特許第6006871号(P6006871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6006871
(24)【登録日】2016年9月16日
(45)【発行日】2016年10月12日
(54)【発明の名称】水中カメラハウジング
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/08 20060101AFI20160929BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20160929BHJP
【FI】
   G03B17/08
   H04N5/225 E
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-519333(P2015-519333)
(86)(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公表番号】特表2015-522848(P2015-522848A)
(43)【公表日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】GB2013051674
(87)【国際公開番号】WO2014001785
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2015年5月18日
(31)【優先権主張番号】61/664,441
(32)【優先日】2012年6月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509268934
【氏名又は名称】ノーティカム・インターナショナル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nauticam International Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】ユック・シン・ライ
【審査官】 小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−252279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/08
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中カメラハウジングであって、ボディー(2)と、ボディー(2)に装着されたハンドル(3)と、ボディー(2)に置かれユーザーによる使用のためにアクセス可能であるパッド(19)で、その周囲のいずれのポイントでもユーザーによって押されることが可能であるパッド(19)と、使用しているカメラのマルチセレクターコントロールに隣接したあるいは接した位置とパッド(19)との間で、ボディー(2)に装着されたリンク(20,50)であって、パッド(19)を押すことによって選択されたカメラコントロールが操作可能であるリンク(20,50)と、を有し、
各リンクは、
ボディー(2)に装着されパッド(19)からのインプット力を受け取るように位置決めされた第1レバー(206)と、
ボディー(2)に装着され第1レバー(206)からのインプット力を受け取り、使用している選択されたカメラコントロールに力を提供するように位置決めされた第2レバー(207)とを含む、
水中カメラハウジング。
【請求項2】
第2レバー(207)は、出力点(210)を有し、第1レバー(206)及び第2レバー(207)は、第2レバー(207)の出力点(210)の移動距離がパッド(19)の移動よりも大きいように装着されることを特徴とする、請求項1に記載の水中カメラハウジング。
【請求項3】
リンク(20、50)は、8点までのどこでもパッド(19)を押すことによりカメラコントロールが作動可能であるように位置決めされることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水中カメラハウジング。
【請求項4】
パッド(19)は円形であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の水中カメラハウジング。
【請求項5】
パッド(19)は、ボディー(2)に関して外面部品(25)と内部部品(27)とを有し、パッド(19)の外面部品(25)は、2つのピン(40)を有し、これらのピンはパッドの直径を通り抜け、第1回転軸を提供するピンの軸に沿って回転自在であり、内部部品(27)は、第2回転軸を提供する別の2つのピン(34)によってパッド(19)を取り付けるさらなる部品を有し、2つの回転軸は、使用しているパッド(19)が自在継手を形成するように互いに直交することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の水中カメラハウジング。
