特許第6004237号(P6004237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6004237冷却絶縁体を備えた薄板溶接用電磁パルス溶接機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6004237
(24)【登録日】2016年9月16日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】冷却絶縁体を備えた薄板溶接用電磁パルス溶接機
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/06 20060101AFI20160923BHJP
   B23K 103/18 20060101ALN20160923BHJP
   B23K 103/20 20060101ALN20160923BHJP
【FI】
   B23K20/06
   B23K103:18
   B23K103:20
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-552104(P2013-552104)
(86)(22)【出願日】2012年2月2日
(65)【公表番号】特表2014-507284(P2014-507284A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】DE2012000081
(87)【国際公開番号】WO2012103873
(87)【国際公開日】20120809
【審査請求日】2015年1月8日
(31)【優先権主張番号】102011010216.7
(32)【優先日】2011年2月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513179123
【氏名又は名称】ピーエスティー プロダクツ ゲーエムベーハ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】パスクワーレ, パブロ
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−342535(JP,A)
【文献】 特開2009−123542(JP,A)
【文献】 特開2007−305555(JP,A)
【文献】 実開昭53−099340(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/06
H05B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板金(11)を金属部材(12)と接合するための電磁パルス溶接機であって、
−導線()を介して
−コイル()と接続している
−電源()から構成され、該コイル(4)の能動部品(41)が前記薄板金(11)のすぐ近傍に伸び、その際前記薄板金(11)は前記金属部材(12)に対して間隔をあけている電磁パルス溶接機において、
−前記コイル()の受動部品(42)が能動部品(41)よりも大きい断面積を備え、及び
−前記能動部品(41)がその表面の一部と形状接合で冷却絶縁体()と隣接し、該冷却絶縁体(5)の原材料が前記コイル()の材料と比べて
−比較的高い熱伝導性と
−比較的低い磁力伝導性及び導電性とを備え
前記冷却絶縁体(5)が前記能動部品(41)と接触する面積は、前記冷却絶縁体(5)が前記受動部品(42)と接触する面積に等しいことを特徴とするパルス溶接機。
【請求項2】
前記能動部品(41)が細長い形材であり、該形材は2つの向かい合った長辺をそれぞれ1つの受動部品(42)で脇を囲まれており、該受動部品(42)は能動部品(41)に対して平行に、距離を置いて配置されており、能動部品(41)と2つの受動部品(42)との間の2つの隙間にそれぞれ1つの冷却絶縁体()が挿入されていることを特徴とする、請求項1記載のパルス溶接機。
【請求項3】
−2ターンコイル()が、2つのターンを接続するための電流バー(43)を除いて1つの面に広がり、及び
−2つのターンの前記能動部品(41)が平行に及び互いに間隔をあけて配置されており、及び
−各能動部品(41)のそれぞれ他方の能動部品(41)の向かい側にある面に冷却絶縁体5が当接しており、及び
−該冷却絶縁体に向かい合っている面に、ターンの1つの受動部品(42)が置かれていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のパルス溶接機。
【請求項4】
薄板金(11)を金属部材(12)と接合するための電磁パルス溶接機であって、
−導線(3)を介して
−コイル(4)と接続している
−電源(2)から構成され、該コイル(4)の能動部品(41)が前記薄板金(11)のすぐ近傍に伸び、その際前記薄板金(11)は前記金属部材(12)に対して間隔をあけている電磁パルス溶接機において、
