(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、見積構成設計装置1および周辺機器の構成を示す機能ブロック図である。
見積構成設計装置1は、主として、演算装置10と、記憶装置11と、入出力インタフェース12と、通信装置13とを備えている。また、見積構成設計装置1には、入出力装置20、遠隔入出力装置22等が接続される。
【0011】
演算装置10は、見積構成設計装置1の全体を制御する処理を行う。演算装置10は、主として、要求仕様受付部101と、要求仕様変更案生成部102と、受注率算出部103と、機器構成生成部104と、要求仕様評価指標算出部105と、要求仕様変更案表示部106とを備える。
【0012】
要求仕様受付部101は、入出力装置20、遠隔入出力装置22等から要求された要求仕様データを受け付ける部分である。
【0013】
要求仕様変更案生成部102は、要求仕様受付部101で受け付けた要求仕様データに対する仕様データ変更案である要求仕様変更案を生成する。要求仕様変更案生成部102が行う処理の詳細については、後に詳述する。
【0014】
受注率算出部103は、設計実績データ記憶部111(後に詳述)に記憶されている過去の設計実績データの採否に基づいて、要求仕様及び要求仕様変更案に対する受注率を算出する。ここで、受注率とは、要求仕様又は要求仕様変更案を顧客に提示した場合に受注できる確率である。受注率算出部103が行う処理の詳細については、後に詳述する。
【0015】
機器構成生成部104は、要求仕様受付部101で受け付けた要求仕様データを元に、機器選定ルール記憶部112に記憶されている機器選定ルールデータに基づいて、機器を選定する。機器構成生成部104が行う処理の詳細については、後に詳述する。
【0016】
要求仕様評価指標算出部105は、要求仕様受付部101で受け付けた要求仕様データまたは要求仕様変更案生成部102で生成した要求仕様変更案データに対して、その要求を満たす機器構成の製品の評価値を算出する。要求仕様評価指標算出部105が行う処理の詳細については、後に詳述する。
【0017】
要求仕様変更案表示部106は、要求仕様受付部101で受け付けた要求仕様データ及び、要求仕様変更案生成部102で生成した要求仕様変更案に対して、受注率算出部103で算出した受注率と要求仕様評価指標算出部105で算出した評価指標を合わせて表示する画面を生成する。また、要求仕様変更案表示部106は、生成した画面を入出力インタフェース12、通信装置13等を介して入出力装置20、遠隔入出力装置22等に表示させる。
【0018】
記憶装置11は、主として、設計実績データ記憶部111と、機器選定ルール記憶部112と、評価データ記憶部113とを備える。
【0019】
設計実績データ記憶部111は、対象製品についてこれまでに検討した受注検討案件に関する仕様や構成部品を記憶する部分である。
図2は、設計実績データ記憶部111に記憶される設計実績データ111Aの一例(テーブル表記したもの)である。設計実績データ111Aの縦軸には、これまでに検討した案件が並び、横軸にその案件に関する情報が並ぶ。以下、設計実績データ111Aの内容について説明する。
【0020】
設計実績データ111Aは、主として、案件番号格納領域1111と、仕様等格納領域1112と、採否格納領域1113とを含み、それぞれ対応づけられている。案件番号格納領域1111には、案件毎にふられた固有の番号が格納される。
【0021】
仕様等格納領域1112には、案件に関する仕様が格納される。案件に関する仕様は、製品に対する要求仕様や製品を構成する機器やその仕様などの情報である。本実施の形態では、仕様等格納領域1112は、主として、案件名格納領域1112aと、適用規格格納領域1112bと、型式格納領域1112cと、出力格納領域1112dと、員数格納領域1112eと、材質格納領域1112fとを含む。
【0022】
案件名格納領域1112aは、案件名が格納される。
適用規格格納領域1112bには、製品や機器に適用する規格がJIS、DIN、ANSI等のどこの規格を採用するかといった適用規格を示す情報が格納される。
型式格納領域1112cには、その案件(案件番号に対応する案件)で用いられる機器の型式(ギア式、回転式等)が格納される。
出力格納領域1112dには、その案件(案件番号に対応する案件)で用いられる機器の出力(50kw、100kw等)が格納される。以下、図においては、単位であるkw(キロワット)を省略する。
員数格納領域1112eには、その案件(案件番号に対応する案件)で用いられる機器の数量が格納される。
材質格納領域1112fには、その案件(案件番号に対応する案件)で用いられる機器の材質(SUS、炭素鋼等)が格納される。
【0023】
採否格納領域1113には、その案件(案件番号に対応する案件)について受注が成立したかどうかの採否を示す情報が格納される。採否格納領域1112gに「OK」が格納されている場合は、この案件が受注に成功したことを示す。また、採否格納領域1112gに「NG」が格納されている場合は、この案件が受注に失敗した案件であることを示す。
