(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記使用ガス流量検出手段は、前記燃料利用機器に要求される燃料ガスの流量を検出する要求ガス流量検出手段と、前記燃料利用機器で実際に使用した燃料ガスの流量を検出する消費ガス流量検出手段と、の少なくともいずれか一方を備え、
前記電磁力調整手段は、前記要求ガス流量検出手段と前記消費ガス流量検出手段のいずれか一方の検出値と、前記ガス圧検出手段の検出値と、に基づいて、前記遮断弁のソレノイドの電磁力を逐次設定することを特徴とする請求項1に記載の燃料利用システム。
前記電磁力調整手段は、前記使用ガス流量検出手段と前記ガス圧検出手段の検出値に対応する前記ソレノイドの適正電流値を定めたマップを予め記憶しておき、そのマップに対応する電流を前記ソレノイドに出力することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料利用システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この従来の燃料利用システムの場合、ガス漏れが生じているものと判断する検出閾値は、常用での最大流量に、周囲の機器からの信号ノイズや検出誤差等を見込んだマージンを加えた値とする必要がある。
このため、従来の燃料利用システムにおいては、ガス供給路で燃料ガスの漏れが発生してから、実際に遮断弁が閉じられるまでの時間が長くなる状況が考えられる。
【0006】
そこでこの発明は、ガス供給路で燃料ガスの漏れが発生してから、実際に遮断弁が閉じられるまでの時間をより短縮することのできる燃料利用システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る燃料利用システムでは、上記課題を解決するために以下の構成を採用した。
請求項1に係る発明は、燃料ガスを用いる燃料利用機器(例えば、実施形態の燃料電池スタック1)と、この燃料利用機器に燃料ガスを供給する燃料供給源(例えば、実施形態の水素タンク2)と、この燃料供給源と前記燃料利用機器を接続するガス供給路(例えば、実施形態のガス供給路3)と、前記燃料供給源、若しくは、前記ガス供給路の前記燃料供給源に近接する部分に設けられ、弁体(例えば、実施形態のバルブ本体15)が付勢手段(例えば、実施形態のスプリング18)によって閉弁方向に付勢されるとともに、ソレノイド(例えば、実施形態のソレノイド6)の電磁力によって
開弁方向に付勢される電磁式の遮断弁(例えば、実施形態の主止弁10)と、前記遮断弁の下流に配置され、前記遮断弁を通過した前記燃料供給源からの燃料ガスの圧力を減ずる減圧弁(例えば、実施形態の減圧弁5)と、前記燃料利用機器での使用に係る燃料ガスの流量を検出する使用ガス流量検出手段(例えば、実施形態のアクセル開度センサ32,電流センサ8)と、前記減圧弁よりも上流側の燃料ガスの圧力を検出するガス圧検出手段(例えば、実施形態の圧力センサ9)と、前記使用ガス流量検出手段と前記ガス圧検出手段で逐次検出される検出値に基づいて、前記燃料利用機器に使用ガス流量を供給し得る開弁量となるように、前記遮断弁のソレノイドの電磁力を逐次設定する電磁力調整手段(例えば、実施形態の制御装置7)と、を備え、前記電磁力調整手段が逐次設定する前記ソレノイドの電磁力は、前記燃料利用機器に使用ガス流量を供給し得る最小電磁力にマージンを加えた合算電磁力であ
り、前記ガス供給路を流れる燃料ガスの流量の増大変化に追従して前記遮断弁が閉弁される設定ガス流量を設定する電磁力であることを特徴とするものである。
これにより、遮断弁のソレノイドの電磁力は、燃料利用機器での使用に係るガス流量と、減圧弁よりも上流側の燃料ガスの圧力に基づいて、燃料利用機器に使用ガス流量を供給し得る開弁量となるよう逐次設定される。この状態でガス供給路で燃料ガスの漏れが生じると、ガス供給路内に流れ込むガス流量が使用ガス流量よりも増大し、使用ガス流量とガス圧に基づいて設定されているソレノイドの電磁力では開弁状態を維持できなくなる。この結果、遮断弁は、付勢手段の力によって自動的に閉弁状態とされる。また、遮断弁よりも上流側の燃料ガスの圧力が低下すると、その低下に応じて遮断弁での圧力損失が増大するが、その圧力損失の増大分は、電磁力調整手段での電磁力の設定において、開弁量が増大するように補正される。