【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、本発明者らは、メルカプト基が含まれたアゾール系化合物を腐食防止剤として用いた、比較的安定した腐食防止及びフォトレジスト剥離剤を開発することにより、上記のような問題の解決を図る。
本発明の目的は、TFT−LCD用剥離液組成物添加剤であるメルカプト基が含まれたアゾール系化合物を腐食防止剤として用いて、水の含有量変化時にもCu及びAlの腐食防止及びフォトレジスト剥離能力を一定に維持する水系フォトレジスト剥離剤を提供することにある。
【0008】
上記の目的を達成するための一具体例で、(a)1級アルカノールアミン1〜20重量%;(b)アルコール10〜60重量%;(c)水0.1〜50重量%;(d)極性有機溶剤5〜50重量%;及び(e)腐食防止剤0.01〜3重量%;を含むLCD製造用フォトレジスト剥離液組成物を提供する。
【0009】
他の具体例で、上記1級アルカノールアミンは、モノエタノールアミン(Monoethanol amine)、モノイソプロパノールアミン(Monoisopropanol amine)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(2-amino-2-methyl-1-propanol)、2−メチルアミノエタノール(2-Methylaminoethanol)及び3−アミノプロパノールアミン(3-Aminopropanol amine)からなる群から選ばれた1種以上であることを特徴とするLCD用フォトレジスト剥離液組成物を提供する。
もう一つの具体例で、上記アルコールは、エチレングリコール(Ethylene Glycol)、1−ヘキサノール(1-Hexanol)、オクタノール(Octanol)、1−ヘプタノール(1-Heptanol)、1−デカノール(1-Decanol)、2−ヘプタノール(2-Heptanol)及びテトラヒドロフルフリルアルコール(Tetrahydrofurfurylalcohol)からなる群から選ばれた1種以上であることを特徴とするLCD用フォトレジスト剥離液組成物を提供する。
【0010】
もう一つの具体例で、上記腐食防止剤は、C
5−C
10ヘテロ環式化合物であり、環を構成する炭素が、N、O及びSからなる群から選ばれた一つ以上の原子で置換されてなり、該ヘテロ環の炭素原子にメルカプト基が置換されていることを特徴とするLCD製造用フォトレジスト剥離液組成物を提供する。
【0011】
もう一つの具体例で、上記ヘテロ環式化合物は、イミダゾールであることを特徴とするLCD製造用フォトレジスト剥離液組成物を提供する。
もう一つの具体例で、上記腐食防止剤は、2−メルカプトベンズイミダゾール(2-Mercaptobenzimidazole)、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジゾール(2,5-Dimercapto-1,3,4-thiadizole)及び2−メルカプトベンゾチアゾール(2-Mercaptobenzothiazole)からなる群から選ばれた1種以上であることを特徴とするLCD製造用フォトレジスト剥離液組成物を提供する。
【0012】
もう一つの具体例で、上記極性有機溶剤は、R-O(CH
2CH
2O)Hの化学式(ここで、上記Rは、線状炭化水素、分岐炭化水素又は環状炭化水素のうちの何れか一つである)を有するグリコールを含有するLCD製造用フォトレジスト剥離液組成物を提供する。
【0013】
もう一つの具体例で、上記極性有機溶剤は、N−メチルピロリドン(N-methylpyrollidone,NMP)、スルホラン(Sulfolane)、ジメチルスルホキシド(Dimethylsulfoxide,DMSO)、ジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide,DMAC)及びモノメチルホルムアミド(Monomethylformamide)からなる群から選ばれた1種以上であることを特徴とするLCD製造用フォトレジスト剥離液組成物を提供する。
【0014】
一具体例で、(a)1級アルカノールアミン1〜20重量%;(b)アルコール10〜60重量%;及び(c)極性有機溶剤5〜70重量%;を含むLCD製造用フォトレジスト剥離液組成物を提供する。
他の具体例で、上記1級アルカノールアミンは、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(2-amino-2-methyl-1-propanol)であることを特徴とするLCD製造用フォトレジスト剥離液組成物を提供する。
