特許第6007609号(P6007609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6007609回転電機及びこれを備えた車両用操舵装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6007609
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月12日
(54)【発明の名称】回転電機及びこれを備えた車両用操舵装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 21/16 20060101AFI20160929BHJP
   H02K 15/03 20060101ALI20160929BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20160929BHJP
【FI】
   H02K21/16 M
   H02K15/03 H
   B62D5/04
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-138645(P2012-138645)
(22)【出願日】2012年6月20日
(65)【公開番号】特開2014-3845(P2014-3845A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】柴田 由之
(72)【発明者】
【氏名】西崎 勝利
(72)【発明者】
【氏名】平光 明
(72)【発明者】
【氏名】神田 尚武
(72)【発明者】
【氏名】大野 誉洋
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−191702(JP,A)
【文献】 特開2009−101802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 21/16
H02K 15/03
B62D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータコア及び前記ロータコアに固定された永久磁石を有するロータと、
前記ロータの外周に配置され、回転磁界を発生させるステータと、
前記ロータの回転角を検出する回転角センサと、を備えた回転電機において、
前記ステータのステータコアは、
円弧状の円弧バック、及び前記円弧バックから径方向内側に延びる複数のティースを有する第1コアと、
前記円弧バックの外面によって構成される基準円の内側で該円弧バックと周方向に並ぶように配置された内側バック、及び前記内側バックから径方向内側に延びるティースを有する第2コアと、を有し、
前記第1コアティースには、駆動用導線が巻回されてなる駆動コイルが設けられ、
前記第2コアのティースには、前記駆動用導線よりも線径の太い着磁用導線が巻回されてなる着磁コイルが設けられたことを特徴とする回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機を備えた車両用操舵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機及びこれを備えた車両用操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータに永久磁石が設けられた永久磁石式の回転電機が広く知られている。こうした回転電機は、例えば車両用操舵装置において運転者のステアリング操作を補助するためのアシスト力を発生させる操舵力補助装置の駆動源として用いられている(例えば、特許文献1)。ここで、車両用操舵装置においては、低速走行時には大きな操舵力が必要となるため、回転電機には大きなトルクを出力することが求められる。一方、高速走行時には、大きな操舵力は必要とされないものの、緊急事態等に備えて素早い操舵を可能とすべく、回転電機には高速で回転できることが求められる。
【0003】
しかし、永久磁石式の回転電機では、通常、永久磁石で作られる磁束が一定であるため、ステータのコイルに発生する誘起電圧(逆起電圧)は回転速度に比例して大きくなる。そして、この誘起電圧が電源電圧の上限に達すると、それ以上ロータを高速回転させることができなくなる。そこで、永久磁石で作られる磁束量をロータが十分に高速回転できるような量に抑える設計をすることが考えられるが、この場合には低速回転域でのトルクが不足する虞がある。こうした点を踏まえ、近年では、ステータで形成される磁界によって永久磁石を不可逆的に減磁又は増磁させて該永久磁石で作られる磁束を調整することにより、高速回転可能かつ低速回転域で大きなトルクを出力可能とした回転電機が提案されている(例えば、特許文献2)。なお、不可逆的に減磁又は増磁させるとは、ステータで形成される磁界がなくなった後も、永久磁石の磁気特性(残留磁束密度等)が該磁界の形成前の状態に戻らないように着磁することをいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−51387号公報
