(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6007425
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月12日
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20160929BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20160929BHJP
【FI】
A41D13/11 A
A62B18/02 C
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-82824(P2015-82824)
(22)【出願日】2015年3月28日
【審査請求日】2015年4月22日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515103065
【氏名又は名称】岳上 佳典
(72)【発明者】
【氏名】岳上 佳典
【審査官】
▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3158215(JP,U)
【文献】
特開2007−054270(JP,A)
【文献】
特開2007−061585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体上辺部内側に、通気性がマスク本体より悪く、かつ適度に柔軟性がある薄膜片を有し、薄膜片上辺部とマスク本体上辺部は中央部が接合又は粘着されており、使用時に薄膜片の中央部の接合又は粘着部は接合又は粘着したままで薄膜片の両端部を下げるとともに薄膜片を両端部の接合又は粘着部でマスク本体に保持することにより、薄膜片の下辺が膨らむ構造であることを特徴とするマスク。
【請求項2】
マスク本体上辺部内側に、通気性がマスク本体より悪く、かつ適度に柔軟性があり、マスク本体上辺部より上方に突出ている薄膜片を有し、薄膜片の下辺部がマスク本体上辺部で接合または粘着されており、この接合または粘着の部位が中央から端までが一直線ではなく両端部が下がっており、この接合または粘着をしたままで薄膜片を逆U字形に内側下に折り曲げることにより、薄膜片の下辺が膨らむ構造であることを特徴とするマスク。
【請求項3】
マスク本体上辺部内側に、通気性がマスク本体より悪く、かつ適度に柔軟性がある薄膜片を有し、薄膜片上辺部とマスク本体上辺部は中央部を除く部分が接合又は粘着されており、使用時に薄膜片上辺部の中央部を除く部分の接合又は粘着部は、接合又は粘着したままで薄膜片の中央部を下げるとともに薄膜片を中央部の接合又は粘着部でマスク本体に保持することにより、薄膜片の下辺が膨らむ構造であることを特徴とするマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻と口を覆うマスクにおいて、上部の隙間からの吐気によりメガネが曇ることを軽減させるマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なマスクでは、鼻と口を覆うマスクにおいて、マスク上部と鼻と頬骨の間に形成される隙間から吐気が上昇し、吐気の水蒸気によりメガネが曇るという問題があった。
【0003】
このようなメガネの曇りを軽減ないし解消すべく、従来より幾つかの提案がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1にあるように、マスク上部に塑性変形する樹脂や金属板をもうけ、これを鼻の形に合わせて折り曲げて前記の隙間を塞ぐように図っているものがある。
【0005】
また、例えば特許文献2にあるように、マスク上部に粘着性の物質を備え、鼻および頬と粘着することにより、前記隙間の密閉を図っているものがある。
【0006】
さらに、例えば特許文献3、4にあるように、マスク上部にスポンジ状物質を備え、前記の隙間を塞ぐように図っているものがある。
【0007】
さらにまた、例えば特許文献5、6にあるように、マスク上端部に薄膜状で空気を通さないか又は空気を通しにくい素材で構成された薄膜片を頬に押しつけることにより前記の隙間を塞ぐように図っているものがある
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】 特開2006−305279号広報
【特許文献2】 特開2006−263172号広報
【特許文献3】 特開2008−148984号広報
【特許文献4】 特開2003−236000号広報
【特許文献5】 特開2007−054270号広報
【特許文献6】 特開2007−061585号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述特許文献1に記載された塑性変形する樹脂や金属板をもうけたものでは、マスク上端部を頬に密着させることが難しく、前記の隙間を十分に塞ぐことができず、メガネの曇り止め機能は不十分である。
【0010】
また、前述特許文献2に記載された粘着性を付与したものでは、装着感の好みがあり、脱着回数も限定されると考えられ、必ずしも良い方法であるとはいえない。
【0011】
さらに、前述特許文献3、4に記載されたマスク上部にスポンジ状物質を備えたものでは、使わない時の厚み及び容積が大きく保管上で良いとはいえない。
【0012】
