(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記音声認識された商品名に対応する商品ボタンと前記押下操作された商品ボタンとを、他の商品ボタンとは識別可能な態様で前記表示手段に表示する際に、警告を表示する、もしくは警告音を出力することを特徴とする請求項1に記載のPOS端末。
前記音声認識手段において、前記音声に含まれる商品名について前記音声認識辞書を検索する際に、商品名全体が完全に一致した時に一致と判断する完全一致方式を用いることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のPOS端末。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明によるPOS端末、商品情報登録方法および商品情報登録プログラムの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明によるPOS端末および商品情報登録方法について説明するが、かかる商品情報登録方法をコンピュータにより実行可能な商品情報登録プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、商品情報登録プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良い。また、以下の各図面に付した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0016】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴について説明する。本発明は、オペレータがPOS(Point of Sales:販売時点情報管理)端末で販売する商品の商品情報登録を行う際に、オペレータが発した音声の音声認識による商品名の入力とオペレータの商品ボタンの押下操作による商品名の入力とを併用し、2つの商品名を照合して、一致している場合に、当該商品名の商品の商品情報の登録を行うことを主要な特徴としている。
【0017】
すなわち、バーコードが貼付されていない商品に関する商品情報をPOS端末で登録する際に、オペレータが発声した商品名を音声認識するとともに、オペレータがPOS端末の画面に表示された商品ボタンを押下操作することにより、音声認識結果として得られた商品名と商品ボタン押下操作によって得られた商品名との双方の商品名が一致した場合に、当該商品名の商品の商品情報を登録することを主要な特徴としている。而して、商品情報の登録間違いの発生を抑制することが可能になる。
【0018】
より具体的に、本発明の特徴を説明する。例えば、POS端末での売上処理時、パン等のバーコードが貼付されていない商品の商品情報を登録する際には、お買い上げの商品に関する商品名に間違いがないことを顧客に確認してもらうために、従来オペレータは、商品名を発声し、場合によっては、販売個数等も発声しながら、POS端末の画面に表示された商品ボタンを押下操作して商品情報の登録を行う。ここで、商品情報の登録間違いが発生する場合がある。また、オペレータの習熟度が低い場合には、商品情報の登録に時間がかかる。
【0019】
このため、本発明においては、商品名等を発声するオペレータの音声から商品名を音声認識して、当該オペレータの商品ボタンの押下操作により入力した商品名と照合することにより、商品名の入力間違いを防止し、商品情報の登録間違いを防止することにしている。
【0020】
(本発明の実施形態)
次に、本発明の実施形態について、パン販売店における販売する商品の売上処理時の商品情報登録という具体例を用いてその一例を説明する。
【0021】
(実施形態の構成例)
まず、本発明の一実施形態であるPOS端末の構成例について、
図1を参照して説明する。
図1は、本発明によるPOS端末の構成の一例を示すブロック構成図である。
【0022】
すなわち、
図1に示すPOS端末100は、マイク1、音声入力部2、音声認識部3、プロセッサ4、音声認識辞書5、メモリ6、通信I/F(インターフェース)7、キーボード8、スキャナ9、オペレータ用表示部10、顧客用表示部11、タッチパネル12、プリンタ13およびドロワ14を備えて構成されている。なお、矢印線は、電気的に接続されていることを示している。
【0023】
マイク1には、オペレータ(店員)が発した音声が入力される。音声入力部2は、マイク1に入力された音声をデジタル音声情報に変換する。音声認識部3は、音声入力部2において変換されたデジタル音声情報に含まれている商品名を抽出して、抽出した商品名を音声認識辞書5にあらかじめ登録されている音声認識用の商品名と照合し、一致が取れた商品名を、音声認識された商品名として、プロセッサ4に通知する。
