(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スタビライザーのうち横向きとなる水平姿勢で配置される中間部が、前記機体フレームに設けられたホルダにより横向きの水平姿勢となる捻り軸芯を中心に回動自在に支持されている請求項1または2に記載の作業車。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示される車両では、後アーム支持フレームの前面にスタビライザブラケットを備え、これにスタビライザのアーム部を支持することによりセンターフレームの上側で、リヤフレームの下側となる空間にスタビライザが配置されている。
【0008】
しかしながら、特許文献2にも示されるように車体の後部位置にミッションケース等を配置する構成を考えると、スタビライザが配置されている空間にミッションケース等が配置されるため、スタビライザの配置が困難になるものであった。また、車体の後部にミッションケースとフレームとの間にスペースが形成される構成では、このスペースにスタビライザを配置することは可能であるが、スペースにスタビライザを挿通する形態となるため車両の組み立てに手間が掛かるものとなりやすい。
【0009】
また、特許文献2に示されるように車体の後部位置にミッションケース等を配置する構成では、例えば、軽量化や小型化の目的で機体フレームの全長を短くした場合には、ミッションケースが機体フレームから後方に突出することになり、ミッションケースの保護を必要とするものとなる。
【0010】
本発明の目的は、機体フレームの後端部にミッションケースが配置されたものでも、スタビライザーを無理なく配置し、ミッションケースの保護が可能な作業車を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の
うち第一発明の特徴は、駆動源と、機体フレームと、前記機体フレームに支持された左右の前車輪と、前記機体フレームに支持された左右の後車輪と、前記機体フレームに支持され、前記駆動源からの駆動力を変速して前記左右の後車輪に伝えるミッションケースと、前記ミッションケースを保護するガード部材と、前記左右の後車輪のサスペンションアームに両端が支持されたスタビライザーと、を備え、
前記機体フレームの後部に、前記サスペンションアーム毎に設けられ、前記サスペンションアームを揺動自在に支持する前後一対の縦フレームを備え、
前記ガード部材が前記ミッションケースの後方に設けられ、
前記スタビライザーが、後側の前記縦フレームの後部位置よりも後方、且つ、前記ガード部材の後部位置より前方
、且つ、前記ガード部材の下側の箇所に配置されている点にある。
【0012】
この構成によると、ミッションケースの後方にガード部材が配置されるので、例えば、ミッションケースが機体フレームの後端より後方に突出する構成であっても、このガード部材がミッションケースの後端を保護することが可能となる。また、スタビライザーがガード部材より前方に配置されるので、例えば、ミッションケースの後端とガイド部材の前面との間や、ガイド部材の前側でミッションケースの下側や、ガイド部材の下端より下側等の空間にスタビライザーを配置することが可能となる。
従って、機体フレームの後端部にミッションケースが配置されたものでも、スタビライザーを無理なく配置し、ミッションケースの保護が可能な作業車が構成された。
【0014】
さらに、ガード部材の後部位置より前方で、ガード部材の下側で下方に大きく開放する空間にスタビライザーを配置することが可能となり、作業車の組み立て作業も能率的に行えるものとなる。
【0015】
本発明のうち第二発明の特徴は、駆動源と、機体フレームと、前記機体フレームに支持された左右の前車輪と、前記機体フレームに支持された左右の後車輪と、前記機体フレームに支持され、前記駆動源からの駆動力を変速して前記左右の後車輪に伝えるミッションケースと、前記ミッションケースを保護するガード部材と、前記左右の後車輪のサスペンションアームに両端が支持されたスタビライザーと、を備え、
前記機体フレームの後部に、前記サスペンションアーム毎に設けられ、前記サスペンションアームを揺動自在に支持する前後一対の縦フレームを備え、
前記ガード部材が前記ミッションケースの後方に設けられ、
前記スタビライザーが、後側の前記縦フレームの後部位置よりも後方、且つ、前記ガード部材の後部位置より前方の箇所に配置され、
