(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6007370
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月12日
(54)【発明の名称】有効期限付きの木材防腐処理法
(51)【国際特許分類】
B27K 3/34 20060101AFI20160929BHJP
B27K 3/36 20060101ALI20160929BHJP
【FI】
B27K3/34 A
B27K3/36
【請求項の数】13
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-522210(P2014-522210)
(86)(22)【出願日】2011年11月21日
(65)【公表番号】特表2014-521532(P2014-521532A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】ID2011000007
(87)【国際公開番号】WO2013014657
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2014年7月9日
(31)【優先権主張番号】P00201100446
(32)【優先日】2011年7月27日
(33)【優先権主張国】ID
(73)【特許権者】
【識別番号】513105557
【氏名又は名称】ピーティー.カルナ サンバー ジャヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ブディ,サントソ
【審査官】
竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−225004(JP,A)
【文献】
特開昭60−042003(JP,A)
【文献】
特表2007−504351(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0194773(US,A1)
【文献】
特開2006−076951(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0018215(US,A1)
【文献】
国際貿易における木材こん包材の規制,植物検疫措置に関する国際基準15,2009年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27K 1/00 − 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効期限付きの木材の防腐処理法は以下の諸段階、即ち:
前記木材の表面を洗浄剤または紙やすりで洗浄し滑らかにすること;
高温で前記木材の湿気を除去すること;
前記木材を設計・所望の形に製造すること;
銅化合物、ニクロム酸ナトリウム、棚砂、酢酸、柑橘類、煙草、丁子、及びシペルメトリンが配合された防腐液を使用して、前記木材に防腐処理を施すこと;
防腐処理が施された前記木材を乾かすこと;及び
船積み/配送前に、前記木材に安全標識のラベルを貼付すること
を踏んで行われる、防腐処理法。
【請求項2】
請求項1に記載の有効期限付きの木材の防腐処理法において、熱処理設備の室温は摂氏650度から750度であり、木材乾燥室の温度は継続的に摂氏65度から120度である防腐処理法。
【請求項3】
請求項1に記載の有効期限付きの木材の防腐処理法における乾燥期間は三日間から七日間、継続的に行われる防腐処理法。
【請求項4】
請求項1に記載の有効期限付きの木材の防腐処理法において、前記防腐液を噴霧、染め、ブラッシング、浸水、真空圧、加圧含浸の方法で前記木材に注入し、防腐処理を施す防腐処理法。
【請求項5】
請求項1に記載の有効期限付きの木材の防腐処理法において、前記木材を数秒にわたり前記防腐液の入った水槽に浸漬させる防腐処理法。
【請求項6】
請求項1に記載の有効期限付きの木材の防腐処理法において、防腐処理の対象となるのはパレットの形をした木材であり得る防腐処理法。