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の燃料利用システムにおいて、前記使用ガス流量検出手段は、前記燃料利用機器に要求される燃料ガスの流量を検出する要求ガス流量検出手段(例えば、実施形態のアクセル開度センサ32)と、前記燃料利用機器で実際に使用した燃料ガスの流量を検出する消費ガス流量検出手段(例えば、実施形態の電流センサ8)と、の少なくともいずれか一方を備え、前記電磁力調整手段は、前記要求ガス流量検出手段と前記消費ガス流量検出手段のいずれか一方の検出値と、前記ガス圧検出手段の検出値と、に基づいて、前記遮断弁のソレノイドの電磁力を逐次設定することを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の燃料利用システムにおいて、前記電磁力調整手段は、前記使用ガス流量検出手段と前記ガス圧検出手段の検出値に対応する前記ソレノイドの適正電流値を定めたマップを予め記憶しておき、そのマップに対応する電流を前記ソレノイドに出力することを特徴とするものである。
【0011】
請求項
4に係る発明は、請求項1〜
3のいずれか1項に記載の燃料利用システムにおいて、車両に搭載されて使用されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、遮断弁のソレノイドの電磁力が、
使用ガス流量検出手段とガス圧検出手段で逐次検出される検出値に基づいて、燃料利用機器に使用ガス流量を供給し得る開弁量となるよう逐次設定されるため、ガス供給路で燃料ガスの漏れが生じてガス供給路内を実際に流れる燃料ガスの流量が電磁力調整手段での設定を超えたときに、迅速にかつ自動的に遮断弁を閉じることができる。
したがって、この発明によれば、ガス供給路での燃料ガスの漏れの発生時には、殆どの場合、ガス供給路を流れる燃料ガスの流量が常用での最大流量を大きく超える前に遮断弁が閉じられることになるため、実際に遮断弁が閉じられるまでの時間をより短縮することができる。
また、この発明によれば、燃料利用機器に使用ガス流量を供給し得る最小電磁力にマージンを加えた合算電磁力を、電磁力調整手段で逐次設定する電磁力としているため、上述の時間短縮に加えて、ガス供給路に漏れの生じていない状況での遮断弁の誤作動を無くすことができる。
なお、燃料利用機器での使用に係る燃料ガスの流量とは、燃料利用機器において、要求に応じてこれから使用する、或いは、必要とされ使用された燃料ガスの流量のことである。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、使用ガス流量検出手段とガス圧検出手段の検出値に対応するソレノイドの適正電流値を定めたマップを予め記憶しておき、そのマップに対応する電流を逐次遮断弁のソレノイドに出力するため、上述の時間短縮に加えて、ガス供給路に遮断弁の電磁力を常に適正に、かつ容易に設定することができる。
【0015】
請求項
4に係る発明によれば、車両に搭載されて使用される燃料利用システムに採用するため、ポンプやバルブ等の補機類から信号ノイズの入り易い悪条件での使用にも拘わらず、燃料ガスの漏れの発生時に迅速に遮断弁を閉じることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、車両に搭載される燃料電池システム(燃料利用システム)の概略構成図であり、同図において、符号1は、燃料としての水素と酸化剤としての酸素が供給されて発電をする燃料電池スタック(燃料電池)である。燃料電池スタック1は、例えば固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)であり、MEA(Membrane Electrode Assembly、膜電極接合体)をセパレータ(図示しない)で挟持してなる単セルが複数積層されて構成されている。燃料電池スタック1は、この実施形態における燃料利用機器を構成している。
【0018】
燃料電池スタック1には、高圧の水素を貯蔵する水素タンク2(燃料供給源)からガス供給路3を介して水素ガスが供給されるとともに、図示しない空気供給装置を介して酸素を含む空気が供給される。
