特許第6006489号(P6006489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6006489
(24)【登録日】2016年9月16日
(45)【発行日】2016年10月12日
(54)【発明の名称】自然エネルギー発電装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F03B 17/06 20060101AFI20160929BHJP
   F03D 3/06 20060101ALI20160929BHJP
   F03D 9/34 20160101ALI20160929BHJP
   F03D 13/20 20160101ALI20160929BHJP
   F03B 7/00 20060101ALI20160929BHJP
   H02S 10/12 20140101ALI20160929BHJP
【FI】
   F03B17/06
   F03D3/06 G
   F03D9/34
   F03D13/20
   F03B7/00
   H02S10/12
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-283025(P2011-283025)
(22)【出願日】2011年12月26日
(65)【公開番号】特開2013-133718(P2013-133718A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】511151075
【氏名又は名称】福埜 慎也
(74)【代理人】
【識別番号】100083127
【弁理士】
【氏名又は名称】恒田 勇
(72)【発明者】
【氏名】福埜 慎也
【審査官】 鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−72753(JP,A)
【文献】 特表2012−506516(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/046767(WO,A2)
【文献】 特開2003−346521(JP,A)
【文献】 実開昭58−064867(JP,U)
【文献】 特開平11−044288(JP,A)
【文献】 特開2006−073378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 1/00 − 17/06
F03D 1/00 − 80/80
H02S 10/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円を囲む少なくとも3本の支柱を主な骨組みとし、自然又は人工の小川を跨いで直立のタワーを組み立て、タワーの上に風力発電の風車を搭載し、タワーの上部の周囲には太陽光発電のソーラーパネルを張設し、さらに、タワーの下端に水力発電の発電機を設置し、この発電機の水車を回転させる水の供給については、該水車が前記小川の水を受けるように設置され、且つ、雨水を貯める幾つもの球形タンクをタワーに積重ね状に内蔵し、複数の球形タンクに通じる水車への給水管を設けたことを特徴とする自然エネルギー発電装置の製造方法。
【請求項2】
風力発電の風車が縦型であって、その回転軸で下端の前記発電機を回転しうるように伝達軸をそれに接続し、発電機を水力発電と共用するように構成したことを特徴とする請求項1記載の自然エネルギー発電装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽光や風力、水力などの自然エネルギーを総合的に利用できるようにした自然エネルギー発電装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭や石油などの化石燃料はやがて枯渇する有限であるため、無限に存在する太陽光や風力、水力などの自然エネルギーの利用が注目され、特に福島原子力発電事故を契機としてその重要性が認識されている。しかし、常に変化する自然が相手となるため安定して利用できない難点があり、これが利用の進展を妨げている。
【0003】