【請求項7】
請求項6に記載の有効期限付きの木材の防腐処理法であって、前記木材がパレットの形をした場合、その左側にシリーズ番号を示す数字(a)が表示されている防腐処理法。
【請求項8】
請求項6に記載の有効期限付きの木材の防腐処理法であって、パレットの真中に安全表示のラベル(b)が付けられ、会社の所在地及びパレットに関する重要なデータが表示されている防腐処理法。
【請求項9】
請求項6に記載の有効期限付きの木材の防腐処理法であって、パレットの右側に製造年及び月の記入欄(c)を有する防腐処理法。
【請求項10】
請求項6に記載の有効期限付きの木材の防腐処理法であって、上方に防腐処理年及び月が表示され、防腐処理の日付及び防腐処理有効期限の日付の記入欄(d)がある防腐処理法。
【請求項11】
請求項6に記載の有効期限付きの木材の防腐処理法であって、ID(国コード)、005(ネームコード)、HT(熱処理)、DB(樹皮除去(木の皮から除去された樹皮))を含む標識(e)がパレットにある、防腐処理法。
【請求項12】
請求項6に記載の有効期限付きの木材の防腐処理法であって、前記木材が臭化メチルを含まないことを示す標識(f)がパレットにある、防腐処理法。
【請求項13】
請求項6に記載の有効期限付きの木材の防腐処理法であって、前記木材が半永久の防腐処理が施されていること知らせる文字(g)がパレットにある、防腐処理法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新しい木材防腐処理法、特に、環境に優しく、一ヶ月と明記された有効期限付きの防腐処理法であり、木製梱包材に付着するカビ・有害の籾殻・寄生虫を除去するが、ほかの生物を破壊することはない木製梱包材に対する有効期限付きの防腐処理法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物検疫措置に関する国際基準15(ISPM#15)により、国際貿易における木製梱包材の基準が定められている。ISPM#15の諸規定は、一国から他国への害虫の拡散の防止を目的とする。また、ISPM#15により、当該貿易国が木製梱包材の輸出及び輸入に関する条例の発令が阻止される。ISPM#15の対象の害虫は死番虫、コナナガシンクイムシ、タマムシ、グラナリアコクゾウムシ、シロアリ、コハナバチ、アオカミキリモドキ、キクイムシ、キバチ及び線形動物である。
【0003】
また、ISPM#15では、木製梱包材にはカビ・害虫・生きた虫が付着せず、昆虫のためひびが入っておらず、樹皮が付着せず、清潔であり、植物防疫所の処理基準を満たし、風雨に晒されず、防カビ処理がされていなければならない。
【0004】
木材は工業用・家具素材・筆記具及び建材など広範囲にわたって利用されている。一方、木材は外気に晒された場合、カビやその他の植物を妨害する微生物のため腐食するから、長期的、殊に戸外において長期的な利用は不向きである。尚、この度発明した保存法により、木製梱包材は国内及び国外に利用できる。輸出用の場合、木製梱包材はISPM#15の諸規定を満たさなければならない。木製梱包材をはじめとする木材の防腐処理法として、水に溶解する銅化合物を防腐剤として利用する方法がある。但し、この方法では、銅化合物は木材に食い込むことになる。防腐処理済みの木材が雨滴に晒されても、銅化合物は木材に染み込み、戸外に利用される場合、環境破壊の原因となる。
【0005】
単なるカルボン酸としてのシュウ酸は植物・動物及びカビに広く分布している。主要な木材腐朽菌としての担子菌類は木材のコロニー形成の過程にシュウ酸を生成する。上記のシュウ酸は木材の生分解に決定的な役割を果たす。シュウ酸は、酵素による加水分解セルロースか非酵素による加水分解セルロースを問わず、木材のセルロース加水分解におけるたんぱく質源として作用する。カビから発生するシュウ酸は木材のpHを減らし、セルロースの解重合を促し、よって木材の強度を低下させる。木材保存の観点からすると、カビによるシュウ酸の発生は木材の強度維持と木製梱包材の生産には有害である。これまでの保存法においては、シュウ酸を強く固めたのは銅・クロム・ヒ素(CCA)である。これは木材保存に広く使われている。銅・クロム・ヒ素(CCA)はカビの蔓延を防止するには効果的ではなくなり、シュウ酸が生合成してカビを発生させるのを抑制する有効な方法の発明は必要となった。
