(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、分子量300以下の脂肪族ジオールから得られるポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)と、低融点重合体セグメント(b)を主たる構成成分とする、せん断速度γが60sec−1、樹脂温度210℃のときの溶融粘度ηAが100〜200Pa・sであるポリエステルブロック共重合体(A)30〜70質量部、
せん断速度γが60sec−1、樹脂温度210℃のときの溶融粘度ηB−1が1200〜2700Pa・sであるスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B−1)55〜15質量部、
せん断速度γが60sec−1、樹脂温度210℃のときの溶融粘度ηB−2が3000Pa・s以上であるスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B−2)1〜10質量部、
マレイン酸変性されたスチレン・共役ジエンブロック共重合体(C−1)0〜10質量部、
及びグリシジル変性されたオレフィン共重合体(C−2)1〜10質量部を含み、
(A)、(B−1)、(B−2)、(C−1)、及び(C−2)の合計100質量部に対して、エステル型可塑剤(D)1〜25質量部を配合したことを特徴とする熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
前記ポリエステルブロック共重合体(A)の高融点結晶性重合体セグメント(a)が、テレフタル酸またはジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位からなり、低融点重合体セグメント(b)が脂肪族ポリエーテル単位からなる請求項1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)の高融点結晶性重合体セグメント(a)は、主として芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体から形成されるポリエステルであり、芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸などが挙げられる。
【0011】
上記ジオールの具体例としては、分子量300以下のジオール、例えば1.4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオールが好ましい。
【0012】
これらのジカルボン酸、その誘導体、ジオールおよびその誘導体は2種類以上併用してもよい。好ましい高融点結晶性重合体セグメントとしては、テレフタル酸またはジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位である。
【0013】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)の低融点重合体セグメント(b)は、脂肪族ポリエーテルまたは脂肪族ポリエステルである。脂肪族ポリエーテルの具体例としては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシトリメチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコールなどが挙げられる。また脂肪族ポリエステルの具体例としては、ポリ(ε−カプロラクトン)が挙げられる。低融点重合体セグメント(b)としては、脂肪族ポリエーテルが好ましく、中でもポリオキシテトラメチレングリコールが好ましい。
【0014】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)の低融点重合体セグメント(b)の共重合量は、好ましくは50〜90重量%、より好ましくは60〜80重量%である。
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)は、上記高融点結晶性重合体セグメント(a)と上記低融点重合体セグメント(b)で70重量%以上占めることが好ましく、80重量%以上占めることがより好ましく、90重量%以上占めることがさらに好ましい。上記高融点結晶性重合体セグメント(a)と上記低融点重合体セグメント(b)で100重量%であっても良い。
【0015】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)は、せん断速度γが60sec
−1、樹脂温度210℃のときの溶融粘度η
Aが100〜200Pa・sである。下記に説明する通り、(B−1)成分との粘度比に差を設けることが、モルフォロジー制御上、重要であるため、ポリエステルブロック共重合体(A)の溶融粘度η
Aは、この範囲である必要がある。ポリエステルブロック共重合体(A)の溶融粘度η
Aは、120〜200Pa・sであることが好ましく、140〜200Pa・sであることがさらに好ましい。
【0016】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)は、公知の方法で製造することができ、その具体例としては、芳香族ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の脂肪族ジオール、及び低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法が挙げられる。
【0017】
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物における、上記特性を有するスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B−1)と(B−2)成分は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体の水素添加物である。例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体の水素添加物である。
【0018】
