(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の条件が満たされた場合に需要と供給との異なる組み合わせ全体毎の前記評価値の算出を終了し、得られた複数の前記評価値のうち、前記評価値の最も小さい需要と供給との組み合わせを選択する請求項1から請求項3の何れか1項記載の引当管理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の納期回答装置は、1セットの部品数量で定義されるロット単位での受注に対する引き当てを行っていない。
【0006】
ある1つの製作指図に基づく部品に対しては、製作時のロット単位で1つの需要案件に引き当て又は引き当て予約をさせたいという要求がある。この理由は、部品に対する製作時の検査等がロット単位で行われており、ロット単位で払い出しを行わないと、部品の製作履歴情報の管理が煩雑化する等のためである。しかし、常に1ロット単位で販売が行われるわけではない。1ロットの数量に満たない受注もあり、また、在庫には1ロットの数量に満たない部品が存在している場合もある。
【0007】
このような状況で、ロット単位の受注を優先して部品の引当処理をすると、数量が1ロットに満たない部品は、在庫としての滞留期間が長くなる。滞留期間が長くなると、例えば部品に劣化が発生する可能性があり、出荷前に再び検査を行う必要が生じる等、コストアップを招く。
一方、1ロットに満たない部品数量の受注がされた場合、1ロット単位で部品の引当処理を行うと、該受注に対する部品の引き当てが後回しにされる可能性があり、顧客に対して、適切な納期回答を即座にできない可能性がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、部品の滞留を抑制しつつ、可能な限り需要に対してロット単位で部品を引き当てることができる、引当管理装置、引当管理プログラム、及び引当管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の引当管理装置、引当管理プログラム、及び引当管理方法は以下の手段を採用する。
【0010】
本発明の第一態様に係る引当管理装置は、需要が発生した場合、各需要に引き当てる供給部品を選択する引当管理装置であって、部品の種類毎に予測される滞留期間を示す第1要素、
制作ロッ
トを複数必要とする需要の件数を示す第2要素、納期遅れとなる需要の件数を示す第3要素、及び
前記制作ロッ
トでの部品の引き当てが不可とされる需要の件数を示す第4要素を、需要と供給との組み合わせ全体毎に算出する要素算出手段と、前記第1要素、前記第2要素、前記第3要素、及び前記第4要素に対して各々所定の重み付けをし、加算することで評価値を算出する評価値算出手段と、需要と供給との異なる組み合わせ全体毎に得られた複数の前記評価値のうち、前記評価値の最も小さい需要と供給との組み合わせを選択する選択手段と、を備える。
【0011】
本構成に係る引当管理装置は、需要が発生した場合、需要に引き当てる供給部品を選択する。需要とは、例えば客先から要求される注文である。需要の件数は複数の場合もある。需要に引き当てる供給部品とは、例えば既に製造されて保管されている在庫部品や、製造が予定されている部品等である。なお、需要と供給(部品)との組み合わせは、複数パターン生じることが考えられる。
【0012】
そこで、要素算出手段は、需要と供給との組み合わせ全体毎に、第1要素、第2要素、第3要素、及び第4要素を算出する。
第1要素は、部品の種類毎に予測される滞留期間を示す要素である。例えば、製造日の古い部品が需要に引き当てられると、全体として部品の滞留期間は短くなる。
第2要素は、
制作ロッ
トを複数必要とする需要の件数を示す要素である。例えば、1ロット必要とする需要に対して、2分の1(1/2)ロットを2つ引き当てる場合は、第2要素の件数が1追加される。
第3要素は、納期遅れとなる需要の件数を示す要素である。例えば、ある部品をある需要に引き当てると、他の需要に対する部品が納期遅れとなる場合がある。このような場合に、第3要素の件数が1追加される。
第4要素は、
制作ロッ
トでの部品の引き当てが不可とされる需要の件数を示す要素である。例えば、需要が1/2ロットを要求しているにもかかわらず、1/2ロットの部品が無く、1/2ロットの部品を引き当てられない場合である。このような場合に、第4要素の件数が1追加される。
【0013】
評価値算出手段によって、第1要素、第2要素、第3要素、及び第4要素に対して各々所定の重み付けがされ、加算されることで評価値が算出される。これにより、需要に対して部品を引き当てた結果が、在庫として管理されている部品に対する評価となる。
【0014】
