(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1a】本発明の二重特異性<TWEAK/IL17>抗体のための例示的な二重特異性二価抗体フォーマットを示す。
【
図1b】本発明の二重特異性<TWEAK/IL17>抗体のための例示的な二重特異性二価抗体フォーマットを示す。
【
図2】本発明の二重特異性<TWEAK/IL17>抗体のための1つの例示的な二重特異性四価抗体フォーマットを示す。
【0041】
発明の詳細な説明
本明細書で使用される場合、「抗体」は、抗原結合部位を含む結合タンパク質を指す。本明細書で使用される場合、「結合部位」又は「抗原結合部位」という用語は、リガンド(すなわち、抗原)が実際に結合する抗体分子の領域を示す。「抗原結合部位」という用語は、抗体重鎖可変ドメイン(VH)及び/若しくは抗体軽鎖可変ドメイン(VL)又はVH/VL対を含み、抗体全体又は抗体フラグメント、例えば単鎖Fv、VHドメイン及び/又はVLドメイン、Fab又は(Fab)2に由来し得る。本発明の一実施態様では、抗原結合部位はそれぞれ、抗体重鎖可変ドメイン(VH)及び/又は抗体軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、好ましくは、抗体軽鎖可変ドメイン(VL)及び抗体重鎖可変ドメイン(VH)からなる対によって形成される。本発明の特徴的な特性が保持されている限り、本発明の抗体は、好ましくは、ヒト化抗体、キメラ抗体又はさらに遺伝子操作された抗体である。
【0042】
ヒトTWEAKに特異的に結合する抗原結合部位、特に重鎖可変ドメイン(VH)及び/又は抗体軽鎖可変ドメイン(VL)は、a)例えば、国際公開第1998/005783号、国際公開第2000/042073号、国際公開第2003/086311号、国際公開第2006/130429号、国際公開第2006/130374号、国際公開第2006/122187号、国際公開第2006/089095号、国際公開第2006/088890号、国際公開第2006/052926号、国際公開第2010/115555号又は国際特許出願第PCT/EP2011/067070号に記載されている公知の抗TWEAK抗体;又はb)例えば、とりわけヒトTWEAKタンパク質若しくは核酸又はそれらのフラグメントのいずれかを使用してde novo免疫感作法によって、又はファージディスプレイ法によって得られる新たな抗TWEAK抗体に由来し得る。
【0043】
ヒトIL17に特異的に結合する抗原結合部位、特に重鎖可変ドメイン(VH)及び/又は抗体軽鎖可変ドメイン(VL)は、a)例えば、国際公開第96/17939号、米国特許第5,716,623号;国際公開第95/18826号;国際公開第97/15320号;国際公開第99/35276号、国際公開第00/69436号、国際公開第95/18826号、米国特許第6,274,711号、米国特許第6,063,372号、国際公開第2006/013107号、国際公開第2008/02115号、国際公開第2010/102251号又は国際公開第2010/034443号に記載されている公知の抗IL17抗体;又はb)例えば、とりわけヒトIL17タンパク質若しくは核酸又はそれらのフラグメントのいずれか使用してde novo免疫感作法によって、又はファージディスプレイ法によって得られる新たな抗IL17抗体に由来し得る。
【0044】
ヒトTWEAK(UniProtKB O43508、TNF関連アポトーシス弱誘導因子;配列番号68)は、細胞表面に結合したII型膜貫通タンパク質である。TWEAKは、Chicheportiche, Y., et al., J. Biol. Chem. 272 (1997) 32401-32410; Marsters, S.A., et al., Curr. Biol. 8 (1998) 525-528; Lynch, C.N., et al., J. Biol. Chem. 274 (1999) 8455-8459に記載されている。TWEAKの活性型は、可溶性のホモトリマーである。ヒト及びマウスTWEAKは、レセプター結合ドメインにおいて93%の配列同一性を示す。TWEAKレセプターFn14(線維芽細胞成長因子誘導性の14kDaのタンパク質)は、リガンド結合ドメインにおける単一システインリッチドメインからなる129aaのI型膜貫通タンパク質(配列番号98)である。TWEAKのシグナル伝達は、NF−ΚB経路の活性化を介して起こる。TWEAK mRNAは様々な組織において発現され、大半の主要臓器、例えば心臓、脳、骨格筋及び膵臓、免疫系に関連する組織、例えば脾臓、リンパ節及び胸腺に見られる。Fn14 mRNAは、心臓、脳、肺、胎盤、血管EC及び平滑筋細胞において検出されている。TWEAKヌル及びFn14ヌルノックアウトマウスは生存可能で健康で繁殖性であり、より多くのナチュラルキラー細胞を有し、増強された自然炎症応答を示す。TWEAKは、アポトーシス、増殖、血管新生、虚血半影、脳浮腫、多発性硬化症に関与している。
【0045】
ヒトIL−17A(CTLA−8、SwissProt Q16552、IL−17とも命名されている。IL17;配列番号70))は、一部の記憶T細胞(Th17と称される)によって産生される炎症促進性サイトカインであり、MSの病因に関与している。IL−17Aは、他の炎症性サイトカイン、ケモカイン及び接着分子の誘導において役割を果たす。IL−17A中和抗体による動物の処置は、自己免疫性脳脊髄炎の疾患発生率及び重症度を低下させる(Komiyama, Y. et al., J. Immunol. 177 (2006) 566-573)。IL−17Aは、MS患者の脳脊髄液で過剰発現している(Hellings, P.W. et al.,Am. J. Resp. Cell Mol. Biol. 28 (2003) 42-50; Matusevicius, D. et al., MultipleSclerosis 5 (1999) 101-104;国際公開第2005/051422号)。加えて、IL−17A中和抗体はコラーゲン誘導関節炎のマウスRAモデルの重症度及び発生率を軽減し、RA患者由来の炎症関節滑液では高レベルのIL−17Aを検出することができる(Ziolkowska, M. et al., J. Immunol. 164 (2000) 2832-2838; Kotake, S., et al., J. Clin. Invest. 103 (1999) 1345-1352; Hellings, P.W. et al., Am. J. Resp. Cell Mol. Biol. 28 (2003) 42-50)。
【0046】
抗体特異性は、抗原の特定のエピトープに対する抗体の選択的認識を指す。天然の抗体は、例えば、単一特異性である。
【0047】
本発明の「二重特異性抗体」は、2つの異なる抗原結合特異性を有する抗体である。抗体が1つよりも多くの特異性を有する場合、認識されるエピトープは、単一の抗原又は1つよりも多くの抗原に関連し得る。本発明の抗体は、2つの異なる抗原(すなわち、第1の抗原としてTWEAK及び第2の抗原としてIL17)に対して特異的である。
【0048】
本明細書で使用される場合、「単一特異性」抗体という用語は、それぞれが同じ抗原の同じエピトープに結合する1つ以上の結合部位を有する抗体を示す。
【0049】
本出願で使用される場合、「価」という用語は、抗体分子における特定数の結合部位の存在を示す。このようなものとして、「二価」、「四価」及び「六価」という用語は、抗体分子におけるそれぞれ2つの結合部位、4つの結合部位及び6つの結合部位の存在を示す。本発明の二重特異性抗体は少なくとも「二価」であり、「三価」又は「多価」(例えば、「四価」又は「六価」)であり得る。一実施態様では、本発明の二重特異性抗体は二価、三価又は四価である。一実施態様では、前記二重特異性抗体は二価である。一実施態様で、前記二重特異性抗体は三価である。一実施態様では、前記二重特異性抗体は四価である。
【0050】
本発明の抗体は2つ以上の結合部位を有し、二重特異性である。すなわち、2つよりも多くの結合部位が存在する(すなわち、抗体が三価又は多価である)場合でさえ、抗体は二重特異性であり得る。本発明の二重特異性抗体としては、例えば、多価単鎖抗体、ダイアボディ及びトリアボディ、並びにさらなる抗原結合部位(例えば、単鎖Fv、VHドメイン及び/又はVLドメイン、Fab又は(Fab)2)が1つ以上のペプチドリンカーを介して連結された全長抗体の定常ドメイン構造を有する抗体が挙げられる。抗体は単一種由来の全長でもよいし、又はキメラ化若しくはヒト化されたものでもよい。2つよりも多くの抗原結合部位を有する抗体の場合、タンパク質が2つの異なる抗原に対する結合部位を有する限り、いくつかの結合部位が同一でもよい。すなわち、第1の結合部位はTWEAKに対して特異的であり、第2の結合部位はIL17に対して特異的である(その逆もまた同様である)。
【0051】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」又は「モノクローナル抗体組成物」という用語は、単一のアミノ酸組成の抗体分子調製物を指す。
【0052】
「ヒト化抗体」という用語は、フレームワーク及び/又は「相補性決定領域」(CDR)が、親免疫グロブリンと比較して異なる種の免疫グロブリンのCDRを含むように改変されている抗体を指す。好ましい実施態様では、「ヒト化抗体」を調製するために、非ヒト(例えば、マウス、ウサギ又はハムスター)CDRがヒト抗体のフレームワーク領域に移植される。例えば、Riechmann, L., et al., Nature 332 (1988) 323 327;及びNeuberger, M.S., et al., Nature 314 (1985) 268-270を参照のこと。
【0053】
「キメラ抗体」という用語は、マウス由来の可変領域(すなわち、結合領域)と、異なる起源又は種由来の定常領域の少なくとも一部とを含むモノクローナル抗体を指し、通常はリコンビナントDNA技術によって調製される。例えば、マウス可変領域及びヒト定常領域を含むキメラ抗体。このようなマウス/ヒトキメラ抗体は、ラット免疫グロブリン可変領域をコードするDNAセグメントと、ヒト免疫グロブリン定常領域をコードするDNAセグメントとを含む免疫グロブリン遺伝子発現産物である。本発明によって包含される他の形態の「キメラ抗体」は、クラス又はサブクラスが元の抗体のものから改変又は変化されたものである。このような「キメラ」抗体はまた、「クラススイッチ抗体」とも称される。キメラ抗体を生産するための方法は、当技術分野で現在周知の従来のリコンビナントDNA及び遺伝子トランスフェクション技術を含む。例えば、Morrison, S.L., et al., Proc. Natl. Acad Sci. USA 81 (1984) 6851-6855;米国特許第5,202,238号及び米国特許第5,204,244号を参照のこと。
【0054】
本明細書で使用される場合、「結合する」、「結合している」又は「特異的に結合する」という用語は、二重特異性抗体が、本発明によるヒトTWEAK及び/又はヒトIL17のターゲティングにおいて治療剤として有用であるように、十分な親和性で抗原のエピトープに結合することを指す。抗原(ヒトTWEAK又はヒトIL17のいずれか)のエピトープに対する二重特異性抗体の結合は、精製野生型ヒト抗原を用いる(好ましくは、ヒトIL17抗原の場合にはIL17Aホモ二量体を用いる)in vitroアッセイ、好ましくはプラズモン共鳴アッセイ(例えば、BIAcore, GE-Healthcare Uppsala, Sweden)において測定することができる(例えば、実施例19を参照のこと)。結合の親和性は、ka(抗体/抗原複合体からの抗体の会合速度定数)、kd(解離定数)及びKD(kd/ka)という用語によって定義される。ヒトTWEAKに特異的に結合する第1の抗原結合部位と、ヒトIL17に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性抗体は、1.0×10
−8M以下、例えば1.0×10
−8M〜1.0×10
−13M(一実施態様では、1.0×10
−9M〜1.0×10
−13M)の結合親和性(KD)でヒトTWEAKに特異的に結合する第1の抗原結合部位と、1.0×10
−8M以下、例えば1.0×10
−8M〜1.0×10
−13M(一実施態様では、1.0×10
−9M〜1.0×10
−13M)の結合親和性(KD)でヒトIL17に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを有する二重特異性抗体を指す。
【0055】
「エピトープ」という用語は、抗体に特異的に結合することができるタンパク質決定基を意味する。エピトープは、通常、アミノ酸又は糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面基からなり、エピトープは、通常、特異的な三次元構造特徴及び特異的な電荷特性を有する。立体構造的エピトープ及び非立体構造的エピトープは、後者でなく前者に対する結合が変性溶媒の存在下で失われるという点で区別される。
【0056】
本発明の一実施態様は、ヒトTWEAKに特異的に結合する第1の抗原結合部位と、ヒトIL17に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性抗体であって、
a)第1の抗原結合部位が、配列番号17のCDR1H、配列番号18のCDR2H、配列番号19のCDR3H、及び配列番号20のCDR1L、配列番号21のCDR2L、配列番号22のCDR3Lを含む抗体と同じヒトTWEAK上のエピトープに結合し;且つ
b)第2の抗原結合部位が、配列番号47のCDR1H、配列番号48のCDR2H、配列番号49のCDR3H、及び配列番号50のCDR1L、配列番号51のCDR2L、配列番号52のCDR3Lを含む抗体と同じヒトIL17上のエピトープに結合することを特徴とする二重特異性抗体である。
【0057】
本発明の一実施態様は、ヒトTWEAKに特異的に結合する第1の抗原結合部位と、ヒトIL17に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性抗体であって、
a)第1の抗原結合部位が、配列番号28の可変重鎖ドメイン(VH)と、配列番号37の可変軽鎖ドメインとを含む抗体と同じヒトTWEAK上のエピトープに結合し;且つ
b)第2の抗原結合部位が、配列番号56の可変重鎖ドメイン(VH)と、配列番号58の可変軽鎖ドメインとを含む抗体と同じヒトIL17上のエピトープに結合することを特徴とする二重特異性抗体である。
【0058】
本発明の一実施態様は、ヒトTWEAKに特異的に結合する第1の抗原結合部位と、ヒトIL17に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性抗体であって、
a)第1の抗原結合部位が、配列番号17のCDR1H、配列番号18のCDR2H、配列番号19のCDR3H、及び配列番号20のCDR1L、配列番号21のCDR2L、配列番号22のCDR3Lを含む抗体と同じヒトTWEAK上のエピトープに対する結合について競合し;且つ
b)第2の抗原結合部位が、配列番号47のCDR1H、配列番号48のCDR2H、配列番号49のCDR3H、及び配列番号50のCDR1L、配列番号51のCDR2L、配列番号52のCDR3Lを含む抗体と同じヒトIL17上のエピトープに対する結合について競合することを特徴とする二重特異性抗体である。
【0059】
本発明の一実施態様は、ヒトTWEAKに特異的に結合する第1の抗原結合部位と、ヒトIL17に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性抗体であって、
a)第1の抗原結合部位が、配列番号28の可変重鎖ドメイン(VH)と、配列番号37の可変軽鎖ドメインとを含む抗体と同じヒトTWEAK上のエピトープに対する結合について競合し;且つ
b)第2の抗原結合部位が、配列番号56の可変重鎖ドメイン(VH)と、配列番号58の可変軽鎖ドメインとを含む抗体と同じヒトIL17上のエピトープに対する結合について競合することを特徴とする二重特異性抗体である。
【0060】
同じエピトープに対する結合について競合する(従って、同じエピトープに結合する可能性が高い)抗体は、例えば、実施例7に記載されているように表面プラズモン共鳴競合アッセイによって同定することができる。
【0061】
本明細書で使用される場合、「可変ドメイン」(軽鎖の可変ドメイン(V
L)、重鎖の可変ドメイン(V
H))は、抗原に対する抗体の結合に直接関与している軽鎖及び重鎖ドメインの対のそれぞれを示す。可変軽鎖及び重鎖ドメインは同じ一般的な構造を有し、各ドメインは、その配列が広く保存されている4つのフレームワーク(FR)領域を含み、これらは3つの「超可変領域」(又は相補性決定領域、CDR)によって接続されている。フレームワーク領域はβシートコンフォメーションをとり、CDRはβシート構造を接続するループを形成し得る。各鎖におけるCDRは、フレームワーク領域によってその三次元構造が保持されており、他の鎖のCDRと一緒に抗原結合部位を形成する。抗体の重鎖及び軽鎖CDR3領域は、本発明の抗体の結合特異性/親和性において特に重要な役割を果たすので、本発明のさらなる目的を提供する。
【0062】
本明細書で使用される場合、「抗体の抗原結合部分」という用語は、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。抗体の抗原結合部分は、「相補性決定領域」又は「CDR」からのアミノ酸残基を含む。「フレームワーク」又は「FR」領域は、本明細書で定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン領域である。従って、抗体の軽鎖及び重鎖可変ドメインは、N末端からC末端にドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4を含む。特に、重鎖のCDR3は抗原結合に最も寄与する領域であり、抗体の特性を規定する。CDR及びFR領域は、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)の標準的な定義及び/又は「超可変ループ」からの残基に従って決定される。
【0063】
「CDR1H」という用語は、Kabat(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))に従って計算された重鎖可変領域のCDR1領域を示す。CDR2L、CDR3Hなどは、重鎖(H)又は軽鎖(L)からの各領域を意味する。例えば、配列番号3のCDR1Hを含むことを特徴とする抗原結合部位は、抗原結合部位が、その可変重鎖において重鎖可変鎖CDR1領域としてこのアミノ酸配列を含むことを意味する。例えば、配列番号1のCDR1H、配列番号2のCDR2H、配列番号3のCDR3Hを含むことを特徴とする抗原結合部位は、抗原結合部位が、その重鎖において、CDR1の配列として配列番号1、CDR2の配列として配列番号2及びCDR3の配列として配列番号3を含むことを意味する。
【0064】
本明細書で使用される場合、「核酸」又は「核酸分子」という用語は、DNA分子及びRNA分子を含むことを意図する。核酸分子は一本鎖又は二本鎖でもよいが、好ましくは二本鎖DNAである。
【0065】
本出願で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、アラニン(3文字コード:ala、1文字コード:A)、アルギニン(arg、R)、アスパラギン(asn、N)、アスパラギン酸(asp、D)、システイン(cys、C)、グルタミン(gln、Q)、グルタミン酸(glu、E)、グリシン(gly、G)、ヒスチジン(his、H)、イソロイシン(ile、I)、ロイシン(leu、L)、リシン(lys、K)、メチオニン(met、M)、フェニルアラニン(phe、F)、プロリン(pro、P)、セリン(ser、S)、トレオニン(thr、T)、トリプトファン(trp、W)、チロシン(tyr、Y)及びバリン(val、V)を含む天然に存在するカルボキシα−アミノ酸の群を示す。
【0066】
核酸は、別の核酸と機能的関係に配置されている場合に「機能的に連結」されている。例えば、プレ配列又は分泌リーダーに関するDNAは、それがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドに関するDNAと機能的に連結されている;プロモーター又はエンハンサーは、それが配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に機能的に連結されている;又は、リボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように配置されている場合、コード配列に機能的に連結されている。一般に、「機能的に連結された」は、連結されているDNA配列が同一線上にあり、分泌リーダーの場合には隣接しており、リーディングフレーム内にある。しかしながら、エンハンサーは隣接している必要はない。連結は、便利な制限酵素部位におけるライゲーションによって達成される。このような部位が存在しない場合、従来の慣行に従って合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーを使用する。
【0067】
本明細書で使用される場合、「細胞」、「細胞株」及び「細胞培養物」という表現は互換的に使用され、すべてのこのような名称は子孫を含む。従って、「トンスフォーマント」及び「トランスフォーメーションされた細胞」という語句は、初代の対象細胞及び継代数に関係なくそれ由来の培養物を含む。すべての子孫は、計画的又は偶発的な突然変異により、DNA含有量が正確に同一ではない場合があることも理解される。最初にトランスフォーメーションされた細胞においてスクリーニングされたのと同じ機能又は生物学的活性を有する変異体子孫が含まれる。
【0068】