−前記コイル(4)の受動部品(42)が能動部品(41)よりも大きい断面積を備え、及び
−前記能動部品(41)がその表面の一部と形状接合で冷却絶縁体(5)と隣接し、該冷却絶縁体(5)の原材料が前記コイル(4)の材料と比べて
−比較的高い熱伝導性と
−比較的低い磁力伝導性及び導電性とを備え、
−1ターンコイルの前記能動部品(41)が細長い形材から成り、及び
−この形材の両端部でそれぞれ短い終端セクション(43)が曲げられ、及び
−各終端セクション(43)がそれぞれ1つの受動部品(42)と接続されており
−その際前記2つの終端セクション(43)がそれぞれ互いにほぼ平行に配置され、及び
−その際2つの、前記終端セクション(43)に対して平行な、前記能動部品(41)の面がそれぞれ1つの冷却絶縁体()に隣接することを特徴とする、ルス溶接機。
【請求項5】
2つの冷却絶縁体の外側に、それ自体が閉じた金属ベルト又は別の押さえ装置51が置かれていることを特徴とする、請求項に記載のパルス溶接機。
【請求項6】
前記2つの冷却絶縁体(5)が前記能動部品(41)と接触する面積は、前記2つの冷却絶縁体(5)が前記押さえ装置(51)と接触する面積に等しいことを特徴とする、請求項5に記載のパルス溶接機。
【請求項7】
終端セクション(43)が、板状の受動部品(42)の広い面にある溝に固定されていることを特徴とする、請求項4からのうちのいずれか一項に記載のパルス溶接機。
【請求項8】
前記冷却絶縁体()が窒化ホウ素から成ることを特徴とする、請求項1から7のうちのいずれか一項に記載のパルス溶接機。
【請求項9】
前記コイル()において、前記能動部品(41)から前記受動部品(42)への移行範囲で、インナーエッジ及び/又は表面が連続的に丸められることを特徴とする、請求項1からのうちのいずれか一項に記載のパルス溶接機。
【請求項10】
前記薄板金(11)の溶接するべき範囲と前記金属部材(12)との間の間隔の寸法が約0.3〜1.0mmであることを特徴とする、請求項1からのうちのいずれか一項に記載のパルス溶接機。
【請求項11】
薄板金(11)内へ、溶接するべき範囲内又はその付近に、溶接の前に少なくとも1つのふくらみ及び/又は細長いビードを配設可能であり、隣接する範囲から高くなっているそれらの高さが、溶接に必要な、薄板金(11)と金属部材(12)との間の間隔に相当することを特徴とする、請求項1から10のうちのいずれか一項に記載のパルス溶接機。
【請求項12】
前記ふくらみ又は前記ビードが、前記薄板金(11)の溶接するべき範囲の中央に配置されていることを特徴とする、請求項11に記載のパルス溶接機。
【請求項13】
多数の、互いに間隔をあけたふくらみが、前記薄板金(11)の溶接するべき範囲の縁に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のパルス溶接機。
【請求項14】
前記ふくらみ及び/又は前記ビード第一の溶接工程が平坦薄板金(11)に適用される場合に形成される外側に向かって高くなったふくらみを、第二の溶接工程によって再度滑らかにするように形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のパルス溶接機。
【請求項15】
前記パルス溶接機を使って溶接の前に要求されるふくらみ及び/又は必要とされるビードを前記薄板金11内に形成ることを特徴とする、請求項1〜1のうちいずれか一項に記載のパルス溶接機。
【請求項16】
−各薄板金(11)がその中にただ1回のみ挿入されるか又は挟み込まれ、及び
−第一の加工段階において
磁パルス接合(EMPF)を使用して
−溶接するべき範囲の中又は範囲に接してふくらみ及び/又はビードが形成され、及び
−第二の加工段階において前記薄板金(11)のこの範囲が金属部材(12)と溶接されることを特徴とする、請求項1に記載のパルス溶接機。
【請求項17】
薄板金(11)を挿入するか又は挟み込むための保持具を有し、
−該保持具内で前記薄板金(11)に第一の工程において少なくとも1つのふくらみ及び/又は少なくとも1つのビードを形成可能であり、及び
−第二の工程において前記薄板金(11)が金属部材(12)と前記ふくらみ又はビードの範囲で少なくとも部分的に溶接可能であることを特徴とする、請求項1〜1のうちいずれか一項に記載のパルス溶接機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板金を金属部材と接続するための電磁パルス溶接機に関し、この溶接機は導線でコイルと接続された電源から構成され、このコイルの能動部品は薄板金のすぐ近傍に伸びており、その際薄板金は金属部材と間隔をあけている。
【背景技術】
【0002】
今日の従来技術では、薄板を別の金属部材と接続するために、鋭角で少なくとも100m/s、つまり少なくとも360km/hの速度でその表面の帯状の部分を金属部材の上にぶつけることが、いわゆる「爆発圧接」として知られている。
【0003】
