特許第6004959号(P6004959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6004959
(24)【登録日】2016年9月16日
(45)【発行日】2016年10月12日
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/28 20060101AFI20160929BHJP
【FI】
   B60N2/28
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-20181(P2013-20181)
(22)【出願日】2013年2月5日
(65)【公開番号】特開2014-151660(P2014-151660A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】100179855
【弁理士】
【氏名又は名称】藁科 えりか
(74)【代理人】
【識別番号】100086195
【弁理士】
【氏名又は名称】藁科 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】今用 和也
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 俊紀
(72)【発明者】
【氏名】本多 正明
(72)【発明者】
【氏名】平野 弥生
【審査官】 佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5112567(JP,B1)
【文献】 特開2009−202788(JP,A)
【文献】 特開2001−206125(JP,A)
【文献】 特開2001−105940(JP,A)
【文献】 特開2002−104035(JP,A)
【文献】 特開2004−268668(JP,A)
【文献】 特開2005−335481(JP,A)
【文献】 特開2002−211287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ISO−FIXタイプのチャイルドシートの保持に使用されるアンカを有した車両用シートにおいて、
前記アンカは、左右一対のサイドバーの前端をフロントバーで連結した平面視略コ字形状に形成されて、フロントバーにチャイルドシートの係合部材が係合可能とされ、
左右方向に架設されたシートクッションの連結パイプの前周面にブラケットが固定され、
前記アンカのサイドバーは、前記ブラケットを介して連結パイプに固定されるとともに、前記ブラケットに支持されて直立位置から斜め前方に延出し、
チャイルドシートの前記係合部材を介して前記フロントバーに伝達された下方への荷重によりサイドバーが変形して係合部材が下降したとき、係合部材が当接可能な位置に前記ブラケットが設けられている車両用シート。
【請求項2】
ISO−FIXタイプのチャイルドシートの保持に使用されるアンカを有した車両用シートにおいて、
前記アンカは、左右一対のサイドバーの前端をフロントバーで連結した平面視略コ字形状に形成されて、フロントバーにチャイルドシートの係合部材が係合可能とされ、
左右一対のサイド壁の前端をフロント壁で連結した平面視略コ字形状に形成されたブラケットが、左右方向に架設されたシートクッションの連結パイプの前周面に固定され、
前記アンカのサイドバーは、前記ブラケットのフロント壁、サイド壁の角部にその後端が固定されて前記ブラケットを介して連結パイプに固定されるとともに、前記ブラケットに支持されて直立位置から斜め前方に延出し、
前記連結パイプの前周面を抱持する切欠きが、前記ブラケットのサイド壁の後端に形成されて前記連結パイプの前周面を抱持し、
チャイルドシートの前記係合部材を介して前記フロントバーに伝達された下方への荷重によりサイドバーが変形して係合部材が下降したとき、係合部材が当接可能な位置に前記ブラケットが設けられている車両用シート。
【請求項3】
ISO−FIXタイプのチャイルドシートの保持に使用されるアンカを有した車両用シートにおいて、
前記アンカは、左右一対のサイドバーの前端をフロントバーで連結した平面視略コ字形状に形成されて、フロントバーにチャイルドシートの係合部材が係合可能とされ、
左右方向に架設されたシートバックの連結パイプの前周面にブラケットが固定され、
前記アンカのサイドバーは、前記ブラケットを介して連結パイプに固定されるとともに、前記ブラケットに支持されて直立位置から斜め前方に延出し、