抗体の「Fc部分」は、抗原に対する抗体の結合に直接関与していないが、様々なエフェクター機能を示す。「抗体のFc部分」は当業者には周知の用語であり、抗体のパパイン切断に基づいて定義される。その重鎖の定常領域のアミノ酸配列に応じて、抗体又は免疫グロブリンは以下のクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMに分類され、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ;「アイソタイプ」又は「サブクラス」という表現は本明細書では互換的に使用される)、例えばIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4、IgA1及びIgA2にさらに分類され得る。重鎖定常領域に従って、異なるクラスの免疫グロブリンは、それぞれα、δ、ε、γ及びμと称される。抗体のFc部分は、補体活性化、C1q結合及びFcレセプター結合に基づくADCC(抗体依存性細胞傷害)及びCDC(補体依存性細胞傷害)に直接関与している。補体活性化(CDC)は、ほとんどのIgG抗体サブクラスのFc部分に対する補体因子C1qの結合によって開始される。補体系に対する抗体の影響はある特定の条件に依存するが、C1qに対する結合は、Fc部分における規定の結合部分によって引き起こされる。このような結合部位は当技術分野で公知であり、例えば、Boackle, R.J., et al., Nature 282 (1979) 742-743; Lukas, T.J., et al., J. Immunol. 127 (1981) 2555-2560; Brunhouse, R. and Cebra, J.J., Mol. Immunol. 16 (1979) 907-917; Burton, D.R., et al., Nature 288 (1980) 338-344; Thommesen, J.E., et al., Mol. Immunol. 37 (2000) 995-1004; Idusogie, E.E., et al., J. Immunol. 164 (2000) 4178-4184; Hezareh, M. et al., J. Virology 75 (2001) 12161-12168; Morgan, A., et al., Immunology 86 (1995) 319-324;欧州特許出願公開第0 307 434号によって記載されている。このような結合部位は、例えば、L234、L235、D270、N297、E318、K320、K322、P331及びP329である(ナンバリングは、定常ドメインのナンバリングに使用されるKabatのEUインデックスに従う、Kabat, et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))。
【0069】
サブクラスIgG1、IgG2及びIgG3の抗体は、通常、補体活性化並びにC1q及びC3結合を示すが、IgG4は補体系を活性化せず、C1q及びC3に結合しない。
【0070】
一実施態様では、本発明の抗体は、定常鎖がヒト起源であることを特徴とする。このような定常鎖は当技術分野で周知であり、例えばKabat(例えば、Johnson, G. and Wu, T.T., Nucleic Acids Res. 28 (2000) 214-218及びKabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)を参照のこと)によって記載されている。例えば、有用なヒト重鎖定常領域は、配列番号61、配列番号62、配列番号63又は配列番号64(ヒトIgG1サブクラスアロタイプ(白人及びアフリカ系アメリカ人又は突然変異体L234A/L235A及びL234A/L235A/P329G)、配列番号65、配列番号66又は配列番号67(ヒトIgG4サブクラス又は突然変異体L234A/L235A及びL234A/L235A/P329G)のアミノ酸配列を含む。例えば、有用なヒト軽鎖定常領域は、配列番号59のカッパ軽鎖定常領域のアミノ酸配列、又は配列番号60のラムダ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体は、ヒト起源由来のFc部分、好ましくはヒト定常領域のすべての他の部分を含む。本明細書で使用される場合、「ヒト起源由来のFc部分」という用語は、サブクラスIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のヒト抗体のFc部分、一実施態様ではヒトIgG1サブクラス由来のFc部分、ヒトIgG1サブクラス由来の突然変異Fc部分(好ましくは、突然変異L234A及びL235A、又はL234A、L235A及びP329Gを有するもの)、ヒトIgG4サブクラス由来のFc部分、又はヒトIgG4サブクラス由来の突然変異Fc部分(好ましくは、突然変異S228P及びL235E、又はS228P、L235E及びP329Gを有するもの)のいずれかであるFc部分を示す。一実施態様では、二重特異性抗体は、配列番号61、配列番号62、配列番号63又は配列番号64(ヒトIgG1サブクラスアロタイプ(白人及びアフリカ系アメリカ人又は突然変異体L234A/L235A及びL234A/L235A/P329G)、配列番号65、配列番号66又は配列番号67(ヒトIgG4サブクラス又は突然変異体L234A/L235A及びL234A/L235A/P329G)のヒト重鎖定常領域を含む(ナンバリングは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)のEUインデックスに従う)。これらのヒト重鎖定常領域は、改変及び又は突然変異をさらに含むことができる(例えば、ヘテロ二量化を増強する下記ノブ及びホール突然変異又は他の改変を参照のこと)。一実施態様では、二重特異性抗体は2つの重鎖の定常領域を含み、ここで、2つのCH3ドメインのうちの一方では突然変異Y349C、T366Wが、2つのCH3ドメインのうちの他方では突然変異S354C、T366S、L368A、Y407Vが、配列番号61、配列番号62、配列番号63又は配列番号64(ヒトIgG1サブクラスアロタイプ(白人及びアフリカ系アメリカ人又は突然変異体L234A/L235A及びL234A/L235A/P329G)、配列番号65、配列番号66又は配列番号67(ヒトIgG4サブクラス又は突然変異体L234A/L235A及びL234A/L235A/P329G)のアミノ酸配列にさらに含まれる(ナンバリングは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)のEUインデックスに従う)。
【0071】
一実施態様では、本発明の抗体は、ヒトIgG1サブクラス又はヒトIgG4サブクラスである。一実施態様では、本発明の抗体は、ヒトIgG1サブクラスである。一実施態様では、本発明の抗体は、ヒトIgG4サブクラスである。
【0072】
一実施態様では、ヒトTWEAK及びヒトIL17に特異的に結合する本発明の二重特異性抗体は、例えば、国際公開第2009/080251号、国際公開第2009/080252号、国際公開第2009/080253号又はSchaefer, W., et al., PNAS 108 (2011) 11187-92 ("CrossMabs"又は"domain exchanged antibodies"−実施例14及び例示的な
図1aを参照のこと;<Tweak−IL−17>#2、<Tweak−IL−17>#24は、国際公開第2009/080253号に記載されているフォーマットを有する)、国際公開第2011/117330号("bispecific one-armed scFab antibodies"実施例14を参照のこと;<Tweak−IL−17>#4、<Tweak−IL−17>#20、<Tweak−IL−17>#21、<Tweak−IL−17>#23;例示的な
図1aも参照のこと)、Ridgway, J.B., Protein Eng. 9 (1996) 617-621; 国際公開第96/027011号; 国際公開第98/050431号、Merchant, A.M., et al., Nature Biotech 16 (1998) 677-681; Atwell, S., et al., J. Mol. Biol. 270 (1997) 26-35、欧州特許出願公開第1 870 459号、Muda, M., et al , Protein Engineering, Design & Selection 24 (2011) 447-454、国際公開第2010/129304号、国際公開第2011/028952号、国際公開第2012/009544号など(これらはすべて参照により組み込まれる)に記載されているように、2つの異なる特異性を有する二重特異性二価抗体である。
【0073】
典型的には、このような二重特異性二価抗体は、多くの場合にFc部分を含み、ヘテロ二量体を形成する2つの異なる重鎖又は重鎖様ペプチドを含む。このようなヘテロ二量体の形成を強制するためには(及び、ホモ二量体副産物の形成を減少させるためには)、ヘテロ二量体形成が優先されるようにCH3(及び/又はCH2)ドメインを改変する。このようなヘテロ二量体形成を増強するための当技術分野で公知の様々な改変があり、例えば、国際公開第96/027011号、Ridgway, J.B., et al., Protein Eng 9 (1996) 617-621; Merchant, A.M., et al., Nat Biotechnol 16 (1998) 677-681、国際公開第96/027011号、国際公開第98/050431号、米国特許出願公開第2010/0015133号、国際公開第2007/147901号、国際公開第2009/089004号、国際公開第2010/129304号及びMuda, M., et al., Protein Engineering, Design & Selection 24 (2011) 447-454に記載されている。
【0074】
本発明の一実施態様では、二重特異性二価抗体は、ヒト起源由来のFc部分、好ましくはヒト定常領域のすべての他の部分を含み、二重特異性二価抗体のCH3(及び/又はCH2)ドメインは、ヘテロ二量体形成を増強するための1つ以上の改変によって変更されている。
【0075】
従って、本発明の一実施態様は、ヒトTWEAKに特異的に結合する第1の抗原結合部位と、ヒトIL17に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性二価抗体であって、配列番号76、配列番号77、配列番号78及び配列番号79のアミノ酸配列を含むことを特徴とする二重特異性二価抗体である。
【0076】
本発明の一実施態様は、ヒトTWEAKに特異的に結合する第1の抗原結合部位と、ヒトIL17に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性二価抗体であって、配列番号80、配列番号81及び配列番号82のアミノ酸配列を含むことを特徴とする二重特異性二価抗体である。
【0077】
本発明の一実施態様は、ヒトTWEAKに特異的に結合する第1の抗原結合部位と、ヒトIL17に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性二価抗体であって、配列番号85、配列番号86及び配列番号87のアミノ酸配列を含むことを特徴とする二重特異性二価抗体である。
【0078】
本発明の一実施態様は、ヒトTWEAKに特異的に結合する第1の抗原結合部位と、ヒトIL17に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性二価抗体であって、配列番号88、配列番号89及び配列番号90のアミノ酸配列を含むことを特徴とする二重特異性二価抗体である。
【0079】
本発明の一実施態様は、ヒトTWEAKに特異的に結合する第1の抗原結合部位と、ヒトIL17に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性二価抗体であって、配列番号91、配列番号92及び配列番号93のアミノ酸配列を含むことを特徴とする二重特異性二価抗体である。
【0080】
本発明の一実施態様は、ヒトTWEAKに特異的に結合する第1の抗原結合部位と、ヒトIL17に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性二価抗体であって、配列番号94、配列番号95、配列番号96及び配列番号97のアミノ酸配列を含むことを特徴とする二重特異性二価抗体である。
【0081】
本発明の一実施態様では、二重特異性二価抗体のCH3ドメインは、例えば国際公開第96/027011号、国際公開第98/050431号、Ridgway, J.B., et al., Protein Eng 9 (1996) 617-621;及びMerchant, A.M., et al., Nat Biotechnol 16 (1998) 677-681にいくつかの例と共に詳細に記載されている「ノブ−インツ−ホール」技術によって変更される。この方法では、2つのCH3ドメインの相互作用面が、これら2つのCH3ドメインを含有する両重鎖のヘテロ二量体化を増加させるように変更される。(2つの重鎖の)2つのCH3ドメインはそれぞれ「ノブ」であり得、他方は「ホール」である。ジスルフィド架橋の導入はヘテロ二量体を安定化し(Merchant, A.M, et al., Nature Biotech 16 (1998) 677 681; Atwell, S., et al. J. Mol. Biol. 270 (1997) 26-35)、収率を増加させる。
【0082】
本発明の好ましい態様では、本発明の二重特異性抗体はすべて、
一方の重鎖のCH3ドメイン及び他方の重鎖のCH3ドメインがそれぞれ、抗体CH3ドメイン間の元のインターフェイスを含むインターフェイスで会合することを特徴とし;
前記インターフェイスは二重特異性抗体の形成を促進するように変更されており、該変更は以下を特徴とする:
a)
二重特異性抗体内で他方の重鎖のCH3ドメインの元のインターフェイスに会合する一方の重鎖のCH3ドメインの元のインターフェイス内で、
アミノ酸残基がより大きい側鎖体積を有するアミノ酸残基で置換され、それにより一方の重鎖のCH3ドメインのインターフェイス内に、他方の重鎖のCH3ドメインのインターフェイス内のキャビティに配置可能な隆起が生成されるように、一方の重鎖のCH3ドメインが変更されること、
及び
b)
二重特異性抗体内で第1のCH3ドメインの元のインターフェイスと会合する第2のCH3ドメインの元のインターフェイス内で、
アミノ酸残基がより小さい側鎖体積を有するアミノ酸残基で置換され、それにより第2のCH3ドメインのインターフェイス内に、第1のCH3ドメインのインターフェイス内の隆起が配置可能なキャビティが生成されるように、他方の重鎖のCH3ドメインが変更されること。
【0083】
従って、本発明の抗体は、好ましくは、
a)の全長抗体の重鎖のCH3ドメイン及びb)の全長抗体の重鎖のCH3ドメインがそれぞれ、抗体CH3ドメイン間の元のインターフェイスの変更を含むインターフェイスで会合し;
i)一方の重鎖のCH3ドメインでは、
アミノ酸残基がより大きい側鎖体積を有するアミノ酸残基で置換され、それにより一方の重鎖のCH3ドメインのインターフェイス内に、他方の重鎖のCH3ドメインのインターフェイス内のキャビティに配置可能な隆起が生成され、
及びii)他方の重鎖のCH3ドメインでは、
アミノ酸残基がより小さい側鎖体積を有するアミノ酸残基で置換され、それにより第2のCH3ドメインのインターフェイス内に、第1のCH3ドメインのインターフェイス内の隆起が配置可能なキャビティが生成されることを特徴とする。
【0084】
好ましくは、より大きい側鎖体積を有する前記アミノ酸残基は、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)からなる群より選択される。
【0085】
好ましくは、より小さい側鎖体積を有する前記アミノ酸残基は、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)からなる群より選択される。
【0086】
本発明の一態様では、両CH3ドメインは、両CH3ドメイン間にジスルフィド架橋が形成され得るように、各CH3ドメインの対応する位置にアミノ酸としてシステイン(C)を導入することによってさらに変更される。
【0087】
一実施態様では、二重特異性二価抗体は、「ノブ鎖」のCH3ドメインにT366W突然変異、及び「ホール鎖」のCH3ドメインにT366S、L368A、Y407V突然変異を含む。例えば、「ノブ鎖」のCH3ドメインにY349C突然変異、及び「ホール鎖」のCH3ドメインにE356C突然変異又はS354C突然変異を導入することによって(ナンバリングは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)のEUインデックスに従う)、CH3ドメイン間のさらなる鎖間ジスルフィド架橋も使用することができる(Merchant, A.M, et al., Nature Biotech 16 (1998) 677-681)。
【0088】
別の実施態様では、本発明の二重特異性二価抗体は、2つのCH3ドメインのうちの一方にY349C、T366W突然変異、及び2つのCH3ドメインのうちの他方にE356C、T366S、L368A、Y407V突然変異を含む。別の好ましい実施態様では、二重特異性抗体は、2つのCH3ドメインのうちの一方にY349C、T366W突然変異、及び2つのCH3ドメインのうちの他方にS354C、T366S、L368A、Y407V突然変異を含む(一方のCH3ドメインにおけるさらなるY349C突然変異及び他方のCH3ドメインにおけるさらなるE356C又はS354C突然変異は、鎖間ジスルフィド架橋を形成する)(ナンバリングは常に、Kabat; (Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))のEUインデックスに従う)。しかし、欧州特許出願公開第1870459号に記載されている他のノブ−イン−ホール技術も代替的に又は加えて使用することができる。従って、二重特異性抗体の別の例は、「ノブ鎖」のCH3ドメインにおけるR409D;K370E突然変異、及び「ホール鎖」のCH3ドメインにおけるD399K;E357K突然変異である(ナンバリングは常に、Kabat; (Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)のEUインデックスに従う)。
【0089】
別の実施態様では、二重特異性二価抗体は、「ノブ鎖」のCH3ドメインにT366W突然変異、及び「ホール鎖」のCH3ドメインにT366S、L368A、Y407V突然変異、及びさらに「ノブ鎖」のCH3ドメインにR409D;K370E突然変異、及び「ホール鎖」のCH3ドメインにD399K;E357K突然変異を含む。
【0090】
別の実施態様では、二重特異性二価抗体は、2つのCH3ドメインのうちの一方にY349C、T366W突然変異、及び2つのCH3ドメインのうちの他方にS354C、T366S、L368A、Y407V突然変異を含むか、又は前記二重特異性抗体は、2つのCH3ドメインのうちの一方にY349C、T366W突然変異、及び2つのCH3ドメインのうちの他方にS354C、T366S、L368A、Y407V突然変異、及びさらに「ノブ鎖」のCH3ドメインにR409D;K370E突然変異、及び「ホール鎖」のCH3ドメインにD399K;E357K突然変異を含む。CH3ドメインにおけるこのようなノブ及びホール突然変異は、典型的には、配列番号61、配列番号62、配列番号63又は配列番号64(ヒトIgG1サブクラスアロタイプ(白人及びアフリカ系アメリカ人又は突然変異体L234A/L235A及びL234A/L235A/P329G)、配列番号65、配列番号66又は配列番号67(ヒトIgG4サブクラス又は突然変異体L234A/L235A及びL234A/L235A/P329G)のヒト重鎖定常領域に使用される(ナンバリングは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)のEUインデックスに従う)。
【0091】
従って、一実施態様では、本発明の二重特異性抗体は、CH3ドメインにおけるこのような「ノブ」及び「ホール」突然変異(例えば、2つのCH3ドメインのうちの一方におけるY349C、T366W突然変異、及び2つのCH3ドメインのうちの他方におけるS354C、T366S、L368A、Y407V突然変異)をさらに含む配列番号61、配列番号62、配列番号63又は配列番号64(ヒトIgG1サブクラスアロタイプ(白人及びアフリカ系アメリカ人又は突然変異体L234A/L235A及びL234A/L235A/P329G)、配列番号65、配列番号66又は配列番号67(ヒトIgG4サブクラス又は突然変異体L234A/L235A及びL234A/L235A/P329G)のヒト重鎖定常領域を含む(ナンバリングは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)のEUインデックスに従う)。
【0092】
ヒトTWEAK及びヒトIL17に特異的に結合するこのような本発明の二価二重特異性抗体は、(高度に凝集することなく、優れた収率でそれらを生産することができるような)低粘性及び高安定性などの特に有益な特性を有する。低粘性及び高安定性を有するこのような二価二重特異性抗体は、例えば、皮下投与に使用することができる高濃度製剤/組成物に特に有用である。
【0093】
従って、本発明の一実施態様は、ヒトTWEAKに特異的に結合する第1の抗原結合部位と、ヒトIL17に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性二価抗体であって、
a)(実施例18で決定したように)100mg/mlにおける粘度が4.0mPa.s以下であり(及び/又は70mg/mにおける粘度が3.0mPa.s以下であり、及び/又は150mg/mlにおける粘度が8.5mPa.s以下である)
b)(実施例18で決定したように)凝集温度が55℃以上であることを特徴とする二重特異性二価抗体である。
【0094】
凝集温度は、DLS凝集開始温度を指す(実施例18を参照のこと)。
【0095】
