【文献】
旭フーズ株式会社(旭化成グループ),アミノ酸系界面活性剤「アミノサーファクト」,FRAGRANCE JOURNAL,1990年 5月15日,Vol.18,No.5,p.79
【文献】
新井裕之他,ラウロイルアスパラギン酸ナトリウムの機能と特長,FRAGRANCE JOURNAL,2008年 8月15日,Vol.36, No.7,pp.43-48
【文献】
旭化成ケミカルズ株式会社,「アミノフォーマーFLDS−L」,FRAGRANCE JOURNAL,2005年 2月15日,Vol.33, No.2,pp.120,121
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(e)のアニオン性界面活性剤が、炭素数6〜20のアシル基とタウリン骨格を有するアニオン性界面活性剤、炭素数6〜20のアシル基とアラニン骨格を有するアニオン性界面活性剤、および炭素数10〜20のアルキル基及び/又はアルケニル基を有するスルホン酸またはその塩であるアニオン性界面活性剤からなる群から選択される、請求項6に記載の洗浄用組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のとおり、肌への刺激が少ないことから頭皮頭髪用などとして有用なアシルアミノ酸系界面活性剤の使用については、通常の界面活性剤よりも粘度を形成することが困難なことから、取扱いの点でシャンプー等に高含量で配合することが難しかった。本発明は、適当な粘度を有し、高含量でアシルアミノ酸系界面活性剤を含む洗浄用組成物を提供する。また、併せて優れたコンディショニング作用も有する組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、高含量のアシルアミノ酸系界面活性剤を含有する洗浄用組成物において、特定の両性界面活性剤とノニオン性界面活性剤を一定の範囲で含有させることで、増粘剤を使用することなく適度な粘度を示すことができることを見出した。さらに、上記3成分にカチオン性高分子を加えることで、頭皮刺激性が低く、さらには毛髪保護作用の高い洗浄用組成物を完成させるに至った。すなわち、本発明は、洗浄剤として顧客の利便性および使用感を満足させると共に、シリコーン等を配合することなくコンディショニング作用も有する洗浄剤、特には、シャンプー、コンディショニングシャンプーとして利用できるものを提供する。
【0010】
具体的には、本発明は、アシルアミノ酸系アニオン性界面活性成分を通常用いられる含量より高い5〜20重量%含み、ベタイン系両性界面活性剤とノニオン性界面活性剤を含み、且つ、300mPa・s以上の高粘度を有する組成物である。さらに、カチオン性高分子を配合することで、本洗浄用組成物のコアセルベート形成能が高まり、損傷毛の修復等のコンディショニング効果に優れた洗浄用組成物とすることができる。
本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることによって完成させたものである。
【0011】
より具体的には、本発明は、以下の組成物を提供するものである。
【0012】
項1.
成分(a):アシルアミノ酸系界面活性剤 5〜20重量%
成分(b):ベタイン系両性界面活性剤
成分(c):ノニオン性界面活性剤 1.5〜10重量%
を含み、20℃での粘度が300〜4000mPa・sであることを特徴とする洗浄用組成物。
【0013】
項2.
成分(a)のアシルアミノ酸系界面活性剤が、下式:
R−NH−CH(COOX
1)((CH
2)
nCOOX
2)
[式中、
Rは炭素数8〜20のアシル基であり、
nは1または2であり、
X
1およびX
2は各々独立して、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、または塩基性アミノ酸もしくはアルカノールアミンのカチオン性残基である]
を有する化合物であることを特徴とする、上記項1に記載の洗浄用組成物。
【0014】
項3.
Rが、カプリロイル基、カプリノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基、ヤシ油脂肪酸アシル基、パーム核油脂肪酸アシル基、硬化牛脂脂肪酸アシル基からなる群から選択される、上記項2に記載の洗浄用組成物。
【0015】
項4.
成分(a)のアシルアミノ酸系界面活性剤が、ラウロイルアスパラギン酸、ココイルグルタミン酸およびそれらの塩からなる群から選択されるアニオン性界面活性剤であることを特徴とする、上記項1〜3のいずれか1つに記載の洗浄用組成物。
【0016】
項5.
成分(a)のアシルアミノ酸系界面活性が7〜15重量%、成分(c)のノニオン性界面活性剤が2〜5重量%含まれる、上記項1〜4のいずれか1つに記載の洗浄用組成物。
【0017】
項6.
成分(b)の配合量が、成分(c)の重量の0.5〜7倍量であることを特徴とする上記項1〜5のいずれか1つに記載の洗浄用組成物。
【0018】
項7.
成分(c)のノニオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレン付加型、ポリオキシプロピレン・エチレン付加型、アミンオキサイド系、モノ又はジエタノールアミド系、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、硬化ひまし油系、アルキルエーテル系及びアルキルグルコシド系非イオン性界面活性剤から選択されることを特徴とする、上記項1〜6のいずれか1つに記載の洗浄用組成物。
【0019】
項8.
さらに成分(d):カチオン性高分子を成分(a)の重量に対して0.025〜1倍量含むことを特徴とする、上記項1〜7のいずれか1つに記載の洗浄用組成物。
【0020】
項9.
