(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般に、缶などの容器をコンベア等により搬送する搬送装置においては、容器の搬送姿勢が乱れることを防止するべく、容器の胴部などを支えるガイド部材が設けられている。一方で、搬送装置により搬送される容器としては、高さ寸法や外径寸法などが異なるものが多数存在しているため、容器の形状に応じたガイド部材が必要となる。特許文献1〜3には、異なる形状の容器を安定して支持可能なように、ガイド部材の間隔や高さなどを調整する位置調整機構を備える搬送装置が記載されている。
【0003】
缶フィラーなどの処理装置に接続される搬送装置の場合、処理装置の大型化や高速化など処理能力向上に伴い搬送速度の高速化が図られている(例えば、25個/秒など)。このような搬送装置にあっては、下流側で容器搬送が正常に行われない場合などに、容器の搬送を強制的に停止させる必要がある。しかし、容器を高速搬送しているため、搬送停止の動作が少し遅れただけで多数の容器が下流側に流されてしまう。これら下流に流された容器は、搬送ライン外に取り除く必要があるため、下流側に流された容器が多いほど容器取り除き作業の負担が増加してしまっていた。また、搬送装置よりも下流側で異常が生じている場合には、下流に流された容器が損傷してしまう虞があった。そのため、下流側に流される容器の数を低減することが要望されていた。
【0004】
図6は、上記容器の搬送を停止させる容器停止装置の一例を示している。この容器停止装置120は、例えば、容器102をコンベア等により搬送する搬送路R1の途中に設けられている。なお、この
図6において、容器102は
図6の紙面表裏方向に搬送される。容器停止装置120は、搬送路R1の幅方向両側にそれぞれ対向配置される固定側ストッパ122と可動側ストッパ121とを備えている。固定側ストッパ122は、搬送路R1の幅方向一側に配置された支持部166に固定されている。一方で、可動側ストッパ121は、支持部152を介して搬送路R1の幅方向他側に配置された駆動部148に接続されている。
【0005】
駆動部148は、アクチュエータ(図示せず)を備え、このアクチュエータによって可動側ストッパ121を搬送路R1の幅方向に変位させることが可能となっている。より具体的には、上記駆動部148は、可動側ストッパ121を、可動側ストッパ121の当接部126と固定側ストッパ122の当接部157との間隙が容器102の幅寸法よりも僅かに大きくなる容器搬送位置(
図6中、二点鎖線で示す)と、可動側ストッパ121の当接部126と固定側ストッパ122の当接部157との間隙が容器102の幅寸法よりも小さくなる容器停止位置(
図6中、実線で示す)との間で変位可能となっている。
【0006】
駆動部148は、通常時、可動側ストッパ121を容器搬送位置に保持させて容器102の搬送を許容する一方で、容器102の搬送を停止させる必要があるときには、可動側ストッパ121を瞬時に容器停止位置に向けて変位させ、容器102を所定の圧縮力で押圧し続ける。これにより、コンベア115上を搬送されている容器102は、可動側ストッパ121の当接部126と固定側ストッパ122の当接部157との間に挟み込まれて、上記圧縮力により搬送方向への移動が規制される。なお、上記容器102が可動側ストッパ121の当接部126と固定側ストッパ122の当接部157との間に挟み込まれたとしても、コンベア115の駆動は継続され、コンベア115が容器102の底部に摺接する状態が維持されるが、コンベア115が容器102に摺接する摩擦力よりも上記圧縮力が勝り、容器102が移動しないようになっている。
【0007】
上述した容器102においては、軽量化等の目的で基材の薄肉化が進んでいる。また、容器102の胴部、とりわけ軸線O方向の中央部近傍には、デザイン性の向上等の目的で凹凸が形成される場合がある。これら薄肉化や凹凸によって、胴部の軸線O方向中央部近傍は、その強度が年々低下する傾向にある。また、容器102の胴部には、印刷等が施された化粧面Kが配されている。容器102は、これらの要因によって、胴部の軸線O方向中央部近傍を押圧した際に、胴部が変形したり化粧面Kに傷がついたりしてしまう虞がある。
