【実施例】
【0026】
本実施例の発電システムは、固体酸化物形燃料電池(以下、SOFCと称する。)とガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたトリプルコンバインドサイクル(Triple Combined Cycle:登録商標)である。このトリプルコンバインドサイクルは、ガスタービンコンバインドサイクル発電(GTCC)の上流側にSOFCを設置することにより、SOFC、ガスタービン、蒸気タービンの3段階で発電することができるため、極めて高い発電効率を実現することができる。なお、以下の説明では、本発明の燃料電池として固体酸化物形燃料電池を適用して説明するが、この形式の燃料電池に限定されるものではない。
【0027】
図1は、本実施例の発電システムを表す概略構成図である。本実施例において、
図1に示すように、発電システム10は、ガスタービン11及び発電機12と、SOFC13と、蒸気タービン14及び発電機15とを有している。この発電システム10は、ガスタービン11による発電と、SOFC13による発電と、蒸気タービン14による発電とを組み合わせることで、高い発電効率を得るように構成したものである。また、発電システム10は、制御装置62を備えている。制御装置62は、入力された設定、入力された指示及び検出部で検出した結果等に基づいて、発電システム10の各部の動作を制御する。
【0028】
ガスタービン11は、圧縮機21、燃焼器22、タービン23を有しており、圧縮機21とタービン23は、回転軸24により一体回転可能に連結されている。圧縮機21は、空気取り込みライン25から取り込んだ空気Aを圧縮する。燃焼器22は、圧縮機21から第1圧縮空気供給ライン26を通して供給された圧縮空気A1と、第1燃料ガス供給ライン27から供給された燃料ガスL1とを混合して燃焼する。タービン23は、燃焼器22から排ガス供給ライン28を通して供給された燃焼ガスG1により回転する。なお、図示しないが、タービン23は、圧縮機21で圧縮された圧縮空気A1が車室を通して供給され、この圧縮空気A1を冷却空気として翼などを冷却する。発電機12は、タービン23と同軸上に設けられており、タービン23が回転することで発電することができる。なお、ここでは、燃焼器22に供給する燃料ガスL1として、例えば、液化天然ガス(LNG)を用いている。
【0029】
SOFC13は、還元剤としての高温の燃料ガスと酸化剤としての高温の空気(酸化性ガス)が供給されることで、所定の作動温度にて反応して発電を行うものである。このSOFC13は、圧力容器内に空気極と固体電解質と燃料極が収容されて構成される。空気極に圧縮機21で圧縮された一部の圧縮空気A2が供給され、燃料極に燃料ガスL2が供給されることで発電を行う。なお、ここでは、SOFC13に供給する燃料ガスL2として、例えば、液化天然ガス(LNG)、水素(H
2)及び一酸化炭素(CO)、メタン(CH
4)などの炭化水素ガス、石炭など炭素質原料のガス化設備により製造したガスを用いている。また、SOFC13に供給される酸化性ガスは、酸素を略15%〜30%含むガスであり、代表的には空気が好適であるが、空気以外にも燃焼排ガスと空気の混合ガスや、酸素と空気の混合ガスなどが使用可能である(以下、SOFC13に供給される酸化性ガスを空気という)。
【0030】
このSOFC13は、第1圧縮空気供給ライン26から分岐した第2圧縮空気供給ライン31が連結され、圧縮機21が圧縮した一部の圧縮空気A2を空気極の導入部に供給することができる。この第2圧縮空気供給ライン31は、供給する空気量を調整可能な制御弁32と、圧縮空気A2を昇圧可能なブロワ(昇圧機)33とが圧縮空気A2の流れ方向に沿って設けられている。制御弁32は、第2圧縮空気供給ライン31における圧縮空気A2の流れ方向の上流側に設けられ、ブロワ33は、制御弁32の下流側に設けられている。SOFC13は、空気極で用いられた圧縮空気A3(排空気)を排出する排空気ライン34が連結されている。この排空気ライン34は、空気極で用いられた圧縮空気A3を外部に排出する排出ライン35と、燃焼器22に連結される圧縮空気循環ライン36とに分岐される。排出ライン35は、排出する空気量を調整可能な制御弁37が設けられ、圧縮空気循環ライン36は、循環する空気量を調整可能な制御弁38が設けられている。
【0031】
また、SOFC13は、燃料ガスL2を燃料極の導入部に供給する第2燃料ガス供給ライン41が設けられている。第2燃料ガス供給ライン41は、供給する燃料ガス量を調整可能な制御弁42が設けられている。SOFC13は、燃料極で用いられた排燃料ガスL3を排出する排燃料ライン43が連結されている。この排燃料ライン43は、外部に排出する排出ライン44と、燃焼器22に連結される排燃料ガス供給ライン45とに分岐される。排出ライン44は、排出する燃料ガス量を調整可能な制御弁46が設けられ、排燃料ガス供給ライン45は、供給する燃料ガス量を調整可能な制御弁47と、排燃料ガスL3を昇圧可能なブロワ48が排燃料ガスL3の流れ方向に沿って設けられている。制御弁47は、排燃料ガス供給ライン45における排燃料ガスL3の流れ方向の上流側に設けられ、ブロワ48は、制御弁47の下流側に設けられている。
【0032】