前記ガード部材が、プレート状に形成されると共に、左右方向での両端部に前方に突出するステーを備えて構成され、前記ステーが前記機体フレームに着脱自在に連結され
ている点にある。
【0016】
この構成によると、ミッションケースの後方にガード部材が配置されるので、例えば、ミッションケースが機体フレームの後端より後方に突出する構成であっても、このガード部材がミッションケースの後端を保護することが可能となる。また、スタビライザーがガード部材より前方に配置されるので、例えば、ミッションケースの後端とガイド部材の前面との間や、ガイド部材の前側でミッションケースの下側や、ガイド部材の下端より下側等の空間にスタビライザーを配置することが可能となる。
従って、機体フレームの後端部にミッションケースが配置されたものでも、スタビライザーを無理なく配置し、ミッションケースの保護が可能な作業車が構成された。
さらに、ステーを機体フレームに連結した状態ではミッションケースの後方に設けられるプレート状のガード部材によってミッションケースの後端の広い領域の保護が可能になると共に、ステーを機体フレームから分離することにより、ミッションケースの後方空間を大きく開放してミッションケースのメンテナンスを容易に行える。
【0017】
本発明は、前記スタビライザーのうち横向きとなる水平姿勢で配置される中間部が、前記機体フレームに設けられたホルダにより横向きの水平姿勢となる捻り軸芯を中心に回動自在に支持されても良い。
【0018】
これによると、機体フレームに対してホルダを介してスタビライザーを安定的に支持でき、後車輪が上下方向に変位した場合にはホルダに支持された状態で水平姿勢となる捻り軸芯を中心にしたスタビライザーの弾性変形により、後車輪の上下動を緩やかに行わせることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1〜
図3に示すように、操向操作自在な左右一対の前車輪1と、左右一対の後車輪2とを走行機体Aに備え、この走行機体Aの前部位置に運転部を構成するキャビンBを備え、走行機体Aの後部に荷台3を備え、この荷台3の下方位置に駆動部Cを備えて作業車が構成されている。
【0021】
この作業車は、駆動部Cからの駆動力を前車輪1と後車輪2とに伝える走行駆動系を有した4輪駆動型であり、農作業や運搬作業等の多目的の作業に使用されるユーティリティビークルとして構成されている。荷台3は、後端側が走行機体Aの後端位置に対して横向き姿勢の軸芯Pを中心にして揺動自在に支持され、ダンプシリンダ4の作動により前端側を上昇させて積載物を後方に排出できるように構成されている。
【0022】
走行機体Aの前部位置には開閉自在にボンネット5を備えており、このボンネット5の左右下部には、前車輪1の上部を覆うフロントフェンダー6が配置されている。前記キャビンBは、キャビン本体7の前部にフロントガラス8を備え、この側部に対して開閉自在に備えられるドアー9を備えている。
【0023】
キャビンBには運転者が着座する運転座席11と、この運転座席11に隣接する位置で横長となる2人掛用の助手座席12とが備えられている。また、運転座席11の前部位置には前車輪1を操向制御するステアリングホイール13と、主変速レバー14と、パーキングレバー15とが備えられ、この下部位置には走行速度を制御する変速操作具としてのアクセルペダル16と、前車輪1及び後車輪2のブレーキ装置(図示せず)を操作するブレーキペダル17とが備えられている。
【0024】
走行機体Aの後端側には、左右の後車輪2の上方を覆うリヤフェンダー18が備えられ、このリヤフェンダー18には、ブレーキランプ19が備えられている。
【0025】
〔機体フレーム〕
走行機体Aの強度メンバーとしての機体フレームFを備えている。この機体フレームFは
図4に示すように、前後方向に伸びる左右一対のメインフレーム21と、このメインフレーム21の前部位置においてキャビンBを支持するキャビンフレームユニット22と、メインフレーム21の前端に連結する前部フレームユニット23と、メインフレーム21の後部位置の上方位置でメインフレーム21と平行姿勢となるように走行機体Aの前後方向に伸びる左右一対の上部フレーム24と、駆動部Cを支持する着脱フレームユニットGとを備えて構成されている。
【0026】
メインフレーム21と上部フレーム24とは角パイプ状の鋼材が用いられ、キャビンフレームユニット22と前部フレームユニット23とは、角パイプ材やチャンネル材等の鋼材が用いられている。
【0027】