そして、需要と供給との異なる組み合わせ全体毎に得られた複数の評価値のうち、評価値の最も小さい需要と供給との組み合わせが選択手段によって選択される。小さい評価値の需要と供給との組み合わせが選択される理由は、部品の滞留期間は短い方が良く、多くのロットを必要とする需要は少ない方が良く、納期遅れは無い方が良く、
制作ロッ
トでの部品の引き当てが不可とされる需要も少ない方が良いためである。
【0015】
以上のことから、本構成は、部品の滞留を抑制しつつ、可能な限り需要に対してロット単位で部品を引き当てることが可能となる。
【0016】
上記第一態様では、前記重み付けの値を変更可能とすることが好ましい。
【0017】
本構成によれば、重み付けの値を変更可能とすることで、
制作ロッ
トの引き当てを重視するか、在庫の滞留を抑制することを重視するかを決定できる。
【0018】
上記第一態様では、需要と供給との組み合わせが、
制作ロッ
トを優先して需要に引き当てる組み合わせ、及び製造時の古い部品を優先して需要に引き当てる組み合わせを含むことが好ましい。
【0019】
本構成によれば、需要と供給との組み合わせとして、製造時の古い部品を優先して需要に引き当てる組み合わせを用いると、部品の滞留を抑制することができ、
制作ロッ
トを優先して需要に引き当てる組み合わせを用いると、
制作ロッ
トによる部品の管理が行いやすくなる。
【0020】
上記第一態様では、所定の条件が満たされた場合に需要と供給との異なる組み合わせ全体毎の前記評価値の算出を終了し、得られた複数の前記評価値のうち、前記評価値の最も小さい需要と供給との組み合わせを選択することが好ましい。
【0021】
本構成によれば、需要と供給との組み合わせが多数の場合であっても、所定の条件が満たされた場合に、組み合わせ全体毎の評価値の算出を終了するので、需要と供給との組み合わせの選択に要する演算時間を短くできる。
【0022】
本発明の第二態様に係る引当管理プログラムは、需要が発生した場合、各需要に引き当てる供給部品を選択する引当管理プログラムであって、コンピュータを、部品の種類毎に予測される滞留期間を示す第1要素、
制作ロッ
トを複数必要とする需要の件数を示す第2要素、納期遅れとなる需要の件数を示す第3要素、及び
前記制作ロッ
トでの部品の引き当てが不可とされる需要の件数を示す第4要素を、需要と供給との組み合わせ全体毎に算出する要素算出手段と、前記第1要素、前記第2要素、前記第3要素、及び前記第4要素に対して各々所定の重み付けをし、加算することで評価値を算出する評価値算出手段と、需要と供給との異なる組み合わせ全体毎に得られた複数の前記評価値のうち、前記評価値の最も小さい需要と供給との組み合わせを選択する選択手段と、して機能させる。
【0023】
本発明の第三態様に係る引当管理方法は、需要が発生した場合、各需要に引き当てる供給部品を選択する引当管理方法であって、部品の種類毎に予測される滞留期間を示す第1要素、
制作ロッ
トを複数必要とする需要の件数を示す第2要素、納期遅れとなる需要の件数を示す第3要素、及び
前記制作ロッ
トでの部品の引き当てが不可とされる需要の件数を示す第4要素を、需要と供給との組み合わせ全体毎に算出する第1工程と、前記第1要素、前記第2要素、前記第3要素、及び前記第4要素に対して各々所定の重み付けをし、加算することで評価値を算出する第2工程と、需要と供給との異なる組み合わせ全体毎に得られた複数の前記評価値のうち、前記評価値の最も小さい需要と供給との組み合わせを選択する第3工程と、を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、部品の滞留を抑制しつつ、可能な限り需要に対してロット単位で部品を引き当てることができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係る引当管理装置、引当管理プログラム、及び引当管理方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0028】
図1は、本第1実施形態に係る引当管理装置10の電気的構成を示すブロック図である。引当管理装置10は、需要が発生した場合、各需要に引き当てる供給部品を選択する情報処理装置である。なお、本第1実施形態に係る需要及び部品は、一例として、ガスタービンに用いられる部品(翼等)である。なお、以下の説明において、需要に引き当てる供給部品を単に部品又は供給ともいう。
【0029】
需要とは、例えば客先から要求される注文である。需要の件数は複数の場合もある。需要に引き当てる部品とは、例えば既に製造されて保管されている在庫部品や、製造が予定されている部品等である。なお、需要と供給との組み合わせは、複数パターン生じることが考えられる。
【0030】
ここで、
図2及び