この方法の別の特徴は、溶接の前に薄板と金属部材の間にわずかな間隔があり、それが加速路として機能することである。その際金属部材の間にある空気は著しく加速されて圧縮され、ほとんど硬い工具のような働きをして、金属部材の表面の酸化被膜を削り取る。
【0004】
それによって金属的に純粋な表面が互いに接触し、可塑変形し、原子レベルの間隔まで互いに近づき、その結果格子エネルギーが生じてそれが互いを溶接する。
【0005】
今日の従来技術の1つで公知の方法では圧力の生成には爆薬の爆発が使われる。2つの互いに水平に位置する薄板金を接続するために、上側の金属薄板の、継ぎ合わせるべき面とは反対側にある表面に均等な薄い層の爆薬が載せられる。この爆薬層の上には爆発力に比べて非常に重い板が載せられる。次に爆薬層に電気点火装置によって端部のある点又は中央に点火され、爆発が起こされる。金属薄板の前部に沿って広がる圧力波が生じる。
【0006】
上部のカバーが非常に重いために圧力波は上方へ自由に放出できず、爆薬層の下にある金属薄板がその下にある第二の金属薄板又はその下にある金属体を「打撃する」。
【0007】
しかしその慣性によって上側の金属薄板は全体としては動かず、爆発ゾーンの下にある薄板金セクションだけがわずかに曲がり、ベース板を打撃する。
【0008】
現在の従来技術では、爆薬の代わりに、薄板金の部分的加速のためにコイルとコイルに電磁パルスを使って生成した磁場を使用することが公知である。そのために電気コイルが溶接するべき薄板金の近傍に配置され、パルス様の非常に高い電流が流される。この電流は第一の磁場を生成し、この磁場は薄板金内で渦電流を生じさせる。この渦電流は再び第二の磁場を引き起こし、この第二の磁場はコイルの第一の磁場に対して反対に向けられ、その結果磁場同士が突き放される。最後に短時間非常に大きな力が第一の薄板金にかけられ、この薄板金が部分的に変形し、加速し、及び第二の薄板金に打ちつけられる。
【0009】
特許文献1には、そのために適したコイルが示されている。このコイルは原則として長方形の金属薄板から構成され、この薄板金には、1つのエッジから2つの互いに平行なスリットが切り込まれている。それによって金属薄板はアルファベットのEの形になっている。Eの中央の脚は電源の1つの極と接続され、2つの外側の脚は互いに平行に接続され、そこへ電源の別の極が接続されている。電流は中央の脚を通ってコイルへと流れ、2つの外側の脚を通って再び流れ出る。それによって磁場が形成され、この磁場は中央の脚の範囲内でその最大磁場強度を示す。それゆえに、E字型コイルの中央の脚は、平行に及び薄板金の溶接するべき範囲からわずかな距離を置いて配置されている。
【0010】
実際にはこれまでの最大の不都合は、現在公知のコイルの寿命が比較的短いことである。なぜならこのコイルは薄板金の加速と変形のために必要な反力を加えなければならず、その際さらに電圧降下によるオーム抵抗によって強く熱せられるからである。
【0011】
さらに別の不都合は、大きな電気パルスによってコイル自体に負荷がかかることである。その際E字型コイルの外側の脚は互いに引き寄せ合う。なぜならこれら2つの脚には同じ方向に電流が流れているからである。しかし2つの脚は中央の脚によって突き放される。なぜなら電流は中央の脚を通って反対の方向に流れるからである。これら2つの作用は、互いに完全には相殺されないため、脚に対して垂直に伸びる、脚を接続しているコイルの一部にトルクがかかり、多数回使用された後に脚が破損する結果をもたらす。
【0012】
さらに別の不都合は、中央の脚が好ましくは相対的に非常に細く仕上げられ、それによってその範囲で特に高い電流密度が、及びそれによって特に高い磁場強度が達成されることによってもたらされる。その結果、中央の脚のオーム抵抗が相対的に高くなり、そのためにコイルのこの部分の熱負荷が最大になる。それゆえに、この負荷ゾーンによってやはり早期にコイルが破損する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008055505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
このような背景から、本発明の課題は、従来技術で公知のコイルと比べて高い負荷に耐え、及びそれにもかかわらず長寿命が期待される、薄板と他の金属部材を電磁パルス溶接するためのコイルを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、コイルの受動部品が能動部品よりも大きな断面積を備え、及び能動部品がその表面の一部と形状接合によって冷却絶縁体と隣接し、その原材料はコイルの材料と比べて相対的に高い熱伝導性を備え、及び相対的に低い磁力伝導性と導電性を備えているという解決法を提示する。
【0016】
薄板金を金属部材と溶接するために、コイルを通って大きな電気パルスが流れ、その際実際には少なくとも1つのコンデンサーバンクが電源として使用される。それによって強力な点状又は線状の磁場が生成され、この磁場は薄板内に渦電流を誘導する。それによって生じた反力は、薄板金の点状又は線状の範囲がコイルによって突き放され及び非常に高速で加速する程度の高い圧力を生じさせる。