キャビンフレームユニット22は、キャビンBの前部に配置される横向き姿勢のフレーム体と、運転座席11の下側に配置される横向き姿勢のフレーム体とを含む構造物として構成されている。前部フレームユニット23は、ボンネット5の下側に配置される構造物であり、この前部フレームユニット23の左右位置には、ダブルウィッシュボーン型に構成される上下一対の前部サスペンションアーム25の基端部を前後向き姿勢の揺動軸芯を中心にして揺動自在に支持している。また、前部サスペンションアーム25の上方への揺動時に圧縮される前部サスペンションスプリング26を有する前部サスペンションユニット27の下端が前部サスペンションアーム25に支持され、この前部サスペンションユニット27の上端を前部フレームユニット23が支持している。
【0028】
左右のメインフレーム21と、この上部に配置される上部フレーム24とは縦向き姿勢で角パイプ状の鋼材で成る連結フレーム28によって連結されている。また、メインフレーム21の後端側に隣接する位置で上部フレーム24の下側にメインフレーム21と上部フレーム24とに対して分離自在に連結するように着脱フレームユニットGが配置されている。
【0029】
図6に示すように、駆動部Cは、駆動源としてのエンジンEと、ミッションケースMとを連結した構成を有している。また、このミッションケースMは、変速ギヤケースMGと無段変速装置MVと連結して構成されている。
図5及び
図6に示すように、着脱フレームユニットGは、駆動部Cの下側(上部フレーム24より下側)に配置されるマウントフレーム31と、このマウントフレーム31を左右の上部フレーム24に連結するように左右に2つずつ配置される断面形状コ字状の縦フレーム32と、マウントフレームの31の前端側に形成される横向き姿勢の前部フレーム33とを備えて構成されている。
【0030】
この着脱フレームユニットGは、後述するように後車輪2を支持する機能も有するものであり、他のフレームから分離することにより、この着脱フレームユニットGに駆動部Cと後車輪2とを支持した状態で機体フレームFから取り外せるように構成されている。
【0031】
マウントフレーム31は、鋼板をプレス加工する等の加工によりリブ状部分を形成して強度を高めており、横幅が左右の上部フレーム24の左右間隔より短い寸法に設定されている。マウントフレーム31には、変速ギヤケースMGを支持するように左右一対の後部マウント支持体34を備えている。また、マウントフレーム31の両端部と、上部フレーム24とを縦フレーム32で直線的に連結するため、左右の縦フレーム32は、上端側ほど機体外方に変位する傾斜姿勢で備えられている。
【0032】
つまり、
図4、
図5、
図8に示す如く、前後方向視において、上部に左右一対の上部フレーム24を備え、下部にマウントフレーム31(下部フレームUFの一例)を備え、両側部に上側ほど外側に変位する傾斜姿勢の縦フレーム32を備えることにより、左右の縦フレーム32の上端同士を結ぶ仮想ラインを上底とし、左右の縦フレーム32の下端同士を結ぶ仮想ラインを下底とした場合に、上底の長さが下底の長さより長い逆台形となるように夫々の位置関係が設定されている。
【0033】
縦フレーム32は、チャンネル状の鋼材が用いられ、上部フレーム24に上端が連結する上部部材32Aと、下端がマウントフレーム31に連結する下部部材32Bとを分離自在に連結した構造を有しており、上部部材32Aの一部と下部部材32Bの一部とを重ね合わせ、この重ね合わせ部分に挿通する連結ボルト32Sにより夫々が分離自在に連結されている。また、前部フレーム33の両端部にブラケット33Aを備え、このブラケット33Aに挿通する挿通ボルト33Sによりメインフレーム21の後端に対して分離自在に連結されている。
【0034】
左右のメインフレーム21の後部近くに横向き姿勢で角パイプ状の鋼材で成る支持フレーム35(下部フレームUFの一例)が配置され、この支持フレーム35の左右端部のフランジ部35Aがメインフレーム21に対してフランジボルト35Sにより分離自在に連結している。また、支持フレーム35にはエンジンEを支持するように左右一対の前部マウント支持体36が形成されている。
【0035】
尚、マウントフレーム31として板材を用いる必要はなく、左右一対の角パイプ材を用いてマウントフレーム31を構成しても良い。また、縦フレーム32は中間部分で分離自在に構成されるものでなくても良く、例えば、縦フレーム32の上端部分が上部フレーム24に対して分離自在に連結される構成でも、縦フレーム32の下端部分がマウントフレーム31に対して分離自在に連結される構成でも良い。
