の画像を読み取る場合、
図2及び
図4に示すように、駆動部30が作動し、キャリッジ200に搭載されたイメージセンサ150を本体部8内における左端側の位置である固定読取位置に移動させる。そして、自動原稿搬送機構4が供給トレイ9Aに載置される原稿を搬送経路P1に沿って順次搬送すると、その原稿が固定読取位置にあるイメージセンサ150の上側を通過するので、イメージセンサ150の各受光素子151は、その通過する原稿の画像を読み取る。
【0044】
こうして、この画像読取装置1では、読取面8A又は供給トレイ9Aに載置された原稿の画像を読み取ることができる。
【0045】
<イメージセンサがキャリッジに支持される具体的構成>
イメージセンサ150は、以下に説明するように、
図5〜
図8に示す手順に従って、キャリッジ200に組み付けられることにより、
図9及び
図10に示すように、キャリッジ200に支持される。
【0046】
図5及び
図7に示すように、キャリッジ200は、基準面200Sを有している。基準面200Sは、読取面8Aと平行に、前後方向に長く延在するとともに左右方向に短く延在している。左右方向は、本発明の「第1方向に直交し、かつ基準面に平行な第2方向」の一例である。
【0047】
また、キャリッジ200は、左壁部250Lと、右壁部250Rと、右端縁200Eとを有している。左壁部250Lは、基準面200Sの左端縁から上方に向けて突出し、かつ前後方向に延びている。右壁部250Rは、基準面200Sの右端縁から上方に向けて突出し、かつ前後方向に延びている。左壁部250L及び右壁部250Rは、基準面200Sが歪まないように補強している。そして、基準面200S、左壁部250L及び右壁部250Rによって形成される凹部により、イメージセンサ150が下側から覆われる。
【0048】
右端縁200Eは、右壁部250Rの右側面である。右端縁200Eは、基準面200Sに対して右側に位置している。右端縁200Eは、本発明の「キャリッジの一端縁」の一例である。なお、実施例では、右壁部250Rの右側面が基準面に対して直交する平面であるが、例えば、右壁部250Rの右側面が右側に膨出する屈曲面又は湾曲面である場合には、その屈曲面又は湾曲面の最右側の稜線が本発明の「キャリッジの一端縁」の一例に相当することになる。
【0049】
また、キャリッジ200は、板状の支持部221と、板状の支持部222と、軸孔201と、軸孔202とを有している。支持部221は、基準面200Sの前端側、かつ右壁部250Rの前端側から上方に向けて板状に突出している。支持部222は、基準面200Sの後端側、かつ右壁部250Rの後端側から上方に向けて板状に突出している。
【0050】
軸孔201は、前側の支持部221に形成された長穴である。軸孔201は、支持部221を前後方向において貫通している。軸孔201は、上下方向に長く延び、その上部が切り欠かれている。軸孔202は、後側の支持部222に形成された長穴である。軸孔202は、支持部222を前後方向において貫通している。軸孔202は、上下方向に長く延び、その上部が切り欠かれている。軸孔201及び軸孔202の輪郭は、前後方向から見て一致している。軸孔201及び軸孔202は、前後方向と平行、かつ右端縁200Eに近い第1軸心X1を規定している。第1軸心X1は、軸孔201及び軸孔202の長穴形状の範囲内で上下方向に移動し得る。支持部221、支持部222、軸孔201及び軸孔202は、本発明の「一対の支持部」の一例である。
【0051】
また、キャリッジ200は、バネ受け部241と、バネ受け部242とを有している。バネ受け部241は、基準面200Sの前端側において下方に向けて凹んでいる。バネ受け部242は、基準面200Sの後端側において下方に向けて凹んでいる。
図7に示すように、バネ受け部241、242はそれぞれ、圧縮コイルバネ245の下端部が挿入されることにより、圧縮コイルバネ245を保持する。
【0052】
図5に示すように、筐体100は、膨出部121と、膨出部122と、軸部101と、軸部102とを有している。
図9に示すように、イメージセンサ150がキャリッジ200に支持された状態において、イメージセンサ150の筐体100の左側を向く面を左側面100Lとし、筐体100の右側を向く面を右側面100Rとする。そうすると、