【0017】
試験では電気コイルの磁場強度が最大の範囲では薄板範囲の速度は最大720m/sに達し、これは2,600km/hに相当する。このような高い速度では、隣接する薄板範囲はその慣性によって同じ速度で加速するのではなく、変形する。さらに離れた範囲の薄板の慣性は、それぞれ1つの帯状の範囲で薄板の変形を制限し、この範囲内では薄板がそれぞれ1つのほぼS字型の形状に変形される。磁場の構成に対応して、この変形はフロントラインのS字に沿って表面上に広がる。
【0018】
このような高い速度で動く、薄板のS字型のフロントラインは金属部材に急激に衝突する。
【0019】
その際金属部材の間にある空気は、さらに超音速に達し得るほど強く加速され圧縮され、それによって既知の衝撃波が生じる。薄板及び金属部材の最上部にある原子層、及びそれによって各金属表面にある酸化膜は高速で薄板と金属部材との間の空間から放出される。
【0020】
金属部材と薄板金の2つの境界層は、圧力を回避し、短時間爆発方向に液体のように流れ、その際粒界はさらに引き続いて保持される。その際境界付近の層は交互にせき止められ、相互にずれて入り込み、その結果波状の結合ゾーンが生じる。この波面は常に衝突過程の伝播方向に対して垂直に伸びるが、これは水面に当たる石によって引き起こされる波に類似している。結合ゾーン内の波のパターンは、流れ方向に対して横向きに方向づけされた、砂浜に打ち寄せる水によって形成されるうねに似ている。
【0021】
水の波に似て、金属境界面の波も砕けたり又はそれどころか丸く巻いてしまい得る。波の頭頂の前の渦が強くなりすぎた場合のみ、そこで溶融するか又は中間金属被膜が形成され得る。
【0022】
それによって薄板がその下に配置されている金属部材に当たる際に、互いに当たる原子内で格子エネルギーが有効になり、前に「爆発圧接」で記述したように、薄板金が金属部材と溶接される。
【0023】
この結合は主に短時間の高圧によって引き起こされるため、関与する金属の溶融温度は接続面に沿った非常に平らなゾーンでのみ達成される。その深さは実際にはわずか0.5〜5μmであることが多い。
【0024】
このゾーンから周囲金属へ非常に速やかに放熱されるため、その際金属の構造と粒度が維持される。相対的に非常に大きい液化ゾーンが生じる従来式の融接の場合とは異なり、本発明による溶接後に凝固すると、極度に粒度の細かい、同時に高い強度と高い延性を備えた構造が生じる。
【0025】
それゆえに、融接の場合のように、接合するべき2つの金属の混合はここでも生じない。このような混合ではさまざまな金属組み合わせによってもろい中間金属相が結果として生じてしまう。
【0026】
本発明によるパルス溶接機を使用して、特に融点が大幅に異なる2つの金属間でも、非常に均一で負荷に耐える溶接が達成され得る。こうして例えばアルミニウム薄板が鋼桁の上に溶接されたり、又は銅とチタンが互いに結合され得る。
【0027】
本発明によるコイルでは、導電断面積の大きさはコイルのいわゆる「受動部品」と「能動部品」では非常に異なる。受動部品ではその下部で溶接が行なわれず、能動部品ではその下部で溶接が行なわれる。能動部品内では電流が大幅に小さい断面積を通って、相対的に非常に小さい面上に「押し込められ」、それによってこの面の下側で非常に確実で効果的な溶接が実現される。
【0028】
それとは逆に受動部品の下側では、その断面積が格段に大きいために薄板金のこの範囲では渦電流が非常にわずかに、又は無視してよい程度しか生成されず、その結果薄板金にこの範囲で顕著な加速や変形が見られないほどに磁場強度は小さい。
【0029】
磁場がほぼ能動部品にのみ集中されることは非常に望ましい効果であるが、公知の従来技術によるコイルはいわゆる「エアコイル」として、さらなる絶縁又は支持なしには、パルス溶接中に機械的反力が加わることによって能動部品が比較的少ない回数使用した後に壊れてしまう結果となりかねない。
【0030】
生成された磁場をさらに強化するために能動部品内で電流密度がさらに上昇する必要がある場合、能動部品は溶解してしまうほどに強く加熱される。
【0031】
この効果はヒューズの原理として知られている。本発明によるコイルの能動部品と同様に、ヒューズのヒューズ線は電流ガイドの通常の構成部品よりもはるかに小さい断面積を備えている。しかし電磁パルス溶接のコイルとは異なり、ヒューズは明確に摩耗部品として企図されている。
【0032】
能動部品を少なくとも1つの冷却絶縁体と接触させることによってコイルの能動部品をこの負荷から保護することは、本発明の基本的な考えである。その名前が示唆しているように、冷却絶縁体は能動部品に生じた損失熱を排出するためにも、それに対する断熱のためにも使用される。それゆえに、これは高い熱伝導性と小さい導電性を備えている。
【0033】