また、SOFC13は、排燃料ライン43と第2燃料ガス供給ライン41とを連結する燃料ガス再循環ライン49が設けられている。燃料ガス再循環ライン49には、排燃料ライン43の排燃料ガスL3を第2燃料ガス供給ライン41に再循環させる再循環ブロワ50が設けられている。
【0033】
蒸気タービン14は、排熱回収ボイラ(HRSG)51で生成された蒸気によりタービン52が回転するものである。この排熱回収ボイラ51は、ガスタービン11(タービン23)からの排ガスライン53が連結されており、空気と高温の排ガスG2との間で熱交換を行うことで、蒸気Sを生成する。蒸気タービン14(タービン52)は、排熱回収ボイラ51との間に蒸気供給ライン54と給水ライン55が設けられている。そして、給水ライン55は、復水器56と給水ポンプ57が設けられている。発電機15は、タービン52と同軸上に設けられており、タービン52が回転することで発電することができる。なお、排熱回収ボイラ51で熱が回収された排ガスG2は、有害物質を除去されてから大気へ放出される。
【0034】
ここで、本実施例の発電システム10の作動について説明する。発電システム10を起動する場合、ガスタービン11、蒸気タービン14、SOFC13の順に起動する。
【0035】
まず、ガスタービン11にて、圧縮機21が空気Aを圧縮し、燃焼器22が圧縮空気A1と燃料ガスL1とを混合して燃焼し、タービン23が燃焼ガスG1により回転することで、発電機12が発電を開始する。次に、蒸気タービン14にて、排熱回収ボイラ51により生成された蒸気Sによりタービン52が回転し、これにより発電機15が発電を開始する。
【0036】
続いて、SOFC13を起動させるために、圧縮機21から圧縮空気A2を供給してSOFC13の加圧を開始すると共に加熱を開始する。排出ライン35の制御弁37と圧縮空気循環ライン36の制御弁38を閉止し、第2圧縮空気供給ライン31のブロワ33を停止した状態で、制御弁32を所定開度だけ開放する。すると、圧縮機21で圧縮した一部の圧縮空気A2が第2圧縮空気供給ライン31からSOFC13側へ供給される。これにより、SOFC13側は、圧縮空気A2が供給されることで圧力が上昇する。
【0037】
一方、SOFC13の燃料極側では、燃料ガスL2を供給して加圧を開始する。排出ライン44の制御弁46と排燃料ガス供給ライン45の制御弁47を閉止し、ブロワ48を停止した状態で、第2燃料ガス供給ライン41の制御弁42を開放すると共に、燃料ガス再循環ライン49の再循環ブロワ50を駆動する。すると、燃料ガスL2が第2燃料ガス供給ライン41からSOFC13側へ供給されると共に、排燃料ガスL3が燃料ガス再循環ライン49により再循環される。これにより、SOFC13の燃料極側は、燃料ガスL2が供給されることで圧力が上昇する。
【0038】
そして、SOFC13の空気極側の圧力が圧縮機21の出口圧力になると、制御弁32を全開にすると共に、ブロワ33を駆動する。それと同時に制御弁37を開放してSOFC13からの排空気A3を排出ライン35から排出する。すると、圧縮空気A2がブロワ33によりSOFC13側へ供給される。それと同時に制御弁46を開放してSOFC13からの排燃料ガスL3を排出ライン44から排出する。そして、SOFC13における空気極側の圧力と燃料極側の圧力が目標圧力に到達すると、SOFC13の加圧が完了する。
【0039】
その後、SOFC13の反応(発電)が安定し、圧縮空気A3と排燃料ガスL3の成分が安定したら、制御弁37を閉止する一方、制御弁38を開放する。すると、SOFC13からの圧縮空気A3が圧縮空気循環ライン36から燃焼器22に供給される。また、制御弁46を閉止する一方、制御弁47を開放してブロワ48を駆動する。すると、SOFC13からの排燃料ガスL3が排燃料ガス供給ライン45から燃焼器22に供給される。このとき、第1燃料ガス供給ライン27から燃焼器22に供給される燃料ガスL1を減量する。
【0040】
ここで、ガスタービン11の駆動による発電機12での発電、SOFC13での発電、蒸気タービン14の駆動により発電機15での発電が全て行われることとなり、発電システム10が定常運転となる。
【0041】
ところで、一般的な発電システムでは、制御弁46を開放することで、ガスタービン11に供給しない、つまり燃焼器22で燃焼させない排燃料ガスを排出ライン44から排出する。このような排燃料ガスとは、例えばSOFC13を起動した後に排出される状態(成分)が安定していない排燃料ガスや、ガスタービン11への供給量を超えてSOFC13から排出された排燃料ガスであり、排出ライン44から排出されているので、排燃料ガスを有効に活用できていない。
【0042】
そこで、本実施例の発電システム10では、
図2に示すように、ガスタービン11に供給しない排燃料ガスを燃焼させ、発電システム10の各部を加熱する加熱手段70を設ける。加熱手段70は、排燃料ガス排出ライン72と、制御弁73と、排ガス加熱部74と、蒸気発生部76と、空気加熱部78と、燃料ガス加熱部80と、を備えている。
【0043】
即ち、発電システム10は、ガスタービン11に供給しない排燃料ガスL3を燃焼させて、発電システム10を流れる排ガス、蒸気、燃料ガス、空気の少なくとも1つを加熱する加熱手段70を設ける。これにより、発電システム10は、排出ライン44から排出していた排燃料ガスL3に含まれる燃焼発熱量(カロリー)を有効に活用することができ、SOFC13から排出される排燃料ガスを効率よく利用することができる。