成分(d)のカチオン性高分子が、カチオン化セルロースおよび/または塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体からなることを特徴とする、上記項8に記載の洗浄用組成物。
【0021】
項10.
さらに成分(e):成分(a)以外のアニオン性界面活性剤 0.1〜5重量%
を含むことを特徴とする、上記項1〜9のいずれか1つに記載の洗浄用組成物。
【0022】
項11.
成分(e)のアニオン性界面活性剤が、炭素数6〜20アシル基とタウリン骨格を有するアニオン性界面活性剤、炭素数6〜20のアシル基とアラニン骨格を有するアニオン性界面活性剤、および炭素数10〜20のアルキル基及び/又はアルケニル基を有するスルホン酸またはその塩であるアニオン性界面活性剤からなる群から選択される、上記項10に記載の洗浄用組成物。
【0023】
項12.
頭皮頭髪に適用されることを特徴とする、上記項1〜11のいずれか1つに記載の洗浄用組成物。
【0024】
項13.
成分(a):アスパラギン酸またはグルタミン酸基を有するアシルアミノ酸系アニオン性界面活性剤 5〜20重量%、
成分(b):ベタイン系両性界面活性剤、
成分(c):ノニオン性界面活性剤、および
成分(d):カチオン性高分子、
を含む組成物であって、
成分(b)は、成分(a)の重量に対して0.25〜2倍量であり、
成分(c)は、成分(a)の重量に対して0.1〜1倍量であり、
成分(d)は、成分(a)の重量に対して0.025〜1倍量であることを特徴とする頭皮頭髪洗浄用組成物。
【0025】
項14.
上記項13に記載の洗浄用組成物において、該洗浄用組成物を水で5〜100倍に希釈したとき、コアセルベートが形成していること特徴とする、上記項13に記載の頭皮頭髪洗浄用組成物。
【0026】
項15.
成分(e):成分(a)以外のアニオン性界面活性剤をさらに含有する、上記項13または14に記載の頭皮頭髪洗浄用組成物。
【0027】
項16.
成分(e)のアニオン性界面活性剤が、炭素数6〜20のアシル基とタウリン骨格またはアラニン骨格を有するアニオン性界面活性剤および/または炭素数10〜20のアルキル基及び/又はアルケニル基を有するスルホン酸およびその塩であるアニオン性界面活性剤からなる群から選択されることを特徴とする、上記項13〜15のいずれか1つに記載の頭皮頭髪洗浄用組成物。
【0028】
項17.
成分(e)が、ココイルメチルタウリン、カプロイルメチルタウリン、ラウロイルメチルアラニン、テトラデセンスルホン酸およびその塩であることを特徴とする、上記項13〜16のいずれか1つに記載の頭皮頭髪洗浄用組成物。
【0029】
項18.
成分(a):アスパラギン酸またはグルタミン酸基を有するアシルアミノ酸系アニオン性界面活性剤 5〜20重量%、
成分(b):ベタイン系両性界面活性剤、
成分(c):ノニオン性界面活性剤、および
成分(e):炭素数6〜20のアシル基とタウリン骨格を有するアニオン性界面活性剤、炭素数6〜20のアシル基とアラニン骨格を有するアニオン性界面活性剤、炭素数10〜20のアルキル基及び/又はアルケニル基を有するスルホン酸およびその塩からなる群から選択されるアニオン性界面活性剤
を含み、
成分(a)の重量に対して、0.25〜2倍量の成分(b)、0.1〜1倍量の成分(c)、0.01〜0.6倍量の成分(e)を含有する、洗浄用組成物。
【0030】
項19.
成分(d):カチオン性高分子
をさらに含有し、該成分(d)を成分(a)の重量に対して、0.025〜1倍量含むことを特徴とする上記項18に記載の頭皮頭髪洗浄用組成物。
【発明の効果】
【0031】
本発明の洗浄用組成物は、アシルアミノ酸系界面活性剤を高濃度含有していながら、適度な粘性を有する。また、本発明は、コンディショニング効果に優れた、頭皮および頭髪洗浄用組成物を提供することができる。
【0032】
具体的には、本発明の洗浄用組成物は、所定量のアシルアミノ酸系界面活性剤と共に、ベタイン系両性界面活性剤とノニオン性界面活性剤を含む。それにより、本発明の洗浄用組成物は、洗浄用組成物として適当な粘度を有し、頭皮刺激性が低く、コンディショニング効果を有する組成物を提供することができる。さらには、本組成物にカチオン性高分子を加えることで、コアセルベートの形成が促進され、洗浄時のしなやかさや乾燥後の指通りといった髪の滑らかさをさらに高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0035】
本発明の洗浄用組成物は、アシルアミノ酸系界面活性剤を5〜20重量%含み、かつ、ベタイン系両性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤を含むことを特徴とする。
【0036】
本発明の洗浄用組成物とは、例えば、頭皮および/または頭髪、ならびに全身の洗浄に使用され得るものであり、具体的には、頭皮頭髪用シャンプーおよびコンディショニングシャンプーが挙げられ、また、全身用シャンプーとしても使用できる。
【0037】
本発明において使用されるアシルアミノ酸系界面活性剤とは、アシルアミノ酸を含む界面活性剤であって、特にアシルアミノ酸を含むアニオン性の界面活性剤である。
【0038】
また、本発明において使用されるアシルアミノ酸系界面活性剤は、1または2種類以上のアミノ酸基を2つ以上付加した形であってもよい。本発明において使用されるアシルアミノ酸系界面活性剤は、2種類以上のアシルアミノ酸系界面活性剤を含んでいてもよい。
【0039】
上記アシルアミノ酸系界面活性剤のアシル基は、直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和炭化水素基を有するカルボニル基である。
