(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車体に取り付けられてエンジン(21)の冷却水を貯留するラジエータリザーブタンク(41)と、左右一組の板状の部品であり前記エンジン(21)を車体フレーム(5)に取り付けるエンジンハンガープレート(17)とを備えた鞍乗り型車両(1)において、
前記ラジエータリザーブタンク(41)が前記一組のエンジンハンガープレート(17)の間に配置されるとともに、
前記エンジンハンガープレート(17)が左右一対に設けられ、該左右一対のエンジンハンガープレート(17)のそれぞれに前記ラジエータリザーブタンク(41)が取り付けられることを特徴とする鞍乗り型車両。
車体に取り付けられてエンジン(21)の冷却水を貯留するラジエータリザーブタンク(41)と、左右一組の板状の部品であり前記エンジン(21)を車体フレーム(5)に取り付けるエンジンハンガープレート(17)とを備えた鞍乗り型車両(1)において、
前記ラジエータリザーブタンク(41)が前記一組のエンジンハンガープレート(17)の間に配置されるとともに、
前記車体フレーム(5)が、ヘッドパイプ(6)から後方へ延びるメインチューブ(12)と、前記メインチューブ(12)の後部から前記エンジン(21)のクランクケース(22)の後方を下方へ延びる左右一対のピボットプレート(11)と、前記左右ピボットプレート(11)間を連結するクロスフレーム(16)とを有し、
前記左右エンジンハンガープレート(17)が、前記クロスフレーム(16)から前方へ延出して前記クランクケース(22)の後部に締結され、
前記ラジエータリザーブタンク(41)が、左右側方を前記左右エンジンハンガープレート(17)に、前方を前記クランクケース(22)に、後方を前記クロスフレーム(16)にそれぞれ囲まれて配置されることを特徴とする鞍乗り型車両。
前記ラジエータリザーブタンク(41)に設けた左右取り付け部(46,47)の一方が前記エンジンハンガープレート(17)に締結によって固定され、他方が前記エンジンハンガープレート(17)の縁部に差し込まれることで固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両。
車体左右一側に設けられて該一側に車体を傾けて支持するサイドスタンド(34)を備え、前記ラジエータリザーブタンク(41)の給水口(43a)が車体左右他側に設けられることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の鞍乗り型車両。
エンジン始動用のキックペダル(51)を備え、前記キックペダル(51)の格納時に該キックペダル(51)が車体側面視で前記ラジエータリザーブタンク(41)の給水口(43a)を覆うことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の鞍乗り型車両。
前記ラジエータリザーブタンク(41)が、前記エンジン(21)における前記エンジンハンガープレート(17)に支持されるボス部(22a)の後方に配置されることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の鞍乗り型車両。
前記左右ピボットプレート(11)の後方にリアクッション(19)が上下に延びるように配置され、前記リアクッション(19)の前方に前記ラジエータリザーブタンク(41)が配置されることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両。
前記エンジン(21)の吸気系のエアクリーナボックス(27)が、前記ラジエータリザーブタンク(41)の上方に配置されることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の鞍乗り型車両。
後端部に後輪(8)を軸支すると共に前端部(9a)を前記左右ピボットプレート(11)にピボットシャフト(10)を介して支持されるスイングアーム(9)を備え、前記スイングアーム(9)の前端部(9a)及びピボットシャフト(10)を含むピボット部(9b)が、前記ラジエータリザーブタンク(41)の下方に配置されることを特徴とする請求項2又は8に記載の鞍乗り型車両。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の構成においては、ラジエータリザーブタンクが車体フレームの外側に配置されており、車体外方からの影響を受けないようにカバーが必要となるという課題がある。
【0005】