図3は、需要に引き当てる部品の選択例である。部品は、1セットの部品数量で定義されるロット単位で管理されている。
【0031】
図2は、需要に対して、ロット単位の引き当てを優先したことによって、部品の滞留が発生する場合を示している。部品の滞留は、部品を保管している倉庫等に部品が管理されている期間が長くなることをいう。
図2の例は、1/4ロットである製作ロット1、1/4ロットである製作ロット2、及び1ロットである製作ロット3が、在庫として管理されている。製作ロット1、製作ロット2、製作ロット3の順に製造日が古い。なお、製作ロットとは、製作済みの部品のことであ
り、以下、単に「ロット単位」ともいう。
そして、需要1として1ロットの部品が要求され、ロット単位での引き当てを優先すると、製作ロット1,2よりも新しく製作された製作ロット3の方が先に需要に引き当てられ、製作ロット1,2は、その後の1/4ロットを要求する需要2に引き当てられることとなる。このため、製作ロット1,2は、在庫としてより長く滞留することとなる。
【0032】
図3は、需要に対して、ロット単位の引き当てを優先したことによって、需要への対応が遅くなる場合を示している。
図3の例は、1ロットである製作ロット1、及び1ロットである製作ロット2が、在庫として管理されている。製作ロット1、製作ロット2の順に製造日が古い。
需要1として1ロットの部品が要求されると、製作ロット1が引き当てられる。その後、需要2として1/2ロットの部品が要求されても、引き当て可能な製作ロットが無い。さらにその後、需要3として1ロットの部品が要求されると、需要2よりも優先されて需要3に対して製作ロット2が引き当てられる。このため、需要2は、対応が遅れることとなる。
【0033】
このため、本第1実施形態に係る引当管理装置10は、部品の滞留を抑制しつつ、可能な限り需要に対してロット単位で部品を引き当てるように、需要と供給との組み合わせを選択する引当管理処理を行う。
【0034】
図1に示されるように引当管理装置10は、引当管理装置10全体の動作を司るCPU(Central Processing Unit)12、各種プログラム及び各種データ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)14、CPU12による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)16、各種プログラム及び各種データを記憶する記憶手段としてのHDD(Hard Disk Drive)18を備えている。
【0035】
なお、HDD18は、在庫として管理されている製作ロットの製作日や入庫された日付である入庫実績日、新たに入庫される予定のロット(入庫予定ロット)の入庫予定日等に関する情報(以下、「製作情報」という。)を記憶している。また、HDD18は、需要として要求される部品の種類、ロット数、及び納期に関する情報(以下、「需要情報」という。)が記憶されている。
なお、製作情報は、新たな製作ロッドや入庫予定ロットが追加される場合や、需要に引き当てられた製作ロットが出庫される場合に、適宜更新される。また、需要情報は、新たな需要が追加される場合や、需要に引き当てられた製作ロットが出庫される場合に、適宜更新される。
【0036】
さらに、引当管理装置10は、キーボード及びマウス等から構成され、各種操作の入力を受け付ける操作入力部20、各種画像を表示する、例えば液晶ディスプレイ装置等の画像表示部22、通信回線を介して他の情報処理装置等と接続され、他の情報処理装置等との間で各種データの送受信を行う外部インタフェース24を備えている。
【0037】
これらCPU12、ROM14、RAM16、HDD18、操作入力部20、画像表示部22、及び外部インタフェース24は、システムバス26を介して相互に電気的に接続されている。従って、CPU12は、ROM14、RAM16、及びHDD18へのアクセス、操作入力部20に対する操作状態の把握、画像表示部22に対する画像の表示、並びに外部インタフェース24を介した他の情報処理装置等との各種データの送受信等を各々行なうことができる。
【0038】
図4は、引当管理装置10における需要と供給(部品)との引き当てに関する機能を示す機能ブロック図である。
引当管理装置10は、引当部30、要素算出部32、評価値算出部34、及び選択部36を備える。
【0039】
引当部30は、要求されている各需要に対して部品を引き当てる。
【0040】
要素算出部32は、引当部30による引当結果に対する第1要素、第2要素、第3要素、及び第4要素を算出する。上記各要素は、需要と供給との組み合わせ全体毎に算出されるものである。
【0041】