【請求項6】
4つのシャフト(20)は、ボディー(2)の壁を通り抜けて設けられ、上、下、左、右のポイントでパッド(19)に隣接する一端を有して配置され、パッド(19)が押されたときに作動されることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の水中カメラハウジング。
【請求項7】
第2レバー(207)は、その遠位端にキャップ(210)を有し、そのキャップ(210)は、使用しているハウジング内のカメラのマルチセレクターと係合することを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の水中カメラハウジング。
【請求項8】
上記キャップ(210)は、プラスチック材料で形成されることを特徴とする、請求項7に記載の水中カメラハウジング
【請求項9】
第1レバー(206)は、パッド(19)の移動を第1レバー(206)における選択されたポイントに伝達し、第1レバー(206)における選択されたポイント(209)は、第2レバー(207)へのインプットの位置であることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の水中カメラハウジング。
【請求項10】
第2レバー(207)は、キャップ(19)のアウトプット垂直移動を拡大するような第3種てこであることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の水中カメラハウジング。
【請求項11】
第1レバー(206)と第2レバー(207)との間の接点は調節可能であることを特徴とする、請求項10に記載の水中カメラハウジング。
【請求項12】
マルチセレクターを有するカメラを装着し、第2レバー(207)の端は、カメラのマルチセレクターに隣接してあるいは接して位置決めされることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の水中カメラハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防水ハウジングの内部に収納されたカメラの「マルチセレクター」あるいは「マルチコントローラー」を外部的に作動させる方法に関し、より詳しくはメカニズムの設計に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラのマルチセレクターは、ナビゲーションツールとして働く、通常、円形のパッドあるいはボタン群の形態である。マルチセレクターは、ユーザーがカメラメニューを探し指示すること、フォーカスポイントを移動すること、再生モードにおいてズームされた画像をブラウズすること、及び他の機能を行なうことを可能にする。マルチセレクターは、通常、上、下、左、右の方向をコントロールするための5個のボタン、及び、ボタンの中央に配置され、選択を確認するための通常「OK」あるいは「SET」と付されたボタンから構成される。また幾つかのカメラは、検索指示向上のため対角線の動作を提供してもよい。マルチセレクターは、通常、ユーザーがカメラを保持しながら右親指でそれに達することができるところに人間工学的に設置されている。
【0003】
水中写真では、ユーザーがハウジングの外部からカメラの重要な機能にアクセス可能にすると共に、水の進入からカメラを保護するために防水ハウジングが使用される。ハウジングの外側コントロールは、通常、押しボタン及びレバーの形態である。即ち、これらのコントロールとカメラとの間のリンクは、通常機械的である。
【0004】
デジタル一眼レフ(DSLR)カメラ用のハウジングは、通常、サイズが大きく、ハウジング自身のボディーを保持するユーザーよりもむしろ大きい。ハウジングは、ハンドルと共に使用されるようにしばしば設計される。水中写真では、環境は急速に変化し、及び被写体は、しばしば、通常にではないとしても、よりさらに速く移動する。速い水中環境変化において焦点を合わせたユーザーの最初の注意が持続するように、何人かの水中カメラマンは、ファインダーから目を外すことなくカメラ設定を変更することを好む。理想的なハウジングは、ユーザーがハンドルから彼らの手を外さずにコントロールに達することができる位置に人間工学的に設置されたコントロールを有するだろう。
【0005】
