(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の原理の理解を促進する目的で、図面に示された諸実施形態を参照し、また諸実施形態を説明するのに特定の用語を用いる。とはいうものの、本発明の特定の実施形態の図および説明によって本発明の範囲が限定されるものではないことを理解されたい。加えて、図示および/または説明されている実施形態(1つまたは複数)のいかなる変更形態および/または修正形態も本発明の範囲内にあることが期待される。さらに、本明細書で図示および/または説明される、本発明が関係する当業者には通常想起されるであろう本発明の原理のいかなる他の適用例も本発明の範囲内にあることが期待される。
【0008】
図面、特に
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるエンジン10の非限定的例のいくつかの態様が概略的に図示されている。1つの形態では、エンジン10はガスタービンエンジンである。エンジン10は、圧縮機システム12と、圧縮機システム12と流体連通する燃焼システム14と、燃焼システム14と流体連通するタービンシステム16と、を含む。1つの形態では、圧縮機システム12、燃焼システム14およびタービンシステム16は、例えば圧縮機12およびタービン16の回転軸線であるエンジン中心線18のまわりに配置される。他の実施形態では、他の配置が用いられることができる。様々な実施形態において、エンジン10は、圧縮機システムおよび/またはタービンシステムを有していても、または有していなくてもよく、あるいは、圧縮機システムおよび/またはタービンシステムに加えて、追加のターボ機械構成要素を有していてもよい。いくつかの実施形態で、エンジン10は、推進力を燃焼システム14から直接発生させるダイレクト推進エンジンであり得る。別の実施形態では、燃焼システム14は、ガスタービン推進システム用のガス発生器を形成することができ、あるいはガスタービンエンジントッピングサイクルに用いられることができる。さらに別の実施形態では、エンジン10は、燃焼システム14などの燃焼システムを用いる1つまたは複数の他の種類のエンジンであり得る。
【0009】
図2Aおよび
図2Bを参照すると、1つの形態では、燃焼システム14は、ウェーブロータ30と、端部構造物50と、端部構造物60と、を有するウェーブロータシステムである。ウェーブロータ30は、円周方向に間隔を置いて配置された複数の燃焼チャネル32を含む。1つの形態では、燃焼チャネル32は、円筒形の内壁34、円筒形の外壁36、および複数の隔壁38によって形成される。隔壁38により、内壁34および外壁36によって形成された環状部が仕切られて複数の燃焼チャネル32になる。別の実施形態では、各燃焼チャネル32は、他の形態をとること、他の機能部によって形成されること、および/または、近接して間隔が空けられること、および/または、互い違いにされた関係を有することができる。1つの形態では、燃焼チャネル32は、断面の形がほぼ長方形であり、エンジン中心線18と平行な軸線の長手方向に向けられる。別の実施形態では、燃焼チャネル32は、半径方向、軸線方向および円周方向、またはこれらの組合せを含む、任意の1つまたは複数の方向に向けられた任意の形状、他の二次元的または三次元的に湾曲したチャネル、もしくは、特定の適用例に適した他の任意の形状であり得る。
【0010】
それぞれの燃焼チャネル32は、開放端40および開放端42を含み、これらの間に延びる。燃焼チャネル32は、燃焼過程を収容する(すなわち、内部で燃焼過程が生じる)ように構成される。燃焼過程は、デフラグレーション燃焼および/またはデトネーション燃焼であり得る。様々な実施形態において、燃焼チャネル32は、火炎加速器(図示せず)または他の装置を含むことができる。火炎加速器は、デフラグレーションからデトネーションへの移行(DDT)が生じるのに十分な燃焼火炎前部を加速させるように構成することができる。あるいは、火炎加速器は、デトネーション燃焼過程へ移行させることなくデフラグレーション燃焼過程を加速させるように構成することができる。いくつかの実施形態では、火炎加速器は、ある動作条件ではDDTを実現することなく、そして他の動作条件ではDDTを実現しながら、デフラグレーション燃焼火炎前部を加速させるように構成されることができる。
