(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0019】
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図1】第1の実施形態の部品内蔵配線基板の概略構成を示す断面構成図である。
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図2】第1の実施形態の部品内蔵配線基板の製造方法における工程図を示す断面図である。
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図3】第1の実施形態の部品内蔵配線基板の製造方法における工程図を示す断面図である。
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図4】第1の実施形態の部品内蔵配線基板の製造方法における工程図を示す断面図である。
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図5】第1の実施形態の部品内蔵配線基板の製造方法における工程図を示す断面図である。
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図6】第1の実施形態の部品内蔵配線基板の製造方法における工程図を示す断面図である。
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図7】第1の実施形態の部品内蔵配線基板の製造方法における工程図を示す断面図である。
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図8】第1の実施形態の部品内蔵配線基板の製造方法における工程図を示す断面図である。
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図9】第1の実施形態の部品内蔵配線基板の製造方法における工程図を示す断面図である。
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図10】第1の実施形態の部品内蔵配線基板の製造方法における工程図を示す断面図である。
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図11】第1の実施形態の部品内蔵配線基板の製造方法における工程図を示す断面図である。
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図12】第1の実施形態の部品内蔵配線基板の製造方法における工程図を示す断面図である。
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図13】第1の実施形態の部品内蔵配線基板の製造方法における工程図を示す断面図である。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の部品内蔵配線基板を示す断面構成図である。
図1に示す部品内蔵配線基板10は、その表面及び裏面に位置し、互いに略平行な第1の配線層11及び第2の配線層12を有するとともに、その内側において、互いに略平行であるとともに、第1の配線層11及び第2の配線層12とも略平行な関係を保持する第3の配線層13及び第4の配線層14を有している。また、第3の配線層13及び第4の配線層14間には、略中央部に凹部17Oが形成されたメタルコア基板17が配設されている。
【0021】
なお、メタルコア基板17は、いわゆる配線基板の技術において、均熱性、機械強度及びシールド特性を向上させるために汎用されているメタルコア基板を意味する。
【0022】
なお、各配線層11〜14及びメタルコア基板17は、例えば、金、銀、銅などの電気的良導体から構成することができる。
【0023】
第1の配線層11及びメタルコア基板17間には、第1の絶縁部材21が配設されており、メタルコア基板17及び第2の配線層12間には、第2の絶縁部材22が配設されている。メタルコア基板17の端部には貫通孔17THが形成され、当該貫通孔17TH内には、第1の絶縁部材21が充填されて分断されているが、これはメタルコア基板17がベタのパターンとなることにより、層間接続体を介した各配線層11〜14が短絡してしまうのを防止するためである。
【0024】
第1の配線層11及び第3の配線層13間は、第1の絶縁部材21によって電気的に絶縁されているとともに、第1の層間接続体31によって互いの一部が電気的に接続されている。同様に、第3の配線層13及びメタルコア基板17間は、第1の絶縁部材21によって電気的に絶縁されているとともに、第3の層間接続体33によって互いの一部が電気的に接続されている。
【0025】
また、メタルコア基板17及び第4の配線層14間は、第2の絶縁部材22によって電気的に絶縁されているとともに、第4の層間接続体34によって互いの一部が電気的に接続されている。同様に、第4の配線層14及び第2の配線層12間は、第3の絶縁部材21によって電気的に絶縁されているとともに、第2の層間接続体32によって互いの一部が電気的に接続されている。この結果、部品内蔵配線基板10は、多層配線基板を構成する。
【0026】
第1の層間接続体31〜第4の層間接続体34も、例えば、金、銀、銅などの電気的良導体から構成することができるが、所定の樹脂中に前述した金属の微紛を分散させたものから構成することができる。また、前述した金属などの他に炭素材を用いることができ、所定の樹脂中に炭素微紛を分散させたものから構成することができる。
【0027】