第1要素は、部品の種類毎に予測される滞留期間(以下、「予測滞留期間」という。)を示す要素である。例えば、製造日の古い部品が需要に引き当てられると、全体として部品の滞留期間は短くなる。
【0042】
具体的な予測滞留期間は、例えば、在庫管理を行う倉庫に納められている日数に基づいて、下記式で算出される。
予測滞留期間=需要に引き当てられた部品が倉庫から出荷される予定日−引き当てられた部品の入庫実績日
引き当てられた部品は、既に倉庫に納められている部品だけでなく、今後倉庫に納められる予定の部品でもよいので、上記入倉実績日は、入庫予定日とされてもよい。入庫実績日や入庫予定日は、製作情報から読み出される。
【0043】
第2要素は、ロット単位の部品を複数必要とする需要の件数を示す要素である。例えば、1ロット必要とする需要に対して、1/2ロットを2つ引き当てる場合は、第2要素の件数が1追加される。なお、第2要素は、換言すると、1つの需要に対する1ロットの引き当て達成率といえる。
【0044】
第3要素は、納期遅れとなる需要の件数を示す要素である。例えば、ある部品をある需要に引き当てると、他の需要に対する部品が納期遅れとなる場合がある。このような場合に、第3要素の件数が1追加される。
【0045】
具体的な納期遅れ日数は、例えば、在庫管理を行う倉庫に納められている日数に基づいて、下記式で算出される。
納期遅れ日数=引き当てられた部品の入庫予定日−需要に引き当てられた部品が倉庫から出荷される予定日
なお、納期遅れ日数を算出する場合は、引き当てられた部品が未だ入庫されていない場合である。引き当てられた部品が倉庫にある場合は、納期遅れは生じないためである。入庫予定日は、製作情報から読み出される。
【0046】
第4要素は、ロット単位での部品の引き当てが不可とされる需要の件数を示す要素である。例えば、需要が1/2ロットを要求しているにもかかわらず、1/2ロットの部品が無く、1/2ロットの部品を引き当てられない場合である。このような場合に、第4要素の件数が1追加される。
【0047】
評価値算出部34は、第1要素、第2要素、第3要素、及び第4要素に対して各々所定の重み付けをし、加算することで評価値を算出する。
【0048】
選択部36は、需要と供給との異なる組み合わせ全体毎に得られた複数の評価値のうち、評価値の最も小さい需要と供給との組み合わせを選択する。
【0049】
図5は、引当管理装置10によって行われる引当管理処理(引当管理プログラム)の流れを示すフローチャートである。引当管理プログラムは、一例としてHDD18の所定領域に予め記憶されている。引当管理処理は、新たな需要が発生し需要情報が更新される毎、又は製作情報が更新される毎に実行される。
【0050】
まず、ステップ100では、需要情報と製作情報をHDD18から読み出す。
【0051】
次のステップ102では、需要情報により示される需要と引当方法の組み合わせを導出する。
【0052】
なお、本第1実施形態に係る引当方法は、ロット単位の部品を優先して需要に引き当てる組み合わせ方法(以下、「ロット優先引当方法」という。)及び製造時の古い部品を優先して需要に引き当てる組み合わせ方法(以下、「製造時優先引当方法」という。)である。
ロット優先引当方法が用いられると、ロット単位による部品の管理が行いやすくなり、製造時優先引当方法が用いられると、部品の滞留を抑制することができる。
【0053】
例えば、需要が1つの場合は、1つの需要に対してロット優先引当方法を行うパターンと製造時優先引当方法を行うパターンの2種類が導出される。
例えば、需要が2つ(需要A、需要B)の場合は、需要A及び需要Bに対してロット優先引当方法を行うパターン、需要A及び需要Bに対して製造時優先引当方法を行うパターン、需要Aに対してロット優先引当方法を行って需要Bに対して製造時優先引当方法を行うパターン、並びに需要Aに対して製造時優先引当方法を行い需要Bに対してロット優先引当方法を行うパターンの4種類が導出される。
このように、引当方法が2種類あり、需要がn個の場合は、2
n個の組み合わせパターンが導出される。
【0054】
また、引当方法として、ロット優先引当方法及び製造時優先引当方法に限らず、他の方法が用いられてもよい。
【0055】
次のステップ104では、ステップ102で導出した複数の需要と引当方法の組み合わせから、一つの組み合わせを選択する。
【0056】
次のステップ106では、需要情報から一つの需要を選択する。
【0057】
次のステップ108では、ステップ104で選択した組み合わせにおける引当方法を用いて、選択した需要に引き当てる部品を製作情報から選択する。
【0058】
次のステップ110では、選択した需要全てに部品が引き当てられたか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ112へ移行し、否定判定の場合はステップ108へ戻る。