チャイルドシートの前記係合部材を介して前記フロントバーに伝達された下方への荷重によりサイドバーが変形して係合部材が下降したとき、係合部材が当接可能な位置に前記ブラケットが設けられている車両用シート。
【請求項4】
ISO−FIXタイプのチャイルドシートの保持に使用されるアンカを有した車両用シートにおいて、
前記アンカは、左右一対のサイドバーの前端をフロントバーで連結した平面視略コ字形状に形成されて、フロントバーにチャイルドシートの係合部材が係合可能とされ、
左右一対のサイド壁の前端をフロント壁で連結した平面視略コ字形状に形成されたブラケットが、左右方向に架設されたシートバックの連結パイプの前周面に固定され、
前記アンカのサイドバーは、その後端が前記ブラケットのフロント壁、サイド壁の角部にその後端が固定されて前記ブラケットを介して連結パイプに固定されるとともに、前記ブラケットに支持されて直立位置から斜め前方に延出し、
前記連結パイプの前周面を抱持する切欠きが、前記ブラケットのサイド壁の後端に形成されて前記連結パイプの前周面を抱持し、
チャイルドシートの前記係合部材を介して前記フロントバーに伝達された下方への荷重によりサイドバーが変形して係合部材が下降したとき、係合部材が当接可能な位置に前記ブラケットが設けられている車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ISO−FIXタイプのチャイルドシートを保持可能とするISO−FIX対応アンカ(以下、アンカ)を有した車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートに対するチャイルドシートの保持方式として国際標準規格ISO−FIXがあり、このISO−FIXタイプのチャイルドシートを保持可能とするISO−FIX対応のアンカを有した車両用シートが、たとえば特開2002−211287号公報等において開示されている。
【0003】
この種のISO−FIXタイプのチャイルドシートにおいては、その後部に左右一対の係合部材が設けられ、この係合部材を受けるアンカが、車両用シートのシートクッションの後端等に配設される。
【0004】
アンカとして、前方に互いに平行に延びた左右一対のサイドバーの前端をフロントバーで連結した平面視略コ字形状にワイヤ材(中実棒材)を折曲加工して成形されたものが知られている。チャイルドシートに設けられた係合部材は、その先端に長溝状の切欠きを設けて形成され、切欠きが形成された係合部材の先端 (係合端)をアンカのフロントバーに係合させることによってチャイルドシートがアンカに保持される。
【0005】
アンカは、たとえば、シートクッションフレームの左右一対のサイドフレームの後端間に架設された連結パイプに固定されている。
特開2002−211287号公報には、アンカのサイドバーの後端を連結パイプの上面から後周面に沿って巻き付け、巻き付けたサイドバーの後端をブラケットで後方から前面を覆ってサイドバーの後端及びブラケットを連結パイプに溶接して固定する構成が記載されている。ここで、左右一対のサイドバーの前端は連結パイプの上部から前方へ略水平に延出されて、フロントバーで連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−211287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
後突、急停車などにより荷重がチャイルドシートに作用すると、その荷重がチャイルドシートの係合部材を介してアンカのフロントバーに伝達され、アンカは曲げ剛性のもとでその荷重を受ける。
サイドバー後端が連結パイプに固定され、フロントバーがサイドバー前端に連結された片持ち形状にアンカは成形されているため、アンカのフロントバーに伝達される荷重を曲げ剛性で支え切れないと、アンカはサイドバーを下方に折り曲げて変形(曲げ変形)する。
【0008】
特開2002−211287号公報では、連結パイプに巻き付けられたアンカのサイドバー後端をブラケットが覆って連結パイプに固定(溶接)され、サイドバー後端が連結パイプに強固に固定されている。しかしながら、後突、急停車などにより大きな荷重がチャイルドシートに作用すると、アンカはサイドバーを連結パイプの前面に巻き付けながら下方に大きく折れ曲がって過度に変形するおそれがある。
