(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6004910
(24)【登録日】2016年9月16日
(45)【発行日】2016年10月12日
(54)【発明の名称】車両用バックドアの補強構造
(51)【国際特許分類】
B60J 5/00 20060101AFI20160929BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20160929BHJP
【FI】
B60J5/00 P
B60J5/10
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-254993(P2012-254993)
(22)【出願日】2012年11月21日
(65)【公開番号】特開2014-101055(P2014-101055A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 純一郎
【審査官】
岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−101740(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0280533(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00
B60J 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製インナ部材(5)及び樹脂製アウタ部材(7)の各々の外周縁部を接着剤(9)で接着してなる車両用バックドアの補強構造であって、
上記インナ部材(5)には、上記アウタ部材(7)側に開口する凹条溝部(51)が外周縁部に沿って設けられ、
該凹条溝部(51)には、当該凹条溝部(51)とは別体に形成された、厚み方向に変形容易な薄肉の帯状補強部材(53)が、両側面を上記凹条溝部の溝側面にそれぞれ対面させて嵌入され、
上記凹条溝部(51)の互いに対向する一対の上記溝側面の両方が、上記帯状補強部材(53)の対面する側面に当接し、上記帯状補強部材(53)の厚み方向の撓みを規制することを特徴とする車両用バックドアの補強構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用バックドアの補強構造において、
上記インナ部材(5)の車幅方向両側には、バックドア(1)開閉用の開閉ダンパ(31)を取り付けるためのダンパ取付剛性部材(33)が固定され、
上記インナ部材(5)の下端中央部には、バックドア(1)閉状態保持用のロック装置のラッチを取り付けるためのラッチ取付剛性部材(47)が固定され、
上記帯状補強部材(53)の長手方向上端は上記ダンパ取付剛性部材(33)に、長手方向下端は上記ラッチ取付剛性部材(47)にそれぞれ連結部材(57,59)で連結されていることを特徴とする車両用バックドアの補強構造。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用バックドアの補強構造において、
上記帯状補強部材(53)は、上記ダンパ取付剛性部材(33)又はラッチ取付剛性部材(47)の近傍で上記凹条溝部(51)から外れて厚み方向の撓みを許容して長さ調整可能になっていることを特徴とする車両用バックドアの補強構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用バックドアの補強構造において、
上記帯状補強部材(53)は、上記インナ部材(5)及びアウタ部材(7)の各々の外周縁部を接着する接着剤(9)で上記凹条溝部(51)内に固定されていることを特徴とする車両用バックドアの補強構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用バックドアの補強構造において、
上記凹条溝部(51)の溝側面は、互いに角度が異なって連続する面を有し、
上記帯状補強部材(53)には、上記角度が異なって連続する面に沿うように厚み方向に2重に折り返された2重折返部(61)が形成されていることを特徴とする車両用バックドアの補強構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用バックドアの補強構造において、
上記インナ部材(5)には、上記凹条溝部(51)のうち当該インナ部材(5)の内方に位置する溝側面を形成するリブ(49)と、該リブ(49)を補強する複数個の補強片部(49a)とが一体に形成されていることを特徴とする車両用バックドアの補強構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用バックドアの補強構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、樹脂製インナ部材及び樹脂製アウタ部材の各々の外周縁部を接着剤で接着してなる車両用バックドアが開示されている。このバックドアは、金属パイプからなる矩形環状の補強部材が上記インナ部材内面の外周縁部に沿って取り付けられて剛性を確保するようにしている。この補強部材には、ヒンジブラケット、ダンパブラケット及びロックブラケットが固設されていて、これらブラケットを介して補強部材がインナ部材に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−101740号公報(段落0010欄〜段落0012欄、