そこで本発明は、鞍乗り型車両において、ラジエータリザーブタンクのカバーを不要にしつつ、ラジエータリザーブタンクへの外乱の影響を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、車体に取り付けられてエンジン(21)の冷却水を貯留するラジエータリザーブタンク(41)と、左右一組の板状の部品であり前記エンジン(21)を車体フレーム(5)に取り付けるエンジンハンガープレート(17)とを備えた鞍乗り型車両(1)において、前記ラジエータリザーブタンク(41)が前記一組のエンジンハンガープレート(17)の間に配置される
とともに、前記エンジンハンガープレート(17)が左右一対に設けられ、該左右一対のエンジンハンガープレート(17)のそれぞれに前記ラジエータリザーブタンク(41)が取り付けられることを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、車体に取り付けられてエンジン(21)の冷却水を貯留するラジエータリザーブタンク(41)と、左右一組の板状の部品であり前記エンジン(21)を車体フレーム(5)に取り付けるエンジンハンガープレート(17)とを備えた鞍乗り型車両(1)において、前記ラジエータリザーブタンク(41)が前記一組のエンジンハンガープレート(17)の間に配置されるとともに、前記車体フレーム(5)が、ヘッドパイプ(6)から後方へ延びるメインチューブ(12)と、前記メインチューブ(12)の後部から前記エンジン(21)のクランクケース(22)の後方を下方へ延びる左右一対のピボットプレート(11)と、前記左右ピボットプレート(11)間を連結するクロスフレーム(16)とを有し、前記左右エンジンハンガープレート(17)が、前記クロスフレーム(16)から前方へ延出して前記クランクケース(22)の後部に締結され、前記ラジエータリザーブタンク(41)が、左右側方を前記左右エンジンハンガープレート(17)に、前方を前記クランクケース(22)に、後方を前記クロスフレーム(16)にそれぞれ囲まれて配置されることを特徴とする。
なお、前記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車のみならず三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両も含まれる。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記エンジンハンガープレート(17)が左右一対に設けられ、該左右一対のエンジンハンガープレート(17)のそれぞれに前記ラジエータリザーブタンク(41)が取り付けられることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、前記ラジエータリザーブタンク(41)に設けた左右取り付け部(46,47)の一方が前記エンジンハンガープレート(17)に締結によって固定され、他方が前記エンジンハンガープレート(17)の縁部に差し込まれることで固定されることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、車体左右一側に設けられて該一側に車体を傾けて支持するサイドスタンド(34)を備え、前記ラジエータリザーブタンク(41)の給水口(43a)が車体左右他側に設けられることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、エンジン始動用のキックペダル(51)を備え、前記キックペダル(51)の格納時に該キックペダル(51)が車体側面視で前記ラジエータリザーブタンク(41)の給水口(43a)を覆うことを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、前記ラジエータリザーブタンク(41)が、前記エンジン(21)における前記エンジンハンガープレート(17)に支持されるボス部(22a)の後方に配置されることを特徴とする。
【0008】
請求項7に記載した発明は、前記ラジエータリザーブタンク(41)が、リアクッション(19)の前方に配置されることを特徴とする。
請求項8に記載した発明は、前記左右ピボットプレート(11)の後方にリアクッション(19)が上下に延びるように配置され、前記リアクッション(19)の前方に前記ラジエータリザーブタンク(41)が配置されることを特徴とする。
請求項9に記載した発明は、前記エンジン(21)の吸気系のエアクリーナボックス(27)が、前記ラジエータリザーブタンク(41)の上方に配置されることを特徴とする。