一実施態様では、前記二重特異性抗体は、例えば、2つの抗原TWEAK又はIL17のうちの一方に特異的に結合する全長抗体に、2つの抗原TWEAK又はIL17のうちの他方に特異的に結合するscFabフラグメントが一方の重鎖の一方のC末端でのみ融合されているものに基づくフォーマット(例えば、国際公開第2010/112193号に記載されているノブ−インツ−ホール技術を含む)、又は例えば、2つの抗原TWEAK又はIL17のうちの一方に特異的に結合する全長抗体に、2つの抗原TWEAK又はIL17のうちの他方に特異的に結合するVH又はVH−CH1フラグメントが第1の重鎖の一方のC末端で融合されており、2つの抗原TWEAK又はIL17のうちの他方に特異的に結合するVL又はVL−CLフラグメントが第2の重鎖の他方のC末端で融合されているものに基づくフォーマット(例えば、国際公開第2010/115589号又は国際公開第2011/028952号に記載されているノブ−インツ−ホール技術を含む)を使用した三価のものである。
【0096】
一実施態様では、ヒトTWEAK及びヒトIL17に特異的に結合する本発明の二重特異性抗体は、例えば、国際公開第2007/024715号又は国際公開第2007/109254号、国際公開第2010/112193号、国際公開第2010/145792号又は国際公開第2010/145793号に記載されているように、2つの異なる特異性を有する四価抗体(「4つの結合アーム」)である(実施例14;<Tweak−IL−17>#5も参照のこと)。
【0097】
本発明の一実施態様では、ヒトTWEAKに特異的に結合する第1の抗原結合部位と、ヒトIL17に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性四価抗体であって、配列番号83及び配列番号84のアミノ酸配列を含むことを特徴とする二重特異性四価抗体である。
【0098】
国際公開第2011/117330号("bispecific one-armed scFab antibodies")の二重特異性二価抗体フォーマット及び国際公開第2010/112193号の二重特異性四価抗体フォーマットは、Fab重鎖及び軽鎖フラグメントがペプチドリンカーを介して連結されている単鎖Fabフラグメント(scFab)を含む(
図1b及び
図2並びに国際公開第2011/117330号及び国際公開第2010/112193号を参照のこと)。ペプチドリンカーは、典型的には、アミノ酸配列を有するペプチドであって、好ましくは合成起源であり、少なくとも30アミノ酸長、好ましくは30〜50アミノ酸長を有する(一実施態様では、32〜40アミノ酸長を有する)ペプチドである。一実施態様では、前記リンカーは、(GxS)n(式中、G=グリシン、S=セリン、(x=3、n=8、9又は10及びm=0、1、2又は3)又は(x=4及びn=6、7又は8及びm=0、1、2又は3))である。一実施態様では、前記ペプチドリンカーは(G4S)6G2である。
【0099】
国際公開第2007/024715号又は国際公開第2007/109254号、国際公開第2010/112193号、国際公開第2010/145792号又は国際公開第2010/145793号の二重特異性四価抗体フォーマットは、抗原結合部位を全長抗体に連結するためのペプチドコネクタを含む。典型的には、このようなペプチドコネクタは、アミノ酸配列を有するペプチドであって、好ましくは合成起源であり、少なくとも5アミノ酸長、好ましくは5〜100個の長さを有する(一実施態様では、10〜50アミノ酸長を有する;一実施態様では、10〜50アミノ酸長を有する)ペプチドである。一実施態様では、前記ペプチドコネクタは、(GxS)n又は(GxS)nGm(式中、G=グリシン、S=セリン及び(x=3、n=3、4、5又は6及びm=0、1、2又は3)又は(x=4、n=2、3、4又は5及びm=0、1、2又は3))である。一実施態様では、前記ペプチドコネクタは(G3S)3又は(G4S)2である。
【0100】
本発明のさらなる実施態様は、本発明の二重特異性抗体を生産するための方法であって、本発明の抗体の重鎖をコードする核酸及び前記抗体の軽鎖をコードする核酸の配列を1つ又は2つの発現ベクターに挿入し、前記ベクターを真核ホスト細胞に挿入し、コードされた抗体を発現させ、ホスト細胞又は上清から回収することを特徴とする方法である。
【0101】
本発明の抗体は、好ましくは、リコンビナント手段によって生産される。このような方法は当技術分野で周知であり、原核細胞及び真核細胞においてタンパク質を発現させること、続いて抗体ポリペプチドを単離すること、及び通常は薬学的に許容しうる純度に精製することを含む。タンパク質の発現のために、軽鎖及び重鎖又はそれらのフラグメントをコードする核酸を、標準的な方法によって発現ベクターに挿入する。適切な原核又は真核ホスト細胞、例えばCHO細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、HEK293細胞、COS細胞、酵母又はE.coli細胞において発現を実施し、細胞から抗体を回収する(上清から又は細胞溶解後)。
【0102】
抗体のリコンビナント生産は当技術分野で周知であり、例えば、Makrides, S.C., Protein Expr. Purif. 17 (1999) 183-202; Geisse, S., et al., Protein Expr. Purif. 8 (1996) 271-282; Kaufman, R.J., Mol. Biotechnol. 16 (2000) 151-160; Werner, R.G., Arzneimittelforschung (Drug Res.) 48 (1998) 870-880の総説論文に記載されている。
【0103】
抗体は、細胞そのもの中、細胞溶解物液中に存在してもよいし、又は部分的に精製された形態若しくは実質的に純粋な形態で存在してもよい。他の細胞成分又は他の混入物質、例えば他の細胞性核酸又はタンパク質を排除するために、カラムクロマトグラフィー及び当技術分野で周知の他の技術を含む標準的な技術によって精製が実施される。Ausubel, F. et al. (eds.), Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley Interscience, New York (1987)を参照のこと。
【0104】
NS0細胞における発現は、例えば、Barnes, L.M., et al., Cytotechnology 32 (2000) 109-123; Barnes, L.M., et al., Biotech. Bioeng. 73 (2001) 261-270によって記載されている。一過性発現は、例えば、Durocher, Y., et al., Nucl. Acids. Res. 30 (2002) E9によって記載されている。可変ドメインのクローニングは、Orlandi, R., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989) 3833-3837; Carter, P., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 (1992) 4285-4289; Norderhaug, L., et al., J. Immunol. Methods 204 (1997) 77-87によって記載されている。好ましい一過性発現系(HEK293)は、Schlaeger, E.-J. and Christensen, K., in Cytotechnology 30 (1999) 71-83及びSchlaeger, E.-J., in J. Immunol. Methods 194 (1996) 191-199によって記載されている。
【0105】
モノクローナル抗体は、例えばプロテインAセファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、透析又はアフィニティークロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製手順によって、培養培地から適切に分離される。モノクローナル抗体をコードするDNA及びRNAは、従来の手順を使用して容易に単離及び配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNA及びRNAの供給源として役立ち得る。単離したらDNAを発現ベクターに挿入し、次いでこれを別の方法で免疫グロブリンタンパク質を産生しないHEK293細胞、CHO細胞又は骨髄腫細胞などのホスト細胞にトランスフェクションして、ホスト細胞においてリコンビナントモノクローナル抗体の合成を得ることができる。
【0106】
抗TWEAK/抗IL17二重特異性抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当技術分野で公知の様々な方法によって調製される。これらの方法としては、限定されないが、天然源からの単離(天然に存在するアミノ酸配列変異体の場合)、又は以前に調製した変異体バージョン若しくは非変異体バージョンの抗TWEAK/抗IL17二重特異性抗体のオリゴヌクレオチド媒介性(又は部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発及びカセット突然変異誘発による調製が挙げられる。
【0107】
本発明の重鎖及び軽鎖可変ドメインを、プロモーター配列、翻訳開始配列、定常領域配列、3’非翻訳領域配列、ポリアデニル化配列及び転写終結配列と合わせて発現ベクター構築物を形成する。重鎖及び軽鎖発現構築物を合わせて単一のベクターに入れるか、ホスト細胞にコトランスフェクションするか、連続的にトランスフェクションするか、又は別々にトランスフェクションし、次いでこれを融合して両方の鎖を発現する単一のホスト細胞を形成することができる。
【0108】
二重特異性TWEAK/IL17抗体、特に二重特異性二価抗体は、優れた発展性及び生産可能性(例えば、特定の生産条件を必要とするホットスポットが含まれない)、優れた力価及び収率などの有益な特性を有し、多量かつ比較的少ない不純物(プロテインA(SE−HPLC)後のモノマーは>60%であり、セカンドカラム後の推定純度(ESI−MS)は>80%である)で生産可能である(実施例14及び15を参照のこと)。
【0109】
医薬組成物
本明細書に記載される二重特異性TWEAK/IL17抗体の医薬組成物は、所望の純度を有するこのような抗体を1つ以上の任意の薬学的に許容しうる担体と、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で混合することによって調製される(Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th edition, Osol, A. (ed.) (1980))。薬学的に許容しうる担体は、一般に、用いられる投与量及び濃度でレシピエント無毒であり、限定されないが、緩衝液、例えばリン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸;抗酸化剤(アスコルビン酸及びメチオニンを含む);保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコール又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチルパラベン又はプロピルパラベンの;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリシン;単糖、二糖及び他の糖質(グルコース、マンノース又はデキストリンを含む);キレート剤、例えばEDTA;糖、例えばスクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えば、Zn−タンパク質複合体);及び/又は非イオン性界面活性剤、例えばポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。本明細書における例示的な薬学的に許容しうる担体としてはさらに、間質薬物分散剤(interstitial drug dispersion agent)、例えば可溶性中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば溶性PH−20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質、例えばrhuPH20(HYLENEX(登録商標), Baxter International, Inc.)が挙げられる。rhuPH20を含むある特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許出願公開第2005/0260186号及び米国特許出願公開第2006/0104968号に記載されている。一態様では、sHASEGPを1つ以上のさらなるグリコサミノグリカナーゼ、例えばコンドロイチナーゼと合わせる。
【0110】
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体製剤としては、米国特許第6,171,586号及び国際公開第2006/044908号に記載されている製剤が挙げられ、後者の製剤はヒスチジン−酢酸緩衝液を含む。
【0111】
本明細書における製剤はまた、処置される特定の適応症の必要に応じて、1つよりも多くの有効成分、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有する有効成分を含有し得る。
【0112】
ヒトTWEAK及びヒトIL17に特異的に結合する本発明の二重特異性抗体(特に、二重特異性二価)は、(高度に凝集することなく、優れた収率でそれらを生産することができるような)低粘性及び高安定性などの特に有益な特性を有する(実施例18を参照のこと)。低粘性及び高安定性を有するこのような二価二重特異性抗体は、例えば、皮下投与に使用することができる高濃度製剤/組成物に特に有用である。
【0113】
本発明の二重特異性抗体は単一の有効成分として、又は例えば上述の疾患を処置若しくは予防するための他の薬物、例えば免疫抑制剤若しくは免疫調節剤若しくは他の抗炎症剤と併せて(例えば、これらに対するアジュバントとして又はこれらと組み合わせて)投与することができる。例えば、本明細書に記載される二重特異性抗体は、DMARD、例えば金塩、スルファサラジン、抗マラリア薬、メトトレキサート、D−ペニシラミン、アザチオプリン、ミコフェノール酸、シクロスポリンA、タクロリムス、シロリムス、ミノサイクリン、レフルノミド、グルココルチコイド;カルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリンA又はFK506;リンパ球再循環のモデュレーター、例えばFTY720及びFTY720類似体;mTOR阻害剤、例えばラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、CCI779、ABT578、AP23573又はTAFA−93;免疫抑制特性を有するアスコマイシン、例えばABT−281、ASM981など;コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン(azathioprene);メトトレキサート;レフルノミド;ミゾリビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスパルグアリン又はそれらの免疫抑制性ホモログ、類似体若しくは誘導体;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば白血球レセプター、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28、CD40、CD45、CD58、CD80、CD86又はそれらのリガンドに対するモノクローナル抗体;他の免疫調節化合物、例えばCTLA4又はその突然変異体の細胞外ドメインの少なくとも一部を有するリコンビナント結合分子、例えばCTLA4又はその突然変異体の少なくとも細胞外部分を非CTLA4タンパク質配列に結合したもの、例えばCTLA4Ig(例えば、指定ATCC 68629)又はその突然変異体、例えばLEA29Y;接着分子阻害剤、例えばLFA−1アンタゴニスト、ICAM−1若しくは−3アンタゴニスト、VCAM−4アンタゴニスト又はVLA−4アンタゴニスト;又は化学療法剤、例えばパクリタキセル、ゲムシタビン、シスプラスチン、ドキソルビシン又は5−フルオロウラシル;抗TNF剤、例えばTNFに対するモノクローナル抗体、例えばインフリキシマブ、アダリムマブ、CDP870又はTNF−RI若しくはTNF−RIIに対するレセプター構築物、例えばエタネルセプト、PEG−TNF−RI;炎症促進性サイトカインの遮断薬、IL−1遮断薬、例えばアナキンラ又はIL−1トラップ、AAL160、ACZ885、IL−6遮断薬;ケモカイン遮断薬、例えばプロテアーゼの阻害剤又は活性化剤、例えばメタロプロテアーゼ、抗IL−15抗体、抗IL−6抗体、抗IL−23抗体、抗CD20抗体、NSAID、例えばアスピリン又は抗感染剤と組み合わせて使用することができる(このリストは前記薬剤に限定されない)。
【0114】
本発明の二重特異性抗体を以下の薬剤の1つ以上と組み合わせて、又はこれらに加えて提供することができる:
− サイトカイン機能のアンタゴニスト(例えば、サイトカインシグナリング経路に対して作用する薬剤、例えばSOCS系のモデュレーター)、例えばα、β及び/又はγ−インターフェロン;インスリン様成長因子I型(IGF−1)のモデュレーター、そのレセプター及び関連する結合タンパク質;インターロイキン(IL)、例えばIL−1〜33のうちの1つ以上、及び/又はインターロイキンアンタゴニスト若しくは阻害剤、例えばアナキンラ;インターロイキンファミリーメンバーのレセプターの阻害剤又はこのようなレセプターの特定のサブユニットの阻害剤;腫瘍壊死因子α(TNF−α)阻害剤、例えば抗TNFモノクローナル抗体(例えば、インフリキシマブ;アダリムマブ及び/若しくはCDP−870)及び/若しくはTNFレセプターアンタゴニスト、例えば免疫グロブリン分子(例えば、エタネルセプト)及び/若しくは低分子量薬剤、例えばペントキシフィリン;
− B細胞のモデュレーター、例えばBリンパ球(例えば、CD20(リツキシマブ)若しくはMRA−aIL16R)又はTリンパ球(例えば、CTLA4−Ig、HuMax Il−15若しくはアバタセプト)をターゲティングするモノクローナル抗体;
− 破骨活性を阻害するモデュレーター、例えばRANKLに対する抗体;
− ケモカイン又はケモカインレセプター機能のモデュレーター、例えばCCR1、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10及びCCR11(C−Cファミリーについて);CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4及びCXCR5及びCXCR6(C−X−Cファミリーについて)並びにCX3CR1(C−X3−Cファミリーについて)のアンタゴニスト;
− マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、すなわちストロメリジン、コラゲナーゼ及びゼラチナーゼ並びにアグレカナーゼのうちの1つ以上;特に、コラゲナーゼ−1(MMP1)、コラゲナーゼ−2(MMP8)、コラゲナーゼ−3(MMP13)、ストロメリジン−1(MMP3)、ストロメリジン−2(MMP10)及び/若しくはストロメリジン−3(MMP11)及び/若しくはMMP9及び/若しくはMMP12の阻害剤、例えばドキシサイクリンなどの薬剤;ロイコトリエン生合成阻害剤、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害剤又は5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニスト、例えば;ジロートン;ABT−761;フェンロートン;テポキサリン;Abbott−79175;Abbott−85761;N−(5−置換)−チオフェン−2−アルキルスルホンアミド;2,6−ジ−tert−ブチルフェノールヒドラゾン;メトキシテトラヒドロピラン、例えばZeneca ZD−2138;化合物SB−210661;ピリジニル−置換2−シアノナフタレン化合物、例えばL−739,010;2−シアノキノリン化合物、例えばL−746,530;インドール及び/又はキノリン化合物、例えばMK−501、MK−886及び/又はBAYx1005;
− フェノチアジン−3−1s、例えばL−651,392;アミジノ化合物、例えばGGS−25019c;ベンゾキサラミン、例えばオンタゾラスト;ベンゼンカルボキシミダミド、例えばBIIL284/260;並びにザフィルルカスト、アブルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、ベルルカスト(MK−679)、RG−12525、Ro−245913、イラルカスト(CGP45715A)及びBAYx7195などの化合物からなる群より選択される、ロイコトリエン(LT)B4、LTC4、LTD4及びLTE4に対するレセプターアンタゴニスト;ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、例えばメチルキサンタニン、例えばテオフィリン及び/若しくはアミノフィリン;並びに/又は選択的PDEイソ酵素阻害剤、例えばPDE4阻害剤及び/若しくはアイソフォームPDE4Dの阻害剤及び/若しくはPDE5の阻害剤;
− ヒスタミン1型レセプターアンタゴニスト、例えばセチリジン、ロラタジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、アクリバスチン、テルフェナジン、アステミゾール、アゼラスチン、レボカバスチン、クロルフェニラミン、プロメタジン、シクリジン及び/又はミゾラスチン(一般には、経口的、局所的又は非経口的に適用される);