【0059】
次のステップ112では、ステップ104で選択した組み合わせにおける需要全てに部品が引き当てられたか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ114へ移行し、否定判定の場合はステップ106へ戻る。
【0060】
次のステップ114では、引当結果に対する第1要素、第2要素、第3要素、及び第4要素を算出する。上記各要素は、需要と供給(部品)との組み合わせ全体毎に算出されるものである。
【0061】
次のステップ116では、第1要素、第2要素、第3要素、及び第4要素に対して各々所定の重み付けをし、加算することで評価値を算出する。
本第1実施形態に係る引当管理処理では、下記式を用いて評価値を算出する。
評価値=F(第1要素,第1重み係数)
+第2要素×第2重み係数
+第3要素×第3重み係数
+第4要素×第4重み係数
F(第1要素,第1重み係数)=全部品の予測滞留期間の合計×第1重み係数
又は
=部品毎の予測滞留期間×部品数×第1重み係数
この評価値の算出により、需要に対して部品を引き当てた結果が、在庫として管理されている部品に対する評価となる。
【0062】
次のステップ118では、評価値を算出していない需要と引当方法の組み合わせが有るか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ104へ戻り、否定判定の場合はステップ120へ移行する。
【0063】
ステップ120では、最も評価値の小さい需要と供給との組み合わせを選択し、本引当管理処理を終了する。このステップ120で選択された需要と供給との組み合わせが、正式な組み合わせとして決定されることとなる。
小さい評価値の需要と供給との組み合わせが選択される理由は、部品の滞留期間は短い方が良く、多くのロットを必要とする需要は少ない方が良く、納期遅れは無い方が良く、ロット単位での部品の引き当てが不可とされる需要も少ない方が良いためである。
【0064】
画像表示部22は、ステップ114で選択された需要と供給との組み合わせを表示する。これにより、引当管理装置10を用いる在庫管理者は、需要と供給との組み合わせを確認する。
【0065】
なお、ステップ100〜112,118の処理は、引当部30による処理に相当する。ステップ114の処理は、要素算出部32による処理に相当する。ステップ116の処理は、評価値算出部34による処理に相当する。ステップ120の処理は、選択部36による処理に相当する。
【0066】
図6は、本第1実施形態に係るロット優先引当処理の流れを示すフローチャートである。
【0067】
ステップ200では、製作情報から1ロット単位でない部品を選定する。すなわち、1ロット未満、例えば1/2ロットや1/3ロット等の部品が選定される。
【0068】
次のステップ202では、1ロット単位で部品を需要に引き当てる。
具体例としては、1ロット単位の部品と需要のうち、最も優先度の高い需要を選定すると共に最も優先度の高い部品を選定し、選定した部品を需要に引き当てる。そして、次に優先度の高い順毎に部品を需要に引き当てる。需要の優先度は、例えば納期に基づいて決定される。納期が近い需要ほど優先度は高い。部品の優先度は、例えば製作日に基づいて決定される。製作日が古い部品ほど優先度は高い。
なお、需要が1ロット単位である場合は、ステップ202の処理の終了と共にロット優先引当処理が終了されるが、1ロット未満の需要が有る場合は、ステップ204へ移行する。
【0069】
次のステップ204では、1ロット未満の部品を需要に引き当てる。
具体例としては、1ロット未満の部品のうち、最も優先度の高い部品を選定し、選定した部品を需要に引き当てる。そして、次に優先度の高い順毎に部品を需要に引き当てる。
【0070】
以上説明したように、本第1実施形態に係る引当管理装置10は、部品の種類毎に予測される滞留期間を示す第1要素、ロット単位の部品を複数必要とする需要の件数を示す第2要素、納期遅れとなる需要の件数を示す第3要素、及びロット単位での部品の引き当てが不可とされる需要の件数を示す第4要素を、需要と供給との組み合わせ全体毎に算出する要素算出部32を備える。そして、引当管理装置10は、第1要素、第2要素、第3要素、及び第4要素に対して各々所定の重み付けをし、加算することで評価値を算出する評価値算出部34と、需要と供給との異なる組み合わせ全体毎に得られた複数の評価値のうち、評価値の最も小さい需要と供給との組み合わせを選択する選択部36と、を備える。
従って、引当管理装置10は、部品の滞留を抑制しつつ、可能な限り需要に対してロット単位で部品を引き当てることが可能となる。