サイドバー後端を連結パイプの上面でなく下面から後周面に沿って巻き付けてブラケットでサイドバー後端の下面を覆った構成も記載されているが、この構成においても、アンカの過度の変形を防止できない。
【0009】
アンカは曲げ剛性のもとで荷重を受けているため、径の大きな(太い)ワイヤ材で成形すれば、大きな曲げ剛性が得られ、変形を抑制できる。しかしながら、径の大きなワイヤ材を使用してアンカを大径化すれば、アンカが高価となるとともに、アンカの重量化が避けられない。
【0010】
本発明は、アンカを大径化することなく、アンカに大きな荷重が作用してもアンカの過度の変形を防止できる車両用シートの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、アンカのサイドバーは、ブラケットに支持されて直立位置から斜め前方に延出し、サイドバーが変形したとき、係合部材と当接可能にブラケットは位置している。
すなわち、請求項1に係る本発明によれば、ISO−FIXタイプのチャイルドシートの保持に使用されるアンカを有した車両用シートにおいて、前記アンカは、左右一対のサイドバーの前端をフロントバーで連結した平面視略コ字形状に形成されて、フロントバーにチャイルドシートの係合部材が係合可能とされ、左右方向に架設されたシートクッションの連結パイプの前周面にブラケットが固定され、前記アンカのサイドバーは、前記ブラケットを介して連結パイプに固定されるとともに、前記ブラケットに支持されて直立位置から斜め前方に延出し、チャイルドシートの前記係合部材を介して前記フロントバーに伝達された下方への荷重によりサイドバーが変形して係合部材が下降したとき、係合部材が当接可能な位置に前記ブラケットが設けられている。
請求項3に係る本発明によれば、ISO−FIXタイプのチャイルドシートの保持に使用されるアンカを有した車両用シートにおいて、前記アンカは、左右一対のサイドバーの前端をフロントバーで連結した平面視略コ字形状に形成されて、フロントバーにチャイルドシートの係合部材が係合可能とされ、左右方向に架設されたシートバックの連結パイプの前周面にブラケットが固定され、前記アンカのサイドバーは、前記ブラケットを介して連結パイプに固定されるとともに、前記ブラケットに支持されて直立位置から斜め前方に延出し、チャイルドシートの前記係合部材を介して前記フロントバーに伝達された下方への荷重によりサイドバーが変形して係合部材が下降したとき、係合部材が当接可能な位置に前記ブラケットが設けられている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、3に係る本発明では、後突、急停車などにより荷重がチャイルドシートに作用してアンカのフロントバーに伝達される荷重を曲げ剛性で支え切れないと、アンカのサイドバーは変形するが、直立位置から斜め前方に延出しているため、その変形は座屈変形であり、曲げ変形に比較してその変形量は小さい。また、フロントバーに係合されたチャイルドシートの係合部材はサイドバーの変形に伴って下降するがブラケットに当接して、ブラケットが荷重を受けて係合部材の下降、つまりは、サイドバーの変形を阻止する。そのため、アンカに大きな荷重が作用してもアンカの過度の変形が、アンカを大径化することなく、確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例に係る車両用シートの概略側面図を示す。
図2】車両用シートにおけるアンカ及びブラケットの斜視図を示す。
図3】(A)(B)は、アンカのサイドバーの変形の前後におけるチャイルドシート、アンカの一部破断の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ISO−FIXタイプのチャイルドシートの保持に使用されるアンカは、左右一対のサイドバーの前端をフロントバーで連結した平面視略コ字形状に形成されて、フロントバーにチャイルドシートの係合部材が係合可能となっている左右方向に架設されたシートクッションの連結パイプの前周面にブラケットが固定され、アンカのサイドバーは、ブラケットを介して連結パイプに固定されるとともに、ブラケットに支持されて直立位置から斜め前方に延出している。そして、チャイルドシートの係合部材を介してフロントバーに伝達された下方への荷重によりサイドバーが変形して係合部材が下降したとき、係合部材当接可能な位置にブラケットが設けられている。