【0015】
もう一つの具体例で、上記アルコールは、エチレングリコール(Ethylene Glycol)、1−ヘキサノール(1-Hexanol)、オクタノール(Octanol)、1−ヘプタノール(1-Heptanol)、1−デカノール(1-Decanol)、2−ヘプタノール(2-Heptanol)及びテトラヒドロフルフリルアルコール(Tetrahydrofurfurylalcohol)からなる群から選ばれた1種以上であることを特徴とするLCD用フォトレジスト剥離液組成を提供する。
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、本発明によるフォトレジスト剥離液の構成要素は、メルカプト基が含まれたアゾール系化合物を腐食防止剤として0.01〜3重量%使用する。腐食防止剤の重量比が低すぎる場合は、金属配線膜に対する腐食防止効果がほとんど現れず、特に、腐食防止剤の含有量が低い場合、水の量が減るほど腐食防止効果の減少が著しい。腐食防止剤の重量比が高すぎる場合は、フォトレジスト剥離能力が弱くなる。本発明による組成物において腐食防止剤を3重量%使用する場合、腐食防止及び剥離能力に異常がないことを確認した。尚、腐食防止剤は高価なため、必要以上の量を投入する必要はない。
【0017】
また、LCDパターン成分要素であるMo、Al及びCuなどの腐食防止能力を一層向上させるために、その他の腐食防止剤を添加できる。そして、pH11(10%水溶液基準)以上である1,2級アルカノールアミン(例:モノエタノールアミン(Monoethanolamine, MEA)、モノイソプロパノールアミン(Monoisopropanolamine, MIPA)、2−メチルアミノエタノール(2-Methylaminoethanol, 2-MAE)、ジエチルエタノールアミン(Diethylethanolamine、DEEOA)及びMDEA,MDMA,DEEOA混合液)の含有量は、1〜20重量%でありうる。水の含有量は0.1〜50重量%、アルコール(例;エチレングリコール(Ethylene Glycol, EG, 沸点:197.7℃)の含有量は10〜60重量%でありうる。極性有機溶剤としては、N−メチルピロリドン(N-methylpyrollidone, NMP)、ジメチルスルホキシド(Dimethylsulfoxide, DMSO)、ジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide, DMAC)及びN−メチルホルムアミド(N-Methylformamide, NMF)等を5〜50重量%単独又は混合使用することができる。
【0018】
また、剥離後における洗浄力の向上のために、グリコール類は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Diethyleneglycolmonoethylether, EDG)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(Diethyleneglycolmonobutylether、BDG)、トリエチレングリコールエーテル(Triethyleneglycolether, TEG)等を20%〜60%単独又は混合使用することができる。重量比は5〜50重量%が適当で、少なすぎる場合は硬化したフォトレジストを十分に溶解できず、逆に多すぎる場合は価格が高くなるという短所がある。
【0019】
剥離液に対する、pH11以上で沸点が150℃以上である1級アルカノールアミンの重量比は1〜20重量%が適当で、1重量%未満である場合は、変性フォトレジスト剥離力に問題が生じ、工程進行に伴う損失により剥離力に問題が生じる。20重量%超過の場合は、腐食防止剤が相対的に追加投入されなければならず、金属配線膜が腐食する恐れがあり、製造コストの上昇を招く。水の含有量は0.1〜50重量%、アルコール(沸点:150℃以上、(例;エチレングリコール(Ethylene Glycol, EG, 沸点:197.7℃)、テトラヒドロフルフリルアルコール(Tetrahydrofurfurylalcohol, THFA, 沸点:178℃)など)の含有量は10〜60重量%が適当で、比率が少なすぎる場合、Cu配線膜の腐食防止能力が低下する恐れがある。
【0020】