【0011】
本明細書で諸実施形態は、ウェーブロータ燃焼システムに関するものとして説明されるが、別の実施形態では他の形態をとることができることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、燃焼システム14は、ロータリバルブ燃焼システムとすることができ、燃焼チャネル32は、例えば、構成がウェーブロータ30と類似の燃焼器であるが非回転式である固定式燃焼器の一部であり、端部構造物50および60は、燃焼チャネル32に対して回転するロータリバルブである。別の実施形態では、ウェーブロータ30および端部構造物50,60は、それぞれ、例えば別々の速度で、および/または、別々の方向に回転することができる。
【0012】
図2Aおよび
図2Bと併せて
図3Aおよび
図3Bを参照すると、端部構造物50は、燃焼チャネル32の開放端40に隣接して配置される。1つの形態では、端部構造物50は、ウェーブロータ30内の燃焼生成物および圧力を封じ込めるために、開放端40に近接して配置される。様々な実施形態では、例えばバネで装着された炭素封止リングである1つまたは複数の封止構成物は、例えば燃焼チャネル32内であるウェーブロータ30内の燃焼生成物および圧力を封じ込めるために、端部構造物50とウェーブロータ30の間に配置されることがある。
【0013】
1つの形態では、端部構造物50は入口ポート52を含む。入口ポート52は、開放端40を燃料および酸化剤にさらして、開放端40が燃料および酸化剤を燃焼チャネル32の中に受け入れることができるように構成される。1つの形態では、燃料はJP−5などの炭化水素燃料である。1つの形態では、酸化剤は空気である。別の実施形態では、他の種類の燃料および/または酸化剤を使用できる。
【0014】
図示の例では、端部構造物50は、封止板と呼ばれることがある端部板の形態で示されている。図示の形状は、本質的に概略的であり、例示的なものにすぎず、端部構造物50は、ウェーブロータ30の開放端40に対する封止配置に適した任意の形状をとり得ることを理解されたい。加えて、開放端40を露出させる単一のポート(入口ポート52)のみが図示されているが、諸実施形態では、例えば、4ポートウェーブロータシステムまたは他のウェーブロータもしくはロータリバルブ燃焼システムにおけるような端部構造物50内に追加の入口ポートを含み得ることを理解されたい。
【0015】
端部構造物60は、燃焼チャネル32の開放端42に隣接して配置される。1つの形態では、端部構造物60は、ウェーブロータ30内に燃焼生成物および圧力を封じ込めるために、開放端42に近接して配置される。様々な実施形態では、例えばバネで装着された炭素封止リングである1つまたは複数の封止構成物は、例えば燃焼チャネル32内であるウェーブロータ30内に燃焼生成物および圧力を封じ込めるために、端部構造物60とウェーブロータ30との間に配置されることができる。
【0016】
端部構造物60は排気ポート62を含む。排気ポート62は、燃焼生成物を燃焼チャネル32から放出するように構成される。1つの形態では、排気ポート62は、入口ポート52とは異なる円周方向の位置に中心が置かれる。入口ポート52と排気ポート62との間の位相関係は、適用例の必要に応じて変わり得る。図示の例では、端部構造物60は、封止板と呼ばれることがある端部板の形態で示されている。図示の形状は、本質的に概略的であり例示的なものにすぎず、端部構造物60は、ウェーブロータ30の開放端42に対する封止配置に適した任意の形状をとり得ることを理解されたい。加えて、開放端42を露出させる単一のポート(排気ポート62)のみが図示されているが、諸実施形態では、例えば、4ポートウェーブロータシステムまたは他のウェーブロータもしくはロータリバルブ燃焼システムにおけるような端部構造物60内に追加の排気ポートを含むことができることを理解されたい。