【0008】
そのため、
図6に示す容器停止装置120においては、変形や損傷の虞がある胴部の中央部近傍を避けるために、固定側ストッパ122の当接部157と可動側ストッパ121の当接部126との両方に、凹部132,163が形成されている。これら凹部132,163が形成されることで、容器停止装置120は、比較的強度が高く化粧面Kが形成されていない胴部上部および胴部下部のみで容器102を挟み込むようになっている。また、上記容器停止装置120は、容器102の種類に応じて高さ寸法の異なる当接部126,157を有した固定側ストッパ122と可動側ストッパ121とをそれぞれ備えており、容器102の寸法等に応じて固定側ストッパ122と可動側ストッパ121とを交換(以下、型替えと称する)することが可能となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述した容器停止装置120の可動側ストッパ121と固定側ストッパ122との当接部126,157は、それぞれ樹脂などにより形成されている。これら当接部126,157は、金属等により形成される当接部ホルダ129,162にビス等の締結部材131を介して固定される。上記可動側ストッパ121と固定側ストッパ122とは、上記型替えを行う際に、
図7に示すように、ビス等の締結部材131を着脱して当接部126,157を交換するか、又は、当接部126と当接部ホルダ129とが一体化された状態、当接部157と当接部ホルダ162とが一体化された状態で、当接部ホルダ129,162を支持部152,166から取り外す必要がある。
【0011】
また、締結部材131を着脱して当接部126,157を交換する場合には、締結部材131の締め付け力により樹脂製の当接部126,157が変形してしまう虞がある。また、締結部材131の着脱により当接部126,157を交換する場合、および、支持部152,166から当接部ホルダ129,162を取り外して当接部126,157を交換する場合は、容器102の搬送を停止させる必要が生じるなど、型替え作業が煩雑化して作業時間の短縮が困難になってしまう。なお、
図7中、型替えした後の各当接部126,157を二点鎖線で示している。
【0012】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、当接部が変形することを防止しつつ、ストッパの型替え作業にかかる作業時間の短縮化を図ることが可能な容器停止装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために以下の構成を採用する。
この発明に係る容器停止装置は、搬送手段により搬送される容器の側面を一対のストッパによって挟み込んで停止させる容器停止装置であって、前記一対のストッパのうち少なくとも一方のストッパは、前記容器の側面に当接する第一の当接部、および、前記容器から離間する方向に延びるステー部を有した第一の当接ユニットと、前記ステー部が前記容器の軸線方向で重ねられた状態で前記第一の当接ユニットを支持する第一の支持部と、前記容器の軸線方向に締め込むことで前記第一の支持部に対して前記第一の当接ユニットを着脱可能に固定する第一の締結部材と、を備える第一のストッパよりな
り、前記一対のストッパのうち他方のストッパは、前記容器の軸線方向における前記容器の一側部に当接する第二の当接部を有する第二の当接ユニットと、前記容器の軸線方向における前記容器の他側部に当接する第三の当接部を有し、前記第二の当接ユニットに対して前記容器の軸線方向に着脱可能とされる第三の当接ユニットと、該第三の当接ユニットを前記第二の当接ユニットに押し付ける押付機構と、を備える第二のストッパよりなることを特徴としている。