【0024】
機器選定ルール記憶部112は、要求仕様に基づき、製品に必要となる機器を選定するための条件ルールを記憶する。
図3は、機器選定ルール記憶部112に記憶される機器選定ルール112Aの一例である。
【0025】
機器選定ルール112Aは、主として、番号格納領域1121と、使用条件格納領域1122と、機器コード格納領域1123とを含み、それぞれ対応づけられている。
【0026】
番号格納領域1121には、データ毎に振られた固有の番号が格納される。使用条件格納領域1122には、機器を適用する仕様条件が格納される。機器コード格納領域1123には、使用条件格納領域1122に格納された条件で使う機器コードが格納される。例えば、最初の行のデータ、すなわち番号「1」のデータは、仕様条件として規格がJIS、型式がギア式、出力が100の場合、機器としてPump010が選定されていることを示している。なお、機器コード格納領域1123に格納される機器は、規格品が用いられる。
【0027】
評価データ記憶部113は、機器コード格納領域1123に格納された機器と、コスト、リードタイムからなる評価指標とを対応付けた評価データを記憶する。
図4は、評価データ記憶部113に記憶される評価データ113Aの一例である。
【0028】
評価データ113Aは、主として、機器コード格納領域1131と、評価指標格納領域1132とを含み、それぞれ対応づけられている。
【0029】
機器コード格納領域1131には、機器コード格納領域1123に格納された機器コードが格納される。
【0030】
評価指標格納領域1132は、主として、リードタイム格納領域1132aと、コスト格納領域1132bとを含む。リードタイム格納領域1132aには、機器コード格納領域1131に格納された機器コードの機器の設置までに要するリードタイムが格納される。コスト格納領域1132bには、機器コード格納領域1131に格納された機器コードの機器のコストが格納される。
【0031】
なお、本実施の形態では、評価指標はコスト、リードタイムからなり、評価指標格納領域1132は、リードタイム格納領域1132aとコスト格納領域1132bとを有したが、評価指標はコスト、リードタイムに限られない。評価指標はコスト、リードタイムのどちらかだけでもよいし、コスト、リードタイム以外の指標が追加されてもよい。そして、評価指標格納領域1132には、すべての評価指標の格納領域を備えるようにすればよい。
【0032】
図1の説明に戻る。入出力インタフェース12は、入出力装置20とデータの交換を行なう。
【0033】
通信装置13は、見積構成設計装置1を通信ネットワーク21へ接続するための装置である。
【0034】
入出力装置20は、仕様値データの入力や関連する設計情報の出力などを行なうものであり、計算機の一般的な入出力装置であるキーボード、マウス、ディスプレイ、プリンタなどで構成するのが好ましい。ただし、装置構成はこれに限定するものではない。
【0035】
遠隔入出力装置22は、遠隔地でデータの入出力を行なうためのものである。処理内容は入出力装置20と同等であるが、見積構成設計装置1とのデータ交換のために、間に通信ネットワーク21を介している。
【0036】
図5は、見積構成設計装置1の概略構成の一例を示すブロック図である。図示するように、例えばコンピューターなどで構成される見積構成設計装置1は、主として、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)51と、揮発性の記憶装置であるRAM(Random Access Memory)や不揮発性の記憶装置であるROM(Read only Memory)からなるメモリー52と、外部記憶装置53と、外部の装置と通信を行う通信装置54と、マウスやキーボード等の入力装置55と、ディスプレイ等の出力装置56と、他のユニットを接続するインタフェース(I/F)57と、を備える。
【0037】
上記の各機能部は、例えば、CPU51がメモリー52に格納された所定のプログラムをメモリー52に読み出して実行することにより実現される。なお、所定のプログラムは、例えば、予めメモリー52にインストールされてもよいし、通信装置54を介してネットワークからダウンロードされてインストール又は更新されてもよい。
【0038】
以上の見積構成設計装置1の構成は、本実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られない。また、見積構成設計装置1の構成は、上に述べた全ての構成が必須ではなく、一部の構成を抽出して構成するようにしてもよい。
【0039】
次に、本実施形態における、上記構成からなる見積構成設計装置1の特徴的な処理について説明する。
【0040】
図6は、本実施例による見積構成設計装置1の全体の処理の流れを示すフローチャートである。当該処理は、見積構成設計装置1の図示しない操作部が操作されること等により開始される。