【0017】
点火源64が端部構造物60の中に配置される。点火源64は、燃焼チャネル32の隣接する開放端42内で燃料/酸化剤混合物に点火するように構成される。1つの形態では、点火源64は、端部構造物60の開口に配置されたスパークプラグなどの点火器である。1つの形態では、点火源64は、隣接する燃焼チャネル32内で燃料/酸化剤混合物のデトネーション燃焼またはデフラグレーション燃焼を開始するように構成された高エネルギー火花放電装置である。別の実施形態では、点火源64は、隣接する燃焼チャネル32内でデフラグレーション燃焼を開始するように構成された点火器であり得る。さらに別の実施形態では、点火源64は他の形態をとることがあり、この形態には、例えば、火炎もしくは別の燃焼過程を移動させるための、または、別の場所で開始された燃焼もしくは前段の燃焼チャネル32から移動された燃焼の高温生成物を移動させるための端部構造物60の開口が含まれる。
【0018】
1つの形態では、燃焼システム14の通常の動作中、端部構造物50および端部構造物60は固定であるのに対し、ウェーブロータ30は方向86に回転し、それによって各燃焼チャネル32が入口ポート52および排気ポート62に順にさらされる。ウェーブロータ30は、ベアリング(図示せず)によって支承される。別の実施形態では、端部構造物50および60のどちらかまたは両方が同じまたは異なる速度で回転して、各燃焼チャネル32が入口ポート52および排気ポート62に順にさらされることができる。
【0019】
1つの形態では、燃料90および酸化剤92は、それぞれの燃焼チャネルの開放端40が入口ポート52のところを通過するときに、燃料/酸化剤混合物94として各燃焼チャネル32の中に受け入れられる。1つの形態では、混合物94が入口ポート52の初めの部分52Iから供給されるのに対し、酸化剤92だけが入口ポート52の最後の部分52Fから供給される。1つの形態では、酸化剤92は、圧縮機システム12の排出部から受け入れられる。別の実施形態では、酸化剤92は、特定の適用例の必要に応じて、任意の都合の良い供給源から加圧または非加圧で受け入れられ得る。1つの形態では、燃料90は、入口ポート52の上流で酸化剤92中に燃料90を噴射する1つまたは複数の噴射器96によって供給される。別の実施形態では、燃料90は、他の構成により、例えば、燃焼チャネル32の中への直接噴射、および/または、入口ポート52での噴射により供給されることができる。
【0020】
例えば前の燃焼サイクルにおける、混合物94の燃焼による燃焼生成物98は、それぞれの燃焼チャネルの開放端42が排気ポート62のところを通過するときに、燃焼チャネル32から開放端42を経由し排気ポート62を通して排出される。1つの形態では、ウェーブロータが方向86に回転している間、任意の所与の燃焼チャネル32が、開放端40を介して入口ポート52にさらされる前に開放端42において排気ポート62にさらされるように、入口ポート52および排気ポート62は、円周方向に互い違いに配置される。
【0021】
1つの形態では、燃焼過程は定容(またはほぼ定容)燃焼過程であり、その結果、燃焼チャネル32内の圧力が上昇することになる。例えば、デトネーション燃焼過程はほぼ定容燃焼過程であり、したがって、デトネーション燃焼を用いる実施形態は定容燃焼システムと考えられる。別の実施形態では、例えば、燃焼チャネル32の構成、燃焼火炎前部(1つまたは複数)の速度、ならびに、追加の酸化剤92が(燃料90なしで)燃焼チャネル32に供給されるかどうか、例えば、混合物94が燃焼チャネル32に供給された後に供給される任意の追加の酸化剤92の量によって、デフラグレーション燃焼でも定容燃焼過程が生じることがあり得る。
【0022】
