特許第6006746号(P6006746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6006746
(24)【登録日】2016年9月16日
(45)【発行日】2016年10月12日
(54)【発明の名称】フライヤ
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/12 20060101AFI20160929BHJP
【FI】
   A47J37/12 321
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-100511(P2014-100511)
(22)【出願日】2014年5月14日
(65)【公開番号】特開2015-216963(P2015-216963A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2015年5月11日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)第14回厨房設備機器展、平成26年2月18日〜21日開催 (2)Food & Hotel Asia 2014、平成26年4月8日〜11日開催
(73)【特許権者】
【識別番号】000130307
【氏名又は名称】株式会社コメットカトウ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 愛一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴久
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−232920(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0192938(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/10 − 37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油槽と、
前記油槽の油内に浸漬するように配設され、内部に燃焼ガスを通す浸管とを備え、
前記浸管の断面形状は、上部が弧状で、下部が直線形状であり、かつ横方向に長い形状であるフライヤであって、
前記浸管の断面形状は、横方向に離れて位置する2点を中心とした2円を、上部側は円弧で接続し、下部側は直線で接続した長円型であるフライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理に使用する調理油の油量を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス式のフライヤは、例えば、下記特許文献1に開示されるように、油槽内の浸管に燃焼ガスを流して、調理油を加熱する構造になっている。そして、浸管の断面形状は、円形以外に、縦長な長円形状がある。長円形状にするメリットは、放熱面積(表面積)が同じであれば、断面積が小さいほど、燃焼ガスが、管表面の近くを通り易くなり、燃焼効率が高くなるためである。また、縦長にするメリットは、浸管同士の隙間が広くなることから、油槽の下部を清掃する場合に、手が入り易くなり、メンテナンス性が高いからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−360448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図7に示すように、油槽1内は、フライカス等の汚れを溜めるストックゾーンAと、加熱用の浸管3が配置される加熱ゾーンB、調理ゾーンCに分かれている。調理ゾーンCの容量を変えずに、使用する油量を減らすには、加熱ゾーンBの容積を小さくする必要があり、対策が求められていた。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、加熱ゾーンの容積を小さくして、使用する油量を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示するフライヤは、油槽と、前記油槽の油内に浸漬するように配設され、内部に燃焼ガスを通す浸管とを備え、前記浸管の断面形状は、上部が弧状で、下部が直線形状であり、かつ横方向に長い形状である。尚、「横方向に長い」とは、縦方向の寸法に比べて、横方向の寸法が大きいことを意味する。
【0007】
この構成では、浸管の断面形状が横方向に長い形状である。そのため、加熱ゾーンが縦方向で短くなり、容量が小さくなる。そのため、使用する油量を抑えることが出来る。また、上部が弧状であるため、食材のフライカスが、浸管上部に溜まらない。
【0008】
上記フライヤの実施形態として、以下の構成が好ましい。
前記浸管の断面形状は、横方向に離れて位置する2点を中心とした2円を、上部側は円弧で接続し、下部側は直線で接続した長円型である。長円型であれば、円形状の丸管をプレス加工することで製造可能であり、製造コストを抑えられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、加熱ゾーンの容積を小さくして、使用する油量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るフライヤの斜視図