このように構成することで、第一の締結部材の締め込みによる固定状態を解除することで、第一の支持部から第一の当接ユニットを容器の軸線方向に取り外すことができる。また、第一の支持部に第一の当接部のステー部を容器の軸線方向で重ねて第一の締結部材を締め込むことで、第一の支持部に対して第一の当接ユニットを固定することができる。そのため、第一の当接部を第一の当接ユニットから取り外すことなしに、容器に応じた第一の当接部を有する第一の当接ユニットに交換することができる。また、第一の当接ユニットを交換する際に、容器の軸線方向に変位させるので、容器搬送を阻害することがなく、型替え作業に掛かる作業時間の短縮化を図ることができる。
さらに、第二のストッパの第三の当接ユニットを、第二のストッパの第二の当接ユニットに対して容器の軸線方向に着脱することができる。そのため、例えば、容器の軸線方向の長さに応じた複数種類の第三の当接ユニットを用意して、容器の軸線方向の長さに応じた第三の当接ユニットを第二の当接ユニットに対して選択的に取り付けるだけで、軸線方向における容器の他側部に第三の当接部を適正に当接させることができる。
【0014】
さらに、この発明に係る容器停止装置は、上記容器停止装置の一対のストッパのうち一方のストッパが、前記第一のストッパよりなり、該第一のストッパが、前記第一の支持部を容器に向けて近接離間させる駆動部を備えていてもよい。
このように構成することで、駆動部によって第一の支持部が容器に向けて近接方向に変位された場合に、第一の支持部に固定されたステー部を介して第一の当接ユニットが容器に近接するように変位され、第一の当接ユニットの第一の当接部を容器の側面に押し付けることができる。したがって、一つの駆動部および一対のストッパによって搬送中の容器を挟み込むことができる。
【0015】
さらに、この発明に係る容器停止装置は、上記容器停止装置において、前記容器の軸線方向で前記第一の支持部に重ねられた前記ステー部の前記第一の支持部に対する位置決めを行う位置決め部を備えるようにしても良い。
このように構成することで、締結部材によって第一の支持部にステー部を固定する前に、第一の支持部に対するステー部の位置決めを行うことができるため、容易に締結部材による締結作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る容器停止装置によれば、当接部の変形を防止しつつ、ストッパの型替え作業にかかる作業時間の短縮化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、この発明の一実施形態における容器停止装置について図面に基づき説明する。
図1は、この実施形態における容器停止装置20を備える容器の処理装置を示している。
この実施形態の処理装置1は、缶(容器)2に飲料水などの内容物を充填するいわゆる缶フィラーである。この処理装置1は、フィラー本体3と、搬送装置(搬送手段)4とを備えている。
フィラー本体3は、平面視略円形に形成され、その外周部3aには、下方を向く複数のバルブ(図示せず)が周方向に等ピッチで配列されている。これら複数のバルブは、フィラー本体3の外周部3aに沿って搬送される缶2と共に移動して、缶2の軸線O(
図2参照)が上下方向を向いた立ち姿勢の缶2に順次内容物を充填する。これらフィラー本体3に供給される缶2は、略等間隔で一列に並んで搬送装置4によって搬送される。内容物が充填された缶2は、フィラー本体3から、蓋体を巻き締めて密封するシーマーなどの装置(図示せず)に向けて順次搬送される。
【0020】
搬送装置4は、スターホイール搬送部5と、スクリュー搬送部6と、コンベア搬送部7とを備えている。スターホイール搬送部5は、スクリュー搬送部6とフィラー本体3との間に配置され、スクリュー搬送部6から搬送されてきた缶2をフィラー本体3に受け渡す。スターホイール搬送部5は、スターホイール8と、ホイールガイド9とを備えている。スターホイール8は、搬送方向(
図1においては時計回り)に回転可能とされた概略円形に形成されており、その外周縁には、複数の凹部11が形成されている。これら凹部11は、軸線O2に直交する断面が缶2の直径に対応した略円弧状に形成され、周方向で等間隔に配されている。これら凹部11には、搬送方向上流側から供給される缶2が順次没入されるようになっている。
【0021】