燃焼チャネル32が開放端42を介して排気ポート62にさらされると、燃焼生成物は、膨張し、排気ポート62を通って排出される。ウェーブロータ30の回転が継続されることで、燃焼チャネルはまた、入ってくる混合物94に入口ポート52を介してさらされる。いくつかの実施形態では、排気燃焼生成物98の気体の動態が、燃焼チャネル32の中への混合物94の新規充填を引き込む助けになる。ウェーブロータ30の方向86の回転が継続されることで、各燃焼チャネル32の開放端42は、それが排気ポート62の最後の部分62Fを通過すると順次、閉鎖される。
【0023】
1つの形態では、各燃焼チャネル32が、ウェーブロータ30の回転によって入口ポート52の初めの部分52Iを通り過ぎて入口ポート52の最後の部分52Fまで回転するにつれて、追加の酸化剤92が開放端40を介して燃焼チャネル32の中に供給されて、端部構造物60に向かう混合物94の一部分の連続した移動によって燃焼チャネル32の中に引き込まれる。一実施形態では、追加の酸化剤92は、圧力擾乱(チャネル32が排気ポート62の最後の部分62Fを通過してチャネル32が順次閉鎖されることにより引き起こされる)が開放端40に達するまで、燃焼チャネル32の中に引き込まれる。別の実施形態では、追加の酸化剤92は、開放端40を介して燃焼チャネル32の中に供給されて、混合物94を端部構造物60に向けて動的に押し出す。参照番号95は、混合物94と追加の酸化剤92の間の境界面を示す。様々な実施形態において、各燃焼チャネル32に供給される追加の酸化剤92の量は変わり得る。いくつかの実施形態では、追加の酸化剤92は供給されなくてもよい。
【0024】
ウェーブロータ30の連続した回転により、各燃焼チャネルが点火源64を通り過ぎて回転し、点火源64が混合物94に点火し、それによって燃焼火炎前部100が燃焼チャネル32に沿って開放端40の方に進み、その後に燃焼生成物98が残る。いくつかの実施形態では、その燃焼速度の結果として、実質的な定容燃焼が生じる。いくつかの実施形態では、定容燃焼過程により生じる膨張燃焼生成物98が酸化剤92を圧縮し、酸化剤/混合物境界面95が、燃焼チャネル32の開放端40に向かう流れ方向に進行する。この燃焼過程は、開放端40に向かう方向に、混合物94が燃焼過程によって消費されるまで継続して、加圧された酸化剤92および燃焼生成物98が燃焼チャネル32に残ったままになる。いくつかの実施形態では、加圧された酸化剤92は、様々な目的のために取り出すことができる。ウェーブロータ30の連続した回転により、各燃焼チャネル32は、最終的に排気ポート62にさらされ、ここで燃焼生成物98(および、いくつかの実施形態では追加の酸化剤92の一部または実質的に全部)は、例えばタービン16に向けて、そのように装備された実施形態において排出される。いくつかの実施形態では、燃焼生成物98は、直接推力を得るために使用されてもよい。
【0025】
いくつかの動作条件のもとでは、前の燃焼サイクルから一部残っている追加の酸化剤92(および/または、実施形態および動作パラメータおよび/または他のパラメータに応じた、混合物94および/または燃焼生成物98)は、開放端42の近傍のチャネル32内に残ってもよく、
図3Aにおいて残留物Rとして識別される。また、燃焼チャネル32の充填過程の間に、前のサイクルから残っている混合物94と酸化剤92との間の混合が起こってもよい。例えば、様々な実施形態の細部に応じて混合が誘発されてもよく、これは例えば、燃焼チャネル32内の機能(図示せず)(例えば火炎加速器)によって、そのように装備された実施形態において誘発される粘性力や乱流、開放端40および/または42において発生することによって誘発される乱流、燃焼チャネルの湾曲によって引き起こされる二次流れパターンによる混合物およびガスの動き、ならびに、例えば遠心力および求心力および/または他の相互作用による半径方向および/または接線方向(円周方向)および/または軸線方向の燃焼チャネル内の圧力勾配に起因する。場合によって燃焼生成物98の一部が混合される、混合物94と酸化剤92との混合により残留物Rが形成されるが、残留物Rが存在することは、開放端42における混合物94の燃料/酸化剤比に悪影響を及ぼし、このことが、点火源64による混合物94の点火に悪影響を及ぼすことがあり、また混合物94の燃焼に悪影響を及ぼすことがある。