【特許文献2】特開2010−124608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、回転電機の小型化の要請が強まっており、特に上記特許文献1のように車両の限られたスペースに搭載されるものでは、その傾向が顕著である。
一方、永久磁石を着磁(磁化)する際には、強い磁界を永久磁石に印加する必要がある。そして、強い磁界を形成するには、コイルに大きな電流を流す必要があるため、コイルの導線の線径を太くすることが望ましい。しかし、ステータの各ティースに回転磁界を形成するコイル(駆動コイル)とは別に、駆動コイルの導線よりも線径の太い導線を巻回してなるコイル(着磁コイル)をさらに設けようとすると、その小型化の要請に反して回転電機が大型化する。このように永久磁石を着磁させる構成を持つ回転電機では、大型化し易いことから搭載性が低く、特に車両用操舵装置のように小型化の要請が強い用途への適用が困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、搭載性に優れ、高速回転可能かつ低速回転域で大きなトルクを出力可能な回転電機及びこれを備えた車両用操舵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ロータコア及び前記ロータコアに固定された永久磁石を有するロータと、前記ロータの外周に配置され、回転磁界を発生させるステータと、前記ロータの回転角を検出する回転角センサと、を備えた回転電機において、前記ステータのステータコアは、円弧状の円弧バック、及び前記円弧バックから径方向内側に延びる複数のティースを有する第1コアと、前記円弧バックの外面によって構成される基準円の内側で該円弧バックと周方向に並ぶように配置された内側バック、及び前記内側バックから径方向内側に延びるティースを有する第2コアと、を有し、前記第1コアティースには、駆動用導線が巻回されてなる駆動コイルが設けられ、前記第2コアのティースには、前記駆動用導線よりも線径の太い着磁用導線が巻回されてなる着磁コイルが設けられたことを要旨とする。
【0008】
上記構成によれば、第2コアが第1コアの円弧バックの外面によって構成される基準円よりも内側に配置されるため、ステータの外形形状が円の一部を切り欠いたような形状となる。そのため、ステータが切り欠かれたような形状となった分だけ回転電機を小型化することが可能になり、その搭載性を向上させることができる。また、回転角センサにより検出されるロータの回転角に基づいて着磁コイルに着磁電流を供給することで、第2コアのティースに対して所定位置にある永久磁石を不可逆的に減磁又は増磁することができる。これにより、回転電機を高速回転可能かつ低速回転域で大きなトルクを出力可能とすることができる。
【0010】
ここで、ステータの内周にはロータが配置されているため、第2コアの内側バックを基準円の内側に配置した量に応じて、第2コアのティースの径方向長さは、第1コアのティースよりも短くなる。そのため、仮に着磁コイルを第1コアのティースのいずれかに設けるとともに駆動コイルを残りの第1コアのティース及び第2コアのティースに設けた場合、第2コアのティースに設けられた駆動コイルの巻き数が他のものより少なくなり、各駆動コイルで形成される回転磁界の大きさがばらついてしまう。この点、上記構成では、駆動コイルは第1コアのティースに設けられているため、各駆動コイルで形成される回転磁界の大きさがばらつくことを抑制でき、ロータの円滑な回転を確保することができる。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の回転電機を備えた車両用操舵装置であることを要旨とする。
上記構成によれば、回転電機が小型化されるため、該回転電機を容易に車両に搭載することができる。そして、低速走行時に永久磁石を不可逆的に増磁しておくことで十分なアシスト力を付与して良好な操舵フィーリングを実現できるとともに、高速走行時に永久磁石を不可逆的に減磁しておくことで容易に素早い操舵が可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、搭載性に優れ、高速回転可能かつ低速回転域で大きなトルクを出力可能な回転電機及びこれを備えた車両用操舵装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態の車両用操舵装置の概略構成を示す軸方向に沿った断面図。
