特許第6004443号(P6004443)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6004443複数の向きにできる減圧式液体収集キャニスター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6004443
(24)【登録日】2016年9月16日
(45)【発行日】2016年10月5日
(54)【発明の名称】複数の向きにできる減圧式液体収集キャニスター
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20160923BHJP
   A61M 1/00 20060101ALI20160923BHJP
【FI】
   A61M27/00
   A61M1/00 100
【請求項の数】49
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-524936(P2013-524936)
(86)(22)【出願日】2011年8月16日
(65)【公表番号】特表2013-538604(P2013-538604A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】US2011047973
(87)【国際公開番号】WO2012024327
(87)【国際公開日】20120223
【審査請求日】2014年8月14日
(31)【優先権主張番号】61/374,995
(32)【優先日】2010年8月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508268713
【氏名又は名称】ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ロック,クリストファー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ラックメイヤー,ジェイムズ
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0292263(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/149250(WO,A1)
【文献】 特表2003−520072(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/027540(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0167482(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0221990(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00,27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織部位に減圧治療を施す減圧治療システムにおいて、
減圧源と;
液体収集キャニスターであって:
前記組織部位からの液体を収集するように構成された第1の空間を画成するキャニスターハウジング;
前記減圧源と前記第1の空間との間の流体連通を可能にするように構成されたキャニスター出口;
前記キャニスター出口に隣接して配置され、前記キャニスター出口を通って前記第1の空間から前記液体が出ることを防止する気液分離装置;
前記気液分離装置に接続され、かつ前記気液分離装置から離れて前記第1の空間に延在する細長い部材であって、前記細長い部材が、第2の空間を画成する壁を有し、前記壁の少なくとも一部分が、前記第1の空間と前記第2の空間との間の気体連通を可能にする、細長い部材;および
前記第2の空間に配置されて、前記第2の空間が減圧に曝されるときに前記第2の空間への前記壁のつぶれを小さくするバイアス部材
を含む液体収集キャニスターと
を含み、前記細長い部材および前記バイアス部材が、前記キャニスターハウジング内で異なる形状または配置に適合可能(conformable)であることを特徴とする、システム。
【請求項2】
請求項1に記載の減圧治療システムにおいて、前記キャニスターと流体連通しているマニホールドをさらに含むことを特徴とする、システム。
【請求項3】
請求項1に記載の減圧治療システムにおいて、前記細長い部材が前記気液分離装置に対して実質的に垂直であることを特徴とする、システム。
【請求項4】
請求項1に記載の減圧治療システムにおいて、前記バイアス部材が圧縮性材料であることを特徴とする、システム。
【請求項5】
請求項4に記載の減圧治療システムにおいて、前記バイアス部材が不織材料製であることを特徴とする、システム。
【請求項6】
請求項4に記載の減圧治療システムにおいて、前記バイアス部材が織材料製であることを特徴とする、システム。
【請求項7】
請求項4に記載の減圧治療システムにおいて、前記バイアス部材が、気体の流れを多様にするために複数の流路を含むことを特徴とする、システム。
【請求項8】
請求項1に記載の減圧治療システムにおいて、前記壁が発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含むことを特徴とする、システム。
【請求項9】
請求項1に記載の減圧治療システムにおいて、前記細長い部材が前記第1の空間に波状構成で延在することを特徴とする、システム。
【請求項10】
請求項1に記載の減圧治療システムにおいて、前記細長い部材が第1の実質的に平面的な部分と第2の実質的に平面的な部分とを形成するように、前記細長い部材が前記第1の空間に延在することを特徴とする、システム。
【請求項11】
請求項10に記載の減圧治療システムにおいて、前記第1の実質的に平面的な部分が前記第2の実質的に平面的な部分に対して実質的に垂直であることを特徴とする、システム。
【請求項12】
請求項10に記載の減圧治療システムにおいて、前記第1の実質的に平面的な部分が前記第2の実質的に平面的な部分に対して実質的に平行であることを特徴とする、システム。
【請求項13】
請求項10に記載の減圧治療システムにおいて、前記細長い部材が、第3の実質的に平面的な部分を形成するようにさらに位置決めされていることを特徴とする、システム。
【請求項14】
減圧治療が施されている組織部位から液体を収集するための液体収集キャニスターにおいて、
前記組織部位から液体を収集するように構成された第1の空間を画成する少なくとも1つのキャニスター壁と;
減圧源と前記第1の空間との間の連通を可能にするように構成されたキャニスター出口と;
前記キャニスター出口に流体接続され、かつ前記キャニスター出口から離れるように前記第1の空間に延在する細長い部材であって、前記細長い部材は、前記細長い部材の長さの少なくとも一部分に沿って第2の空間を画成する膜を有し、前記膜の少なくとも一部分が、前記第1の空間と前記第2の空間との間の気体連通を可能にする、細長い部材と;
前記第2の空間に配置されたバイアス部材と、を含み、
前記細長い部材および前記バイアス部材が、前記液体収集キャニスター内で異なる形状または配置に適合可能(conformable)であることを特徴とする、液体収集キャニスター。
【請求項15】
請求項14に記載の液体収集キャニスターにおいて、
前記キャニスター出口に隣接して配置され、前記キャニスター出口を通って前記第1の空間から前記液体が出ないようにする実質的に平面的な気液分離装置であって、前記細長い部材が接続されている実質的に平面的な気液分離装置
をさらに含むことを特徴とする、液体収集キャニスター。
【請求項16】
減圧治療が施されている組織部位から液体を収集するための、複数の向きにできる液体収集キャニスターで使用するための装置において、
前記液体収集キャニスターの出口に流体接続されるように構成された細長い部材であって、前記細長い部材は、前記細長い部材の長さの少なくとも一部分に沿って空間を画成する壁を有し、前記壁の少なくとも一部分が、前記壁の少なくとも一部分を通る前記空間との気体連通を可能にするが液体連通を実質的に防ぐ、細長い部材と;
前記空間内に配置され、前記空間が減圧に曝されるときに前記空間への前記壁のつぶれを小さくするバイアス部材とを含み;
前記細長い部材および前記バイアス部材が、前記液体収集キャニスター内で異なる形状または配置に適合可能(conformable)であることを特徴とする、装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置において、前記液体収集キャニスターの前記出口に接続されて前記液体が前記液体収集キャニスターから出ないようにするように構成された実質的に平面的な気液分離装置をさらに含み、前記実質的に平面的な気液分離装置が、前記出口を実質的に覆うように構成されており、および前記細長い部材が、前記実質的に平面的な気液分離装置に接続されていることを特徴とする、装置。
【請求項18】
組織部位に減圧治療を施す減圧治療システムにおいて、
減圧源と;
液体収集キャニスターであって:
前記組織部位から液体を収集するように構成された室;
前記減圧源と流体連通しているキャニスター出口;および