水素タンク2には、ガス供給路3に対するガス供給と遮断を行う電磁式の遮断弁である主止弁10が取り付けられている。なお、
図1中の符号5は、ガス供給路3中に設けられ、水素タンク2から吐出された高圧の水素ガスを所定圧力に減圧するための減圧弁である。
【0019】
主止弁10は、後に詳述するように開弁作動を行うためのソレノイド6を有し、そのソレノイド6に通電する電流が制御装置7(電磁力調整手段)によって制御されるようになっている。
燃料電池スタック1には、発電電流を検出する電流センサ8(消費ガス流量検出手段,使用ガス流量検出手段)が設けられ、水素タンク2には、内部の圧力を検出する圧力センサ9(ガス圧検出手段)が設けられている。これらの電流センサ8と圧力センサ9で検出された検出信号は制御装置7に入力され、制御装置7は、これらの検出信号に応じた電磁力となるようにソレノイド6の通電電流を制御する。制御装置7による具体的な制御については後に詳述する。
【0020】
図2,
図3は、主止弁10の具体的な構造を示す図であり、
図2は、閉弁状態を示し、
図3は、開弁状態を示している。
主止弁10は、キックパイロット式の電磁弁によって構成され、バルブボディ11が水素タンク2の開口部に封止プラグを兼ねて取り付けられている。バルブボディ11には、水素タンク2の内部と導通する導入通路12と、水素タンク2の外部のガス供給路3と導通する放出通路13が設けられている。また、バルブボディ11内の導入通路12と放出通路13の間にはバルブ収容室14が設けられ、そのバルブ収容室14内に、放出通路13の端部を開閉するバルブ本体15(弁体)が進退自在に収容されている。なお、図中の符号16は、バルブ本体15が離接するメイン弁座である。
【0021】
バルブ本体15は、磁性材料から成るプランジャ17に軸方向の微小な遊びをもって保持されており、プランジャ17は、バルブ本体15をメイン弁座16に当接させる方向にスプリング18(付勢手段)によって付勢されている。また、バルブ本体15の軸心部には、導入通路12と放出通路13を導通させるパイロット孔19が設けられている。このパイロット孔19の端部は、
図2に示すように、バルブ本体15がスプリング18によってメイン弁座16に押し付けられているときに、プランジャ17に設けられたパイロット弁座20に当接し、それによって内部を閉塞されるようになっている。
また、ソレノイド6は、プランジャ17の周囲を取り囲むように配置され、所定電流の通電による励磁によって、プランジャ17をスプリング18の力に抗して後退させる。
【0022】
主止弁10は、ソレノイド6が励磁されていないときには、
図2に示すように、バルブ本体15がメイン弁座16に当接し、かつ、パイロット孔19がパイロット弁座20に当接している。このとき、主止弁10は、水素タンク2からガス供給路3への水素ガスの供給を完全に遮断している。
【0023】
一方、主止弁10は、この状態からソレノイド6が励磁されると、プランジャ17がバルブ本体15との遊びの範囲で僅かに後退し、このとき、パイロット孔19が開いて導入通路12と放出通路13の間の圧力差が減少する。この後、ソレノイド6がさらに励磁されると、
図3に示すように、プランジャ17がバルブ本体15自体を直接後退させ、バルブ本体15がメイン弁座16から離間する(開弁する)。これにより、導入通路12と放出通路13が完全に導通し、水素タンク2内の水素ガスがガス供給路3に供給される。
【0024】
ここで、制御装置7によるソレノイド6の制御について説明する。
この燃料電池システムでは、ソレノイド6の通電電流(電磁力)は一定ではなく、燃料電池スタック1で必要とする水素ガスのガス流量と、水素タンク2内の水素ガスの圧力に応じて、実際に燃料電池スタック1に使用ガス流量を供給し得る主止弁10の開弁量となるように、逐次設定されるようになっている。
具体的には、例えば、燃料電池スタック1の使用ガス流量と水素タンク2の内圧とに対応するソレノイド6の適正電流値を定めたマップを予めメモリ(記憶手段)に記憶させておき、電流センサ8の検出値(この電流値から使用ガス流量を算出できる。)と圧力センサ9の検出値とに対応するソレノイド6の適正電流値を上記のマップを参照して逐次設定する。