【0006】
長い間、上記の木材防腐処理法による木製梱包材の製造は伝統的な職人や零細企業で行われてきた。これには銅成分含有の銅・クロム・ヒ素(CCA)やクエン酸銅(CC)が添加される。上記の何れの成分を調合せずに利用したら、木製梱包材の防腐効果が発揮できないことになる。
【0007】
現行の基準に従ったその他の木材防腐処理法には、燻蒸消毒と熱処理がある。熱処理の場合、最低摂氏56度で30分間にわたり熱を加える。この方法にはエネルギーを大量に要し、膨大なエネルギー消費は地球温暖化を加速させる。現行の燻蒸消毒による木材保存には臭化メチルガスが利用され、投与量立方メートル当たり48グラムの臭化メチルで24時間にわたり最低摂氏10度で燻蒸消毒を施す。臭化メチルはオゾン層破壊の原因となる。にもかかわらず、臭化メチルは植物検疫をはじめとする検疫作業に使われ続けている(厳重な管理と遵法の確認)。他方、臭化メチルの代替品例えば、冷間処理・熱処理・リン化水素による燻蒸消毒・フッ化硫黄・エチレンオキシド、及び環境に優しいその他の物質が模索されている。
【0008】
上記のように、これまでの木製梱包材をはじめとする木材防腐処理法には弱点がある。それは、環境破壊につながる化学物質の利用が管理されず、且つ測定されないためである。また、防腐効果が不活発となったり、オゾン層破壊の原因となったり、シュウ酸による木材の強度の低下をもたらしたりしている。
【0009】
そのため、より効果的な木製梱包材の防腐処理法を発明する必要がある。それは、熱処理と、一ヶ月という有効期限付きの防腐剤の投与による防腐処理である。従って、一ヶ月という有効期限が切れたら、再度の防腐処理が必要となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述のように、この発明は有効期限を付けての木製梱包材防腐処理法である。その実施の諸段階は下記の通りとなる。即ち:
木製梱包材の表面を洗浄剤または紙やすりで洗浄し滑らかにする;
高温で木製梱包材の湿気を除去する;
木製梱包材を設計・所望の形に製造する;
特定の含有量の防腐剤溶液の入った水槽に木材を浸漬させ、防腐処理を施す;
防腐剤の入った水槽の防腐剤溶液を排出し、浸してある木材を乾かす;
船積み/配送前に、木製梱包材に安全標識のラベルを貼付する。
【0011】
比較的短期間という有効期限付きで、効果的で手軽に、環境に優しくコストが省け、しかも木製梱包材を確実にカビやその他植物を妨害する微生物から守れることが、この発明の目的である。
【0012】
また、一ヶ月という有効期限を設けることにより、木製梱包材の防腐処理に使われる防腐剤は一定量に限定することになり、より自然環境に優しい防腐処理法となる。なぜならば、木製梱包材に殺虫剤成分含有の防腐剤または有害物質が30日以上含有すると、他の生物や生態系を危険に晒すことになる。
【0013】
有効期限付きの防腐処理法により、利用する防腐剤は木材に付着するカビや害虫を駆除するが、他の生物には無害であり、環境にも優しい。
【0014】
その上、安全標識・数量表示・防腐処理の日付を明記するラベルが貼付される。
【0015】
それにより、次のユーザーは防腐有効期限を把握できる。表示の日付から30日過ぎ、しかもまだコンテナや貨物船に積み荷していない場合、再度の防腐処理が必要となる。
【0016】
コンテナまたは貨物船に積み荷され運送される期間は防腐処理期間に算入されない。それは、輸送船には消毒剤により完全殺菌が行われ、カビ・植物を妨害する微生物の再侵入が遮断している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
有効期限付き木製梱包材防腐処理法は、以下の略図の通りである。即ち:
【
図1】新しく発明した有効期限付きの木製梱包材の防腐処理法の実施のフローチャートである。