アシル基には、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、パルミトン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ヤシ油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等から誘導されるアシル基があげられる。
アシル基の炭素数に特に限定はないが、炭素数8〜20であることが望ましく、さらには、洗浄後の髪通り等の有効性の面から炭素数10〜15であることが望ましい。
【0040】
アシルアミノ酸系界面活性剤として、具体的には、ラウロイルアスパラギン酸やココイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸、ラウロイルメチルアラニン、ココイルサルコシン、ココイルグリシンおよびそれらの塩が例示され、塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等の金属塩の他、アンモニウム塩、アミン塩、塩基性アミノ酸塩、コリン塩等が挙げられる。
【0041】
アシルアミノ酸系界面活性剤に含まれるアミノ酸基の種類としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸等の酸性のアミノ酸基であることが好ましい。より好ましいアシルアミノ酸系界面活性剤としては、ラウロイルアスパラギン酸やココイルグルタミン酸およびそれらの塩が挙げられ、これらはアミノフォーマー(商標)やアミノサーファクト(商標)(旭化成ケミカルズ)として、入手することができる。
【0042】
本発明において最適に使用される炭素数が10〜15のアシル基と酸性アミノ酸基を有するアニオン性界面活性剤としては、ラウロイルアスパラギン酸やココイルグルタミン酸およびそれらの塩が挙げられる。
また好ましいアシルアミノ酸系界面活性剤には、パルミトイルアスパラギン酸2TEA、パルミトイルアスパラギン酸ジエチル、ラウロイルアスパラギン酸Na、ラウロイルアスパラギン酸亜鉛、カプリロイルグルタミン酸2Na、ココイルグルタミン酸、ココイルグルタミン酸2Na、ココイルグルタミン酸K、ココイルグルタミン酸Na、ココイルグルタミン酸TEA、ジラウロイルグルタミン酸Mg、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ステアロイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸2Na、ステアロイルグルタミン酸Al、ステアロイルグルタミン酸K、ステアロイルグルタミン酸Na、ステアロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、パルミトイルグルタミン酸Mg、ミリストイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸K、ミリストイルグルタミン酸Na、ラウロイルグルタミン酸、ラウロイルグルタミン酸2Na、ラウロイルグルタミン酸K、ラウロイルグルタミン酸Na、ラウロイルグルタミン酸TEAが含まれる。
【0043】
本発明において使用されるアシルアミノ酸系界面活性剤は、2種類以上のアシルアミノ酸系界面活性剤を含んでいてもよい。
【0044】
また、好ましいアシルアミノ酸系界面活性剤として、下式:
R−NH−CH(COOX
1)((CH
2)
nCOOX
2)
[式中、
Rは炭素数8〜20(より好ましくは炭素数10〜15)のアシル基であり、
nは1または2であり、
X
1およびX
2は各々独立して、水素、アルカリ金属(例えばナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えばカルシウム、マグネシウム)、アンモニウム基、または塩基性アミノ酸(例えばリシン、アルギニン)もしくはアルカノールアミン(例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン)のカチオン性残基である]
を有する化合物が挙げられる。
【0045】
好ましいRの例としては、カプリロイル基、カプリノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基、ヤシ油脂肪酸アシル基、パーム核油脂肪酸アシル基、硬化牛脂脂肪酸アシル基が挙げられる。
【0046】
炭素数が10〜15であるRには、例えばカプリノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、ヤシ油脂肪酸アシル基が挙げられる。
【0047】
本発明の洗浄用組成物中のアシルアミノ酸系界面活性剤の含量としては、5〜20重量%が好ましく、より好ましくは7〜15重量%、さらに好ましくは7.5〜12重量%である。
【0048】
本発明において使用される両性界面活性剤とは、陽イオン(カチオン基)と陰イオン(アニオン基)の双方をあわせ持っている界面活性剤を意味する。
本発明において使用される両性界面活性剤としては、ベタイン骨格(一部が置換された形を含む)を有する両性界面活性剤(以下、ベタイン系両性界面活性剤という)が適する。