【0026】
本発明の諸実施形態は、開放端42の近傍の燃焼チャネル32内の燃料/酸化剤混合比を改善する(高める)ための、例えば、残留物Rとの混合によってもたらされる、または、残留物Rが存在することに起因してもたらされる燃料/酸化剤比の不足を克服するための、1つまたは複数の機能を含む。いくつかのこのような燃料/酸化剤比改善機能部が
図3Aおよび
図3Bに示されている。様々な実施形態において、このような改善機能部を1つだけ含むことができ、あるいは、このような改善機能部のいずれか、またはすべてを含むことができることを理解されたい。
【0027】
1つの形態では、空洞68の形態の改善機能部が使用される。空洞68は、端部構造物60に配置されるとともに、排気ポート62と点火源64との間で、ウェーブロータ30の回転の方向86における排気ポート62の下流に配置される。1つの形態では、単一の空洞68が使用される。別の実施形態では、複数の空洞68が使用されてもよい。空洞68は、燃焼チャネル32の開放端42の反対側に配置される。1つの形態では、空洞68は、複数の燃焼チャネル32にまたがる幅で構成され、複数の燃焼チャネル32は空洞68に常にさらされる。別の実施形態では、空洞68は、単一の燃焼チャネル32よりも小さい幅で構成されることができ、あるいは、排気ポート62と点火源64との間の任意の個数の燃焼チャネルをまたぐのに十分な幅で構成されることができる。
図3Aの描写では、空洞68は、少なくとも3つの燃焼チャネルが空洞68に同時にさらされるように構成された幅を有する。
【0028】
燃焼システム14の動作には、燃焼チャネル32と端部構造物50,60との間の相対運動が含まれ、この相対運動には、排気ポート62を通過し、次に空洞68を通過し、次に点火源64を通過して移動する、燃焼チャネル32の開放端42が含まれる。1つの形態では、空洞68は、燃焼システム14の動作時に、開放端42を介して空洞68と1つまたは複数の隣接する燃焼チャネル32との間の流体交換を促進するように、例えばサイズおよび形状が構成される。別の実施形態では、空洞68は、このような流体交換を促進するように構成されないことがある。
【0029】
1つの形態では、空洞68は、1つまたは複数の隣接する燃焼チャネル32内で開放端42を介して乱流を誘発するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、急峻な入口部分68Aと平滑な出口部分68Bとが、開放端42内に乱流を誘発する。諸実施形態ではまた、タービュレータ69Aおよび/または69Bなどの乱流誘発機能部を含み得る。空洞68の形状および任意のタービュレータの形状は、適用例の必要に応じて変わり得る。空洞68は、所望の個数の燃焼チャネル32をまたぐように形成することができる。開放端42における空洞68と燃焼チャネル32との間の流体交換により、混合物94は、端部構造物60に隣接する燃焼チャネル32の領域内において平衡状態に保たれる傾向がある。加えて、端部構造物60に隣接する燃焼チャネル32の領域内で所望のレベルの乱流を実現することが、点火の成功、および、結果として生じる混合物94の高速燃焼を促進する助けになる。
【0030】
開放端42の近傍の燃焼チャネル32内の燃料/酸化剤混合物94を改善する別の機能部は、燃料供給源72と流体連通する燃料噴射ポート70を含む。燃料噴射ポート70は、排気ポート62と点火源64との間、例えば、排気ポート62の最後の部分62Fと点火源64との間で、ウェーブロータ30の回転の方向86における排気ポート62の下流に配置される。1つの形態では、単一の燃料噴射ポート70が使用される。別の実施形態では、複数の燃料噴射ポート70が使用され得る。1つの形態では、燃料噴射ポート70は、空洞68を介して燃焼チャネル32の開放端42と流体連通する。別の実施形態では、燃料噴射ポート70は、空洞68に加えて、またはその代わりに、開放端42に直接さらされ得る。