図2】一実施形態のモータの軸方向と直交する断面図。
図3】(a)は永久磁石を不可逆的に減磁させるときのモータを示す拡大模式図、(b)は永久磁石を不可逆的に増磁させるときのモータを示す拡大模式図。
図4】別例のモータの軸方向と直交する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両用操舵装置1は、ステアリング操作により回転するピニオン軸2と、ピニオン軸2の回転に応じて軸方向に往復動するラック軸3とを備えている。また、車両用操舵装置1は、ラック軸3が挿通される略円筒状のラックハウジング5を備えている。ラックハウジング5は、筒状に形成されたセンターハウジング6と、センターハウジング6の軸方向一端側(図1における左側)に固定されたギアハウジング7と、センターハウジング6の軸方向他端側(図1における右側)に固定されたエンドハウジング8とからなる。
【0015】
ラック軸3は、ギアハウジング7に設けられたラックガイド11、及びエンドハウジング8に設けられた図示しないブッシュ(すべり軸受)により、その軸方向に沿って往復動可能に支持されている。また、ラックハウジング5内には、ピニオン軸2がラック軸3と斜交する状態で回転可能に支持されており、ラック軸3は、ラックガイド11によって付勢されることによりピニオン軸2と噛合している。なお、ピニオン軸2には、ステアリングシャフトが連結されており、その先端にはステアリングホイール(ともに図示略)が固定されている。そして、車両用操舵装置1は、ステアリング操作に伴ってピニオン軸2が回転し、その回転がラック軸3の軸方向移動に変換されることにより、ラック軸3の両端に設けられた転舵輪(図示略)の舵角、すなわち車両の進行方向を変更するようになっている。
【0016】
また、車両用操舵装置1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置(EPSアクチュエータ)20を備えている。本実施形態の車両用操舵装置1は、所謂ラックアシスト型の電動パワーステアリング装置として構成されている。そして、操舵力補助装置20は、その駆動源となる回転電機としてのモータ21と、モータ21の回転をラック軸3の軸方向移動に変換するボール螺子装置22とを備えている。
【0017】
詳述すると、図1及び図2に示すように、モータ21は、センターハウジング6の内周に固定されるステータ24と、ステータ24の内側に回転可能に設けられるロータ25とを備えたブラシレスモータとして構成されている。つまり、本実施形態では、センターハウジング6はモータハウジングとしても機能している。ロータ25は、中空円筒状に形成されたモータシャフト26、及びモータシャフト26の外周に固定される複数(本実施形態では、10個)の永久磁石27を有している。すなわち、本実施形態では、モータシャフト26がロータコアとして機能しており、ロータ25は、表面磁石型のロータとして構成されている。各永久磁石27は、長方形板状に形成されるとともに、径方向内側と外側とで異なる極性(N極、S極)が現れるように磁化させている。また、永久磁石27は、ロータ25の外周に周方向に異なる極性が交互に並ぶように配置されている。なお、本実施形態の永久磁石27には、サマリウム−コバルト系の磁石が用いられている。そして、モータ21は、モータシャフト26内にラック軸3が挿通されることにより、ラック軸3と同軸に配置されている。
【0018】
また、図1に示すように、モータ21は、センターハウジング6の軸方向一端側に配置され、ロータ25(モータシャフト26)の回転角を検出する回転角センサとしてのレゾルバ31を備えている。レゾルバ31は、センターハウジング6の内周に固定される円環状のセンサステータ32と、モータシャフト26に固定されるセンサロータ33とを備えたバリアブルリラクタンス型のレゾルバとして構成されており、コネクタ34を介して制御装置35に接続されている。なお、制御装置35には、レゾルバ31以外に車速センサ36等の各種センサが接続されている。
【0019】
このように構成されたモータ21では、レゾルバ31により検出されたロータ25の回転角に応じて制御装置35から三相(U相、V相、W相)の駆動電流がステータ24に供給されることにより形成される回転磁界と、永久磁石27との間に生じる磁気的な吸引力及び反発力によってモータシャフト26(ロータ25)が回転するようになっている。