ベタイン系両性界面活性剤の具体例としては、例えば、ラウリルジメチルベタイン、ミリスチルジメチルベタイン、パルミチルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、オレイルジメチルベタイン、ヤシ油アルキルジメチルベタイン、ラウリルメチルエチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン、ヤシ油アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のアルキルカルボキシベタイン;オクタデシルオキシメチルジメチルベタイン等のエーテルカルボキシベタイン;ラウリン酸アミドプロピルジメチルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルベタイン、ステアリン酸アミドプロピルジメチルベタイン、オレイン酸アミドプロピルジメチルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン等のアミドカルボキシベタインなどを含むカルボキシベタイン型;ラウリルジメチルヒドロキシプロピルスルホベタイン、ミリスチルジメチルヒドロキシプロピルスルホベタイン、ラウリルジメチルプロピルスルホベタイン、ヤシ油アルキルジメチルプロピルスルホベタイン等のアルキルスルホベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルスルホベタイン、ラウロイルアミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等のアミドスルホベタイン等を含むスルホベタイン型;ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ミリスチルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ステアリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン型の他、グリシン型、アミノプロピオン酸型、スルホン酸型、硫酸型、アミノカルボン酸塩型、リン酸型またはレシチン等が挙げられる。本発明において、使用されるベタイン系界面活性剤においては、ベタイン骨格と炭素数10〜18の脂肪酸を有するものが望ましい。炭素数がそれ以下の脂肪酸においては刺激性が、以上のものにおいては泡立ちの低下が懸念される。
【0049】
本発明において使用されるベタイン系両性界面活性剤は、2種類以上のベタイン系両性界面活性剤を含んでいてもよい。
【0050】
本発明の洗浄用組成物中のベタイン系両性界面活性剤の含量は、1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%、さらに好ましくは、3〜10重量%である。
【0051】
本発明において使用されるノニオン性界面活性剤としては、一般に化粧料等に使用できる成分であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテル、POEポリオキシプロピレングリコール、POEアリールエーテル、POE硬化ひまし油エーテル、POEひまし油エーテル、POEラノリンアルコールエーテル、POEグリセリン脂肪酸エステル(たとえばPOEモノヤシ油脂肪酸グリセリル)、POEソルビタン脂肪酸エステル(たとえばPOEソルビタントリイソステアレート)、POEソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ブチレングリコール脂肪酸エステル(例えばラウロイルブチレングリコール)、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、アルキル化多糖等の糖誘導体、アルキルグリセリルエーテル、有機酸モノグリセリド、脂肪酸アルカノールアミド(例えばヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド)、POEアルキルアミン、アミンオキサイド等が挙げられる。
加えて、本発明において使用されうるノニオン性界面活性剤には、アルキルグリコールとプロピレングリコールを縮合させた構造をとるエーテル型のノニオン性界面活性剤が含まれ、例えば、ラウリルグリコールヒドロキシプロピルエーテルまたはミリスチルグリコールヒドロキシプロピルエーテルが挙げられる。
【0052】
また、本発明において使用されるノニオン性界面活性剤として、ポリオキシアルキレン付加型(例えばラウロイルブチレングリコール)、ポリオキシプロピレン・エチレン付加型、アミンオキサイド系、モノ又はジエタノールアミド系(例えばヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド)、グリセリン脂肪酸エステル(たとえばPOEモノヤシ油脂肪酸グリセリル)、ソルビタン脂肪酸エステル(たとえばPOEソルビタントリイソステアレート)、ショ糖脂肪酸エステル、硬化ひまし油系、アルキルエーテル系(例えばラウリルグリコールヒドロキシプロピルエーテル)及びアルキルグルコシド系非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0053】
本発明で使用されるノニオン性界面活性剤は、2種類以上のノニオン性界面活性剤を含んでいてもよい。
【0054】
本発明の洗浄用組成物中のノニオン性界面活性剤の含量は、1.5〜10重量%、好ましくは2〜5重量%である。
【0055】
本組成物においては、洗浄用に利用するため、適当な粘度を有することが望ましい。本組成物において好ましい粘度としては、300〜4000mPa・sであり、より好ましくは、400〜3000mPa・sの範囲にあることが望ましい。上記範囲にある場合において、本組成物は、ボディーソープやシャンプーとして使用する場合において、容器より手に取る際に適切な使用状態にあることができる。
粘度の測定方法としては、特に限定されないが、例えば、B型粘度計による粘度測定方法が挙げられ、20℃にて、ローターNo.2または3を用いて、毎分12または30回転で測定することができ、また、日本薬局方(一般試験法、粘度測定法、第2法(2)回転粘度計法、単一円筒形回転粘度計、20℃、毎分12または30回転、ローターNo.2または3)に基づいた方法も挙げられる。
【0056】
本発明の洗浄用組成物中のベタイン系両性界面活性剤の好適な含有量としては、アシルアミノ酸系界面活性剤の含有重量を1としたとき、0.25〜2倍量、好ましくは0.3〜1.5倍量、さらに好ましくは0.4〜1倍量の範囲であることが望ましい。