図1、
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の特許文献1では、補強部材が金属パイプであるため、重量の増加を招き、車体の軽量化を図る観点からは好ましくない。軽量でありながら剛性を確保できる術が望まれる。また、価格の高騰を抑えることも望まれる。
【0005】
この発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、バックドアの重量の増加を抑えつつ剛性を高め、かつ安価なバックドアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、この発明は、金属パイプからなる補強部材に代えて薄肉の板状補強部材を採用し、インナ部材に対する取付け姿勢を工夫したことを特徴とする。
【0007】
具体的には、この発明は、樹脂製インナ部材及び樹脂製アウタ部材の各々の外周縁部を接着剤で接着してなる車両用バックドアの補強構造を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明は、上記インナ部材には、上記アウタ部材側に開口する凹条溝部が外周縁部に沿って設けられ、該凹条溝部には、
当該凹条溝部とは別体に形成された、厚み方向に変形容易な薄肉の帯状補強部材が
、両側面を上記凹条溝部の溝側面に
それぞれ対面させて嵌入され
、上記凹条溝部の互いに対向する一対の上記溝側面の両方が、上記帯状補強部材の対面する側面に当接し、上記帯状補強部材の厚み方向の撓みを規制することを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、上記インナ部材の車幅方向両側には、バックドア開閉用の開閉ダンパを取り付けるためのダンパ取付剛性部材が固定され、上記インナ部材の下端中央部には、バックドア閉状態保持用のロック装置のラッチを取り付けるためのラッチ取付剛性部材が固定され、上記帯状補強部材の長手方向上端は上記ダンパ取付剛性部材に、長手方向下端は上記ラッチ取付剛性部材にそれぞれ連結部材で連結されていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、上記帯状補強部材は、上記ダンパ取付剛性部材又はラッチ取付剛性部材の近傍で上記凹条溝部から外れて厚み方向の撓みを許容して長さ調整可能になっていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第1〜3のいずれか1つの発明において、上記帯状補強部材は、上記インナ部材及びアウタ部材の各々の外周縁部を接着する接着剤で上記凹条溝部内に固定されていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、第1〜4のいずれか1つの発明において、上記凹条溝部の溝側面は、互いに角度が異なって連続する面を有し、上記帯状補強部材には、上記角度が異なって連続する面に沿うように厚み方向に2重に折り返された2重折返部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
第6の発明は、第1〜第5のいずれか1つの発明において、上記インナ部材には、上記凹条溝部のうち当該インナ部材の内方に位置する溝側面を形成するリブと、該リブを補強する複数個の補強片部とが一体に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、補強部材が厚み方向に変形容易な薄肉の帯状であるため、特許文献1の如き金属パイプからなる補強部材に比べて軽量で、バックドアの重量が軽減される。
【0015】
しかも、帯状補強部材は、インナ部材の凹条溝部に厚み方向の撓みを規制された状態で側面を凹条溝部の溝側面に対面させて嵌入されているため、薄肉であってもバックドアの表面を強く押さえた時の荷重、及び衝突時の衝撃に十分に抗し得て強く、バックドアの変形、分断及び破断が防止され、軽量でかつ安価でありながら剛性大なるバックドアとなる。
【0016】
第2の発明によれば、帯状補強部材の長手方向両端がダンパ取付剛性部材に、長手方向下端がラッチ取付剛性部材にそれぞれ連結されているため、衝突時におけるバックドアの半開放、分断及び飛散が確実に防止される。また、帯状補強部材は連結部材でダンパ取付剛性部材及びラッチ取付剛性部材に連結されるため、これら三者を別々にインナ部材に取り付けることができ、予めブラケットが固設された補強部材をインナ部材に組み付ける特許文献1に比べて取付け位置の調整が自在で組付け作業が容易になる。
【0017】
第3の発明によれば、帯状補強部材とインナ部材との寸法誤差が吸収でき、帯状補強部材とダンパ取付剛性部材及びラッチ取付剛性部材との連結が容易になる。
【0018】
第4の発明によれば、帯状補強部材がインナ部材に強固に取り付けられ、衝突時におけるバックドアの分断及び破断が確実に防止される。
【0019】
第5の発明によれば、帯状補強部材の2重折返部の折り返し方を調整することで、車種により形状が異なるバックドアへの適用が自在になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】バックドアを車体後端に取り付ける前の斜視図である。
【
図3】
図3(a)は
図1のA−A線における断面図(
図3(c)のA’−A’線に相当する断面図)、
図3(b)は
図1のB−B線における断面図(
図3(c)のB’−B’線に相当する断面図)、