また、ホイールガイド9は、スターホイール8の凹部11に没入された缶2の外側を向く側面を支持し、スターホイール8と共に缶2を案内する部材であり、スターホイール8の周方向に延びる略円弧状に形成されている。スターホイール搬送部5に供給された缶2は、スターホイール8が半周程度回転したのちにフィラー本体3に受け渡される。つまり、スターホイール搬送部5によって缶2の搬送方向が略反転される。
【0022】
スクリュー搬送部6は、スターホイール搬送部5の搬送方向上流側に配置され、スターホイール搬送部5に缶2を受け渡す。スクリュー搬送部6は、上流側から搬送されてくる缶2を、上述したスターホイール8の凹部11の間隔と略同じ間隔として、下流側のスターホイール搬送部5に順次に受け渡す。スクリュー搬送部6は、主にスクリュー12とガイド部材13とにより構成される。スクリュー12は、スクリュー搬送部6の幅方向一側に、缶2の搬送方向に延びるように配置されている。スクリュー12は、その外周面に螺旋状の溝14を備え、軸線O3回りに回動可能とされている。一方で、ガイド部材13は、スクリュー搬送部6の幅方向他側、すなわちスクリュー12の反対側に配置されている。スクリュー搬送部6に供給される缶2は、幅方向の一側が溝14に没入されると共に、スクリュー12と反対側の他側がガイド部材13に案内される。スクリュー搬送部6のスクリュー12が回転すると、スクリュー12とガイド部材13に挟まれた立ち姿勢の缶2が螺旋状の溝14に沿って下流側に搬送されて、順次スターホイール8に受け渡される。このスクリュー搬送部6の上流には、コンベア搬送部7が設けられ、このコンベア搬送部7からスクリュー搬送部6に缶2が受け渡される。なお、上記立ち姿勢とは、缶2の軸線O方向が上下方向を向いた状態で少なくとも缶2の下端部が下方から支持されている状態を指している。
【0023】
この実施形態の一例におけるコンベア搬送部7は、主に、コンベア部15と、ガイド部16とを備えており略直線状の搬送路R1を形成している。コンベア部15は、いわゆるベルトコンベアであって、ワークである缶2を立ち姿勢の状態で一列に搬送する。ガイド部16は、コンベア部15の幅方向両側にそれぞれ立設されている。これらガイド部16は、缶2の直径よりも僅かに大きい間隔で互いに対向配置されている。ガイド部16は、略板状のガイド本体部17と、コンベア部15の幅方向外側に向かって延びるステー部18と、これらステー部18を支持するガイド支持部19とを備えている。ガイド支持部19は、ステー部18の固定位置をコンベア部15の幅方向で調整可能となっており、例えば、缶2の大きさに応じてガイド本体部17同士の間隔が調整可能となっている。なお、コンベア搬送部7によって搬送される缶2は、上述したスクリュー搬送部6とは異なり搬送方向で離間しておらず、隣り合う缶2の側面同士が搬送方向で当接した状態となる。
【0024】
図1、
図2に示すように、コンベア搬送部7が形成する搬送路R1の途中には、コンベア搬送部7により搬送される缶2を停止させる容器停止装置20が複数個所に設置されている。
容器停止装置20は、一対の、可動側ストッパ21および固定側ストッパ22を備えている。可動側ストッパ21は、可動側当接ユニット23と、可動側支持部24と、可動側締結部材25とを備えている。
【0025】
可動側当接ユニット23は、缶2の側面2aに当接する可動側当接部26と、コンベア部15上を搬送される缶2から離間する方向(換言すれば、コンベア部15の幅方向外側)に向かって延びるステー部27と、を有している。可動側当接部26は、樹脂やゴム等により形成された略平板状のパッド部28と、パッド部28を保持するステンレス等の金属製の略平板状のホルダ部29とを備えている。パッド部28およびホルダ部29は、上部と下部とでボルト・ナット等の複数の締結部材31によってホルダ部29にパッド部28が固定されている。
【0026】