【0041】
受注率算出部103は、設計実績データ記憶部111から、過去の設計検討の実績データとして、設計実績データ111Aを取り出す(ステップS101)。
【0042】
次に、受注率算出部103は、設計実績データ記憶部111から取得した設計実績データ111Aに対して、条件付確率モデル等を用いた受注率算出モデルを生成する(ステップS102)。
【0043】
受注率算出部103が受注率算出モデルを生成する方法を、具体例を用いて説明する。受注率算出部103は、数式1に示すように、設計実績データ111Aに対して、条件に対する事後確率を算出可能な受注率算出モデルを生成する。
【0045】
数式1における各記号は、以下の内容を示している。
p(y|x):要求仕様がxのときの受注yとなる事後確率
p(x|y):受注yのときの要求仕様xとなる確率
p(y):受注yとなる確率(事前確率)
p(x):要求仕様xとなる確率
【0046】
受注率算出モデル算出の基となる値(本実施の形態では、p(x|y)、p(y)、p(x))は、それぞれ
図2に示した設計実績データ111Aに基づいて算出される。算出されたp(x|y)、p(y)、p(x)は、記憶装置11内に記憶されており、受注率算出部103はこれを取得してp(y|x)を算出に用いる。以下、p(x|y)、p(y)、p(x)について説明する。
【0047】
まず、p(x|y)について説明する。観測結果p(x)は、かつて事象yが原因で起こったという傾向を正しく認識している場合に、xは、確率p(x|y)に従って生成されるはずである。p(x|y)をxが観測されたときのxの尤度と呼ばれる。これは、xは、その値によってyの生起が変るという意味である。通常、尤度は、想定される原因事象に対して、想定される結果の総和が100%となるように設定される。
【0048】
次にp(y)について説明する。p(y)とは、観測者がある観測対象に対して、yという事象があることを認識している場合に、その事象が起こる確率を示したものであり、事前確率と呼ばれる。事前確率は、観測者が観測以前に持っている信念を確率分布関数で表現したものである。通常、事前確率は、想定される原因事象の総和が100%となるように設定される。
【0049】
最後に、p(x)について説明する。p(x)は観測結果であり、判断材料xのそれぞれを確認した割合を、確率として示したものである。p(x)は数式2で示される。なお、数式2において、Bは、xについて想定されるすべての原因事象を示す。
【0051】
受注率を算出する方法は、ここで説明した受注率算出モデルを生成する方法に限られない。例えば、識別モデルとしてSVM(Support Vector Machine)などの方法を導入する方法を用いることもできる。また、より簡単に、要求仕様を条件としたIF−THENルールで採否を判定する方法を用いることもできる。
【0052】
要求仕様受付部101は、案件名と、要求されている仕様とを含む要求仕様データを取得する(ステップS103)。
図7は、要求仕様受付部101が受け付ける要求仕様データの一例である。本実施の形態では、要求されている仕様は、適用規格、型式、出力、員数、材質が例示されているが、これに限定されない。
【0053】
要求仕様変更案生成部102は、ステップS103で受け付けた要求仕様データを変更し、受注率が向上する要求仕様変更案を探索する(ステップS104)。
図8は、ステップS104の詳細な処理の流れを示すフローチャートである。
図8では、一例として、グリーディ法による探索の流れを示す。
図9は、
図8に示すフローにより生成される要求仕様変更案データの一例である。以下、
図8に示すフローについて詳細に説明する。
【0054】
受注率算出部103は、ステップS103で要求仕様受付部101が受け付けた要求仕様を要求仕様変更案データに登録する(ステップS201)。これにより、
図9に示す要求仕様変更案データに、まず、
図7に示す要求仕様データの内容が登録される。
【0055】
受注率算出部103は、ステップS102で生成した受注率算出モデルを用いて、ステップS201で受け付けた要求仕様の受注率を算出する(ステップS202)。受注率算出部103は、算出した結果を要求仕様変更案データに登録する。これにより、
図9のNo.999の行の受注率列(
図9のaの部分)に数字が登録される。
【0056】
要求仕様変更案生成部102は、ステップS201で取得された要求仕様のうちの変更可能な仕様項目が何であるかを特定する(ステップS203)。例えば、変更可能な仕様項目が記憶装置111に記憶されており、要求仕様変更案生成部102は記憶された項目を特定する。
図9に示す例では、変更可能な仕様項目として、適用規格、型式、出力、材質を特定する。
【0057】
要求仕様変更案生成部102は、ステップS203で変更可能な仕様と判定された項目のうちの一つを選択し、選択した項目を変更した変更案を生成する(ステップS204)。ここでは、ステップS203で適用規格、型式、出力、材質が変更可能な仕様と判定されているため、要求仕様変更案生成部102は、まず、適用規格をJISからANSIに変更した変更案No.999−1を生成する(