燃料噴射ポート70は、燃料を燃焼チャネル32の開放端42に供給するように、例えば、残留物Rと混合物94とから生じるガス混合物の燃料/酸化剤比を修正するように機能する。かかる混合物94は、例えば、追加の酸化剤92および/または燃焼生成物98によって希釈された混合物94(例えば、残留物Rで希釈された混合物94)である。燃料を燃焼チャネル32の開放端42に追加することによって、点火のための所望の燃料/酸化剤比が、例えば、方向86の回転により後部端42が点火源64に接近するときにチャンバ32内の後部端42(開放端42)のところで得られる。修正された混合物は、燃焼システム14の動作中に、点火源64を使用して引き続き点火される。
【0031】
開放端42の近傍の燃焼チャネル32内の燃料/酸化剤混合物94を改善する別の機能部は、開口82と開口83とを有する導管80を含む。導管80は、例えば、管、パイプ、継手、および/または芯が抜かれた通路である1つまたは複数の構成要素から作ることができる。導管80の開口82は、排気ポート62と点火源64との間で、ウェーブロータ30の回転の方向86における排気ポート62の下流に配置される。1つの形態では、単一の導管80が使用される。別の実施形態では、複数の導管80が使用され得る。
【0032】
開口82は、端部構造物60の開口84を介して開放端42と流体連通している。1つの形態では、開口84は、空洞68を介して燃焼チャネル32の開放端42と流体連通する。別の実施形態では、開口84は、空洞68に加えて、またはその代わりに、開放端42に直接さらされることができる。導管80は、燃焼チャネル32の開放端42から、例えば直接的に、および/または、空洞68を介して流体を受け入れるように機能する。
【0033】
1つの形態では、導管80の開口83は、燃焼チャネル32の開放端40と流体連通する。1つの形態では、開口83は、入口ポート52を介して開放端40と流体連通する。別の実施形態では、開放端40、または燃焼チャネル32の他の部分を介して導管80の開口83と燃焼チャネル32との間を流体連通させるために、別の方式が用いられてもよい。さらに別の実施形態では、開口83は、例えば排気ポート62である他の機能部と流体連通することができる。1つの形態では、導管80は、燃焼チャネル32の開放端42から流体を送出するように構成される。1つの形態では、流体は、例えば入口ポート52を介して、燃焼チャネル32の開放端40まで送出される。別の実施形態では、流体は他の場所に送出されでもよい。1つの形態では、気体の動態により、入口ポート52にさらされたときの開放端40の上流にある場所よりも高い圧力が開口84の近傍の開放端42に発生し、それによって、開口84に隣接する開放端42にある燃焼チャネル32の内容物を導管80の開口83に向けて送出する原動力が得られる。別の実施形態では、流れを発生させるために別の手段が用いられることがある。いくつかの実施形態では、導管80は、例えば混合物94である流体を開放端40の上流から開放端42まで送出するように構成されてもよい。
【0034】
流体を燃焼チャネル32の開放端42から除去することによって、ガス混合物Rは、開放端42に隣接する燃焼チャネル32の複数の部分から戻って満たす非希釈混合物94に置き換えられる。非希釈混合物94は、点火および燃焼に望ましい燃料/酸化剤比を有し、開放端42からガス混合物Rが除去されると、開放端42に引き込まれる。燃焼システム14の動作中、非希釈混合物は、点火源64を使用して引き続き点火される。1つの形態では、弁88が、導管80に結合されるとともに、開放端42から例えば直接的に、および/または、空洞68を介して引き出される流体の量を制御するように機能する。このような実施形態では、燃焼チャネル32の開放端40に向けて送出される流体の量は、燃焼システム14の動作条件、例えば、出力、入口条件、ウェーブロータ30の回転速度などに基づいて、弁88によって制御することができる。いくつかの実施形態では、弁88は閉じられるように構成されてもよく、それによって、例えば選択された動作条件で、開放端42からの流体移動が阻止される。さらに別の実施形態では、弁88などの弁を使用しなくてもよい。
