(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した指針や文字板の指標等が光源からの光によって照明される照明付き時計装置において、ムーブメントの回転軸や歯車を透明の導光部材にて導光させるものは、それ専用のムーブメントや歯車を開発する必要があり、汎用ムーブメントでは実現できない。
【0006】
また、複数の光源を用いて指針や文字板の指標等を照明するものは、複数系統の光源の場合は照明の自由度が大きいという利点を有するが、高価であるという欠点がある。
【0007】
他方で、光源が1系統の場合は、その1系統の光源で指針や文字板の指標等を如何にて同時に発光させるかを解決しなければならない。また、光源が1系統の場合は、上述した同時発光のほかに、効率よく指針や指標等を照明しなければならないため、構造上の工夫を要するものである。
【0008】
そこで、本発明は、光源が1系統のものであっても、その1系統の光源で指針や文字板の指標等を同時に発光することができ、しかも、効率よく指針や指標等を照明することができる照明付き時計装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願第1請求項に記載した発明は、実施例で用いた符号を付して記すと、指針回転軸の周りに、同心円状に複数配置された光源300,300と、
前記光源300の正面側に順次配置された第1導光体(導光板400)、第2導光体11及び第3導光体12と、を備え、
前記第1導光体は、前記複数の光源300に対応する箇所に設けられ当該光源からの光を当該第1導光体内に反射して入光させるための反射面部401と、前記複数の光源に対応する箇所に設けられ当該光源からの光を集光して正面方向へ投光させるためのレンズ形状部402と、
当該導光体裏面又は表面に設けられて、前記反射面部401から入射された光が乱反射して当該導光体の正面に放射される乱反射手段と、を備え、
前記第2導光体11は、時針を構成するものであって、
指針パイプ挿通孔112と、前記第1導光体の前記レンズ形状部402から投光された光を当該第2導光体11内に反射して入光させるための時針反射面部110と、前記第1導光体の前記レンズ形状部402から投光された光を集光して正面方向へ投光させるためのレンズ形状部111と、を備え、
前記時針反射面部110は、当該時針(第2導光体11)の一の回転位置において前記光を反射させ当該時針に導入する時針第1反射面110aと、当該時針の他の回転位置において前記光を反射させ当該時針に導入する時針第2反射面110bと、を有し、且つ、時針第1反射面110aは指針パイプ挿通孔112の上部に形成され、また、時針第2反射面110bはこの指針パイプ挿通孔112の左右の斜め上部に形成され、
前記第3導光体12は、分針を構成するものであって、前記第2導光体11の前記レンズ形状部111から投光された光を当該第3導光体12内に反射して入光させるための分針反射面部120を備えた構成の照明付き時計装置である。
【0010】
本願第2請求項に記載した発明は、前記第1導光体の正面側に、当該第1導光体からの光を受けて指標101が照明される文字板10を設けた構成の請求項1記載の照明付き時計装置である。
【0011】
本願第3請求項に記載した発明は、前記第1導光体は、これに指標101を設けて文字板を構成する請求項1記載の照明付き時計装置である。
【0013】
本願第
4請求項に記載した発明は、前記分針たる第3導光体12の前記分針反射面部120は、前記第2導光体11の前記レンズ形状部111から投光された光を、当該分針の一の回転位置において反射させ当該第3導光体12に導入する分針第1反射面120aと、当該分針の他の回転位置において反射させ当該第3導光体12に導入する分針第2反射面120bと、を有する構成の請求項1記載の照明付き時計装置である。
【発明の効果】
【0014】
本願第1請求項に記載した発明によれば、第1導光体(導光板400)が反射面部401とレンズ形状部402とを備えるので、反射面部401にて、光源300からの光を当該第1導光体内に反射して入光させ、従って第1導光体が発光し、また、レンズ形状部402によって、光源300からの光を集光して正面方向へ投光し、これにより第2導光体11たる時針に光を照射することができる。更に、第2導光体11は時針反射面部110とレンズ形状部111とを備えるので、時針反射面部110にて、投光された光を当該第2導光体11内に反射して入光させ、従って第2導光体11が発光し、また、レンズ形状部111によって、投光された光を集光して正面方向へ投光し、これにより第3導光体12たる分針に光を照射することができる。加えて、第3導光体12は分針反射面部120を備えるので、この分針反射面部120にて、投光された光を当該第3導光体12内に反射して入光させ、従って第3導光体12が発光する。このようにして、光源300からの光は順次配置された第1導光体、第2導光体11及び第3導光体12を同時に発光させることができ、しかも、効率よく照明することができることになる。