図3(c)は
図3(a)及び
図3(b)の断面箇所を示す分解斜視図である。
【
図4】ダンパー取付剛性部材と帯状補強部材との連結箇所を示す斜視図である。
【
図5】帯状補強部材の2重折返部を示し、
図5(a)はその平面図、
図5(b)はその正面図である。
【
図6】ラッチ取付剛性部材と帯状補強部材との連結箇所を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0022】
図1及び
図2は、この発明の実施形態に係る車両用バックドア1の補強構造を示す。このバックドア1は、ハッチバック車の車体3の後端開口部3aを上下方向に開閉するためのものである。
【0023】
上記バックドア1は、樹脂製インナ部材5と、該インナ部材5に組み付けられるアウタ部材7とで構成されている。上記インナ部材5は、PP−GF(Polypropylene Glass Fiber)、PP−CF(Polypropylene Carbon Fiber)等の繊維補強材を含有する熱可塑性
樹脂からなる。上記バックドア1は、これらインナ部材5及びアウタ部材7の各々の外周縁部を接着剤9で接着してなり、両者間に内部空間Sを有している(
図3参照)。
【0024】
上記アウタ部材7は、樹脂製アウタアッパ部材11と、樹脂製アウタロア部材13と、これらアウタアッパ部材11及びアウタロア部材13に車体後方から接着剤(図示せず)で接合されるガラス製又は樹脂製の窓部材15とで構成されている。上記アウタアッパ部材11とアウタロア部材13とは、タルク入りPP(Polypropylene)等の熱可塑性樹脂からなる。上記アウタロア部材13の略中央部には、ナンバープレート取付部13aが車体前方に向かって凹むように形成されている。
【0025】
上記インナ部材5は、インナ上半部17と、該インナ上半部17に一体に連続するインナ下半部19とで一体に構成されている。上記インナ上半部17には、窓用開口部21が上記窓部材15に対応して形成されている。上記インナ下半部19には、凹部23が上記アウタロア部材13のナンバープレート取付部13aに対応して形成されている。
【0026】
上記インナ上半部17上端縁部の車幅方向両端寄りには、ヒンジ取付孔25が2個ずつ形成されている。上記インナ上半部17の車幅方向両側下端には、ダンパ取付孔27が2個ずつ形成されている。上記インナ上半部17のヒンジ取付孔25からダンパ取付孔27にかけてリベット挿入孔29が複数個形成されている。
【0027】
上記インナ上半部17の幅方向両側には、バックドア1開閉用の開閉ダンパ31を取り付けるための金属製の板材からなる略L字状のダンパ取付剛性部材33が1個ずつ固定されている。
図2において、35は仮止め用のリベット挿入孔、37はボルト挿入孔である。具体的には、上記インナ上半部17の車幅方向両側にダンパ取付剛性部材33を配置した状態で、リベット39(
図4参照)をリベット挿入孔29,35に挿入して仮止めし、ボルト41(
図4参照)をヒンジ取付孔25、ダンパ取付孔27及びボルト挿入孔37に挿入して、ダンパ取付剛性部材33がインナ上半部17の車幅方向両側に固定される。この際、ダンパ取付剛性部材33の上端は、ヒンジ43がそのボルト挿入孔43aに上記ボルト41を挿入することで取り付けられ、インナ部材5上端部が車体3に後端開口部3aを上下方向に開閉可能にヒンジ43で連結され、これにより、バックドア1がヒンジ43を支点に上下方向に開閉するようになっている。また、上記ダンパ取付剛性部材33の下端には、後述する帯状補強部材53を連結するための連結孔44aを有する連結片44が突設されている。なお、
図2では、上記ダンパ取付剛性部材33及びラッチ取付剛性部材47は便宜上右側のもののみを表している。
【0028】
上記車体3後端両側の上部寄りには、上記開閉ダンパ31の上端が取り付けられるとともに、該開閉ダンパ31の下端は、ダンパー取付部材45を介して上記インナ上半部17の車幅方向両側下端寄りに取り付けられている。具体的には、上記ダンパー取付部材45にはボルト挿入孔45aが形成され、上記ダンパ取付剛性部材33をインナ上半部17の車幅方向両側に固定する際、上記ボルト41(
図4参照)をダンパ取付孔27及びボルト挿入孔37,45aに挿入することで開閉ダンパ31の下端がインナ上半部17の車幅方向両側下端に取り付けられる。
【0029】
上記インナ部材5の下端寄り中央部、つまり上記インナ下半部19の凹部23下端には、バックドア1閉状態保持用のロック装置のラッチ(図示せず)を取り付けるためのラッチ取付剛性部材47がリベット48で固定されている。このラッチ取付剛性部材47には、
図6に示すように、後述する帯状補強部材53を取り付けるための1個のネジ孔47aと、1個のリベット挿入孔47bと、2個のラッチ取付け用のボルト孔47cとが両側にそれぞれ形成されている。
【0030】
上記インナ部材5のインナ下半部19外周縁部内寄りには、
図3、
図4及び
図6に示すように、長尺のリブ49が複数個の補強片部49aで補強されて一体に形成され、該リブ49とインナ下半部19外周縁部との間には、上記アウタ部材7のアウタロア部材13側に開口する凹条溝部51がインナ下半部19外周縁部に沿って形成されている。
【0031】
該凹条溝部51には、厚み方向に変形容易な薄肉の帯状補強部材53が厚み方向の撓みを規制された状態で側面を上記凹条溝部51の溝側面に対面させて嵌入されている。この帯状補強部材53は、本例で厚み0.6mm、幅8〜10mmの鉄板からなるが、アルミニウム、ガラスネット及びカーボンネット等で形成されていてもよく、厚み及び幅は素材により適宜決定すればよい。