【0035】
様々な実施形態において、上記機能のうちの1つ以上が、開放端42における混合物の燃料/酸化剤比を高めるために使用され得る。いくつかの実施形態では、上記機能のそれぞれが使用され得る。機能の一部は、いくつかの動作条件で作動され、他の動作条件では非作動にされてもよい。いくつかの実施形態では、すべての動作条件の間、一部の機能が作動したままであってもよい。
【0036】
本発明の諸実施形態はエンジンを含み、このエンジンは、燃焼システムを含む。この燃焼システムは、複数の燃焼チャネルを含む。燃焼チャネルの各々は、燃焼チャネルの第1の開放端と第2の開放端との間で延びる。燃焼システムは、さらに、燃焼チャネルの第1の開放端に隣接して配置された第1の端部構造物であって、第1の開放端が燃料および酸化剤を燃焼チャネルの中に受け入れることが可能なように構成された入口ポートを有する第1の端部構造物と、燃料および酸化剤に点火するように機能する点火源と、燃焼チャネルの第2の開放端に隣接して配置された第2の端部構造物であって、燃焼チャネルから燃焼生成物を排出するように構成された排気ポートを有するとともに、排気ポートと点火源との間に配置された空洞を有する第2の端部構造物と、を含む。この燃焼システムの動作には、燃焼チャネルと第1および第2の端部構造物との間の相対運動が含まれ、相対運動には、燃焼チャネルの第2の開放端と第2の端部構造物との間の相対的移動が含まれ、第2の開放端は排気ポートにさらされ、次に空洞にさらされ、次に点火源にさらされる。
【0037】
改良形態では、エンジンはウェーブロータをさらに備え、複数の燃焼チャネルはウェーブロータ内に配置される。
【0038】
別の改良形態では、第1および第2の端部構造物は固定封止板である。
【0039】
さらに別の改良形態では、空洞は、第2の開放端を介して空洞と、隣接する燃焼チャネルと、の間でのガス混合物交換を促進する寸法である。
【0040】
さらに別の改良形態では、空洞は、少なくとも3つの燃焼チャネルが空洞に同時にさらされるように構成された幅を有する。
【0041】
さらに別の改良形態では、エンジンは、空洞と流体連通する導管をさらに備え、この導管は、空洞から流体を受け入れるように機能する。
【0042】
さらに別の改良形態では、エンジンは、導管に結合された弁であって、空洞から受け入れられる流体の量を制御するように機能する弁をさらに備える。
【0043】
さらに別の改良形態では、導管は、入口ポートとも流体連通するとともに、受け入れられた流体を入口ポートに向けて送出するように機能する。
【0044】
さらに別の改良形態では、エンジンは、第2の端部構造物において第1の燃焼チャネルから流体を受け入れる導管であって、この流体を第1の端部構造物において第2の燃焼チャネルまで送出するように機能する導管をさらに備える。
【0045】
さらに別の改良形態では、エンジンは、第2の端部構造物内に配置された燃料噴射ポートであって、燃焼チャネルの第2の開放端に燃料を供給するように機能する燃料噴射ポートをさらに備える。
【0046】
本発明の諸実施形態は燃焼システムを含み、この燃焼システムは、複数の燃焼チャネルを有するウェーブロータを含む。燃焼チャネルの各々は、第1の開放端および第2の開放端を有する。燃焼システムは、さらに、燃料および酸化剤に点火するように機能する点火源と、燃焼チャネルの第1の開放端に隣接して配置された第1の端部板であって、燃料および酸化剤を燃焼チャネルの中に受け入れるための入口ポートを含む第1の端部板と、点火源を受け入れるように構成され、かつ、燃焼チャネルの第2の開放端に隣接して配置された第2の端部板であって、燃焼生成物を排出するように機能する排気ポートを含む第2の端部板と、第2の開放端において燃焼チャネル内の燃料/酸化剤混合物を改善するための手段であって、第2の端部板に動作可能に配置される、改善するための手段と、を備える。
【0047】
改良形態では、改善するための手段は、流体を第2の開放端から入口ポートまで送出するための手段を含む。