請求項10に記載した発明は、後端部に後輪(8)を軸支すると共に前端部(9a)を前記左右ピボットプレート(11)にピボットシャフト(10)を介して支持されるスイングアーム(9)を備え、前記スイングアーム(9)の前端部(9a)及びピボットシャフト(10)を含むピボット部(9b)が、前記ラジエータリザーブタンク(41)の下方に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1,2に記載した発明によれば、ラジエータリザーブタンクへの外乱を一組のエンジンハンガープレートによって抑止でき、カバーを廃止して部品点数削減を図ることができる。
請求項1に記載した発明によれば、ラジエータリザーブタンクを左右エンジンハンガープレートに振り分けて取り付けることができ、ラジエータリザーブタンクの固定を確実にできる。
請求項2に記載した発明によれば、ラジエータリザーブタンクの周囲を車体フレーム及びエンジンで保護できる。
請求項3に記載した発明によれば、ラジエータリザーブタンクの左右取り付け部の一方のみを締結構造としてラジエータリザーブタンクの着脱を容易にし、かつ左右取り付け部間の誤差の吸収も容易にできる。
請求項4に記載した発明によれば、サイドスタンドを使った駐車時のラジエータリザーブタンクへの給水を容易にできる。
請求項5に記載した発明によれば、キックペダルを格納しての走行時にキックペダルでラジエータリザーブタンクの給水口を覆うことができ、給水口周辺を保護して別途カバーを設けることを不要にし、かつキックペダルを引き出すのみで給水等のメンテナンスを可能にできる。
請求項6に記載した発明によれば、エンジンのボス部によってラジエータリザーブタンクの前面を保護できる。
請求項7に記載した発明によれば、リアクッションによってラジエータリザーブタンクの後面を保護できる。
請求項8に記載した発明によれば、リアクッションによってラジエータリザーブタンクの後面を保護できる。
請求項9に記載した発明によれば、エアクリーナボックスによってリザーブタンクの上面を保護できる。
請求項10に記載した発明によれば、スイングアームのピボット部によってラジエータリザーブタンクの下面を保護できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UPが示されている。
【0012】
図1に示す自動二輪車1(鞍乗り型車両)において、その前輪2は左右一対のフロントフォーク3の下端部に軸支される。左右フロントフォーク3の上部は、ステアリングステム4を介して車体フレーム5前端のヘッドパイプ6に操向可能に枢支される。ステアリングステム4の上部には、前輪転舵用のハンドル7が取り付けられる。自動二輪車1の後輪8は、スイングアーム9の後端部に軸支される。
【0013】
スイングアーム9の前端部9aは、車体前後中間部の左右ピボットプレート11にピボットシャフト10を介して上下揺動可能に枢支される。以下、スイングアーム9の前端部9a及びピボットシャフト10を合わせてピボット部9bという。スイングアーム9の前部下側にはリンク機構18が取り付けられ、このリンク機構18を介してリアクッション19の下端部がスイングアーム9に取り付けられる。リアクッション19の上端部は車体フレーム5のクロスフレーム16に軸支される。
【0014】
車体フレーム5は、ヘッドパイプ6の上部から斜め下後方へ延びる左右一対のメインチューブ12と、左右メインチューブ12の後端部から下方へ延びる左右一対のピボットプレート11と、ヘッドパイプ6の下部からメインチューブ12よりも急傾斜をなして斜め下後方へ延びる左右一対のダウンフレーム13と、左右メインチューブ12の後部から斜め上後方へ延びる左右一対のシートレール14と、左右ピボットプレート11の上部後側からシートレール14よりも急傾斜をなして斜め上後方へ延びるサポートパイプ15とを有する。
【0015】
ダウンフレーム13は、メインチューブ12の前部との間に傾斜パイプ13aを架け渡してトラス構造を形成する。ダウンフレーム13の下方にはハンガーフレーム13bが取り付けられる。ハンガーフレーム13bの下端部には、車体フレーム5の内方に搭載したエンジン21のクランクケース22の前端部下側が支持される。クランクケース22の後端部下側は、左右ピボットフレームの下端部に支持される。クランクケース22の後端部上側は、左右ピボットプレート11の上部間を連結するクロスフレーム16から斜め下前方に延びる左右一対のエンジンハンガープレート17の前端部に支持される。
【0016】
エンジン21は、クランクケース22の前部上方にやや前傾姿勢のシリンダ及びシリンダヘッド23を立設する。シリンダヘッド23の前部には排気管24が接続され、該排気管24がクランクケース22の前方及び下方を通過するように湾曲し、車体後部右側に配設されたサイレンサ25に接続される。シリンダヘッド23の後部には吸気系部品であるスロットルボディ26及びエアクリーナボックス27が順に接続される。
【0017】