【0044】
以下、
図2を用いて加熱手段70及び排燃料ガス排出ライン72の各部について説明する。排燃料ガス排出ライン72は、一方の端部が排燃料ガス供給ライン45のブロワ48と燃焼器22との間に接続されている。排燃料ガス排出ライン72は、他方の端部が複数に分岐しており、それぞれ、排ガス加熱部74の第1分岐ライン102と、蒸気発生部76の第2分岐ライン104と、空気加熱部78との第3分岐ライン106と、燃料ガス加熱部80の第4分岐ライン108と、に接続されている。排燃料ガス排出ライン72は、排燃料ガス供給ライン45から供給された排燃料ガスL3を分岐されたラインにそれぞれ供給する。
【0045】
制御弁73は、排燃料ガス排出ライン72に設置されている。制御弁73は、開閉を切り換えることで、排燃料ガス排出ライン72の排燃料ガスL3の流通を切り替え、開度を調整することで、排燃料ガス排出ライン72を流れる排燃料ガスL3の流量を制御する。
【0046】
排ガス加熱部74は、ダクトバーナ90と、第1分岐ライン102と、第1制御弁112と、第3燃料ガス供給ライン122と、制御弁132と、を備えている。ダクトバーナ90は、排熱回収ボイラ51に配置されている。ダクトバーナ90は、供給された燃料を燃焼することで、排熱回収ボイラ51内の排ガスG2を加熱する。なお、ダクトバーナ90は、排熱回収ボイラ51の上流側の排ガスライン53に設けてもよい。
【0047】
第1分岐ライン102は、一方の端部が排燃料ガス排出ライン72に接続され、他方の端部がダクトバーナ90に接続されている。第1制御弁112は、第1分岐ライン102に設置されている。第1制御弁112は、開閉を切り換えることで第1分岐ライン102の排燃料ガスL3の流通を切り替え、開度を調整することで、第1分岐ライン102を流れる排燃料ガスL3の流量を制御する。第3燃料ガス供給ライン122は、ダクトバーナ90に接続され、ダクトバーナ90に燃料ガスL4を供給する。制御弁132は、第3燃料ガス供給ライン122に設置され、開閉及び開度の少なくとも一方を調整することで、ダクトバーナ90に供給する燃料ガスL4の量を調整する。
【0048】
排ガス加熱部74は、第1分岐ライン102から供給される排燃料ガスL3と第3燃料ガス供給ライン122から供給される燃料ガスL4をダクトバーナ90で燃焼させることで、排ガスG2を加熱する。これにより、排熱回収ボイラ51内の排ガスG2の温度をより高くすることができ、排熱回収ボイラ51でより多くの熱を回収することができる。また、排ガス加熱部74は、第1分岐ライン102から供給される排燃料ガスL3を燃焼させることで、排燃料ガスL3に含まれるカロリーで排ガスG2を加熱することができる。これにより、排燃料ガスL3に含まれるカロリーを有効に活用することができる。
【0049】
蒸気発生部76は、ボイラ92と、第2分岐ライン104と、第2制御弁114と、第4燃料ガス供給ライン124と、空気供給ライン125と、制御弁134、135と、を備えている。ボイラ92は、供給された燃料を燃焼させて生じる熱を利用して蒸気を発生させる蒸気発生器であり、発生した蒸気を燃料ガス再循環ライン49に供給する。本実施例のボイラ92は、SOFC13の起動に使用される、いわゆる起動用ボイラの機能を備える。なお、ボイラ92は、発電システム10の他の機器に接続し、接続している機器に蒸気を供給してもよい。
【0050】
第2分岐ライン104は、一方の端部が排燃料ガス排出ライン72に接続され、他方の端部がボイラ92に接続されている。第2制御弁114は、第2分岐ライン104に設置されている。第2制御弁114は、開閉を切り換えることで第2分岐ライン104の排燃料ガスL3の流通を切り替え、開度を調整することで、第2分岐ライン104を流れる排燃料ガスL3の流量を制御する。第4燃料ガス供給ライン124は、ボイラ92に接続され、ボイラ92に燃料ガスL5を供給する。空気供給ライン125は、ボイラ92に接続され、ボイラ92に空気A4を供給する。制御弁134は、第4燃料ガス供給ライン124に設置され、開閉及び開度の少なくとも一方を調整することで、ボイラ92に供給する燃料ガスL5の量を調整する。制御弁135は、空気供給ライン125に設置され、開閉及び開度の少なくとも一方を調整することで、ボイラ92に供給する空気A4の量を調整する。
【0051】
蒸気発生部76は、第2分岐ライン104から供給される排燃料ガスL3と第4燃料ガス供給ライン124から供給される燃料ガスL5とを空気供給ライン125から供給される空気A4とともにボイラ92に供給し、排燃料ガスL3と燃料ガスL5をボイラ92内で燃焼させることで、蒸気を発生させる。これにより、発電システム10で必要な蒸気をボイラ92で発生させ、各部に供給することができる。また、蒸気発生部76は、第2分岐ライン104から供給される排燃料ガスL3を燃焼させることで、排燃料ガスL3に含まれるカロリーを蒸気の発生に用いる熱とすることができる。これにより、排燃料ガスL3に含まれるカロリーを有効に活用することができる。
【0052】