従来、太陽光については、ソーラーパネルが開発され、その技術の進歩はめざましく、企業としての大規模な発電ばかりか家庭の屋根に設置する小規模のものまで広く利用されているが、夜間や雨天での発電ができないし、設置に場所を取るという制約がある。また、風力については天候に左右され、水力については、河川の存在が必要であり、気候的に、場所的にというように自然環境の制約を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自然エネルギーは、無限に存在するだけでなく、原則として、誰にも無償に開放されている非独占的な自由エネルギーであるから、小さな団体や家庭でも利用可能であるが、自前の電気を得るには住居周辺の環境ではその量が気づかない程度に少ないという現実にあり、そのため小さいエネルギーを見つけてこれを如何に利用するか、この問題を解決する必要があった。
【0005】
この発明は、上記のような観点から、身近にあるものとして太陽光と、風力と、水力とを選定したもので、それらを利用する発電装置がコンパクトに合理的に装備され、各装置間が相互に補完するために、自然状況の変化に伴う制約から解放され、家庭や企業などの自家発電を安定して構築し利用できる自然エネルギー発電装置の製造方法を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明は、円を囲む少なくとも3本の支柱を主な骨組みとし、自然又は人工の小川を跨いで直立のタワーを組み立て、タワーの上に風力発電の風車を搭載し、タワーの上部の周囲には太陽光発電のソーラーパネルを張設し、さらに、タワーの下端に水力発電の発電機を設置し、この発電機の水車を回転させる水の供給については、該水車が前記小川の水を受けるように設置され、且つ、雨水を貯める幾つもの球形タンクをタワーに積重ね状に内蔵し、複数の球形タンクに通じる水車への給水管を設けたことを特徴とする自然エネルギー発電装置の製造方法を提供する。
【0007】
自然エネルギー発電装置の製造方法を上記のように構成したから、タワーで高い位置で風車が風を受けやすく、また、ソーラーパネルが太陽光を受けやすい。また、水力発電に雨水が耐圧に優れた球形タンクに貯留され、それがタワーに垂直に設けられるため場所をとらない。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、この発明によれば、身近にあるものとして太陽光と、風力と、水力とを共に選定し、総合的に電力を得ることができ、一般住宅や工場のある場所の片隅にも設置が可能であって、場所を取らないようにタワーにコンパクトに合理的に装備され、各装置間が相互に補完し合って安定して電力を生むので、自然エネルギーの小規模な利用が可能であって、家庭や企業において自前の電力を得るのに貢献し得るという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明による自然エネルギー発電装置を示す正面図である。
図2】この発明による自然エネルギー発電装置を示す側面図である。
図3図2のA−A線矢視の断面図である。
図4】B−B線矢視の断面図である。
図5】C−C線矢視の断面図である。
図6】風車が回転する仕組みを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明は、直立したタワー1に、風力発電装置と、太陽光発電装置と、水力発電装置とを場所を取らないように装備したものである。なお、タワー1やその上端の通風塔13は、金属又はプラスチック等の形材を使用して築造できる。
【0011】
風力発電装置を構成する風車17は、その構造を特に限定するものではないが、縦型であると、回転軸19の動力を下端の発電機35に導入しやすのでそれを水力発電装置と共有しやすい。ただし、風力発電装置について発電機を上端に専用に設けてもよい。また、風車17を支持できる構造であれば通風塔13は必ずしも要しない。
【0012】
余剰の電力は売電され、また、利用者が近所に多数あるときは分電されるが、いずれにしても交流に統一して送電される。また、直流において蓄電されるが、これらの変換などの電気的設備として電気制御盤14を上端に都合よく設置できる。
【0013】
水車34は、スクリュー型、ドラム型などその形式は問わない。また、揚水ポンプを設けておき、余裕のあるときに、小川41などの水を球形タンク37,37、・・に揚水して貯蔵しておくこともできる。また、砂漠などの乾燥地帯では、当初にタンク内を満水にしておけば、以降は、ポンプ等を利用して当初の水を繰返し利用して水力発電を行うことができる。
【実施例1】
【0014】
図面は一実施例を示したもので、その自然エネルギー発電装置の製造方法は、タワー1に、風力発電装置と太陽光発電装置と水力発電装置とが装備される。
【0015】