可撓性壁によって少なくとも部分的に画成されている気体連通経路を有する可撓性部材であって、前記可撓性部材は、前記気体連通経路が前記キャニスター出口と流体連通状態となるように前記室内に位置決めされており、前記可撓性壁の少なくとも一部分が気体透過性および実質的に液不透過性である、可撓性部材
を含む液体収集キャニスターと;
前記可撓性部材内に配置され、前記気体連通経路が減圧に曝されるときに前記気体連通経路への前記可撓性壁のつぶれを小さくするバイアス部材とを含み;
前記可撓性部材および前記バイアス部材が、前記液体収集キャニスター内で異なる形状または配置に適合可能(conformable)であることを特徴とする、システム。
【請求項19】
請求項18に記載の減圧治療システムにおいて、前記キャニスター出口に接続されて前記液体収集キャニスターから前記液体が出ないようにするように構成された実質的に平面的な気液分離装置をさらに含み、前記実質的に平面的な気液分離装置が、前記キャニスター出口を実質的に覆うように構成されており、および前記可撓性部材が、前記実質的に平面的な気液分離装置に接続されていることを特徴とする、システム。
【請求項20】
請求項19に記載の減圧治療システムにおいて、前記可撓性部材が前記気液分離装置に対して実質的に垂直であることを特徴とする、システム。
【請求項21】
請求項18に記載の減圧治療システムにおいて、前記バイアス部材が不織材料製であることを特徴とする、システム。
【請求項22】
請求項18に記載の減圧治療システムにおいて、前記バイアス部材が織材料製であることを特徴とする、システム。
【請求項23】
請求項18に記載の減圧治療システムにおいて、前記バイアス部材が、気体の流れを多様にする複数の流路を含むことを特徴とする、システム。
【請求項24】
請求項18に記載の減圧治療システムにおいて、前記壁が発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含むことを特徴とする、システム。
【請求項25】
請求項18に記載の減圧治療システムにおいて、前記可撓性部材が、前記室内に波状構成で位置決めされていることを特徴とする、システム。
【請求項26】
減圧治療が施されている組織部位から液体を収集するための、複数の向きにできる液体収集キャニスターで使用するための装置において、
前記液体収集キャニスターの出口に流体接続されるように構成された可撓性部材であって、前記可撓性部材は、可撓性膜によって少なくとも部分的に画成された気体連通経路を有し、前記気体連通経路は、前記キャニスター出口と流体連通状態となるように位置決めされるように適合されており、前記可撓性膜の少なくとも一部分は、気体透過性および実質的に液不透過性である、可撓性部材と、
前記複数の向きにできる液体収集キャニスターの前記出口に隣接して配置され、前記出口を通って前記液体収集キャニスターの収集室から前記液体が出ないようにするように構成された実質的に平面的な気液分離装置と、
前記気体連通経路内に配置されたバイアス部材とを含み、
前記可撓性部材および前記バイアス部材が、前記液体収集キャニスター内で異なる形状または配置に適合可能(conformable)であることを特徴とする、装置。
【請求項27】
減圧治療が施されている組織部位から液体を収集するための液体収集キャニスターにおいて、
前記組織部位から液体を収集するように構成された室を画成する少なくとも1つのキャニスター壁と;
減圧源と流体連通しているキャニスター出口と;
前記室に位置決めされた導管であって、前記導管が、気体連通ルーメンを形成する導管壁を有し、前記気体連通ルーメンが前記キャニスター出口に流体接続されている、導管と;
前記導管に動作可能に関連付けられ、前記室と前記気体連通ルーメンとの間の気体連通を可能にするが液体連通を実質的に防ぐ気液分離装置と;
前記導管内に配置されたバイアス部材とを含み;
前記導管および前記バイアス部材が、前記液体収集キャニスター内で異なる形状または配置に適合可能(conformable)であることを特徴とする、液体収集キャニスター。
【請求項28】
請求項27に記載の液体収集キャニスターにおいて、前記キャニスター出口と前記導管の前記気体連通ルーメンとの間に配置された実質的に平面的な疎水性フィルタをさらに含むことを特徴とする、液体収集キャニスター。
【請求項29】
減圧治療が施されている組織部位から液体を収集するための、複数の向きにできる液体収集キャニスターで使用するための装置において、
前記液体収集キャニスターの出口に流体接続されるように適合された導管であって、導管壁によって少なくとも部分的に画成された気体連通ルーメンを有する導管と;
前記導管に動作可能に関連付けられ、前記気体連通ルーメンと前記導管周囲の領域との間の気体連通を可能にするが液体連通を実質的に防ぐ気液分離装置と;
前記導管内に配置されたバイアス部材とを含み;
前記導管および前記バイアス部材が、前記液体収集キャニスター内で異なる形状または配置に適合可能(conformable)であることを特徴とする、装置。
【請求項30】
請求項29に記載の装置において、前記液体収集キャニスターの前記出口を覆うように位置決めされるように適合された実質的に平面的な気液分離装置をさらに含み、前記実質的に平面的な気液分離装置は前記導管に接続されていることを特徴とする、装置。
【請求項31】
請求項29に記載の装置において、前記導管壁が少なくとも1つのアパーチャを含み、および前記気液分離装置が、前記少なくとも1つのアパーチャを覆うように位置決めされることを特徴とする、装置。
【請求項32】
数の向きにおいて創傷液を収集できるようにするための、創傷液収集キャニスターの製造方法において、
前記創傷液収集キャニスター内細長い部材を提供するステップであって、前記細長い部材内にはバイアス部材が配置されており、前記細長い部材および前記バイアス部材が、前記創傷液収集キャニスター内で異なる形状または配置に適合可能(conformable)であり、前記細長い部材の少なくとも一部が気体透過性かつ液不透過性である、ステップと、
前記創傷液収集キャニスターの出口に前記細長い部材を流体接続するステップであって、前記細長い部材の少なくとも一部分が前記創傷液収集キャニスターの液体収集領域に延在している、ステップと;
前記細長い部材の内側空間と前記液体収集領域との間の気体交換を可能にするステップと;
前記内側空間と前記液体収集領域との間の液体交換を実質的に防ぐステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法において、前記細長い部材を前記出口に流体接続するステップが:
前記細長い部材を、前記出口を覆う実質的に平面的な気液分離装置に接続するステップ
をさらに含むことを特徴とする、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、前記細長い部材が、前記実質的に平面的な気液分離装置に溶接されていることを特徴とする、方法。
【請求項35】
請求項33に記載の方法において、前記細長い部材が前記実質的に平面的な気液分離装置に接着結合されていることを特徴とする、方法。
【請求項36】
請求項32に記載の方法において、前記バイアス部材は、減圧に曝されるときの前記細長い部材のつぶれを小さくすることを特徴とする、方法。
【請求項37】
組織部位に減圧治療を施す減圧治療システムにおいて、
減圧源と;
液体収集キャニスターであって:
前記組織部位から液体を収集するように構成された第1の空間を画成するキャニスターハウジング;
前記減圧源と前記第1の空間との間の流体連通を可能にするように構成されたキャニスター出口;および
第2の空間を画成する壁を有する仕切り部材であって、前記壁の少なくとも一部分が、前記第1の空間と前記第2の空間との間の気体連通を可能にし、前記仕切り部材の前記第2の空間が、前記キャニスター出口に流体接続されており;前記仕切り部材の幅および深さが、前記キャニスターハウジングの幅および深さに実質的に等しく、前記仕切り部材は、前記キャニスターハウジングの前記第1の空間を第1の室および第2の室に分割するようにし、前記仕切り部材は、前記壁を貫通する少なくとも1つのアパーチャを有して、前記第1の室と前記第2の室との間の流体連通を可能にする、仕切り部材
を含む液体収集キャニスターと;
前記第2の空間に配置されたバイアス部材と、を含み、
前記仕切り部材および前記バイアス部材が、前記キャニスターハウジング内で異なる形状または配置に適合可能(conformable)であることを特徴とする、システム。
【請求項38】
請求項37に記載のシステムにおいて、
前記キャニスター出口に隣接して配置され、前記キャニスター出口を通って前記第1の空間から前記液体が出ることを防止する気液分離装置
をさらに含み、
前記仕切り部材が前記気液分離装置に接続されていることを特徴とする、システム。
【請求項39】
請求項37に記載のシステムにおいて、前記仕切り部材が少なくとも4つの隅を含み、および各隅が前記キャニスターハウジングの壁に接続されていることを特徴とする、システム。
【請求項40】
請求項37に記載のシステムにおいて、前記仕切り部材の前記壁が可撓性であることを特徴とする、システム。
【請求項41】