さらに、時針たる第2導光体11の時針反射面部110が、前記第1導光体のレンズ形状部402から投光された光を、当該時針の一の回転位置において反射させ当該第2導光体に導入する時針第1反射面110aと、当該時針の他の回転位置において反射させ当該第2導光体11に導入する時針第2反射面110bとを有するので、時針が適宜の回転位置にあっても、これらの反射面にて、時針たる第2導光体11の内部に光を導光することが可能となり、従って、適宜の回転位置においても当該時針を発光させることができる。
【0015】
本願第2請求項に記載した発明によれば、前記第1導光体の正面側に、指標101を備えた文字板10を設けて構成されるので、当該第1導光体からの光を受けて文字板10の指標101が照明されることになる。
【0016】
本願第3請求項に記載した発明によれば、前記第1導光体に指標101を設けて文字板が構成されるので、別途に文字板を設けることなく、第1導光体自体が文字板として機能することができる。
【0018】
本願第
4請求項に記載した発明によれば、分針たる第3導光体12の前記分針反射面部120が、第2導光体11のレンズ形状部111から投光された光を、当該分針の一の回転位置において反射させ当該第3導光体12に導入する分針第1反射面120aと、当該分針の他の回転位置において反射させ当該第3導光体12に導入する分針第2反射面120bとを有するので、分針が適宜の回転位置にあっても、これらの反射面にて、分針たる第3導光体12の内部に光を導光することが可能となり、従って、適宜の回転位置においても当該分針を発光させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜
図3において、本例の時計装置1は、文字板10の正面に配置された指針(時針,分針,秒針)と、指針を回転するムーブメント20と、これらを収納する筐体30と備えている。指針のうち時針及び分針と、文字板10は、夜間や暗闇の中で、後述する照明装置100により照明される。
【0021】
ムーブメント20の正面側には、回路基板200が設けられており、回路基板200の正面側に突出した指針パイプ21を介して、各指針がそれぞれ所定の速度で回転するように構成されている。回路基板200の中央には、指針パイプ21を貫通する通孔201が設けられている。
【0022】
本例の照明装置100は、回路基板200に搭載した発光ダイオード等の光源300と、文字板10の裏面に設けられた円形プレート状の導光体からなる導光板400と、導光体からなる時針及び同じく導光体からなる分針とを備えて構成される。尚、本例では、後述するように、文字板10は、前記導光板400により発光されるが、これに限られずに、導光板400によって文字板を形成してもよい。
【0023】
前記光源300は、前記導光板400の方向に光を照射するように設けられており、本例の場合、指針パイプ21近傍の箇所に、当該指針パイプを囲むように略等間隔に3個配置されている。尚、光源300の個数は複数個であれば3個に限られない。
【0024】
尚、前記光源300は、図示を省略した制御手段により点灯、消灯する。すなわち、環境の明るさを検出するための光センサ(図示を省略)が設けられており、前記制御手段は、環境が暗くなると光源300を点灯し、明るくなると消灯する。例えば、夜間に部屋の照明を消すと、それに伴い光源300が点灯して各導光体が照明される。光源300は、日が昇り明るくなると消灯する。
【0025】
前記導光板400、時針及び分針の各導光体は、それぞれ所定箇所から入射された光が、導光体裏面に設けられた乱反射手段により乱反射して導光体の正面に放射されるものである。尚、乱反射手段は正面(表面側)に設けてもよい。
【0026】
尚、乱反射手段としては、例えば、射出成形にて導光体と一体に成形された球面、円錐、角錐、角柱、又は円筒型の微細凸状の反射ドットを分布してなるものを用いる。これらの分布に関しては、乱反射する光が比較的強い部位では反射ドットの占める面積を疎に設定し、また、乱反射する光が比較的弱い部位では反射ドットの占める面積を密に設定する。更に、シボ処理による乱反射構造、インクや塗料等の印刷や、これらを複合した構造を用いることができる。
【0027】
前記導光板400、時針及び分針の各導光体は、本発明の第1導光体、第2導光体11及び第3導光体12を構成するものであって、第1導光体(導光板400)は光源300に最も近い位置に配置され、第2導光体(時針)11は第1導光体の次に配置され、第3導光体(分針)12は第2導光体の次に配置され、各導光体(導光板400、時針及び分針)は光源300からの光を順次、当該導光体内に取り込む。更に、光源300からの光を順次、各導光体内に取り込むこととは別に、導光体に集光した光を、第1導光体(導光板400)は第2導光体11へ、また、第2導光体11は第3導光体12へ、順次、照射するように構成されている。