タワー1は、鉄骨で組んで築造され、場所を取らないように高い垂直のやぐら型であって、正三角の配置の3本の支柱9,9,9を横フレーム11,11、・・で連結された骨組みとなっている。このタワー1の上端には台盤12を設置し、その上に風車17を装備する通風塔13及び電気制御盤14が搭載される。
【0016】
通風塔13は、3本の縦フレーム15,15,15を正三角形の3点位置に配置し、上端を中心に折り曲げて通風可能に組み合わせたもので、この通風塔13の中には縦型の風車17が納まるように、中心に風車17の回転軸19が軸支され、回転軸19の下端にそれにより駆動されるよう発電機35への伝達軸21が設けてある。
【0017】
風車17は、回転軸19を中心に羽根23,23、・・を配列したもので、各羽根23が水平板からなる上下一対の支持部材24、24により回転軸19に一体化され、回転軸19と各支持部材24、24との間には、斜めにワイヤーの吊子25,25が上下対称に介在され、このように風の抵抗が少ない構造で回転軸19に対して羽根23の支持が強化される。
【0018】
各羽根23は、上下長の板状であって回転方向の端に膨大した先頭体30が設けられ、先頭体30が半円形に形成され前面が風の抵抗の少ない曲面になっている。その配置については、先端部が中心からやや離れる傾斜であって(図6)、風下に向かう進行位置(イ)では、その先端に先頭体30が次のように風を受けるようになっている。
【0019】
すなわち、羽根23は、膨大した先頭体30の裏面との間が風圧を受ける段差の風力受31、31となっている。そこで、基本的には、風圧が板状の外面に沿って流れ(矢印Pa)、風力受31が押されることによって風を強く受ける結果、先頭体30の向く回転方向に風車17が回転する。また、回転方向が向い風となる復帰位置(ロ)では、先頭体30の丸い曲面で風を逃し、板状部分でも風が逃げるため(矢印Pb)、風上に向かう抵抗が少ない。
【0020】
次に、太陽光発電装置は、タワー1の上端部に、ソーラーパネル33を張ったもので、効率を重視して、三本の支柱9,9,9を通る円の位置に沿って丸く張るとともに、北側面Nが除かれる。また、ソーラーパネル33を張らないタワー1外面においては、つる草を沿わせることによりグリーンカーテン34が造成され(図1)、これで加熱を防止することによりソーラーパネル33の性能が安定して維持される。
【0021】
水力発電装置は、水に位置エネルギーを付与する高位貯水のための球形タンク37,37、・・と、発電機35を回転する水車34などからなるもので、川の水や降雨,降雪が利用できるようになっている。なお、発電機35は前記のごとく風力発電装置と共用される。
【0022】
タワー1は、正三角形の3点に位置する支柱9,9,9とその間に渡される横フレーム11,11、・・との組合せからなるもので、筋交いが欠如しているが、3本の支柱9,9,9の中に納まるように、球形タンク37,37、・・が下から順に積み込まれ、それぞれ接点部分で支柱9,9,9に結合される。したがって、球形タンク37,37、・・を介して支柱9,9,9どうしが連結されるため、筋交いがなくても骨組みが強化される。また、球形タンク37の直径Dは、横フレーム11で連結される支柱9,9間の間隔Mよりも大きいため(図5)、タワー1から球形タンク37が脱落することは決してない。
【0023】
タワー1の中心には、各球形タンク37,37、・・に通しにして発電機35への給水管39が設けられ、球形タンク37,37、・・の内部の下端で給水管39が開閉可能となっており、発電不足となる危険な時にバルブが自働的に開いて発電量が補充される。
【0024】
タワー1の下には人工の小川41が流れており、そこに、発電機35を駆動するスクリュー型の水車34が設けられる。水車34は、小川の水により回転されるが、球形タンク37,37、・・からの水も上記のごとく使用される。球形タンク37,37、・・は、ボール型の球形であるが、上端には半球状の雨受け37aが、下端には半球状の機械カバー37bが設けられる。
【0025】
タワー1は、民家43(または工場)に隣接して立設され、屋根に降る降雨や積雪に由来する水も利用される。これについては、屋根より低い位置にある2個の球形タンク37,37に屋根からの水が導入されるようになっている。また、民家43の床下は貯水槽45となっており、余裕のある時に蓄電池に蓄えられ電力でタワー1の球形タンク37,37、・・に揚水し、水不足の事態に備えられる。
【符号の説明】
【0026】
1 タワー
9 支柱
13 通風塔
17 風車
21 伝達軸
33 ソーラーパネル
34 水車
35 発電機
37 球形タンク
39 給水管
41 小川
図1
図2
図3
図4
図5
図6