ここで、缶2には、缶2の軸線O方向における略中央部の胴部2bに、凹凸加工や印刷等が施された化粧面Kが形成されている場合がある。上記パッド部28は、化粧面Kを避けるように、化粧面Kに対応する胴部2bに対向する位置に、凹部32が形成されている。換言すれば、パッド部28は、搬送される缶2の軸線O方向上部(一側部)に、缶2の側面2aに当接する上当接部33が形成され、搬送される缶2の軸線O方向下部(他側部)に、缶2の側面2aに当接する下当接部34が形成されている。
【0027】
図2、
図3に示すように、ステー部27は、ホルダ部29と一体に形成されており、ステー部27のホルダ部29と反対側の端部35近傍には、上下方向に貫通する貫通孔36が形成されている。貫通孔36は、上下方向で有段形成されており、貫通孔36の上部内面には雌ネジが形成されている。また、貫通孔36の下部には、上部よりも拡径された拡径部37が形成されている。さらにステー部27には、下方に開口する複数の位置決め穴38が形成されている。これら位置決め穴38は、貫通孔36とホルダ部29との間で、且つ、缶2の搬送方向で貫通孔36の両側に離間した位置に配置される。
【0028】
可動側支持部24は、上記可動側当接ユニット23のステー部27が缶2の軸線O方向に重ねられた状態、より具体的には、上下方向で上側に重ねられた状態で、可動側当接ユニット23を支持する。可動側支持部24には、上述したステー部27の貫通孔36に対応する位置に、ステー部27の貫通孔36の上部内面に形成された雌ネジと同径のボルト穴39が形成されている。さらに、可動側支持部24には、上述した位置決め穴38と対向する位置に、位置決め穴41が形成されている。可動側支持部24の位置決め穴38とステー部27の位置決め穴41とには、双方に渡るようにして位置決めピン42が嵌合される。
【0029】
可動側締結部材25は、雄ネジが形成されるボルト部43と、このボルト部43の上端部に形成されるノブ部44とを備えている。ノブ部44は、作業者が工具を用いずに操作可能とするべくボルト部43よりも十分に大径に形成され、作業者が容易に把持可能となっている。また、ボルト部43は、その下端部に、上部よりも拡径された拡径部45を備えている。この拡径部45は、上述した可動側支持部24のボルト穴39に螺合可能なネジ径とされている。つまり、可動側締結部材25を缶2の軸線O方向で締め込むことで可動側支持部24に対して可動側当接ユニット23を着脱可能に固定することが可能となる。また、可動側締結部材25は、ステー部27と可動側支持部24の締結を解除する際にボルト部43の拡径部45が可動側支持部24のボルト穴39から抜け出した後も、貫通孔36の上部にねじ込まない限り、可動側締結部材25がステー部27から離脱しないようになっている。
【0030】
図2に示すように、可動側ストッパ21の可動側支持部24には、コンベア搬送部7によって搬送されている缶2に向けて可動側支持部24を近接離間させる駆動部46が取り付けられている。駆動部46は、コンベア搬送部7を支持する構造体47に支持された箱状のケーシング48を備えている。駆動部46は、ケーシング48内に、駆動源として例えばアクチュエータ49(
図1参照)を備えている。なお、駆動部46における駆動源はアクチュエータ49に限られず、搬送されている缶2に可動側支持部24を近接離間させることが可能なものであれば、ガスシリンダ等を用いても良い。
【0031】
アクチュエータ49のロッド部51(
図1参照)は、缶2の搬送方向における可動側支持部24の略中央部で、可動側支持部24に連係している。より具体的には、可動側支持部24がロッド部51に対して、上下方向に貫くピン(図示せず)を介して水平方向に回動可能に支持されている。
図1、
図2に示すように、駆動部46は、さらに、缶2の搬送方向において、アクチュエータ49の下流側および上流側にガイドロッド52および、当該ガイドロッド52を摺動可能に案内するスリーブ53を備えている。ガイドロッド52の端部は、上述したアクチュエータ49のロッド部51と同様に、可動側支持部24に対して上下方向に貫くピン54を介して水平方向に回動可能に支持されている。また、ガイドロッド52の基部同士は、缶2の搬送方向に延びる同一の接続部材55に接続されて共動するようになっている。これらガイドロッド52を設けると共に、ガイドロッド52およびアクチュエータ49のロッド部51を可動側支持部24に対してピン支持することで、パッド部28に加わる力が搬送方向で均等でない場合に、可動側当接ユニット23の角度ずれを防止して、効率よく缶2に力を伝達させることが可能となっている。