【0057】
本発明の洗浄用組成物中のノニオン性界面活性剤の好適な含有量としては、アシルアミノ酸系界面活性剤の含有重量を1としたとき、0.1〜1倍量、好ましくは0.15〜0.7倍量、さらに好ましくは0.2〜0.5倍量の範囲であることが望ましい。
【0058】
本発明の洗浄用組成物において、上記粘度をもたらすためのベタイン系両性界面活性剤とノニオン性界面活性剤との配合比率としては、ノニオン性界面活性剤の含有重量を1としたとき、ベタイン系両性界面活性剤が0.5〜7倍量、より好ましくは1〜5倍量、さらに好ましくは、1.5〜3倍量の範囲であることが望ましい。
【0059】
本組成物においては、さらに、成分(d):カチオン性高分子化合物を加えることで、コアセルベートの形成を促進して毛髪のコンディショニング効果をさらに高め、洗浄後の仕上がりをより向上させることができる。
【0060】
本発明において使用されるカチオン性高分子としては、カチオン性の基を含むものであればその種類は特に限定されないが、例えば、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化ヒドロキシトリメチルアンモニオプロピルヒドロキシエチルセルロース等のカチオン化セルロース、カチオン化加水分解たん白、カチオン化ビニル系またはアクリル系ポリマー(例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体等)およびこれらの混合物が挙げられる。カチオン化セルロース、またはカチオン化ビニル系もしくはアクリル系ポリマーが好ましい。
カチオン性高分子の更なる例としては、例えばポリクオタニウム−4/ヒドロキシプロピルデンプンコポリマー、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−64、ポリクオタニウム−7等が挙げられる。
【0061】
本発明で使用されるカチオン性高分子は、2種類以上のカチオン性高分子を含んでいてもよい。
【0062】
本発明の洗浄用組成物中のカチオン性高分子の含有量としては、コアセルベートの形成のため、アシルアミノ酸系界面活性剤に合わせて配合量を調整することが望ましく、アシルアミノ酸系界面活性剤の含有重量を1とした場合、0.025〜1倍量、好ましくは0.03〜0.6倍量、さらに好ましくは0.04〜0.5倍量の範囲であることが望ましい。
【0063】
本発明でいうコアセルベート(またはコアセルベ−ション)とは、界面活性剤とカチオン性高分子を配合した洗浄液(シャンプー)を水で希釈したとき特定の濃度領域で形成される不溶性コンプレックスであり、コアセルベートの生成は毛髪と指の摩擦を低減し、良好な滑り感、指どおり感を生み出し、洗浄後の髪の指通りや櫛通りを向上させることができるなど、毛髪のコンディショニングに寄与する。コアセルベートが毛髪洗浄時、特にはすすぎの際にもその形成が維持されることで、洗浄後の毛髪のコンディショニング効果が提供される。
【0064】
本発明の洗浄用組成物のコアセルベート効果は、頭皮、頭髪洗浄時(洗浄原液を1としたときの相対濃度は通常0.1〜0.2である)の他、洗浄後のすすぎ時(洗浄原液を1としたときの相対濃度は通常0.1以下である)においても、効果を有するため、広い使用ロケーションにおいて、コアセルベート効果を期待することができる。
【0065】
本願発明における洗浄用組成物のpHは、通常頭皮頭髪に用いられる範囲であれば特に限定されるものではないが、コアセルベートの形成を良くするためには、pHを特定の範囲にすることが望ましい。望ましいpHは、4〜8、さらに製造において粘性を安定化させるのにより好ましくは4〜6.5の範囲である。
【0066】
また、本組成物においては、アシルアミノ酸系界面活性剤の速泡性を補う目的で、成分(e):アニオン性界面活性剤をさらに加えることができる。当該アニオン性界面活性剤としては、アスパラギン酸やグルタミン酸等のアミノ酸基を有するアシルアミノ酸系(成分(a))以外のアニオン性界面活性剤であることが望ましい。具体的には、ラウロイルメチルタウリン、ラウロイルメチルアラニン、テトラデセンスルホン酸、ココイルメチルタウリン、ココイルエチルエステルスルホン酸、カプロイルメチルタウリン及びそれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、トリエタノールアミン塩)が挙げられる。
また、成分(e):アニオン性界面活性剤には、アシル基(好ましくは炭素数6〜20)とタウリン骨格またはアラニン骨格を有するアニオン性界面活性剤、例えばココイルメチルタウリン、カプロイルメチルタウリン、ラウロイルメチルアラニン及びその塩や、炭素数10〜20のアルキル基及び/又はアルケニル基を有するスルホン酸、例えばアルキルベンゼンスルホン酸やテトラデセンスルホン酸またはその塩が挙げられる。本発明で使用されるアニオン性界面活性剤は、2種類以上のアニオン性界面活性剤を含んでいてもよい。
【0067】
アシル基とタウリン骨格を有するアニオン性界面活性剤とは、例えば、下式:
R−N(CH
3)((CH
2)
2SO
3X
1)
[式中、
Rは炭素数6〜20のアシル基であり、
X
1は、水素、アルカリ金属(例えばナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えばカルシウム、マグネシウム)、アンモニウム基、または塩基性アミノ酸(例えばリシン、アルギニン)もしくはアルカノールアミン(例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン)のカチオン性残基である]
を有する化合物が挙げられ、具体的には、ココイルメチルタウリン、カプロイルメチルタウリンが含まれる。