【0024】
また、プロセッサ4は、メモリ6に格納されている制御プログラムに基づいて動作し、POS端末100全体の制御を行う。なお、メモリ6には、該制御プログラムの他に、店舗において販売される全ての商品に関する商品名、商品コード、商品分類、販売価格(単価)等の情報を商品情報としてあらかじめ登録しているPLU(Price Look Up)ファイルや、各商品の販売結果を売上商品データとして登録する売上登録ファイルや、商品ボタンと商品名とを対応付けた商品ボタン商品名対応テーブルも格納されている。
【0025】
また、POS端末100は、通信I/F7を用いて、上位機器(
図1には示していない)等とLAN(Local Area Network)回線等を介してデータ通信を行う。キーボード8は、オペレータが操作する各種のキー(置数キー、取り消しキー、クリアキー、合計キー、締めきー等)が配置されていて、オペレータによって操作されたキー情報をデジタル情報に変換してプロセッサ4に通知する。また、スキャナ9は、商品に貼付されているバーコードを読み取り、読み取ったバーコードをデジタル情報に変換してプロセッサ4に通知する。スキャナ9は、必ずしも備える必要はない。
【0026】
また、オペレータ用表示部10には、顧客が購入しようとしている商品の商品名や販売価格(単価)等の情報、さらには、算出された合計金額等の情報が表示される。顧客用表示部11には、販売商品の商品名や販売価格(単価)や合計金額等の情報が表示される。タッチパネル12は、オペレータ用表示部10に取り付けられており、オペレータによる商品ボタンの押下操作を検知して、プロセッサ4に通知する。
【0027】
また、プリンタ13は、顧客に手渡すレシート等を印字する。ドロワ14には、顧客から受け取った現金等が収納される。
【0028】
(実施形態の動作例の説明)
次に、
図1に例示したPOS端末100に関する動作の一例を詳細に説明する。
【0029】
まず、顧客が商品棚に陳列されている商品(パン)の中から好みの商品(パン)を選択してトレーに載せ、POS端末100の設置場所(レジ)まで移動して会計(売上処理)を行うタイプの店舗において、売上処理時、販売商品(パン)に関する商品情報をPOS端末100で登録するまでの流れについて説明する。
【0030】
一般に、パン販売店(パン屋)においては、商品(パン)を陳列する商品棚と会計を行うためのPOS端末100の設置場所(レジカウンター)とが店舗内に配置されている。そして、商品棚に陳列されている商品(パン)の中から顧客が購入しようとする商品(パン)を選択する際には、顧客は、商品(パン)を選択してトレーに載せるという動作を繰り返し、
図2に示すように、今回購入しようとする全ての商品(パン)をトレーに載せ、会計を行うためにPOS端末100の設置場所(レジカウンター)まで移動する。
図2は、顧客が購入しようとする商品(パン)をトレーに載せた状態の一例を示す説明図である。
【0031】
ここで、パン販売店(パン屋)の店舗内に設置されているPOS端末100のオペレータ用表示部10の画面上には、
図3に示すように、パン販売店において扱っている商品(パン)の商品名を入力するための商品ボタン22を、商品ごとに画面表示することができる。
図3は、パン販売店の店舗内に設置されているPOS端末100のオペレータ用表示部10に画面表示される商品ボタンの一例を示す説明図である。
図3(A)は、POS端末100の斜視図である。
図3(B)は、
図3(A)のPOS端末100のオペレータ用表示部10の画面101に表示される商品ボタンの一例として、商品名の先頭がハ行である商品(パン)の表示例を示している。
【0032】
すなわち、
図3(B)に示すように、POS端末100のオペレータ用表示部10の画面101の上側には、商品名の先頭文字に基づいて、商品名を「ア」〜「ワ」までの行ごとに分類した分類シート21が配置されて表示されており、例えば分類シート21において「ハ」を選択すると、
図3(B)に一例を示すように、商品名の先頭がハ行である各商品(パン)に関する商品情報の登録を行うための商品ボタン22が一覧表示される。
【0033】
顧客が会計を行うためにPOS端末100の設置場所まで移動して、購入しようとして選択した商品(パン)を載せたトレーを、POS端末100のオペレータ(店員)に渡す。トレーを渡されたPOS端末100のオペレータ(店員)は、トレーに載っている商品(パン)に関する商品情報を、売上処理を行うために、以下のようにしてPOS端末100に登録する。オペレータ(店員)は、トレーに載っている商品(パン)を視認して、当該商品に関する商品情報の登録操作に間違いがないか否かを顧客に確認してもらうために、当該商品(パン)の商品名を発声するとともに、POS端末100のオペレータ用表示部10の画面101上の商品ボタン22の一覧のうち該当する商品ボタン22a(後述の