【0036】
上部フレーム24の後端近くに架け渡される形態で、左右の上部フレーム24に両端部が連結する横向き姿勢で鋼材で成る横フレーム37が備えられ、この横フレーム37の中間位置に変速ギヤケースMGを吊り下げる形態で支持するための上部マウント支持体38が備えられ、この横フレーム37の両端部にはサスペンション支持部37Aが形成されている。
【0037】
前述したメインフレーム21とマウントフレーム31と前部フレーム33と支持フレーム35とが、機体フレームFの下部位置に配置されるため、これらメインフレーム21とマウントフレーム31と前部フレーム33と支持フレーム35とを併せて下部フレームUFと称している。前述したようにマウントフレーム31と支持フレーム35と縦フレーム32の下部部材32Bとが、他のフレームに対して分離自在であるため、下部フレームUFの一部が分離自在に構成されていることになる。
【0038】
前述した左右の縦フレーム32の下部部材32Bに対して、ダブルウィッシュボーン型に構成される上下一対の後部サスペンションアーム39の基端部を前後向き姿勢の揺動軸芯を中心にして揺動自在に支持している。また、後部サスペンションアーム39の上方への揺動時に圧縮される後部サスペンションスプリング40を有する後部サスペンションユニット41の下端が後部サスペンションアーム39に支持され、この後部サスペンションユニット41の上端を横フレーム37のサスペンション支持部37Aが支持している。尚、後部サスペンションユニット41の上端を上部フレーム24に支持して良く、この上部フレーム24に支持ブラケットを備え、この支持ブラケットに後部サスペンションユニット41の上端を支持しても良い。
【0039】
更に、上下一対の後部サスペンションアーム39のうち、上側のものに対しリンク42を介して、両端が連結するロッド状のスタビライザー43を備えており、このスタビライザー43の中間部43Bは左右の縦フレーム32の下部部材32Bの後面より後方に回り込む位置に配置されている。このスタビライザー43は、その両端に前側に屈曲するアーム部43Aを有すると共に、ロッド状となる中間部43Bを有した形状であり、その中間部43Bが一対のホルダ93によって水平姿勢で捻り作動自在に支持されている。ホルダ93の位置関係等は後述する。
【0040】
〔駆動部〕
図3、
図6、
図7、
図9、
図10に示すように、エンジンEと変速ギヤケースMGと無段変速装置MVとを、この順序で連結することでエンジンEと変速ギヤケースMGと無段変速装置MVとが一体化された駆動部Cが構成されている。エンジンEの前端位置の下部の左右2箇所が支持フレーム35の左右一対の前部マウント支持体36に対し下部防振マウント45により支持され、変速ギヤケースMGの後端位置の下部の左右2箇所がマウントフレーム31の左右一対の後部マウント支持体34に下部防振マウント45により支持され、変速ギヤケースMGの上面に突設した吊下フレーム47の上端部が、上部マウント支持体38に対して上部防振マウント48により支持されている。この駆動部は、駆動源としてエンジンEを用いているが、本発明の作業車は駆動源として電動モータを用い、電動モータに電力を供給するバッテリーを備えても良い。バッテリーは、商用電源により充電するもので良いが、例えば、バッテリーを充電するために小型のエンジンで駆動される発電機を走行機体Aに備えても良い。
【0041】
これら下部防振マウント45と、上部防振マウント48とはブッシュ型の防振ゴムで構成され、駆動部Cから機体フレームFに伝えられる振動を抑制するように機能する。前述したようにマウントフレーム31の横幅が比較的短いため、変速ギヤケースMGを支持する左右の下部防振マウント45の間隔が短く設計されており、駆動部Cの上端部が横方向に振動しやすい構成となっている。これに対して左右の上部フレーム24に亘って備えられる横フレーム37に対して、上部防振マウント48により変速ギヤケースMGの上部が吊り下げられる形態で支持されているので、駆動部Cの横方向への振動を抑制できるものにしている。
【0042】
変速ギヤケースMGの上方位置の左側にはエンジンEの排気音を低減するように、上面に防熱用のカバー50を有したマフラー51を備えている。
【0043】
変速ギヤケースMGの内部構造は図面に示していないが、この変速ギヤケースMGは、無段変速装置MVで変速された駆動力を複数段に変速すると共に、前後進の切換を行うギヤ式の変速装置と、デファレンシャルギヤ(図示せず)とを内蔵している。