図5に示すように、膨出部121は、筐体100の右側面100Rにおける前端側から、左側面100Lとは反対側に向けてブロック状に膨出している。膨出部122は、筐体100の右側面100Rにおける後端側から、左側面100Lとは反対側に向けてブロック状に膨出している。
【0053】
軸部101は、前側の膨出部121の後側面から後方に向けて突出している。軸部102は、後側の膨出部122の後側面から後方に向けて突出している。軸部101及び軸部102の輪郭は、前後方向から見て一致している。軸部101及び軸部102の前後方向の間隔は、軸孔201及び軸孔202の前後方向の間隔と略等しい。すなわち、軸部101は、軸孔201に対応する位置に設けられ、軸部102は、軸孔202に対応する位置に設けられている。軸部101及び軸部102は、本発明の「一対の被支持部」の一例である。
【0054】
図5に示すように、イメージセンサ150をキャリッジ200の基準面200Sに対して上方、かつ前方にずれた状態からキャリッジ200に接近させ、軸部101、102を第1軸心X1に一致させた後、イメージセンサ150に後方にずらすことにより、
図6及び
図8に示すように、軸部101が軸孔201に揺動可能に支持されるとともに、軸部102が軸孔202に揺動可能に支持される。
【0055】
筐体100は、
図6及び
図8に示す位置では、基準面200Sから離間する方向に傾斜している。具体的には、筐体100は、基準面200Sに対して、第1軸心X1周りに130〜150°程度揺動している。
図6及び
図8に示す筐体100の位置を第1位置とする。
【0056】
そして、筐体100を第1位置から、
図9及び
図10に示すように、第1軸心X1周りで揺動させることにより、筐体100が基準面200Sに接近する。その結果、筐体100が基準面200Sの真上に位置し、圧縮コイルバネ245に上端部に当接する状態となる。
図9及び
図10に示す筐体100の位置を第2位置とする。
【0057】
長穴である軸孔201、202に沿って、軸部101、102及び第1軸心X1が上下動することにより、第2位置にある筐体100は、
図9及び
図10に示すように、上下動可能となっている。筐体100が圧縮コイルバネ245により上向きに付勢され、プラテンガラス19に押圧されることにより、各受光素子151と読取面8Aとの距離が一定に維持される。
【0058】
図5及び
図7に示すように、キャリッジ200には、突出部210が設けられている。筐体100には、凹部110が設けられている。突出部210及び凹部110は、筐体100のキャリッジ200に対する前後方向の位置決めを行うためのものである。突出部210及び凹部110は、本発明の「キャリッジと筐体との間に設けられた位置決め部」の一例である。
【0059】
突出部210は、基準面200Sの後端側、かつ支持部222及び軸孔202の前方から上向きに突出している。換言すると、突出部210は、
図9及び
図10に示すように、第2位置にある筐体100の後側の膨出部122に向かって突出している。
【0060】
図7に示すように、突出部210には、逃げ部211と、嵌合部212とが形成されている。
【0061】
逃げ部211は、右端縁200E側に位置している。嵌合部212は、左右方向において逃げ部211よりも右端縁200Eから離間している。要するに、嵌合部212は、逃げ部211に対して左側に位置している。
【0062】
逃げ部211及び嵌合部212は、左右方向において右端縁200Eから離間するにつれて基準面200Sからの高さが略直線状に大きくなる傾斜形状とされている。また、嵌合部212の先端212Aは、平坦である。
【0063】
逃げ部211及び嵌合部212の基準面200Sに対する傾斜角度α1は、40〜60°程度である。逃げ部211の下端の高さH211は、軸孔201、202よりも低く設定されている。嵌合部212の基準面200Sからの高さH212は、逃げ部211より大きくされている。このような逃げ部211の高さの設定により、
図6及び
図8に示すように、逃げ部211は、第1位置にある筐体100の後側の膨出部122との干渉を避けるようになっている。
【0064】
図5及び