別の、その名前には含まれていない冷却絶縁体の機能は、能動部品の機械的な支持である。コイルがE字型のコイルである場合、冷却絶縁体は例えば能動部品と受動部品が接触しないよう確実に防止する。
【0034】
冷却絶縁体に特に適している材料は、窒化ホウ素であることが判明している。窒化ホウ素は化学式ではBNで表されるホウ素と窒素の化合物であり、2つの安定した修飾α−BNとs−BNが存在する。その熱伝導性は銅の約5倍高い。それにもかかわらず窒化ホウ素は磁力伝導性と導電性は相対的に非常にわずかである。
【0035】
冷却絶縁体を電磁パルス薄板溶接用コイルの能動部品に部分的に付着させるという原理は、さまざまな形状のコイルに適用可能である。
【0036】
その一例がすでに従来技術として挙げたE字型のコイルである。このコイルは、能動部品として細長い形材から成り、この形材は2つの向かい合った長辺をそれぞれ1つの受動部品で脇を囲まれている。2つの受動部品は能動部品に対して平行に、距離を置いて伸びている。本発明による冷却絶縁体は、この場合能動部品と2つの受動部品の間にある2つの隙間に取り付けられ、2つの部品の上にそれぞれ平らに載せられている。
【0037】
電磁パルス溶接用コイルの別の有意義な一実施形態は、「2ターン」コイル、つまりターンが2巻きある1つのコイルである。ここで特に興味深い実施形態では、2つのターンを接続するための電流バーを除くすべてのコイルの部品が1つの平面に伸びている、つまり1つのプレートから構成されている。
【0038】
この実施形態では、2つのターンの能動部品は平行に、互いに間隔をあけて配置されている。2つの能動部品の間にある空隙と向かい合っている面の上には、それぞれ1つの冷却絶縁体が載せられ、それに向かい合っている各ターンの受動部品の面に接する。この2ターンコイルの各ターンは、前述のE字型コイルの半分に相当する。
【0039】
このような2ターンコイルの利点は、電流密度及びそれによって磁場強度が1ターンコイルに比べてほぼ倍であるということである。このような実施形態は、冷却絶縁体ずつによる能動部品の支持がないとしたら作動できず、すでに最初の電流パルスで壊れてしまうであろう。
【0040】
本発明によるコイルの別の非常に興味深い一実施形態は、いわゆる「ハンマーコイル」である。この名称は、その幾何学的形状から来ており、ハンマーの「柄」の部分は2つの、たいていは互いに平行に伸びる、たいていは板状の受動部品から形成され、この受動部品のところに、それぞれ1つの端部にそれに対して横向きに配置された細い能動部品が取り付けられ、この能動部品は横方向に2つの板状受動部品から上に突き出ており、それによりハンマーコイルのヘッド部を形成している。
【0041】
前述の1ターンコイルや2ターンコイルとは異なり、このようなハンマーコイルは材料板から効率的に切り出すことはできない。興味深い一実施形態は、その代わりに能動部品が縦長の細い金属形材から形成され、そこから2つの端部がそれぞれ1つの短い終端セクションに曲げられ、これらがそれぞれ1つの受動部品と接続されている。その際2つの終端セクションはそれぞれ互いにほぼ平行に配置されている。有意義には、能動部品の断面積は2つの受動部品の断面積よりも大幅に小さく、それによって磁場は能動部品の範囲に集中する。その結果、極めて高い電流密度が能動部品内に生じ、2つの互いに平行な面がそれぞれ冷却絶縁体に隣接する場合にのみ、能動部品が即座に溶融されることがない。
【0042】
この冷却絶縁体を能動部品と永続的に及び負荷に耐えるよう結合するため、本発明は2つの冷却絶縁体の外側を巡ってそれ自体が閉じた金属ベルトが伸びるか又は他の押さえ装置がむき出しの、2つの冷却絶縁体の互いに平行な面の上に載せられることを提示する。
【0043】
能動部品から受動部品へ抵抗の少ない電流の移行を可能にするために、本発明はそれぞれ1つの終端セクションが板状の受動部品の広い面にある溝に固定されていることを提示する。
【0044】
溶接過程中における本発明によるコイルへの負荷は、能動部品から受動部品への移行範囲に、少なくともインナーエッジが、しかし理想的には表面全体も、連続的に丸み付けされていることによってさらに低減される。それによって、能動部品から受動部品への移行の際に電流密度が突然ではなく連続的に降下し、その結果熱的及び機械的な「規定破断個所」が回避可能になる。
【0045】
すでに何度も言及したように、本発明による溶接方法のためには、薄板金を溶接の前に第二の金属部材からいくらかの小さい間隔をあけておくことが絶対に必要であり、その結果薄板金は電場が有効になった際にこの間隔にわたって加速され得、相対的に高速で及び鋭角で他の金属部材に衝突する。実際には非常に多くの場合、そのための間隔の寸法が0.3〜1.0mmであることが実証されている。
【0046】
試験では、衝突が表面に対して垂直に行なわれるのではなく、衝突の直前に2つの表面の間の角度が2度〜30度に調整されるように薄板が変形された場合に最良の結果が示された。このような「傾いて方向づけられた」衝突の場合にのみ、材料の所望の塑性変形及び負荷に耐える結合が得られる。