− プロトンポンプ阻害剤(例えば、オメプラゾール)又は胃保護ヒスタミン2型レセプターアンタゴニスト;−ヒスタミン4型レセプターのアンタゴニスト;α−1/α−2アドレナリンレセプターアゴニスト血管収縮性交感神経様作用剤、例えばプロピルヘキセドリン、フェニルエフリン、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、シュードエフェドリン、塩酸ナファゾリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸キシロメタゾリン、塩酸トラマゾリン及び塩酸エチルノルエピネフリン;抗コリン剤、例えばムスカリンレセプター(M1、M2及びM3)アンタゴニスト、例えばアトロピン、ヒヨスチン、グリコピロレート、臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、臭化オキシトロピウム、ピレンゼピン及びテレンゼピン;
− β−アドレナリンレセプターアゴニスト(βレセプターサブタイプ1−4を含む)、例えばイソプレナリン、サルブタモール、フォルモテロール、サルメテロール、テルブタリン、オルシプレナリン、ビトルテロールメシラート及び/又はピルブテロール、例えばそのキラルエナンチオマー;
− クロモン、例えばナトリウムクロモグリケート及び/又はネドクロミルナトリウム;
− 糖質コルチコイド、例えばフルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデゾニド、プロピオン酸フルチカゾン、シクレゾニド及び/又はフロ酸モメタゾン;核ホルモンレセプターをモデュレーションする薬剤、例えばPPAR;
− 免疫グロブリン(Ig)若しくはIg調製物又はIg機能をモデュレーションするアンタゴニスト若しくは抗体、例えば抗IgE(例えば、オマリズマブ);
− 他の全身若しくは局所適用される抗炎症剤、例えばサリドマイド若しくはその誘導体、レチノイド、ジフラノール及び/又はカルシポトリオール;
− アミノサリチル酸とスルファピリジンとの組み合わせ、例えばスルファサラジン、メサラジン、バルサラジド及びオルサラジン;並びに免疫調節剤、例えばチオプリン及びコルチコステロイド、例えばブデゾニド;
− 抗細菌剤、例えばペニシリン誘導体、テトラサイクリン、マクロライド、β−ラクタム、フルオロキノロン、メトロニダゾール及び/若しくは吸入用アミノグリコシド;並びに/又は抗ウイルス剤、例えばアシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル;アマンタジン、リマンタジン;リバビリン;ザナマビル及び/若しくはオセルタマビル;プロテアーゼ阻害剤、例えばインジナビル、ネルフィナビル、リトナビル及び/若しくはサキナビル;ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、例えばジダノシン、ラミブジン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン;非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、例えばネビラピン、エファビレンズ;心血管剤、例えばカルシウムチャンネル遮断剤、β−アドレナリンレセプター遮断剤、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシン−2レセプターアンタゴニスト;脂質低下剤、例えばスタチン及び/若しくはフィブラート;血液細胞形態のモデュレーター、例えばペントキシフィリン;血栓溶解剤及び/又は凝固防止剤、例えば血小板凝集阻害剤;
− CNS剤、例えば抗うつ剤(例えば、セルトラリン)、抗パーキンソン病剤(例えば、デプレニル、L−ドーパ、ロピニロール、プラミペキソール、MAOB阻害剤、例えばセレギン及びラサギリン、comP阻害剤、例えばタスマール、A−2阻害剤、ドーパミン再取込み阻害剤、NMDAアンタゴニスト、ニコチンアゴニスト、ドーパミンアゴニスト並びに/又は神経一酸化窒素合成酵素)、並びに抗アルツハイマー剤、例えばドネペジル、リバスチグミン、タクリン、COX−2阻害剤、プロペントフィリン若しくはメトリフォナート;急性及び慢性疼痛の処置のための薬剤、例えば中枢若しくは末梢作用性鎮痛剤、例えばオピオイド類似体若しくは誘導体、カルバマゼピン、フェニトイン、バルプロ酸ナトリウム、アミトリプチジン又は他の抗うつ剤、パラセタモール若しくは非ステロイド系抗炎症剤;非経口又は局所適用(吸入を含む)局所麻酔剤、例えばリグノカイン又はその類似体;抗骨粗鬆症剤、例えばホルモン剤、例えばラロキシフェン又は二ホスホン酸、例えばアレドロナート;
(i)トリプターゼ阻害剤;(ii)血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト;(iii)インターロイキン変換酵素(ICE)阻害剤;(iv)IMPDH阻害剤;(v)接着分子阻害剤(VLA−4アンタゴニストを含む);(vi)カテプシン;(vii)キナーゼ阻害剤、例えばチロシンキナーゼの阻害剤(例えば、Btk、Itk、Jak3 MAP阻害剤の例としては、ゲフィニチブ、イマチニブメシラートが挙げられ得る)、セリン/トレオニンキナーゼ(例えば、p38、JNK、タンパク質キナーゼA、B及びC並びにIKKなどのMAPキナーゼの阻害剤)、又は細胞周期調節に関与するキナーゼ(例えば、サイクリン依存的キナーゼ);(viii)グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤;(ix)キニン−B.sub1.及び/又はB.sub2.レセプターアンタゴニスト;(x)抗痛風剤、例えばコルチシン;(xi)キサンチンオキシダーゼ阻害剤、例えばアロプリノール;(xii)尿酸排泄剤、例えばプロベネシド、スルフィンピラゾン及び/又はベンズブロマロン;(xiii)成長ホルモン分泌促進剤;(xiv)トランスフォーミング成長因子(TGFβ);(xv)血小板由来成長因子(PDGF);(xvi)線維芽細胞成長因子、例えば塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF);(xvii)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);(xviii)カプサイシンクリーム;(xix)タシキニンNK.sub1.及び/又はNK.sub3.レセプターアンタゴニスト、例えばNKP−608C、SB−233412(タルネタント)及び/又はD−4418;(xx)エラスターゼ阻害剤、例えばUT−77及び/又はDZ−0892;(xxi)TNF−α変換酵素阻害剤(TACE);(xxii)誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害剤又は(xxiii)TH2細胞上で発現される化学誘因物質レセプター相同分子(例えば、CRTH2アンタゴニスト)、(xxiv)P38の阻害剤、(xxv)Toll様レセプター(TLR)の機能をモデュレーションする薬剤及び(xxvi)P2X7などのプリン作動性レセプターの活性をモデュレーションする薬剤;(xxvii)NFκB、API及び/又はSTATなどの転写因子活性化の阻害剤。
【0115】
阻害剤は特異的なものでもよいし、又は混合阻害剤、例えば、1つよりも多くの分子(例えば、レセプター)又は上述の分子クラスをターゲティングする阻害剤でもよい。
【0116】
二重特異性抗体は化学療法剤又は別のチロシンキナーゼ阻害剤と共に同時投与に使用することもできるし、又はイムノコンジュゲートの形態で使用することもできる。前記抗体のフラグメントを、リコンビナント機構若しくは生化学的カップリングによって得られる二重特異性抗体に使用し、次いで上記抗体の特異性を、IL−17が関連する活性に関与する他の分子を認識することができる他の抗体の特異性と関連させることもできる。炎症性疾患の処置のために、本発明の二重特異性抗体を、1つ以上の薬剤、例えば:局所若しくは全身適用にかかわらず、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)−1/COX−2阻害剤を含む非ステロイド系抗炎症剤(以下、NSAIDと称される)(例えば、ピロキシカム、ジクロフェナク、プロピオン酸、例えばナプロキセン、フルリビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン及びイブプロフェン、フェナメート、例えばメフェナミン酸、インドメタシン、スリンダック、アザプロパゾン、ピラゾロン、例えばフェニルブタゾン、サリチル酸塩、例えばアスピリン);選択的COX−2阻害剤(例えば、メロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルマロコキシブ、パラコキシブ及びエトリコキシブ);シクロオキシゲナーゼ阻害一酸化窒素供与体(CINOD);糖質コルチコステロイド(局所、経口、筋肉内、静脈内又は関節内経路による投与にかかわらず);メトトレキサート、レフルノミド;ヒドロキシクロロキン、d−ペニシラミン、オーラノフィン又は他の非経口若しくは経口金調製物;鎮痛剤;ジアセレイン;関節内治療、例えばヒアルロン酸誘導体;並びにの栄養補給物質、例えばグルコサミンと組み合わせることができる。
【0117】
本発明の二重特異性抗体を、ガン処置のための既存の治療剤と組み合わせて使用することもできる。組み合わせて使用されるべき適切な薬剤としては、(i)内科的腫瘍に使用される抗増殖剤/抗新生物剤、例えばアルキル化剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、窒素マスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン及びニトロソウレア);代謝拮抗剤(例えば、抗葉酸剤、例えばフルオロピリミジン、例えば5−フルオロウラシル及びテガフール、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシウレア、ゲムシタビン並びにパクリタキセル;抗腫瘍性抗生物質(例えば、アントラサイクリン、例えばアドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン及びミトラマイシン);抗有糸分裂剤(例えば、ビンカアルカロイド、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン及びビノレルビン並びにタキソイド、例えばタキソール及びタキソテール);並びにトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エピポドフィロトキシン、例えばエトポシド及びテニポシド、アムサクリン、トポテカン並びにカンポテシン);
(ii)細胞増殖抑制剤、例えば抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン及びヨードキシフェン)、エストロゲンレセプターダウンレギュレーター(例えば、フルベストラント)、抗アンドロゲン剤(例えば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド及び酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニスト又はLHRHアゴニスト(例えば、ゴセレリン、ロイプロレリン及びブセレリン)、プロゲストゲン(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、ボラゾール及びエキセメスタン)並びに5α−リダクターゼの阻害剤、例えばフィナステリド;
(iii)ガン細胞侵襲を阻害する薬剤(例えば、メタロプロテイナーゼ阻害剤、例えばマリマスタット及びウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子レセプター機能の阻害剤);(iv)成長因子機能の阻害剤、例えば、このような阻害剤としては、成長因子抗体、成長因子レセプター抗体(例えば、抗erbb2抗体トラスツズマブ及び抗erbb1抗体セツキシマブ[C225])、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤並びにセリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、例えば、上皮成長因子ファミリーの阻害剤(例えば、EGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤、例えばN−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ、AZD1839)、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ、OSI−774)及び6−アクリルアミド−N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI1033))、例えば血小板由来成長因子ファミリーの阻害剤並びに例えば肝細胞成長因子ファミリーの阻害剤;(v)抗血管新生剤、例えば血管内皮成長因子の効果を阻害するもの(例えば、抗血管内皮細胞成長因子抗体ベバシズマブ、国際公開第97/22596号、国際公開第97/30035号、国際公開第97/32856号及び国際公開第98/13354号(これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているものなどの化合物)並びに他の機構によって作用する化合物(例えば、リノミド、インテグリンαvβ3機能の阻害剤及びアンギオスタチン);(vi)血管損傷剤、例えばコンブレタスタチンA4並びに国際公開第99/02166号、国際公開第00/40529号、国際公開第00/41669号、国際公開第01/92224号、国際公開第02/04434号及び国際公開第02/08213号(これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている化合物;(vii)アンチセンス治療、例えば上記ターゲットに対するもの、例えばISIS2503、抗rasアンチセンス;(viii)遺伝子治療アプローチ、例えば異常なp53又は異常なBRCA1若しくはBRCA2などの異常な遺伝子を置換するアプローチ、GDEPT(遺伝子指向性酵素プロドラッグ治療)アプローチ、例えばシトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼ若しくは細菌ニトロリダクターゼ酵素を使用するもの並びに多剤耐性遺伝子治療などの化学療法若しくは放射線療法に対する患者の寛容性を増加させるアプローチ;並びに(ix)免疫治療アプローチ、例えばインターロイキン2、インターロイキン4若しくは顆粒球マクロファージコロニー刺激因子などのサイトカインを使用するトランスフェクションなどの、患者の腫瘍細胞の免疫原性を増加させるためのex vivo及びin vivoアプローチ、T細胞アネルギーを減少させるアプローチ、サイトカインをトランスフェクションされた樹状細胞などのトランスフェクションされた免疫細胞を使用するアプローチ、サイトカインをトランスフェクションされた腫瘍細胞系を使用するアプローチ並びに抗イディオタイプ抗体を使用するアプローチ、
【0118】
このような有効成分は、適切には、意図される目的に有効な量で組み合わせて存在する。
【0119】
有効成分は、例えばコアセルベーション技術若しくは界面重合によって調製されたマイクロカプセル中に、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチンマイクロカプセル及びポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノパーティクル及びナノカプセル)中に、又はマクロエマルジョン中に封入することができる。このような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th edition, Osol, A. (ed.) (1980)に開示されている。
【0120】
徐放製剤を調製してもよい。徐放製剤の適切な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、そのマトリックスは、造形品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。
【0121】
in vivo投与に使用されるべき組成物は、一般に滅菌されている。滅菌性は、例えば、滅菌ろ過膜によるろ過によって容易に達成することができる。
【0122】
本発明の二重特異性抗体、特に二重特異性二価抗体は、(実施例3、4、10、11、16、17及び19に記載されているアッセイにおいて決定した)有益な生物学的特性を有する:
A)二重特異性TWEAK/IL17抗体は、
a)(実施例17でIC50/価として決定したように)0.2nM以下のIC50値で(例えば、0.2nM〜0.0nMのIC50値で);好ましくは、0.1nM以下のIC50値で、ヒト繊維芽細胞様滑膜細胞関節リウマチ(HFLS−RA)のTWEAK誘導性増殖を阻害し;及び
b)(実施例16で決定したように)3.0nM以下のIC50値で(例えば、3.0nM〜0.0nMのIC50値で);好ましくは、2.0nM以下のIC50値で、ヒト繊維芽細胞様滑膜細胞関節リウマチ(HFLS−RA)のIL17誘導性IL6サイトカイン刺激を阻害し;及び
c)(実施例16で決定したように)2.0nM以下のIC50値で(例えば、2.0nM〜0.0nMのIC50値で);好ましくは、1.5nM以下のIC50値で、ヒト繊維芽細胞様滑膜細胞関節リウマチ(HFLS−RA)のIL17誘導性IL8サイトカイン刺激を阻害する、
B)二重特異性TWEAK/IL17抗体は、ヒト<TWEAK>及びヒト<IL17>に同時に結合することができ、ここで、ヒト<TWEAK>及びヒト<IL17>の1:1混合物に対する二重特異性TWEAK/IL17抗体の結合の(表面プラズモン共鳴アッセイ(実施例19)における)シグナル強度(RU単位)は、(実施例19で決定したように)a)ヒト<TWEAK>単独に対する二重特異性TWEAK/IL17抗体の結合のシグナル強度(RU単位)、及びb)ヒト<IL17>単独に対する二重特異性TWEAK/IL17抗体の結合のシグナル強度(RU単位)の合計と比較して少なくとも同じであるか又は高い。
C)二重特異性TWEAK/IL17抗体は、(実施例10で決定したように)IL17B、IL17C、IL17D、IL17Fとの交差反応性を示さず(これは、IL17B、IL17C、IL17D及びIL17Fに対する結合が、IL17Aに対する結合(これを100%と設定する)と比較して0%であることを意味する);
D)二重特異性TWEAK/IL17抗体は、(実施例11で決定したように)2.0nM以下のIC50値で(例えば、2.0nM〜0.0nMのIC50値で)、CCD−25SK細胞のIL17誘導性IL6サイトカイン刺激を阻害し;
E)二重特異性TWEAK/IL17抗体は、(実施例11で決定したように)5.0nM以下のIC50値で(例えば、5.0nM〜0.0nMのIC50値で);好ましくは2.0nM以下のIC50値で、CCD−25SK細胞のIL17誘導性IL8サイトカイン刺激を阻害し;
F)二重特異性TWEAK/IL17抗体は、(実施例4で決定したように)4.0[ng/ml]以下のIC50値で(例えば、4.0[ng/ml]〜0.0[ng/ml]のIC50値で);好ましくは3.0[ng/ml]以下のIC50値で、ヒトTWEAK/ヒトFn14相互作用を阻害し;
G)二重特異性TWEAK/IL17抗体は、(実施例19で決定したように)0.1nM以下の結合親和性のKD値でヒトTWEAKに結合し、0.3nM以下の結合親和性のKD値でヒトIL−17に結合し;及び/又は
H)二重特異性TWEAK/IL17抗体は、(実施例19で決定したように)Biacoreによって測定した場合に、可溶性ヒトTWEAK(配列番号68のアミノ酸99〜249)と抗体との複合体について25℃で100分間以上の半減期を示す。
【0123】
「ヒト繊維芽細胞様滑膜細胞関節リウマチ(HFLS−RA)」という用語は、RA患者から得られたヒト成人繊維芽細胞様滑膜細胞(ヒト繊維芽細胞様滑膜細胞関節リウマチ(HFLS−RA))、例えば、Cell Applications Inc. (San Diego, CA, USA)から入手可能なHFLS−RA(Cat. #408RA-05a)を指す。ヒト繊維芽細胞様滑膜細胞関節リウマチ(HFLS−RA)は、関節リウマチ(RA)を有する患者から得られた滑膜組織から単離される。それらを第2継代で凍結保存し、培養して少なくとも5回の集団倍加で繁殖させることができる。HFLSは、軟骨分解に寄与するサイトカイン及びメタロプロテイナーゼを産生することによって関節破壊において役割を果たしていることが古くから公知である(Firestein, G.S., et al., J. Immunol. 149 (1992) 1054; Firestein, G.S., et al., Arthritis and Rheumatism 37(5) (1994) 644)。炎症促進性サイトカインは、増殖、コラゲナーゼ及びアグリカナーゼの産生、並びにHFLSに対するGM−CSFの分泌を誘導する(Alvaro, J.M., et al., J. Clin. Immunol. 13(3) (1993) 212; Yamanishi, Y., et al., J. Immunol. 168(3) (2002) 1405)。進行中の関節炎研究はまた、HFLSがアポトーシス及びP53突然変異を発現することを示している(Firestein, G.S., et al., J. Clin. Invest. 96 (1995) 1631; Firestein, G.S., et al., Am. J. Pathol. 148(6) (1996) 2143)。本発明者らは、HFLS−RAとHFLS−OAとの間の違い、例えば、プロテアーゼ(Firestein, G.S., et al., Am. J. Pathol. 148(6) (1996) 2143)及びインテグリンサブユニット(Rinaldi, N., et al., Ann. Rheum. Dis. 56(12) (1997) 729)の発現及びレギュレーションを研究するのに有用な細胞モデルである2種類のHFLSを提供する。
【0124】