図2】フライヤの中央断面図
図3】浸管の斜視図
図4】浸管の断面図
図5】フライヤの垂直断面図(図1のA−A線断面図)
図6】他の実施形態に係る浸管の断面図
図7】従来フライヤの垂直断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<一実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図5によって説明する。
図1はフライヤ10の斜視図、図2はフライヤ10の垂直断面図である。図1図2に示すように、フライヤ10は、食材を高温の調理油Uで揚げて調理する調理器であり、筐体20と、調理油Uを貯留する油漕30と、複数本の浸管40と、バーナ50と、燃焼室60とを備える。尚、図1のX方向が横方向であり、図1のY方向が縦方向である。また、図4のLxはX方向(横方向)の中心線、LyはY方向(縦方向)の中心線である。
【0012】
筐体20は、金属製であって、上面が開口するボックス型であり、下部の4隅には支持脚21が設けられている。油槽30は、金属製であって、上面が開口する平面方型であり、筐体20の内部に収容されている。油漕30の底面は、前側が傾斜面となっていて、前側から後方に向かうに連れ、油槽30は深くなっている。
【0013】
また、油槽30の底面壁には、下端にバルブを備えた排油管(図略)が設けられており、バルブを開閉することで、油槽30内の調理油Uを排出できる構造となっている。また、油槽30の後部には排気ダクト37が設けられている。そして、筐体20の前部側であって、油槽30の下方には、燃焼室60が配置されており、更にその下側にバーナ50が配置されている。
【0014】
浸管40は、図3に示すように、金属製(一例としてステンレス製)であって筒状をなす。浸管40は、油槽30に対して、軸線を前後方向に向けて、調理油内に浸漬するように配設されている。浸管40は3本設けられている。各浸管40は、筐体20の幅方向(X方向)に間隔を空けて配置(本例では、等間隔で配置)されている。また、縦方向(Y方向)では、同じ高さに配置されており、油槽30の中央よりもやや下側に配置されている。
【0015】
そして、各浸管40の前端部は、油槽30を前面壁を貫通しつつ、燃焼室60に連通している。また、各浸管40の後端部は、油槽30を後面壁を貫通しつつ、排気ダクト37に連通している。以上のように構成されたフライヤ10は、バーナ50を点火し、燃焼室60内にて燃料ガスを燃焼すると、燃焼ガスが発生し、その燃焼ガスを浸管40に通して熱交換することにより、油槽30内の調理油Uを加熱する構造になっている。
【0016】
また、図4に示すように、浸管40の断面形状は、縦方向の寸法Dyよりも、横方向の寸法Dxの方が大きく、全体として横長な形状となっている。具体的に説明すると、浸管40の断面形状は、原点Oから等距離にある中心線Lx上の2点P1、P2を中心とし、同じ大きさの2つの円R1、R2を、上部側は円弧R3で接続し、下部側は直線Sで接続した長円型になっている。尚、円弧R3は2円R1、R2に接する円弧、直線Sは2円R1、R2に接する直線である。また、中心線Ly上の点P3は円弧R3の中心点である。
【0017】
浸管40の断面形状を、横長な形状にすることで、浸管40を配置するスペースが縦方向で小さくなる。そのため、縦長な形状と比べて、浸管40が配置される加熱ゾーンBの容積を減らすことが出来る。従って、調理ゾーンCの容量を変えずに、使用する調理油Uの油量を減らすことが可能となる。尚、図5に示す符号「C」は、油槽30の調理ゾーンを示している。また、符号「B」は加熱ゾーン、符号「A」はフライカス等の汚れを溜めるストックゾーンAを示している。
【0018】
また、特に、浸管40の上部を円弧形状にすることで、食材のフライカスが、円弧面に沿って下方のストックゾーンAに落ち、浸管上部に溜まらない。そのため、フライカスが調理ゾーンC内に浮遊して、食材表面に付着することを防止出来るので、調理品質を維持できる。また、浸管40の下部を直線形状にすることで、浸管40の縦方向の寸法が小さくなるため、使用する調理油Uの油量を一層、減らすことが可能である。
【0019】
また、浸管40は、長円型であるため、市販の丸管(断面形状が円形の管)をプレス加工することにより成形できる。そのため、製造に溶接工程を必要とする場合に比べて、製造コストを下げることが可能である。
【0020】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0021】
(1)上記実施形態では、断面形状が長円型の浸管40を例示した。浸管40の断面形状は、上部が弧状で、下部が直線形状であり、かつ横方向に長い形状であればよく、長円型以外の形状であってもよい。例えば、図6に示す浸管140のように、上部が円弧形状をしたドーム型の断面形状であってもよい。
【符号の説明】
【0022】
10...フライヤ
20...筐体
30...油槽
40...浸管
50...バーナ
60...燃焼室
U...調理油
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7