【0044】
無段変速装置MVは、
図6に示すように、エンジンEからの駆動力により作動するアキシャルプランジャ型の可変容量型の油圧ポンプ53と、この油圧ポンプ53から供給される作動油により回転するアキシャルプランジャ型の油圧モータ54とを備えており、後部側面には、
図7及び
図10に示すように、作動油を濾過する2つのオイルフィルタ55が着脱自在に備えられている。尚、2つのオイルフィルタ55のうちの一方が作動油を油圧ポンプ53に吸引するサクション側に配置され、他方が作動油を排出するドレン側に配置されている。本発明では、ミッションケースMを構成する無段変速装置MVとして、ベルト式CVTや、トロイダルCVT等を用いても良い。
【0045】
この駆動部Cでは、エンジンEが、その出力軸(クランク軸:図示せず)の軸芯を前後向き方向に設定した姿勢で備えられ、この出力軸に連結する伝動軸(図示せず)を変速ギヤケースMGに前後方向に貫通させることで、エンジンEの駆動力を無段変速装置MVの油圧ポンプ53に伝え、この無段変速装置MVの油圧モータ54からの駆動力を変速ギヤケースMGに伝える伝動系が構成されている。また、変速ギヤケースMGでは駆動力を変速装置で変速し、デファレンシャルギヤから左右の後部出力軸61に伝え、この後部出力軸61から後輪駆動軸62を介して左右の後車輪2に伝えると共に、
図3に示すように、下面側に形成した下部出力軸(図示せず)及びドライブシャフト63から前輪デファレンシャルギヤ64に伝え、更に、前輪駆動軸65から左右の前車輪1に伝えるように伝動系が構成されている。
【0046】
特に、ドライブシャフト63と、エンジンEの下部のオイルパンとが接触しないように、変速ギヤケースMGの左右方向での中央位置を基準にして、エンジンEの左右方向での中央位置を左側に偏位させて配置している。尚、変速ギヤケースMGの左右方向での中央位置を基準にして、エンジンEの左右方向での中央位置を右側に偏位させて配置し、ドライブシャフト63をエンジンEの下部の左側に配置しても良い。
【0047】
図6、
図13に示す如く、無段変速装置MVは、油圧ポンプ53を下側に配置し油圧モータ54を上側に配置する構成から、この無段変速装置MVの上端レベルが変速ギヤケースMGの上面より上方に高い位置に設定され、無段変速装置MVの上端が変速ギヤケースMGの上面より上方に突出している。この無段変速装置MVの上方への突出量を抑制すると共に、無段変速装置MVの上部の左側部にマフラー51の配置空間を拡大するために、無段変速装置MVを、前後方向視において上端側を右側(外側)に変位させるように、この無段変速装置MVを傾斜姿勢に設定している。尚、無段変速装置MVを、前後方向視において上端側を左側(外側)に変位させるように、この無段変速装置MVを傾斜姿勢に設定すると共に、マフラー51を無段変速装置MVの右側に配置するように構成しても良い。更に、マフラー51を機体フレームFの外側に配置しても良い。
【0048】
その後端部が機体フレームFの後端より少し後方に突出する位置に無段変速装置MVが配置され、
図5、
図7、
図13〜
図15に示すように、この無段変速装置MVの後端部を保護するガード部材91が機体フレームFの後端に備えられている。このガード部材91は、プレート状であり、ミッションケースMの後方において縦向き姿勢で設けられている。左右の外端位置には前方に突出するガードステー91Aを備え、この一対のガードステー91Aがボルトにより左右の後部位置の縦フレーム32の下部部材32Bの後面に分離自在に連結している。この構成から一対のガードステー91Aを縦フレーム32から分離することで、機体フレームFからガード部材91とガードステー91Aとを分離して、オイルフィルタ55の交換や、無段変速装置MVのメンテナンスを容易にする。尚、ガードステー91Aは上側に屈曲成形したパイプフレームを用い、下側に折曲げ成形した板材を連結により一体化して構成されている。更に、ガード部材91とブロック部材92とがボルトにより着脱自在に機体フレームFに取り付けられている。
【0049】
また、左右の縦フレーム32の下部部材32Bの後面でガードステー91Aの連結位置の下側には、ボルトにより着脱自在にブロック部材92が取り付けられると共に、この一対のブロック部材92の後面に対してホルダ93がボルトにより着脱自在に取り付けられている。この一対のホルダ93は平面視においてガード部材91より前方で、ミッションケースM(無段変速装置MV)の後端より後方に配置されている。また、この一対のホルダ93は、側面視においてガード部材91より下側に配置されている。