請求項37に記載のシステムにおいて、前記仕切り部材が実質的に平面的であることを特徴とする、システム。
【請求項42】
減圧治療が施されている組織部位から液体を収集するための液体収集キャニスターにおいて、
前記組織部位から液体を収集するように構成された第1の空間を画成する少なくとも1つのキャニスター壁と;
前記第1の空間内に第2の空間を画成する細長い部材であって、前記第1の空間が、前記第1の空間と前記第2の空間との間の気体の通過は可能にするが液体の通過は防止する壁によって、前記第2の空間から隔離されている、細長い部材と、
前記少なくとも1つのキャニスター壁を貫通して前記第2の空間と流体連通しているキャニスター出口と、
前記第2の空間内に配置され、前記壁のつぶれを小さくするバイアス部材とを含み;
前記細長い部材および前記バイアス部材が、前記第1の空間内で異なる形状または配置に適合可能(conformable)であることを特徴とする、液体収集キャニスター。
【請求項43】
請求項42に記載の液体収集キャニスターにおいて、前記キャニスター出口と前記第1の空間との間に気体連通路をもたらす実質的に平面的な気液分離装置をさらに含むことを特徴とする、液体収集キャニスター。
【請求項44】
請求項42または43に記載の液体収集キャニスターにおいて、前記壁が、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)で形成されていることを特徴とする、液体収集キャニスター。
【請求項45】
請求項42に記載の液体収集キャニスターにおいて、前記バイアス部材が、気体の流れを多様にする複数の流路を含むことを特徴とする、液体収集キャニスター。
【請求項46】
請求項42乃至45の何れか1項に記載の液体収集キャニスターにおいて、前記細長い部材が前記第1の空間に波状構成で延在することを特徴とする、液体収集キャニスター。
【請求項47】
請求項42乃至46の何れか1項に記載の液体収集キャニスターにおいて、前記細長い部材が、縦方向に少なくとも2つの実質的に平面的な部分を形成することを特徴とする、液体収集キャニスター。
【請求項48】
請求項42乃至47の何れか1項に記載の液体収集キャニスターにおいて、前記キャニスターがどの向きにあっても、前記キャニスターが実質的に満たされるまで、前記細長い部材が、前記第1の空間から前記キャニスター出口までの気体連通経路を確実に存在させるように構成されていることを特徴とする、液体収集キャニスター。
【請求項49】
組織部位に減圧治療を施す減圧治療システムにおいて、
減圧源と;請求項42乃至48の何れか1項に記載の液体収集キャニスターとを含み、前記減圧源が、前記キャニスター出口に減圧をもたらすように構成されていることを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年8月18日出願の米国仮特許出願第61/374,995号(参照により本書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
本発明は、概して減圧治療システムに関し、より詳細には、複数の向きでのキャニスターの動作を可能にするフィルタを有する、減圧式液体収集キャニスターに関する。
【背景技術】
【0003】
臨床試験および実習から、組織部位に近接して減圧をもたらすことによって、組織部位における新しい組織の成長を増強および加速することが示されている。この現象の適用は多数あるが、減圧を行うことの1つには、創傷の治療を含む。この治療(医学界では「陰圧閉鎖療法」、「減圧療法」、または「真空療法」と呼ばれることが多い)はいくつもの利点を提供し、それら利点には、上皮組織および皮下組織の細胞移動、血流の改善、および創傷部位における組織の微小変形が含まれる。これらの利点と共に、肉芽組織の発生加速化や治癒時間の短縮がもたらされる。一般に、減圧は、減圧源によって、多孔質パッドや他のマニホールド装置を通して組織に行われる。多くの場合、創傷滲出液および組織部位からの他の液体はキャニスター内に収集され、液体が減圧源に到達しないようにする。
【発明の概要】
【0004】
既存の減圧システムおよび液体収集キャニスターによって提示される問題は、本明細書で説明する説明に役立つ実施形態のシステムおよび方法によって解決される。組織部位に減圧治療を施す減圧治療システムは、減圧源と、液体収集キャニスターと、組織部位に位置決めされ、かつ液体収集キャニスターと流体連通している、すなわち流体のやり取りを行う関係にあるマニホールドとを含む。一実施形態では、液体収集キャニスターは、組織部位から液体を収集するように構成された第1の空間を画成する少なくとも1つのキャニスター壁を含む。キャニスター出口が、減圧源と第1の空間との間の連通、すなわちやり取りを可能にするように構成されている。実質的に平面的な気液分離装置がキャニスター出口に隣接して配置され、キャニスター出口を通って第1の空間から液体が出ないようにする。気液分離装置に細長い部材が接続され、かつ気液分離装置から離れて第1の空間に延在している。細長い部材は、細長い部材の長さの少なくとも一部分に沿って第2の空間を画成する膜を有し、および膜の少なくとも一部分が、第1の空間と第2の空間との間の気体連通、すなわち気体のやり取りを可能にする。
【0005】
別の実施形態では、組織部位から液体を収集するための、複数の向きにできる液体収集キャニスターにおいて使用するための装置が提供される。この装置は、液体収集キャニスターの出口と流体接続するように構成された細長い部材を含む。細長い部材は、細長い部材の長さの少なくとも一部分に沿って空間を画成する膜を有し、および膜の少なくとも一部分は、膜の少なくとも一部分を通る気体連通を可能にするが液体連通を実質的に防ぐ。
【0006】
さらに別の実施形態では、組織部位に減圧治療を施す減圧治療システムが提供される。このシステムは、減圧源と、液体収集キャニスターと、組織部位に位置決めされ、かつ液体収集キャニスターと流体連通しているマニホールドとを含む。液体収集キャニスターは、組織部位から液体を収集するように構成された室を含む。キャニスター出口が、減圧源と流体連通している。液体収集キャニスターは、可撓性膜によって少なくとも部分的に画成された気体連通経路を有する可撓性部材をさらに含む。可撓性部材は、気体連通経路がキャニスター出口と流体連通状態にありかつ可撓性膜の少なくとも一部分が気体透過性および実質的に液不透過性であるように、室に位置決めされる。
【0007】
さらに別の実施形態では、組織部位から液体を収集するための液体収集キャニスターが提供される。液体収集キャニスターは、組織部位から液体を収集するように構成された室を含む。キャニスター出口が、減圧源と流体連通している。液体収集キャニスターは、可撓性膜によって少なくとも部分的に画成された気体連通経路を有する可撓性部材をさらに含む。可撓性部材は、気体連通経路がキャニスター出口と流体連通状態にありかつ可撓性膜の少なくとも一部分が気体透過性および実質的に液不透過性であるように、室に位置決めされる。
【0008】
別の実施形態では、減圧治療が施されている組織部位から液体を収集するための、複数の向きにできる液体収集キャニスターにおいて使用するための装置が提供される。この装置は、液体収集キャニスターの出口と流体接続するように構成された可撓性部材を含む。可撓性部材は、可撓性膜によって少なくとも部分的に画成された気体連通経路を有する。気体連通経路は、キャニスター出口と流体連通状態とるように位置決めされるように適合され、かつ可撓性膜の少なくとも一部分は気体透過性および実質的に液不透過性である。
【0009】
さらに別の実施形態では、組織部位に減圧治療を施す減圧治療システムが提供される。このシステムは、減圧源と、液体収集キャニスターと、組織部位に位置決めされ、かつ液体収集キャニスターと流体連通しているマニホールドとを含む。液体収集キャニスターは、組織部位から液体を収集するように構成された室を画成する少なくとも1つのキャニスター壁を含む。キャニスター出口が減圧源と流体連通している。導管が室に位置決めされる。導管は、気体連通ルーメンを形成する導管壁を有する。気体連通ルーメンは、キャニスター出口に流体接続されている。気液分離装置が導管に動作可能に関連付けられ、室と気体連通ルーメンとの間の気体連通を可能にするが、液体連通を実質的に防ぐ。
【0010】
さらに別の実施形態では、減圧治療が施されている組織部位から液体を収集するための、複数の向きにできる液体収集キャニスターにおいて使用するための装置が提供される。この装置は、液体収集キャニスターの出口に流体接続するように適合された導管を含む。導管は、導管壁によって少なくとも部分的に画成された気体連通ルーメンを有する。気液分離装置が導管と動作可能に関連付けられ、気体連通ルーメンと導管周囲の領域との間の気体連通を可能にするが、液体連通を実質的に防ぐ。
【0011】
さらに別の実施形態では、創傷液収集キャニスターの複数の向きにおいて創傷液の収集を可能にするための、創傷液収集キャニスターの改造方法が提供される。この方法は、創傷液収集キャニスターの出口に細長い部材を流体接続するステップを含む。細長い部材の少なくとも一部分は、創傷液収集キャニスターの液体収集領域に延在する。この方法は、細長い部材の内側空間と液体収集領域との間の気体交換を可能にするステップと;内側空間と液体収集領域との間の液体交換を実質的に防ぐステップとをさらに含む。
