(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示パラメータ記憶部は、自車の走行速度が速くなるほどスピードメータの優先度が高くなるように関連付けられた状態−優先度データと、前記スピードメータの優先度が高くなるほど前記表示部における前記スピードメータの表示コントラストが高くなるように前記スピードメータの優先度と表示コントラストとが関連付けられた優先度−表示パラメータデータとを記憶し、
前記表示パラメータ特定部は、前記優先度特定部により特定された前記スピードメータの優先度を取得するとともに前記優先度−表示パラメータデータを参照し、前記スピードメータの優先度に関連付けられた表示コントラストを特定することによって、前記スピードメータを前記表示部に表示するための表示コントラストを決定する、
請求項1に記載の車両情報表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。全図を通じて、対応する構成要素及び処理には、同一の参照符号を付す。
【0014】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る車両情報表示装置100は、自動車に設けられる装置であって、自動車の走行中に運転手に向けて複数の情報を表示する装置である。なお、自動車は、車両の一例であって、車両は電車、オートバイなどであってもよい。
【0015】
車両情報表示装置100は、
図1に示すように、表示部101と、表示データ取得部102と、表示パラメータ記憶部103と、表示パラメータ決定部104と、表示制御部105とを備える。
【0016】
表示部101は、自動車の走行中に運転手に向けて複数の情報を表示する部位である。表示部101は例えば、自動車のインストルメント・パネルであり、液晶パネル、有機EL表示パネル、プロジェクタなどの投影機とスクリーンなどにより実現される。スクリーンは例えば、フロントガラス(ウィンドシールド)における運転者前方であって、運転手の運転を妨げない位置及び大きさで設けられる。
【0017】
表示部101は、各情報を表示する領域である表示領域を含む。本実施形態に係る表示部101の表示領域は、
図1に示す計器類であり、自車の走行速度を表示するスピードメータ101aと、燃料の残量を表示する燃料計101bと、エンジンの回転数を表示するタコメータ101cと、エンジンを冷却する水(冷却水)の温度を表示する水温計101dとを含む。
【0018】
なお、表示部101に表示される情報はこれらに限定されない。表示部101に表示される情報は、車両の走行中に運転手に向けて表示されるものであればよい。オドメータにより表示される累計走行距離、温度計により表示される車内外の温度などをその例として挙げることができる。また、表示部101が情報を表示する方法には、数字、文字、記号などが適宜用いられてもよい。
【0019】
表示データ取得部102は、表示部101に表示される情報を示すデータである表示データを取得するインターフェースである。本実施形態に係る表示データは、自車の走行速度を示す速度データと、燃料の残量を示す燃料データと、エンジンの回転数を示す回転数データと、冷却水の温度を示す水温データとを含む。
【0020】
表示データ取得部102は詳細には、取得する表示データに対応した取得部を備える。本実施形態に係る表示データ取得部102は、速度データ取得部111と、燃料データ取得部112と、回転数データ取得部113と、水温データ取得部114とを備える。
【0021】
速度データ取得部111は、速度データを速度検出部115から取得する。速度検出部115は、自車の走行速度を検知し、速度データを出力する部位であって、例えば車軸の回転数に比例したパルス信号(車速信号)を発するセンサにより実現される。
【0022】
なお、速度データ取得部111は、車速信号などに基づいてECU(Engine Control Unit)で算出された走行速度そのものを示すデータを取得してもよい。この場合、速度検出部115は、ECUにより実現されることになる。また、速度データ取得部111は、車速に換算できる1つ又は複数のデータを速度データとして、そのデータを出力する速度検出部115から取得してもよい。
【0023】
燃料データ取得部112は、燃料データを燃料残量検知部116から取得する。燃料残量検知部116は、燃料の残量を検知し、燃料データを出力する部位であって、例えば燃料タンクに設けられたセンサにより実現される。なお、燃料データ取得部112は、ECUなどを介して燃料データを取得してもよい。
【0024】
回転数データ取得部113は、回転数データを回転数検出部117から取得する。回転数検出部117は、エンジンの回転数を検知し、回転数データを出力する部位であって、例えばクランクシャフトの回転数に比例したパルス信号を発するセンサにより実現される。
【0025】
なお、回転数データ取得部113は、クランク角センサなどから発せられる信号に基づいてECUで算出された回転数そのものを示すデータを取得してもよい。この場合、回転数検出部117は、ECUにより実現されることになる。また、回転数データ取得部113は、エンジンの回転数に換算できる1つ又は複数の情報を回転数データとして、そのデータを出力する回転数検出部117から取得してもよい。
【0026】
水温データ取得部114は、水温データを水温検知部118から取得する。水温検知部118は、冷却水の温度を検知し、水温データを出力する部位であって、例えば冷却水の配管などに設けられたセンサにより実現される。なお、水温データ取得部114は、ECUなどを介して水温データを取得してもよい。
【0027】