【0025】
そして、この燃料電池システムでは、マップに記憶させておくソレノイド6の適正電流値は、以下の(a),(b)二つの事項を勘案して設定されている。
(a)水素タンク2の内圧が一定の場合には、
図4の線図に示すように使用ガス流量が増大するほど、主止弁10の開弁量を大きくしなければならず、開弁保持に必要なソレノイド6の通電電流値は略比例的に増大させる必要がある。
(b)燃料電池スタック1での使用ガス流量が一定の場合には、
図5の線図に示すように水素タンク2の内圧が減少するほど、主止弁10の開弁量を大きくしなければならず、開弁保持に必要なソレノイド6の通電電流値は略比例的に増大させる必要がある。
【0026】
上記の(a),(b)二つの事項を勘案することにより、例えば、以下の表1のような、使用ガス流量と水素タンク2の内圧に対応するソレノイド6の適正電流値の対応表(マップ)を作成することができる。
実際に使用するマップは、燃料電池スタック1に使用ガス流量を供給し得る最小電流値(最小電磁力)に、信号ノイズや誤差等のマージンを加えた合算電流値(合算電磁力)を設定電流値(設定電磁力)としている。
【0028】
図6は、この実施形態の燃料電池システムにおける燃料電池スタック1での発電に使う使用ガス流量、水素タンク2の内圧、ガス供給路3を実際に流れる水素ガスの流量、主止弁10が閉じられる設定ガス流量と、水素ガスの漏れが生じたときに主止弁10が実際に閉じられるタイミングを示した図である。
同図に示すように、この燃料電池システムの場合、燃料電池スタック1で使用するガス流量の変化にほぼ追従して主止弁10の閉じられる設定ガス流量も変化する。なお、主止弁10の閉じられる設定ガス流量は水素タンク2内のガス圧の変化分を補正される。
この燃料電池システムでは、ガス供給路3に水素ガスの漏れが生じなければ、ガス供給路3を流れるガス流量が、主止弁10が閉じられる設定ガス流量を超えることがないため、主止弁10は開弁状態に維持されている。
【0029】
また、この燃料電池システムの運転中に、
図6中のaの時点でガス供給路3からの水素ガスの漏れが生じると、ガス供給路3に流れ込む水素ガスの流量が増大する。そして、
図6中のbの時点でガス供給路3に流れ込む水素ガスの流量が、主止弁10が閉じられる設定ガス流量を超えると、主止弁10が自動的に閉じられることになる。
なお、
図6中のcは、ガス供給路3を流れる燃料ガスの流量が、常用での最大流量にマージン分を加えた合算流量を超えたときに、主止弁10を閉じるようにした場合(従来の技術の場合)における主止弁10が閉じられる時点を示している。また、
図6中のAは、この実施形態と比較例の場合の水素ガスの漏れ量の差を示している。
【0030】
以上のように、この燃料電池システムにおいては、主止弁10の電磁力(ソレノイド6の電流値)が、燃料電池スタック1で使用するガス流量と、水素タンク2内の圧力に基づいて、燃料電池スタック1での使用ガス流量を供給し得る開弁量となるように逐次設定されるため、ガス供給路3で水素ガスの漏れが生じたときに、ガス供給路3を流れる水素ガスの流量が常用での最大流量を超える前に主止弁10を早期に自動的に閉弁することができる。
【0031】
また、この実施形態の燃料電池システムは、電流センサ8の検出値(燃料電池スタック1の使用ガス流量)と圧力センサ9の検出値に対応するソレノイド6の適正電流値を定めたマップを予め記憶しておき、そのマップに対応する電流を逐次主止弁10のソレノイド6に出力するようにしているため、主止弁10のソレノイド6に出力する電流を常に適正に、かつ容易に設定することができる。
【0032】
さらに、この実施形態の燃料電池システムにおいては、燃料電池スタック1に使用ガス流量を供給し得る最小電流値に、信号ノイズや誤差等のマージンを加えた合算電流値を設定電流値としているため、ガス供給路3で水素ガスの漏れが生じない状況での主止弁10の誤った閉弁作動を未然に防止することができる。
【0033】
また、この燃料電池システムは、車両に搭載するものに限るものではないが、特に、車両に搭載して使用する場合には、ポンプやバルブ等の車両搭載の補機類から信号ノイズが多く発される悪条件で使用されても、水素ガスの漏れの発生時に迅速に主止弁10を閉じることができるため、極めて有効となる。