「IL17誘導性IL6又はIL8サイトカイン刺激」は、ヒトIL17によるヒトIL6又はヒトIL8サイトカイン刺激を指す。ヒト繊維芽細胞様滑膜細胞関節リウマチ(HFLS−RA)のTWEAK誘導性増殖及びヒト繊維芽細胞様滑膜細胞関節リウマチ(HFLS−RA)のIL17誘導性IL6サイトカイン刺激のIC50値は、一価当たりの(各抗原(実施例16ではIL17、及び実施例17ではTWEAK)に対する結合アーム当たりの)IC50値として計算される。これは、各抗原に対する1つの結合アームを有する二重特異性二価抗体(=これは各抗原に対して一価である)の場合には、IC50値が(実施例16及び17の)決定したIC50値と同一であることを意味する。このような一価の結合を、各抗原に対する2つの結合アームを有する二重特異性四価抗体(=これは各抗原に対して二価である)の結合と比較するためには、そのIC50値を達成するために2倍モル濃度の結合アームを使用したと仮定してIC50値を計算するので、(結合アーム当たりの対応する50%阻害濃度を求めるために)そのIC50値を2倍にする。
【0125】
本発明は、治療を必要とする患者を処置するための方法であって、治療有効量の本発明の抗体を患者に投与することを特徴とする方法を含む。
【0126】
本発明は、ガン、特に結腸ガン、肺ガン若しくは膵臓ガンを処置するための、又は自己免性疫疾患、関節リウマチ、乾癬性関節炎(psoratic arthritis)、筋疾患、例えば筋ジストロフィー、多発性硬化症、慢性腎疾患、骨疾患、例えば多発性骨髄腫における骨変性、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎及び血管損傷を処置するための薬品を調製するための、本発明の抗体の使用を含む。
【0127】
本発明は、全身性エリテマトーデス又はループス腎炎を処置するための薬品を調製するための、本発明の抗体の使用を含む。
【0128】
本発明は、ガン又は炎症性疾患を処置するための、好ましくは、結腸ガン、肺ガン若しくは膵臓ガンを処置するための、又は自己免性疫疾患、関節リウマチ、乾癬性関節炎(psoratic arthritis)、筋疾患、例えば筋ジストロフィー、多発性硬化症、慢性腎疾患、骨疾患、例えば多発性骨髄腫における骨変性、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎及び血管損傷を処置するための、本発明の抗体の使用を含む。
【0129】
本発明は、ガン又は炎症性疾患を処置するための、好ましくは、全身性エリテマトーデス又はループス腎炎を処置するための、本発明の抗体の使用を含む。本発明は、ガン、特に結腸ガン、肺ガン若しくは膵臓ガン、又は自己免性疫疾患、関節リウマチ、乾癬性関節炎(psoratic arthritis)、乾癬、筋疾患、例えば筋ジストロフィー、多発性硬化症、慢性腎疾患、骨疾患、例えば多発性骨髄腫における骨変性、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎及び血管損傷を患っている患者を処置するための、ヒトTWEAK及びヒトIL17に特異的に結合する本発明の二重特異性抗体の使用(又は、前記処置に使用するための前記二重特異性抗体)を含む。
【0130】
本発明は、全身性エリテマトーデス又はループス腎炎を患っている患者を処置するための、ヒトTWEAK及びヒトIL17に特異的に結合する本発明の二重特異性抗体の使用(又は、前記処置に使用するための前記二重特異性抗体)を含む。
【0131】
本発明は、様々な炎症性障害、免疫障害及び増殖性障害、例えば関節リウマチ(RA)、変形性関節症、関節リウマチ、骨粗鬆症、炎症性線維症(例えば、強皮症、肺線維症及び肝硬変)、歯肉炎、歯周炎又は他の炎症性歯周病、炎症性腸障害(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎及び炎症性腸疾患)、喘息(アレルギー性喘息を含む)、アレルギー、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、多発性硬化症、乾癬及びガン、強直性脊椎炎、全身性硬化症(systemic scleroris)、乾癬性関節炎(psioriatic arthritis)、炎症性関節炎、変形性関節症、炎症性関節疾患、自己免疫性疾患、例えば自己免疫性血管炎、多発性硬化症、狼瘡、糖尿病(例えば、インスリン糖尿病)、炎症性腸疾患、移植拒絶、移植片対宿主病、及び挫傷、捻挫、軟骨損傷、外傷、整形外科手術、感染又は他の疾患過程に起因する炎症状態を処置するための、ヒトTWEAK及びヒトIL17に特異的に結合する本発明の二重特異性抗体の使用(又は、前記処置に使用するための前記二重特異性抗体)を含む。免疫系の機能不全によって影響を受ける他の疾患は本発明の範囲内に包含され、限定されないが、アレルギーが挙げられる。
【0132】
本発明の二重特異性抗体は、自己免疫性疾患及び炎症状態、特に、自己免疫成分を含む病因による特定の炎症状態、例えば、関節炎(例えば、関節リウマチ、慢性進行性関節炎及び変形性関節炎)並びにリウマチ性疾患、例えば骨量減少を伴う炎症状態及びリウマチ性疾患、炎症性疼痛、脊椎関節症(spondyloarhropathies)、例えば強直性脊椎炎、ライター症候群、反応性関節炎、乾癬性関節炎及び腸疾患性関節炎、過敏症(気道過敏症及び皮膚過敏症の両方を含む)並びにアレルギーを処置、予防又は改善するのに特に有用である。本明細書に記載される二重特異性抗体が用いられ得る具体的な自己免疫性疾患としては、自己免疫性血液障害(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、真正赤血球性貧血及び特発性血小板減少症を含む)、全身性エリテマトーデス、炎症性筋障害、多発性軟骨炎、浮腫性硬化症(sclerodoma)、ウェゲナー肉芽腫、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、乾癬、スティーブン−ジョンソン症候群、特発性スプルー、自己免疫性炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病及び過敏性腸症候群を含む)、内分泌眼症、グレーブス病、サルコイドーシス、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、若年性糖尿病(I型糖尿病)、ブドウ膜炎(前部及び後部)、乾性角結膜炎及び春季カタル、間質性肺線維症、乾癬性関節炎並びに糸球体腎炎(ネフローゼ症候群の有無にかかわらず、例えば、特発性ネフローゼ症候群又は微小変化型腎症を含む)、腫瘍、多発性硬化症、皮膚及び角膜の炎症性疾患、筋炎、骨のインプラントの緩み、代謝障害、例えばアテローム性動脈硬化症、糖尿病及び脂質異常症が挙げられる。本発明の二重特異性抗体はまた、喘息、気管支炎、塵肺症、肺気腫及び気道の他の閉塞性又は炎症性疾患を処置、予防又は改善するのに有用である。
【0133】
本発明はまた、このような疾患を患っている患者を処置するための方法を含む。
【0134】
本発明はさらに、薬学的に許容しうる担体と一緒に有効量の本発明の抗体を含む医薬組成物を製造するための方法、及びこのような方法のための本発明の抗体の使用を提供する。
【0135】
本発明はまた、ガン、特に結腸ガン、肺ガン若しくは膵臓ガン、又は自己免性疫疾患、関節リウマチ、乾癬性関節炎(psoratic arthritis)、筋疾患、例えば筋ジストロフィー、多発性硬化症、慢性腎疾患、骨疾患、例えば多発性骨髄腫における骨変性、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎及び血管損傷を患っている患者を処置するための医薬品を製造するための、好ましくは薬学的に許容しうる担体との有効量の本発明の抗体の使用を提供する。
【0136】
本発明はまた、自己免疫性疾患及び炎症状態、特に、自己免疫成分を含む病因による特定の炎症状態、例えば、関節炎(例えば、関節リウマチ、慢性進行性関節炎及び変形性関節炎)並びにリウマチ性疾患、例えば骨量減少を伴う炎症状態及びリウマチ性疾患、炎症性疼痛、脊椎関節症(spondyloarhropathies)、例えば強直性脊椎炎、ライター症候群、反応性関節炎、乾癬性関節炎及び腸疾患性関節炎、過敏症(気道過敏症及び皮膚過敏症の両方を含む)並びにアレルギーを患っている患者を処置するための医薬品を製造するための、好ましくは薬学的に許容しうる担体との有効量の本発明の抗体の使用を提供する。本明細書に記載される二重特異性抗体が用いられ得る具体的な自己免疫性疾患としては、自己免疫性血液障害(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、真正赤血球性貧血及び特発性血小板減少症を含む)、全身性エリテマトーデス、炎症性筋障害、多発性軟骨炎、浮腫性硬化症(sclerodoma)、ウェゲナー肉芽腫、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、乾癬、スティーブン−ジョンソン症候群、特発性スプルー、自己免疫性炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病及び過敏性腸症候群を含む)、内分泌眼症、グレーブス病、サルコイドーシス、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、若年性糖尿病(I型糖尿病)、ブドウ膜炎(前部及び後部)、乾性角結膜炎及び春季カタル、間質性肺線維症、乾癬性関節炎並びに糸球体腎炎(ネフローゼ症候群の有無にかかわらず、例えば、特発性ネフローゼ症候群又は微小変化型腎症を含む)、腫瘍、多発性硬化症、皮膚及び角膜の炎症性疾患、筋炎、骨のインプラントの緩み、代謝障害、例えばアテローム性動脈硬化症、糖尿病及び脂質異常症が挙げられる。本発明の二重特異性抗体はまた、喘息、気管支炎、塵肺症、肺気腫及び気道の他の閉塞性又は炎症性疾患を処置、予防又は改善するのに有用である。
【0137】
別の態様では、本発明は、例えば上記治療方法のいずれかに使用するための組成物(例えば、医薬組成物)であって、薬学的に許容しうる担体と一緒に製剤化された本明細書に記載される二重特異性TWEAK/IL17抗体を含有する組成物を提供する。
【0138】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容しうる担体」は、生理学的に適合性である任意の及びすべての溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収/再吸収遅延剤などを含む。好ましくは、担体は、注射又は点滴に適切である。
【0139】
本発明の組成物は、当技術分野で公知の様々な方法によって投与され得る。当業者によって認識されているように、投与経路及び/又は様式は、所望の結果に応じて変化するであろう。
【0140】
薬学的に許容しうる担体は、滅菌水溶液又は分散液及び滅菌注射溶液又は分散液の調製のための滅菌粉末を含む。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体及び薬剤の使用は、当技術分野で公知である。水に加えて、担体は、例えば、等張緩衝生理食塩溶液であり得る。
【0141】
別の実施態様では、医薬製剤は、本明細書で提供される二重特異性TWEAK/IL17抗体のいずれかと、少なくとも1つのさらなる治療剤(例えば、下記のもの)とを含む。
【0142】
治療では、本発明の抗体を単独で、又は他の薬剤と組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の抗体は、少なくとも1つのさらなる治療剤と同時投与することができる。ある特定の実施態様では、さらなる治療剤は、免疫抑制剤若しくは免疫調節剤又は他の抗炎症剤である。例えば、本明細書に記載される二重特異性抗体は、DMARD、例えば金塩、スルファサラジン、抗マラリア薬、メトトレキサート、D−ペニシラミン、アザチオプリン、ミコフェノール酸、シクロスポリンA、タクロリムス、シロリムス、ミノサイクリン、レフルノミド、グルココルチコイド;カルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリンA又はFK506;リンパ球再循環のモデュレーター、例えばFTY720及びFTY720類似体;mTOR阻害剤、例えばラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、CCI779、ABT578、AP23573又はTAFA−93;免疫抑制特性を有するアスコマイシン、例えばABT−281、ASM981など;コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン(azathioprene);メトトレキサート;レフルノミド;ミゾリビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスパルグアリン又はそれらの免疫抑制性ホモログ、類似体若しくは誘導体;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば白血球レセプター、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28、CD40、CD45、CD58、CD80、CD86又はそれらのリガンドに対するモノクローナル抗体;他の免疫調節化合物、例えばCTLA4又はその突然変異体の細胞外ドメインの少なくとも一部を有するリコンビナント結合分子、例えばCTLA4又はその突然変異体の少なくとも細胞外部分を非CTLA4タンパク質配列に結合したもの、例えばCTLA4Ig(例えば、指定ATCC 68629)又はその突然変異体、例えばLEA29Y;接着分子阻害剤、例えばLFA−1アンタゴニスト、ICAM−1若しくは−3アンタゴニスト、VCAM−4アンタゴニスト又はVLA−4アンタゴニスト;又は化学療法剤、例えばパクリタキセル、ゲムシタビン、シスプラスチン、ドキソルビシン又は5−フルオロウラシル;抗TNF剤、例えばTNFに対するモノクローナル抗体、例えばインフリキシマブ、アダリムマブ、CDP870又はTNF−RI若しくはTNF−RIIに対するレセプター構築物、例えばエタネルセプト、PEG−TNF−RI;炎症促進性サイトカインの遮断薬、IL−1遮断薬、例えばアナキンラ又はIL−1トラップ、AAL160、ACZ885、IL−6遮断薬;ケモカイン遮断薬、例えばプロテアーゼの阻害剤又は活性化剤、例えばメタロプロテアーゼ、抗IL−15抗体、抗IL−6抗体、抗IL−23抗体、抗CD20抗体、NSAID、例えばアスピリン又は抗感染剤と組み合わせて使用することができる(このリストは前記薬剤に限定されない)。
【0143】
このような上述の併用療法は、併用投与(2つ以上の治療剤が同一又は別個の製剤中に含まれる)、及び別個の投与(この場合、本発明の抗体の投与は、さらなる治療剤及び/又はアジュバントの投与前、投与と同時及び/又は投与後に起こり得る)を包含する。
【0144】
本発明の抗体(及び任意のさらなる治療剤)は、非経口、肺内及び鼻腔内を含む任意の適切な手段によって、並びに局所処置が望まれる場合には病巣内投与によって投与することができる。非経口注入としては、筋肉内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与又は皮下投与が挙げられる。投与は、部分的には投与が短期又は慢性であるかに応じて、任意の適切な経路、例えば静脈内注射又は皮下注射などのな注射によるものであり得る。限定されないが、単回投与又は様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与及びパルス注入などの様々な投与スケジュールが、本明細書で企図される。
【0145】
本発明の抗体は、優れた医療プラクティスに合った様式で製剤化、投薬及び投与されよう。この状況での検討要因としては、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳動物、個別の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール及び医師に公知の他の要因が挙げられる。抗体は、対象となる障害を予防又は処置するために現在使用されている1つ以上の薬剤と共に製剤化される必要はないが、場合により製剤化される。このような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害又は処置の種類及び上述の他の要因に依存する。これらは、一般に、本明細書に記載されるのと同じ投与量及び投与経路で使用されるか、又は本明細書に記載される投与量の約1〜99%で、又は経験的/臨床的に適切であると決定された任意の投与量及び経路で使用される。
【0146】
疾患の予防又は処置のために、(単独で、又は1つ以上のさらなる治療剤と組み合わせて使用する場合の)本発明の抗体の適切な投与量は、処置されるべき疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、抗体が予防又は治療目的で投与されるか、以前の治療、患者の臨床歴及び抗体に対する応答及び担当医師の判断に依存するであろう。抗体は、一度に又は一連の処置にわたって患者に適切に投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、例えば1回以上の別個の投与又は連続注入によるかにかかわらず、抗体約1μg/kg〜15mg/kg(例えば、0.5mg/kg〜10mg/kg)が、患者に投与するための初回投与量候補であり得る。1つの典型的な1日投与量は、上述の要因に応じて約1μg/kg〜100mg/kg又はそれ以上の範囲であり得る。数日間以上にわたる反復投与の場合、条件に応じて、処置は、一般に、疾患症候について所望の抑制が起こるまで継続されよう。抗体の1つの例示的な投与量は、約0.05mg/kg〜約10mg/kgの範囲である。従って、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg又は10mg/kg(又はそれらの任意の組み合わせ)の1つ以上の用量を患者に投与することができる。このような用量は、間欠的に、例えば毎週又は3週間毎に(例えば、患者が約2〜約20又は例えば約6用量の抗体を受けるように)投与することができる。より多くの初回ローディング用量に続いて、1つ以上のより少ない用量を投与することができる。例示的な投与計画は、投与することを含む。しかしながら、他の投与計画が有用な場合がある。この治療の進展は、従来の技術及びアッセイによって容易にモニタリングされる。
【0147】
選択した投与経路に関係なく、適切な水和形で使用され得る本発明の化合物及び/又は本発明の医薬組成物は、当業者に公知の従来の方法によって薬学的に許容しうる剤形に製剤化される。
【0148】
患者に毒性を及ぼすことなく、特定の患者、組成物及び投与様式にとって所望の治療応答を達成するのに有効な有効成分の量(有効量)が得られるように、本発明の医薬組成物中の有効成分の実際の投与量レベルを変更することができる。選択された投与量レベルは、用いられる特定の本発明の組成物又はそのエステル、塩若しくはアミドの活性、投与経路、投与時間、用いられる特定の化合物の排泄速度、用いられる特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物及び/又は材料、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、全般的な健康状態及び過去の病歴並びに医学分野で周知の同様な要因を含む、様々な薬物動態要因に依存するであろう。
【0149】
製品
本発明の別の態様では、上記障害の処置、予防及び/又は診断に有用な物質を含有する製品が提供される。製品は、容器及びその容器上又はその容器に付随するラベル又は添付文書を含む。適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV用溶液バッグなどが挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチックのような様々な材料から形成され得る。容器は、それ自体で又は別の組成物との組み合わせで、症状の処置、予防及び/又は診断に有効な組成物を収容し、滅菌アクセスポートを有する場合がある(例えば、その容器は、静脈用溶液バッグ又は皮下針によって刺通することができるストッパーを有するバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、本発明の抗体である。ラベル又は添付文書は、その組成物が選択された状態の処置に使用されることを示す。また、製品は、(a)本発明の抗体を含む組成物がその中に含まれている第1の容器;及び(b)さらなる細胞毒又は別の治療剤を含む組成物がその中に含まれている第2の容器を含み得る。本発明のこの実施態様では、製品は、組成物が特定の症状を処置するのに使用することができることを示す添付文書をさらに含み得る。あるいは又は加えて、製品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液などのな薬学的に許容しうる緩衝液を含む第2の(又は第3の)容器をさらに含み得る。それは、商業的観点及び使用者の観点から望ましい他の物質、例えば他の緩衝液、希釈液、フィルター、針及びシリンジをさらに含み得る。
【0150】
【表1】
【0151】
本発明の実施態様を以下に列挙する:
【0152】
1. ヒトTWEAKに特異的に結合する第1の抗原結合部位と、ヒトIL17に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む、二重特異性抗体。
【0153】
2. a)0.2nM以下のIC50値で、ヒト繊維芽細胞様滑膜細胞関節リウマチ(HFLS−RA)のTWEAK誘導性増殖を阻害し;及び
b)3.0nM以下のIC50値で、ヒト繊維芽細胞様滑膜細胞関節リウマチ(HFLS−RA)のIL17誘導性IL6サイトカイン刺激を阻害し;及び
c)2.0nM以下のIC50値で、ヒト繊維芽細胞様滑膜細胞関節リウマチ(HFLS−RA)のIL17誘導性IL8サイトカイン刺激を阻害する、実施態様1に記載の二重特異性二価抗体。
【0154】
3. 二価であることを特徴とする、実施態様1に記載の二重特異性二価抗体。
【0155】
4. i)前記第1の抗原結合部位が、
a)配列番号17のCDR1H、配列番号18のCDR2H、配列番号19のCDR3H、及び配列番号20のCDR1L、配列番号21のCDR2L、配列番号22のCDR3L;又は