図4参照)を押下操作する。
【0034】
つまり、POS端末100のオペレータ(店員)は、トレーに載っている商品(パン)の商品名等を発声するとともに、POS端末100のオペレータ用表示部10の画面101の上側に表示されている分類シート21のうち、該当する商品(パン)の商品ボタンが掲載されている分類シート21を選択して、商品ボタン22の一覧を画面表示させ、しかる後、
図4に示すように、画面表示された当該商品(パン)に対応する商品ボタン22aを押下操作することによって、当該商品(パン)の商品名を入力する。
図4は、販売する商品(パン)の商品名を入力するためにオペレータが商品ボタン22aの押下操作を行っている動作の一例を説明するための説明図であり、販売しようとする商品(パン)が「バゲット」であり、オペレータが当該「バゲット」に対応する商品ボタン22aを押下操作した場合を例示している。
【0035】
なお、詳細は後述するが、商品情報の登録の前に、オペレータ(店員)が発声した商品名との照合が行われる。すなわち、オペレータ(店員)が発声した商品名と押下操作された商品ボタン22aの商品名との両者が一致している場合に、初めて、当該商品(パン)に関する商品情報を登録する。もし、両者が不一致であった場合には、間違った商品ボタン22aを押下操作した場合か、あるいは、発声した商品名が正しくないかまたは音声認識不可能であった場合であり、当該商品(パン)に関する商品情報の登録を行うことなく、再度、当該商品(パン)の登録動作をやり直す。
【0036】
トレーに載っている全ての商品(パン)に関する商品情報の登録が終了すると、オペレータは、顧客が購入する商品の合計金額を算出するための合計キーを押下操作して、顧客用表示部11に合計金額を画面表示して(ここで、商品名や単価等についても合わせて画面表示するようにしても良い)、顧客に対して提示する。合計金額を確認した顧客が支払代金の現金を用意している間に、オペレータ(店員)は、当該顧客が購入した全ての商品(パン)を買い物袋または買い物箱に詰める作業を行い、支払代金の現金を受け取って、受け取った金額を入力し、釣銭額を算出するために締めキー(締め処理を指示するキー)を押下操作する。その後、買い物袋または買い物箱を、プリンタから出力されたレシートやお釣りとともに顧客に引き渡す。しかる後、オペレータ(店員)は、受け取った現金をPOS端末100のドロワ14に収納し、一顧客に対する売上処理を終了する。
【0037】
次に、
図1に示すPOS端末100における売上処理時の商品情報登録処理の一例について、
図5のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
図5は、
図1に示すPOS端末100において、商品の商品情報を登録する際に実行される処理を説明するフローチャートである。
【0038】
顧客が、会計を行うためにPOS端末100の設置場所まで移動して、購入しようとして選択した商品(パン)を載せたトレーを、POS端末100のオペレータ(店員)に引き渡すと、前述したように、POS端末100のオペレータ(店員)は、トレーに載っている商品(パン)を視認して、その中の1品の商品名を発声する。オペレータの音声は、POS端末100のマイク1を介して音声入力部2に入力され、デジタル音声情報に変換され、音声認識部3に転送される(ステップS1のYES)。
【0039】
音声入力部2において変換されたデジタル音声情報が音声認識部3に転送されてくると、音声認識部3は、変換されたデジタル音声情報に含まれている商品名に関する情報を抽出して、抽出した商品名を音声認識辞書5にあらかじめ登録されている音声認識用の商品名と突き合わせることによって、当該商品に関する商品名を検出する音声認識動作を開始する(ステップS2)。デジタル音声情報に含まれている商品名と一致する音声認識辞書5の商品名を検出すると、発声された商品名に該当する商品が特定されたことになり、音声認識の動作を終了する(ステップS3)。なお、ここで、デジタル音声情報に含まれている商品名に関する情報と一致する商品名が音声認識辞書5の中に存在していなかった場合には、
図5のフローチャートに図示していないが、ステップS1に戻る。
【0040】
音声認識動作結果として、商品(パン)の商品名が特定されると、その旨の通知を受け取ったプロセッサ4は、次に、オペレータ用表示部10の画面101に表示されている商品ボタン22の中でいずれかの商品に対応する商品ボタン22をオペレータが押下操作したか否かを、タッチパネル12からのデータによって確認する(ステップS4)。
【0041】