【0028】
すなわち、一般的には光は光源からの距離の二乗に反比例して減衰するため、光源から離れていくほど発光部材の発光条件は不利になる。本例において、光源300,300から導光板400、時針及、分針の順で距離が離れていく。そこで、これら光源300,300からの距離が異なる各発光部材が発光するために十分な光を導光しなければならない。そこで、本例では、次のような工夫を講じている。
【0029】
本発明の第1導光体を構成する前記導光板400は、
図4に示すように、前記複数の光源300,300からの光を当該第1導光体内に反射して入光させるための反射面部401のみならず、前記複数の光源300,300に対応する箇所に設けられ当該光源からの光を集光して正面方向へ投光させるためのレンズ形状部402を設けている。
【0030】
光源300からの光は、反射面部401に反射して第1導光体内に取り入れられ、導光板400内部を進み、発光箇所に施された発光構造(乱反射手段)により、時計体正面方向に乱反射し、文字板を発光させる。残りの光は、前記レンズ形状部402にて集光されるとともに正面方向へ投光され、第2導光体11を構成する前記時針に入射する。
【0031】
前記時針は、前記複数の光源300,300からの光、とりわけ第1導光体の前記レンズ形状部402にて集光され正面方向へ投光された光を、受光する。すなわち、時針は、前記第1導光体たる前記導光板400のレンズ形状部402から投光された光を、当該時針(第2導光体11)内に反射して入光させるための時針反射面部110(110a,110b)を備えている。この時針反射面部110(110a,110b)にて反射して入光した光が、時針の導光体内部に取り入れられ、導光体の裏面に設けられた乱反射手段により乱反射して、時針の正面に放射され当該時針を発光させる。尚、乱反射手段は正面(表面側)に設けてもよい。
【0032】
前記時針反射面部110は、上述のように、第1導光体の前記レンズ形状部402から投光された光を、当該時針内に反射して入光させるための時針反射面を構成するものであるところ、本例では、時針(第2導光体11)の或る(一の)回転位置において前記光を反射させ当該時針に導入する時針第1反射面110aと、当該時針の或る(他の)回転位置において反射させ当該時針に導入する時針第2反射面110bと、を有している。
【0033】
これを実施例に則して説明すると、
図5〜
図7において、時針第1反射面110aは指針パイプ挿通孔112の上部に形成され、また、時針第2反射面110bはこの指針パイプ挿通孔112の左右の斜め上部に形成されている。
【0034】
本例では、光源300が指針パイプ21の周囲に3個設置されている。すなわち、光源300は、12時の位置、4時の位置、及び、8時の位置に設けられている。光源300と時針(第2導光体11)が対峙している場合、例えば時針が12時を指している場合は、光源300からの光は時針第1反射面110aにより反射し時針は十分な光量を確保できて発光する。ところが、時針が例えば2時を指している場合は、時針の時針第1反射面110aでは十分な光量を反射することができない。そこで、時針第2反射面110bを設けることにより、時針第2反射面110bでも光を時針内へ反射させ、従って、時針を挟む両脇の光源(12時の位置の光源300と4時の位置の光源300)からの光を指針方向に反射することができることになる。
【0035】
このように、時針反射面部110が時針第1反射面110aと時針第2反射面110bを有して構成されている場合は、本例のように、光源300が指針パイプ21の周囲に3個設置されているといった光源の数が少ないときでも、時針の回転位置の如何を問わず、時針第1反射面110aと時針第2反射面110bの双方又はいずれか一方で光を捉えて反射させ、時針の導光体内部に効率よく照射することができ、その結果、時針の発光作用を向上させ得る作用効果を奏する。
【0036】
尚、昨今、同類技術に用いられる光源としてLEDが一般的に用いられている。光源にLEDを使用して、本例のように指針パイプを囲うように全周を光らせる場合、複数のLEDを円周状に並べることになる。ところが、LEDは点光源であるため、LEDとLEDの間ではどうしても光量が少なくなってしまう。また、全周面発光型の光源、例えばELや冷陰極管等の光源を用いることも考えられるが、駆動電圧やスペース、価格等に課題が多く実用的ではない。この点、本例のように構成すると、LED等の点発光体を光源に用いた場合でも、どの針位置でも時針を発光するに十分な光を確保することができる。
【0037】