【0020】
ボール螺子装置22は、ラック軸3に形成された螺子部41、モータシャフト26の軸方向他端側に固定されたボール螺子ナット42、及び螺子部41とボール螺子ナット42との間に介在された複数のボール43により構成されている。具体的には、ボール螺子ナット42は略円筒状に形成されており、ボール螺子ナット42の内周及び螺子部41の外周には、それぞれ螺子溝が螺刻されている。各ボール43は、これら対向する各螺子溝により形成された螺旋状の転動路内に転動可能に配設されており、螺子部41及びボール螺子ナット42は、これら各ボール43を介して螺合されている。これにより、各ボール43は、ラック軸3とボール螺子ナット42(モータシャフト26)との間の相対回転に伴い、その負荷(摩擦力)を受けつつ転動路内を転動する。そして、各ボール43の転動によってラック軸3とボール螺子ナット42との軸方向の相対位置が変位することにより、モータシャフト26の回転がラック軸3の往復動に変換され、操舵系にアシスト力が付与されるようになっている。
【0021】
ここで、本実施形態のモータ21は、ステータ24で形成される磁界(着磁磁界)によって、ロータ25の永久磁石27を不可逆的に減磁又は増磁させることにより永久磁石27で作られる磁束を調整可能に構成されている。なお、不可逆的に減磁又は増磁させるとは、ステータ24で形成される磁界がなくなった後も、永久磁石の磁気特性(残留磁束密度等)が該磁界の形成前の状態に戻らないように着磁することをいう。
【0022】
詳述すると、図2に示すように、センターハウジング6は、その軸方向と直交する断面視で、円の一部を直線状に切り欠いた(中心方向に後退させた)筒状をなしており、円弧状の円弧部51、及び円弧部51の両端を連結する直線状の直線部52を有している。ステータ24のステータコア53は、円弧部51の内側に固定された第1コア54と、直線部52の内側に固定された第2コア55とを備えている。
【0023】
第1コア54は、円弧状の円弧バック61、及び円弧バック61から径方向内側に延びる複数(本実施形態では、9本)のティース62を有している。円弧バック61の外径は、センターハウジング6の円弧部51の内径と略等しく形成されており、円弧バック61の外面は円弧部51の内面全体に当接している。また、ティース62は、円弧バック61に対して周方向に等角度間隔で設けられている。そして、各ティース62には、インシュレータ63を介して駆動用導線(エナメル線)64が巻回されることにより、駆動コイル65が設けられている。図1に示すように、各駆動コイル65は、それぞれコネクタ66を介して制御装置35に接続されている。なお、本実施形態では、各相の駆動コイル65がそれぞれ3個ずつ設けられている。また、図2に示すように、第1コア54は、その円弧バック61がティース62毎に周方向で分割された複数の分割コア67からなる。
【0024】
第2コア55は、直線状の内側バック71、及び内側バック71の両端から径方向内側に延びる複数(本実施形態では、2本)のティース72を有している。そして、第2コア55は、円弧バック61の外面をその一部とする基準円Cの内側に配置されている。換言すれば、第2コア55は、円弧バック61の外面の半径と等しい半径を有する基準円Cの内側に配置されている。また、内側バック71は、その外面がセンターハウジング6の直線部52の内面全体に当接するとともに、その周方向両側端面が円弧バック61の周方向両側端面にそれぞれ当接しており、円弧バック61と周方向に並んで配置されている。そして、各ティース72には、インシュレータ73を介して着磁用導線74が巻回されることにより、着磁コイル75が設けられている。この着磁用導線74の線径は、駆動用導線64の線径よりも太く形成されている。また、各着磁コイル75は、コネクタ66を介して制御装置35(図1参照)に接続されており、駆動コイル65とは独立して制御装置35から電流が供給されるようになっている。なお、着磁用導線74の線径が太いため、着磁コイル75には制御装置35から大きな電流が容易に供給されるようになっている。
【0025】
次に、本実施形態の永久磁石27を不可逆的に減磁又は増磁させる態様について説明する。
制御装置35は、車速センサ36により検出される車速が所定車速以上の状態が所定時間継続した場合には、永久磁石27が不可逆的に減磁するように着磁コイル75に着磁電流を供給する。これに対し、制御装置35は、車速が所定車速未満の状態が所定時間継続した場合には、永久磁石27が不可逆的に増磁するように着磁コイル75に着磁電流を供給する。なお、本実施形態では、永久磁石27の磁化方向が反転しない範囲で永久磁石27を不可逆的に減磁又は増磁させる。
