【文献】
リチウムイオン二次電池第二版−材料と応用−,日刊工業新聞社,2000年,2版,pp.109、110、112−114
【文献】
新田昌弘、青村和夫,合成A型ゼオライトにおける交換カチオンのサイト選択性に関する研究,北海道大学工学部研究報告 ,1978年,第91号,pp.147−159
【文献】
川井利長、山本達也,活性アルミナによる排水中のフッ化物イオンの吸着除去,水質汚濁研究,1988年,第11巻 第5号 ,pp.299−306
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機半導体が、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリベンゾチアゾール、ポリフェニレン及びポリアニリンのいずれかの骨格を有する化合物であることを特徴とする請求項1記載の非水電解液二次電池用セパレータ。
前記微多孔膜が、ポリオレフィン、セルロース又はポリエチレンテレフタレートのいずれかからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解液二次電池用セパレータ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の非水電解液二次電池用セパレータは、アニオン又はカチオンを吸着可能な化合物(以下、A膜とすることがある。)と多孔膜(以下、B膜とすることがある。)とで構成されている。
B膜はリチウムイオンを透過し、正極と負極を隔離するものであれば何を利用しても良い。また一般的なリチウムイオン電池用セパレータに期待される電池の事故発生時に溶融、無孔化し、正極と負極を絶縁するという効果(シャットダウン)は必須ではない。
アニオン又はカチオンを吸着可能な化合物、いわゆる導電性化合物をセパレータの構成材料に採用するという試みは一見電池の安全性を悪化させると思われがちであるが、電池に釘を刺す試験においても従来のセパレータと同等以上の安全性を確保しつつ、負荷特性を向上させることを発明者は見つけ出した。
本発明のセパレータにおけるA膜について説明する。
本発明のA膜に含まれるアニオン又はカチオンを吸着可能な化合物としては、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリベンゾチアゾール、ポリフェニレン及びその骨格を持つ誘導体などアニオンやカチオンを吸着できればいずれでも良く、一方で活性炭、カーボンなども吸着材料に挙げられる。
【0011】
本発明のA膜において、アニオン又はカチオンを吸着可能な化合物以外の組成として、分散剤、可塑剤、微粒子等を本発明の目的を損なわない範囲で含むことができ、当該化合物の溶解度が低い場合には微粒子を加えて、分散・スラリー状態にして用いることもできる。
【0012】
本発明のA膜の厚みについては特に制約はなく、また孔径についても特に制約はないが、使用する活物質の大きさを超えないことが好ましい。
【0013】
次に、本発明のセパレータにおけるB膜について説明する。
B膜は多孔質構造を持った膜で電解液の保持機能があれば特に制約はない。たとえば、ガラス、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリアミド、アラミド、ポリプロピレン、PTFE、フッ素ゴムなどの一種類以上の材質からなる不織布や織布、発泡体、多孔質膜が上げられる。
【0014】
本発明のB膜の厚みについては特に制約はなく、また、孔径についても特に制約はない。
【0015】
上記したA膜とB膜からなる本発明のセパレータにおいてB膜の収縮率が、本発明のセパレータの収縮より大きいことが好ましい。
【0016】
上記したA膜とB膜からなる本発明のセパレータにおいて、A膜とB膜は積層されてセパレータを構成する。A膜とB膜以外の、例えば、接着膜、保護膜等の多孔膜が本発明の目的を損なわない範囲で本発明のセパレータに含まれていてもよい。
【0017】
次に、本発明のセパレータの製造方法について説明する。
本発明の非水二次電池用セパレータはアニオン又はカチオンを吸着可能な化合物と媒体とを含む液をポリオレフィンの多孔膜に塗布し乾燥等により媒体を除去して製造することにより得られる。また、この時塗布する液に微粒子を加えて塗布しても良い。なお、多孔膜については上記記載の特性を有する市販品を用いることができる。
【0018】
本発明の製造方法における微粒子としては、充填剤と一般的に呼ばれる無機又は有機の微粒子が用いられる。
有機微粒子としてはアクリロニトリル、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル等のα,β−不飽和化合物を単独あるいは2種類以上の共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレン−エチレン共重合体等のフッ素系樹脂、メラミン樹脂、アラミド樹脂ポリエチレンポリプロピレン等の有機物からなる微粒子が挙げられる。
無機微粒子としては、炭酸カルシウム、シリカ、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、マイカ、ゼオライト、ガラス、そしてオリビン酸金属誘導体のリチウム塩などの金属酸化物のリチウム塩等が挙げられる。
2種類以上の微粒子や異なる粒度分布を持つ同種の微粒子を混合して用いてもよい。