空気加熱部78は、空気昇温用バーナ94と、第3分岐ライン106と、第3制御弁116と、第5燃料ガス供給ライン128と、制御弁138と、を備えている。空気昇温用バーナ94は、第2圧縮空気供給ライン31に配置されている。空気昇温用バーナ94は、供給された燃料を燃焼することで、第2圧縮空気供給ライン31内の圧縮空気A2を加熱する。空気加熱部78は、排燃料ガスL3を燃焼させる空気昇温用バーナ94として、排燃料ガスL3に着火して燃料させる着火源を備えるいわゆるバーナや、排燃料ガスL3を酸化等の反応で燃焼させる燃焼触媒を用いることができる。空気加熱部78は、再循環ブロワ50の出口や、ブロワ48の出口のラインと第3分岐ライン106を接続させることが好ましい。これにより、より高い圧力の排燃料ガスL3を空気昇温用バーナ94に提供することができる。
【0053】
第3分岐ライン106は、一方の端部が排燃料ガス排出ライン72に接続され、他方の端部が空気昇温用バーナ94に接続されている。第3制御弁116は、第3分岐ライン106に設置されている。第3制御弁116は、開閉を切り換えることで、第3分岐ライン106の排燃料ガスL3の流通を切り替え、開度を調整することで第3分岐ライン106を流れる排燃料ガスL3の流量を制御する。第5燃料ガス供給ライン128は、空気昇温用バーナ94に接続され、空気昇温用バーナ94に燃料ガスL6を供給する。制御弁138は、第5燃料ガス供給ライン128に設置され、開閉及び開度の少なくとも一方を調整することで、空気昇温用バーナ94に供給する燃料ガスL6の量を調整する。
【0054】
空気加熱部78は、第3分岐ライン106から供給される排燃料ガスL3と第5燃料ガス供給ライン128から供給される燃料ガスL6を空気昇温用バーナ94で燃焼させることで、圧縮空気A2を加熱する。これにより、SOFC13に供給する圧縮空気A2の温度をより高くすることができる。また、SOFC13に供給した圧縮空気A2は、排空気としてガスタービン11に供給される。これにより、空気加熱部78で圧縮空気A2を加熱した熱をガスタービン11や排熱回収ボイラ51で回収することができる。これにより、排燃料ガスL3に含まれるカロリーを有効に活用することができる。
【0055】
燃料ガス加熱部80は、バスヒータ96と、第4分岐ライン108と、第4制御弁118と、第2燃料ガス供給ライン41と、制御弁42と、を備えている。バスヒータ96は、第2燃料ガス供給ライン41に配置されている。バスヒータ96は、供給された排燃料ガスを燃焼することで、第2燃料ガス供給ライン41内の燃料ガスL2を加熱する。
【0056】
ここで、
図3は、燃料ガス加熱部のバスヒータを示す概略構成図である。バスヒータ96は、
図3に示すように、燃焼器140と、容器142と、燃焼ガス配管144と、を有する。また、燃焼器140は、第4分岐ライン108及び燃焼ガス配管144と接続されている。燃焼器140は、第4分岐ライン108から供給された排燃料ガスL3を燃焼させることで生成される燃焼ガスを燃焼ガス配管144に供給する。容器142は、内部に水等の熱媒が充填された箱である。容器142は、熱媒が充填された内部に第2燃料ガス供給ライン41と燃焼ガス配管144とが配置されている。燃焼ガス配管144は、一方の端部が燃焼器140に接続され、他方の端部が開放されている。燃焼ガス配管144は、両端の間の部分が容器142の内部に配置されている。
【0057】
バスヒータ96は、燃焼器140で排燃料ガスが燃焼され、生成された燃焼ガスが燃焼ガス配管144を流れる。これにより燃焼ガスが容器142の内部を流れる。バスヒータ96は、燃焼ガス配管144を流れる燃焼ガスにより熱媒が加熱され、加熱された熱媒が第2燃料ガス供給ライン41を流れる燃料ガスを加熱する。このように、バスヒータ96は、燃焼ガスの熱を、熱媒を介して燃料ガスに伝達することで、燃料ガスを加熱する。バスヒータ96は、熱媒を介して燃料ガスを加熱することで、第2燃料ガス供給ライン41で燃料ガスが燃焼されることを防ぎつつ、加熱することができる。
【0058】
第4分岐ライン108は、一方の端部が排燃料ガス排出ライン72に接続され、他方の端部がバスヒータ96に接続されている。第4制御弁118は、第4分岐ライン108に設置されている。第4制御弁118は、開閉を切り換えることで、第4分岐ライン108の排燃料ガスL3の流通を切り替え、開度を調整することで第4分岐ライン108を流れる排燃料ガスL3の流量を制御する。
【0059】
燃料ガス加熱部80は、第4分岐ライン108から供給される排燃料ガスL3をバスヒータ96で燃焼させることで、燃料ガスL2を加熱する。これにより、SOFC13に供給する燃料ガスL2の温度をより高くすることができる。また、SOFC13に供給した燃料ガスL2は、排燃料ガスとしてガスタービン11に供給される。これにより、燃料ガス加熱部80で燃料ガスを加熱した熱は、ガスタービン11や排熱回収ボイラ51で回収することができる。これにより、排燃料ガスL3に含まれるカロリーを有効に活用することができる。なお、燃料ガス加熱部80は、排燃料ガスを供給する経路とは別にバスヒータ96に燃料ガスを供給する経路を設けてもよい。
【0060】
また、発電システム10は、排燃料ガス供給ライン45のガスタービン11の近傍(本実施例では、制御弁47よりも下流側)に配置された開閉弁(開閉制御弁)64と、排燃料ライン43に流れる排燃料ガスL3の流量を検出する流量検出部66と、排燃料ガス供給ライン45に流れる排燃料ガスL3の状態を検出する状態検出部68と、を備えている。