図1は、水中カメラハウジングの外部からマルチセレクターにアクセスするための従来方法を示す。ハウジングは、ハウジングに使用している本質的に垂直に整列したダイレクトな押しボタンを有する。ハウジング内への水の進入を防ぐためにO−リングが設けられている。シャフトの端におけるプラスチックキャップがカメラへの接点であるとともに、ハウジングにおけるメカニズムの位置決め補助としてe−クリップが設けられる。押された後、及びハウジングの深さ比によって特定される程度まで外圧下でさらされたとき、押しボタンが常に元の位置へ戻るようにバネが設けられている。
【0006】
しかしながら、ハウジングのサイズが大きいため、ハウジングの裏面に設置されたマルチセレクターへのアクセス用にダイレクトな押しボタンが使用される場合、ハンドルから手を外さずにユーザーがハウジングにおける押しボタン群に容易に到達できないかもしれない。また、押しボタンの群がコンパクトに接近して配置されているので、ボタンのうちの1つを押しながら、偶然に他のものを押すことがありえる。即ち、マルチセレクターの中心ボタンを押すとき、特にこれが生じる。ユーザーが手袋を着用しているときには、この困難さが増す。
【0007】
図2は、上述の問題に取り組むように改良された方法を示す。この構成では、押しボタンは、ハウジングの端の近くに移転され、よって親指により接近している。この構成は、押しボタンの移動を所望位置へ伝送するために、平らな金属棒のような剛性のあるリンクを使用する。図3は、この構成において、どのように押しボタンが金属棒の一端付近に接続されるか、及び、金属棒の一端には金属棒用のガイドとして働くロッドがあり、金属棒の他端にはプラスチックキャップが取り付けられカメラのマルチセレクターと係合することを示している。
【0008】
この一つの金属棒接続の主な制限は、ロッドのガイドシステムにおいてクリアランスが存在するため、プラスチックキャップの結果として生じる垂直方向の移動、これはカメラのボタンを作動させる、は、しばしば、押しボタンの移動量よりも小さいということである。このことは、押しボタンが押されたときのクリアランスの影響を示す図3A及び図3Bに示されている。さらにこの構成は、基礎的な4つの方向のみ、つまり上、下、左、右に制限され、対角線の動きにおけるコントロールを欠く。
【発明の概要】
【0009】
この発明は、既知の技術の幾つかの欠点及び制限を改善する、あるいは少なくとも公衆に有用な選択を提供する、水中カメラハウジング用の水中カメラハウジングの内側あるいは外面における操作メカニズムを提供することを目的とする。
【0010】
またさらに、この発明は、カメラが中で用いられる水中用ハウジングの外側から水中カメラのマルチセレクターの実質的に全機能へのアクセスを可能にする水中カメラハウジングの内側あるいは外面における操作メカニズムを提供することを目的とする。
【0011】
さらにまた、この発明は、対角線の動きを含む使用しているカメラが収納された水中用ハウジングの外側から水中カメラのマルチセレクターの実質的に全機能へのアクセスを可能にする構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって一つの態様において、この発明は、ボディーと、このボディーに装着されたハンドルと、ユーザーによる使用のためにアクセス可能であるようにボディーに設置され周囲のどの点でもユーザーによって押すことができるパッドと、パッドを押すことによって選択されたカメラコントロールが動作可能なように、使用しているカメラのマルチセレクターコントロールに隣接あるいは接触する位置とパッドとの間でボディーに装着されたリンクと、を有する水中カメラハウジングであって、各リンクは、ボディーに装着されパッドからのインプット力を受け取るように位置決めされた第1レバーと、第1レバーからのインプット力を受け取り、かつ使用している選択されたカメラコントロールに力を提供するように位置決めされボディーに装着される第2レバーと、を含むことを特徴とする水中カメラハウジングに存する。
【0013】
好ましくは、第2レバーは出力点を有し、第1及び第2のレバーは、第2レバーの出力点が移動する距離がパッドの移動よりも大きいように装着される。
【0014】
このことは、シャフトのガイドシステムにクリアランスが存在する場合でさえ、キャップの結果として生じる垂直方向の移動がカメラマルチセレクターに達するのに十分であることを保証することができる。
【0015】
好ましくは、リンクは、8点までのいずれでもパッドを押すことによってカメラコントロールが作動可能にされるように位置決めされる。
【0016】
好ましくは、パッドは円形である。
【0017】