【0050】
このようにスタビライザー43を備えることにより、機体フレームFの後端(縦フレーム32の後端)より後方で、ガード部材91の下方において大きく開放した空間にスタビライザー43を配置できるので組み立てが容易となる。尚、例えば、縦フレーム32の前側にスタビライザー43を挿通する構成を考えると、縦フレーム32の前部位置にはミッションケースMが配置されているため、この空間にスタビライザー43を配置するための空間を確保することが困難であるが、
図13〜
図15に示すようにスタビライザー43を配置できるのである。
【0051】
この一対のホルダ93は、一対の後部サスペンションアーム39に対してリンク42を介して、その両端が連結するスタビライザー43を水平姿勢に支持するものである。この一対のホルダ93でスタビライザー43を支持することにより、中間部43Bの軸芯が水平姿勢となる捻り軸芯と一致し、この捻り軸芯を中心にしてスタビライザー43が回動自在に支持される。これにより左右の後車輪2の一方を上下動させる外力が作用した場合には、前述した後部サスペンションユニット41と、スタビライザー43とにより後車輪2の急激な上下動が抑制される。
【0052】
図7、
図9、
図10に示すように、エンジンEは、上面の右側にエアークリーナ(図示せず)から空気が供給されるインテークマニホールド67を備え、左側にエグゾーストマニホールド68を備えており、このエグゾーストマニホールド68とマフラー51との間に排気管69が配置されている。
【0053】
マフラー51は、円筒状に成形され、後端には排気ガスを左側の下方に送り出すように屈曲した筒状の排気部51Aを備えている。このマフラー51の前端部は前ブラケット58により変速ギヤケースMGの上面に支持され、後端部は後ブラケット59により無段変速装置MVの上面に支持されている。防熱用のカバー50は前端部がビス等により変速ギヤケースMGの上面に支持され、後端部がビス等により無段変速装置MVの上面に支持されている。また、前述した排気部51Aは、荷台3を上昇させた場合に接触しない位置に配置され、この排気部51Aは、近傍に部材が存在しない空間に排気ガスを送り出すように排気方向が設定されている。図面には示していないが、マフラー51の前端部を支持する前ブラケット58と、後端部を支持する後ブラケット59とには、マフラー51に形成されたネジ孔に対してビス等で固定されており、前ブラケット58と後ブラケット59とには、マフラー51を変速ギヤケースMGに固定するビスが挿通する長孔が異なる姿勢で形成され、このように長孔の姿勢が設定されることによりマフラー51の寸法誤差や、取付位置の誤差等を吸収して取付を容易にしている。
【0054】
前述したように機体フレームFの後端部は、後面視において逆台形となるように上部フレーム24とマウントフレーム31と左右の縦フレーム32とが配置されている。そして、無段変速装置MVの上部が右方向に変位するように無段変速装置MVを斜め姿勢で配置し、この無段変速装置MVの上部の左側で、逆台形の上部の左側の角部の内部(隅部)において横フレーム37の下側の近傍にマフラー51を配置することで機体フレームFの内部空間を有効に利用できるようにしている。また、平面視では
図7に示す如くマフラー51は、横フレーム37の下側に重なり合う位置で、この横フレーム37の近傍に配置され、このマフラー51が後輪駆動軸62の上側に重なり合う位置に配置されている。前述したようにマフラー51を機体フレームFの内部の右側に配置しても良く、このように配置した場合にもマフラー51が後輪駆動軸62の上側に重なり合う位置に配置される。
【0055】
特に、マフラー51は、カバー50により上面の殆どの部分が覆われており、このカバー50にはプレス加工により「HOT」(図示せず)の文字等が突出形成されている。また、カバー50では、プレス加工により突出形成される文字等の一部を開放することで上面に雨水等が溜まり難くしており、プレス加工で凹凸が形成することでカバー50の表面積が拡大して放熱効果を高めると同時に強度を高めている。このマフラー51は、排気管69の後端が連結固定しており、変速ギヤケースMG等の近傍の部材が取付られた後においても、排気管69とマフラー51とを一体的に着脱できるように構成されている。
【0056】
〔駆動部の分離〕
前述したように、着脱フレームユニットGと、支持フレーム35とともに駆動部Cを機体フレームFから分離し、上部防振マウント48の部位を分離することにより、駆動部Cを下方に抜き出す形態で取り外せるように構成されている。