プロセッサ4が、オペレータによりいずれかの商品ボタン22の押下操作がなされていることを検知した場合(ステップS4のYES)、オペレータにより押下操作された商品ボタン22に対応する商品名を、商品ボタン商品名対応テーブルを参照して特定し、特定した商品名と、音声認識部3により音声認識された商品名とを照合して、両者が一致しているか否かを確認する(ステップS5)。オペレータにより押下操作された商品ボタン22に対応する商品名と、音声認識部3により音声認識された商品名とが一致していた場合には(ステップS5のYES)、PLUファイルを参照して、該商品名の商品の商品情報(商品名や個数、販売価格等)をメモリ6の売上登録ファイルの締め処理前商品エリアに登録した後(ステップS6)、次の商品(パン)の商品情報を登録するため、ステップS1に戻る。なお、商品が複数の場合は、キーボードより個数を入力するようにしてもよい。また、商品(パン)の商品情報(商品名や個数、販売価格等)が、売上登録ファイルの締め処理前商品エリアに登録される際には、商品名等がオペレータ用表示部10の画面101上に画面表示される。
【0042】
一方、オペレータにより押下操作された商品ボタン22aに対応する商品名と、音声認識部3により音声認識された商品名とが一致していなかった場合には(ステップS5のNO)、オペレータにより押下操作された商品ボタン22と音声認識部3により音声認識された商品名に対応する商品ボタン22とのそれぞれを他の商品ボタンとは識別可能な状態(態様)にして、オペレータ用表示部10の画面101上に画面表示することにより、オペレータの入力ミスが発生した旨をオペレータに警告する(ステップS7)。その後、商品名の再入力指示を、オペレータ用表示部10の画面101上に画面表示して(ステップS8)、ステップS1に戻る。
【0043】
ここで、ステップS7においては、入力ミスの発生の詳細内容を示す情報として、例えば、それぞれの商品名に対応する商品ボタン22をそれぞれにあらかじめ定めた異なる態様に変更して、オペレータ用表示部10に画面表示する。異なる態様とは、商品ボタンの色を変える、商品ボタンの模様を変える、商品ボタンを点滅させる、商品ボタンの大きさを大きくする等である。また、ステップS8においては、オペレータに対する商品名の再入力の指示をオペレータ用表示部10の画面101上に表示する代わりに、あらかじめ定めた警告音を出力して、あるいは、商品名の再入力の指示をオペレータ用表示部10の画面101上に表示するとともに、さらに、あらかじめ定めた警告音を出力して、オペレータに警告するようにしても良い。
【0044】
オペレータは、オペレータ用表示部10に画面表示された商品名の再入力の指示の警告通知を視認すると、あるいは、商品名の再入力の指示の警告音の鳴動を確認すると、商品登録しようとしている商品に関する登録動作をやり直すために、再度、当該商品の商品名を発声する。
【0045】
また、ステップS4において、プロセッサ4が、オペレータによりいずれの商品ボタン22の押下操作もなされていない場合には(ステップS4のNO)、音声認識部3により音声認識された商品名に対応する商品ボタン22を、他の商品ボタン22とは識別可能な状態(態様)にして、オペレータ用表示部10の画面101上に画面表示する(ステップS9)。ここで、押下操作すべき商品ボタン22を他の商品ボタン22とは識別可能な状態(態様)にするとは、例えば、当該商品ボタン22の模様をあらかじめ定めた異なる模様に変更する、あるいは、当該商品ボタン22の表示色を変更する等である。
【0046】
オペレータは、当該商品ボタン22cを押下操作する。該商品ボタン22cの押下操作を検知すると、プロセッサ4は、ステップS5に移行(ステップS10のYES)して、音声認識部3により音声認識された商品に関する商品名との照合動作を行う。
【0047】
なお、
図5のステップS7において、オペレータにより押下操作された商品ボタン22aに対応する商品名と、音声認識部3により音声認識された商品名とが一致していなく、入力ミスが発生した旨をオペレータに警告するが、この際に、オペレータにより押下操作された商品ボタン22に対応する商品名と音声認識部3により音声認識された商品名とのそれぞれを識別可能な状態(態様)にしてオペレータ用表示部10に画面表示する一例について、
図6を用いて説明する。
図6は、オペレータにより押下操作された商品ボタン22に対応する商品名と音声認識部3により音声認識された商品名とが不一致の場合にオペレータの入力ミスを識別可能にする詳細な情報として商品ボタン22の模様を通常の状態から変化させてオペレータ用表示部10に画面表示する一例を示す説明図である。
【0048】