【0012】
説明に役立つ実施形態の他の目的、特徴および利点が、以下の図面および詳細な説明を参照することにより、明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、説明に役立つ実施形態による減圧治療ユニットと複数の向きにできる液体収集キャニスターとを有する減圧治療システムの斜視図を示す。
図2図2は、説明に役立つ実施形態による、図1の液体収集キャニスター、および液体収集キャニスターに関連付けられたフィルタ素子の分解斜視図を示す。
図3図3は、図2の液体収集キャニスターのベース部に接続されたフィルタ素子の斜視図を示す。
図4A図4Aは、線4−4に沿って取った図3のフィルタ素子の断面図を示す。
図4B図4Bは、図4Aの断面図に似た、説明に役立つ実施形態によるフィルタ素子の断面図を示す。
図5A図5Aは、説明に役立つ実施形態による、図2の液体収集キャニスター内に位置決めされたフィルタ素子のある構成を示す。
図5B図5Bは、説明に役立つ実施形態による、図2の液体収集キャニスター内に位置決めされたフィルタ素子の別のある構成を示す。
図5C図5Cは、説明に役立つ実施形態による、図2の液体収集キャニスター内に位置決めされたフィルタ素子の別のある構成を示す。
図5D図5Dは、説明に役立つ実施形態による、図2の液体収集キャニスター内に位置決めされたフィルタ素子の別のある構成を示す。
図6A図6Aは、図5Bに示すフィルタ構成を有する液体収集キャニスターのある向きを示す。
図6B図6Bは、図5Bに示すフィルタ構成を有する液体収集キャニスターの別のある向きを示す。
図6C図6Cは、図5Bに示すフィルタ構成を有する液体収集キャニスターの別のある向きを示す。
図7図7は、説明に役立つ実施形態による、フィルタ素子を接続するためのバーブコネクタを有する液体収集キャニスターを示す。
図8図8は、説明に役立つ実施形態による、図7のフィルタ素子およびバーブコネクタの側面の断面図を示す。
図9図9は、説明に役立つ実施形態による液体収集キャニスターの分解斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下のいくつかの説明に役立つ実施形態の詳細な説明では、その一部をなし、かつ本発明を実施し得る特定の好ましい実施形態の例として示す添付図面を参照する。これらの実施形態を、当業者が本発明を実施できるのに十分な程度、詳細に説明し、および、本発明の趣旨または範囲から逸脱せずに、他の実施形態を使用し得ること、および論理的な構造的、機械的、電気的および化学的な変更がなされ得ることが理解される。当業者が、本明細書で説明する実施形態を実施できるようにするのに必要ではない詳細を避けるために、当業者に公知の特定の情報を省略して説明し得る。それゆえ、以下の詳細な説明は、限定ととられるべきではなく、説明に役立つ実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0015】
本明細書では、用語「減圧」は、一般的に、治療が施されている組織部位における周囲圧力に満たない圧力を指す。ほとんどの場合、この減圧は、患者がいる場所の気圧に満たない。あるいは、減圧は、組織部位における組織に関連付けられる静水圧未満とし得る。用語「真空」および「負圧」を使用して、組織部位に加えられる圧力を説明してもよいが、組織部位に加えられる実際の圧力の低下は、通常完全な真空に関連する圧力低下には遥かに満たないとし得る。減圧は、初めに、組織部位領域に流体の流れを生成し得る。組織部位周囲の静水圧が所望の減圧に達すると、流れは弱まることがあり、そのため、減圧が維持される。他に指定のない限り、本明細書で挙げられた圧力の値はゲージ圧である。同様に、減圧の上昇は一般に絶対圧の減少を指す一方、減圧の低下は一般に絶対圧の増大を指す。
【0016】
本明細書では、用語「組織部位」は、骨組織、脂肪組織、筋組織、神経組織、皮膚組織、脈管組織、結合組織、軟骨、腱、または靭帯を含むがこれらに限定されない任意の組織上にまたは組織内にある創傷または欠損を指す。用語「組織部位」は、さらに、必ずしも創傷または欠損ではない任意の組織部位であるが、代わりに追加的な組織の成長を加速または促進することが望ましい部位を指してもよい。例えば、いくつかの組織部位に減圧組織治療を使用して追加的な組織を成長させ、その組織を採取して別の組織の場所に移植してもよい。
【0017】
図1を参照すると、説明に役立つ実施形態による、患者の組織部位101に減圧を行うための減圧治療システム100が、減圧源108と流体連通しているキャニスター102と、組織部位101に位置決めされている減圧ドレッシング112とを含む。減圧ドレッシング112は、導管120によってキャニスター102の入口103に流体接続されている。導管120は、チューブ用アダプタ124を通して減圧ドレッシング112と流体連通状態となり得る。
【0018】
本明細書で説明する少なくとも1つの実施形態では、滲出液や組織部位101からの他の流体を収集するために使用されるキャニスター102は、キャニスター102が液体で満たされ始めても複数の向きで動作できるように構成されている。キャニスター102は、好ましくは保護された気体連通経路、すなわち乾燥した空間を含み、それにより、滲出液や他の液体が液体収集室104内に集まるときにキャニスター102の液体収集室104との継続的な気体連通を可能にする。減圧治療システム100の流体連通の経路は以下の通りである。減圧源108によってキャニスター102の気体連通経路が減圧にされる。一般にこれは、減圧源108が空気などのガス状流体を気体連通経路から引き出すことによって発生する。気体連通経路内の圧力が低下すると、気体がキャニスター102の液体収集室104から気体連通経路へ流れるので、液体収集室104内の圧力の低下が生じる。液体は、疎水性要素、疎油性要素、またはいくつかの他のタイプの遮液膜、気液分離装置、または他の装置によって気体連通経路に流れないようにされる。液体収集室104の減圧は、組織部位101のドレッシング112に伝達され、それにより、流体(気体および液体の双方)が組織部位101から液体収集室104に流れるのを可能にする。液体は液体収集室104内に集まる。一部の実施形態では、液体収集室104と気体連通経路との間に複数の流体連通ポートがあることによって、液体収集室104が液体で満たされてこれらの連通ポートのいくつかを遮断しても、液体収集室104と気体連通経路との間の継続的な気体連通が可能となる。この構成により、液体収集キャニスターがほとんど完全に液体で満たされるまで減圧を液体収集室104に継続的に供給することができる。複数のポートの代わりとして、大型の共通ポートを設けて、キャニスター102が満たされるとそのポートの一部分のみを液体によって覆うかまたは遮断できるようにしてもよい。
【0019】
図1に示す実施形態では、減圧源108は電動式真空ポンプである。別の実装例では、減圧源108は、その代わりに、電力を必要としない、手動によって作動されるまたは手動によって充電されるポンプとし得る。その代わりに減圧源108は、任意の他のタイプの減圧ポンプ、または病院および他の医療施設で利用できるもののような壁面吸い込みポートとし得る。減圧源108は、減圧治療ユニット140内に収容しても、またはそれと一緒に使用されてもよく、減圧治療ユニットも、組織部位101に減圧治療を施すのをさらに容易にするセンサ、処理装置、アラームインジケータ、メモリ、データベース、ソフトウェア、表示装置、およびユーザインターフェース110を含み得る。一例では、センサまたはスイッチ(図示せず)が減圧源108にまたはその付近に配置されて、減圧源108によって生成された減圧源の圧力を判断し得る。センサは、減圧源108によって供給される減圧を監視して制御する処理装置と通信し得る。
【0020】
減圧ドレッシング112は、組織部位101に位置決めされるように適合された分配マニホールド144と、分配マニホールド144を覆って位置決めされて、組織部位101においてカバー148の下側に減圧を維持するカバー148またはドレープとを含む。カバー148は、組織部位101の周囲を越えて延在してもよく、かつカバー148に接着剤または結合剤を含んで、カバー148を、組織部位101に隣接する組織に固定し得る。一実施形態では、カバー148上に配置された接着剤を使用して、組織とカバー148との間をシールし、組織部位101から減圧が漏れないようにし得る。別の実施形態では、例えば、ヒドロゲルまたは他の材料などのシール層(図示せず)をカバー148と組織との間に配置して、接着剤のシール性を増強しても、またはその代わりとしてもよい。
【0021】
減圧ドレッシング112の分配マニホールド144は、組織部位101に接触するように適合されている。分配マニホールド144は、減圧ドレッシング112によって治療中の組織部位101と部分的にまたは完全に接触し得る。組織部位101が創傷であるとき、分配マニホールド144は部分的にまたは完全に創傷を満たし得る。
【0022】