【0032】
一方で、
図2に示すように、固定側ストッパ22は、固定側当接ユニット56を備えている。固定側当接ユニット56は、缶2の側面2aに当接する固定側当接部57と、搬送される缶2から離間する方向(換言すれば、コンベア部15の幅方向外側)に向かって延びるステー部58と、を有している。固定側当接ユニット56は、缶2の軸線O方向において、上側に配置される上側当接ユニット59と下側に配置される下側当接ユニット60とに分割されている。上側当接ユニット59と下側当接ユニット60とは、それぞれ、可動側当接ユニット23と同様に、樹脂やゴム等により形成された略平板状のパッド部61a,61bと、パッド部61a,61bを保持するステンレス等の金属製の略平板状のホルダ部62a,62bとをそれぞれ備えている。
【0033】
ここで、上記パッド部61a,61bは、上述した可動側ストッパ21のパッド部28と同様に、缶2の化粧面Kを避けるように、化粧面Kに対応する胴部2bの位置に、化粧面Kを避ける凹部63が形成されている。上側当接ユニット59のパッド部61aには、缶2の側面2a上部に当接する上部当接部64が形成され、また、下側当接ユニット60のパッド部61bには、缶2の側面2a下部に当接する下部当接部65が形成されている。ここで、上側当接ユニット59は、搬送される缶2の高さに応じた位置に上部当接部64を有するものが予め用意されており、これら高さ位置の異なる上部当接部64を有する上側当接ユニット59を差し替え(型替え)することで、様々な高さの缶2に対応することが可能となっている。なお、下部当接部65は、缶2の高さに関わらず高さ位置が変化しないため、通常、缶2の高さに応じた型替えは行われない。
【0034】
ステー部58は、下部当接ユニット60のホルダ部62bと一体に形成され、固定側支持部66に支持されている。固定側支持部66は、上述した駆動部46と同様に、コンベア部15を支持する構造体47に固定されている。固定側支持部66は、上部にステー部58を挿通可能なスリーブ部67を備えると共に、スリーブ部67に挿通されたステー部58の挿通方向への変位を規制する規制機構68を備えている。
【0035】
ここで、上記規制機構68は、ステー部58の変位を規制する状態および規制を解除する状態を容易に切換可能であれば良く、例えば、規制機構68の一例として、ステー部58の外周面に凹部を形成する一方で、径方向内側に向かって付勢される操作ロッド69を設けて、スリーブ部67を貫通配置させてもよい。この構成の場合、操作ロッド69の先端(下端)がステー部58の凹部に没入されて、スリーブ部67に対するステー部58の挿通方向への変位が規制されるとともに、操作ロッド69の付勢力に抗する方向へ操作ロッド69を変位操作することで挿通方向への変位を許容する状態にすることができる。
【0036】
下部当接ユニット60は、上方に延びる略板状の嵌合凸部71を備えている。一方で、上部当接ユニット59は、下部当接ユニット60の嵌合凸部71を缶2の軸線O方向に挿抜可能なスリット状の嵌合凹部72を備えている。つまり、上部当接ユニット59は、下部当接ユニット60に対して上下方向に着脱可能となっている。また、下部当接ユニット60は、嵌合凹部72に挿入された嵌合凸部71を背面部73側からパッド部61a側に向かって弾性的に押圧可能なプランジャ(押付機構)74を備えている。このプランジャ74は、上部当接ユニット59のホルダ部62aに取り付けられており、プランジャ74の先端が嵌合凹部72に挿入された嵌合凸部71を押圧する。これにより、上部当接ユニット59が相対的に背面部73側に変位しようとして、上部当接ユニット59のパッド部61aが嵌合凸部71に押し付けられて密着する。
【0037】
この実施形態における容器停止装置20は、上述した構成を備えており、次に、上記容器停止装置20の作用を、図面を参照しながら説明する。