微粒子としては、これらの中でもアルミナ(ベーマイトを含む)が好ましい。
微粒子の平均粒径は、活物質の平均2次粒径よりも小さいことが好ましい。
【0019】
本発明の製造方法において、アニオン又はカチオンを吸着可能な化合物と媒体を含む液をB膜に塗布すると媒体乾燥後は薄膜になり、アニオン又はカチオンを吸着可能な化合物と微粒子と媒体を含む液をB膜又はその他の支持体に塗布し媒体を乾燥すると多孔膜となる現象が確認できている。
【0020】
本発明の製造方法における塗布液としては、例えば、媒体中にアニオン又はカチオンを吸着可能な化合物を溶解又は膨潤させアニオン又はカチオンを吸着可能な化合物100重量部に対し微粒子を0〜800重量部で調整すればよい。
【0021】
塗布液を支持体又はB膜に塗布する方法は、コーター(ドクターブレードともいう。)による塗布、刷毛塗りによる塗布、ディップと呼ばれる手法など工業的に通常行われる方法により行うことができる。A膜の厚さは塗布膜の厚み、水溶性ポリマーの塗布液中の濃度、微粒子の水溶性ポリマーに対する比を調節することによって制御することができる。なお、支持体としては、樹脂又は金属製のフィルム、ドラム等を用いるなど通常行われる方法でできる。
【0022】
次に、本発明の非水電解液二次電池について説明する。
本発明の電池は、本発明の非水電解液二次電池用セパレータを含むことを特徴とする。
以下に、本発明の電池がリチウム電池などの非水電解液二次電池の場合を例として、非水電解液二次電池用セパレータ以外の構成要素について説明するが、これらに限定されるものではない。
【0023】
非水電解質としては、非水溶媒に電解質塩を溶解させたものを用いることができる。
【0024】
非水溶媒としては、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、ニトリル類、アミド類等及びこれらの組み合わせからなるものが挙げられる。
【0025】
環状炭酸エステルとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられ、これらの水素基の一部又は全部がフッ素化されているものも用いることが可能で、例えば、トリフルオロプロピレンカーボネート、フルオロエチルカーボネート等が挙げられる。
【0026】
鎖状炭酸ステルとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート等が挙げられ、これらの水素基の一部又は全部がフッ素化されているものも用いることが可能である。
【0027】
エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。環状エーテル類としては、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
【0028】
鎖状エーテル類としては、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、t−ブチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
【0029】
ニトリル類としては、アセトニトリル等が挙げられ、アミド類としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0030】
上記の非水溶媒のうち、特に電圧安定性の点からは、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート等の環状炭酸エステル、γ−ブチロラクトン及びジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル類を使用することが好ましい。
【0031】
電解質塩としては、LiPF
6、LiAsF
6、LiBF
4、LiCF
3SO
3、LiN(ClF
2l+1SO
2)(C
mF
2m+1SO
2)(l、mは1以上の整数)、あるいはジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムなどがあげられる。なお、上記電解質塩のうち1種を用いても良く、あるいは2種以上を組み合わせても良い。
【0032】
固体電解質としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンと六フッ化プロピレン共重合体、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸メチル等をポリマーマトリックスとし、前記の電解質塩に溶解した複合体又はゲル架橋体が挙げられる。
【0033】
正極シートは、通常、正極活物質、導電材及び結着剤を含む合剤を集電体上に担持したものを用いる。
具体的には、リチウムイオンを吸蔵放出可能な材料を含み、導電材として炭素質材料を含み、結着剤として熱可塑性樹脂などを含むものを用いることができる。
リチウムイオンを吸蔵放出可能な材料としては、V、Mn、Fe、Co、Niなどの遷移金属を少なくとも1種含むリチウム複合酸化物が挙げられる。
好ましくは、α−NaFeO
2型構造を有するリチウム複合酸化物やリチウムマンガンスピネルやオリビン酸鉄リチウムなどのスピネル型構造を有するリチウム複合酸化物が挙げられる。リチウム複合酸化物は、種々の金属元素を含んでもよく、特にTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Mg、Al、Ga、In、Zr、Sr及びSnからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属元素を含むことも可能である。