図7に示すように、突出部210には、リブ230が形成されている。リブ230は、逃げ部211の下端に対して右側から隣接しつつ前後方向に沿って延設されている。リブ230は、本発明の「規制部」の一例である。
図8に示すように、リブ230は、逃げ部211に対して嵌合部212とは反対側から隣接し、後側の膨出部122に当接することで、筐体100が第1軸心X1周りに第1位置から第2位置とは反対側に揺動することを規制する。
【0065】
図8に示すように、凹部110は、後側の膨出部122の下面側に凹設されている。すなわち、凹部110は、筐体100の各受光素子151を収容する側の面とは反対側から、筐体100の各受光素子151を収容する側の面側に向かって凹んでいる。また、凹部110は、右側面100Rとは反対側が開放されている。
【0066】
図6及び
図8に示すように、筐体100が第1位置にある状態では、凹部110は、嵌合部212の上側に位置している。そして、筐体100を第1位置から、
図9及び
図10に示すように、第1軸心X1周りで揺動させることにより、凹部110は、第1軸心X1周りで上向きの円弧を描いて回動する。その結果、筐体100が第2位置にある状態で、嵌合部212が凹部110に嵌入する。嵌合部212の前後方向の幅は、凹部110の前後方向の内幅に対して隙間が生じない大きさとされている。これにより、筐体100がキャリッジ200に対して、前後方向で位置決めされる。
【0067】
こうして、キャリッジ200がイメージセンサ150を支持することにより、読取ユニット3が構成される。
【0068】
図9及び
図10に示すように、第2位置にある筐体100が上下動すると、嵌合部212と凹部110との嵌合長さは、L11〜L12の範囲で増減する。この増減の範囲は、長孔である軸孔201、202内を移動する軸部101、102の移動可能な長さによって決まる。すなわち、軸部101、102の移動によって嵌合長が短くなったとしても、嵌合長さL12が確保されることを示している。
【0069】
ここで、
図11〜
図14に比較例の読取ユニットを示す。比較例の読取ユニットでは、実施例の読取ユニット3の突出部210の形状を変更した突出部219を採用している。比較例の読取ユニットのその他の構成は、実施例の読取ユニット3と同一である。このため、実施の読取ユニット3と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
【0070】
図11に示すように、比較例の読取ユニットにおいて、突出部219は、左右方向において基準面200Sからの高さが等しい平坦な形状とされている。突出部219の基準面200Sからの高さH219は、嵌合部212の基準面200Sからの高さH212より小さく、かつ逃げ部211の下端の高さH211より大きくされている。
【0071】
このような形状の突出部219との干渉を避けるため、比較例では、
図12に示すように、筐体100は、第1位置にある状態で、基準面200Sに対して第1軸心X1周りに90°程度揺動している。
【0072】
そして、そして、筐体100を第1位置から、
図13及び
図14に示すように、第1軸心X1周りで揺動させることにより、凹部110は、第1軸心X1周りで1/4円弧を描いて回動する。その結果、筐体100が第2位置にある状態で、突出部219が凹部110に嵌入する。これにより、筐体100がキャリッジ200に対して、前後方向で位置決めされる。
【0073】
比較例では、
図13及び
図14に示すように、第2位置にある筐体100が上下動すると、突出部219と凹部110との嵌合長さは、実施例のL11〜L12の範囲と比較して狭いL21〜L22の範囲で増減する。この比較例では、軸部101、102の移動によって嵌合長さが短くなった場合、嵌合長さはL22しか確保されないことを示している。このため、例えば、嵌合長さがL22の時に衝撃等が加わると、キャリッジ200に対して、イメージセンサ150に前後方向にずれるように移動し、嵌合が外れる可能性が高くなる。これに対して、本実施形態における
図9及び
図10の構成では、軸部101、102の移動によって嵌合長さが短くなった場合でも、嵌合長さがL22より大きなL12を確保しているため、比較例に対して、突出部219と凹部110との嵌合が外れる可能性が低くなる。