【0061】
開閉弁64は、排燃料ガス排出ライン72と連結している位置よりも下流側、かつ、燃焼器22よりも上流側に配置されている。開閉弁64は、開閉を切り換えることで排燃料ガスL3を燃焼器22に供給するか否かを切り換えることができる。
【0062】
流量検出部66は、排燃料ライン43の燃料ガス再循環ライン49と連結している部分よりも下流側、かつ、排出ライン44と排燃料ガス供給ライン45とに分岐される部分よりも上流側に配置されている。流量検出部66は、設置されている位置の排燃料ライン43を流れる排燃料ガスL3の流量を検出する検出装置である。流量検出部66は、例えば排燃料ライン43を流れる排燃料ガスL3の圧力を検出し、圧力の検出結果に対して演算処理を行うことで流量を算出する。なお、本実施形態では、排燃料ライン43を流れる排燃料ガスL3の流量も、排燃料ガスの状態に含まれる。
【0063】
状態検出部68は、排燃料ガス供給ライン45のブロワ48より下流側、かつ、排燃料ガス排出ライン72と連結している位置よりも上流側に配置されている。状態検出部68は、設置されている位置の排燃料ガス供給ライン45を流れる排燃料ガスL3のカロリーを検出する検出装置である。なお、状態検出部68は、設置されている位置の排燃料ガス供給ライン45を流れる排燃料ガスL3の状態を検出できる検出装置であればよく、例えば、排燃料ガスL3の温度を検出する温度検出装置を用いることもできる。ここで、排燃料ガスL3の状態とは、排燃料ガス供給ライン45を流れている間に排燃料ガスL3にドレンが生じたかを判定することができる各種条件である。なお、状態検出部68は、排燃料ガス供給ライン45の燃焼器22側、つまり、排燃料ガス排出ライン72と連結している位置に近い側に配置することが好ましい。これにより、排燃料ガス供給ライン45が流れることで、排燃料ガスL3に生じる変化をより高い確率で検出することができる。
【0064】
発電システム10の制御装置(制御部)62は、SOFC13から排燃料ライン43への排燃料ガスL3の供給開始時に、つまり制御弁47を開にした後に、流量検出部66及び状態検出部68の少なくとも一方の結果に基づいて、加熱手段70を駆動するようにしている。また、制御装置62は、流量検出部66及び状態検出部68の少なくとも一方の結果に基づいて、開閉弁64の開閉も制御する。これにより、排燃料ガスを燃焼器22に供給するか否かを切り換えることができる。
【0065】
以下、
図4及び
図5を用いて、上述した本実施例の発電システム10の駆動方法について説明する。
図4は、本実施例の発電システムの駆動動作の一例を示すフローチャートである。
図5は、本実施例の発電システムの排燃料ガスの流れを制御する弁の動作のタイミングを表すタイムチャートである。
図4に示す駆動動作は、制御装置(制御部)62が各部の検出結果に基づいて、演算処理を実行することで実現することができる。また、発電システム10は、
図4に示す処理の実行中も、燃料ガス再循環ライン49を用いた排燃料ガスの循環を並行して実行している。ここで、
図4は、SOFC13の起動時に実行する制御の一例である。制御装置62は、
図4の制御が開始される前は、
図5に示すように、排燃料ガス供給ライン45の制御弁47、排燃料ガス排出ライン72の制御弁73及び排燃料ガス供給ライン45の開閉弁64を閉としている。ここで、本実施例の発電システム10は、基本的に制御弁46を閉に維持し、排出ライン44から排燃料ガスを排出しない。
【0066】
まず、制御装置62は、排燃料ガス供給ライン45の制御弁47を閉から開に切り換える制御をする(ステップS12)。例えば、燃料ガス再循環ライン49で排燃料ガスL3を循環させているときに制御装置62により制御弁47が閉から開に切り換えられることで、排燃料ガス供給ライン45への排燃料ガスL3の供給を開始する。制御装置62は、流量検出部66の検出結果を用いて、経路中の排燃料ガスL3の流量を判定することができる。ここで、制御装置62は、
図5のt1に示すように、排燃料ガス供給ライン45の制御弁47を開とするとともに、排燃料ガス排出ライン72の制御弁73も開とする制御をする。また、制御装置62は、排燃料ガス供給ライン45の開閉弁64を閉で維持する。これにより、排燃料ガスL3が加熱手段70に供給される状態となる。
【0067】
制御装置62は、排燃料ガス供給ライン45に排燃料ガスL3への供給を開始したら、排燃料ガス供給ライン45のブロワ48を駆動させる制御をする(ステップS14)。ブロワ48は、排燃料ガス供給ライン45を流れる排燃料ガスL3を排燃料ガス排出ライン72との連結部に向けて送る。
【0068】
次に、制御装置62は、排燃料ガスL3の供給先を決定する(ステップS16)。具体的には、制御装置62は、加熱手段70の排ガス加熱部74、蒸気発生部76、空気加熱部78及び燃料ガス加熱部80の中から排燃料ガスの供給先を決定する。制御装置62は、供給先を決定したら、供給先のライン(分岐ライン)の制御弁を閉から開に切り換える制御をする(ステップS18)。これにより、決定された加熱手段70の供給先に排燃料ガスL3を供給することができる。