表示パラメータ記憶部103は、利用者、製造者などにより予め定められた表示パラメータデータ103a〜dを記憶している記憶部であり、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどにより実現される。なお、ボタン、表示部101に設けられたタッチパネルなどの操作部(図示せず)を利用者が操作し、その操作に基づく指示を受けて作成された表示パラメータデータが表示パラメータ記憶部103に格納されてもよい。この場合、表示パラメータデータは、表示パラメータ記憶部103を制御する表示パラメータデータ制御部(図示せず)を介して表示パラメータ記憶部103に格納される。
【0028】
表示パラメータデータ103a〜dは、表示部101に表示される情報ごとに定められたデータであって、自車の状態に応じて各情報の優先度が定められるとともに、優先度と表示パラメータとが関連付けられたものである。本実施形態での自車の状態は、自車の走行速度である。
【0029】
ここで、表示パラメータとは、表示部101に各情報を表示するためのパラメータであって、運転手による各情報の視認性に影響を与えるものである。視認性とは、視覚で情報を認識することの容易さである。優先度と表示パラメータとは、優先度が高いほど表示部101における視認性が高くなるように関連付けられる。
【0030】
ここで
図2を参照して、本実施形態に係る表示パラメータデータ103a〜dについて説明する。
図2は、表示パラメータデータ103a〜dを模式的に示す。同図の横軸は走行速度Vであり、縦軸は表示パラメータとしての表示サイズである。本実施形態の表示サイズは、表示部101において各情報が表示される領域の横幅である。なお、表示サイズは、各領域の縦方向の長さ、面積などであってもよく、領域ごとに適宜定められてよい。
【0031】
本実施形態に係る表示パラメータデータ103a〜dでは、自車の状態としての自車の走行速度Vに応じた優先度が表示サイズにより示されており、その表示サイズが表示パラメータでもある。
【0032】
図2の実線で示す表示パラメータデータ103aは、走行速度が速くなるに従って優先度が高くなる情報である自車の走行速度に関するものであって、自車の走行速度とスピードメータ101aの表示サイズとの関係を示す。
【0033】
図示するように、表示パラメータデータ103aは、走行速度が第1速度V
1以下である低速走行である場合にスピードメータ101aの表示サイズを小さい表示サイズS
1とすることを示すデータを含む。表示パラメータデータ103aは、走行速度が第2速度V
2(>V
1)より速い高速走行である場合にスピードメータ101aの表示サイズを大きい表示サイズS
2(>S
1)とすることを示すデータを含む。表示パラメータデータ103aは、走行速度が第1速度V
1と第2速度V
2の間の中速走行である場合に、小さい表示サイズS
1と大きい表示サイズS
2との間で走行速度の変化に比例して次第に大きくスピードメータ101aを表示することを示すデータを含む。本実施形態での走行速度の変化とは、自車の走行速度と第1速度V
1との差のことである。
【0034】
図2の破線で示す表示パラメータデータ103bは、走行速度にかかわらず優先度が一定の情報である燃料の残量に関するものであって、自車の走行速度と燃料計101bの表示サイズとの関係を示す。図示するように、表示パラメータデータ103bは、燃料計101bの表示サイズを走行速度にかかわらず一定の表示サイズF
1とすることを示すデータである。
【0035】
図2の一点鎖線で示す表示パラメータデータ103cは、走行速度が速くなるに従って優先度が低くなる情報であるエンジンの回転数に関するものであって、自車の走行速度とタコメータ101cの表示サイズとの関係を示す。
【0036】
図示するように、表示パラメータデータ103cは、低速走行である場合にタコメータ101cの表示サイズを大きい表示サイズR
1とすることを示すデータを含む。表示パラメータデータ103cは、高速走行である場合に、タコメータ101cの表示サイズを0とし、表示部101にエンジンの回転数を表示しない(非表示とする)ことを示すデータを含む。表示パラメータデータ103cは、中速走行である場合に、大きい表示サイズR
1と小さい表示サイズR
2との間で走行速度の変化に比例して次第に小さくタコメータ101cを表示することを示すデータを含む。
【0037】
図2の二点鎖線で示す表示パラメータデータ103dは、パラメータデータ103cと同様に、走行速度が速くなるに従って優先度が低くなる情報である冷却水の温度に関するものであって、自車の走行速度と水温計101dの表示サイズとの関係を示す。冷却水の温度の優先度は、全ての走行速度においてエンジンの回転数の優先度を超えることはない。そのため、全ての走行速度において水温計101dの表示サイズは、タコメータ101cの表示サイズと同じか、又はそれよりも小さい。
【0038】
すなわち、表示パラメータデータ103dは、低速走行である場合に水温計101dの表示サイズを大きい表示サイズT
1(<R
1)とすることを示すデータを含む。表示パラメータデータ103dは、高速走行である場合に水温計101dを非表示とすることを示すデータを含む。表示パラメータデータ103dは、中速走行である場合、大きい表示サイズT
1と小さい表示サイズT
2(<R
2)との間で走行速度の変化に比例して次第に小さく水温計101dを表示することを示すデータを含む。
【0039】
ここから、
図1の説明に戻る。
表示パラメータ決定部104は、自車の状態としての自車の走行速度に対応する表示パラメータを決定する処理部であり、プロセッサなどにより実現される。