【0074】
<作用効果>
実施例の画像読取装置1に用いられている読取ユニット3では、位置決め部としての突出部210及び凹部110は、筐体100のキャリッジ200に対する前後方向の位置決めを行うので、イメージセンサ150の各受光素子151とキャリッジ200との前後方向の位置決め精度のばらつきを抑制でき、その結果、読取ユニット3の画像読取品質の低下を抑制できる。
【0075】
ここで、この画像読取装置1では、
図7に示すように、突出部210に逃げ部211と嵌合部212とが形成されている。そして、逃げ部211は右端縁200E側に位置し、第1位置にある筐体100の後側の膨出部122との干渉を避ける高さ(H211)に設定されている。一方、嵌合部212は、左右方向において逃げ部211よりもキャリッジ200の右端縁200Eから離間した位置にあり、その高さ(H212)は逃げ部211よりも高く形成されている。これにより、
図6及び
図8に示すように、第1位置にある筐体100の後側の膨出部122を、嵌合部212に干渉することなく、逃げ部211に当接させることができる。この場合、第2位置に対する第1位置の角度を大きくすることができ、第1位置において、軸孔201、202の位置を従来に比べて高くすることなく、軸部101、102を軸孔201、202に支持させることができる。また、筐体100が第1位置から第2位置に揺動し、嵌合部212が第2位置で凹部110に嵌入することにより、突出部210全体の高さを大きくすることなく、嵌合部212の高さH212のみを大きくすることで、キャリッジ200の嵌合部212と、第2位置にあるイメージセンサ150の凹部110との嵌合長さL11〜L12を大きく確保することができる。その結果、この読取ユニット3では、イメージセンサ150の筐体100をキャリッジ200の基準面200Sから離間させるような衝撃等が作用しても、突出部210と凹部110との嵌合長さが大きく確保されているため、両者の嵌合が外れ難い。
【0076】
したがって、実施例の読取ユニット3では、イメージセンサ150のキャリッジ200に対する前後方向の位置決めを精度よく行いつつ、薄型化を実現できる。その結果、実施例の画像読取装置1においても、読取ユニット3が奏する作用効果により、イメージセンサ150のキャリッジ200に対する前後方向の位置決めを精度よく行いつつ、装置の薄型化を実現できる。
【0077】
また、この読取ユニット3では、逃げ部211及び嵌合部212は、左右方向において右端縁200Eから離間するにつれて基準面200Sからの高さが大きくなる傾斜形状とされている。これにより、この読取ユニット3では、嵌合部212が逃げ部211によって補強されるので、嵌合部212のみが高く突出する場合と比較して、嵌合部212が破損し難い。
【0078】
さらに、この読取ユニット3では、一対の被支持部は、前後方向に突出する軸部101、102である。また、一対の支持部は、支持部221及び支持部222に設けられ、対応する軸部101、102を収容する軸孔201、202である。これにより、この読取ユニット3では、仮に一対の支持部が軸部であり、一対の被支持部が軸孔である場合と比較して、筐体100を小型化し易い。
【0079】
また、この読取ユニット3では、嵌合部212の先端212Aが平坦であるので、仮に嵌合部212の先端が尖っている場合と比較して、嵌合部212が破損し難い。
【0080】
さらに、この読取ユニット3では、逃げ部211に隣接しつつ前後方向に沿って延設されたリブ230により、イメージセンサ150の筐体100が第1位置からずれないように第1軸心X1周りに位置決めされるので、軸部101、102を軸孔201、202に支持させる作業を行い易い。また、簡素なリブ230により、規制部を容易に形成できる。
【0081】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0082】
例えば、一対の支持部、又は一対の被支持部が軸孔である場合において、軸孔は、有底孔、貫通孔、丸穴、長穴等であり得る。また、穴の一部が切り欠かれていてもよい。
【0083】
また、凹部は、例えば、溝、有底孔、貫通孔、丸穴、長穴、切り欠き等であり得る。