なお、図中符号28は左右シートレール14上に支持されるシートを、符号29はシート28前方で車体フレーム5に支持される燃料タンクを、符号31は車体前部両側に取り付けられるシュラウドを、符号32は車体前後中間部両側に取り付けられるセンタサイドカバーを、符号33は車体後部に取り付けられるリアカウルを、符号34は車体を左側に傾斜した起立状態で支持するサイドスタンドをそれぞれ示す。
【0018】
ステアリングステム4には、ヘッドランプ36、左右フロントウインカ37、メータ装置38及びフロントカウル35が支持され、これらがステアリングステム4と共にヘッドパイプ6中心に回動可能とされる。
フロントカウル35は、ヘッドランプ36周辺を覆うカウル本体35aと、カウル本体35aの上方に連なりメータ装置38を覆うメータカバー35bと、カウル本体35aの左右両側に取り付けられる左右サイドカウル35cとを有する。
【0019】
図9を併せて参照し、ヘッドランプ36は、その灯体を形成するハウジング36a及びレンズカバー36bを有する。ハウジング36aは、ステアリングステム4のトップブリッジ4a及びボトムブリッジ4bに渡る支持ステー4cの左右側部に、左右外側方から螺着した上下一対のネジ4dによりそれぞれ締結固定される。各ネジ4dはサイドカウル35cにより覆われ、外観性向上及び悪戯防止を図っている。サイドカウル35cを取り外すことで、バルブ
交換及び光軸調整等のメンテナンスを容易にできる。
【0020】
図1を参照し、左右シュラウド31間には、エンジン冷却用のラジエータ39が配置され、このラジエータ39に連通するラジエータリザーブタンク41が、左右エンジンハンガー間に配置される。
【0021】
図2〜4を参照し、ラジエータリザーブタンク41は、冷却水を貯留するタンク本体42の右上方に給水ノズル43を延出する。給水ノズル43の先端開口(給水口43a)は、格納状態にあるキックペダル51の車幅方向(左右方向)内側に配置される。図中符号43bは給水ノズル43の給水口43aに取り付くキャップを示す。タンク本体42の右上端部にはブリーザホース用の上ホース取り付け部44が凸設され、タンク本体42の右下端部にはラジエータ39に至る連結ホース用の下ホース取り付け部45が凸設される。
図3他の符号CLは車体左右中心線を示す。
【0022】
タンク本体42の右側部には、右エンジンハンガープレート17の上縁部に対する係止部46が設けられ、この係止部46が右エンジンハンガープレート17の上縁部に上方から差し込まれて固定される。タンク本体42の左側部には、左エンジンハンガープレート17に固設されたブラケット17aに対する締結部47が設けられ、この締結部47に前方から挿通したネジ17bがブラケット17aに螺着されて固定される。
【0023】
この状態で、ラジエータリザーブタンク41の左右には左右エンジンハンガープレート17がそれぞれ配置され、ラジエータリザーブタンク41の上下にはエアクリーナボックス27及びピボット部9bがそれぞれ配置され、ラジエータリザーブタンク41の下部前方はエンジン21のクランクケース22における左右エンジンハンガープレート17に支持されるボス部22aが配置され、ラジエータリザーブタンク41の後方にはリアクッション19の上部が配置される。ラジエータリザーブタンク41の給水ノズル43の給水口43aの車幅方向外側には、格納状態にあるキックペダル51の上部が配置される。
【0024】
図4を参照し、キックペダル51は、クランクケース22の右側面の後部に突出するキックスピンドル22bに嵌合するジョイント部52と、ジョイント部52にキックスピンドル22bと直交する軸中心で回動可能に支持されるアーム部53とを有する。アーム部53の先端部はペダル本体53aとされ、このペダル本体53aを含むアーム部53の先端側が、キックペダル51の格納状態で車幅方向内側に入り込んで給水ノズル43の給水口43a周辺を覆う。
【0025】
キックペダル51は、ジョイント部52に対してアーム部53を回動させることで、図中実線で示す格納状態から、ペダル本体53aを車幅方向外側に張り出させた使用状態(図中鎖線で符号51’で示す)に変化する。キックペダル51は、前記使用状態でペダル本体53aが踏み降ろされることで、キックスピンドル22bを回動させてエンジン21を始動させる。踏み降ろされたキックペダル51(図中鎖線で符号51”で示す)は、右ピボットプレート11に固設されたストッパ54にジョイント部52の当接部52aを当接させることで、ブレーキペダル55等に干渉する前に回動を停止する。
【0026】
図5を参照し、左右シュラウド31は、それぞれ二部材で構成される。以下、左右シュラウド31は特に記載がなければ左右対称の構成を有し、以下、
図5を参照して左シュラウド31を例に説明する。
【0027】