【0034】
つづいて、
図7に示すこの発明のさらに好適な実施形態について説明する。
この実施形態の燃料利用システムは、上記の実施形態と同様、車両に搭載される燃料電池システムである。この燃料電池システムは、上記の実施形態と同様に、燃料供給源としての水素タンク2と、水素タンク2に設けられ、ガス供給路3に対するガス供給と遮断を行う主止弁10と、主止弁10を通して水素タンク2から吐出された高圧の水素ガスを所定圧力に減圧する減圧弁5と、燃料利用機器としての燃料電池スタック1と、主止弁10のソレノイド6に通電する電流を制御する制御装置7(電磁力調整手段)と、燃料電池スタック1に酸素を含む空気を供給する図示しない空気供給装置と、を備えている。
【0035】
また、減圧弁5と燃料電池スタック1の間のガス供給路3には、燃料電池スタック1への供給ガス流量を操作するインジェクタ30(流量調整弁)が介装されている。このインジェクタ30は制御装置7によって制御される。制御装置7は、アクセル開度センサ32(要求ガス流量検出手段,使用ガス流量検出手段)からアクセルペダル31の開度信号を受け、その開度信号に応じてインジェクタ30の噴射時間を制御する。即ち、制御装置7は、運転者によるアクセルペダル31の踏み込み量に応じて燃料電池スタック1への供給ガス流量を増減させる。
【0036】
また、この実施形態の燃料電池システムでは、圧力センサ9を、水素タンク9部分ではなく、主止弁10と減圧弁5との間のガス供給路3に設けている。主止弁10が開かれた際には、減圧弁5よりも上流側のガス供給路3では水素タンク2内とほぼ同圧が加わることから、圧力センサ9は、水素タンク2の圧力を検知できるこの位置に設置しても良い。
【0037】
この実施形態の場合、制御装置7は、アクセル開度センサ32の検出値と、圧力センサ9の検出値とを用いて主止弁10の開弁量を逐次設定する。具体的には、例えば、要求ガス流量と水素タンク2の内圧とに対応するソレノイド6の適正電流値を定めたマップを予めメモリ(記憶手段)に記憶させておき、アクセル開度センサ32の検出値と圧力センサ9の検出値とに対応するソレノイド6の適正電流値を上記のマップを参照して逐次設定する。
【0038】
上記の実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池スタック1で実際に使用した水素ガスの流量を電流センサ8によって検出し、その検出値と水素タンク2の内圧とに基づいて主止弁10のソレノイド6の電磁力を逐次設定していたが、この実施形態の燃料電池システムは、燃料電池スタック1に要求される水素ガス流量をアクセル開度センサ32によって検出し、その検出値と
減圧弁5の上流側のガス供給路3の圧力とに基づいて主止弁10のソレノイド6の電磁力を逐次設定している。
両実施形態の燃料電池システムは、フィードバック制御(実際に消費した水素ガスの流量を使用した制御)とフィードフォワード制御(要求した水素ガス流量の指示値を使用した制御)の相違はあるものの、この実施形態の場合も上記の実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0039】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、電磁式の遮断弁(主止弁10)を水素タンク2に一体に設けているが、遮断弁は水素タンク2の近傍に別体に設けるようにしても良い。
また、上記の実施形態では、電流センサ8の検出値(燃料電池スタック1の消費ガス流量)と圧力センサ9の検出値に対応するソレノイド6の適正電流値や、アクセル開度センサ32の検出値(要求ガス流量)と圧力センサ9の検出値に対応するソレノイド6の適正電流値を予めマップのかたちで記憶するようにしているが、ソレノイド6の適正電流値をその都度演算によって求めるようにしても良い。
さらに、上記の実施形態においては、燃料供給源として水素タンク2を用いているが、燃料供給源は燃料改質装置であっても良い。
また、この発明に係る燃料利用システムは、燃料電池システムに限定されるものではなく、水素ガス等の燃料ガスを利用するシステムであれば、例えば、水素ガスを燃料とした内燃機関システム等の燃料電池以外のシステムであっても良い。