ここで、アシル基とは、アシルアミノ酸系界面活性剤において説明したものと同義であり、例えば、カプロイル基、カプリロイル基、カプリノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基、ヤシ油脂肪酸アシル基、パーム核油脂肪酸アシル基、硬化牛脂脂肪酸アシル基が挙げられる。
【0068】
アシル基とアラニン骨格を有するアニオン性界面活性剤とは、例えば、
下式:
R−N(CH
3)((CH
2)
2COOX
1)
[式中、
Rは炭素数6〜20のアシル基であり、
X
1は、水素、アルカリ金属(例えばナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えばカルシウム、マグネシウム)、アンモニウム基、または塩基性アミノ酸(例えばリシン、アルギニン)もしくはアルカノールアミン(例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン)のカチオン性残基である]
を有する化合物が挙げられ、具体的にはラウロイルメチルアラニンが含まれる。
ここで、アシル基とは、アシルアミノ酸系界面活性剤において説明したものと同義であり、例えば、カプロイル基、カプリロイル基、カプリノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基、ヤシ油脂肪酸アシル基、パーム核油脂肪酸アシル基、硬化牛脂脂肪酸アシル基が挙げられる。
【0069】
本願発明において炭素数10〜20のアルキル基及び/又はアルケニル基を有するスルホン酸として好ましい例としては、アルキル(C
10−14)ベンゼンスルホン酸や、α−オレフィン(C
10−20)スルホン酸、α−オレフィン(C
12−16)スルホン酸、α−オレフィン(C
12−14)スルホン酸、α−オレフィン(C
14−16)スルホン酸が挙げられる。
【0070】
上記の速泡性を補う目的で追加されるアニオン性界面活性剤の配合量としては、組成物中0.1〜5重量%、好ましくは、1〜4重量%であることが好ましい。
【0071】
または、本発明の洗浄用組成物中の前記速泡性を補う目的で追加される成分(e)のアニオン性界面活性剤の含有量として、成分(a)のアシルアミノ酸系界面活性剤の含有重量を1としたとき、0.01〜0.6倍量、好ましくは、0.1〜0.5倍量であることが望ましい。
【0072】
本発明においては、刺激性を低く維持したまま、さらには爽快感を高める目的で種々の清涼成分を配合することができる。上記目的のため、配合する清涼成分としては、天然由来、合成品、その塩、それらを含む成分等の形においては限定されず、また、それらは1種単独、2種以上を組み合わせて使用してもよい。配合される清涼成分としては、メントールの他、清涼感を付与する精油、植物由来成分等であることが好ましい。
【0073】
本発明の洗浄用組成物中の清涼成分の含量としては、0.1重量%以上であることが好ましく、特には0.2〜0.6重量%の範囲であることが望ましい。それ以上の量を配合した場合には、肌への刺激を伴う可能性が出てくるため、アシルアミノ酸系界面活性剤の利点が損なわれる可能性を有する。
【0074】
本発明の説明において用いられるシリコーン成分とは、例えば、酸化ケイ素(SiO)を基本骨格にした重合体を含み、前記重合体に親水性の置換基を導入したものも含む。具体的には例えば、メチルフェニルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、ステアロキシメチルポリシロキサン、セトキシメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサンエマルション、高重合メチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。また、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、片末端反応性シリコーン、異種官能基変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、親水性特殊変性シリコーン、高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸含有シリコーン、フッ素変性シリコーン等の各種誘導体も本発明の説明において用いられるシリコーン成分に含まれる。
【0075】
本発明で、シリコーン成分を含有しないとは、キャリーオーバーや保存液中に含まれる場合を除き、実質的に含まないことを意味するものである。また、シリコーン成分を有効量含まないとは、毛髪のコーティング作用等のコンディショニング効果を発揮する濃度を含有しないことを意味するものである。
【0076】
本発明の組成物は、粘度を向上させるのに増粘剤(例えば、セルロースガム、グアーガム、ジェランガム、スクレロチウムガム、セルロースガムなどのグァガム)等を含む必要がないことから、透明性の高い組成物とすることが可能である。
【0077】
本発明の組成物において、長期保存下での酸化による着色を防ぎ、透明性を維持させる目的では、例えば亜硫酸ナトリウム等の酸化防止剤や着色防止剤を、例えば0.01〜0.5重量%配合してもよい。一方、透明性の高い本組成物においては、その着色は容易であり、市販の着色料を加えることで、期待される色調にすることが可能である。
【0078】
本発明の組成物において、洗浄用組成物に使用される溶剤を含有することができる。好ましい溶剤としては、水、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。
好ましいジプロピレングリコールの含有量は、0.5〜5重量%である。
本発明の組成物において水を使用する場合、その量は他の成分に依存して、適量を配合することができる。
【0079】