また、水の比率が高すぎる場合、Al金属配線が腐食する恐れがあり、フォトレジスト剥離効果が低下する。アルコールを添加しない場合、腐食防止及び剥離能力には影響を与えないが、剥離工程進行時、工程温度(40℃以上)と装備内の排気圧により水が揮発されて剥離液の寿命が短縮される。従って、LCDフォトレジスト剥離工程進行時、剥離液の使用時間に応じて適当量のアルコールを混合して使用すればよい。
【0021】
本発明によるフォトレジスト剥離液組成物は、水を含む水系である。水を含む水系剥離液は、有機系剥離液に比べてアミンの塩基度が一層活性化される。従って、フラットパネルディスプレイの製造工程において、乾式エッチング、インプラント及びハードベーク工程進行後に残っている変性フォトレジストに対する除去能力が、一般的に使用されている有機系LCD用剥離液に比べて、低い工程温度を適用しても遥かに優れている。低い工程温度の適用は、フラットパネルディスプレイの製造原価節減を可能にする。また、本発明による剥離液組成物は、最適の腐食防止剤を用いていることからアルミニウム配線と銅配線のどちらにも適用可能であり、有機膜及びCOA工程に導入できる。
【0022】
また、グリコール類を一つ又は二つ以上混合してフォトレジストの剥離を効果的に補助できる。グリコール類は、溶解されたフォトレジストを剥離剤に広く行き渡らせる役割を果たして、迅速な除去に有用である。上述のグリコールの場合、構造がR-O(CH
2CH
2O)Hであり、ここで‘R'は、線状炭化水素、分岐炭化水素及び環状炭化水素のうちの何れか一つを示す。
【0023】
更に具体的には、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(Diethyleneglycolmonomethylether, MDG)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Diethyleneglycolmonoethylether, EDG)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(Diethyleneglycolmonobutylether, BDG)及びトリエチレングリコールエーテル(Triethyleneglycolether, TEG)等を使用することができる。
【0024】
全体組成に対するグリコール類の重量比は10〜70重量%が適当で、上述のR-O(CH
2CH
2O)Hに該当するもののうち一つ又は二つ以上を混合して使用することができる。
一方、1級の強塩基性アルカノールアミンでも立体障害のある2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(2-amino-2-methyl-1-propanol, 以下“AMP”という)は、水なしでアルコール類だけ添加した有機系組成において腐食防止剤を使用せずに、変性されたフォトレジストを完全に剥離すると共に、Al及びCu配線の腐食を防止できる。
【0025】
AMPは、1級アミンであるため、水とは下記反応式(1)によりOH
−を生成して金属配線膜を腐食させる。水がない場合、アミンと金属との腐食反応は下記反応式(2)の通りである。この時、AMPは、1級アミンではあるが、下記反応式(2)のRグループが非常に大きいことから立体障害が生じて腐食反応を抑制する。一方、AMPは、1級の強塩基性アミンであるため、変性されたフォトレジストの剥離に有利である。
【0026】
(1)水溶液状態におけるアミンと銅との腐食反応
RNH
2 + H
2O → RNH
3+ + OH
-
Cu
2+ + 2OH
- → Cu(OH)
2(s)
Cu(OH)
2(s) + 4RNH
3+ → [Cu(RNH
2)
4]
(2)有機溶液状態におけるアミンと銅との腐食反応
Cu
2+ + 4RNH
2 → Cu(RNH
2)
42
【0027】
よって、本発明は、TFT−LCDフォトレジスト剥離工程時、銅及びアルミニウム配線に対し、水が含まれているにもかかわらず腐食防止及び剥離能力に卓越し、工程進行後の変性フォトレジストに対する除去能力にも優れ、既存発明の長所を維持したまま短所は克服したフォトレジスト剥離組成物を提供できる。
【0028】
本発明によるフォトレジスト剥離剤は、半導体又はフラットパネルディスプレイの製造工程において、工程進行後の変性フォトレジストに対する除去能力に優れ、アルミニウム配線と銅配線のどちらにも適用可能であり、有機膜及びCOA工程に導入でき、沸点が150℃以上のアルコール類及び水と混合して使用すれば、腐食防止能力が向上し使用時間を増大させることができる。