分配マニホールド144は、様々な要因、例えば実施されている治療の種類、または組織部位101の性質およびサイズに依存して、任意のサイズ、形状、または厚さとし得る。例えば、分配マニホールド144のサイズおよび形状は、組織部位101の特定の部分を覆うために、または組織部位101を埋めるもしくは部分的に埋めるために、使用者によってカスタマイズされてもよい。分配マニホールド144は、例えば、正方形を有してもよいし、または円形、卵形、多角形、不規則な形状、または任意の他の形状に付形されてもよい。
【0023】
説明に役立つ一実施形態では、分配マニホールド144は、分配マニホールド144が組織部位101と接触しているかまたはその付近にあるときに、組織部位101に減圧を分配する発泡材料である。発泡材料は、疎水性としてもまたは親水性としてもよい。非限定的な一例では、分配マニホールド144は、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio、Texas)から入手可能なGranuFoam(登録商標)ドレッシングなどの開放セルの網状ポリウレタン発泡体である。
【0024】
分配マニホールド144が親水性材料から作製される例では、分配マニホールド144はまた、マニホールドとして組織部位101に減圧を与え続ける間に、組織部位101から流体を吸い上げるように機能する。分配マニホールド144のウィッキング特性は、毛管流または他のウィッキング機構によって組織部位101から流体を引き離す。親水性発泡体の例は、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio、Texas)から入手可能なV.A.C.WhiteFoam(登録商標)ドレッシングなどのポリビニル・アルコールの開放セル発泡体である。他の親水性発泡体は、ポリエーテルから作製されたものを含み得る。親水性を示し得る他の発泡体は、親水性をもたらすために処理を施された(プラズマ処理を含む)または被覆された疎水性発泡体を含む。さらに別の実施形態では、分配マニホールド144は、Libeltex Group製のLibeltex(商標)TDL2などの不織材料とし得る。
【0025】
分配マニホールド144は、減圧ドレッシング112によって減圧が行われるときに、組織部位101における肉芽形成をさらに促進し得る。例えば、分配マニホールド144の表面のいずれかまたは全てが、一様でない、粗い、またはぎざぎざのあるプロファイルを有し、それにより、分配マニホールド144によって減圧が行われるときに組織部位101に微小歪みおよび応力を生じ得る。これらの微小歪みおよび応力は、新しい組織の増殖を促進することが分かっている。
【0026】
一実施形態では、分配マニホールド144は、減圧ドレッシング112の使用後に患者の体から取り出す必要のない生体再吸収性(bioresorbable)材料から構成され得る。好適な生体再吸収性材料は、限定するものではないが、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)とのポリマーブレンドを含み得る。ポリマーブレンドはまた、限定するものではないが、ポリカーボネート、ポリフマレート、およびカプララクトンを含み得る。分配マニホールド144は、新しい細胞の増殖のための足場としての機能をさらに果たしてもよいし、または細胞増殖を促進するために分配マニホールド144と足場材料が一緒に使用されてもよい。足場は、細胞増殖や組織形成を増進させるまたは促進するのに使用される物体または構造であり、例えば、細胞増殖のテンプレートを提供する三次元の多孔質構造である。足場材料の説明に役立つ例は、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コーラルヒドロキシアパタイト(coral hydroxy apatite)、カーボネート、または加工された同種移植片材料を含む。
【0027】
図1および図2を参照すると、キャニスター102は、ベーシン部分145と蓋部分146とを有するキャニスターハウジング143を含む。蓋部分146は、実質的に平面的な出口壁142によって形成されてもよく、かつベーシン部分145と結合して液体収集室104を形成できる。ベーシン部分145は、三日月形を形成するために輪郭が湾曲したベーシン壁150から形成されているが、ベーシン部分145および蓋部分146は、その代わりに、シリンダー状、立方体、球状、直方体、または任意の他の形状であるキャニスターを形成してもよい。キャニスター102は、ベーシン部分と蓋部分とを別々に含まなくてもよく、実質的に単一のハウジングから形成してもよいことにも留意されたい。そのような実施形態では、液体収集室104を単一の壁によって画成してもよい。あるいは、液体収集室104は複数の壁によって形成してもよい。
【0028】
キャニスター102は、導管120に流体接続される入口103と、減圧源108に流体接続されるキャニスター出口156と、出口156と動作可能に関連付けられて、キャニスター出口156を通ってキャニスター102から液体が出ないようにする実質的に平面的な気液分離装置160とを含む。入口103は、ベーシン部分145の凹部領域に配置された壁178に位置決めされ得る。一実施形態では、出口156は出口壁142に位置決めされ、および実質的に平面的な気液分離装置160は、出口156に隣接して位置決めされて出口壁142に固定される。一部の実施形態では、出口壁142は、気液分離装置160を確実に接続するのを助ける凹部領域158を含み得る。出口156があることによって、キャニスター102と減圧源108との間の流体連通が可能となり、キャニスター102内に減圧を維持することを可能にする。この減圧を、入口103、導管120、チューブ用アダプタ124、および分配マニホールド144を通って組織部位へ伝達できる。減圧によって、組織部位101から滲出液および他の流体をキャニスター102に引き入れる。実質的に平面的な気液分離装置160は、キャニスター102に引き入れられた液体が、出口156を通ってキャニスター102から出て減圧源108を汚染しないようにする。
【0029】
説明に役立つ実施形態では、実質的に平面的な気液分離装置160は、出口156を通って液体が通過しないようにする疎水性または疎油性のフィルタとし得る。好適な疎水性材料の例は、WL Gore & Associates(Newark、Delaware)製の疎水性の医療用膜;General Electric製のAspire(登録商標)ePTFEフィルタ膜;または任意の他の好適な膜などの発泡PTFEラミネートを含む。一実施形態では、そのようなラミネートは、0.17mm〜0.34mmの厚さ範囲の不織ポリエステル上に1.0ミクロンの基準細孔径を有してもよい。疎水性の医療用膜の最小エアフローは、1バール(15PSI)において18LPM/cm、および最小水侵入圧は1.1バール(16.0PSI)とし得る。好適な疎油性材料の例は、厚さ範囲が0.15mm〜0.39mmの不織ポリエステル上に1.0ミクロンの基準細孔径を有する疎油性の発泡PTFE膜を含む。疎油性の膜の最小エアフローは1バール(15PSI)において12LPM/cm、および最小水侵入圧は0.8バール(12.0PSI)とし得る。あるいは、実質的に平面的な気液分離装置160は、重力式の障壁系としてもよいし、または親水性表面を含んで、流体ストリームがその表面を通過するときに、凝結、または流体ストリームからの液体の他の分離を促す装置としてもよい。気液分離装置160の他の例は、焼結金属、ナイロン焼結体、Filtrona製のものなどの特殊繊維フィルタ、プラズマ処理されて表面を親水性にしたプラスチック、または、流体ストリームから液体を分離できるまたは液体の通過を実質的に防止できる一方で気体を通過させることができる任意の他の材料もしくは装置を含み得る。
【0030】
一実施形態によれば、キャニスター102は細長い部材162を含み、その細長い部材は導管を形成し、その導管は、液体収集室104において減圧を維持するために液体収集室104とキャニスター出口156との間の気体連通を可能にする一方で、実質的に液体の連通を防止する。本明細書では、用語「細長い」は、一般的に、特に長さが幅よりも大きい部分を指す。細長い部材162は、気体連通空間を画成する膜または壁を有してもよい。細長い部材162、それゆえ細長い部材の膜または壁は、剛体、半剛体、セクション内の一部が剛体、および/または可撓性とし得る。例えば、一部の実施形態では、細長い部材162は、キャニスター102または任意の他のキャニスター設計に適合するように、箔、または熱成形されたプラスチックシートなどを用いて、予め付形されてもよい。他の実施形態では、細長い部材162は、必然的に、キャニスター102の向きに基づいて延在し得る。本明細書では、用語「可撓性」は、一般的に、曲げるまたは付形することができることを意味する。一部の実施形態では、細長い部材の付形は、細長い部材の任意の構成要素の塑性変形を含まなくてもよいが、他の実施形態では、細長い部材の1つ以上の要素は、細長い部材がキャニスター内で操作および位置決めされた後にその形状を保持するように、塑性変形されてもよい。一部の実施形態では、用語「可撓性」は、特別な器具または装置を使用しなくても、例えば手を置くことによって、キャニスター内で異なる形状または配置に適合するまたはそれらに適合される細長い部材の能力を指し得る。一部の実施形態では、細長い部材162は、膜に沿って離間した1つ以上の部分/セグメントを含んでもよく、それらにより、液体収集室104とキャニスター出口156との間の気体連通が可能となる。他の実施形態では、膜は、実質的に、気体連通を可能にするが実質的に液体の連通は防止する材料を含み得る。