本発明の組成物においては、上記成分以外にも通常洗浄用組成物に含まれる成分を含んでいてもよい。本発明の「通常洗浄用組成物に含まれる成分」としては、上述のものも含め、界面活性剤、ポリマー成分、保湿剤、防腐剤、イソプロピルメチルフェノール等の殺菌剤、グリチルリチン等の抗炎症剤、水酸化ナトリウムやクエン酸等pH調整剤、EDTA等の金属封鎖剤、等張化剤、香料などが挙げられる。また、毛髪の表面をさらに保護するためのトリートメント成分を含んでいてもよい。
【0080】
また、本発明の洗浄用組成物には、適宜、活性成分を配合してもよい。ここでいう活性成分とは、育毛成分や発毛成分、防臭、抗ふけ成分等の他、頭皮、頭髪に有益な効果を与える成分を意味するものであり、その成分は、特に限定されるものではない。活性成分の例としては、例えば、アデノシン、アデノシンリン酸、ビタミン類、ミネラル類、エデト酸、ホエイ等の乳由来成分、塩化カルプロニウム、カミツレ油、ヒノキチオール、ベンジルアミノプリン、ミノキシジル、フィナステリド及びこれらの塩または誘導体、ショウキョウ、イチョウ、アロエ、ニンニク、甘草、カミツレ、ウイキョウ、チンキ、センブリ、ソウコンビ、ニンジン、ボタンピ、冬虫夏草、フコイダン等の海藻由来成分、キトフィルマー、サリチル酸、イフシトール等が挙げられる。
【実施例】
【0081】
以下、試験例および実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、特段の記載がない限り、その表記は重量%(w/w%)を表すものとする。
【0082】
試験例1 アシルアミノ酸系界面活性剤の配合量による使用感変化の検討
アシルアミノ酸系界面活性剤の種類や量および組み合わせによる頭髪洗浄剤としての使用感の変化を検討する目的で、表1のように洗浄剤を調製し、官能評価を実施した。
【0083】
(試験方法および結果)
下表1に示される洗浄剤を調製し、あらかじめ濡らした状態の頭髪に洗浄剤をそれぞれ適量泡立てて使用し、頭髪を洗浄した際および洗いあがりの使用感について検討した(表中、数値は重量比を表す)。
【表1】
【0084】
上記表1で記載される使用感とは、頭髪洗浄時の頭皮への刺激、洗浄後の濯ぎ時の指通りや、使用後の頭皮頭髪のパサツキ感を評価したものである。
不満足な使用感である場合:△、満足な使用感である場合:○として示した。
なお、処方の調製は、従来使用される一般的な手法により調製した。
【0085】
この結果より、使用感を高めるためには、酸性のアミノ酸基を有するアシルアミノ酸系界面活性剤を5重量%以上、特には、そのアミノ酸がアスパラギン酸およびグルタミン酸等であることがよいことが明らかとなった。
【0086】
試験例2 粘性の検討
次に、アシルアミノ酸系界面活性剤による洗浄剤の低粘性を補う目的で、アシルアミノ酸系界面活性剤、両性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤を組み合わせたときの粘度変化を検討した。
【0087】
粘度測定方法:本組成物の粘度の測定は、B型粘度計(BL型(東機産業))を用いて測定した。なお、低粘度の製剤(<400mPa・s)はローターNo.2を、粘性の比較的高いものはローターNo.3を使用し、20℃の条件下で12または30rpmの速度で定法に従い測定した。
【0088】
まず、アシルアミノ酸系界面活性剤として、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウムとココイルグルタミン酸トリエタノールアミンを等量で混合した混合物を調製した。その後、アシルアミノ酸系界面活性剤の粘度を高めるのに適した両性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の組み合わせを見出す目的で、最終濃度3重量%のノニオン性界面活性剤と、アミノ酸系界面活性剤混合物と両性界面活性剤を合わせて最終濃度15重量%となるように添加し、水を加えて3界面活性剤混合組成物(すなわちアシルアミノ酸系界面活性剤混合物、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤および水の混合物)を調製し、その粘度変化を検討した。なお、ここで用いた両性界面活性剤とノニオン性界面活性剤は表2に示すとおりで、両性界面活性剤としては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウロイルアミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、またはラウリルアミノジ酢酸塩であり、ノニオン性界面活性剤としては、ラウロイルブチレングリコール、ラウリルグリコールヒドロキシプロピルエーテル、またはヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミドである。
ここで粘度変化とは、アシルアミノ酸系界面活性剤混合組成物(アシルアミノ酸系界面活性剤最終濃度15重量%と水の混合物)の粘度に対して、3界面活性剤混合物(すなわちアシルアミノ酸系界面活性剤混合物、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤および水の混合物)の粘度は増加したか否かを意味する。
なお、粘度を測定した組成物において、ノニオン性界面活性剤(ラウロイルブチレングリコール、ラウリルグリコールヒドロキシプロピルエーテル、またはヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド)は3重量%であり、アミノ酸系界面活性剤と両性界面活性剤は合わせて15重量%である。
結果を表2に記す。
【表2】
【0089】
この結果、アシルアミノ酸系界面活性剤とノニオン性界面活性剤にベタイン骨格を有する両性界面活性剤を組み合わせることで、アシルアミノ酸系界面活性剤の低粘性が改善され、粘度を高めることができることが示された。