【0047】
2つの薄板金の間隔の適切な選択及びコイルの造形及びそこを通って流れる電流の強さによって、特定の衝突角度が約2度〜30度に調節される。さらに、加速した薄板セクションがその下にある金属部材に衝突する際にもたらされたエネルギーは、2つの金属が1つの、そうでなければ冷たい状態で、それぞれ1つの非常に薄い境界層の中で塑性変形可能である程度の高さの圧縮応力に変換される。
【0048】
溶接の前に、そのために適した間隔を確実に保つために、最も簡便には、2つの互いに溶接するべき部材のための適切なストッパー又はスペーサーを使用する。
【0049】
毎回新たに間隔を調整しなくてもよいように、又は適切なスペースホルダーを使用しなくてよいように、本発明は別法として、溶接するべき薄板内に少なくとも1つのふくらみ及び/又は細長いビードを形成し、その隣接する薄板表面の範囲より高くなった高みが、前に挙げた、溶接に必要な、薄板金と金属部材との間の間隔に相当することを提示する。
【0050】
第一の実施形態として本発明は、ふくらみ又はビードが薄板金の溶接するべき範囲の中央に配置されることを記述している。さらに、コイルの能動部品は、圧力波及びそれによって薄板のS字型の変形がこのビードから出て伝播されるように配置されなければならない。これにより、互いに溶接された面がふくらみの回り又はビードの両側へ伸びることが達成される。
【0051】
その際、中央の1つの点で、又は溶接された面の真ん中の線に沿って、2つの金属部材が互いに接続されないことは簡単に克服できる。なぜならこの点又は線の両側には質的に非常に高価値の、互いに溶接された面が広がるからである。
【0052】
第二の別法の実施形態として本発明は、多数の、互いに間隔をあけたふくらみが、溶接するべき薄板金の範囲の縁に配置されていることを提示する。その場合に、溶接はこれらふくらみの間の中央から始まり及び溶接が進むにつれてふくらみまで伸びる。理想的にはそれどころかふくらみは溶接された面に統合され、もはやふくらみとは認識できなくなる。
【0053】
ふくらみの間の間隔の利点は、薄板金の衝突の際及びその変形の開始で生じる圧力波がふくらみの間を通って広がることができ、それゆえに削り取られた酸化被膜が2つの金属部材の表面から吹き飛ばされるための十分なクリアランスがあることである。
【0054】
すでに何度も説明したように、溶接された薄板金によって、溶接するべき範囲の中央から出てS字型の変形が溶接範囲の縁まで広がることは、本発明による溶接の特有の特徴である。溶接された範囲の縁のS字型の形状は、向かい合っている、溶接していない側の薄板金では、くぼみと認識できる。
【0055】
溶接後にこのようなくぼみを残してはならないという要求がある場合、溶接前に薄板金内に上向きの、相手方とは反対向きのふくらみ及び/又はビードを備えることで、前は平坦だった薄板金に溶接後に生じるであろう形状を補完することが考えられる。溶接過程中の変形により、外側に向かって高くなったふくらみは再び「滑らかにされ」、その結果、最終的には平らな面が生成される。
【0056】
注意しなければならないのは、このようなふくらみ又はビードの配置では、第二の金属部材と溶接するべき薄板金の範囲が直接及び間隔なしに当接し、その結果溶接の際に生じる圧力波が全部は流れ出て行けない可能性があることである。
【0057】
それによって金属酸化膜の削り取りが妨げられてしまいかねないため、本発明は改良された別法として、外側へふくらんだふくらみ又はビードがその縁範囲にいくつかの小さな段差を備え、これらによって圧力波を消去し得るということを提示する。
【0058】
別の改良は、前もって薄板内に作られたふくらみ及び/又はビードは、溶接するべき範囲よりいくらか細く、その結果溶接過程自体がふくらみ又はビードを再び「平らにならす」ことによって達成される。
【0059】
薄板金内に前もって成形されたふくらみ又はビードを使ったパルス溶接法のために、さらにふくらみ又はビードを施すためにもパルス溶接機を使用することが考えられ、その結果薄板金はそのために特化された機械に1回挿入されるか又は挟み込まれるだけでよい。本発明はそのために装置の一実施形態を提示し、その装置では溶接するべき薄板金は対応する保持具にただ1回だけ挿入されるか又は挟み込まれる。そうすれば、第一の工程段階で、例えば電磁パルス接合(EMPF)では溶接するべき範囲の中又は範囲に接して、ふくらみ及び/又はビードが成形される。第二の加工段階では、薄板金のこの範囲が金属部材と溶接される。
【0060】
このような二重装置の利点は、加工段階を省略することによる作業時間の節約と品質確実性の獲得である。
【0061】
以下では、本発明のさらなる詳細と特徴を実施例を使用して詳しく解説する。しかしこの説明は本発明を制限するものではなく、単に説明するものである。以下、模式的図面を示す。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】2つの互いに溶接された薄板金と1ターンコイルの断面図である。