【0038】
(型替え作業)
図4は、可動側ストッパ21および固定側ストッパ22の分解図である。
まず、可動側ストッパ21において、作業者は、ノブ部44を解除方向に回転させる。これにより、可動側支持部24とステー部27との缶2の軸線O方向における結合が解除される。なお、この時点では、位置決めピン42による可動側支持部24とステー部27との水平方向の相対変位は規制されている。次いで、作業者は、可動側当接ユニット23を上方に持ち上げる。これにより、位置決めピン42が位置決め穴38、又は、位置決め穴41から抜けて、位置決めピン42による水平方向への上記規制が解除され、可動側当接ユニット23が可動側支持部24から離脱する。
【0039】
次いで、作業者は、予め用意されている可動側当接ユニット23のうち、搬送される缶2の高さ寸法に対応するパッド部28を有する可動側当接ユニット23を選択して、可動側支持部24にステー部27を缶2の軸線O方向の上側に重ねるように配置する。この際、位置決めピン42によって、可動側支持部24に対するステー部27の水平方向の位置を仮決めする。この仮決めされた状態でノブ部44を締結方向に回転させると、可動側支持部24とステー部27とが缶2の軸線O方向で結合される。
【0040】
一方で、固定側ストッパ22においては、まず、作業者は、上側当接ユニット59を、缶2の軸線O方向の上方に向かって引っ張り上げる。この際、引っ張り上げる力が、プランジャ74による押圧力を上回ると、嵌合凸部71が嵌合凹部72内を下方に相対的にスライド移動して、上側当接ユニット59が下側当接ユニット60から離脱する。
次いで、作業者は、予め用意されている上側当接ユニット59のうち、搬送される缶2の高さ寸法に対応するパッド部61aを有する上側当接ユニット59を選択して、嵌合凹部72に嵌合凸部71を挿入させて下側当接ユニット60に上側当接ユニット59を取り付ける。
図5は、
図2に示す可動側当接ユニット23および、上側当接ユニット59を、高さ寸法がより高い缶2用の可動側当接ユニット23および上側当接ユニット59に取り替えた場合を示している。
【0041】
(容器停止時の動作)
容器停止装置20は、上記のように搬送される缶2にとって適切なパッド部28,61aが取り付けられた後に稼動される。容器停止装置20は、缶2の搬送に何ら異常が生じていない場合には、可動側ストッパ21を、
図5に示す一点鎖線のように容器搬送位置に配置させる。一方で、容器停止装置20には、缶2の搬送に何らかの異常が生じると、容器搬送停止に係る制御信号が入力される。容器停止装置20は、容器搬送停止に係る制御信号が入力されると、駆動部46のアクチュエータ49を駆動させて、可動側ストッパ21をコンベア部15の幅方向内側に向かって変位させる。これにより、可動側ストッパ21により搬送中の缶2の上部および下部が押圧されて、缶2が固定側ストッパ22側に移動する。そして、缶2は、パッド部61a,61bの上部当接部64および下部当接部65で当接し、固定側ストッパ22のパッド部61a,61bと、可動側ストッパ21のパッド部28との間に挟みこまれる。これにより缶2の搬送方向への移動が規制されることとなる。
【0042】
したがって、上述した実施形態の容器停止装置20によれば、可動側締結部材25の締め込みによる固定状態を解除することで、可動側支持部24から可動側当接ユニット23を缶2の軸線方向の上方に向かって取り外すことができる。また、可動側支持部24に可動側当接ユニット23のステー部27を缶2の軸線O方向で重ねて可動側締結部材25を締め込むことで、可動側支持部24に対して可動側当接ユニット23を固定することができる。そのため、可動側当接部26やパッド28を可動側当接ユニット23から取り外すことなしに、缶2に応じた可動側当接部26を有する可動側当接ユニット23に交換することができる。また、可動側当接ユニット23を交換する際に、缶2の軸線方向上側に変位させるので、缶2の搬送を阻害することがなく、型替え作業に掛かる作業時間の短縮化を図ることができる。
【0043】