また、上記の粘性を検討した組成物を使用して洗浄したところ、粘性が高まった組成物では、泡質および泡の保持性も高まり、使用感を向上することができた。
【0090】
試験例3 ノニオン性界面活性剤濃度による粘度変化
次に、アシルアミノ酸系界面活性剤を含む組成物において、ノニオン性界面活性剤の配合量と粘度との関係を検討する目的で、ノニオン性界面活性剤としてPOEモノヤシ油脂肪酸グリセリルを用い、以下の表3に記載する試験液1〜4を調製し、その粘度変化を測定した(表中、数値は重量比を表す)。
【表3】
【0091】
粘度の測定方法は、試験例2に記載の方法に準じて行なった。本結果より、粘度を高めるには、ノニオン性界面活性剤の存在が必須であることが示された。また、試験液2〜4の組成物においては、300mPa・s以上の粘度を有することから、シャンプー等として適する粘度を有することが示された。
【0092】
試験例4 速泡性の改善
上記試験例1〜3で検討した組成物において、泡立ち、特に速泡性を補う目的で、さらにアニオン性界面活性剤を配合したときの泡立ちの変化を検討した。
【0093】
速泡量の検討のため、以下の表4に記載の対照液及び調製液1〜5を調製した(表中、数値は重量比を表す)。その後、対照液と調製液1〜5をそれぞれ精製水で7倍に希釈し、ファイバーミキサー(MX−X58(パナソニック))を用いて、室温下にて低速モードで5秒間攪拌させた。直後に得られた泡量(mL)を速泡量とし、対照液と調製液との泡量の差を評価した。
【表4】
【0094】
その結果、対照液に対しアスパラギン酸やグルタミン酸基を有するアシルアミノ酸系界面活性剤をさらに増量、添加した調製液1、2においては、泡立ち量の増加はわずかであった。それに対し、異なる種類のアニオン性界面活性剤をさらに添加した調製液3〜5においては、その泡立ち量は大きく、速泡性が高まることが示された。
【0095】
試験例5−1 コアセルベートの形成
試験例1〜4で得られた結果をもとに、さらにカチオン性高分子を加えた組成物の、コアセルベートの形成についての影響を検討した。
【0096】
まず、表5の通り、カチオン性高分子であるカチオン化セルロース1の添加量が異なる洗浄液1〜4を調製した(表中、数値は重量比を表す)。調製後、それぞれを精製水で希釈し、希釈液の40℃での420nmにおける透過率(%)を紫外可視分光光度計(UV−1800(島津製作所))を用いて測定した。透過率から濁度(%)を以下の式で算出し、コアセルベートの生成量として評価した。
濁度(%) = 100 − 透過率(%)
【表5】
【0097】
図1に示す通り、洗浄液1の希釈液の濁度の上昇は小さく、コアセルベートの形成が少ないことが認められた。それに対し、洗浄液2〜4は、希釈によって十分な濁度の上昇が認められた。このことから、洗浄液2〜4においては、洗浄またはすすぎ時にコアセルベートが形成され、シャンプーとして頭髪に使用した場合、高いコンディショニング効果が期待されることが示された。
【0098】
試験例5−2
さらに、重合度の異なるカチオン化セルロースや、カチオン化ポリマーの存在下でのコアセルベートの形成を確認する目的で、以下の表6に記載の洗浄液5〜9を調製し、試験例5−1と同様に、希釈時の濁度変化よりコアセルベート生成量の変化を評価した(表中、数値は重量比を表す)。
【表6】
【0099】
図2に示す通り、重合度の異なるカチオン化セルロースやカチオン化ポリマーを組み合わせた洗浄液5〜8においても、同様に高い濁度が認められた。一方、洗浄液9では、コアセルベートの形成は認められるものの、希釈によりダマが形成され、液が不均一となることが示された。
【0100】
よって、本組成物において、コアセルベートの形成を向上させるためには、カチオン化セルロース、カチオン化ポリマーを使用することができることが示された。
【0101】
試験例6
本発明組成物の実際の毛髪への影響を確認する目的で、以下の試験を実施した。
【0102】
人毛髪を束ねた毛束に、ブリーチ処理、パーマ処理及び超音波洗浄を行い、損傷毛を作成した。その損傷毛に下記の表7に示す洗浄液10(0.2g)を損傷毛に塗布して1分間泡立てた後、洗浄液を取り除いた(表中、数値は重量比を表す)。再度、0.1gの洗浄液10を均一に塗布して1分間泡立てた後、洗浄液を取り除き乾燥させた。上記処理を行なった毛束の滑らかさの変化を確認するために、摩擦感テスターKES−SE−DC(カトーテック)を用い、その処理の有無による違いを測定した。
該摩擦感テスターは、人間が物体の表面をこする時に感じる滑らかさ、ざらつき感を分析する試験機である。ざらつき感は平均摩擦係数の変動(MMD)として数値化され、MMDの値が小さい程、物体の表面は滑らかであることを意味する。
【表7】
【表8】
【0103】
表8に記載の通り、洗浄液処理毛束では、損傷毛束に比して、滑らかであることが示された。
【0104】
この結果より、洗浄液10の処理が損傷毛の滑らかさを改善したことが確認された。洗浄液10の処理によって毛髪にコアセルベートが形成されたことにより、損傷毛の滑らかさを改善したと考えられる
【0105】
試験例7
さらに、本発明組成物の毛髪表面に及ぼす影響を確認する目的で、処置後毛髪の構造的変化を観察した。
【0106】
市販の脱色液と毛染め液で処理して人毛束から損傷毛を作成し、これを処理前サンプルとした。それを50℃の10%洗浄液10に1分間浸漬した後に、洗い流し、乾燥させたものを処理後サンプルとした。その前後での毛髪の表面の変化を走査型電子顕微鏡(JSM−6380LV(日本電子)を用いて観察した。
【0107】
図3に示される通り、処理前の損傷毛においては、毛髪表面の多箇所に剥がれが認められた。それに対し、処理後サンプルにおいては、剥がれが減り、毛髪の表面が滑らかになっていることが、構造的に認められた。
【0108】
以下の組成の透明性の高い頭皮、頭髪用洗浄剤が調製される。
【表9】