【0026】
具体的には、制御装置35は、永久磁石27を不可逆的に減磁させる際には、図3(a)に示すように、いずれか1つの永久磁石27と第2コア55のティース72とが対向する状態で、該永久磁石27の磁化方向と反対方向の着磁磁界が形成されるように各着磁コイル75に着磁電流を供給する。そして、この着磁磁界が着磁コイル75によって形成されると、ティース72から永久磁石27をその磁化方向と反対方向に通過する磁束(着磁磁束)が発生することで、該永久磁石27が不可逆的に減磁される。これにより、永久磁石27で作られる磁束が減少する。なお、この着磁磁束は、モータシャフト26と、ティース72と対向する永久磁石27に隣り合って配置された永久磁石27と、第1コア54のティース62又は第2コア55の内側バック71とを通る。図3では、永久磁石27の磁化方向を実線矢印で模式的に示すとともに、第2コア55のティース72で作られる着磁磁束を破線矢印で模式的に示している。そして、制御装置35は、ロータ25を回転させて第2コア55のティース72と対向する永久磁石27を切り替え、複数回に亘って第2コア55のティース72に着磁電流を供給することにより各永久磁石27を順次減磁させる。なお、制御装置35は、レゾルバ31により検出されるロータ25の回転角に基づいて永久磁石27と第2コア55のティース72との相対位置を判断する。
【0027】
一方、制御装置35は、永久磁石27を不可逆的に増磁させる際には、図3(b)に示すように、いずれか1つの永久磁石27と第2コア55のティース72とが対向する状態で、該永久磁石27の磁化方向と同一方向の着磁磁界が形成されるように各着磁コイル75に着磁電流を供給する。そして、この着磁磁界が着磁コイル75によって形成されると、ティース72から永久磁石27をその磁化方向と同一方向に通過する着磁磁束が発生することで、該永久磁石27が不可逆的に増磁される。これにより、永久磁石27で作られる磁束が増加する。なお、制御装置35は、減磁させる場合と同様に複数回に亘って第2コア55のティース72に着磁電流を供給して各永久磁石27を順次増磁させる。
【0028】
次に、本実施形態のモータの作用について説明する。
図2に示すように、第2コア55が基準円Cよりも内側に配置されるため、ステータ24の外形形状が円の一部を切り欠いたような形状となる。そして、センターハウジング6もステータ24の外形形状に合わせて円の一部を切り欠いたような形状とされているため、ステータ24が切り欠かれたような形状となった分だけモータ21が小型化される。
【0029】
ここで、ステータ24の内周にはロータ25が配置されているため、第2コア55の内側バック71を基準円Cの内側に配置した量(基準円Cからの後退量)に応じて、第2コア55のティース72の径方向長さは、第1コア54のティース62よりも短くなる。そのため、仮に着磁コイル75を第1コア54のティース62のいずれかに設けるとともに駆動コイル65を残りのティース62及び第2コア55のティース72に設けた場合、第2コア55のティース72に設けられた駆動コイル65の巻き数が他のものより少なくなり、各駆動コイル65で形成される回転磁界の大きさがばらついてしまう。この点、本実施形態では、着磁コイル75が第2コア55のティース72に設けられ、駆動コイル65は第1コア54のティース62のみに設けられているため、各駆動コイル65で形成される回転磁界の大きさがばらつくことが抑制される。
【0030】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)第2コア55を円弧バック61の外面によって構成される基準円Cよりも内側に配置し、ステータ24が切り欠かれたような形状となった分だけモータ21を小型化したため、モータ21が車両に搭載される他の装置との干渉を避けることができ、その搭載性を向上させることができる。これにより、モータ21を容易に車両に搭載することができる。
【0031】
また、レゾルバ31により検出されるロータ25の回転角に基づいて着磁コイル75に着磁電流を供給することで、第2コア55のティース72に対して所定位置にある永久磁石27を不可逆的に減磁又は増磁することができる。これにより、モータ21は、高速で回転することができるとともに、低速回転域で大きなトルクを出力することができる。そして、制御装置35は、車速が所定車速未満のときに永久磁石27を増磁させるため、低速走行時に十分なアシスト力を付与して良好な操舵フィーリングを実現できる。また、制御装置35は、車速が所定車速以上のときに永久磁石27を減磁させるため、高速走行時に容易に素早い操舵が可能となる。