そして、前述特許文献5、6に記載された薄膜片を頬に押しつけるようにしたものでは、薄膜片が平面的であり必ずしも前記の隙間を必ずしも塞ぐとはいえず、メガネの曇り止め機能が十分とはいえない。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、装着者の鼻の両側部分と頬部分およびマスク上辺で形成される隙間を塞ぎ、この隙間からの吐気によりメガネが曇ることを軽減させたマスクを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1のマスクでは、鼻と口を覆うマスク本体上辺部
内側に、通気性がマスク本体より悪く、かつ適度に柔軟性がある布状またはシート状の薄膜片を有し
ており、薄膜片とマスク本体は上辺中央部が接合または粘着している。接合または粘着部の端を基点に薄膜片の両端部を下げ
ると平面的な薄膜片が下辺の左右で膨らんだ状態となる。
この状態で接合または粘着していない上辺部も接合または粘着して膨らんだ状態を保持し、この膨らみにより鼻と頬とマスク上辺で形成される隙間を塞ぐことを特徴とする。
より好ましい構成としては、薄膜片とマスク本体を上辺中央部で接合しておき、残りの上辺部はマスク使用時に粘着する構成であり、この構成では、使用者が鼻と頬とマスク上辺で形成される隙間の大きさに合わせて薄膜片の両端部を下げることで膨らみの度合いを良い状態で使用できる。【0015】
請求項2のマスクでは、薄膜片は、鼻と口を覆うマスク本体内側に設け、通気性がマスク本体より悪く、かつ適度な柔軟性がある布状またはシート状の素材で出来ており、薄膜片は下辺部がマスク本体上辺部内側に接合または粘着しており上部はマスク本体の上辺部より上方に突出して延設している。薄膜片とマスク本体の接合または粘着は、
両端部が下がっており、このため薄膜片をマスク本体の上辺部から内側下へ折り曲げた時に薄膜片の折り曲げ後の下側が膨らんだ状態となる構造であり、この膨らみが鼻と頬とマスク上辺で形成される隙間を塞ぐことを特徴とする。
【0016】
請求項3のマスクでは、鼻と口を覆うマスク本体上辺部
内側に、通気性がマスク本体より悪く、かつ適度に柔軟性がある布状またはシート状の薄膜片を有し
ており、薄膜片とマスク本体は上辺どおしが中央部を除く上辺で接合または粘着している。接合または粘着部の端を基点に薄膜片の中央を下
げると平面的な薄膜片が下辺の左右で膨らんだ状態となる。
この状態で接合または粘着していない上辺中央部も接合または粘着して膨らんだ状態を保持し、この膨らみにより鼻と頬とマスク上辺で形成される隙間を塞ぐことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、
マスク本体の内側上部に設けた薄膜片の下辺又は折り曲げ後の下側が鼻の左右で膨らんだ状態となり、マスクを口鼻部に当てると膨らみは鼻と頬とマスク上辺
で形成される隙間を減らし、メガネの曇りを軽減することができる。
【0018】
本発明では、保管時のマスクの厚みはマスク本体に薄膜片の厚みが加わるだけであり、スポンジ等の弾性体を使用する方法に比べて保管の容積が少なくできる。
【0019】
また、薄膜片の柔軟性を適度にすることにより、薄膜片の膨らみの強度を確保して、吸気を制限する効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】本発明の第1の実施の形態を示すプリーツ型マスクで薄膜片を膨らせる前の裏面図である
【
図3】同上プリーツ型マスクであり薄膜片を膨らせて使用する時の裏面図である
【
図4】本発明の第1の実施の形態を示す立体型マスクで薄膜片を膨らせる前の裏面図である
【
図5】同上立体型マスクであり薄膜片を膨らせた使用する時の裏面図である
【
図6】本発明の第2の実施の形態を示すプリーツ型マスクで薄膜片を膨らせる前の裏面図である
【
図7】同上プリーツ型マスクであり薄膜片を膨らせた使用する時の裏面図である
【
図8】本発明の第2の実施の形態を示す立体型マスクで薄膜片を膨らせる前の裏面図である
【
図9】同上立体型マスクであり薄膜片を膨らせた使用する時の裏面図である
【
図10】本発明の第3の実施の形態を示すプリーツ型マスクで薄膜片を膨らせる前の裏面図である。
【
図11】同上プリーツ型マスクであり薄膜片を膨らせて使用する時の裏面図である
【発明を実施するための形態】
【0021】
マスク本体と薄膜片はマスク本体の上辺は接合または粘着されるが、マスク本体と薄膜片のずれを防止し膨らみの安定確保を図るため、薄膜片の下辺付近にも接合または粘着剤の配置をすると良い。
【0022】
粘着部に粘着材を付けておくのは、薄膜片又はマスク本体のどちらでも良い。
【0023】
薄膜片は、1枚であっても、左右に分割しても、中央で切れ目を入れても良い。
【0024】
薄膜片の膨らみに布など柔らかいものを詰めて、膨らみの安定確保を図っても良い。
【符号の説明】
【0025】
10 マスク本体
11 耳掛紐
21 粘着部
22 接合部
23 接合部端
25 粘着部
26 接合部
30 薄膜片
31 薄膜片の上辺端で動かす前の位置
32 薄膜片の上辺端で動かす前の位置
33 薄膜片の上辺端31を動かす先の位置
34 薄膜片の上辺端32を動かす先の位置
【要約】
【課題】鼻と口を覆うマスクについて、マスク上部と鼻と頬骨の間に形成される隙間からの吐気漏れによるメガネの曇りを軽減させることを目的とする。
【解決手段】薄膜片30は、適度の柔軟性をもち、マスク本体10の内側上辺部に設けてあり、上辺中央部がマスク本体10と接合しており、上辺端31、32を接合部端23を中心点として下方33、34に動かしてマスク本体上辺の粘着部21に粘着すると、薄膜片の下辺中間部が膨らんだ状態となる。この膨らみにより、マスク上部と鼻と頬骨の間に形成される隙間を塞ぎ、この隙間からの吐気によるメガネの曇りを軽減させる。
【選択図】
図1