図9参照)。
【0058】
受注率算出部103は、ステップS204で生成した変更案に対して、受注率算出モデルを用いて受注率を算出する(ステップS205)。受注率算出部103は、算出した結果を要求仕様変更案データに登録する。これにより、
図9に示す要求仕様案データのNo.999−1の行の受注率列(
図9のbの部分)に数字が登録される。
【0059】
要求仕様変更案生成部102は、ステップS202で算出された要求仕様の受注率と、ステップS205で算出された変更案の受注率とを比較する(ステップS206)。
図9に示す例においては、適用規格の変更前後で受注率が40%から20%に減少しているため、要求仕様変更案生成部102は、変更案No.999−1の受注率は要求仕様No.999の受注率より低いと判定する。
【0060】
ステップS206で比較した結果、変更案の受注率が要求仕様の受注率以下である場合(受注率減)には、要求仕様変更案生成部102は、ステップS204で変更した仕様を元に戻し、次に作成する変更案からは当該仕様を要求仕様の通りとする(ステップS207)。本実施の形態では、要求仕様変更案生成部102は、No.999−1以降の変更案については、適用規格をANSIからJISへ戻す。
【0061】
ステップS206で比較した結果、要求仕様の受注率が変更案の受注率より高い場合(受注率増)には、要求仕様変更案生成部102は、ステップS204で変更した仕様を維持し、次に作成する変更案以降も当該仕様をステップS204で変更した仕様とする(ステップS208)。
【0062】
要求仕様変更案生成部102は、変更可能な仕様項目のうち、選択されていない使用項目が残っているか否かを判断する(ステップS209)。変更可能な仕様項目(適用規格、型式、出力、材質)のうちの適用規格しか変更されていない場合には、要求仕様変更案生成部102はステップS204に戻る。
【0063】
これにより、変更案が1つ生成され、次の変更案の生成が行われる。本実施の形態では、ステップS206で適用規格の変更後に受注率が減ったことが確認されている。したがって、要求仕様変更案生成部102は、次の変更案作成(No.999−2)では、適用規格をANSIからJISに戻している(ステップS207参照)。そのため、
図9に示すように、No.999−2では、要求仕様変更案生成部102は、次の変更可能な仕様である型式をギア式から回転式に変え(ステップS204)、受注率算出部103は受注率を算出する(ステップS205)。
【0064】
変更案No.999−2の受注率は要求仕様No.999の受注率より高いため、要求仕様変更案生成部102は、次の変更案作成では、型式を回転式に維持し(ステップS208)、次の変更可能な仕様である出力を50(kw)から10(kW)に変えた変更案No.999−3を生成する(ステップS204〜S209)。
【0065】
このように、ステップS204〜ステップS208は、ステップS209で変更可能仕様項目が無くなるまで繰り返し行われる。これにより、
図9の領域A(網掛け表示)が生成される。
【0066】
なお、
図8に示すフローでは、探索方法としてグリーディ法を用いたが、探索方法はこれに限られない。例えば、Simple Search法やGA(Genetic Algorithm)法など各種の方法を用いてもよい。
【0067】
図6の説明に戻る。機器構成生成部104は、ステップS104で生成した要求仕様変更案に対して、機器選定ルール記憶部112に記憶された機器選定ルール112Aに基づいて機器構成を選定する(ステップS105)。例えば、
図9に示す要求仕様No.999は、適用規格がJIS、型式がギア式、出力が50となっているので、
図3に示す機器選定ルール112Aのうちの仕様条件が一致する行(ここでは、No.2の行)の情報に基づいて、選定機器として機器コードPump005を選定する。また、同一の仕様条件の機器が複数存在する場合には、該当する複数の機器をすべて選定する。
機器構成生成部104は、選定した機器構成を
図9に示す要求仕様変更案データに登録する。これにより、
図9の領域Bが生成される。
【0068】
要求仕様評価指標算出部105は、要求仕様変更案のそれぞれに対して、コスト、リードタイム等の要求仕様の評価指標を算出する(ステップS106)。以下、ステップS106の内容について説明する。
【0069】
要求仕様評価指標算出部105は、ステップS105で選定された機器に対する評価指標(ここでは、リードタイム、コスト)を評価データ113Aから取得する。例えば、機器構成生成部104によって機器Pump005が選定された場合には、要求仕様評価指標算出部105は、評価データ113Aから機器Pump005の評価値を取得する。機器Pump005の場合には、リードタイムが50(時間)、コストが200,000(円)ということがわかる。
【0070】