【0048】
別の改良形態では、送出するための手段は、燃焼チャネルの第2の開放端から流体を受け入れるように機能する導管を含む。
【0049】
さらに別の改良形態では、燃焼システムは、第2の開放端からの流体の流量を制御するための手段をさらに備える。
【0050】
さらに別の改良形態では、改善するための手段は、燃料を第2の開放端に供給するように機能する燃料噴射ポートを含む。
【0051】
さらに別の改良形態では、改善するための手段は、燃焼チャネルの第2の開放端と燃料を交換するように機能する空洞を含む。
【0052】
本発明の諸実施形態は燃焼システムを含み、この燃焼システムは、複数の燃焼チャネルを有するウェーブロータを含む。燃焼チャネルの各々は、第1の開放端および第2の開放端を有する。燃焼システムは、さらに、燃焼チャネルの第1の開放端に隣接して配置された第1の端部板であって、燃料および酸化剤を燃焼チャネルの中に受け入れるための入口ポートを含む第1の端部板と、燃焼チャネルの第2の開放端に隣接して配置された第2の端部板であって、燃焼生成物を排出するように機能する排気ポートを含む第2の端部板と、導管であって、当該導管の第1の開口と第2の開口との間で延びる導管と、を備え、第1の開口は、第2の端部板を介して少なくとも1つの第2の開放端と流体連通し、第2の開口は、第1の端部板を介して少なくとも1つの第1の開放端と流体連通し、導管は、少なくとも1つの第2の開放端から少なくとも1つの第1の開放端まで流体を送出するように機能する。
【0053】
改良形態では、導管の第1の開口は、排気ポートと点火源との間で、ウェーブロータの回転方向における排気ポートの下流に配置される。
【0054】
別の改良形態では、第2の端部板は、導管の第1の開口と、少なくとも1つの第2の開放端と、の間で流体連通する空洞を含む。
【0055】
さらに別の改良形態では、空洞は、第2の開放端に隣接する燃焼チャネル内に乱流を誘発するように構成される。
【0056】
さらに別の改良形態では、燃焼システムは、前記空洞に配置されたタービュレータであって、少なくとも1つの第2の開放端に乱流を誘発するように機能するタービュレータをさらに備える。
【0057】
さらに別の改良形態では、燃焼システムは、導管を通る流体の流れを制御するように機能する弁をさらに備える。
【0058】
本発明を、現在最も実際的で好ましい実施形態と考えられるものに関連して説明してきたが、本発明は開示された実施形態(1つまたは複数)に限定されるべきではなく、むしろ添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれる様々な修正形態および等価の構成物を包含するものであり、この範囲は、法の下に許容されるこのようなすべての修正形態および等価の構成物を包含するように、最も広い解釈が許されることを理解されたい。さらに、上記の説明における好ましい(preferable)、好ましくは(preferably)、または好ましい(preferred)という語の使用は、そのように説明された特徴がより望ましい可能性があることを示すとはいえ、その特徴が必ずしも必要ではないこともあり、その特徴を欠いている任意の実施形態も、添付の特許請求の範囲によって範囲が定義される本発明の範囲内のものとして期待され得ることを理解されたい。特許請求の範囲を解釈することにおいて、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「少なくとも1つの(at least one)」、「少なくとも一部分の(at least a portion)」などの語が用いられる場合、特許請求の範囲を1つだけの物に限定する意図のないことが、特にそれとは反対に特許請求の範囲に述べられていない限り、意図されている。さらに、「少なくとも一部分(at least a portion)」および/または「一部分(a portion)」という用語が使用される場合、その物は、特にそれとは反対に特定的に述べられていない限り、物の一部分および/または全体を含み得る。