【0032】
上記インナ下半部19の外周縁部には、
図3(c)に示すように、上記凹条溝部51に連続する凹部55が長手方向に間隔をあけて複数個形成されている。当該凹部55には、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、上記インナ部材5及びアウタ部材7の各々の外周縁部を接着する上記接着剤9が充填され、上記帯状補強部材53が上記接着剤9で上記凹条溝部51内に固定されている。
【0033】
上記帯状補強部材53の長手方向上端及び長手方向下端には、連結孔53aがそれぞれ形成され、帯状補強部材53の長手方向上端は、連結部材としてのリベット57をダンパ取付剛性部材33の連結片44の連結孔44a、帯状補強部材53の連結孔53a、及びインナ下半部19のリベット挿入孔29に挿入することで上記ダンパ取付剛性部材33にリベット57で連結されている(
図4参照)。
【0034】
一方、帯状補強部材53の長手方向下端は、連結部材としてのネジ59を帯状補強部材53の連結孔53a、及びラッチ取付剛性部材47のネジ孔47aに挿入して上記ラッチ取付剛性部材47にネジ59で連結されている。この際、上記帯状補強部材53は、上記ラッチ取付剛性部材47の近傍で上記凹条溝部51から外れて厚み方向の撓みを許容して長さ調整可能になっている(
図6参照)。
【0035】
上記インナ部材5のインナ上半部17とインナ下半部19との境目の外周縁部は、互いに角度が異なって連続する面を有する。したがって、当該箇所に対応する上記凹条溝部51の溝側面は、互いに角度が異なって連続する面を有し、上記帯状補強部材53には、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、上記角度が異なって連続する面に沿うように厚み方向に2重に折り返された2重折返部61が形成されている。
【0036】
したがって、この実施形態では、インナ部材5のインナ下半部19に形成した凹条溝部51に、薄肉の帯状補強部材53を厚み方向の撓みが規制された状態で側面を上記凹条溝部51の溝側面に対面させて嵌入させたので、特許文献1の如き金属パイプからなる補強部材に比べて軽量で、バックドア1の重量を軽減することができるとともに、薄肉であってもバックドア1の表面を強く押さえた時の荷重、及び衝突時の衝撃に十分に抗し得て強く、バックドア1の変形、分断及び破断を防止でき、軽量でかつ安価でありながら剛性大なるバックドア1とすることができる。
【0037】
また、この実施形態では、帯状補強部材53の長手方向上端をリベット57でダンパ取付剛性部材33に連結するとともに、帯状補強部材53の長手方向下端をネジ59でラッチ取付剛性部材47に連結したので、衝突時におけるバックドア1の半開放、分断及び飛散を確実に防止できる。さらには、ダンパ取付剛性部材33、ラッチ取付剛性部材47及び帯状補強部材53の三者を別々にインナ部材5に取り付けることで、予めブラケットが固設された補強部材をインナ部材に組み付ける特許文献1に比べて自在に取付け位置の調整が可能で組付け作業を容易に行うことができる。
【0038】
さらに、この実施形態では、帯状補強部材53を、ラッチ取付剛性部材47の近傍で凹条溝部51から外して厚み方向の撓みを許容して長さ調整可能にしているので、帯状補強部材53とインナ部材5との寸法誤差を吸収でき、帯状補強部材53とダンパ取付剛性部材33及びラッチ取付剛性部材47との連結を容易に行うことができる。
【0039】
さらにまた、この実施形態では、帯状補強部材53を、インナ部材5及びアウタ部材7の各々の外周縁部を接着する接着剤9で凹条溝部51内に固定したので、帯状補強部材53のインナ部材5(インナ下半部19)に対する取付けが強固になり、衝突時におけるバックドア1の分断及び破断を確実に防止できる。
【0040】
加えて、この実施形態では、帯状補強部材53に2重折返部63を形成し、該2重折返部63を凹条溝部51の溝側面の互いに角度が異なって連続する面に沿わせたので、2重折返部63の折り返し方を調整することで、車種により形状が異なるバックドア1に自在に適用できる。
【0041】
なお、上記実施形態では、帯状補強部材53は、ラッチ取付剛性部材47の近傍で凹条溝部51から外れて厚み方向の撓みを許容して長さ調整可能になっているが、これとは逆に、帯状補強部材53は、上記ダンパ取付剛性部材33の近傍で上記凹条溝部51から外れて厚み方向の撓みを許容して長さ調整可能になっていてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、帯状補強部材53をインナ下半部19の車幅方向両側に設けたが、片側にロック装置作動用のハーネスが引き回されている場合には、当該箇所には帯状補強部材53を設けなくてもよく、さらには、帯状補強部材53を全周に配置してダンパ取付剛性部材33の代わりにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明は、車両用バックドアの補強構造について有用である。
【符号の説明】
【0044】
1 バックドア
5 インナ部材
7 アウタ部材
9 接着剤
31 開閉ダンパ
33 ダンパ取付剛性部材
47 ラッチ取付剛性部材
51 凹条溝部
53 帯状補強部材
57 リベット(連結部材)
59 ネジ(連結部材)
61 2重折返部