シュラウド31は、側面視で前方に凸のV字状をなすアウタシュラウド61と、アウタシュラウド61の上辺部分と重なる上辺部62a及びその前端部から下方に延びる前辺部62bを有する側面視L字状のインナシュラウド62とを有する。アウタシュラウド61は、計五箇所が車幅方向内側から螺着したネジ等の固定部材61aによりインナシュラウド62に固定されると共に、下辺部分の後端部が車体フレーム5に係止ピン等の後端固定部材61bにより固定される。インナシュラウド62は、その上辺部62aの前後中間部及び前辺部62bの下端部に車体フレーム5への締結部62cを有すると共に、上辺部62aの後端部に燃料タンク29への係止部62dを有する。
【0028】
アウタシュラウド61は主にフロントフォーク3の車幅方向外側から走行風を取り入れる部位を構成し、インナシュラウド62は主にラジエータ及び運転者に向けて走行風を流す部位を構成する。シュラウド31の上部はアウタシュラウド61及びインナシュラウド62の組み合わせで構成され、シュラウド31の下部はインナシュラウド62のみで構成される。これは、左右シュラウド31の下部がラジエータ39の側方に隣接しているためである。
【0029】
シュラウド31は、まずアウタシュラウド61とインナシュラウド62とを結合して車体に取り付ける。シュラウド31の車体への取り付け部は、アウタシュラウド61及びインナシュラウド62のそれぞれに設定し、強度バランスを保っている。
【0030】
図6を併せて参照し、インナシュラウド62の前部の車幅方向内側には、前後方向と略直交する立壁部63が形成される。左シュラウド31において、立壁部63の後方にはホーン64が配置され、このホーン64を車両前方に臨ませるべく、左シュラウド31のインナシュラウド62の立壁部63には切り欠き部65が形成される。これにより、警告音が効率よく前方に向かうようにしている。右シュラウド31の立壁部63における切り欠き部65と左右対称をなす部位には、スリット66aを有する導風部66が形成され、走行風の流れが左右同等になるようにしている。
【0031】
フロントカウル35は左右フロントフォーク3に固定しているので、左右操舵時には左右シュラウド31に近付く。
図6に示すように、フロントカウル35の左右全幅は、左右フロントフォーク3の外側部間の全幅程度に抑えられる。特に、フロントカウル35の左右幅は、下方に向けて先細りとされる。
図1に示すように、シュラウド31は、側面視でフロントフォーク3と重なるまで前方に延びるが、フロントカウル35の左右幅が抑えられることで、左右シュラウド31の左右の広がりが抑えられる。シュラウド31の前端部の高さはフロントカウル35の下端部の高さと同等であり、側面視でシュラウド31とフロントカウル35との一体感が得られる。
【0032】
図1,7,8を参照し、リアカウル33は、左右両側部を構成する左右リアサイドカバー71と、左右リアサイドカバー71の上縁部間に渡るリアセンターカバー72とに分割される。左右リアサイドカバー71は左右シートレール14等に締結等により固定される。リアセンターカバー72は左右リアサイドカバー71の上縁部に対して着脱自在であり、リアフェンダ75の上部左側に配したキーシリンダ73の施錠解除操作によりシート28を外した後、容易に取り外し可能である。図中符号74はシート28後方で左右シートレール14に跨るアシストグリップを、符号76は左右リアウインカをそれぞれ示す。
【0033】
図7,8を参照し、リアカウル33の後端部内側には、車両後方にレンズ面を向けるテールランプ77が支持される。テールランプ77は、その灯体を形成するハウジング78及びレンズカバー79を有する。ハウジング78は左右シートレール14の後端部間に渡るクロスブラケット14a等に固定され、このハウジング78の後端開口にレンズカバー79が取り付けられる。レンズカバー79は、その上下がそれぞれ左右一対のネジ79aによりハウジング78に締結される。レンズカバー79下側のネジ79aは、リアフェンダの上端部両側に形成された凹部79bを通じて後方から着脱可能とされる。レンズカバー79上側のネジ79aは、シート28及びリアセンターカバー72を取り外すことで着脱可能となる。目立ち易いレンズカバー79上側のネジ79aはリアセンターカバー72で覆うことで、外観性向上及び悪戯防止を図っている。リアセンターカバー72はシート28と共に容易に着脱可能である。
【0034】
以上説明したように、上記実施形態における自動二輪車1は、車体に取り付けられてエンジン21の冷却水を貯留するラジエータリザーブタンク41と、左右一組の板状の部品でありエンジン21を車体フレーム5に取り付けるエンジンハンガープレート17とを備えた鞍乗り型車両において、ラジエータリザーブタンク41が一組のエンジンハンガープレート17の間に配置される。