第1の絶縁部材21中には、電子部品41が埋設され、接続部材41Aを介して、接続端子等が露出したアクティブ面411が第3の配線層13に電気的に接続されてフェイスダウンの状態で実装されている。また、電子部品41と第3の配線層13との間にはアンダーフィル樹脂52が配設され、接続部材41Aの破損や腐食等を防止している。なお、電子部品41は、例えば半導体部品、チップ部品等の能動素子及び/又は受動素子とすることができる。
【0028】
さらに、電子部品41は、メタルコア基板17の凹部17O内に非アクティブ面412及び側面413が収納されている。電子部品41の非アクティブ面412は、導電性接着剤51を介して、凹部17Oの上壁面17O−1に接触しているとともに、側面413は、凹部17Oの側壁面17O−2に対して直接接触している。
【0029】
なお、本実施形態では、電子部品41の非アクティブ面412をメタルコア基板17の凹部17Oの上壁面17O−1に導電性接着剤51を介して接触させているが、導電性接着剤51を介することなく、直接接触させるようにすることもできる。
【0030】
本実施形態の部品内蔵配線基板10では、電子部品41が埋設された第1の絶縁部材21中にメタルコア基板17を配設し、メタルコア基板17に形成された凹部17O内に電子部品41の非アクティブ面412及び側面413を収納し、さらに、導電性接着剤51を介して非アクティブ面412を凹部17Oの上壁面17O−1に接触するようにし、側面413を凹部17Oの側壁面17O−2に直接接触するようにしている。なお、非アクティブ面412は、アクティブ面411に対し、接続端子等が露出しておらず、樹脂や基板等で封止された面を意味するものである。
【0031】
したがって、電子部品41から発せられた熱は、非アクティブ面412のみでなく、側面413からもメタルコア基板17によって効率良く吸収されることになる。また、電子部品41が例えば半導体部品等であって、当該半導体部品から発せられる熱が十分に大きい場合においても、メタルコア基板17によって当該熱を効率良く吸収することができる。この結果、配線基板内部の温度が上昇し、その部品実装部分、すなわち接続部材41Aを破壊したり、各配線層11〜14と各層間接続体31〜34との接続部分にダメージを与えたりという問題を回避することができる。さらには、温度上昇に伴う発煙、発火などの問題を回避することもできる。
【0032】
また、本実施形態の部品内蔵配線基板10においては、電子部品41の側面413はメタルコア基板17の凹部17Oの側壁面17O−2と直接接触するようにしている。メタルコア基板17の凹部17Oはエッチングによって形成するが、エッチング精度が低いと、電子部品41の側面413とメタルコア基板17の凹部17Oの側壁面17O−2との間に隙間が生じてしまい、当該隙間に極僅かではあるが第1の絶縁部材21の一部が侵入してしまう場合がある。第1の絶縁部材21は熱伝導性に劣るため、極僅かであっても当該絶縁部材を介して存在する2つの物質間、すなわち電子部品41及びメタルコア基板17間の熱伝導率を大幅に劣化させてしまう。
【0033】
しかしながら、本実施形態の部品内蔵配線基板10においては、第1の絶縁部材21を介在させることなく、電子部品41の側面413とメタルコア基板17の凹部17Oの側壁面17O−2とを直接接触するようにしているので、これらの間の熱伝導率が劣化することがなく、電子部品41から発せられた熱を極めて効率良くメタルコア基板17によって吸収することができる。但し、この場合は、メタルコア基板17に形成する凹部17Oの形状及び寸法を電子部品41の形状及び寸法と合致するように、エッチングによって正確に形成する必要がある。
【0034】
但し、電子部品41から発せられる熱がメタルコア基板17によって吸収され、上述した作用効果を奏する限りにおいて、電子部品41の側面413とメタルコア基板17の凹部17Oの側壁面17O−2との間において、第1の絶縁部材21が存在することを排除するものではない。
【0035】
また、本実施形態では、電子部品41の非アクティブ面412を凹部17Oの上壁面17O−1に導電性接着剤51を介して接触させるようにしているが、電子部品41の側面413と同様に、導電性接着剤51を介することなく直接接触させることもできる。この場合は、電子部品41の非アクティブ面412から発せられる熱をメタルコア基板17によってより効率的に吸収することができる。
【0036】
但し、導電性接着剤51を介して電子部品41の非アクティブ面412をメタルコア基板17の上壁面17O−1に接触させることにより、電子部品41とメタルコア基板17との接触状態を確実に担保することができ、電子部品41がメタルコア基板17の凹部17Oの壁面から離脱して、電子部品41からの発熱をメタルコア基板17によって吸収できなくなるという問題を回避することができる。
【0037】
したがって、導電性接着剤51を用いるか否かは、電子部品41の形状及び大きさや、メタルコア基板17の凹部17Oの形状及び大きさ等に基づく、凹部17Oのエッチングによる加工精度に依存する。加工精度が極めて高いような場合は、導電性接着剤51を用いなくとも、電子部品41の非アクティブ面412等とメタルコア基板17の凹部17Oの上壁面17O−1等との接触を十分に取ることができる。一方、加工精度があまり高くない場合は、電子部品41の非アクティブ面412等とメタルコア基板17の凹部17Oの上壁面17O−1等との接触を十分に取るためには、導電性接着剤51を用いる必要がある。
【0038】