図6に示す画面表示例においては、商品ボタン22が通常は無地であるのに対し、オペレータにより押下操作された商品ボタン22aである「バゲット」が、画面左上に示すように、斜め格子の模様で表示されている。一方、音声認識された商品名に対応する商品ボタン22bである「バタール」が、画面右上に示すように、ドットが配された模様で表示されている場合を例示している。
【0049】
なお、
図6に示す画面表示例においては、オペレータにより押下操作された商品ボタン22aと音声認識された商品名に対応する商品ボタン22bとの両者が「ハ行」の同一分類シート内に存在している場合を例示しているが、かかる場合のみに限るものではなく、両者が互いに異なる分類シート内に存在している場合であっても良い。ここで、両者が互いに異なる分類シート内に存在している場合には、いずれか一方の商品ボタン22(例えばオペレータにより押下操作された商品ボタン22a)が収容されている分類シートをオペレータ用表示部10に画面表示し、画面を分割表示として、他方の商品ボタン22(例えば音声認識された商品に対応する商品ボタン22b)を表示する。もしくは、当該分類シート内に、他方の商品ボタン22(例えば音声認識された商品に対応する商品ボタン22b)がどの分類シートに収容されているかという情報を追加表示するようにしても良い。
【0050】
また、
図6に示す画面表示例においては、オペレータにより押下操作された商品ボタン22aと音声認識された商品名に対応する商品ボタン22bとのそれぞれをあらかじめ定めた模様として、両者を他の商品ボタン22とは識別可能な状態に画面表示している例を示したが、模様ではなく、両者を容易に識別することが可能であれば、如何なる表示方法を用いても良い。例えば、商品ボタンの色を変える、商品ボタンを点滅させる、商品ボタンの大きさを大きくする等して、両者を他の商品ボタン22とは識別可能な状態にして画面表示するようにしても良い。
【0051】
次に、
図5のステップS9において、音声認識が完了しているにも関わらず、オペレータによりいずれの商品ボタン22の押下操作もなされていないという状態である場合に、音声認識された商品名に対応する商品ボタン22cをオペレータ用表示部10に画面表示する一例について、
図7を用いて説明する。
図7は、オペレータによる商品ボタン22の押下操作が遅れている場合に、音声認識された商品名に対応する商品ボタン22cの模様を通常の状態から変化させてオペレータ用表示部10に画面表示する一例を示す図である。このように表示することによって、オペレータに対して、音声認識された商品に対応する商品ボタン22cを選択して直ちに押下操作すべきことを督促する。
【0052】
図7に示す画面表示例においては、商品ボタン22が通常は無地であるのに対し、オペレータによる押下操作が遅れており、オペレータが直ちに押下操作すべき商品ボタン22cが、画面左上に示すように、斜め格子の模様になっている「バゲット」である場合を例示している。
【0053】
而して、オペレータは、オペレータ用表示部10に、斜め格子の模様に変化して画面表示された商品ボタン22cに対応する商品名が、商品情報を登録しようとしている商品の商品名に一致していることを確認して、正しい商品名に対応する当該商品ボタン22cの押下操作を行う。このようにすることにより、オペレータの商品情報登録操作をサポートし、より早く、正しい商品情報を登録することができる。特に、習熟度の低いオペレータに有用である。
【0054】
なお、
図7に示す画面表示例においては、オペレータが直ちに押下操作すべき商品ボタン22cが収容されている分類シートがオペレータ用表示部10に画面表示されていた場合を例示しているが、当該商品ボタン22cが収容されている分類シートが画面表示されていなかった場合は、当該商品ボタン22cが収容されている分類シートに自動的に切り替えて、オペレータ用表示部10に画面表示する。
【0055】
また、
図7に示す画面表示例においては、オペレータによる押下操作が遅れている商品ボタン22cをあらかじめ定めた模様として、当該商品ボタン22cを他の商品ボタン22とは識別可能な状態に画面表示している例を示したが、模様ではなく、当該商品ボタン22cを容易に識別することが可能であれば、如何なる表示方法を用いても良い。例えば、商品ボタンの色を変える、商品ボタンを点滅させる、商品ボタンの大きさを大きくする等して、他の商品ボタン22とは識別可能な状態(態様)にして画面表示するようにしても良い。
【0056】
また、
図5のフローチャートにおいては、オペレータにより押下操作された商品ボタン22aに対応する商品名と、音声認識部3により音声認識された商品名とが一致していなかった場合には(ステップS5のNO)、オペレータの入力ミスが発生した旨をオペレータに警告した後(ステップS7)、入力ミスを解消するために、商品名の再入力の指示を、オペレータ用表示部10の画面101上に画面表示して(ステップS8)いるが、本発明は、以下のようにしてもよい。