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは、芳香族ビニル化合物のみからなる重合体か、芳香族ビニル化合物と50質量%未満の共役ジエン化合物との共重合体であってもよい。また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、共役ジエン化合物のみからなる重合体か、共役ジエン化合物と50質量%未満の芳香族ビニル化合物の共重合体であってもよい。
【0019】
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等が挙げられ、単独でも2種以上を混合して用いてもよい。これらの中では、ポリエステル系樹脂との熱融着性の点でスチレンが好ましい。重合体ブロックA中の任意的な共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが挙げられ、単独でも2種以上を混合して用いてもよい。これらの中では、ポリエステル系樹脂に対する熱融着性の点でブタジエン、イソプレンが好ましい。さらに好ましくはイソプレンである。
本発明では、被着体であるポリエステル系樹脂に対する熱融着強度の観点から、芳香族ビニル化合物含有量が、ブロック共重合体中、好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下であり、好ましい下限としては1質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。また、被着体であるポリエステル系樹脂に対する熱融着強度の観点から、重合体ブロックAが、スチレンを主体とし、かつスチレン含有量がブロック共重合体中、好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、好ましい下限としては1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であるブロック共重合体であることが望ましい。
【0020】
前記(B−1)と(B−2)成分は水素添加物であるが、その水素添加率は好ましくは50%以上、ポリエステル樹脂に対する熱融着性の点で、より好ましくは90%以上である。
【0021】
前記(B−1)成分の溶融粘度η
B−1は、好ましくは1200〜2600Pa・s、より好ましくは1400〜2500Pa・sであり、(B−2)成分の溶融粘度η
B−2は、好ましくは3000〜5000Pa・s、より好ましくは3500〜4000Pa・sである。また、ポリエステルブロック重合体(A)の溶融粘度η
Aと前記スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B−1)の溶融粘度η
B−1の比(η
B−1/η
A)が7〜15であることが好ましく、より好ましくは7〜10である。このように粘度比に差をつけることで、さらに相溶性が良好となり、モルフォロジー制御が可能となる。また、前記スチレン・共役ジエンブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのうちでいずれであってもよい。好ましくは直鎖状である。
【0022】
前記(B−1)と(B−2)成分としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加物であるスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)の水素添加物であるスチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−ブタジエン/イソプレン−スチレンブロック共重合体(SBIS)の水素添加物であるスチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(部分水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、SBBS)等を挙げることができる。本発明の効果の点から、(B−1)、(B−2)成分は水素添加物が好適であり、ポリエステル樹脂に対する熱融着性の点でSEPS、SEEPS、SEBSが好ましく、特に好ましくはSEBSである。
【0023】
本発明に用いられるマレイン酸変性されたスチレン・共役ジエンブロック共重合体(C−1)、グリシジル変性されたオレフィン共重合体(C−2)は、ポリエステルブロック共重合体とスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物の相溶性を向上させるために使用される。なお、色味を考慮すると、(C−2)成分単独、もしくは(C−1)成分と(C−2)成分を併用することが好ましい。
(C−1)成分は、マレイン酸変性されたスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物であることが好ましい。スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加物であるスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)の水素添加物であるスチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−ブタジエン/イソプレン−スチレンブロック共重合体(SBIS)の水素添加物であるスチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(部分水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、SBBS)等を挙げることができる。マレイン酸変性したスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)が好ましい。
【0024】