また、本実施形態の部品内蔵配線基板10においては、電子部品41から発せられる熱を吸収する金属体としてメタルコア基板17を用いているが、上述した要件、具体的には、金属体に形成した凹部に電子部品41の非アクティブ面412及び側面413を収納でき、電子部品41から発せられた熱を金属体によって吸収することができれば、上記金属体はメタルコア基板17に限定されるものではなく、任意のバルク状の金属体とすることができる。例えば第2の絶縁部材22を貫通し、表面が外部に露出したようなバルク状の金属体とすることもできる。
【0039】
しかしながら、上記金属体としてメタルコア基板17を用いることにより、メタルコア基板17を含めた部品内蔵配線基板10の製造工程を簡略化できるとともに、上述のような第2の絶縁部材22を貫通するような大きさバルク状の金属体を用いなくとも、メタルコア基板17によって、当該メタルコア基板17が吸収した熱を外部に効率良く放出させることができる。さらに、部品内蔵配線基板10の強度を増大させることができる。
【0040】
なお、本実施形態では、配線層の数を4とし、これら配線層間に存在する絶縁部材の数を2として、部品内蔵配線基板10を多層配線基板として構成しているが、少なくとも一対の配線層と、この一対の配線層間に絶縁部材が配設され、この絶縁部材中に実装されるべき電子部品が配設されていれば、その形態は特に限定されるものではない。
【0041】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態の部品内蔵配線基板10の製造方法について説明する。
図2〜
図13は、本実施形態の製造方法における工程図を示す図である。
【0042】
最初に、
図2に示すように、例えば銅からなる基板17Xを準備し、
図3に示すように、基板17X上にレジスト171を塗布し、このレジスト171をマスクとして基板17Xを厚さ方向に貫通しないようにしてハーフエッチングを行い、基板17Xの端部において凹部17XOを形成する。次いで、
図4に示すように、基板17Xのエッチング面に対して、凹部17XOを埋設するようにして絶縁部材172を塗布あるいは膜形成等の手段によって形成する。なお、絶縁部材172は、後に第1の絶縁部材21と結合して一体化されるので、一般には第1の絶縁部材21と同じ材料から構成する。
【0043】
次いで、
図5に示すように、基板17Xの先のエッチング面と相対向する面上にレジスト173を塗布し、このレジスト173をマスクとして基板17Xを厚さ方向にエッチングし、略中央部において凹部17Oを形成する。このとき、基板17Xの端部もエッチングされ、凹部17XOの底部が除去されることにより、凹部17XOは貫通して貫通孔17THとなる。一方、基板17Xに比較して絶縁部材172はエッチング率が低いので、凹部17XO内の絶縁部材172はその大部分が残存し、基板17Xの端部が上記エッチングによって形成された貫通孔17THによって分断された後も結合材として機能し、基板17Xの形状を保持する。
【0044】
なお、上述のように、メタルコア基板17に貫通孔17THを形成して分断させるのは、メタルコア基板17がベタのパターンとなることにより、層間接続体を介した各配線層11〜14が短絡してしまうのを防止するためである。
【0045】
次いで、
図6に示すように、基板17Xの表面に残存する絶縁部材172を研磨等によって除去し、メタルコア基板17を得る。
【0046】
次いで、
図7に示すメタルコア基板17を上下逆転させて配置し、後の第3の層間接続体33を構成する、例えば銀バンプ33Xをメタルコア基板17の凹部17Oを除く主面上にスクリーン印刷などによって円錐状に形成する。次いで、
図8に示すように、銀バンプ33Xを貫通するようにして、第1の絶縁部材21のプリプレグ21Xを形成し、メタルコア積層体を得る。
【0047】
次いで、
図9に示すように、第1の絶縁部材21の一部21Yを介して第1の配線層11及び第3の配線層13が相対向するようにして配置され、第1の層間接続体31によって電気的に接続されてなる両面配線基板を準備する。次いで、
図10に示すように、両面配線基板の第3の配線層13上に、電子部品41のアクティブ面411が第3の配線層13と電気的に接続するようにして、電子部品41を第3の配線層13上に実装する。その後、電子部品41及び第3の配線層13間にアンダーフィル樹脂52を充填する。
【0048】
次いで、
図11に示すように、電子部品41の非アクティブ面412に対して、導電性接着剤51を、インクジェット法あるいはスクリーン印刷法等によって塗布し、下部配線基板を得る。なお、導電性接着剤51を用いない場合、
図11に示す工程は省略することができる。
【0049】
次いで、
図12に示すように、第2の絶縁部材22の一部22Yを介して第2の配線層12及び第4の配線層14が対向配置され、これら配線層が第2の層間接続体32で電気的に接続された両面配線基板を形成し、この両面配線基板の第4の配線層14上に、後の第4の層間接続体34を構成する、例えば銀バンプ34Xをスクリーン印刷などによって円錐状に形成する。その後、銀バンプ34Xを貫通するようにして、第2の絶縁部材22のプリプレグ22Xが形成された上部配線基板を形成する。
【0050】
次いで、
図13に示すように、
図8に示す工程で得たメタルコア積層体を中心に配置し、その下方及び上方に、それぞれ
図11で得た下部配線基板及び
図12で得た上部配線基板を配置し、上下から加熱下加圧し、電子部品41をメタルコア基板17の凹部17O内に収納するとともに、上部配線基板、メタルコア積層体及び下部配線基板を互いに密着固定させて、目的とする部品内蔵配線基板10を得る。
【0051】
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。