【0057】
例えば、オペレータが、音声認識された商品名については正しく、商品ボタン22の押下操作ミスがあったものと判断した場合には、ステップS1に戻るのではなく、オペレータが、正しい商品名の商品ボタン22aを再度選択して、商品ボタン22を押下操作した後、ステップS5に復帰して、音声認識部3により音声認識された商品名との照合を行うようにしても良い。
【0058】
あるいは、逆に、オペレータが、押下操作された商品ボタン22aについては正しく、音声認識された商品名についてミスがあったものと判断した場合には、商品ボタン22aの再押下操作を割愛して、商品名の発声だけを再度行うようにしても良い。
【0059】
(他の実施形態の説明)
前述の
図5のフローチャートにおいては、オペレータが発声した商品名が音声認識辞書5に登録されていることを確認することができ、音声認識部3にて音声認識することができた場合について説明したが、ここでは、音声認識部3において、オペレータが発声した商品名の音声認識ができない場合の処理について、その一例を、
図8のフローチャートを用いて説明する。
図8は、
図1に示すPOS端末100における商品情報の登録処理の他の例を説明するフローチャートであり、オペレータが発声した商品名を音声認識部3において音声認識することができない場合を含めた処理例を示している。
【0060】
図8のフローチャートは、判断ボックスのステップS21とステップS22とにおける処理が、前述の
図5のフローチャートと異なっているのみであり、他の各ステップは、
図5の場合と全く同じ処理である。なお、
図8のステップS21は、
図5のステップS3と入れ替えたステップであり、ステップS22は、
図5のフローチャートに対して新たに追加したステップである。以下には、
図5のフローチャートと異なる処理を行うステップについて説明する。
【0061】
図8のフローチャートのステップS2において、音声認識部3が、オペレータが商品名を発声した結果のデジタル音声情報に含まれている商品名と同じ商品名が音声認識辞書5に登録されているか否かを検知する音声認識処理を開始すると、ステップS21に移る。そして、発声された商品名に該当する商品名が音声認識辞書5に登録されていたことを検知したか否か、すなわち、音声認識処理が成功裡に完了したか否かを確認する(ステップS21)。音声認識処理が完了したことを確認すると(ステップS21のYES)、ステップS4に移行して、以降、
図5のフローチャートと同様の処理を行う。一方、音声認識処理が成功裡に完了していない場合には(ステップS21のNO)、
図8に新たに追加したステップS22に移行する。
【0062】
ここで、ステップS2、ステップS21においては、音声認識部3にて実施される音声認識処理として、オペレータが発声した音声のデジタル音声情報に含まれている音声認識用の商品名が、音声認識辞書5に登録されている商品名と完全一致であるか否かを判定するという処理を行っている。
【0063】
音声認識して、商品名の違いを識別して商品を特定する場合、例えば、次の(A)、(B)、(C)に示す3種類の音声認識方式がある。
(A)「前方照合」方式:商品を特定することが可能になるまで先頭から順次音声認識辞書5と照合して商品を特定する。
(B)「音節一致」方式:音節単位で音声認識辞書5と照合して商品を特定する。
(C)「完全一致」方式:音声入力した商品名全体を音声認識辞書5と照合して商品を特定する。
【0064】
例えば、商品(パン)の商品名として、「パン・オ・ショコラ」と「パン・オ・ルヴァン」とを区別して商品を特定する場合、前述の3種類の音声認識方式それぞれにおいては、次の表1にアンダーラインを付した部分を用いて、商品を特定する音声認識を行う。
【0066】
方法(A)の「前方照合」方式の場合、先頭から「パン・オ・シ」または「パンシ」までを音声認識辞書5と照合することにより、商品「パン・オ・ショコラ」と特定することができ、「パン・オ・ル」または「パンル」までを音声認識辞書5と照合することにより、商品「パン・オ・ルヴァン」と特定することができる。
【0067】
また、方法(B)の「音節一致」方式の場合、音節「ショコラ」を音声認識辞書5と照合することにより、商品「パン・オ・ショコラ」と特定することができ、音節「ルヴァン」を音声認識辞書5と照合することにより、商品「パン・オ・ルヴァン」と特定することができる。
【0068】
また、方法(C)の「完全一致」方式の場合、音声入力に含まれている商品名「パン・オ・ショコラ」全体を音声認識辞書5と照合することにより、商品「パン・オ・ショコラ」と特定することができ、音声入力に含まれている商品名「パン・オ・ルヴァン」全体を音声認識辞書5と照合することにより、商品「パン・オ・ルヴァン」と特定することができる。本実施形態では、この「完全一致」方式を採用している。