【0069】
次に、制御装置62は、状態検出部68で排燃料ガスL3の状態を検出し(ステップS20)、排燃料ガスL3の状態が安定したかを判定する(ステップS22)。つまり、制御装置62は、排燃料ガス供給ライン45を流れる排燃料ガスL3の成分が安定しているかを判定する。制御装置62は、例えば、状態検出部68で排燃料ガスL3のカロリーを検出する場合、カロリーが所定の範囲内となったら状態が安定したと判定する。また、状態検出部68は、排燃料ガスL3の状態として、排燃料ガスL3の温度を計測することもできる。状態検出部68で温度を検出する場合、温度が一定の値以上となったら状態が安定したと判定する。
【0070】
制御装置62は、排燃料ガスL3の状態が安定していない(ステップS22でNo)と判定した場合、ステップS16に戻り、ステップS16の処理を再び実行する。制御装置62は、排燃料ライン43を流れる排燃料ガスL3の状態が安定するまで、排燃料ガスL3を加熱手段70に供給しつつ、ステップS16からステップS22の処理を繰り返す。
【0071】
制御装置62は、排燃料ガスL3の状態が安定した(ステップS22でYes)と判定した場合、排燃料ガス供給ライン45の開閉弁64を閉から開に切り換える制御をする(ステップS24)。ここで、制御装置62は、
図5のt2に示すように、排燃料ガス供給ライン45の制御弁47を開で維持しつつ、排燃料ガス排出ライン72の制御弁73を開から閉に切り換え、排燃料ガス供給ライン45の開閉弁64を閉から開に切り換える制御をする。これにより、制御装置62は、排燃料ガス排出ライン72への排燃料ガスL3の供給を停止し、燃焼器22への排燃料ガスL3の供給を開始する。制御装置62は、燃焼器22への排燃料ガスの供給を開始したら、本処理を終了する。
【0072】
このように本実施例の発電システム10は加熱手段70を設け、SOFC13の起動時等において、排燃料ガスL3の状態が安定するまで、つまり、排燃料ガスL3が燃焼器22に供給可能な状態となるまでの間に、SOFC13から排出される排燃料ガスL3を加熱手段70に供給する。これにより、燃焼器22に供給できない排燃料ガスも排出ライン44から排出せずに、加熱手段70の燃料として利用することができる。また、加熱手段70は、発電システム10で使用される、排ガス、蒸気、空気または燃料を加熱しているため、加熱対象を加熱したエネルギーをガスタービン11や蒸気タービン14で回収することができる。
【0073】
また、発電システム10は、加熱手段70の排燃料ガス排出ライン72を、排燃料ガス供給ライン45のブロワ48と開閉弁64との間、つまり、排燃料ガス供給ライン45の燃焼器22側に接続させている。これにより、発電システム10は、排燃料ガス供給ライン45の燃焼器22の近傍に到達した排燃料ガスL3が加熱手段70に供給される。これにより、発電システム10は、排燃料ガスL3の状態が安定するまでの間、排燃料ガスによって排燃料ガス供給ライン45を加熱することができる。また、発電システム10は、排燃料ガス供給ライン45の燃焼器22の近傍に到達した排燃料ガスL3が安定するまで、排燃料ガスL3を加熱手段70に供給することになる。これにより、SOFC13の起動時において、排燃料ガスL3が低温(常温)な状態の排燃料ガス供給ライン45を流れ、温度が低下した排燃料ガスL3が燃焼器22に供給されることを抑制することができる。
【0074】
ここで、排燃料ガスL3は、冷却されるとドレンが発生する。ドレンが発生した排燃料ガス供給ライン45の下流側の排燃料ガスL3は、成分の構成が変化し、水分量が減ることで燃焼発熱量(カロリー)が高くなる。また、発電システム10は、排燃料ガス供給ライン45が排燃料ガスにより加熱されるため、ドレンの発生量が徐々に変化する。また、その後、排燃料ガス供給ライン45で発生したドレンが蒸発すると、蒸発したドレンが排燃料ガスL3に混入し、排燃料ガスL3のH
2O分が多くなる。排燃料ガスL3は、H
2O分が多くなると、燃焼発熱量(カロリー)が低くなる。これにより、排燃料ガス供給ライン45の下流側の排燃料ガスL3は、燃料発熱量が徐々に変化する。このような排燃料ガスL3を燃焼器22に供給すると、燃焼器22での燃焼の制御が複雑になる。また、そもそもドレンが発生した状態の排燃料ガスL3を燃焼器22に供給することは好ましくない。これに対して、本実施例の発電システム10は、上述したように、SOFC13の起動時において排燃料ガスL3の状態が安定してから、燃焼器22に排燃料ガスL3の供給を開始する。これにより、燃焼器22に供給する排燃料ガスL3の燃焼発熱量の変動を抑制することができる。供給する排燃料ガスL3の成分を安定できることで、燃焼器22の燃焼を安定させることができる。これにより、制御を簡単にすることができ、また、ガスタービン11への悪影響も低減することができる。
【0075】
また、発電システム10は、排燃料ガス供給ライン45のブロワ48よりも下流側に排燃料ガス排出ライン72を連結させることで、排燃料ガス排出ライン72に排燃料ガスL3を供給する駆動源として、ブロワ48を用いることができる。これにより、1つのブロワ48を有効に活用することができる。
【0076】