【0057】
具体的には、機体フレームFを全体的に持ち上げておき、挿通ボルト33Sを抜き取ることにより前部フレーム33のブラケット33Aをメインフレーム21から分離し、連結ボルト32Sの抜き取りにより左右の縦フレーム32を構成する上部部材32Aから下部部材32Bを分離(着脱フレームユニットGを分離)し、フランジボルト35Sの分離により支持フレーム35の両端のフランジ部35Aをメインフレーム21から分離し、上部防振マウント48の部位を分離し、後部サスペンションユニット41の上端又は後端を分離することになる。
【0058】
この分離を行うことによりエンジンEが下部防振マウント45により支持フレーム35に支持された状態で、かつ、変速ギヤケースMGがマウントフレーム31に下部防振マウント45で支持された状態で、
図13に示す如く、エンジンEと変速ギヤケースMGと無段変速装置MVとで成る駆動部Cが一体的に機体フレームFから下方に移動させる形態で取り外せる。また、この駆動部Cには、マフラー51が備えられ、左右の縦フレーム32には後部サスペンションアーム39を介して後車輪2が支持されているので、これらも駆動部Cとともに下方に取り外せるのである。
【0059】
特に、エンジンEと変速ギヤケースMGと無段変速装置MVとは重量物であり、これらを下方に移動させる形態で機体フレームFから取り外せるので、これらを上方に吊り上げる形態で取り外すものと比較すると、吊り上げるための設備を必要とせず、例えば、油圧ジャッキを利用して下方に加工させる形態での取り外しも可能となる。また、この作業車で前部フレーム33がメインフレーム21に連結しない構成を採用しても良く、このような構成を採用することでマウントフレーム31を分離する際の手間が軽減する。
【0060】
〔変速操作構造〕
図6、
図7、
図9〜
図11に示すように、エンジンEと変速ギヤケースMGの下部位置とが連結され、これらの間の上部位置に隙間Hが形成されている。この隙間Hの状部を跨ぐ位置においてエンジンEの後部の上面と、変速ギヤケースMGの前部で上方に突出する突出部Maとに亘って連結部材71を配置し、この連結部材71の前端をエンジンEにボルト連結し、後端を変速ギヤケースMGの突出部Maにボルト連結し、この連結によりエンジンEと変速ギヤケースMGとの連結強度の向上が図られている。
【0061】
この連結部材71の上部位置に横向き姿勢の中間軸芯Xと同軸芯上に筒状体72を設け、この筒状体72に対して回転自在に中間作動軸73が内嵌状態で支持されている。中間作動軸73の右側の端部にプレート状の入力アーム74の中間位置が連結し、中間作動軸73の左側の端部にベルクランク状の出力アーム75が連結し、この中間作動軸73の中間部分にニュートラルカム76が連結している。
【0062】
筒状体72の外面にアーム状のステー77が固設され、変速操作具としてのアクセルペダル16に連係する第1操作手段としての操作ワイヤ78のアウタワイヤ78Aの端部がステー77に支持されている。また、操作ワイヤ78のインナワイヤ78Bの端部が入力アーム74の一方の端部に連結し、この入力アーム74の他方の端部には、この入力アーム74の作動力をエンジンEのスロットル機構Etに伝える第3操作手段としての調速ロッド79が連結している。
【0063】
無段変速装置MVの左側面には変速操作部80が配置され、この変速操作部80に水平姿勢で突設された変速操作軸81を揺動操作する変速操作アーム81Aが備えられている。この変速操作アーム81Aは
図6に示す中立姿勢で、油圧ポンプ53から油圧モータ54に供給される作動油を遮断して走行を停止させ、変速操作アーム81Aを揺動操作することで油圧ポンプ53から油圧モータ54に供給する作動油を増大させ走行速度の増速を実現する。
【0064】
変速操作アーム81Aに操作ロッド82の一方の端部が連結し、出力アーム75の一方のアームに操作ロッド82の他方の端部が連結している。出力アーム75の他方の端部には変速操作アーム81Aの急激な作動を抑制するオイルダンパ83を接続している。
図12に示すように、ニュートラルカム76の外周には凹状のカム面76Aが形成されている。筒状体72に固設したアーム体84の突出端の支承部85に対して中間軸芯Xと平行姿勢の軸芯を中心にして揺動自在に中立復帰アーム86が支承され、この中立復帰アーム86にはニュートラルカム76のカム面76Aに係入可能な遊転ローラで成る当接部材87が支承され、この中立復帰アーム86の揺動端には中立復帰バネ88の付勢力を作用させている。