好ましくは、パッドはボディーに関して外面部品及び内部部品を有し、パッドの外面部品は、その直径を通り貫通して、第1回転軸を提供するピンの軸に沿って自由に回転する2つのピンを有し、内部部品は、第2回転軸を提供する別の2つのピンによってパッドを装着する更なる部品を有し、2つの回転軸は、使用している(in use)パッドが自在継手を形成するように互いに垂直である。
【0018】
好ましくは、4つのシャフトは、ボディーの壁を貫通して設けられ、上、下、左、右の点でパッドに隣接する一端を有して配置され、パッドが押されたときに作動される。
【0019】
好ましくは、第2レバーは、その遠位端にキャップを有し、そのキャップは、使用しているハウジング内でカメラのマルチセレクターに係合する。
【0020】
好ましくは、キャップはプラスチック材料で形成される。
【0021】
好ましくは、第1レバーにおける選択されたポイントへのパッドの移動、つまり第1レバーにおける選択されたポイントは、第2レバーへのインプット位置である。
【0022】
好ましくは、第2レバーは、第3種てこ(lever of the third class)であり、キャップのアウトプット垂直移動を拡大する。
【0023】
好ましくは、第1レバーと第2レバーとの間の接点は調節可能であり、その結果、必要な垂直移動量が困難である他の状況にこの発明を組み込むことが可能である。
【0024】
好ましくは、複合レバーシステムは、シャフトとキャップとの間に設けられる。
【0025】
複合レバーでは、1つのレバーからのアウトプットは、システムにおける次のレバー用のインプットになる。
【0026】
好ましくは、この発明の第1(上部)レバーは、円形のパッドの移動を棒上の規定されたポイントに伝送する。つまりこれは、第2レバーのインプットになる。
【0027】
円形のパッドをできるだけハウジング端の近くに置くことが望ましいことから、移動の拡大を達成するために支点をシャフトからかなり離れて置くことが必要となるので単一のレバー構成は望ましくない。
【0028】
さらなる態様では、この発明は、今までの段落の記載によるハウジングに存し、ハウジングは中に装着されるカメラを有し、カメラはマルチセレクターを有し、第2レバーの端はカメラのマルチセレクターに隣接してあるいは接触して位置決めされることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、水中用ハウジングに収納されたカメラのマルチセレクターをコントロールする従来の方法の図である。
図2図2は、押しボタンの移転による水中用ハウジングに収納されたカメラのマルチセレクターをコントロールする別の従来の方法の図である。
図3図3は、既存の水中カメラハウジングにおいて押しボタンを移転させるメカニズムを示す詳細な図である。
図3A図3Aは、図3の構成において押しボタン(押されていない)を移転させるメカニズムの断面図である。
図3B図3Bは、図3(押された)に示されるような押しボタンを移転させるメカニズムの断面図である。
図4図4は、水中用ハウジングに収納されたカメラのマルチセレクターをコントロールするように使用される本発明の図である。
図5図5は、図4の発明において使用される、円形のパッド及び複合レバーシステムの等角図である。
図6図6は、図4に示されるような発明による、円形のパッド及び複合レバーシステムの分解等角図である。
図7図7は、図4に示されるような発明の実施形態において使用される円形のパッドの分解図である。
図8図8は、図7に示されるような円形のパッドの底部分解図である。
図9図9は、この発明の好ましい形態の複合レバーシステムの等角図である。
図10図10は、この発明の好ましい形態の複合レバーシステムの分解等角図である。
図11図11は、この発明の好ましい形態において使用可能な複合レバーの図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
この発明は、添付の図面を参照して例示のみによって記述されるであろう。
以下の記述は、この発明、即ち操作メカニズム及び/又は水中カメラハウジング、の好ましい実施形態に関する発明を説明するだろう。この発明は、それらが単に発明を例示するだけであるとともに、決してこれらの好ましい実施形態に制限されるものではなく、また、この発明の範囲から外れることなく、その可能な変更及び変形例は容易に明白であろう。
【0031】
図4は、本発明の例示を示す。水中カメラハウジング1、これは使用時においてカメラを受け入れることができる、が設けられる。ハウジング1はボディー2を有し、ボディー2は、図4に示すように、通常、ボディー2の各側部に一つのハンドル3を有する。パッド、好ましくは円形のパッド19が設けられ、パッド19はハウジングの外部からアクセス可能であり、ハウジング1のユーザーによって使用可能である。カメラは示されていないが、ハウジング1の内部は、カメラを装着する典型的な水中カメラハウジングのもののような装着装置を有する。典型的には、ハンドル3の外側はボディー2の端から70から75mmである。したがって、円形のパッド19がボディー2の端の近くに置かれる場合には、ハウジング1のユーザーは、円形のパッド19へ容易に到達することができる。