さらに、駆動部46によって可動側支持部24が搬送される缶2に向けて近接する方向に変位された場合に、可動側支持部24に固定されたステー部27を介して可動側当接ユニット23が缶2に近接するように変位され、可動側当接ユニット23の可動側当接部26を缶2の側面2aに押し付けることができる。その結果、一つの駆動部46と、一対の可動側ストッパ21および固定側ストッパ22とによる簡単な構成で搬送中の缶2を挟み込むことができる。
【0044】
また、位置決めピン42を備えることで、可動側締結部材25によって可動側支持部24にステー部27を固定する前に、可動側支持部24に対するステー部27の位置決めを行うことができるため、容易に可動側締結部材25による締結作業を行うことができる。
【0045】
さらに、固定側ストッパ22の上側当接ユニット59を、固定側ストッパ22の下側当接ユニット60に対して缶2の軸線O方向に着脱することができる。そのため、例えば、軸線O方向の缶2の長さに応じた複数種類の上側当接ユニット59を用意して、軸線O方向の缶2の長さに応じた上側当接ユニット59を下側当接ユニット60に対して選択的に取り付けるだけで、軸線O方向における缶2の側面2a上部に上部当接部64を適正に当接させることができる。
【0046】
また、可動側締結部材25がノブ部44を備えているとともに、上側当接ユニット59が下側当接ユニット60に対して挿抜可能な構成になっていることで、スパナなどの工具が必要ないため、缶2の形状に応じて容易に型替え作業を行うことができる。
さらに、プランジャ74によって上側当接ユニット59のパッド部61aが嵌合凸部71側に押し付けられるので、コンベア部15の幅方向における上側当接ユニット59のガタつきを防止して、より迅速な缶2の搬送停止を行うことができる。
【0047】
なお、この発明は上述した実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
例えば、上述した実施形態においては、可動側ストッパ21と固定側ストッパ22とにより搬送中の缶2を挟み込む場合について説明したが、可動側ストッパ21をコンベア部15の幅方向両側に設けて、缶2をコンベア部15の幅方向両側から2つの可動側ストッパ21で挟み込むようにしても良い。
【0048】
また、上述した実施形態においては、駆動部46が設けられている可動側において、可動側支持部24とステー部27とを缶2の軸線O方向で重ねて締結する構成を用いていたが、この重ねて締結する構成を、可動側と固定側の両方に採用したり、固定側にのみ採用したりするようにしても良い。反対に、上述した実施形態においては、下側当接ユニット60に対して上側当接ユニット59を挿抜して、上側当接ユニット59を容易に交換可能とする構成を固定側にのみ採用していたが、上記駆動側に採用するようにしても良い。また、可動側支持部24とステー部27とを缶2の軸線O方向に重ねて締結する構造を備えつつ、下側当接ユニット60に対して上側当接ユニット59を挿抜可能な構成を備えるようにしても良い。
【0049】
さらに、嵌合凹部72を下側当接ユニット60に設け、嵌合凸部71を上側当接ユニット59に設けても良い。この場合、嵌合凹部72が形成される側にプランジャ74を設けても良い。また、プランジャ74については、上側当接ユニット59のガタつきが問題にならない場合などに省略しても良い。
さらに、上述した実施形態においては、可動側支持部24の上側にステー部27を重ねて配置して、可動側当接ユニット23を上方に取り外す場合を一例に説明したが、可動側支持部24の下側にステー部27を重ねて配置して、可動側当接ユニット23を下方に向かって取り外すようにしても良い。この場合、可動側当接ユニット23の下方に取り外し用のスペースを確保することが好ましい。
【0050】
また、上述した実施形態においては、容器として缶2を一例に説明したが、容器であればいわゆるペットボトルなどでもよく、缶2に限られるものではない。
さらに、上述した実施形態においては、可動側当接部26のパッド部28とホルダ部29とを異なる材料で形成される一例を示したが、例えば、樹脂や金属など同一の材料で形成するようにしても良い。