【0031】
一実施形態では、細長い部材162は、実質的に平面的な気液分離装置160に接続されて、出口156と細長い部材162の内部空間との間に流体連通がもたらされる。例えば、細長い部材162は、気液分離装置160に溶接されてもよい。他の実施形態では、細長い部材162は、接着材料を使用して、または任意の他の好適な手段によって実質的に平面的な気液分離装置160に接続され得る。あるいは、一部の実施形態では、実質的に平面的な気液分離装置160および細長い部材162は別個の構成要素ではなく、実質的に単一の気液分離装置として製造してもよい。結合時、実質的に平面的な気液分離装置160と細長い部材162とが、キャニスター102から空気が動けるようにする同じ気液分離目的を果たす。
【0032】
いくつかの実施形態では、キャニスター102はまた、組織部位101から引き出された滲出液および他の流体を吸収するための吸収性材料を含んでもよい。加えて、キャニスター102は、イソライザー(isolyzer)などの凝固物質を含んでもよい。イソライザーは、血清、プラズマ、組織および器官のホモジネート、血液、または、水分を含む他の感染液と反応して、固形物を形成する。
【0033】
図3は、気液分離装置160と細長い部材162とを互いにおよびキャニスター102の蓋部分146に接続した状態を示す実施形態を示す。気液分離装置160は、蓋部分146に対して実質的に平面的である。気液分離装置160の形状およびサイズは、蓋部分146、出口156、または蓋部分146の凹部領域158の形状およびサイズに依存して変化することを留意されたい。
【0034】
一実施形態では、細長い部材162は、実質的に平面的な気液分離装置160に対して実質的に垂直である。しかしながら、他の実施形態では、細長い部材162は、実質的に平面的な気液分離装置160に対して平行でもよいし、または取付け点においていかなる角度で接続されていてもよい。細長い部材162は、実質的に平面的な気液分離装置160から離れるように、キャニスター102の液体収集室104に延在する。細長い部材162の長さおよび幅は、キャニスター102のサイズおよび構成に応じて可変とし得る。細長い部材162は、上述のように、気液分離装置160と同じ材料で構成されてもよいし、または液体の通過を実質的に防止するが気体の通過を可能にすることのできる任意の他の材料で作製されてもよい。しかしながら、細長い部材162は、液体で覆われている場合には細長い部材162の複数の部分を通っての気体連通は可能にしない。それゆえ、開示の実施形態では、細長い部材162は、液体収集室104内の複数の平面を覆うように好都合に位置決め、付形、および/または製造されて、全てではないが複数のキャニスター102の向きでキャニスター102が減圧源108から減圧を受け続けることができるようにする。複数の向きで動作することに加え、細長い部材162はまた、細長い部材162の露出部分を一時的に塞ぐ流体スロッシュ(slosh)がある場合に、継続的なエアフローを可能にする。
【0035】
加えて、一部の実施形態では、細長い部材162は、気液分離装置材料を実質的に構成し得る。別の実施形態では、細長い部材162の一方の側面は、液および気体不透過性とし得る一方、他方の側面は、気液分離装置材料を実質的に構成し得る。さらに別の実施形態では、細長い部材162は、気液分離装置である最適に配置された部分を含んでもよい一方、細長い部材162の残りの部分は液および気体不透過性である。さらに、別の実施形態では、細長い部材162は、離間した複数のアパーチャを含んでもよく、アパーチャの各々は、気液分離装置によって覆われ得る。細長い部材162の上述の構成は、いくつかの実施形態の例として提供される。しかしながら、細長い部材162の他の実施形態は、その代わりに、細長い部材162を通した気体連通を可能にする一方で液体連通を実質的に防止するように構成されてもよいことに留意されたい。
【0036】
例えば、図4Aは、説明に役立つ実施形態による、線4−4に沿って取った図3の細長い部材162の断面図を示す。細長い部材162は、第2の部分406に溶接または接合された第1の部分402からなってもよい。第1の部分402および第2の部分406の双方とも、液体収集室104から細長い部材162の内側部分、すなわち気体連通経路への液体(例えば滲出液)の通過を防止または実質的に防止する。例えば、一実施形態では、第1の部分402および第2の部分406は疎水性の膜である。あるいは、第1の部分402および第2の部分406は、液体に対して実質的に不透過性とするために、疎水性材料で被覆された任意の材料とし得る。
【0037】
加えて、第1の部分402および第2の部分406の少なくとも一方は、細長い部材162の内側部分すなわち気体連通経路と液体収集室104との間の気体連通を可能にする。一実施形態では、第1の部分402および第2の部分406の少なくとも一方は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、または他のフルオロポリマー製品を使用して製造し得る。例えば、一実施形態では、第1の部分402および第2の部分406の双方とも、W.L Gore and Associates,Inc.製のePTFE膜から作製し、細長い部材162の内側部分と液体収集室104との間の気体連通を可能にする一方、液体の通過を実質的に防止し得る。第1の部分402および第2の部分406は、溶接、接着材料、および/または漏れのない接続を提供する任意の他の好適な手段によって接合され得る。あるいは、一部の実施形態では、第1の部分402および第2の部分406は単一ユニットとして製造されてもよい。例えば、一実施形態では、第1の部分402および第2の部分406は、単一のシームに沿って接合された、折畳まれたシートとしてもよい。
【0038】
別の実施形態では、図4Bに示すように、第1の部分402または第2の部分406の一方が、気体連通および液体連通の双方を防止する材料で作製されてもよく、第1の部分402または第2の部分406の他方が、気体連通を可能にするが液体連通を実質的に防止する材料で作製される。そのような構成は、細長い部材162の全体を気体透過性で液不透過性の材料から形成するよりも安価とし得る。
【0039】
引き続き図3図4A、および図4Bを参照すると、細長い部材162は、第1の部分402と第2の部分406との間で導管内に配置されたマニホールドまたはバイアス部材404を含み、減圧に曝されたときの細長い部材162のつぶれを小さくしてもよい。一実施形態では、バイアス部材404は複数の流路を含んで、細長い部材162の長さに沿って気体の流れを多様にし得る。バイアス部材404は、限定はされないが、Libeltex Group製のLibeltex(商標)TDL2などの不織材料から作製し得る。不織材料は、メルトブローン、エアレイド、サーマルボンドおよびスパンボンド技術によって形成される、さまざまなポリオレフィン、ポリエステル、およびアクリル(およびブレンドおよびラミネート)を含み、その供給者は、Libeltex、Freudenberg、Buckeye、およびFiberwebなどを含み得る。他の実施形態では、バイアス部材404は、織材料;またはGranufoamから作製し得る。織りまたはテキスタイル材料は、ポリオレフィン、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、およびポリアミドベースの繊維、およびブレンド、および共成分繊維(co−component fiber)を含む。例示的な製造者は、DuPont、Eastman、およびAtexを含む。バイアス部材は、圧縮性材料から形成されても、またはその代わりに、例えば金属、プラスチックまたは他の実質的に剛体の材料で構成される格子構造または他のフレームワークなどによって、剛体材料から形成されてもよい。
【0040】
さらに、一部の実施形態では、細長い部材162は、導管内に、限定はされないが活性炭などの臭吸着材(図示せず)を含んでもよい。その代わりにおよび/またはそれに加えて、臭吸着材を、実質的に平面的な気液分離装置160とキャニスター102の蓋部分146との間の接続部に配置してもよい。
【0041】
図5A〜5Dは、図1のキャニスター102内の細長い部材162の異なる構成を示す。図5Aに示す実施形態では、キャニスター102は、矢印500Aによって示す方向に重力がかかるような向きにされている。図5Aは、液体収集室104を形成するように減圧治療ユニット140の蓋部分146に接続されているベーシン部分145を示す。実質的に平面的な気液分離装置160は、蓋部分146の凹部領域158に接続されて、キャニスター出口156を通して減圧源108から減圧を受ける。一実施形態では、細長い部材162は、必然的に重力の方向に基づいて液体収集室104に延在できる。しかしながら、一部の実施形態では、キャニスター102がどの向きにあっても図示の形状を維持するように、細長い部材162を形成、位置決め、または製造してもよいことに留意されたい。