図2】2ターンコイルの斜視図である。
図3】「ハンマーコイル」の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1にはE字型の1ターンコイルが、図でEの3つの脚に対して横向きに切られた断面が斜視図として示されている。この断面図は、その下に配置された、互いに溶接するべき薄板金11とその下にある金属部材12に続いている。
【0064】
右側の、図で切り離されているコイル4の部分には、中央に能動部品41が認められる。この能動部品は2つの互いに向かい合っている外面がそれぞれ冷却絶縁体5に隣接し、この冷却絶縁体は網状線で前面が印づけされている。各冷却絶縁体5の2つの別の面はコイル4のそれぞれ1つの受動部品42と接している。
【0065】
図1では電流が電源2からコイル4を通ってどのように流れるのか、矢印で示されている。スイッチが閉じられると、電流が能動部品41へ流れ、さらに図では切り離されて見ることのできないコイル4の部分を通って上部に図示された範囲に流れ込む。
【0066】
図1では、電流が能動部品41から出るときに枝分かれし、電流の一部が左のコイル4受動部品42に流れ、電流の他の一部が右に示されたコイル4の受動部品42に流れることが、非常によく理解できる。
【0067】
図1では切り離されて見ることのできない、コイル4の受動部品42のセクションは、電流は電源2の電気回路が再び閉じるまで、導線3へ戻る。
【0068】
図1では、電流が左及び右の電気回路に流れることも見ることができる。しかし2つの電気回路が能動部品41内でコイル4の中心と重なり合うため、このようなコイルは「1ターン」コイルと呼ばれる。
【0069】
図1では、能動部品41内で2つの受動部品42よりも電流密度が著しく大きいことが非常によく理解できる。そのためには、能動部品41の断面積を2つの受動部品42の断面積の合計と比べるだけでよい。図1から、能動部品41の断面積は2つの受動部品42の断面積の10分の1しかないことがわかる。そのことから、能動部品41中の電流密度は2つの受動部品42の電流密度の約10倍大きいことが結論づけられる。
【0070】
この比率は、コイルの中央の脚が「能動部品」と呼ばれていることによっても説明されている。なぜならそこでは電流密度及びそれによって溶接するべき薄板の面積単位当たりの磁場強度も、受動部品に比べて10倍大きいからである。その結果、能動部品41の下部だけで、薄板金が急激に下方向へ金属部材12に向かって「へこみが直される」ように、強い力が薄板金11にかけられる。
【0071】
図1では薄板金11の「へこみを直された」範囲は、薄板金12の平らな状態から下へ金属部材12に衝突するまでの距離で連続的に加速され、それゆえに高い速度で薄板部分12にぶつかることが理解できる。
【0072】
図1では、重要な発明の特徴、つまりコイル4の能動部品41と2つの受動部品42との間にある冷却絶縁体5を非常にはっきり見ることができる。冷却絶縁体5が能動部品41の面の大きな部分の上に当たり、同じ大きさの面部分で受動部品42と接触していることが理解できる。
【0073】
冷却絶縁体5は電気的に優れた絶縁体であるが、熱的には非常に優れた導体であり、図1では、損失熱が能動部品41から出て2つの脇を囲む冷却絶縁体5を経て隣接する受動部品42にどのように流出するのかを理解することができる。その際能動部品1内では2つの受動部品42内よりも電流密度が約10倍高いことに注意しなければならない。それゆえにオーム抵抗に付随的に発生する能動部品41の損失熱も同じように受動部品内よりも大きく、及び2つの受動部品42に対して能動部品41の温度勾配も相応に大きい。
【0074】
図1では、2つの冷却絶縁体5の別の機能、つまり能動部品41の機械的支持も理解できる。やはりその相対的に小さい断面積が原因で、能動部品41は2つの受動部品42のようには機械的に大きな負荷には到底耐えることはできない。
【0075】
図1では、薄板金12が変形する際に薄板に下向きの力がかけられることがよく理解できる。上向きの、同じ大きさの反力がコイル4の能動部品41も作用する。能動部品41と2つの受動部品42の断面積を比較することで、能動部品41がこの力に対して、2つの受動部品42と比べて非常にわずかな抵抗で対抗することが示される。それゆえに、冷却絶縁体がこのほぼ垂直に作用する力から一部を2つの、相当な負荷に耐える受動部品42に伝達することは、2つの冷却絶縁体5の最大に歓迎される機能である。
【0076】
図2は本発明によるコイルの、いわゆる「2ターン」コイル4としての実施形態を消失点透視図で示している。左半分にはコイル4の2つのターン4L及び4Rが識別できる。このコイル4から、左の部分ターン4Lと右の部分ターン4Rを接続するための電流バー43だけが、ターンの平面より上に突き出ていることが見て取れる。