本実施の形態では、各要求仕様変更案に対して複数(例えば2個)の機器が選択されている。したがって、要求仕様評価指標算出部105は、複数の機器のそれぞれについて評価データ113Aから評価指標(ここでは、リードタイム、コスト)を取得し、取得した評価指標の項目毎(ここでは、リードタイム、コスト)の総和を算出する。これにより、各要求仕様変更案に対するリードタイム、コスト等が明確になる。
【0071】
要求仕様評価指標算出部105は、
図9に示すように、算出した結果を要求仕様変更案データに登録する。これにより、
図9の領域Cが生成され、
図9に示す要求仕様変更案データが完成する。これで、ステップS106の処理が終了される。
【0072】
要求仕様変更案表示部106は、
図9に示す要求仕様変更案データに基づいて、要求仕様変更案、受注率、及び評価指標(ここでは、コスト、リードタイム)を表示された表示画面を生成する(ステップS107)。要求仕様変更案表示部106は、生成した表示画面を入出力装置20、遠隔入出力装置22等の表示部又は出力装置56に出力し、表示部又は出力装置56は、出力された表示画面を表示する。
【0073】
図10は、要求仕様変更案表示画面の一例である。要求仕様変更案表示部106は、受け付けた要求仕様に関する情報を一番上に表示し、その下に要求仕様変更案に関する情報を表示した画面を生成する。要求仕様変更案表示部106は、要求仕様及び変更案と共に、受注率と、評価指標(
図10ではコスト及びリードタイム)を表示させる。本実施の形態では、要求仕様よりも受注率が低い変更案は不要な情報であると判断し、要求仕様変更案については、要求仕様よりも受注率が高いもののみを表示させるようにしている。
【0074】
要求仕様変更案表示部106は、要求仕様変更案については、受注率が高い順に上から並べた画面を生成する。すなわち、受注率が最も高い要求仕様変更案を要求仕様の下(2行目)に表示させる。これにより、この画面を見たユーザは、どの要求仕様変更案が良いかどうか容易に比較することができる。なお、要求仕様変更案の並べ方は、受注率で並べ替える以外に、要求仕様で並べ替える方法も考えられる。また、要求仕様変更案表示部106は、要求仕様変更案については、元の要求仕様データに対して、変更箇所がわかる様なハイライト表示等をして、要求仕様との違いを強調した表示をしてもよい。
【0075】
本実施の形態では、要求仕様変更案表示部106は、要求仕様と要求仕様変更案とを表示させたが、要求仕様は必須ではなく、要求仕様変更案のみを表示させるようにしてもよい。要求仕様と要求仕様変更案とを表示する場合には、要求仕様変更案と要求仕様との差異の情報を提供することができる。
【0076】
この画面でユーザは、要求仕様変更案を確認し、問題がなければ、所望の要求仕様変更案を選択する。
図10では、最も上(2行目)の要求仕様変更案が選択されている。演算装置10は、次の業務に要求仕様変更案データを受け渡す。
【0077】
本実施の形態によれば、過去の要求仕様に対する検討実績データに基づいて、受注の可能性の高い要求仕様の変更案を求めることができる。各変更案は過去の受注結果に基づいて受注率が算出されるため、受注の可能性の高い変更案を求めることができる。
【0078】
また、機器選定ルール記憶部112には規格品が格納されているため、要求仕様及び変更案は規格品の組み合わせとすることができる。したがって、規格品(標準機器)を用いた機器構成での受注が可能となる。したがって、提供できる製品の価格を下げ(コスト削減)、設計及び生産の期間を短縮でき(リードタイム短縮)、受注できる可能性を高めることが可能となる。また、評価指標を表示することにより、受注率だけでなく、コスト等を含めた総合的な情報を提供することができる。
【0079】
なお、本実施の形態では、評価指標としてコスト及びリードタイムを用いたが、評価指標としては、このほかに要求遵守率、製品信頼性、品質に関する指標など製品にかかわる各種指標を用いることができる。
【0080】
また、本実施の形態では、要求仕様及び変更案について仕様、受注率及び評価指標が表示された画面(
図10参照)を生成し、要求仕様及び変更案を構成する機器の表示はしていないが、仕様、受注率及び評価指標と共に構成する機器を表示するようにしてもよい。また、
図10に示すようにユーザが任意の仕様を選択(
図10ではチェックボックスにチェックを入れることにより選択を行っている)したら、選択された仕様における機器を表示するようにしてもよい。機器構成を表示することで、より詳しい情報に基づく見積支援を行うことができる。
【0081】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0082】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリーや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0083】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。