【0034】
結着剤としては、ポリビニリデンフロライド、ビニリデンフロライドの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフロロプロピレンの共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレンの共重合体、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレンの共重合体、熱可塑性ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂及びカルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。
【0035】
該導電剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどの炭素質材料が挙げられる。
導電剤として、それぞれ単独で用いてもよいし、例えば人造黒鉛とカーボンブラックとを混合して用いてもよい。
【0036】
負極シートとしては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、有機高分子化合物焼成体などの炭素質材料、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープ・脱ドープを行う酸化物、硫化物等のカルコゲン化合物が挙げられる。
炭素質材料として、天然黒鉛、人造黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料を主成分とすると良く、一方でリチウムチタンオキサイドなどの金属酸化物のリチウム塩を用いることもできる。また、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な材料、リチウム金属又はリチウム合金などを用いることができる。
【0037】
なお、本発明の電池の形状は、特に限定されるものではなく、ラミネート包装型、コイン型、円筒型、角形などのいずれであってもよく、内部構造はスタックや捲回転など種類は問わない。
【0038】
本発明の非水電解液二次電池用セパレータを用いて非水系二次電池を製造すると、高い容量特性を有し、高い保存安定性を示す。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
電解液の調整
電解液には1MLiPF
6−EC(エチレンカーボネート)−DMC(ジメチルカーボネート)(EC:DMCは体積比で1:2)を使用した。
【0040】
コバルト正極の調整
コバルト酸リチウム(C10)を95.3重量部、KS−4を0.88重量部、アセチレンブラックを1.32重量部とアルミナボールをPE製の容器に入れ、ボールミルで混合した。この混合紛体1462.5gを5Lプラネタリーミキサーの容器に入れ、混合紛体に対しポリフッ化ビニリデン溶液(クレハ化学製KFポリマー#1120)234.4gを追加し、5分間予備混合を行なった後、さらに30分固練りをした。固形分濃度が75%になるように粘度調整のためのNMPを加え、粘度調整し30分混練した後に目開き0.5mmのフィルターで加圧濾過を行なってインクを調整した。このインクを使いドクターブレードを用いて20μmのアルミ集電体に目標塗布量220g/m
2になるように塗布した後140℃の乾燥器で12時間以上乾燥させた。ロールプレスの後に電極として供与した。
【0041】
カーボン被覆LiFePO
4正極の調整
目標塗布量が370g/m
2になるように塗布した以外は上記同様である。
【0042】
LiMnPO
4(カーボンコート品)正極の調整
目標塗布量が270g/m
2になるように塗布した以外は上記同様である。
【0043】
負極の調整
グラファイト(MAGD−20)を686g、濾過したCMC1%水溶液を455g5Lのプラネタリーミキサーに入れ予備混合の後30分間固練りを行ない、その後CMC1%水溶液を245g加え混練した。
固形分濃度が45%になるように粘度調整のための水を加え撹拌した。SBRの40%水分散液を17.5g加え、さらに撹拌し目開き0.5mmのフィルターで加圧濾過を行なった。
ドクターブレードを用いて10μmの銅集電体に目標塗布量105g/m
2になるように塗布した。
【0044】
B膜(多孔膜シートの作成1)
重量平均分子量が3.0×10
5の高密度ポリエチレン(HDPE)25重量%と流動パラフィン70重量部を200℃に加熱し押し出し機のT台から190℃で押し出してゲル状シートを得た。これを115℃でMD方向に5.4倍、その後TD方向に6倍で延伸を行い、延伸膜を得た。得られた延伸膜を20cm×20cmのアルミニウム製の枠に固定し、25℃に温調された塩化メチレンに浸漬し、3分間揺動しながら洗浄した。得られた膜を室温で風乾した後、アルミニウム製の枠に固定した状態で、122℃で10分間熱固定処理を行い、微多孔膜シート1を作製した。
延伸膜の厚さは12μm、ポロシティー31%、突刺強度485g、105℃におけるMD収縮は2.0%、TD収縮は4.1%、ガーレは400秒/100mlであった。