(C−2)成分は、エチレン、プロピレン等のオレフィンと、グリシジル変性されたモノマーを構成成分として含む共重合体である。グリシジル変性されたモノマーとしては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、ビニルグリシジルエーテル、およびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのグリシジルエーテルなどが挙げられる。その他、アクリル酸、メタクリル酸、これらのエステル体などが共重合されていても良い。
【0025】
本発明においては、ポリエステルブロック共重合体(A)30〜70質量部、好ましくは40〜60質量部に対し、上記スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B−1)を55〜15質量部、好ましくは45〜25質量部、上記スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B−2)を1〜10質量部、好ましくは5〜10質量部、上記マレイン酸変性したスチレン・共役ジエンブロック共重合体(C−1)を0〜10質量部、好ましくは5〜10質量部、及び上記グリシジル変性されたオレフィン共重合体(C−2)を1〜10質量部、好ましくは5〜10質量部配合する。上記配合範囲以外では、樹脂組成物の柔軟性、耐熱性、成形性、熱融着性、外観などが不十分となるため、好ましくない。
【0026】
本発明に用いられるエステル型可塑剤(D)の具体例としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソノニルフタレートなどのフタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸イソノニルエステル、トリメリット酸イソデシルエステルなどのトリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸オクチルエステルなどのピロメリット酸エステル系可塑剤、ジエチレングリコールジベンゾエート、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、プロピレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールテトラベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ポリエチレングリコールジベンゾエート、トリメチロールエタントリベンゾエートなどのベンゾエート系可塑剤が挙げられる。これらの中では、ブリードアウトを抑制し、なおかつ金型汚れが少なくできると言う観点から、トリメリット酸エステル系可塑剤が望ましい。
【0027】
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物において、エステル系可塑剤(D)は、前記(A)成分、前記(B−1)成分、前記(B−2)成分、前記(C−1)成分、及び前記(C−2)成分の合計100質量部に対して、1〜25質量部、好ましくは10〜20質量部配合される。(D)成分の配合量が上記の範囲に満たない場合は、柔軟性の改良が十分でなく、(D)成分の配合量が上記の範囲を超えると、ブリードアウトが発生するため好ましくない。
【0028】
さらに、本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物、もしくはこれを構成する各成分には、目的に応じて種々の添加剤を配合することができる。添加剤としては、公知のヒンダードフェノール系、硫黄系、燐系、アミン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッケル系、サリチル系などの光安定剤、帯電防止剤、滑剤、過酸化物などの分子調整剤、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物などの反応基を有する化合物、金属不活性剤、有機及び無機系の核剤、中和剤、制酸剤、防菌剤、蛍光増白剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、有機及び無機系の顔料などを添加することができる。
これら任意成分は、熱可塑性エラストマー樹脂組成物中、30質量%以下の範囲で用いることができる。より好ましくは、20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【実施例】
【0029】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例で使用した材料及び評価項目の測定法は以下の通りである。実施例中の部、及び%は特に記載がない場合は質量基準である。
【0030】
1.硬度
JIS K6253に準拠し、表面硬度Aを測定した。
【0031】
2.ブリードアウト性
下記4.で得た厚さ2mm平板を数枚重ね合わせ、0、23、60℃の温度雰囲気下で30日間エージングし、成形品表面を目視で観察し、ブリードアウト物の有無を確認した。ここで、ブリードアウトとは、組成物中の配合物の一部が成形品の表面にしみ出てくる現象であり、下記の基準で評価を行った。
○:表面外観に変化無し
×:表面外観が全体的に曇っている
【0032】
3.メルトインデックス(MI値)の測定
JIS K7210:1999に準じ、メルトインデクサーを用いて、試料を200℃で5分加熱後、2160gの荷重下で一定時間の間にオリフィスを通過した溶融試料の質量を測定した。これを10分当たりのg数に換算し、メルトインデックスを求めた。
【0033】
4.射出成形性(離型性)
射出成形性は、実際に100×100×2mmt平板を成形して、評価を行った。平板の成形は射出成形機(東芝機械株式会社製、IS80)でシリンダー温度200℃、金型温度35℃、冷却時間25秒にて平板を成形して評価に供した。その成形品の充填具合や外観に問題がないか、また金型への張り付きの有無に関して、下記の基準で評価を行った。
○:金型への張り付き無し
×:平板全体が金型へ張り付く
【0034】
5.表層剥離
上記射出成形性評価において、成形品の表面及びゲート付近に表層剥離が発生していたかどうかを目視で確認した。
○: 成形品ゲート部の剥離無し
×:成形品ゲート部の剥離あり
【0035】
6.金型汚染性
上記射出成形性評価において、平板を50ショット成形したときの金型汚れを目視で確認した。