時針(第2導光体11)は、更に、前記レンズ形状部402から投光された光を集光して正面方向へ投光させるためのレンズ形状部111を備えている。このレンズ形状部111は、前記時針反射面部110(110a,110b)の内周側で、且つ、指針の指針軸挿通孔112の外周側に、リング状を呈して、形成されている。照射された光源300からの光は、前記レンズ形状部111にて集光されるとともに正面方向へ投光され、第3導光体12を構成する前記分針に入射する。
【0038】
このように、時針にレンズ形状部111を設けると、このレンズ形状部111により光を集光して、分針に効率よく照射することができる。従って、前記時針反射面部110(110a,110b)と相俟って、より一層効率よく照射することができることになる。
【0039】
尚、本例では、上述したように、レンズ形状部402から投光された光をレンズ形状部111で集光して正面方向へ投光させるものであるから、このレンズ形状部111のリング状の箇所と、前記第1導光体(導光板400)の前記レンズ形状部402とは、対向位置関係(指針パイプ21を支点とする放射方向において略同一の半径間隔)を備えていることが好ましい。
【0040】
前記分針(第3導光体12)は、
図8〜
図10に示すように、前記複数の光源300,300からの光、とりわけ時針の前記レンズ形状部111にて集光され正面方向へ投光された光を、受光する。すなわち、分針は、時針の場合と同様に、前記第2導光体11たる時針のレンズ形状部111から投光された光を、当該分針(第3導光体12)内に反射して入光させるための分針反射面部120(120a,120b)を備えている。この分針反射面部120(120a,120b)にて反射して入光した光が、分針(第3導光体12)の導光体内部に取り入れられ、導光体の裏面に設けられた乱反射手段により乱反射して、分針の正面に放射され当該分針を発光させる。尚、乱反射手段は正面(表面側)に設けてもよい。
【0041】
前記分針反射面部120は、上述のように、時針の前記レンズ形状部111から投光された光を、当該分針内に反射して入光させるための分針反射面を構成するものである。本例では、時針と同様に、分針第1反射面120aと、分針第2反射面120bと、を有している。
【0042】
すなわち、本例では、
図9〜
図10において、分針第1反射面120aは指針パイプ挿通孔121の上部に形成され、また、分針第2反射面120bはこの指針パイプ挿通孔121の左右の斜め上部に形成されている。
【0043】
尚、本例では、分針(第3導光体12)は、時針とは異なり、時針では形成されていたレンズ形状部を有しないが、分針第1、第2反射面120a,120bは時針の時針第1、第2反射面110a,110bと同じであり、従って、時針の場合と同様の作用効果を奏する。すなわち、本例のように、光源300が指針パイプ21の周囲に3個設置されているといった光源の数が少ないときでも、分針の回転位置の如何を問わず、分針第1反射面120aと分針第2反射面120bの双方又はいずれか一方で光を捉えて反射させ、分針の導光体内部に効率よく照射することができ、その結果、分針の発光作用を向上させ得る作用効果を奏する。
【0044】
次に、文字板の照明構造について説明する。
【0045】
本例における文字板の照明は、先に特許文献4〜6として示した各公報記載の構造、すなわち、導光体(導光板)自体が文字板を構成するものとは異なり、前記第1導光体からなる導光板400の発光作用を利用して、当該導光板400の正面側に文字板素材を配置し、この文字板素材の表裏面に、各々白インク及び黒インクで印刷して、文字板上の指標を発光させるように工夫したものである。
【0046】
一般に、導光板から発せられた光により文字板上の文字等の指標(以下、文字等の指標を単に「指標」という。)を発光するものにおいて、文字板が黒や紺の濃色文字板であれば、指標部分を白色にすることで、白色の文字部分は導光板からの光により発光し、濃色の文字板面は光を遮断するのでコントラスト良く表示することができる。ところが、時計の場合、白色文字板面に指標は黒色表示が一般的であるため、このタイプのもの(すなわち白色文字板面に黒色指標表示のもの)を用いると、白色文字板面が発光することとなって黒色指標が見ずらくなり、とりわけ本例のように指針(時針及び分針)が発光すると、より一層白色文字板が面発光して、時刻認識がしずらくなる。
【0047】
そこで、白色文字板面は発光させずに黒色指標又は黒色指標の輪郭部位を発光させることが求められる。黒色指標自体は光を遮断してしまうため発光させることができないので、本発明では、黒色指標の輪郭部位を発光させることとし、しかも安価で効率よく発光させるように工夫したものである。
【0048】
図11〜
図14において、本例の文字板構造は、前記導光板400の正面側に、当該導光板からの光が照射される文字板10を備え、この文字板10は、黒色インクで指標(指標インク層101)が印刷されて構成される。文字板10としては、透過性素材からなるプレート、例えばアクリルやポリカーボネート等の透明プラスチック板を用いる。