この構成によれば、ラジエータリザーブタンク41への外乱を一組のエンジンハンガープレート17によって抑止でき、カバーを廃止して部品点数削減を図ることができる。
【0035】
また、上記自動二輪車1は、エンジンハンガープレート17が左右一対に設けられ、該左右一対のエンジンハンガープレート17のそれぞれにラジエータリザーブタンク41が取り付けられる。
この構成によれば、ラジエータリザーブタンク41を左右エンジンハンガープレート17に振り分けて取り付けることができ、ラジエータリザーブタンク41の固定を確実にできる。
【0036】
また、上記自動二輪車1は、ラジエータリザーブタンク41に設けた左右取り付け部の一方がエンジンハンガープレート17に締結によって固定され、他方がエンジンハンガープレート17の縁部に差し込まれることで固定される。
この構成によれば、ラジエータリザーブタンク41の左右取り付け部の一方のみを締結構造としてラジエータリザーブタンク41の着脱を容易にし、かつ左右取り付け部間の誤差の吸収も容易にできる。
【0037】
また、上記自動二輪車1は、車体左右一側に設けられて該一側に車体を傾けて支持するサイドスタンド34を備え、ラジエータリザーブタンク41の給水口43aが車体左右他側に設けられる。
この構成によれば、サイドスタンド34を使った駐車時のラジエータリザーブタンク41への給水を容易にできる。
【0038】
また、上記自動二輪車1は、エンジン始動用のキックペダル51を備え、キックペダル51の格納時に該キックペダル51が車体側面視でラジエータリザーブタンク41の給水口43aを覆う。
この構成によれば、キックペダル51を格納しての走行時にキックペダル51でラジエータリザーブタンク41の給水口43aを覆うことができ、給水口43a周辺を保護して別途カバーを設けることを不要にし、かつキックペダル51を引き出すのみで給水等のメンテナンスを可能にできる。
【0039】
また、上記自動二輪車1は、ラジエータリザーブタンク41が、エンジン21におけるエンジンハンガープレート17に支持されるボス部22aの後方に配置される。
この構成によれば、エンジン21のボス部22aによってラジエータリザーブタンク41の前面を保護できる。
【0040】
また、上記自動二輪車1は、ラジエータリザーブタンク41が、リアクッション19の前方に配置される。
この構成によれば、リアクッション19によってラジエータリザーブタンク41の後面を保護できる。
【0041】
また、上記自動二輪車1は、車体フレーム5が、ヘッドパイプ6から後方へ延びるメインチューブ12と、メインチューブ12の後部からエンジン21のクランクケース22の後方を下方へ延びる左右一対のピボットプレート11と、左右ピボットプレート11間を連結するクロスフレーム16とを有し、左右エンジンハンガープレート17が、クロスフレーム16から前方へ延出してクランクケース22の後部に締結され、ラジエータリザーブタンク41が、左右側方を左右エンジンハンガープレート17に、前方をクランクケース22に、後方をクロスフレーム16にそれぞれ囲まれて配置される。
この構成によれば、ラジエータリザーブタンク41の周囲を車体フレーム5及びエンジン21で保護できる。
【0042】
また、上記自動二輪車1は、左右ピボットプレート11の後方にリアクッション19が上下に延びるように配置され、該リアクッション19の前方にラジエータリザーブタンク41が配置される。
この構成によれば、リアクッション19によってラジエータリザーブタンク41の後面を保護できる。
【0043】
また、上記自動二輪車1は、エンジン21の吸気系のエアクリーナボックス27が、ラジエータリザーブタンク41の上方に配置される。
この構成によれば、エアクリーナボックス27によってラジエータリザーブタンク41の上面を保護できる。
【0044】
また、上記自動二輪車1は、後端部に後輪8を軸支すると共に前端部9aを左右ピボットプレート11にピボットシャフト10を介して支持されるスイングアーム9を備え、スイングアーム9の前端部9a及びピボットシャフト10を含むピボット部9bが、ラジエータリザーブタンク41の下方に配置される。
この構成によれば、スイングアーム9のピボット部9bによってラジエータリザーブタンク41の下面を保護できる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、本発明の鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車のみならず三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両も含まれる。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。