【0032】
(2)特に、駆動コイル65を第1コア54のティース62のみに設けるとともに、着磁コイル75を第2コア55のティース72のみに設けることで、各駆動コイル65で形成される回転磁界の大きさがばらつくことを抑制でき、ロータ25の円滑な回転を確保することができる。
【0033】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記実施形態では、ロータ25の回転角を検出する回転角センサとしてレゾルバ31を用いたが、これに限らず、例えばセンサマグネットとホールICとからなる回転角センサ等を用いてもよい。
【0034】
・上記実施形態では、永久磁石27としてサマリウム−コバルト系の磁石を用いたが、これに限らず、例えばフェライト系やネオジム系の磁石等の他の磁石を用いてもよい。
・上記実施形態では、長方形板状に形成された複数の永久磁石27をモータシャフト26の外周に固定したが、これに限らず、周方向に異なる極性が交互に並ぶように着磁されたリング状の永久磁石を固定してもよい。また、永久磁石をモータシャフト26の外周に固定せず、モータシャフト26内に埋設する態様で固定してもよい。つまり、ロータ25を所謂埋込磁石型のロータとしてもよい。なお、永久磁石27の数が適宜変更可能であることはいうまでもない。
【0035】
・上記実施形態において、車速以外の条件で永久磁石27を不可逆的に減磁又は増磁させてもよい。また、永久磁石27を不可逆的に減磁又は増磁させる際に、永久磁石27の磁化方向を反転させてもよい。
【0036】
・上記実施形態では、第1コア54をティース62毎に分割された複数の分割コア67を連結することにより構成したが、例えばティース62毎に分割されていない一体の第1コアを用いてもよい。また、第1コア54と第2コア55とを一体で形成してもよい。
【0037】
・上記実施形態では、第2コア55に複数のティース72を形成したが、その数は1つでもよく、適宜変更可能である。なお、第1コア54に形成されるティース62の数も適宜変更可能であるが、各相の駆動コイル65を少なくとも1個ずつ設けることができるように3つ以上形成することが好ましい。
【0038】
・上記実施形態において、第2コア55の内側バック71を例えばティース72毎に周方向に分割した分割コアにより構成してもよい。また、第2コア55の内側バック71は直線状でなくてもよく、基準円Cの内側に配置される形状であれば、例えばV字状等としてもよい。
【0039】
・上記実施形態では、ステータコア53が第1コア54及び第2コア55をそれぞれ1つずつ有する構成としたが、これに限らず、複数の第1コア54及び第2コア55を有する構成としてもよい。具体的には、図4に示す例では、ステータコア53は、径方向において対向する位置に2つの第1コア54と、これら第1コア54の周方向両端部間にそれぞれ配置される2つの第2コア55とからなり、ステータ24の外形形状が円の二箇所を直線状に切り欠いた形状とされている。なお、各第1コア54には、ティース62が3本ずつ設けられるとともに、各第2コア55には、ティース72がそれぞれ2本ずつ設けられており、各第1コア54及び各第2コア55は、モータ21の中心に関してそれぞれ対象な形状とされている。
【0040】
・上記実施形態において、着磁コイル75を第1コア54のティース62のいずれかに設けるとともに、駆動コイル65を残りのティース62及び第2コア55のティース72に設けてもよい。
【0041】
・上記実施形態では、本発明の車両用操舵装置をラックアシスト型の電動パワーステアリング装置として構成したが、これに限らず、例えばコラムアシスト型等の他の形式の電動パワーステアリング装置として構成してもよい。
【0042】
・上記実施形態では、本発明の回転電機を車両用操舵装置に搭載される操舵力補助装置の駆動源として用いられるモータに適用したが、これに限らず、他の装置の駆動源として用いられるモータや、発電機等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…車両用操舵装置、6…センターハウジング、21…モータ、24…ステータ、25…ロータ、26…モータシャフト、27…永久磁石、31…レゾルバ、35…制御装置、51…円弧部、52…直線部、53…ステータコア、54…第1コア、55…第2コア、61…円弧バック、62,72…ティース、64…駆動用導線、65…駆動コイル、71…内側バック、74…着磁用導線、75…着磁コイル、C…基準円。
図1
図2
図3
図4