【0032】
使用するときにはリンクの遠位端がハウジング内に位置決めされたカメラのマルチセレクターに隣接するであろうハウジング1内の位置とパッド19との間にリンクが設けられる。リンクは、円形のパッド19及び複合レバーシステム50の等角図である図5に示されている。パッド19の下に4つのシャフト20が置かれている。4つのシャフト20は、ハウジングの壁を貫通し、円形のパッド19が押されたときに作動される。パッド19の基本的な4つの方向、つまり上、下、左、右の方向の内の1つを押すことによって、それぞれのシャフト20、その結果、複合レバー(以下に説明する)のセットが作動される。即ち、パッドの4つの対角線を押すことによって、2つの隣接するシャフト及び複合レバーが作動される。シャフト20は、ヘッド21と、ヘッド21から外側に延在するロッド22と、ロッド22に移動可能に装着された止め具23と、止め具23とヘッド21との間のバネ24とを備える。
【0033】
図6は、図5に示される構成の分解図である。したがって、本発明は2つの部分、対角線コントロールを提供する円形のパッド19、及び移転(relocation)用でアウトプット垂直距離を拡大する複合レバーシステム50、に分割することができる。
【0034】
円形のパッドの分解図を図7に示す。円形のパッド19は、3つの主要部品から成る。
第1にアウターパッド25、第2にコネクターリング26、第3にベース27である。ベース27は、図8に示される4つのねじ28によってハウジングに固定される。
【0035】
水の進入を防ぐためにO−リング30が置かれる溝29がベース27の下側に設けられる(図8を参照)。カメラの上、下、左、右のコントロールを作動させる4つのシャフト20が位置決めされる4つのスロットつまり切欠き31がベース27にある。ベース27の中心には、「OK」の機能をコントロールする押しボタン33(図5)の下方に延在するさらなるシャフト39が位置決めされる穴32が設けられる。シャフト39は、シャフト22と同じ方法でバネ付勢される。
【0036】
ベース27は、ベース27における穴35及びコネクターリング26における穴36を貫通する2つのピン34(図8を参照)によってコネクターリング26に接続される。穴36の出口直径は、ピン34の直径より小さく、穴35を有する直立部(upstand)38の反対側におけるカバー37によって、ピン34は所定位置に保持される。直立部38は、アウターパッド25の方へベース27から外側に延在し、コネクターリング26は、直立部38の間に位置決めされるような寸法に形作られる。ピン34は、接続リング(2)を軸(A)に沿って回転可能にする軸(A)を提供する。したがって、自在継手が構成される。
【0037】
コネクターリング26は、コネクターリング26における穴41,42を貫通する別の2つのピン40によってアウターパッドに接続される。ピン40、アウターパッド25及びコネクターリング26を所定位置に保持するために、C−クリップ43がピン40に取り付けられる。図7から見ることができるように、C−クリップ43はピン40の実質的に中央に位置する。このことは軸(A)に垂直な軸(B)に帰着し、及びアウターパッド25が軸(B)に沿って回転可能なことに帰着する。
【0038】
したがって、アウターパッド25は、軸(A)及び軸(B)を中心に回転可能である。2つの軸(A)、(B)は、互いに独立しているので、これは、全ての方向における移動に帰着する。アウターパッド25の中央における穴43及びコネクターリング26における穴44は、カメラの「OK」の機能をコントロールする押しボタンがアウターパッド25及びコネクターリング26を通り抜けることを再び可能にする。
【0039】
図8は円形のパッドの下からの底部分解図であり、ベース27におけるねじ穴46へ入るねじ28が通る丸い突出部(lobes)45を有する「O」リング32を示している。「O」リング30を受け入れる溝29もまた見ることができる。
【0040】
図9は、複合レバーシステム50の等角図である。複合レバーシステムは、ブロック201,202によって、及びブロック201,202を通りハウジングにおいてねじが切られた受け入れ穴へ達するねじ203によって、ハウジングの内部に取り付けられる。ブロック201におけるスロット212は、第2のつまり下部レバー207用のガイドとして働く。
【0041】