本実施例の発電システム10は、開閉弁64を排燃料ガス供給ライン45の燃焼器22の近傍に配置することが好ましい。つまり、発電システム10は、開閉弁64と燃焼器22との距離を短くすることが好ましい。これにより、開閉弁64を開とし、燃焼器22に排燃料ガスL3の供給を開始した際に、燃焼器22に供給する排燃料ガスL3で加熱する排燃料ガス供給ライン45の範囲を短くすることができる。これにより、燃焼器22に排燃料ガスL3の供給を開始した際に、開閉弁64よりも下流側の範囲の排燃料ガス供給ライン45の排燃料ガスL3にドレンが発生することを抑制することができる。
【0077】
次に、
図6を用いて、上述した本実施例の発電システム10の駆動方法について説明する。
図6は、本実施例の発電システムの駆動動作の一例を示すフローチャートである。
図6に示す駆動動作は、制御装置(制御部)62が各部の検出結果に基づいて、演算処理を実行することで実現することができる。ここで、
図6は、排燃料ガスをガスタービンに供給している状態で実行する制御の一例である。ここで、
図6では、各制御弁を開にする場合の処理について説明するが、開から閉にする制御、開度を調整する制御も同様の処理で実現することができる。また、
図6の制御は、
図4のステップS16及びステップS18の制御としても実行することができる。
【0078】
制御装置62は、流量検出部66で排燃料ガスL3の流量を検出し(ステップS30)、加熱手段70に排燃料ガスを供給するかを判定する(ステップS32)。制御装置62は、例えば、ガスタービン11の運転状態の変動により流量検出部66で検出した流量が燃焼器22に必要な排燃料ガスL3の流量を超える場合、超えた分の排燃料ガスL3を加熱手段70に供給すると判定する。制御装置62は、加熱手段70に排燃料ガスL3を供給しない(ステップS32でNo)、即ち全量の排燃料ガスL3を燃焼器22に供給すると判定した場合、ステップS30に戻る。これにより、制御装置62は、排燃料ガスL3を加熱手段70に供給すると判定するまで、ステップS30とステップS32の処理を繰り返す。
【0079】
制御装置62は、加熱手段70に排燃料ガスL3を供給する(ステップS32でYes)、即ち全量の排燃料ガスL3を燃焼器22に供給できないと判定した場合、排燃料ガス排出ライン72の制御弁73を閉から開に切り換え(ステップS34)、ダクトバーナ90に排燃料ガスL3を供給するかを判定する(ステップS36)。制御装置62は、ダクトバーナ90に排燃料ガスL3を供給する(ステップS36でYes)と判定した場合、第1制御弁112を閉から開にする制御をする(ステップS38)。
【0080】
制御装置62は、ダクトバーナ90に排燃料ガスL3を供給しない(ステップS36でNo)と判定した場合、ボイラ92に排燃料ガスL3を供給するかを判定する(ステップS40)。また、制御装置62は、第1制御弁112を閉から開にした場合もボイラ92に排燃料ガスL3を供給するかを判定する(ステップS40)。制御装置62は、ボイラ92に排燃料ガスL3を供給する(ステップS40でYes)と判定した場合、第2制御弁114を閉から開にする制御をする(ステップS42)。
【0081】
制御装置62は、ボイラ92に排燃料ガスL3を供給しない(ステップS40でNo)と判定した場合、空気昇温用バーナ94に排燃料ガスL3を供給するかを判定する(ステップS44)。また、制御装置62は、第2制御弁114を閉から開にした場合も空気昇温用バーナ94に排燃料ガスL3を供給するかを判定する(ステップS44)。制御装置62は、空気昇温用バーナ94に排燃料ガスL3を供給する(ステップS44でYes)と判定した場合、第3制御弁116を閉から開にする制御をする(ステップS46)。
【0082】
制御装置62は、空気昇温用バーナ94に排燃料ガスL3を供給しない(ステップS44でNo)と判定した場合、バスヒータ96に排燃料ガスL3を供給するかを判定する(ステップS48)。また、制御装置62は、第3制御弁116を閉から開にした場合もバスヒータ96に排燃料ガスL3を供給するかを判定する(ステップS48)。制御装置62は、バスヒータ96に排燃料ガスL3を供給する(ステップS48でYes)と判定した場合、第4制御弁118を閉から開にする制御をする(ステップS50)。
【0083】
制御装置62は、バスヒータ96に排燃料ガスL3を供給しない(ステップS48でNo)と判定した場合、処理終了かを判定する(ステップS52)。また、制御装置62は、第4制御弁118を閉から開にした場合も処理終了かを判定する(ステップS52)。制御装置62は、処理終了ではない(ステップS52でNo)と判定した場合、ステップS30に戻り、上記処理を再び実行する。制御装置62は、処理終了する(ステップS52でYes)と判定した場合、本処理を終了する。
【0084】
制御装置62は、
図6に示す処理を行うことで、ガスタービン11への排燃料ガスL3の供給を開始した後に、燃焼器22に供給しない排燃料ガスL3が発生しても、この排燃料ガスL3を有効に利用することができる。つまり、燃焼器22に供給しない排燃料ガスL3を加熱手段70の燃料として用いることができ、排燃料ガスL3を有効に活用することができる。
【0085】