【実施例】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。図1は本発明の一実施例に係る車両用シートの概略側面図、図2は車両用シートにおけるアンカ及びブラケットの斜視図、図3(A)(B)はアンカのサイドバーの変形の前後におけるチャイルドシート、アンカの一部破断の側面図をそれぞれ示す。なお、前後左右はドライバーシートに着座したドライバーから見た方向をいい、Fr、Rr、L、Rで示す。
【0016】
図1に示すように、車両用シート10は、シートバック12と、シートクッション14とを有し、シートバックの下端とシートクッションの後端との間にシートリクライニング装置(図示しない)を配置してシートクッションに対してシートバックがリクライニング可能に構成されている。
【0017】
シートクッション14は、その骨格となるシートクッションフレームに発泡ウレタン等の発泡材からなるパッドを被せ、パッドをトリムカバーで被覆して構成されている。そして、たとえば、シートクッションフレームは、左右一対のサイドフレーム(図示しない)と、サイドフレームの前端間、後端間にそれぞれ架設した前後の連結パイプとからなり、平面略矩形形状に形成されている。実施例では、サイドフレームの後端間で左右方向に架設された後方の連結パイプ16のみを図示する。連結パイプ16は、通常、円形断面のパイプ材から形成されるが、必ずしも円形断面のパイプ材に限定されない。
【0018】
シートクッション14の後端には、シートクッション上にチャイルドシート20を保持するための左右一対のISO−FIX対応のアンカ30が、車両用シート10の左右方向に所定の間隔をあけて配設されている。
図1に示すように、チャイルドシート20は、後方へ延びた左右一対の係合部材24を背面22の下部に持ち、長溝状の切欠き24aが係合部材の先端に形成されている。また、図2に示すように、アンカ30は、直立位置から斜め前方に互いに平行に延びた左右一対のサイドバー30aの前端をフロントバー30bで連結した平面視略コ字形状にワイヤ材を折曲加工して成形されている。
【0019】
図1に矢視するようにチャイルドシートの左右一対の係合部材24を対応するアンカ30に前方から近づけ、係合部材の切欠き24aをフロントバー30bに係合させることによって、チャイルドシート20がアンカに保持されてシートクッション14上に配置される。
【0020】
アンカ30は、左右方向に架設された連結パイプ16に、直立位置から斜め前方に延出するようにブラケット32を介して固定されている。ブラケット32は、左右一対のサイド壁32aの前端をフロント壁32bで連結した平面視略コ字形状に、たとえば鋼板をプレス加工して成形され、ブラケットの内面にアンカの左右一対のサイドバー30aの後端が固定されている。サイドバー30aのブラケット32の内面への固定は、たとえば溶接により行われるが、これに限定されない。
【0021】
実施例では、図2に示すように、サイドバー30aの後端は、サイド壁32a、フロント壁32bの角部でそれぞれの内面に固定しているが、これに限定されず、たとえばサイド壁から離反した位置でフロント壁の内面(背面)に固定してもよい。しかしながら、サイドバー30aの後端をサイド壁32a、フロント壁32bの角部に配置する構成では、サイド壁、フロント壁の両方に溶接できるので強固に固定できる。
【0022】
ブラケットのサイド壁32aの後端には、連結パイプ16の前周面に対応した形状の切欠き32cが形成されている。アンカ30の固定されたブラケット32は、その切欠き32cが連結パイプ16の前周面を抱持するように、係合部材24と対応する位置に前方から連結パイプに取り付けられる。このとき、サイドバー30aが直立位置から斜め前方に延出するとともに、サイドバーが変形してサイドバーとともに係合部材24が下降したとき、係合部材が当接する位置で、ブラケット32は連結パイプ16にたとえば溶接によって固定される。
【0023】
図3(A)に示すように、実施例ではアンカのサイドバー30aは直立位置より15°前方へ傾斜して延出しているが、この前傾角αは15°に限定されない。前傾角αは、サイドバー30aが主として曲げ変形でなく座屈変形を生じる角度であれば足り、たとえば、10〜25°とされる。
ブラケットのフロント壁の上端32b’が連結パイプ16から最も離反した位置にあるから、通常、下降する係合部材の下面24’がフロント壁の上端に当接するようにブラケット32は位置決めされる。しかしながら、係合部材の下面24’とブラケットのフロント壁上端32b’との当接に限定されず、下降する係合部材24が当接してその下降を阻止する位置(係合部材の下方位置)にブラケットがあればよい。