○:金型転写物が無し
×:金型転写物が有り
【0036】
7.二色成形性
熱可塑性エラストマー樹脂組成物層と硬質樹脂層とが熱融着されてなる複合成形体であり、その製造方法としては、予め芯材(硬質樹脂)を100mm角厚さ1mmtの平板を射出成形し、平板の半分にテープでマスキングを行い、次にこの平板を100mm角深さ2mmのキャビティーに装着し、表皮材(熱可塑性エラストマー樹脂組成物)を射出成形した。これより得られた複合射出成形体より打抜いた幅25mm、長さ100mm、厚み2mmの短冊状試験片を用い、180℃ピール剥離試験を引張速度20mm/分で実施することで表皮材層/芯材層の融着界面剥離強度を測定した。ここで芯材の硬質樹脂としては、ポリカーボネイト(PC)樹脂(三菱エンジニアプラスチック(株)製ユーピロンS3000)、ABS樹脂(宇部興産(株)製3001G)、PMMA樹脂(三菱レイヨン(株)製アクリペットVH001)、PET樹脂(東洋紡績(株)製バイロペットEMC500)、PP樹脂((株)プライムポリマーJ−3000G)を用いた。
【0037】
(実施例1〜10、比較例1〜9)
予備乾燥した成分を表1に示した配合比(質量比)に従い計量して、二軸押出機(池貝鉄工株式会社製、PCM30)でシリンダー温度200℃、スクリュー回転数100rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物を射出成形機(東芝機械株式会社製、IS80)でシリンダー温度200℃、金型温度35℃にて各種試験用テストピースを成形して評価に供した。評価結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
表1の各成分は下記の通りである。溶融粘度は、キャピラリーレオメーター((株)東洋精機製)で測定した値である。
*1)成分A−i:テレフタル酸/1,4−ブタンジオール/ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG;数平均分子量2000)が100/78/22mol%のポリエステル・ポリエーテルブロック共重合体を製造した。表面硬度84A、溶融粘度η
A−1:182Pa・s
*2)成分A−ii:テレフタル酸/1,4−ブタンジオール/ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG;数平均分子量2000)が100/78/22mol%のポリエステル・ポリエーテルブロック共重合体を製造した。表面硬度84A 溶融粘度η
A−2:503Pa・s
成分A−iと同組成であるが重合時間を長くすることで粘度をアップさせている。
*3)成分A−iii:テレフタル酸/1,4−ブタンジオール/ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG;数平均分子量2000)が100/78/22mol%のポリエステル・ポリエーテルブロック共重合体を製造した。表面硬度84A 溶融粘度η
A−2:146Pa・s
成分A−iと同組成であるが重合時間を短くすることで粘度をダウンさせている。
*4)成分B−1−i:タフテックH1221;水素添加スチレン・エチレン・ブタジエンブロック共重合体の熱可塑性エラストマー(旭化成ケミカルズ(株)製)表面硬度A42溶融粘度η
B−1:1566Pa・s
*5)成分B−2:N504;水素添加スチレン・エチレン・ブタジエンブロック共重合体の熱可塑性エラストマー(旭化成ケミカルズ(株)製)表面硬度A79 溶融粘度ηB−2:3500Pa・s
*6)成分B−1−ii:タフテックH1272;水素添加スチレン・エチレン・ブタジエンブロック共重合体の熱可塑性エラストマー(旭化成ケミカルズ(株)製)表面硬度A35溶融粘度η
B−1:2430Pa・s
*7)成分B−1−iii:HYBRAR7311:水素添加スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の熱可塑性エラストマー(クラレ(株)製)表面硬度A41 溶融粘度η
B−2:3550Pa・s
*8)成分C−1:タフテックM1943:無水マレイン酸変性水素添加スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体 表面硬度67A
*9)成分C−2:BF−7L:グリシジル変性エチレン・アクリル酸メチルコポリマー 表面硬度18D
*10)成分D−i:可塑剤 パラフィン系オイル ダイアナプロセスオイルPW−90(出光興産(株)製)
*11)成分D−ii:可塑剤 トリメリット酸エステル トリメックスT−08(花王(株)製)
【0040】
実施例1〜10から明らかなように、本発明の樹脂組成物は、ポリエステルブロック共重合体(A)成分とスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(B−1)、(B−2)、マレイン酸変性されたスチレン・共役ジエンブロック共重合体(C−1)、グリシジル変性されたオレフィン共重合体(C−2)、及びエステル系可塑剤である(D)成分を組み合わせることにより、柔軟で弾性に富み、射出成形性に優れ、機械的物性が高く、低温・加温時におけるブリード物を低減し、さらにインサート成形にて異種樹脂との熱融着性にも優れた熱可塑性エラストマー樹脂組成物を得ることができた。
また比較例1、2では、(A)成分の溶融粘度が高いため、相溶性が不十分であったため、離型性が悪く、表面剥離を生じた。比較例3では(B−1)成分を多量に添加したため、粘着性が生じてしまい、成形性が劣ってしまった。比較例4では(B−1)成分の添加量が少なすぎるため、柔軟性が不十分となった。比較例5では(B−2)成分が多く添加されており、高分子量のため、それ自身のドメインが非常に大きく二色成形性に影響している。比較例6では(B−1)成分が、A成分と相溶性が悪いため、コンパウンドが不可能であった。比較例7では可塑剤(D−i)を使用したため、成形時の金型汚れが激しい結果となった。比較例8では(B−2)成分が含有されず、低温から常温にかけての可塑剤を保持することが出来なくブリードアウトした。比較例9では可塑剤(D)成分が多く添加され、ブリードアウトするという問題が生じた。