【0069】
図8のフローチャートの説明に戻って、ステップS21において音声認識処理が成功裡に完了していなく(ステップS21のNO)、ステップS22に移行すると、プロセッサ4は、次に、オペレータ用表示部10の画面101に表示されている商品ボタン22の中からいずれかの商品に関する商品ボタン22aをオペレータが押下操作したか否かを、タッチパネル12からのデータによって確認する(ステップS22)。
【0070】
プロセッサ4が、オペレータによりいずれかの商品ボタン22aの押下操作があったことを検知した場合(ステップS22のYES)、オペレータが押下操作した商品ボタン22が正しい商品名に対応するものであるとして、ステップS6に移行して、商品ボタンに対応する商品名の商品の商品情報を登録する。
【0071】
一方、オペレータによりいずれの商品ボタン22aの押下操作もなされていない場合には(ステップS22のNO)、ステップS1に戻る。
【0072】
すなわち、
図8のフローチャートにおいては、音声認識部3において、音声認識辞書5を検索した結果、オペレータが発声して音声入力した商品名に一致する商品名を検出することができず、オペレータが発声した商品名の音声認識ができなかった場合には、音声認識結果を利用することなく、オペレータが押下操作した商品ボタン22に対応する商品名の商品の商品情報を登録する。つまり、音声認識部3の音声認識方式として、前述したように、オペレータが発声した商品名と音声認識辞書5に登録されている商品名との完全一致方式を採用しているので、音声認識を成功裡に完了させることができなく、商品名を特定することができなかった場合には、音声認識に係る特別な動作は行わない。このように処理するのは、現状の音声認識技術は音声認識率を100%にすることが困難であること、また、音声認識には時間を要するが、習熟したオペレータであれば、商品ボタン22の押下操作を用いた商品情報登録の方が遥かに速く、登録ミスも稀であるという事情による。
【0073】
なお、「完全一致」方式を採用しているので、オペレータが商品名以外の言葉を発していた場合には、音声認識部3における音声認識動作結果として、商品名と完全一致することがないので、無視されることになる。したがって、音声認識部3における音声認識動作の開始を指示するために、例えば音声認識開始ボタンのような特別のボタン操作を用意する必要はない。つまり、音声入力部2からのデジタル音声情報の入力が発生する都度、音声認識部3における音声認識動作を自動的に開始する。
【0074】
また、上記の他の実施形態では、「完全一致」方式を採用したが、「前方照合」方式や「音節一致」方式を採用してもよい。
【0075】
また、上記の実施形態や他の実施形態では、商品名を「パン・オ・ショコラ」等として記載しているが、商品名はこのようなものに限るのではない。例えば、「1番」、「2番」・・・・・という商品名や「ナンバー1」、「ナンバー2」・・・・・という商品名であってもよい。
【0076】
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては、以下のような効果を得ることができる。
【0077】
第1に、販売する商品に関する商品情報をPOS端末100にオペレータが登録する際に、オペレータが発声した商品名の音声認識結果とオペレータの商品ボタン22の押下操作による商品名の入力結果とを照合して、両者が一致した場合に、商品情報を登録するので、販売する商品に関する商品情報の登録間違いの発生を抑制することができる。
【0078】
第2に、オペレータの操作ミスにより、商品ボタン22の押下操作による商品名と音声認識結果による商品名とが異なっていた場合には、押下操作された商品ボタン22と音声認識結果に対応する商品ボタン22とを、他の商品ボタンとは異なる態様で画面表示して、オペレータに提示するとともに、操作ミスの旨の警告を出力するので、オペレ−タは、操作ミスを容易に修正することができる。
【0079】
第3に、オペレータが発声した商品名の音声認識が完了しても商品ボタンの押下操作が行われていない場合、音声認識結果に応じてPOS端末100の画面101に表示される商品ボタン22を他の商品ボタン22とは識別可能な態様で表示するので、当該POS端末100の操作に習熟していないオペレータであっても、押下操作すべき商品ボタン22を直ちに認識することができ、顧客の待ち時間を減らすことができる。また、商品ボタン22の選択を音声認識によって補助することにより、当該POS端末100に関する作業について、オペレータの習熟度の向上も期待できる。
【0080】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。