【0071】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0072】
なお、本第2実施形態に係る引当管理装置10の構成は、
図1に示す第1実施形態に係る引当管理装置10の構成と同様であるので説明を省略する。
本第2実施形態に係る引当管理装置10は、重み付けの値を変更可能とされている。
【0073】
図7は、本第2実施形態に係る引当管理処理の流れを示すフローチャートである。
図7における
図5と同一のステップについては
図5と同一の符号を付して、その説明を一部又は全部省略する。
【0074】
本第2実施形態に係る引当管理処理は、ステップ120によって最も評価値の小さい需要と供給との組み合わせを選択された後に、ステップ122へ移行する。
【0075】
ステップ122では、重み付けの値が変更されたか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ104へ戻り、再び需要と供給との組み合わせを算出し、変更された重み付けの値を用いて評価値を算出する。一方、否定判定の場合は本引当管理処理を終了し、ステップ120で選択された需要と供給との組み合わせが、正式な組み合わせとして決定されることとなる。
重み付けの値を変更する場合とは、ステップ120で決定された需要と供給との組み合わせを、引当管理装置10を用いる在庫管理者が満足しなかった場合である。例えば、第1重み付けや第3重み付けの値が大きくされることで、部品の滞留の抑制が重視されることとなる。一方、第2重み付けや第4重み付けの値が大きくされることで、ロット単位での部品の引き当てがより重視されることとなる。
【0076】
本第2実施形態に係る引当管理装置10は、重み付けの値を変更可能とすることで、ロット単位の引き当てを重視するか、在庫の滞留を抑制することを重視するかを決定できる。
【0077】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
【0078】
なお、本第3実施形態に係る引当管理装置10の構成は、
図1に示す第1実施形態に係る引当管理装置10の構成と同様であるので説明を省略する。
本第3実施形態に係る引当管理装置10は、所定の条件(以下、「探索打切条件」という。)が満たされた場合に需要と供給との異なる組み合わせ全体毎の評価値の算出を終了し、得られた複数の評価値のうち、評価値の最も小さい需要と供給との組み合わせを選択する。
【0079】
図8は、本第3実施形態に係る引当管理処理の流れを示すフローチャートである。
図8における
図5と同一のステップについては
図5と同一の符号を付して、その説明を一部又は全部省略する。
【0080】
ステップ118では、評価値を算出していない需要と供給との組み合わせが有るか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ119へ移行し、否定判定の場合はステップ120へ移行する。
【0081】
ステップ119では、探索打切条件を満たしたか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ120へ移行し、否定判定の場合はステップ104へ戻る。すなわち、探索打切条件が満たされた場合に、需要と供給との異なる組み合わせ全体毎の評価値の算出が終了される。
【0082】
探索打切条件について一例を詳述する。
まず、需要と引当方法との組み合わせ毎に評価値を算出し、その組み合わせに対して、需要に引き当てる引当方法の一部を変化させる。そして、一部を変化させた需要と引当方法との組み合わせ毎に評価値を算出し、評価値の変化量が所定値以下となった場合、探索打切条件が満たされたと判定される。すなわち、第3実施形態に係る引当管理処理は、所謂、近傍探索法により需要と引当方法との組み合わせを変化させ、評価値に変化が生じなくなった場合に探索打切条件を満たしたと判定する。
【0083】
また、これに限らず、算出した評価値が所定の閾値以下となった場合、探索打切条件が満たされたと判定されてもよい。
【0084】
本第3実施形態に係る引当管理装置10は、需要と引当方法との組み合わせが多数の場合であっても、探索打切条件が満たされた場合に、組み合わせ全体毎の評価値の算出を終了するので、需要と供給との組み合わせの選択に要する演算時間を短くできる。
【0085】
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0086】
また、上記各実施形態で説明した引当管理処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
例えば、
図9に示されるように、第2実施形態に係る引当管理処理と第3実施形態に係る引当管理処理とを組み合わせてもよい。