【
図2】防腐処理済みで表面にしかるべき標識が貼付された木製梱包材の俯瞰図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付の俯瞰図やフローチャートに沿って、有効期限付き防腐処理法を説明すると、下記の通りとなる。
【0019】
図1は有効期限付きの木製梱包材防腐処理法のフローチャートである。
【0020】
木製梱包材の表面を洗浄剤または紙やすりで洗浄し滑らかにする;
高温で木製梱包材の湿気を除去する;
木製梱包材を設計・所望の形に製造する;
特定の含有量の防腐剤溶液の入った水槽に木材を浸漬させ、防腐処理を施す;
防腐剤の入った水槽の防腐剤溶液を排出し、浸してある木材を乾かす;
船積み/配送前に、木製梱包材に安全標識のラベルを貼付する。
【0021】
但し、
図1によると、木製梱包材の表面を洗浄し滑らかにする作業は、木材を希望通りの形に切断してから行われる。この場合、サンプルはパレット木材の形をしている。(
図2を参照)
木材の表面を完璧に洗浄し滑らかにしてから、次は木材を乾燥させ、木材に残留する湿気を最小限にする。木材は80−120%の水分を含有する。湿気の残留量が多ければ多いほど、カビやバクテリアの発生の可能性が高くなる。そのため、木材を継続的に六日間または七日間にわたり摂氏600度から700度のバーナーに入れて湿気を抜く必要がある。湿気が10%以下若しくは最大限10%−19%のレベルにまで下げなければならない。
【0022】
次の作業は、
図2の通り、設計・希望または所望されたとおりに木製梱包材を組み立てる。木材をリベットで完璧に組み合わせ、ボルトを特殊の道具で木材に食い込ませ、梱包の対象となる物を傷つけないようにする。組み立てる過程においては木材の全体を細部までチェックし、ひびが入った部分はボルトで固め、パテを施す。他にも木材の表面に疵ができたら、これにパテを施し、見えなくなるようにする。
【0023】
次は防腐処理作業で、木材を一定量の防腐剤が配合された防腐液に浸漬させる。サンプルにおいては、木製梱包材は数秒にわたり防腐液の入った水槽にどっぷり漬かる。防腐処理が管理・測定可能な一定量の防腐剤で行われる場合、防腐剤は木材に付着するカビや有害のバクテリア以外の生物には無害である。「管理・測定可能な防腐剤の配合」とはその投与量が生物に無害であり、その有効期限は30日間(一ヶ月)以内である。防腐処理に投与される防腐剤の有効期限が30日以上だと、環境破壊をもたらすのである。そのため、防腐剤の投与量を30日有効であると限定し、30日間が経過したら防腐剤を噴霧してまたはその他の方法で再度防腐処理を施す。上記の防腐処理のために投与した防腐剤の入った水槽に生きた魚を入れ、魚は元気に水槽の中を泳ぐ。防腐処理により木材からカビや有害なバクテリアを駆除し、尚且つ防腐処理済みの木材は環境に優しい。
【0024】
次の作業は防腐処理済みの木材を水槽から取り出し、表面が乾いたら、防腐処理済みの標識を付ける。
【0025】
次の作業は船積み・輸送の前に木製梱包材の表面に標識を貼り付けることである。これは第三者により不正の防止、及び有効期限が切れた後の再度の防腐処理の必要性を明記するものである。
【0026】
次に、
図2で示される通り、防腐処理過程の俯瞰図であり、防腐処理済みの木材の表面に防腐処理に関するデータの標識を付ける。
【0027】
図2ではパレットの形にした木製梱包材の防腐処理が示されているが、実際には、パレットの形のみならず、箱・食器棚その他の様々な形の木製梱包材に適用できる。
【0028】
防腐処理済みのパレットの形の木製梱包材の表面に、防腐処理に関するデータの標識が付けられている。左側に二桁の数字(a)例えば”01”はパレットのシリーズ番号を示し、この場合、同じ日にパレットの製造に同じシリーズ番号を付けることはない。パレットの真中に安全標識のラベル(b)が付けられ、会社の所在地やパレットに関する重要なデータが記載されている。ラベル(b)を剥がしてはならない。ラベルが破損した場合、防腐処理データの信憑性が疑われる。右側には製造の日付(c)が記載されている。製造の日付の記入欄の上方に記入欄(d)があり、木製梱包材の防腐処理の日付及び防腐処理有効期限の日付が記載されている。その他、原産国の記入欄(e)、臭化メチルが使用されていることに関する説明の欄(f)、半永久の防腐処理が施されていることに関する情報の欄(g)がある。