b)配列番号1のCDR1H、配列番号2のCDR2H、配列番号3のCDR3H、及び配列番号4のCDR1L、配列番号5のCDR2L、配列番号6のCDR3L;又は
c)配列番号9のCDR1H、配列番号10のCDR2H、配列番号11のCDR3H、及び配列番号12のCDR1L、配列番号13のCDR2L、配列番号14のCDR3Lを含み;及び
ii)前記第2の抗原結合部位が、
配列番号47のCDR1H、配列番号48のCDR2H、配列番号49のCDR3H、及び配列番号50のCDR1L、配列番号51のCDR2L、配列番号52のCDR3Lを含むことを特徴とする、実施態様1〜3のいずれかに記載の二重特異性抗体。
【0156】
5. 実施態様4に記載の二重特異性抗体のキメラ又はヒト化変異体。
【0157】
6. i)前記第1の抗原結合部位が、
配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34又は配列番号35の可変重鎖ドメイン(VH)と、配列番号26、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45又は配列番号46の可変軽鎖ドメインとを含み;及び
ii)前記第2の抗原結合部位が、
配列番号55又は配列番号56の可変重鎖ドメイン(VH)と、配列番号57又は配列番号58の可変軽鎖ドメインとを含むことを特徴とする、実施態様1〜3のいずれかに記載の二重特異性抗体。
【0158】
7. i)前記第1の抗原結合部位が、
配列番号28の可変重鎖ドメイン(VH)と、配列番号37の可変軽鎖ドメインとを含み;及び
ii)前記第2の抗原結合部位が、
a)配列番号56の可変重鎖ドメイン(VH)と、配列番号58の可変軽鎖ドメインとを含むか;又は
b)配列番号55の可変重鎖ドメイン(VH)と、配列番号57の可変軽鎖ドメインとを含むことを特徴とする、実施態様1〜3のいずれかに記載の二重特異性抗体。
【0159】
8. i)前記第1の抗原結合部位が、
配列番号28の可変重鎖ドメイン(VH)と、配列番号37の可変軽鎖ドメインとを含み;及び
ii)前記第2の抗原結合部位が、
配列番号56の可変重鎖ドメイン(VH)と、配列番号58の可変軽鎖ドメインとを含むことを特徴とする、実施態様1〜3のいずれかに記載の二重特異性抗体。
【0160】
9. i)前記第1の抗原結合部位が、
配列番号28の可変重鎖ドメイン(VH)と、配列番号37の可変軽鎖ドメインとを含み;及び
ii)前記第2の抗原結合部位が、
配列番号55の可変重鎖ドメイン(VH)と、配列番号57の可変軽鎖ドメインとを含むことを特徴とする、実施態様1〜3のいずれかに記載の二重特異性抗体。
【0161】
10. IgG1又はIgG4サブクラスであることを特徴とする、前記実施態様のいずれかに記載の二重特異性抗体。
【0162】
11. 突然変異L234A及びL235A(ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う)を有するIgG1サブクラスであることを特徴とする、前記実施態様のいずれかに記載の二重特異性抗体。
【0163】
12. 突然変異L234A、L235A及びP329G(ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う)を有するIgG1サブクラスであることを特徴とする、前記実施態様のいずれかに記載の二重特異性抗体。
【0164】
13. 突然変異S228P及びL235E(ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う)を有するIgG4サブクラスであることを特徴とする、前記実施態様のいずれかに記載の二重特異性抗体。
【0165】
14. 突然変異S228P、L235E及びP329G(ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う)を有するIgG4サブクラスであることを特徴とする、前記実施態様のいずれかに記載の二重特異性抗体。
【0166】
15. 実施態様1〜14に記載の抗体を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【0167】
16. 医薬組成物を製造するための、実施態様1〜14に記載の抗体の使用。
【0168】
17. ガン又は炎症性疾患、自己免性疫疾患、関節リウマチ、乾癬性関節炎(psoratic arthritis)、筋疾患、例えば筋ジストロフィー、多発性硬化症、慢性腎疾患、骨疾患、例えば多発性骨髄腫における骨変性、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎及び血管損傷の処置に使用するための、実施態様1〜14に記載の抗体。
【0169】
18. ガン又は炎症性疾患、自己免性疫疾患、関節リウマチ、乾癬性関節炎(psoratic arthritis)、筋疾患、例えば筋ジストロフィー、多発性硬化症、慢性腎疾患、骨疾患、例えば多発性骨髄腫における骨変性、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎及び血管損傷を処置するための医薬品を製造するための、実施態様1〜14に記載の抗体の使用。
【0170】
19. 実施態様1〜14に記載の抗体をコードする、核酸。
【0171】
20. 原核又は真核ホスト細胞において実施態様1〜14に記載の二重特異性抗体を発現させるための発現ベクターであって、実施態様19に記載の核酸を含むことを特徴とする、発現ベクター。
【0172】
21. 実施態様20に記載のベクターを含む、原核又は真核ホスト細胞。
【0173】
22. 実施態様1〜14に記載のリコンビナント抗体を生産するための方法であって、原核又は真核ホスト細胞において実施態様19に記載の核酸を発現させること、及び前記細胞又は細胞培養上清から前記抗体を回収することを特徴とする、方法。
【0174】
23. ガン又は炎症性疾患、自己免性疫疾患、関節リウマチ、乾癬性関節炎(psoratic arthritis)、筋疾患、例えば筋ジストロフィー、多発性硬化症、慢性腎疾患、骨疾患、例えば多発性骨髄腫における骨変性、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎及び血管損傷を患っている患者を処置するための方法であって、実施態様1〜14に記載の抗体を患者に投与することを特徴とする、方法。
【0175】
以下の実施例、図面及び配列表は本発明の理解を助けるために提供するものであり、本発明の真の範囲は添付の特許請求の範囲に示されている。本発明の精神から逸脱することなく、示されている手順に改変を行なうことができることが理解される。
【0176】
実施例
材料及び一般的な方法
ヒト免疫グロブリン軽鎖及び重鎖のヌクレオチド配列に関する一般的な情報は、Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)に示されている。抗体定常鎖のアミノ酸については、KabatのEUインデックス(Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, (1991))に従ってナンバリングし、これを参照する。
【0177】
リコンビナントDNA技術
Sambrook, J., et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (1989)に記載されているように標準的な方法をDNAの操作に使用した。製造業者の説明書に従って、分子生物学試薬を使用した。
【0178】
遺伝子の合成
化学合成によって作製されたオリゴヌクレオチドから、所望の遺伝子セグメントを調製することができる。PCR増幅を含むオリゴヌクレオチドのアニーリング及びライゲーションによって、単一の制限エンドヌクレアーゼ切断部位が隣接する遺伝子セグメントをアセンブリし、続いて、示されている制限部位(例えば、KpnI/SacI又はAscI/PacI)を介してpPCRScript (Stratagene)ベースのpGA4クローニングベクターにクローニングした。DNA配列決定によって、サブクローニングした遺伝子フラグメントのDNA配列を確認した。
【0179】
Geneart (Regensburg, Germany)における所定の規格に従って、遺伝子合成フラグメントを注文した。真核細胞における分泌のためのタンパク質をターゲティングするリーダーペプチドをコードする5’末端DNA配列と、合成遺伝子の5’及び3’末端の独自の制限部位とを用いて、Tweak/IL−17二重特異性抗体の軽鎖及び重鎖をコードするすべての遺伝子セグメントを合成した。「ノブ」重鎖におけるS354C及びT366W突然変異と、「ホール」重鎖におけるY349C、T366S、L368A及びY407V突然変異とを用いて、ジスルフィド安定化「ノブ−インツ−ホール」改変重鎖を有するDNA配列を設計した。
【0180】
DNA配列の決定
MediGenomix GmbH (Martinsried, Germany)又はSequiserve GmbH (Vaterstetten, Germany)で実施した二本鎖配列決定によって、DNA配列を決定した。
【0181】
DNA及びタンパク質配列の分析及び配列データの管理
GCG(Genetics Computer Group, Madison, Wisconsin)ソフトウェアパッケージversion 10.2及びInfomax's Vector NT1 Advance suite version 11.5を、配列作製、マッピング、分析、アノテーション及び図説に使用した。
【0182】
発現ベクター
記載されている抗体の発現のために、CMV−イントロンAプロモーターによるcDNA構築又はCMVプロモーターによるゲノム構築のいずれかに基づく一過性発現(例えば、HEK293EBNA又はHEK293−F細胞)又は安定発現(例えば、CHO細胞)用発現プラスミドの変異体を適用した。
【0183】
IgG4_SPLEの場合、CH1ドメイン及びヒンジドメインの間のイントロンを除去し、ゲノム構築における残りの抗体遺伝子を維持した。イントロンを削除したバージョンのIgG4_SPLEはもはや、全ゲノム構築でコードされるIgG4_SPLEで一般的に見られるスプライスアーチファクトの結果としてヒンジレス抗体を示さない。
【0184】
抗体発現カセットの他に、ベクターは以下のものを含有していた:
− E.coliにおけるこのプラスミドの複製を可能にする複製起点、及び
− E.coliにおけるアンピシリン耐性を付与するβ−ラクタマーゼ遺伝子。
【0185】
抗体遺伝子の転写ユニットは以下の要素から構成される:
− 5’末端における独自の制限部位
− ヒトサイトメガロウイルス由来の前初期エンハンサー及びプロモーター、
− その後ろにイントロンA配列(cDNA構築の場合)、
− ヒト抗体遺伝子の5’非翻訳領域、
− 免疫グロブリン重鎖シグナル配列、
− ヒト抗体鎖(重鎖、改変重鎖又は軽鎖)(cDNAとして、又は免疫グロブリンエキソン−イントロン構築によるゲノム構築として)、
− ポリアデニル化シグナル配列を有する3’非翻訳領域、及び
− 3’末端における独自の制限部位。一過性及び安定トランスフェクションのために、トランスフォーメーションされたE.coli培養物(Nucleobond AX, Macherey-Nagel)からのプラスミド調製によって、より多量のプラスミドを調製した。
【0186】
細胞培養技術
Current Protocols in Cell Biology (2000), Bonifacino, J.S., Dasso, M., Harford, J.B., Lippincott-Schwartz, J. and Yamada, K.M. (eds.), John Wiley & Sons, Inc.に記載されているように、標準的な細胞培養技術を使用した。
【0187】
HEK293−Fシステムにおける一過性トランスフェクション
製造業者の説明書(Invitrogen, USA)に従ってFreeStyle(商標)293発現システムを使用して、ヒト胎児由来腎臓293−F細胞の一過性トランスフェクションによって、リコンビナント免疫グロブリン変異体を発現させた。簡潔に言えば、FreeStyle(商標)293発現培地中で、懸濁FreeStyle(商標)293−F細胞を37℃/8%CO
2で培養し、トランスフェクションの日に、生細胞1〜2×10
6個/mlの密度で細胞を新鮮培地に播種した。単一特異性親抗体の最終トランスフェクション容量が250mlの場合、325μlの293fectin(商標)(Invitrogen, Germany)並びに250μgの重鎖及び軽鎖プラスミドDNAを1:1のモル比で使用して、Opti-MEM(登録商標)I培地(Invitrogen, USA)中で、DNA-293fectin(商標)複合体を調製した。最終トランスフェクション容量が250mlの場合、325μlの293fectin(商標)(Invitrogen, Germany)並びに250μgの「ノブ−インツ−ホール」重鎖1及び2及び軽鎖プラスミドDNAを一般には1:1:1のモル比で使用して、Opti-MEM(登録商標)I培地(Invitrogen, USA)中で、2つの重鎖及び1つの軽鎖を有する「ノブ−インツ−ホール」DNA-293fectin複合体を調製した(フォーマットについては、国際公開第2011/117330号("bispecific one-armed scFab antibodies")に記載されている)。発現収率及び産物の質の最適化により、比は変化し得る。最終トランスフェクション容量が250mlの場合、325μlの293fectin(商標)(Invitrogen, Germany)並びに250μgの「ノブ−インツ−ホール」重鎖1及び2及び軽鎖1及び2プラスミドDNAを1:1:1:1のモル比で使用して、Opti-MEM(登録商標)I培地(Invitrogen, USA)中で、DNA-293fectin複合体を調製した(フォーマットについては、国際公開第2009/080253号("CrossMabs"又は"CH1-CL domain exchanged antibodies")に記載されている)。発現収率及び産物の質の最適化により、比は変化し得る。トランスフェクションの7日後、14000gで30分間遠心分離することによって、抗体を含有する細胞培養上清を回収し、滅菌フィルター(0.22μm)に通してろ過した。上清を精製まで−20℃で保存した。
【0188】
タンパク質の決定
Pace, C.N., et. al., Protein Science 4 (1995) 2411-1423に従ってアミノ酸配列に基づいて計算したモル消衰係数を使用して、280nmの光学密度(OD)を決定することによって、精製抗体及び誘導体のタンパク質濃度を決定した。
【0189】
上清中の抗体濃度の決定
プロテインAアガロースビーズ(Roche)による免疫沈降によって、細胞培養上清中の抗体及び誘導体の濃度を推定した。60μLのプロテインAアガロースビーズを、TBS−NP40(50mM Tris(pH7.5)、150mM NaCl、1%Nonidet−P40)で3回洗浄する。続いて、1〜15mLの細胞培養上清を、TBS−NP40でプレ平衡化したプロテインAアガロースビーズにアプライする。室温で1時間インキュベーションした後、Ultrafree-MC-filterカラム(Amicon]上で、ビーズを0.5mLのTBS−NP40で1回洗浄し、0.5mLの2×リン酸緩衝生理食塩水(2×PBS,Roche)で2回洗浄し、0.5mLの100mMクエン酸ナトリウム(pH5.0)で簡単に4回洗浄する。35μlのNuPAGE(登録商標)LDSサンプル緩衝液(Invitrogen)を追加することによって、結合した抗体を溶出する。サンプルの半分をそれぞれ、NuPAGE(登録商標)サンプル還元剤と合わせるか又は非還元状態のままにしておき、70℃で10分間加熱する。そして、20μlを、4〜12%NuPAGE(登録商標)Bis-Tris SDS-PAGE (Invitrogen)(非還元SDS−PAGEの場合にはMOPS緩衝液を用い、還元SDS−PAGEの場合にはNuPAGE(登録商標)抗酸化ランニング緩衝液添加物(Invitrogen)を含むMES緩衝液を用いる)にアプライし、クーマシーブルーで染色する。
【0190】
プロテインA−HPLCクロマトグラフィーによって、細胞培養上清中の抗体及び誘導体の濃度を測定した。簡潔に言えば、プロテインAに結合する抗体及び誘導体を含有する細胞培養上清を、HiTrapプロテインAカラム(GE Healthcare)(50mM K2HPO4、300mM NaCl(pH7.3)中)にアプライし、Dionex HPLCシステムで550mM酢酸(pH2.5)を用いてマトリックスから溶出させた。UV吸光度及びピーク面積の積分によって、溶出したタンパク質を定量した。精製標準IgG1抗体を標準として用いた。
【0191】
あるいは、サンドイッチ−IgG−ELISAによって、細胞培養上清中の抗体及び誘導体の濃度を測定した。簡潔に言えば、StreptaWell High Bind Strepatavidin A−96ウェルマイクロタイタープレート(Roche)を、0.1μg/mLのビオチン化抗ヒトIgG捕捉分子F(ab’)2<h−Fcガンマ>BI(Dianova)を100μL/ウェルで用いて室温で1時間あるいは4℃で一晩コーティングし、続いて、200μL/ウェルのPBS、0.05%Tween(PBST、Sigma)で3回洗浄した。各抗体を含有する細胞培養上清の希釈系列PBS(Sigma)溶液を100μL/ウェルでウェルに追加し、マイクロタイタープレートシェーカー上、室温で1〜2時間インキュベーションした。ウェルを200μL/ウェルのPBSTで3回洗浄し、0.1μg/mLのF(ab’)2<hFcガンマ>POD(Dianova)100μlを検出抗体として用いて、マイクロタイタープレートシェーカー上、室温で1〜2時間にわたって、結合した抗体を検出した。未結合の検出抗体を200μL/ウェルのPBSTで3回洗い流し、100μLのABTS/ウェルを追加することによって、結合した検出抗体を検出した。Tecan Fluor分光計において測定波長405nm(参照波長492nm)で、吸光度の決定を実施した。
【0192】
二重特異性抗体の精製
Protein A-Sepharose(商標)(GE Healthcare, Sweden)を使用するアフィニティークロマトグラフィー及びSuperdex200サイズ排除クロマトグラフィーによって、細胞培養上清から二重特異性抗体を精製した。簡潔に言えば、滅菌ろ過した細胞培養上清を、PBS緩衝液(10mM Na
2HPO
4、1mM KH
2PO
4、137mM NaCl及び2.7mM KCl、pH7.4)で平衡化したHiTrap ProteinA HP(5ml)カラムにアプライした。未結合のタンパク質を平衡緩衝液で洗い流した。0.1Mクエン酸緩衝液(pH2.8)を用いて抗体及び抗体変異体を溶出させ、タンパク質を含有する画分を0.1mlの1M Tris(pH8.5)で中和した。次いで、溶出したタンパク質画分をプールし、Amicon超遠心ろ過機(カットオフ分子量(MWCO):30K,Millipore)を用いて容量3mlに濃縮し、20mMヒスチジン、140mM NaCl(pH6.0)で平衡化したSuperdex200 HiLoad 120 ml 16/60ゲルろ過カラム(GE Healthcare, Sweden)にローディングした。高分子量凝集物が5%未満の精製二重特異性抗体を含有する画分をプールし、1.0mg/mlアリコートとして−80℃で保存した。
【0193】
SDS−PAGE
製造業者の説明書に従って、NuPAGE(登録商標)Pre-Castゲルシステム(Invitrogen)を使用した。特に、4〜20%NuPAGE(登録商標)Novex(登録商標)TRIS−グリシンPre-Castゲル及びNovex(登録商標)TRIS−グリシンSDSランニング緩衝液を使用した。ゲルを流す前にNuPAGE(登録商標)サンプル還元剤を追加することによって、サンプルの還元を達成した。
【0194】
分析的サイズ排除クロマトグラフィー
抗体の凝集及びオリゴマー状態を決定するためのサイズ排除クロマトグラフィーを、HPLCクロマトグラフィーによって実施した。簡潔に言えば、プロテインA精製抗体を、Agilent HPLC 1100システムのTosoh TSKgel G3000SWカラム(300mM NaCl、50mM KH2PO4/K2HPO4(pH7.5)中)、又はDionex HPLCシステムのSuperdex 200カラム(GE Healthcare)(2×PBS中)にアプライした。UV吸光度及びピーク面積の積分によって、溶出したタンパク質を定量した。BioRad Gel Filtration Standard 151-1901を標準として用いた。
【0195】
質量分析
電子噴霧イオン化質量分析(ESI−MS)によって、二重特異性抗体の全脱グリコシル化質量を決定及び確認した。また、誤対合しているLC及びHCなどの潜在的な副産物を検出し、相対定量した。簡潔に言えば、100mM NaH2PO4/Na2HPO4(pH7)中で14又は28UのN−グリコシダーゼF(Roche)を用いて、最大3mg/mlのタンパク質濃度の精製抗体100μgを37℃又は45℃で16時間又は2時間脱グリコシル化し、続いてSephadex G25カラム(GE Healthcare)のHPLCによって脱塩した。脱グリコシル化及び還元の後、ESI−MSによって各重鎖及び軽鎖の質量を決定した。簡潔に言えば、115μl中の抗体50μgを、0.5M TCEPの4M塩酸グアニジン溶液60μl及び50μlの8Mグアニジン塩酸塩と共に37℃で30分間インキュベーションし、続いて脱塩した。TriVersa NanoMate (Advion)ソースを備えるmaXis UHR-TOF (Bruker)MSシステムのESI−MSによって、全質量並びに還元重鎖及び軽鎖の質量を決定した。
【0196】
実施例1
免疫感作によるTWEAK抗原結合部位の作製(TWEAK/IL17二重特異性抗体のTWEAK抗原結合部位が由来し得る親TWEAK抗体の作製)
ヒト/マウスTWEAKによるウサギの免疫感作