【0042】
液体収集室104に液体502が集まると、液体502によって覆われた細長い部材162の部分が塞がれ、細長い部材162の内側空間と液体収集室104との間の気体連通を不可能にする。しかしながら、細長い部材162の残りの部分、すなわち液体502によって覆われていない細長い部材の部分は、細長い部材162の内側空間と液体収集室104との間の気体連通を可能にし、減圧源108からの減圧をもたらす。図5Aに示すように、このキャニスター102の向きおよび細長い部材162の構成を受けて、液体収集室104は、液体収集室104が液体で実質的に満たされるまで減圧を受け続ける。
【0043】
図5B〜5Dは、実質的にキャニスター102がどの向きにあっても液体収集室104を最適に満たす一方で液体収集室104に減圧を維持するために、細長い部材162が特定の形状に位置決め、付形、または製造されている他の実施形態を示す。例えば、図5Bは、細長い部材162が波状構成で液体収集室104に延在するように位置決め、付形、または製造されている実施形態を示す。本明細書で参照されているように、用語波状は、波のような構成を指す。図5Bでは、キャニスター102は、重力が矢印500A(図5Aに示すような)によって示される方向にかかるような向きにされている。それゆえ、液体502が液体収集室104に入ると、液体レベルは細長い部材162の底部を覆い始め、細長い部材162の液体で覆われた部分を通した気体連通を妨げる。しかしながら、細長い部材162の液体で覆われていない上部は、液体収集室104に減圧をもたらし続ける。細長い部材162は、液体収集室104の実質的に幅方向に延在するように構成されているため、液体収集室104は、液体収集室104が実質的に満たされるまで減圧を受け続ける。
【0044】
さらに、細長い部材162は、液体収集室104の領域を実質的に覆うように波状であるため、キャニスター102を実質的にどの方向に向けてもよく、および液体収集室104は、キャニスター102が実質的に満たされるまでさらに減圧を受けることができる。例えば、図6A〜6Cは、図5Bに示すフィルタ構成を有するキャニスター102の異なる向きを示す。図6A〜6Cに示す例から分かるように、キャニスター102がどの向きにあっても、細長い部材162の少なくとも一部分は液体502によって覆われず、気体連通を可能にする。それゆえ、図6A〜6Cに示すような細長い部材162の波状構成を使用することにより、キャニスター102は、液体収集室104が実質的に満たされるまで液体収集室104に減圧を維持できる。
【0045】
加えて、図5Bの波状構成に戻ると、液体収集室104は、細長い部材162の部分(例えば、位置162Aおよび162B)のみが気体連通を提供する一方で細長い部材162の残りの部分が気体不透過性および液不透過性である場合でも、キャニスター102が実質的に満たされるまで減圧を受け続ける。
【0046】
図5Cは、液体収集室104に減圧を維持する間、実質的にどの向きでもキャニスター102を液体で満たすことができるように、細長い部材162が液体収集室104内で位置決め、付形、または製造されている別の実施形態を示す。例えば、図5Cに示す実施形態では、細長い部材162は、液体収集室104の実質的な幅方向および長さ方向に延在する「L」字形状構造に構成されている。ここでも、液体収集室104は、細長い部材162の部分162Cおよび162Dのみが気体連通をもたらす一方で細長い部材162の残りの部分が気体不透過性および液不透過性である場合でも、キャニスター102が実質的に満たされるまで減圧を受け続ける。しかしながら、細長い部材162は、実質的に気液分離装置材料で構成されてもよく、または細長い部材162の部分162Cおよび162Dを越える、気体連通を提供するが実質的に液体連通を妨げる追加的な部分/セグメントを含んでもよいことに留意されたい。
【0047】
図5Dは、液体収集室104に減圧を維持する間、実質的にどの向きにおいてもキャニスター102を液体で満たすことができるように、細長い部材162が液体収集室104内に位置決め、付形、または製造されているさらに別の実施形態を示す。図5Dに示す実施形態では、細長い部材162は、液体収集室104の実質的な幅方向および長さ方向に延在する「U」字形状構造に構成されている。図5Dに示す実施形態は、従来技術よりいくつかの点で優れている。例えば、「U」字形状構造は、減圧治療ユニット140の蓋部分146に細長い部材162の両端部を取り付けることができることによって、細長い部材162の安定性をより高め得る。これは、減圧治療ユニット140が患者によって着用または運ばれるような移動式装置である実施形態において特に好都合とし得る。さらに、一部の実施形態では、細長い部材162の両端部は、複数の出口ポートを通してキャニスター102に減圧をもたらすために、二重式キャニスター出口(図示せず)に取り付けてもよい。
【0048】
ここで図7および図8を参照すると、細長い部材700の他の実施形態が提供されている。図7から説明すると、細長い部材700をキャニスター720に接続するバーブコネクタ(barb connector)710を有する一般的なキャニスター720が、説明に役立つ実施形態に従って示されている。キャニスター720は、キャニスター720をキャニスター壁724へ接続すると液体収集室740を形成するベーシン部分722を含む。ベーシン部分722は、組織部位(図示せず)に減圧を伝えかつ組織部位から流体を受けるための入口103を含む。
【0049】
好ましい実施形態では、バーブコネクタ710は、キャニスター壁724の一体部分として形成し得る。バーブコネクタ710は、キャニスター壁724上の特定の任意の位置に限定されず、およびそのサイズ、形状、厚さ、および深さは、キャニスター720の特定の設計に依存して可変とし得る。さらに、一部の実施形態では、キャニスター壁724は、細長い部材700の1つ以上をキャニスター壁724の異なる位置に接続するために、複数のバーブコネクタを含んでもよい。一実施形態では、バーブコネクタ710は、減圧源108から減圧を受けるための中空の気体連通ルーメン712を形成する。図7および図8は、バーブ型のコネクタを示すが、細長い部材700は、キャニスター壁724への細長い部材700のクランプ、接着結合または溶接などの他のタイプのコネクタおよび/または締結具を使用することを含む他の手段によって、またはキャニスター壁724に細長い部材700を取り付ける任意の他の手段によってキャニスター壁724に結合してもよい。
【0050】
細長い部材700は、開放端部713を除いて完全にシールされる。細長い部材700は、バーブコネクタ710を通して減圧を受けるために、開放端部713を通してバーブコネクタ710につながっている。細長い部材700は導管を形成し、その導管は、液体収集室740に減圧をもたらすための最適に覆われた状態(coverage)を提供するために液体収集室740の空間に延在するように付形、位置決め、および/または製造される。
【0051】
細長い部材700は、減圧源から受けた減圧を液体収集室740に伝達するための気体連通ルーメン704を形成する導管壁702を有する。導管壁702は、実質的に液不透過性である。しかしながら、導管壁702の少なくとも一部分は、気体連通ルーメン704と液体収集室740との間の気体連通を可能にする。一部の実施形態では、導管壁702の実質的に全体部分が、気体連通ルーメン704と液体収集室740との間の気体連通を可能にする一方、実質的に液体連通を妨げ得る。導管壁702は、細長い部材162に関連して上記で説明したものと同じまたは類似の材料で作製し得る。例えば、導管壁702は、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、または気体連通を可能にする一方で実質的に液体の交換を防ぐ任意の他の好適な材料を使用して作製し得る。導管壁702は、単一ユニットとして形成されてもよいし、または溶接または接着剤などの任意の好適な接続手段を使用して複数の構成要素/構造をつなげることによって形成してもよい。導管壁702の長さ、幅、および厚さは、液体収集室740を最適に利用する一方で減圧を維持するためのキャニスター720の特定の構成に依存して可変とし得る。加えて、細長い部材700は、液体収集室740内で、液体収集室740に減圧を最適にもたらすような任意の構成に、限定はされないが、図5A〜5Dに示すような構成にし得る。
【0052】
一部の実施形態では、気体連通ルーメン704は、減圧が流れることができる空の空間である。他の実施形態では、気体連通ルーメン704は、限定はされないが不織材料などのバイアス部材706を含み得る。バイアス部材706は構造的な支持を提供して、気体連通ルーメン704が減圧に曝されるときの導管壁のつぶれを小さくし得る。バイアス部材706は、気体連通ルーメン704の長さに沿って気体の流れを多様にするために複数の流路を含んでもよい。さらに、一部の実施形態では、活性炭などの臭吸着材をバイアス部材706に追加して臭気を吸収する。