制御装置62は、例えば、SOFC13の起動時は、ボイラ92(蒸気発生部76)に排燃料ガスL3を供給する制御をし、その後、ダクトバーナ90(排ガス加熱部74)に排燃料ガスL3を供給する制御をすることができる。また、運転中のSOFC13がトリップした場合、制御装置62は、ダクトバーナ90(排ガス加熱部74)に排燃料ガスL3を供給する制御をする。
【0086】
なお、
図6に示す処理では、ダクトバーナ90、ボイラ92、空気昇温用バーナ94及びバスヒータ96の複数に排燃料ガスL3を供給開始できるように、開閉の結果に係らず、ステップS36、ステップS40、ステップS44及びステップS48の判定を実行する制御としたが、これに限定されない。例えば、制御装置62は、ステップS38、ステップS42、ステップS46及びステップS50の処理を行ったら、ステップS52の判定に進むようにしてもよい。
【0087】
ここで、本実施例の加熱手段70は、排燃料ガスを燃焼する機構として、排ガス加熱部74、蒸気発生部76、空気加熱部78及び燃料ガス加熱部80の4つの機構を設けたが、少なくとも1つ備えていればよい。また、加熱手段70が備える排燃料ガスを燃焼する機構は、上記4つの機構に限定されず、ガスタービン11以外で、発電システム10に利用できるものであればよい。
【0088】
ここで、本実施例の加熱手段70は、排燃料ガスを燃焼する領域に燃料ガスを供給する経路を設けることで、排燃料ガスを供給しない場合でも加熱手段70の各部を利用することができる。これにより、加熱手段70は、排燃料ガスを補助燃料として利用することができ、常時運転可能となるため、加熱手段70の各部を効率よく利用することができる。
【0089】
具体的には、制御装置62は、第1制御弁112、第2制御弁114、第3制御弁116及び第4制御弁118の制御と共に制御弁132、134及び138の制御を行うことで、加熱手段70の各部に供給する排燃料ガスL3と燃料ガスL4、L5及びL6とのバランスを調整することができる。制御装置62は、例えば、制御装置62は、第1制御弁112の開度と制御弁132の開度とのバランスを調整することにより、ダクトバーナ90で生じる燃焼量や発熱量を制御することができる。これにより、制御装置62は、ガスタービン11での蒸気発生量と発電機15の発電出力との比率を制御することができる。また、発電システム10は、加熱手段70の各部を効率よく利用することができるため、本実施形態のように加熱手段70の各部に排燃料ガスを供給する経路とは別に燃料ガスを供給する経路を設けることが好ましいが、必ずしも設けなくてもよい。
【0090】
ここで、本実施例の発電システム10は、排燃料ガス供給ライン45のブロワ48及び状態検出部68よりも上流側に制御弁47を設けることで、排燃料ガス供給ライン45のブロワ48及び状態検出部68を配置している範囲に排燃料ガスL3を供給するか否かを切り換えることができる。また、
図2では、制御弁47の位置を排燃料ガス供給ライン45の燃焼器22側に配置した位置としているが、配置位置は特に限定されず、排出ライン44との連結部よりも下流側、かつ、排燃料ガス排出ライン72との連結部よりも上流側であればよい。
【0091】
本実施例の発電システム10は、排燃料ガス供給ライン45を加熱できるため、加熱手段70の排燃料ガス排出ライン72を、排燃料ガス供給ライン45のガスタービン11側と接続することが好ましいが、これに限定されない。発電システム10は、排燃料ガス排出ライン72を、排燃料ライン43に接続してもよいし、排出ライン44に接続してもよい。なお、本実施例の発電システム10は、排出ライン44から排燃料ガスを排出することに換えて、排燃料ガス排出ライン72に排出できるため、排出ライン44と制御弁46を設けなくてもよい。つまり、発電システム10は、排出ライン44に換えて、排燃料ガス排出ライン72を設けてもよい。
【0092】
また、本実施例の発電システム10は、排燃料ガス排出ライン72に排燃料ガスL3からドレンを回収するドレン回収機構を設けてもよい。ドレン回収機構としては、例えば、排燃料ガスL3を冷却する機構と、ドレンを捕集する機構(トラップ)と、を備える。また、ドレン回収機構としては、ドレン回収機構は、再熱交換器を用い、排燃料ガスL3を熱交換で冷却し、ドレンを回収した後、ドレン回収前の排燃料ガスL3から回収した熱で再加熱するようにしてもよい。
【0093】
また、本実施例の発電システム10は、制御弁73を設け、排燃料ガス排出ライン72に排燃料ガスを供給するか否かを切り換えたが、第1制御弁112、第2制御弁114、第3制御弁116、第4制御弁118でそれぞれに排燃料ガスを供給するか否かを切り換えることができるため、制御弁73は必ずしも設けなくてもよい。
【0094】
燃焼器22への燃料ガスの供給を調整する開閉弁64は、少なくとも開閉を切り換えることができればよいが、開度を調整する制御弁でもよい。また、排燃料ガス供給ライン45のブロワ48の上流側に配置した制御弁47は、少なくとも開閉を切り換えることができればよく、開閉弁でもよい。同様に、排燃料ガス供給ライン45に設けた制御弁47と開閉弁64とは、少なくとも一方を開度(流路抵抗)が調整できる制御弁とすることが好ましい。これにより、燃焼器22に供給する排燃料ガスの量を調整することができる。なお、発電システム10は、開閉弁64及び制御弁73の開閉を制御することでも排燃料ガス供給ライン45への排燃料ガスの供給を制御できるため、制御弁47を設けなくてもよい。