ニュージーランドホワイトウサギ(Oryctolagus cuniculus)を、0日目に400μgのリコンビナントヒトTWEAKと完全フロイントアジュバントで免疫感作し、21日目、43日目及び65日目に200μgのヒトTWEAKと不完全フロイントアジュバントで免疫感作し、85日目に200μgのマウスTWEAKと不完全フロイントアジュバントで免疫感作した。すべての免疫感作は、いくつかの部位に皮下的に行なった。力価決定のために、77日目及び98日目に血清を調製した。200μgのヒト及び200μgのマウス可溶性TWEAKを静脈内注射することによって最後の追加免疫を行い、ヒト及びマウスTWEAKに結合する能力(実施例2)、ヒト及びマウスTWEAK−Fn14相互作用を中和する能力(実施例4及び5)、並びにIL8分泌を阻害する能力(実施例6)に基づいて、抗体を選択した。加えて、抗体−TWEAK複合体の半減期を調べた(実施例3)。B16BL6(マウスメラノーマ;B16の転移性肺亜系統)、SJSA(骨肉腫、ATCC CRL−2098)及びHCT−116(結腸、ATCC CCL−247)異種移植片モデルにおいて、抗体の抗腫瘍効果を試験した。
【0197】
実施例2
ヒト及びマウスTWEAKに対する結合(ELISA)
ヒト及びマウスTWEAKに対する親抗TWEAK抗体の結合をELISAによって決定した。25μl/ウェルの0.5M炭酸コーティング緩衝液(pH9.5)を2〜8℃で一晩インキュベーションすることによって、ヒト又はマウスリコンビナントTWEAKを1μg/mlで384ウェルNunc Maxisorpプレート上に固定化した。PBS/1%BSAでプレートを室温で1時間ブロッキングし、続いて2回の洗浄工程(0.1%Tween(登録商標)20のPBS溶液)を行って、様々な濃度の抗TWEAK抗体のブロッキング緩衝液又は前記抗体のハイブリドーマ上清と共に室温で1時間インキュベーションした。さらに4回洗浄した後、ブロッキング緩衝液で1:5000希釈した抗ウサギ−HRP抗体を用いて、抗体を室温で1時間検出した。さらに4回の洗浄工程の後、ABTS(登録商標)(Roche Diagnostics GmbH)を10〜30分間追加することによって、シグナルを発生させた。吸光度を405nmで読み取った。
【0198】
実施例3
Biacoreを使用した抗体−TWEAK複合体の半減期の決定
Biacore 2000機器を、このシステムにマウントされているBiacoreストレプトアビジンコーティングセンサーと共に使用した。システム緩衝液HBS−ET(10mM HEPES(pH7.4)、150mM NaCl、1mM EDTA、0.05%Tween(登録商標)20)を流速100μl/分で使用した。サンプル緩衝液はシステム緩衝液であった。ビオチン化ヒト可溶性TWEAK(配列番号68のアミノ酸99〜249)及びビオチン化マウス可溶性TWEAK(配列番号69のアミノ酸81〜225)を、それぞれ150RUでSAセンサー上の異なるフローセル上に固定化した。フローセルFC1をブランクのリファレンスセルとして使用した。各抗体を、100nMの分析物として100μl/分、会合時間2分間でシステムに注入した。免疫複合体の解離を5分間モニタリングした。センサー表面をHBS−ETで10秒間洗浄し、10mMグリシン(pH2.25)による2分間の注入を2回使用して再生した。この手順を25℃で行った。[240秒〜300秒]の区間における複合体解離期の速度律速段階を用いて、解離速度kd[1/s]を計算した(Biacore評価ソフトウェア4.0)。
【0199】
式t1/2diss=ln(2)/(60×kd)に従って、免疫複合体の半減期(分単位)を計算した。結果を表1a及び1b並びに表2bに示す。
【0200】
【表2】
1):配列番号59のヒトカッパ軽鎖定常領域及び配列番号61のヒトIgG1定常領域のヒト定常領域
【0201】
さらなる実験では、キメラ<TWEAK>305chi及び国際公開第2006/130374号のP2D10のキメラバージョンについての抗体−TWEAK複合体の半減期(25℃におけるt/2diss[分])を決定した(両キメラ抗体は、ヒト定常領域として配列番号59のヒトカッパ軽鎖定常領域及び配列番号61のヒトIgG1定常領域を有する)。
【0202】
【表3】
1):配列番号59のヒトカッパ軽鎖定常領域及び配列番号61のヒトIgG1定常領域のヒト定常領域
【0203】
本発明の抗体は、Biacoreによって測定した場合に、可溶性ヒトTWEAK(配列番号68のアミノ酸99〜249)と抗体との複合体について25℃で100分間以上、好ましくは110分間以上の半減期のような有益な特性を示す。このような半減期を示す抗TWEAK抗体は、自己免疫性疾患、関節リウマチ、乾癬性関節炎(psoratic arthritis)、筋疾患、例えば筋ジストロフィー、多発性硬化症、慢性腎疾患、骨疾患、例えば多発性骨髄腫における骨変性、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎及び血管損傷の処置に使用するのに特に好ましい。
【0204】
実施例4
TWEAK−Fn14相互作用(ヒト)の中和
レセプター相互作用ELISAによって、ヒトTWEAK/ヒトFn14相互作用の遮断が示された。1ウェル当たり100μlの1μg/mlヒトFn14:Fc(ヒトFn14の細胞外ドメイン(配列番号98のアミノ酸1〜75)をヒトIgG1のFc部分に融合したもの)のPBS溶液を用いて96ウェルMaxisorp(登録商標)プレート(Nunc)を室温で1.5時間コーティングし、5%FBSのPBS溶液を用いて室温で振盪しながら30分間ブロッキングした。一方、2.5ng/mlのヒトFlagタグ付可溶性TWEAK(アミノ酸106〜249)のブロッキング溶液を、様々な濃度の抗TWEAK抗体又はハイブリドーマ上清と共に室温で振盪しながら2時間インキュベーションした。Fn14コーティングプレートを洗浄緩衝液(0.1%Tween(登録商標)20のPBS溶液)で1回洗浄した後、100μlのTWEAK−抗体溶液を各ウェルに移し、プレートを室温で1時間インキュベーションし、続いて洗浄緩衝液で4回洗浄した。ブロッキング緩衝液で1:5000希釈した100μlの抗FLAG−HRP検出抗体でウェルを満たし、室温で1時間インキュベーションした。4回のさらなる洗浄工程の後、100μlの3,3,5,5−テトラメチルベンジジン(TMB)溶液を約10分間追加することによって、シグナルを発生させた。100μlの1N HClを追加することによって反応を停止させ、吸光度を450nmで測定した(参照波長620nm)。結果を表2a及びbに示す。
【0205】
実施例5
TWEAK−Fn14相互作用(マウス)の中和
マウスTWEAK/マウスFn14相互作用ELISAは、ヒトタンパク質について記載したのと同様の原理に従うものであったが、マウス可溶性TWEAKにタグを付加しなかったように異なる検出系を使用した。簡潔に言えば、ヒトFn14:Fcについて上記したようにマウスFn14:Fc(マウスFn14の細胞外ドメイン(配列番号98のアミノ酸1〜75)をヒトIgG1のFc部分に融合したもの)を用いてMaxisorpプレートをコーティングし、続いてブロッキング及び洗浄した。4ng/mlのマウス可溶性TWEAKを、抗TWEAK抗体又はハイブリドーマ上清のブロッキング緩衝液と共にプレインキュベーションし、1ウェル当たり100μlの混合物をFn14コーティングプレートに追加した。室温で1時間インキュベーションして4回洗浄した後、125ng/mlのビオチン化抗マウスTWEAK抗体のブロッキング緩衝液を室温で1時間追加し、続いてさらに4回の洗浄工程を行った。ブロッキング緩衝液で1:5000に希釈したストレプトアビジン−HRPと共に室温で30分間インキュベーションすることによって、TWEAK抗体を検出した。上記のように、シグナルを発生させて吸光度を測定した。結果を以下の表2a及び2bに示す。
【0206】
実施例6
IL−8分泌のELISA
A375メラノーマ細胞を使用してIL−8分泌アッセイにおいて、細胞系における抗TWEAK抗体によるTWEAK活性の遮断を示した。10,000個のA375細胞(ATCC#CRL1619)を、96ウェル細胞培養プレートの1ウェル当たり100μlの成長培地(4.5g/Lグルコース、ピルビン酸塩及びGlutaMAX(商標)/10%FBSを含むDMEM)に播種し、37℃/5%CO
2で48時間インキュベーションした。ヒトリコンビナント可溶性TWEAKを、300ng/mlで、成長培地中の様々な濃度の抗TWEAK抗体と共に室温で30分間プレインキュベーションした。次いで、50μlの混合物を細胞プレートの各ウェルに追加し、続いてさらに48時間インキュベーションしてIL−8を分泌させた。プレートを200×gで5分間遠心分離した後に20μlの細胞上清を回収し、「CXCL8 Quantikine ELISA」キット(R&D Systems)のRD5Pキャリブレーター希釈液980μlと混合した。製造業者の説明書に従ってELISAによって、IL−8を検出した。結果を表2a及び2bに示す。
【0207】
【表4】
【0208】
【表5】
【0209】
実施例7
<TWEAK>301、<TWEAK>304、<TWEAK>305(TW−301、TW−304、TW−305と略す)のエピトープ領域の決定
Biacore 2000機器を、Biacore評価ソフトウェア4.0と一緒に使用した。サンプル及びシステム緩衝液は、HBS−ET(pH7.4)であった。センサー表面に対するTWEAK分析物の非特異的結合が強いため、Johne, B., et al., J. Immun. Meth. 160 (1993) 191-198に記載されているようにBiacore交差競合実験によって、個々の抗体のエピトープマッピングを通常のとおりに行うことができなかった。
【0210】
TWEAKタンパク質の個々の生化学的特性のために、リガンドとしてTWEAKを使用して別の方法を開発しなければならなかった。ビオチン化TWEAKをストレプトアビジンコーティングチップ表面上に固定化し、連続注入した抗体(抗体1)のエピトープカバー度を測定した。目的は、既に結合した一次抗体の存在下における二次抗体(抗体2)の相対的結合レベルを検出することであった。これらの相対結合レベルから、指数を計算した(Ab2/Ab1、モル比を%で単位で示す、表3)。
【0211】
5nMのビオチン化TWEAKを、ストレプトアビジンコーティングセンサーフローセル上に20μl/分で1分間固定化した。一次及び二次mAbを、各TWEAKエピトープの飽和が達成されるまで100nMのシステムに10μl/分で4分間連続注入した。参照としてSAでコーティングフローセルを使用した。
【0212】
HBS−ETを用いてシステムを30μl/分で20秒間洗浄し、続いて、6M GuadHCl及び100mM HClによる2回の再生工程(30μl/分で1分間)を行なった。これらの再生工程は、結合したmAbをセンサー表面から剥ぎ取り、固定化されたビオチン化TWEAKを不可逆的に変性した。ストレプトアビジンセンサー表面がビオチン化TWEAKによって完全に飽和されるまで、ネイティブなビオチン化TWEAKタンパク質を同じフローセル上に固定化することによって(フィードバッチモード)、この過程を反復した。
【0213】
【表6】
【0214】
交差遮断実験は、各抗体について10%未満のアクセスビリティ値を示しているが、これはこのアッセイのノイズの範囲内である。TW−301chi、TW−304chi及びTW−305chiは同じエピトープ領域に結合することが明らかに示されている。
【0215】
実施例8
コラーゲン誘導関節炎(関節リウマチのマウスモデル)のin vivo阻害−抗体<TWEAK>305(キメラ;TW305)は、関節リウマチのマウスモデルであるコラーゲン誘導関節炎を阻害する
6〜8週齢の雄性DBA1/Jマウス(Jackson Laboratory, Bal Harbor, Maine)を、II型ウシコラーゲンを含む完全フロイントアジュバントで免疫感作し、3週間後にII型ウシコラーゲンを含む不完全フロイントアジュバントで再度免疫感作した(追加免疫、0日目)。追加免疫の前日から開始して1日毎に、キメラ抗体<TWEAK>305(=TW305)(10mg/kg、n=12)、エンブレル(10mg/kg、n=12)又はビヒクル(リン酸緩衝生理食塩水、n=12)をマウスに投与した。追加免疫後0日目、2日目、5日目、7日目、9日目、12日目及び14日目に、関節炎についてマウスを調べた。関節炎の重症度を以下の基準に基づいてスコア化した:1=1本の指が腫脹及び/又は発赤している;2=2つ以上の関節が腫脹している;3=3つ以上の関節が関与する足が全体的に腫脹している;4=足及び指全体が重度の関節炎である。ビヒクルと比較して、TW−305は、TNF遮断薬エンブレルと類似した程度に臨床スコアを有意に減少させた(p<0.05、14日目)。
【0216】
実施例9
免疫感作によるIL17抗原結合部位の作製(TWEAK/IL17二重特異性抗体のIL17抗原結合部位が由来し得る親IL17抗体の作製)
5匹の雌性Balb/cマウスを使用して、マウス1匹当たり250(1×)及び100μg(3×)のPeprotech製リコンビナントヒトIL17(http://www.peprotech.com; Cat.No.: 200-17、1%アルブミンを含む1%PBS溶液)を使用して、20週間以内に免疫感作を実施した。ハイブリドーマの作製。マウスのリンパ球を単離し、PEGベースの標準的なプロトコールを使用してマウス骨髄腫細胞株と融合させてハイブリドーマを作製した。次いで、抗原特異的抗体の産生について、得られたハイブリドーマをスクリーニングした。ELISA及びサイトカイン放出アッセイ(IL−17A誘導性hIL−6及びhIL−8放出の阻害による)によって測定したIL−17サブタイプに対する結合を使用して、得られたハイブリドーマからマウスクローン<IL17>9C6−2B6を選択した。マウスクローン<IL17>9C6−2B6をヒト化することにより、ヒト化変異体<IL17>9C6−2B6−134(VHのヒト化変異体<IL17>9C6−2B6−HC134及びVLのヒト化変異体<IL17>9C6−2B6−LC134(配列番号55及び57)を有する)及び<IL17>9C6−2B6(VHのヒト化変異体<IL17>9C6−2B6−HC136及びVLのヒト化変異体<IL17>9C6−2B6−LC136(配列番号56及び58)を有する)を得た。
【0217】
実施例10
ELISAによって測定したIL−17に対する結合及びIL17サブタイプとの交差反応性
濃度0,5μg/mlのリコンビナントヒトIL−17(Peprotech # 200-17, www.peprotech.com)のPBS溶液(100ml/ウェル)を用いて、NUNC(登録商標)Maxisorpプレート(96ウェル)をコーティングする。オービタルシェーカー上で撹拌しながら、プレートを37℃で2時間インキュベーションする。その後、コーティング溶液を除去し、100μl/ウェルのPBSTC(リン酸緩衝生理食塩水、0,05%Tween(登録商標)20、2%ニワトリ血清)を追加する。プレートを室温で1時間インキュベーションする。ブロッキング溶液を除去し、サンプル(ブランク:PBSTC、サンプル(10μg/mlのPBS溶液):抗ヒトIL−17抗体<IL17>9C6−2B6、<IL17>9C6−2B6−134、<IL17>9C6−2B6−136、eBioscience (www.ebioscience.com)のMab16−7178−85;R&D Systems (www.rndsystems.com)のMAB317、NVP−AIN−497(国際公開第2006/013107号);をプレートに追加する(100μl/ウェル)。プレートを撹拌しながら室温でインキュベーションする。サンプルを除去し、プレートを200μl/ウェルのPBST(リン酸緩衝生理食塩水、0,05%Tween(登録商標)20)で3回洗浄し、マウス抗体を検出する場合には二次抗体(ヤギ抗マウスIgG、Fcガンマ、HRPコンジュゲート;Chemicon AP127P, www.millipore.com)、又はヒト化抗体を検出する場合にはヤギ抗ヒトIgG、Fcガンマ、HRPコンジュゲート(Chemicon AP113P)を追加する。二次抗体をPBSTCで1:10000希釈し、プレートを撹拌しながら室温で1時間インキュベーションする。二次抗体を除去し、プレートを200μl/ウェルのPBST(リン酸緩衝生理食塩水、0,05%Tween(登録商標)20)で3回洗浄し、100μl/ウェルのABTS(登録商標)(Roche Diagnostics GmbH)を追加する。IL−17A結合に関して、光学密度を405/492nmで測定する(100%と設定)。同じアッセイフォーマットを用いて、他のヒトIL−17サブタイプ(IL−17B、IL−17C、IL−17D、IL−17E及びIL−17F)に対する結合を実施した。結果を表4に示す。この結果は、様々なIL17サブタイプに対する結合挙動が最も類似する抗体がR&D Systems (www.rndsystems.com)のMAB317であることを示している。
【0218】
【表7】
【0219】
実施例11
サイトカイン放出アッセイ、CCD−25SK細胞におけるIL−17A誘導性hIL−6及びhIL−8放出の阻害
抗IL−17抗体をプレインキュベーションしてIL−17A及びTNF−αで刺激した後のCCD−25SK細胞(皮膚線維芽細胞、ATCC番号:CRL−1474)のhIL−8産生の検出として、このアッセイを実施する。CCD−25SK細胞は、IL−17レセプターを有する。可溶性IL−17Aは、これらのIL−17レセプターに結合する。IL−17Aに対する抗体は、IL−17Aに結合する。この機構は、TNFαの存在下でのみ作用している。IL−17レセプターに対するIL−17Aの結合を介して、この細胞はhIL−6及びhIL−8(これらは、リードアウトとしてELISAによって検出することができる)を産生する。hIL−6及びhIL−8の測定により、抗IL−17抗体がIL−17によるCCD−25SK細胞の刺激を阻害する濃度の情報が得られる。
【0220】
細胞2,5×10
4個/ウェルの細胞密度でCCD−25SK細胞を48ウェルプレート(容量0,45ml/ウェル)に播種し、37℃及び5%CO
2で24時間インキュベーションした。一晩インキュベーションした後、最終濃度9000;3000;1000;333,3;111,1;37,03;12,34;及び4,11ng/mlの抗IL−17抗体で細胞を30分間処置した。各抗体の希釈系列を培地で作った(50μl/ウェル(10倍濃縮))。30分後、10ng/mlのIL−17A及び50pg/mlのTNF−αの混合物で細胞を刺激した。50μl/ウェルとし(10倍濃縮)37℃及び5%CO
2で24時間インキュベーションした。一晩インキュベーションした後、上清を96ウェルプレートに移し、hIL−8 ELISA用の中間体として−20℃で凍結した。
【0221】
hIL−6及びhIL−8 ELISAを以下のように実施した。100μlの希釈捕捉抗体を各ウェルに追加し、4℃で一晩インキュベーションした。コーティング緩衝液で希釈を行った。プレートを吸引し、200μl/ウェルで3回洗浄し、200μl/ウェルのアッセイ希釈液でブロッキングし、室温(RT)で1時間インキュベーションした。プレートを吸引し、200μl/ウェルで3回洗浄した。100μlの標準及びサンプルを追加し、室温(RT)で2時間インキュベーションした。標準希釈系列:400pg/ml;200pg/ml;100pg/ml;50pg/ml;25pg/ml;12,5pg/ml;6,3pg/ml及びアッセイ希釈液(ネガティブコントロールとして)。サンプルの希釈は1:200であった。プレートを吸引し、250μl/ウェルで4回洗浄した。100μlのコンジュゲートを各ウェルに追加した。検出抗体及びアッセイ希釈液で1:250希釈した酵素試薬を用いて、コンジュゲートを調製した。プレートを吸引し、250μl/ウェルで6回洗浄した。100μlの基質を各ウェルに追加し、12分間インキュベーションした。インキュベーション後、50μl/ウェルの1M H
2SO
4を用いて反応を停止させた。30分以内に450nmで読み取りを実施し、570nmでλ補正した。結果を表5に示す(IC
50値は、80%の最大阻害に関して測定したものである)。
【0222】
【表8】
【0223】
実施例12
カニクイザルIL−17Aとの交差反応性(結合アッセイ)
ヒト及びカニクイザルIL17Aに対する相対結合を決定した。実施例2に従って、結合アッセイを実施した。2つの別個の実験(1つはマウスIL17抗体を比較したものでり、1つはヒト及びヒト化IL17抗体を比較したものである)の結果を表6a及び表6bに示す。
【0224】
【表9】
【0225】
【表10】
【0226】
実施例13
カニクイザル(Maccaca Fasicularis)サイトカイン放出アッセイ、カニクイザルIL−17A誘導性IL−6及びIL−8産生の阻害
カニクイザル皮膚線維芽細胞(CDF)細胞は、ヒト又はカニクイザルIL−17A刺激に応じてカニクイザルIL−6及びIL−8を産生する。ヒトIL−17に対して産生された抗IL−17抗体と共に細胞を刺激前にプレインキュベーションした後、このカニクイザルIL−17Aによって刺激されるCDF細胞によるIL−6及びIL−8産生の阻害を測定するために、このアッセイを実施する。
【0227】
細胞2×10
5個/mlの細胞密度、0.5mlの容量でCDF細胞を48ウェルプレーに播種し、37℃及び5%CO
2で一晩インキュベーションして接着させる。一晩インキュベーションした後、培地を400μlの新鮮培地と交換し、広範な抗体濃度(10000、3000、1000、300、100、30、10、3、0ng/ml)にわたって抗IL−17抗体で細胞を30分間処置する。50μl/ウェル(10倍濃縮)を使用して、各抗体の希釈系列を培地で作る。30分後、100ng/mlのIL−17A(50μlの1000ng/ml、10倍濃縮)で細胞を刺激し、37℃及び5%CO