【0049】
文字板10には、表裏それぞれ2つのインク層(指標インク層101、裏面第1インク層102,裏面第2インク層103,正面第1インク層104)を設ける。すなわち、文字板10の裏面側に、全面を拡散透過する白色インク(半透明)で印刷する裏面第1インク層102と、裏面第1インク層102に重ねて、例えば黒色インク(遮光性インク)で印刷する裏面第2インク層103とを備え、当該文字板10の正面側には、白色インクで印刷する正面第1インク層104と、黒色インクで印刷された前記指標インク層101とを備える。尚、説明の便宜上、裏面第1インク層102を第1印刷、裏面第2インク層103を第2印刷、文字板10正面側の白色インクで印刷する正面第1インク層104を第3印刷、そして、指標(指標インク層101)を第4印刷と指称する。
【0050】
また、第2印刷の裏面第2インク層103には、第4印刷の前記指標(指標インク層101)に対応する非インク層103aが設けられている。従って、導光板400から照射される光は、この非インク層103aを経由して順次、全面白色インクで印刷された第1印刷の裏面第1インク層102と、文字板10に投光される。尚、この非インク層103aは、前記指標(指標インク層101)よりも大きな相似形状の指標を形成している。
【0051】
更に、第3印刷の前記正面第1インク層104は、文字板10の前記指標インク層101(第4印刷)に対応する位置に、当該指標インク層101よりも大きな相似形状の非インク層104aを設けている。本例では、この非インク層104aと前記非インク層103aとを同一形状に形成している。
【0052】
尚、本例では、文字板10の正面側に、白色インクで正面第1インク層104を印刷(第3印刷)し、次に黒色インクで指標インク層101を印刷(第4印刷)するようにしたが、基本的に、正面第1インク層104と指標インク層101は重ならないので、印刷の順序を変えてもよい。もっとも、例えば文字板に適宜文字や記号等を発光させないで表示するような場合は、本例のように指標インク層101を後から印刷し、その際に当該記号等を同時に印刷するとよい。
【0053】
以上の第1〜第4印刷によって、第1印刷により文字板10は発光し、第2印刷により発光部分以外の光を遮光し、第3印刷にて白色文字板面を加飾し、第4印刷にて指標を加飾することとなる。このように、全面白色インクで印刷された裏面第1インク層102(第1印刷)及び、同様に白色インクで印刷された正面第1インク層104(第3印刷)を施すことにより、白色文字板面を加飾することができるとともに、後述するように指標をコントラスト良く光らせることができる。尚、これらの第1印刷及び第3印刷が施されていない場合は、黒インクの第2印刷及び第4印刷により、文字板10がグレーになってしまうことが判明している。
【0054】
すなわち、前記導光板400から照射される光は、前記非インク層103aを経由して順次、全面白色インクで印刷された裏面第1インク層102で発光し、これが文字板10に導光され透過して正面方向へ照射される。このとき、第2印刷の裏面第2インク層103にて、前記非インク層103a以外の光が遮光される。尚、本例では、第2印刷の裏面第2インク層103を黒色インクで形成したが、この裏面第2インク層103は遮光を目的とするものであり、従って、黒色インクに限らず、見栄えのよいシルバーインク等、適宜遮光性のあるインクを用いることができるものである。
【0055】
前記文字板10において発光する前記非インク層103aに相応する指標は、第3印刷の非インク層104aにて、当該第3印刷の正面第1インク層104と相俟って加飾される。そして、この加飾部分には、第4印刷の黒色インクによる指標インク層101が存在し、且つ、当該指標インク層101(指標部分)は当該加飾部分よりも小さい相似形であるため、指標に輪郭部分が形成される。更に、この輪郭部分は文字板10であるため、当該第4印刷にて白色文字板面が加飾されるものである。
【0056】
尚、第1印刷(拡散透過する全面白色インク層)により、指標の加飾が良好に発現し(第1印刷が施されないと、導光板400から照射される光が直接に照射されてしまう)、第3印刷(非インク層及び白色インク層)により、指標をコントラスト良く光らせることができる。
【0057】
以上のように構成することにより、文字板10が白色文字板であっても、指標(輪郭)をコントラスト良く光らせることができることになる。また、文字板10に各インク層を形成して構成しているので、透過拡散や遮光のためのプレート等の部材を別途用いることを要しないから、これらを用いる場合に生じ得る不都合、例えば各部材の調達に費用がかかり、またそれらを結合する際各部材の位置決めに手間を要したりする等の不都合を、回避することができる利点を有する。