【0024】
通常、チャイルドシート20は、アンカ30への係合部材24の係合とともに、テザーベルトを利用してシート10に保持されるが、テザーベルトは本発明と直接関係しないのでその説明は省略する。
【0025】
係合部材24に設けられる切欠き24aは、実施例では長溝形状としているが、アンカ30(フロントバー30b)と係合して、チャイルドシート20をシートクッション14に保持可能であれば足り、長溝形状に限定されない。
【0026】
後突、急停車などにより荷重がチャイルドシート20に作用すると、その荷重がチャイルドシートの係合部材24を介してアンカのフロントバー30bに伝達され、アンカ30は曲げ剛性のもとでその荷重を受ける。そして、アンカのサイドバー30aの後端が連結パイプ16に固定され、フロントバー30bがサイドバー前端に連結された片持ち形状にアンカ30は成形されているため、アンカに大きな荷重が作用して、曲げ剛性で荷重を支え切れないと、アンカの変形、具体的には、サイドバーの変形が避けられない。
【0027】
しかしながら、本発明では、アンカのサイドバー30aは直立位置から斜め前方に延出して設けられているため(図3(A)参照)、サイドバーは、曲げ変形ではなく座屈変形し(図3(B)参照)、曲げ変形に比較してその変形量は小さい。
さらに、フロントバー30bに係合されたチャイルドシートの係合部材24はサイドバー30aの変形に伴って下降するが、ブラケット32は係合部材の下方に位置して、下降する係合部材の下面24’がフロント壁の上端32b’に当接して、ブラケットが荷重を受けて係合部材の下降、つまりは、サイドバーの変形を阻止する。
そのため、後突、急停車などによって大きな荷重がチャイルドシート20に作用して係合部材を介してアンカ30に伝達されても、アンカの過度の変形が、アンカを大径化することなく、確実に防止される。
【0028】
また、連結パイプ16の前周面を抱持する切欠き32cをブラケットのサイド壁32aの後端に設けているため、十分な固定長さ(溶接長さ)が確保される。そのため、ブラケット32は連結パイプ16に強固に固定され、チャイルドシート20からアンカ30に伝達された荷重に十分に耐えられる。
さらに、ブラケットのフロント壁32bは、係合部材24の延出方向(前後方向)と直交する方向(左右方向)に位置するため、チャイルドシート20が左右方向にずれてシート10に載せられても、係合部材の下面24’がフロント壁上端32b’に確実に当接される。
【0029】
上記のように、本発明によれば、アンカのサイドバーは、ブラケットに支持されて直立位置から斜め前方に延出し、サイドバーが変形したとき、係合部材と当接可能にブラケットは位置している。そのため、サイドバーの変形は座屈変形となり、曲げ変形に比較してその変形量は小さく、さらに、チャイルドシートの係合部材はサイドバーの変形に伴って下降するがブラケットに当接して、ブラケットが荷重を受けて係合部材の下降、つまりは、サイドバーの変形を阻止する。したがって、アンカに大きな荷重が作用してもアンカの過度の変形が、アンカを大径化することなく、確実に防止される。
【0030】
上述した実施例は、この発明を説明するためのものであり、この発明を何等限定するものでなく、この発明の技術範囲内で変形、改造等の施されたものも全てこの発明に包含されることはいうまでもない。
【0031】
たとえば、実施例では、アンカはシートクッション側に設けられている。すなわち、シートバックフレームの左右一対のサイドフレームの下端間に架設された連結パイプにブラケットを介してアンカが固定されている。しかしながら、アンカをシートバック側に設けてもよく、シートバックフレームの左右一対のサイドフレームの下端間で左右方向に架設された連結パイプにブラケットを介して固定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、ISO−FIXタイプのチャイルドシートの保持に使用されるアンカを有した車両用シートに広範囲に利用できる。
【符号の説明】
【0033】
10 車両用シート
12 シートバック
14 シートクッション
16 連結パイプ
20 チャイルドシート
24 係合部材
24’ 係合部材の下面
24a 切欠き
30 アンカ
30a、30b サイドバー、フロントバー
32 ブラケット
32a、32b サイド壁、フロント壁
32b’ フロント壁の上端
32c 切欠き
図1
図2
図3