【0045】
B膜(多孔質シートの作成2)
重量平均分子量が3.0×10
5の高密度ポリエチレン(HDPE)30重量%と流動パラフィン70重量部を200℃に加熱し押し出し機のT台から190℃で押し出してゲル状シートを得た。これを115℃でMD方向に6.7倍、その後TD方向に6倍で延伸を行い、延伸膜を得た。
得られた延伸膜を20cm×20cmのアルミニウム製の枠に固定し、25℃に温調された塩化メチレンに浸漬し、3分間揺動しながら洗浄した。得られた膜を室温で風乾した後、アルミニウム製の枠に固定した状態で、122℃で10分間熱固定処理を行い、微多孔膜シート2を作製した。
延伸膜の厚さは13.8μm、ポロシティー43%、突刺強度497g、105℃におけるMD収縮は2.0%、TD収縮は10.2%、ガーレは178秒/100mlであった。
【0046】
塗布用スラリー溶液の調製
乳鉢にポリアニリン9gを加え、これに641gのNMPを徐々に加えて練りながら溶解した。
これをセパラブルフラスコに移し撹拌しながら平均粒径0.5μmのアルミナ粒子45gを投入し、ポリフッ化ビニリデンのNMP溶液(呉羽化学株式会社製「ポリフッ化ビニリデン#9305」、固形分濃度5質量%)50gを入れて撹拌を行った。
【0047】
塗布セパレータ1(A膜B膜積層)
ドクターブレード上にA4サイズにカットしたPE製の多孔質シート1を置き、上記の塗布用スラリー溶液クリアランス20μm塗布速度10mm/秒として塗布した。
これを、ホットドライヤーを使用して粗乾燥し、80℃のオーブンで放置した。この作業を3回繰り返した。
出来上がった積層セパレータの厚さは16.0μm、突刺強度577g、105℃におけるMD収縮は1.2%、TD収縮は2.8%、ガーレは490であった。
【0048】
塗布セパレータ2(A膜B膜積層)
上記塗布用スラリーをポリピロールにし、少し懸濁溶液になったこと以外は同様である。
出来上がった積層セパレータの厚さは16.2μm、突刺強度654g、105℃におけるMD収縮は1.0%、TD収縮は2.8%、ガーレは482秒/100mlであった。
【0049】
塗布セパレータ3(A膜B膜積層)
塗布セパレータ1の、多孔質シートを2にした以外は同様である。
出来上がった積層セパレータの厚さは19.2μm、突刺強度639g、105℃におけるMD収縮は1.2%、TD収縮は2.9%、ガーレは266秒/100mlであった。
【0050】
塗布セパレータ4(A膜B膜積層)
塗布セパレータ2の、多孔質シートを2にした以外は同様である。
出来上がった積層セパレータの厚さは18.8μm、突刺強度606g、105℃におけるMD収縮は1.2%、TD収縮は2.9%、ガーレは273秒/100mlであった。
【0051】
塗布セパレータ5(A膜B膜積層)
塗布用スラリーを活性炭にしたこと以外は同様である。
延伸膜の厚さは18μm、ポロシティー28%、突刺強度560g、105℃におけるMD収縮は1.2%、TD収縮は5.5%、ガーレは473秒/100mlであった。
【0052】
実施例1〜5
上記で調整したコバルト正極板は、活物質塗装面積領域が3cm×4cmで切り取り、また上記で調整した負極は活物質塗装面積領域が3.2cm×4.2cmで切り取り、未塗装部にニッケルタブを取り付けたのち、セパレータの有機物塗布面が正極側に来るように正極・セパレータ・負極となるように重ね、ラミネート外装に包み上記電解液を0.2cc加えて5分間放置した後減圧しつつラミネート包装をシールすることで電池を完成させた。セパレータは塗布セパレータ1〜4を各々使用した。充放電は活物質gあたり0.1Aの定電流で行い、充電終止電圧を4.2V、放電終止電圧を2.5Vとした。その際の放電容量を表1に示した。また、充電終止電圧にて1時間保持した後、45℃にて72時間放置した時の電圧も表1に示した。
ただし、gあたり放電容量は、活物質1の重量をとった。
【0053】
比較例1,2
セパレータを上記多孔質膜1又は2にした以外は実施例1と同様に電池を作成し、同様に放電容量と電圧維持率を表1に示した。
【0054】
【表1】
【0055】
実施例6〜10
コバルト電極の代わりにカーボン被覆LiFePO
4正極を使用した以外は実施例1と同様である。その際の放電容量を表2に示した。
【0056】
比較例3,4
セパレータを上記多孔質膜1又は2にした以外は実施例6と同様に電池を作成し、同様に放電容量と電圧維持率を表2に示した。
【0057】
【表2】
【0058】
導電性高分子の共存により、導電性高分子が陰イオンを吸蔵し、電子を放出するために、電子を受け取った活物質がLiイオンを吸蔵可能となり、容量が上昇した。
ポリアニリンの充放電電位は3Vで、しかも電位は容量増加とともに直線上に減少する、いわゆるキャパシタ類似の電圧曲線を示すのに対し、本電池の電圧は3.4Vで平坦であり、ポリアニリンからの寄与による容量は認められなかった。
【0059】
実施例11〜15
コバルト電極の代わりにLiMnPO
4正極を使用した。充電終止電圧を4.4V、放電終止電圧を2.7Vとした。その際の放電容量を表3に示した。また充電終止電圧にて1時間保持した後、45℃にて72時間放置した時の電圧も表3に示した。
【0060】
比較例5,6
セパレータを上記多孔質膜1又は2にした以外は実施例11と同様に電池を作成し、同様に放電容量と電圧維持率を表2に示した。
【0061】
【表3】