【0029】
総じて言えば、木材防腐処理には臭化メチルが使用されている。防腐処理の対象となる木材を防腐液が入った水槽に浸漬させ、若しくは防腐液を木材に注入する。防腐液は直接注入されるか、水または有機的溶剤で希釈され、若しくは乳化させられて木材に注入される。それにより、カビやその他の植物を妨害する生物は一時的に木材を侵食することはなくなる。但し、臭化メチルは環境破壊の原因となり、オゾン層破壊の原因物質のリストにあがっている。インドネシア政府は環境省及びを通じて倉庫の燻蒸消毒作業の訓練を実施し、段階的に臭化メチルの使用を廃止し、全力を挙げて環境保護に取りかかっている。
【0030】
新発明の木材防腐処理において、銅成分配合の防腐剤2キロまでを用い、これを3キロのニクロム酸ナトリウム・棚砂1キロとともに水に溶かす。上記の防腐剤を最小限7.5リットルの水に溶かし、これにより80EC防腐液が出来上がる。これをA配合と呼ぶ。
【0031】
次に、最小限100ECの酢酸と100ECの柑橘類と1キロの煙草を2.5リットルの水で煮詰め、40EC配合が出来上がる。0.5キロの丁子(クローブ)を20リットルの水に混ぜて2.5EC配合が出来上がる。こうして調合した防腐液をB配合と呼ぶ。
【0032】
第三種の防腐液配合は最小限100ECのシペルメトリン液で、C配合と呼ぶ。
【0033】
上記の三種類の配合を下記の通りに再度ミックスする。A配合2ミリリットルにつき1リットルの水を希釈し、B配合2ミリリットルにつき1リットルの水で希釈し、C配合4ミリリットルにつき1リットルの水で希釈して、三種類の配合をミックスする。A配合、B配合とC配合を1リットルの水で希釈し、防腐剤0.8%含有の1リットルの消毒液が出来上がり、これを木材防腐処理に使う。
【0034】
上記の配合で出来上がった防腐液を消毒剤と呼ぶ。これを噴霧、染め、ブラッシング、浸水、真空圧、加圧含浸といった方法で木材防腐処理を施す。
【0035】
消毒剤の配合による木材防腐処理の前に、摂氏650度から750度の熱処理設備で熱処理を行う。一方、木材を乾燥させるには、乾燥設備が摂氏65度から120度で、三日間から七日間乾燥させる。これは木材の湿気を最小限に下げるためである。防腐処理済みの木材は熱処理を施される前に、その湿気は90〜120%であり、そのため、再びカビや植物を妨害する微生物の温床となる。熱処理により木材の芯まで熱を通す。一般的には、標準的な熱処理は摂氏56度で、±30分間継続的に行われる。
【0036】
新発明の防腐処理法において、ラベル貼付は防腐処理作業の一環とされている。
図2で示されるように、ラベルでは、当の木製梱包材は防腐処理から目的国・ユーザーに届けられるまでは六ヶ月以内にのみ有効と記載されている。防腐処理が行われてから一ヶ月間が経過し、しかもまだ船積みされていない場合、防腐処理の有効期限が切れたと見なされ、再度の防腐処理と新しい有効期限の制定が必要となる。こうしたラベル付けにより、先入れ先出しの作業を容易にする。安全標識のラベルでは防腐処理を行った会社の所在地が記載され、ユーザーが問合せをする時は便利である。また、このラベルには防腐処理に、オゾン層破壊の原因となる臭化メチルが使用されていないことも表示されている。記載された日付で示される通り、一定期間においてカビやその他の植物を妨害する生物の侵入が防げる。これが有効期限付き防腐処理法である。
【0037】
以上、図に沿って説明していたが、あくまでも例としてであり、パレットに限定されず、他の形をした木製梱包材にも適用可能である。この分野の熟練した技師はこの説明書を熟読して、他の形をした木製梱包材の防腐処理に取り組むことが可能である。従って、本防腐処理法に基づいたパレット以外の形をした木製梱包材の防腐処理も、本特許の保護範囲内となる。