【0077】
図2では、電流がどのように電流バー43の下側でコイルの左部分ターン4Lに流れ込むかがすぐに見て取れる。電流は導線3から接続ブロック31を介してコイル4へ流れる。コイルへ流れてすぐに、電流は能動部品41の極めて小さい断面積に「押し込められる」。それから電流は相対的に高い電流密度で、相対的に非常に細い、第一の冷却絶縁体5と平行に伸び、それに面が隣接している第一の能動部品41を通る。
【0078】
その左端部で能動部品41の断面積は大幅に拡大し、及び第一の受動部品42に移行するが、この断面積は能動部品の約10倍の大きさである。それゆえに、これに対応して電流密度も小さくなる。
【0079】
電流は第一の受動部品42から左部分ターン4Lへ、電流バー43を通ってインプット配線を経由してコイル4の右部分ターン4Rへ流れる。ここでも第二の能動部品41の形材は入口範囲と比べて劇的に細くなる。第二の能動部品41の終端では、右部分コイル4Rが、第二の受動部品42の著しく大きな断面積に連続的に移行する。
【0080】
この大きな断面積は、接続ブロック31及び導線3を介して電源2に接続されている。
【0081】
図2には、コイル4及び2つの導線3のための2つの接続ブロック31が実際に近い仕様で示されている。2つのねじ締めブロック31内に確認できる大きな円筒形の開口部により、導線3のために著しく大きな断面積が必要であることが明確である。なぜなら、非常に高いピーク電流が電磁パルス溶接中に流れるからである。しかし、明瞭さを確保するために導線3は電圧源2と同様単なるブロック配線図として記号化されている。図2では、電流がコイル4の能動範囲を2回通って、つまり2つの部分コイル4L及び4Rの2つの能動部品41を通って流れることが明らかである。それにより、1ターンコイルに比べて電流密度が倍になることが理解できる。しかし図2では、そのために能動部品の断面積が極めて小さくなければならないことが非常にはっきり見て取れる。能動部品に隣接している冷却絶縁体がないとしたら、能動部品は破損するか又は溶解してしまうであろう。
【0082】
図2では、冷却絶縁体5がさらに受動部品42上で能動部品41を機械的に支持していることが非常によく理解できる。
【0083】
図3では、遠近法の模式図としていわゆる「ハンマーコイル」の基本構造と、金属部材12と能動部品41の下側で溶接されるべき薄板金11が示されている。そのために2つの金属部材11、12が互いに間隔をあけていることは非常によく認識できる。
【0084】
本実施形態では、2つの受動部品42はそれぞれ2つのプレートであり、このプレートは互いに平行に及び間隔をあけて配置されている。実際には、これらのプレートは、ここには図示されていない絶縁要素と互いに支え合っている。これらの前端部では、2つの受動部品42が、能動部品41の垂直に上方へ曲げられた2つの終端セクション43によって互いに接続されている。
【0085】
水平な能動部品41は、2つの終端セクション43と共に弓形の電流ガイドを形成し、その電流をガイドする断面積は2つの受動部品42の電流を導電する断面積よりも著しく小さい。
【0086】
図に従った本実施形態では、能動部品41の2つの側面にはそれぞれ1つの冷却絶縁体5が添えられ、その際能動部品41と冷却絶縁体5は面で接触している。2つの冷却絶縁体5を能動部品41の両側で一緒に保持するため、図3では2つの冷却絶縁体の回りに伸びる押さえ装置51が描かれている。押さえ装置はその左前だけ見える部分が完全に示されており、残りは輪郭線と点線で描かれている。
【0087】
押さえ装置51は本実施形態では2つのほぼU字型の金属部材から成り、この金属部材は平らに、2つの冷却絶縁体5に押しつけられている。これについては前側の押さえバーの半分だけが描かれている。左側からは、押さえ装置51の半分がどのようにボルトによって押さえ装置51のもう半分と接続され得るかが見て取れる。明瞭さを確保するために前側の押さえバー右半分と後ろ側の押さえバーは点線の輪郭線だけで描かれており、その結果押さえ装置51は図3では4分の1だけが図面上で分割された部分として認めることができる。
【0088】
図1及び図2と同様に、導線3及び電源2、並びにそれらの作動のためのスイッチは、単にブロック線図として非遠近法的に示されている。
【符号の説明】
【0089】
11 薄板金、金属部材12と溶接されるべきワークピース
12 金属部材、薄板金11と溶接されるべきワークピース
2 電源、コイル4に電流パルスを供給
3 導線、電源2をコイル4と接続
31 接続ブロック、導線3をコイル4と接続
4 コイル
41 コイル4の能動部品、電流密度が非常に高い、薄板金11の溶接を引き起こす
42 コイル4の受動部品、電流密度がわずか
43 電流バー、複数ターンコイルで部分コイルへの給電線をブリッジする
4L 2ターンコイルの左側の部分ターン
4R 2ターンコイルの右側の部分ターン
5 冷却絶縁体、能動部品41を冷却、絶縁、安定化する
図1
図2
図3