2で一晩(18時間)インキュベーションする。インキュベーション期間の後、上清を新たな試験管に移して直ぐに分析するか、又はELISAによる分析まで−80℃で保存する。hIL−6及びhIL−8 ELISAは、それらの各カニクイザルサイトカインと交差反応性であることが示されたので、サイトカインレベルを定量するのに使用する。ELISAでは、100μlの希釈捕捉抗体を各ウェルに追加し、4℃で一晩インキュベーションする。コーティング緩衝液で希釈を行う。プレートを吸引し、200μl/ウェルで3回洗浄し、200μl/ウェルのアッセイ希釈液でブロッキングし、室温(RT)で1時間インキュベーションする。プレートを吸引し、200μl/ウェルで3回洗浄する。100μlの標準及びサンプルを追加し、製造業者の説明書に従って室温(RT)で2時間インキュベーションする。プレートを吸引し、250μl/ウェルで少なくとも3回洗浄する。100μlのコンジュゲートを各ウェルに追加する。検出抗体及びアッセイ希釈液で1:250希釈した酵素試薬を用いて、コンジュゲートを調製する。プレートを吸引し、250μl/ウェルで少なくとも3回洗浄する。100μlの基質を各ウェルに追加し、読み取るのに十分な発色までインキュベーションした。インキュベーション後、50μl/ウェルの1M H
2SO
4を用いて反応を停止させ、30分以内に450nmの波長をプレートリーダーで読み取る。
【0228】
実施例14
二重特異性<TWEAK−IL−17>抗体分子<Tweak−IL−17>#2、<Tweak−IL−17>#4、<Tweak−IL−17>#20、<Tweak−IL−17>#21、<Tweak−IL−17>#23、<Tweak−IL−17>#24、<Tweak−IL−17>#5の発現及び精製
以下の二重特異性抗体<Tweak−IL−17>#2、<Tweak−IL−17>#4、<Tweak−IL−17>#20、<Tweak−IL−17>#21、<Tweak−IL−17>#23、<Tweak−IL−17>#5(これらは、以下の表7に記載されている抗原結合部位(VH/VL)をベースとする)の軽鎖及び重鎖を、記載されているようにゲノム、部分ゲノム又はcDNA由来の発現ベクターで構築した。二重特異性二価抗体<Tweak−IL−17>#2、<Tweak−IL−17>#24の場合、国際公開第2009/080253号("CrossMabs"又は"CH1-CL domain exchanged antibodies")に記載されているフォーマットを使用した。二重特異性二価抗体<Tweak−IL−17>#4、<Tweak−IL−17>#20、<Tweak−IL−17>#21、<Tweak−IL−17>#23の場合、国際公開第2011/117330号("bispecific one-armed scFab antibodies")に記載されているフォーマットを使用し、<Tweak−IL−17>#5の場合、国際公開第2010/112193号に記載されている二重特異性四価フォーマット(scFabが重鎖のN末端に融合されている)を使用した。国際公開第2009/080253号、国際公開第2011/117330号及び国際公開第2010/112193号は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0229】
プラスミドをE. coliで増幅し、精製し、続いてリコンビナントタンパク質の一過性発現のためにHEK293細胞にトランスフェクションした。7日間の培養後、HEK293細胞の上清を回収し、ろ過し、二重特異性二価抗体を精製した。
【0230】
【表11】
【0231】
MabSelect SuRe(商標)(GE Healthcare, Sweden)を使用してアフィニティークロマトグラフィーによって、細胞培養上清から二重特異性抗体を精製した。MabSelect SuRe(商標)クロマトグラフィー後の二重特異性抗体の個々の生成物に関連する副生成物に関して、その後のクロマトグラフィー工程(サイズ排除クロマトグラフィー(Superdex200 HiLoad 120 ml 16/60ゲルろ過カラム、GE Healthcare, Sweden)又はイオン交換クロマトグラフィー(MacroPrep CHT(商標)TypeII 10 ml, Bio-Rad+サイズ排除クロマトグラフィー))を選択した。
【0232】
簡潔に言えば、PBS緩衝液(10mM Na
2HPO
4、1mM KH
2PO
4、137mM NaCl及び2.7mM KCl(pH7.4))で平衡化したMabSelect SuRe樹脂上に、滅菌ろ過した細胞培養上清を捕捉し、平衡化緩衝液で洗浄し、25mMクエン酸ナトリウム(pH3.0)で溶出させた。溶出したタンパク質画分をプールし、2M Tris(pH9.0)で中和した。10mM NaH
2PO
4、20mM MES、50mM NaCl、0.1mM CaCl
2(pH7.5)でリバッファリングすることによって、抗体プールを疎水性相互作用クロマトグラフィー用に調製した。平衡化緩衝液(10mM NaH
2PO
4、20mM MES、50mM NaCl、0.1mM CaCl
2(pH7.5))でCHTカラムを平衡化した後、抗体をCHTカラムにアプライし、平衡化緩衝液で洗浄し、直線勾配で10mM NaH
2PO
4、20mM MES、500mM NaCl、0.1mM CaCl
2(pH7.5)に溶出させた。(イオン交換クロマトグラフィー又はMabSelect SuReアフィニティークロマトグラフィーからの)二重特異性抗体を含有する画分をプールし、20mMヒスチジン、140mM NaCl(pH6.0)で平衡化したSuperdex 200 26/60 GL (GE Healthcare, Sweden)カラムを使用してサイズ排除クロマトグラフィーによってさらに精製した。二重特異性抗体を含有する画分をプールし、Vivaspin限外ろ過装置(Sartorius Stedim Biotech S.A., France)を使用して必要濃度に濃縮し、−80℃で保存した。
【0233】
実施例15
二重特異性分子のSDS−CE及び分析的SEC
SDS−CE
マイクロ流体Labchip技術(Caliper Life Science, USA)を使用してCE−SDSによって、二重特異性及びコントロール抗体の純度、抗体の完全性及び分子量を分析した。製造業者の説明書に従ってHT Protein Express Reagent Kitを使用して、5μlのタンパク質溶液をCE−SDS分析用に調製し、HT Protein Express Chipを使用してLabChip GXIIシステムで分析した。LabChip GXソフトウェアを使用して、データを分析した。
【0234】
分析的サイズ排除クロマトグラフィー
抗体の凝集及びオリゴマー状態を決定するためのサイズ排除クロマトグラフィーを、HPLCクロマトグラフィーによって実施した。簡潔に言えば、様々なレベルの精製工程で精製した抗体を、Agilent HPLC 1100システムのTosoh TSKgel G3000SWカラム(300mM NaCl、50mM KH2PO4/K2HPO4(pH7.5)中)、又はDionex HPLCシステムのSuperdex 200カラム(GE Healthcare)(2×PBS中)にアプライした。UV吸光度及びピーク面積の積分によって、溶出したタンパク質を定量した。BioRad Gel Filtration Standard 151-1901を標準として用いた。
【0235】
【表12】
【0236】
実施例16
ヒト滑膜線維芽細胞のIL−17誘導性サイトカイン刺激の阻害
RA患者から得られたヒト成人線維芽細胞様滑膜細胞(HFLS−RA)による炎症促進性サイトカイン(例えば、ヒトIL−6、ヒトIL−8)のIL−17誘導性産生の阻害について、様々な<Tweak−IL−17>二重特異性抗体の抗IL−17成分を試験した。様々なRA−FLSドナーの用量反応応答の確立後、いくつかのリード候補の効力を評価した。
【0237】
HFLS−RA(Cat. #408RA-05a)は、Cell Applications Inc. (San Diego, CA, USA;ドイツの販売業者: tebu-bio, Offenbach, Germany)から購入した。細胞を解凍し、滑膜細胞成長培地(Cell Applications, Inc.; Cat. #415-500)で増殖させ、アキュターゼ(PAA Laboratories GmbH, Pasching, Austria; Cat. #L11-007)で剥がしてから、96wF細胞培養プレート(Costar/Corning Life Sciences, Amsterdam, The Netherlands; Cat. #3596)中の200μl/ウェル培地に、1ウェル当たり約2×10
4個のHFLS−RA細胞を播種した。
【0238】
細胞を37℃、5%CO
2で2日間前培養してから、サイトカイン(及び場合により抗体)を追加した。サイトカインを追加する前に培地を除去し、150μl/wの対応するサイトカイン(場合により抗体)希釈物を追加した:0〜10μg/mlのリコンビナントヒトIL−17A(PeproTech, Hamburg, Germany; Cat. #200-17);0〜25μg/mlのリコンビナントヒトTWEAK(R&D Systems, Wiesbaden, Germany; Cat. #1090-TW/CF)又は0〜10μg/mlのリコンビナントヒトTNFα(R&D Systems; Cat. #210-TA/CF)を10回の1:10希釈工程で滴定して、示されているサイトカインのED50値を求めた。TWEAKをネガティブとして使用し、TNFをポジティブコントロールとして使用した。細胞を37℃、5%CO2で6時間、24時間及び72時間インキュベーションしたところ、72時間で最も強いサイトカイン応答が(タンパク質レベルで)得られたので、このインキュベーション時間を以下の実験に使用した。細胞を様々な濃度(c
fin=0〜150/500nM)のいくつかの抗体と共に37℃、5%CO
2で30分間プレインキュベーションしてから、100ng/ml〜10μg/mlのTWEAKによる刺激をさらに72時間適用した。
【0239】
【表13】
【0240】
【表14】
【0241】
興味深いことに、本発明の二重特異性抗体は、親IL17抗体と比較して改善されたIC50/結合価を示す。
【0242】
CBAによるサイトカイン決定
この後、約120μl/wの上清を96wRBプレートに移し、サイトカイン分析を実施するまで−20℃で保存した。これについては、サイトメトリックビーズアレイ(CBA)プラットフォームを使用し、特にIL−6及びIL−8の産生(又はその阻害)を分析した。ヒトIL−6(BD Biosciences, Cat. #558276)及びIL−8(BD; Cat. #558277)フレックスセットを使用してHuman Soluble Protein Master Buffer Kit (BD Biosciences, Heidelberg, Germany, Cat. #558265)の製造業者の説明書に従って、アッセイを実施した。FACSアレイでプレートを測定し、FCAPソフトウェアを使用して分析した(両方ともBD製)。
【0243】
実施例17
ヒト滑膜線維芽細胞のTweak誘導性増殖の阻害
RA患者から得られたヒト成人線維芽細胞様滑膜細胞(HFLS-RA; Cat. #408RA-05a)は、Cell Applications Inc. (San Diego, CA, USA;ドイツの販売業者: tebu-bio, Offenbach, Germany)から購入した。細胞を解凍し、増殖させ、アキュターゼ(PAA Laboratories GmbH, Pasching, Austria; Cat. #L11-007)で剥がした後、この後のCellTiter Glo増殖/生存率アッセイのために、96wFホワイトチムニープレート(Greiner Bio-one, Frickenhausen, Germany; #655098)中の100μl/ウェル培地に、1ウェル当たり約2×10
4個のHFLS−RA細胞を播種した。予備実験では、製造業者の説明書に従ってClick-iT EdUキットを使用して、増殖を評価した(以下を参照のこと)。
【0244】
1:3希釈工程において、リコンビナントヒトTWEAK(R&D Systems, Wiesbaden, Germany; Cat. #1090-TW/CF)を0〜6,000ng/ml、100μl/w、トリプリケートで滴定して、用量反応曲線のEC50値を求めた。1ウェル当たりの総容量は200μlであった。次いで、増殖が測定されるまで、プレートを37℃、5%CO
2で72時間インキュベーションした。
【0245】
最後の実験では、細胞を様々な濃度(c
fin=0〜150nM)の示されている抗体と共に37℃、5%CO
2で30分間プレインキュベーションした。この後、10〜20ng/mlのリコンビナントヒトTWEAKを各ウェル(50μl/w)に追加し、さらに72時間培養することによって、細胞を刺激した。リコンビナントIL−17又はTNFαによる刺激は、測定可能なHFLS増殖誘導をもたらさなかった。
【0246】
増殖アッセイ
一般的な細胞生存率/活性によって測定した場合の増殖を評価するために、CellTiter Gloキット(Promega GmbH, Mannheim, Germany; Cat. #G7571)を使用した。簡潔に言えば、基質及び緩衝液を解凍し、基質を10mlの緩衝液に溶解した。平衡化のために、プレートを室温で30分間インキュベーションし、遠心分離し、100μlの細胞上清を100μlのCellTiter Glo試薬(1ウェル当たり)に追加した。プレートを2分間振盪し、10分間のシグナル平衡化後、以下の設定:96 w F Greinerチムニーホワイト/発光/0〜1000msでTecan Infinite 2000リーダー(Tecan, Crailsheim, Germany)を使用して、発光を測定した。
【0247】
予備実験では、製造業者の説明書(Invitrogen, Cat. # A10208)に従ってClick-iT EdU A647キットを使用して、増殖を評価した。
【0248】
【表15】
【0249】
【表16】
【0250】
実施例18
<TWEAK−IL−17>抗体分子の小スケール動的光散乱(DLS)ベースの粘度測定。
本質的には[He, F., et al., Analytical Biochemistry 399(1) (2009), 141-3]に記載されているように、粘度測定を実施した。簡潔に言えば、サンプルを濃縮して様々なタンパク質濃度の200mMコハク酸アルギニン溶液(pH5.5)にしてから、ポリスチレンラテックスビーズ(直径300nm)及びポリソルベート20(0.02%v/v)を追加する。0.4μmフィルタプレートによる遠心分離によって、サンプルをオプティカル384ウェルプレートに移し、パラフィンオイルで被覆する。25℃における動的光散乱によって、ラテックスビーズの視直径を決定する。溶液の粘度は、η=η
0(r
h/r
h,0)(η:粘度;η
0:水の粘度;r
h:ラテックスビーズの流体力学視半径;r
h,0:水中におけるラテックスビーズの流体力学半径)のように決定することができる。
【0251】
同じ濃度で様々なサンプルの比較を可能にするために、Mooney式(式1)[(Mooney, Colloid Sci, 1951; Monkos, Biochem. Biophys. Acta 1997)]を用いて、粘度−濃度データをフィッティングし、それに応じてデータを補間する。
【0252】
【数1】
(S:タンパク質の流体力学的相互作用パラメータ;K:自己込み合い係数(self-crowding factor);Φ:溶解したタンパク質の体積分率)
【0253】
比較のために、国際公開第2010/102251号に記載されているIL17ベースの二重特異性抗体D2E7−B6−17.8DVD−Ig(これは、第2の特異性としてTNFαに結合する)のデータも決定した。
【0254】
【表17】
【0255】
二重特異性抗体の安定性
サンプルを濃縮して最終濃度150mg/mLの200mMコハク酸アルギニン溶液(pH5.5)にし、滅菌ろ過し、40℃で4日間静止保存する。保存前後に、サイズ排除クロマトグラフィーによって、高分子量(HMW)種の含有量を決定する。保存したサンプルと、調製直後に測定したサンプルとの間のHMW含有量の差異を「HMWの増加」と報告する。比較のために、国際公開第2010/102251号に記載されているIL17ベースの二重特異性抗体D2E7−B6−17.8DVD−Ig(これは、第2の特異性としてTNFαに結合する)のデータも決定した。
【0256】
【表18】
【0257】
実施例19
本発明の二重特異性<TWEAK/IL17>抗体の結合
25℃でBIAcore(登録商標)T100機器(GE Healthcare)を使用して表面プラズモン共鳴(SPR)によって、二重特異性抗体及び親抗体の<IL17>及び<TWEAK>結合親和性を測定した。BIAcore(登録商標)システムは、分子相互作用の研究のために十分に確立されている。SPR−技術は、金でコーティングされたバイオセンサーチップの表面に近い屈折率の測定に基づくものである。屈折率の変化は、固定化リガンドと、溶液中の注入された分析物との相互作用によって引き起こされる表面上の質量変化を示す。分子が表面上の固定化リガンドに結合する場合には質量が増加し(その逆もまた同様である)、固定化リガンドから分析物が解離する場合には質量が減少する(複合体の解離を反映)。SPRは、リガンド/分析物結合の連続的なリアルタイムモニタリングを可能にするので、会合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)及び平衡定数(KD)の決定を可能にする。
【0258】
IL17結合親和性
GE Healthcareが供給しているアミンカップリングキットを使用することによって、約12000反応単位(RU)の捕捉系(10μg/mlのヤギ抗ヒトF(ab’)2;注文コード:28958325; GE Healthcare Bio-Sciences AB, Schweden)をCM5チップ上にpH5.0でカップリングした。サンプル及びシステムバッファーは、PBS−T(0.05%Tween20を含む10mMリン酸緩衝生理食塩水)(pH7.4)であった。流量10μl/分で50nM溶液を1分間注入することによって、二重特異性抗体を捕捉した。1:1希釈で50nMから開始して流量30μl/分で様々な濃度のヒトIL17溶液を3分間注入することによって、会合を測定した。解離期を最大5分間モニタリングし、サンプル溶液からランニング緩衝液に切り替えることによってトリガーした。グリシン溶液(pH2.1)による60秒間の洗浄を流速30μl/分で2回行うことによって、表面を再生した。ヤギ抗ヒトF(ab’)2表面から得られた反応を差し引くことによって、バルク屈折率の差を補正した。ブランクの注入も差し引く(=二重参照)。見掛けのK
D及び他の動態パラメータの計算のために、Langmuir1:1モデルを使用した。結果を以下の表17に示す。
【0259】
【表19】
【0260】
TWEAK結合親和性
センサー表面に対するTWEAK分析物の非特異的結合が強いため、逆の設定(TWEAKをリガンドとして使用)を選択した。GE Healthcareが供給しているアミンカップリングキットを使用して、約100反応単位(RU)のTWEAKをCM1チップ表面上にpH5.0で固定化した。サンプル及びシステムバッファーは、PBS−T(0.05%Tween20を含む10mMリン酸緩衝生理食塩水)(pH7.4)であった。1:1希釈で50nMから開始して流量30μl/分で様々な濃度の二重特異性抗体溶液を3分間注入することによって、会合を測定した。解離期を最大10分間モニタリングし、サンプル溶液からランニング緩衝液に切り替えることによってトリガーした。3M MgCl2溶液による30秒間の洗浄を流速30μl/分で3回行うことによって、表面を再生した。ブランクカップリング表面から得られた反応を差し引くことによって、バルク屈折率の差を補正した。ブランクの注入も差し引く(=二重参照)。見掛けのK
D及び他の動態パラメータの計算のために、Langmuir1:1モデルを使用した。結果を以下の表18に示す。
【0261】
【表20】
【0262】
両ターゲットヒトTWEAK及びヒトIL17に対する<TWEAK/IL17>抗体の同時結合
GE Healthcareが供給しているアミンカップリングキットを使用することによって、約12000反応単位(RU)の捕捉系(10μg/mlのヤギ抗ヒトF(ab’)2;注文コード:28958325; GE Healthcare Bio-Sciences AB, Schweden)をCM5チップ(GE Healthcare BR-1005-30)上にpH5.0でカップリングした。サンプル及びシステムバッファーは、PBS−T(0.05%Tween20を含む10mMリン酸緩衝生理食塩水)(pH7.4)であった。フローセルの温度を25℃に設定し、サンプルブロックの温度を12℃に設定した。捕捉前に、フローセルをランニング緩衝液で2回プライミングした。流量10μl/分で50nM溶液を60秒間注入することによって、二重特異性抗体を捕捉した。連続して又は同時に追加(流量30μl/分)した各リガンドの活性結合能を決定することによって、二重特異性抗体に対する各リガンドの個別の結合を分析した:
【0263】
1)濃度50nMのヒトTweak−Fcを120秒間注入する(抗原の単一結合を同定する)。2)濃度50nMのヒトIL17A/Aを120秒間注入する(抗原の単一結合を同定する)。3)濃度50nMのヒトTweak−Fcを120秒間注入し、続いて濃度50nMのヒトIL17A/Aをさらに注入する(Tweakの存在下でIL17A/Aの結合を同定する)。4)濃度50nMのヒトIL17A/Aを120秒間注入し、続いて濃度50nMのヒトTweak−Fcをさらに注入する(IL17A/Aの存在下でTweakの結合を同定する)。5)濃度50nMのヒトIL17A/A及び濃度50nMのヒトTweak−Fcを120秒間同時注入する(Tweak及びIL17A/Aの結合を同時に同定する)。
【0264】
グリシン溶液(pH2.1)による60秒間の洗浄を流速30μl/分で2回行うことによって、表面を再生した。ヤギ抗ヒトIgG表面から得られた反応を差し引くことによって、バルク屈折率の差を補正した。アプローチ3、4及び5の得られた最終シグナルが、アプローチ1及び2の個々の最終シグナルの合計に等しい場合、二重特異性抗体は両抗原に相互に独立して結合することができる。
【0265】
【表21】