【0065】
この変速操作構造により、アクセルペダル16が踏み込み操作された場合には、インナワイヤ78Bが引き操作され、入力アーム74と中間作動軸73とが中間軸芯Xを中心にして回転する。この入力アーム74の回転に伴い調速ロッド79が引き操作され、この操作力でスロットル機構Etが増速方向に操作され、エンジン回転数が増大する。また、アクセルペダル16の踏み込み操作に伴う中間作動軸73の回転と一体的に出力アーム75が回転し、この回転に連動する操作ロッド82の押し操作により変速操作アーム81Aが増速の方向に操作され無段変速装置MVの増速が行われる。つまり、アクセルペダル16の踏み込み操作と連係してエンジン回転数を増大させることでエンジンストールを抑制しながら無段変速装置MVの駆動速度の増大で走行速度の増速を図るのである。
【0066】
また、アクセルペダル16の踏み込み操作が解除された場合には、アクセルペダル16からインナワイヤ78Bに作用する張力が大きく低下し、中立復帰アーム86に作用する中立復帰バネ88の付勢力により当接部材87がニュートラルカム76のカム面76Aに圧接して入り込むことにより、中間作動軸73を中立姿勢に戻し変速操作アーム81Aが停止位置まで戻されると共に、スロットル機構Etも減速位置に戻され、走行機体Aは停車する。
【0067】
つまり、この変速操作構造では、アクセルペダル16の踏み込み操作力が伝えられる第1操作手段としての操作ワイヤ78が機体右側に配置され、この操作ワイヤ78の操作力を無段変速装置MVの左側の変速操作部80に伝える第2操作手段としての操作ロッド82が機体左側に配置され、操作ワイヤ78の変速操作力をエンジンEの右側のスロットル機構Etに伝える第3操作手段としての調速ロッド79が機体右側に配置されている。このような配置から、中間作動軸73が中間軸芯Xを中心にして回転する構成を利用して、駆動部Cの両サイドの空間を有効に活用して変速操作を行えるのである。尚、この変速操作構造では、第1操作手段としての操作ワイヤ78等を機体左側に配置し、第2操作手段としての操作ロッド82等を機体右側に配置しても良い。また、スロットル機構Etを操作する操作系は機体左側と右側との何れに配置しても良い。
【0068】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い。
【0069】
(a)
図16に示すように、スタビライザー43として、中間部で左右に2分割したものを用いると共に、左側のスタビライザー43の内端に左電磁クラッチ95を備え、右側のスタビライザー43の内端に右電磁クラッチ96を備え、左右の電磁クラッチ95,96が入り状態では、対応するスタビライザー43の内端を機体フレームFに連結し、切り状態では機体フレームFから分離するように構成する。また、ステアリングホイール13の操舵方向を検出する操舵センサ97と、この操舵センサの検出結果に基づいて左右の電磁クラッチ95,96を制御する制御装置98を備える。
【0070】
この別実施形態(a)では、走行機体Aを旋回させるためにステアリングホイール13を操作した場合には、旋回外側のスタビライザー43だけを機能させるように左右の電磁クラッチ95,96のうち旋回内側のものだけを切り操作するように制御装置98が制御を行う。つまり、ステアリングホイール13が左方向に操作されたことを操舵センサ97が場合には、右電磁クラッチ96の入り状態を維持したまま左電磁クラッチ95を切り操作して右側のスタビライザー43だけを機能させる。また、ステアリングホイール13が右方向に操作されたことを操舵センサ97が場合には、左電磁クラッチ95の入り状態を維持したまま右電磁クラッチ96を切り操作することで左側のスタビライザー43だけを機能させる制御が行われるのである。
【0071】
このような制御を行うことにより、走行機体Aの旋回時に旋回外側の後車輪2の圧縮に連係して旋回内側の後車輪2に対してスタビライザー43から持ち上げ方向に力が作用する不都合をなくし、この旋回内側の後車輪2も適正に接地させ必要なグリップ力を得て、走行機体Aの姿勢の安定化を実現するのである。
【0072】
(b)ガード部材91とホルダ93とを連結した構成とする。具体的な構成として、ガード部材91のガードステー91Aと、ホルダ93(ブロック部材92も一体化しても良い)とを一体化する構成が考えられ、このように一体化することにより組み立てに手間が掛からないようにできる。