図10は、複合レバーの1つの側面図である。ロッド204及びロッド205は、それぞれ、第1のつまり上部レバー206、及び下部レバー207の支点である。ロッド204は、ロッド204及び操作メカニズムの部品を収容するように内部を中空化したブロック201を長手方向に通り抜ける。ロッド205も同様にその内部を中空化したブロック202を長手方向に通り抜ける。円形のパッド19の下に置かれたロッド22は、上部レバー206の端にあるいは端に隣接して取り付けられ、レバー206に作用した力に関する入力点として働く。
【0042】
プラスチックブロック209のようなブロックが上部レバー206の下側に取り付けられ、ブロック209は、レバー207へ力を加える出力点として働く。プラスチックブロック209の先端は、カーブしたあるいは幾分「v」形にされてもよく、円形のパッドが押されたとき、プラスチックブロック209が下部レバー207への入力点として働くように、下部レバー207に接している。これは、第2レバー207の出力点を移動させるだろう。この出力点は、カメラのマルチセレクターを押すため、下部レバー207の端でプラスチックパッド210のようなパッドによって提供されてもよい。
【0043】
シャフト22が押されていないときに下部レバー207を初期位置に保持するために下部レバー207の端212にバネ211が取り付けられる。バネ211は、レバー207とブロック202の下側との間に位置決めされる。
【0044】
ロッド22のその原位置への戻りは、バネ24によって達成される。
【0045】
ブロック201は、レバー207がブロック201から出るのを可能にするように5つの切欠き213を有する。レバー207は、カメラのマルチセレクターと係合するためパッド210用のスペースを設けるように、エリア214においてレバー26へ向いて成形される。
【0046】
プラスチックキャップ210が移動する垂直方向距離の調節は、上部レバー206に沿ってプラスチックブロック209の位置を移転させることにより達成することができる。
【0047】
図11を参照し、この図は複合レバーシステムを表わす力の図である。即ち、
上部レバー206を考えると、
D1/Dx = B/X
下部レバー207から、
D2/Dx = C/(C−A−X)
これらを組み合わせることによって、
X = (D2*B(C−A))/(D1*C+D2*B)
を得る。
【0048】
ここで、Xはプラスチックブロック209と上部レバーの支点204との間の距離であり、
Dlはシャフトによって移動する垂直距離であり、
Dxはプラスチックブロックによって移動する垂直距離であり、
D2はプラスチックキャップによって移動する垂直距離であり、
Aは上部レバーの支点とプラスチックキャップとの間の水平距離であり、
Bは上部レバーの長さであり、
Cは下部レバーの長さである。
【0049】
したがって、プラスチックブロック209の位置、即ち2つのレバー206及び207の接点位置は、上述の方程式によって決定することができる。
【0050】
使用では、ハウジングの内側にカメラを有して組み立てられたとき、パッド19の周囲を押すことで、ロッド22あるいはロッド39による動作の伝達によってDSLRカメラの適切なボタンを押すであろう。
【0051】
ユーザーが例えば円形パッド19の右上角を押したとき、上部及び右シャフト22が同時に押下される。このことは、発明の使用によって、カメラのマルチセレクターの上部及び右側縁の両方が押されることに帰着する。多くのカメラで、この動作(マルチセレクターの上部及び右側縁の両方を押すこと)は、例えば、
1)フォーカスポイントをセットするときのフォーカスポイント位置;あるいは
2)再生モード中において表示された画像をズームするとき画像を対角線上に動かすこと、
の対角線上の移動を作動させる、マルチセレクターの上部右側縁を押すことと同等である。
【0052】
これは、この発明を使用する新しいハウジングにおいて良好に働く。
【0053】
利点
カメラボタンを操作するために移動可能なパッドを設けること、及びカメラを設けたハウジングのハンドルの近くにこのパッドを置くことによって、一般的なユーザーがハウジングのハンドルから自分の手を移動させる必要なく、ボタンを操作することができる。このことは、カメラの調節を可能にしながら両方のハンドルを使用することにより、しばしば急速に変化する環境に追従するようにユーザーの能力を増加させる。
【0054】
複合レバーシステムは、コントロールシステムの正確性及び安定性を増加し、またハウジングの外部からコントロール可能な機能の範囲の増加を可能にする。
図1
図2
図3
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11