【0053】
図8は、説明に役立つ実施形態による、バーブコネクタ710に接続された細長い部材700の側面の断面図を示す。一実施形態では、細長い部材700は、単にバーブコネクタ710を細長い部材700の開放端部713に押し込むことによって、バーブコネクタ710に取り付けられ得る。一部の実施形態では、開放端部713の内側部分には溝または隆起701が組み込まれて、細長い部材700の開放端部713がバーブコネクタ710をしっかりと把持できるようにし得る。開放端部713は、漏れのない密な接続を提供するために、バーブコネクタ710のサイズおよび/または形状に依存して任意の特定のサイズ、形状、または厚さを有するように製造する必要がある。例えば、細長い部材700の開放端部713は、最適な漏れのない接続を提供する円形、卵形、三角形、正方形、または任意の他の形状とし得る。一部の実施形態では、接着剤、溶接、クランプ、および/または任意の他の材料を接続部に適用して、細長い部材700の開放端部713とバーブコネクタ710との間に、漏れのないしっかりとした接続を提供するのを支援し得る。
【0054】
図9を参照すると、キャニスター102(図3)またはキャニスター720(図7)に似たキャニスター902が、ベーシン部分945と蓋部分946とを有するキャニスターハウジング943を含む。蓋部分946は、実質的に平面的な出口壁942によって形成され、かつ、ベーシン部分945と結合できて液体収集室を形成し得る。ベーシン部分945は、三日月形を形成するように湾曲した輪郭を含むベーシン壁950から形成されるが、ベーシン部分945および蓋部分946は、その代わりに、シリンダー状、立方体、球状、直方体、または任意の他の形状のキャニスターから形成されてもよい。キャニスター902は、ベーシン部分と蓋部分とを別々に含まなくてもよく、実質的に単一のハウジングから形成し得ることにも留意されたい。そのような実施形態では、液体収集室は単一の壁によって画成されてもよい。あるいは、液体収集室は複数の壁によって形成されてもよい。
【0055】
図3のキャニスター102と同様に、キャニスター902は、導管に流体接続されるように構成されている入口998と、減圧源に流体接続されているキャニスター出口920とを含む。実質的に平面的な気液分離装置960が、キャニスター902の出口920に動作可能に関連付けられ、キャニスター出口920を通ってキャニスター902から液体が出ないようにする。一実施形態では、出口920は出口壁942に位置決めされ、かつ実質的に平面的な気液分離装置960は、出口に隣接して位置決めされて出口壁942に固定される。実質的に平面的な気液分離装置960は、キャニスター902に引き入れられる液体が、出口920を通ってキャニスター902から出て減圧源を汚染しないようにする。説明に役立つ実施形態では、実質的に平面的な気液分離装置960は、気液分離装置160を参照して上述したような疎水性または疎油性フィルタとし得る。
【0056】
一実施形態によれば、キャニスター902は仕切り部材962を含み、その仕切り部材は、液体収集室に減圧を維持するために液体収集室とキャニスター出口920との間の気体連通を可能にする一方で実質的に液体連通を防止する導管を形成する。仕切り部材962は、図4Aおよび図4Bで示した細長い部材162を参照して上述したものと同様の気体連通経路または空間を画成する壁964または膜を含む。仕切り部材962の壁964および仕切り部材962自体は、細長い部材162と同じ可撓性または剛体特徴部を含んでもよい。壁964の少なくとも一部分は、仕切り部材962の気体連通空間とキャニスター902の液体収集室との間の気体連通を可能にする材料から形成される。壁964または膜は、単一材料片から、または溶接された、接合された、もしくは他の方法で取り付けられた2つ以上の材料片から形成し得る。気体連通空間は、細長い部材162を参照して上述したものに似たバイアス材料を含んでもよい。
【0057】
仕切り部材962の形状は、キャニスター902の液体収集室の内部プロファイルに厳密に適合するようなものであり、および仕切り部材の幅W、および深さDは、キャニスターハウジング943の対応する幅および深さと実質的に等しいとし得る。仕切り部材962のこの特定の付形およびサイジングは、仕切り部材962がキャニスターハウジング943の液体収集室を、第1および第2の室または空間に実質的に分割するようなものである。図9に示す実施形態では、液体収集室の分割によって、仕切り部材962の上側に位置決めされた上方室と、仕切り部材962の下側の下方室とを生じる。
【0058】
仕切り部材962は、液体収集室内での液体の過剰な運動またはスロッシュを防止する働きをし得る。なぜなら、液体収集室が実質的に分割されているためである。仕切り部材962は、仕切り部材962の壁を貫通する少なくとも1つのアパーチャ980を含み、液体収集室の上方室と下方室との間の流体連通を可能にし得る。仕切り部材962にアパーチャ980を配置することによって気体連通空間に液体が入ることができないように、依然として、仕切り部材962内の気体連通空間のシールの完全性を維持する。
【0059】
仕切り部材962は、実質的に平面的な気液分離装置960につながれる。例えば、仕切り部材962は気液分離装置960に溶接され得る。他の実施形態では、仕切り部材962は、接着材料を使用して、または任意の他の好適な手段によって、実質的に平面的な気液分離装置960に接続され得る。あるいは、一部の実施形態では、実質的に平面的な気液分離装置960および仕切り部材962は別個の構成要素ではなく、実質的に単一の気液分離装置として製造してもよい。結合時、実質的に平面的な気液分離装置960と仕切り部材962とは、キャニスターから空気が動けるようにする同じ気液分離目的を果たす。さらに他の実施形態では、実質的に平面的な気液分離装置960を使用しなくてもよく、仕切り部材962をキャニスター902の出口920に直接接続して、気体連通空間がキャニスター902の出口と流体連通状態となるようにし得る。
【0060】
仕切り部材962を気液分離装置960にまたはキャニスター902の出口に接続するほか、いずれかの特定の実施形態では、仕切り部材962を、仕切り部材962の周囲の他の位置においてキャニスター902に接続してもよい。例えば、図9に示す実施形態では、仕切り部材902は、四隅986の各々においてキャニスター902の1つ以上の壁に接続され得る。キャニスター902への仕切り部材962のこの補足的な取り付けは、液体収集室の分割性能を維持する仕切り部材962の能力を高める働きをし得る。他の実施形態では、仕切り部材962は、キャニスター902の出口以外の位置でキャニスター902に取り付けられなくてもよい。
【0061】
いくつかのキャニスターの形状のみを図示して説明したが、本明細書で説明したフィルタまたは細長い要素の使用、およびこれらフィルタおよび細長い要素が提供する利点は、キャニスターのいずれかの特定の形状に限定されない。さらに、本明細書で説明したフィルタおよび細長い要素の各々のサイズまたは形状は、特定のサイズまたは形状のキャニスターをより良好に適合するために、可変とし得る。
【0062】
本明細書で提案したフィルタのいくつかを、単一の内部空間または室を有するとして説明したが、フィルタ室の数は限定されない。キャニスター出口または複数のキャニスター出口に独立してまたは接合式に接続される複数のフィルタ室を、同様に少なくとも部分的にキャニスターのサイズおよび形状に依存して、用いてもよい。同様に、複数のフィルタ素子を使用して、液体収集活動中にフィルタが気体の透過を維持する時間を増やしてもよい。
【0063】
本明細書で説明したフィルタおよび液体収集キャニスターは、既存の創傷液収集キャニスター設計または新規の創傷収集キャニスター設計を改造するプロセスまたは方法の一部として使用して、創傷液収集キャニスターの複数の向きにおいて創傷液を収集できるようにしてもよい。この方法は、細長い部材を創傷液収集キャニスターに流体接続するステップを含む。細長い部材の少なくとも一部分は、創傷液収集キャニスターの液体収集領域に延在する。この方法は、細長い部材の内側空間と液体収集領域との間で気体交換できるようにするステップ;および内側空間と液体収集領域との間の液体交換を実質的に防止するステップをさらに含む。一部の実施形態では、この方法は、導管の内側部分と液体収集領域との間の気体交換を最適に維持するように、創傷液収集キャニスターの液体収集領域に延在する導管の部分を波状にする、付形する、位置決めする、および/または製造するステップをさらに含んでもよい。
【0064】
上記から、大きな利点のある発明が提供されていることが明白である。本発明は、そのいくつかの形態のみを示すが、それに限定されず、その趣旨から逸脱せずに様々な変更および修正を受けやすい。
【0065】
いくつもの個別の実施形態を説明したが、各実施形態の態様は、その実施形態のみに特有のものでなくてもよく、実施形態の特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせてもよいことが特に考慮される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9