【0040】
表示パラメータ決定部104は、表示データ取得部102から状態データとしての速度データを取得することによって、自車の走行速度を特定する。したがって、本実施形態に係る表示データ取得部102は、状態データ取得部でもある。
【0041】
表示パラメータ決定部104は、さらに、表示パラメータ記憶部103の表示パラメータデータ103a〜dを参照する。表示パラメータ決定部104は、特定した走行速度及び参照した表示パラメータデータ103a〜dに基づいて、特定した走行速度に対応する各情報の優先度を特定するとともに、特定した各情報の優先度に関連付けられた各情報の表示パラメータを特定する。これによって、表示パラメータ決定部104は、各情報を表示部101に表示するための表示パラメータを決定する。表示パラメータ決定部104は、決定した各情報の表示パラメータを示す各情報の決定データを出力する。
【0042】
表示制御部105は、表示データ取得部102から表示データを取得し、取得した表示データが示す情報を表示部101に表示させる処理部であり、プロセッサなどにより実現される。表示制御部105は、表示パラメータ決定部104から決定データを取得し、取得した決定データが示す表示パラメータに従って表示データが示す情報を表示部101に表示させる。
【0043】
ここから、本実施形態に係る車両情報表示装置100が実行する処理について、図を参照して説明する。
【0044】
図3に示すように、表示パラメータ決定部104は、エンジンが始動したか否かを判断する(ステップS101)。エンジンが始動していないと判断した場合(ステップS101;No)、表示パラメータ決定部104は、エンジン始動判断処理(ステップS101)を継続する。
【0045】
エンジンが始動したと判断した場合(ステップS101;Yes)、表示パラメータ決定部104は、表示データ取得部102の速度データ取得部111を介して速度データを取得する。そして、表示パラメータ決定部104は、取得した速度データが示す走行速度が第1速度V
1より速いか否かを判断する(第1の走行速度判断処理,ステップS102)。
【0046】
走行速度が第1速度V
1以下(低速走行)であると判断した場合(ステップS102;No)、表示パラメータ決定部104は、表示パラメータ記憶部103が記憶している表示パラメータデータ103a〜dを参照する。そして、表示パラメータ決定部104は、参照した表示パラメータデータ103a〜dに基づいて、低速走行である場合の各情報の表示サイズを各情報の優先度及び表示パラメータとして特定し、特定した各情報の表示サイズを示す決定データを出力する(ステップS103)。
【0047】
ここで、表示パラメータ決定処理(ステップS103)において決定される表示サイズの具体例について、
図2を参照して説明する。スピードメータ101aの表示サイズは小さい表示サイズS
1である。燃料計101bの表示サイズは一定の表示サイズF
1である。タコメータ101cの表示サイズは大きい表示サイズR
1である。水温計101dの表示サイズは大きい表示サイズT
1である。
【0048】
表示制御部105は、表示データ取得部102から表示データを取得する(ステップS104)。表示データ取得処理(ステップS104)において詳細には、表示制御部105は、表示データ取得部102の速度データ取得部111を介して、表示データとしての速度データを速度検出部115から取得する。表示制御部105は、表示データ取得部102の燃料データ取得部112を介して、表示データとしての燃料データを燃料残量検出部116から取得する。表示制御部105は、表示データ取得部102の回転数データ取得部113を介して、表示データとしての回転数データを回転数検出部117から取得する。表示制御部105は、表示データ取得部102の水温データ取得部114を介して、表示データとしての水温データを水温検出部118から取得する。
【0049】
表示制御部105は、表示パラメータ決定部104から決定データを取得する。そして、表示制御部105は、取得した各決定データが示す各情報の表示サイズに従って、表示データ取得処理(ステップS104)において取得した各表示データが示す情報を表示部101に表示させる(ステップS105)。
【0050】
ここで、表示処理(ステップS105)における表示部101の表示例を
図4に示す。
図4に示すスピードメータ101aの表示サイズはS
1、燃料計101bの表示サイズはF
1、タコメータ101cの表示サイズはR
1、水温計101dの表示サイズはT
1である。
【0051】
第1の走行速度判断処理(ステップS102)において、走行速度が第1速度V
1より速いと判断した場合(ステップS102;Yes)、表示パラメータ決定部104はさらに、走行速度が第2速度V
2より速いか否かを判断する(第2の走行速度判断処理,ステップS106)。
【0052】
走行速度が第2速度V
2以下であると判断した場合(ステップS106;No)、すなわち、中速走行である場合、表示パラメータ決定部104は、表示パラメータ決定処理(ステップS103)と同様に、表示パラメータデータ103a〜dに基づいて各情報の表示サイズを決定し、決定データを出力する(ステップS107)。
【0053】
ここで、表示パラメータ決定処理(ステップS107)において決定される表示サイズの具体例について、
図2を参照して説明する。
【0054】
スピードメータ101aの表示サイズS
0は、小さい表示サイズS
1と大きい表示サイズS
2との間で、走行速度に応じて按分することによって決定される。すなわち、表示サイズS
0は、自車の走行速度がV
0である場合、(大きい表示サイズS
2−S
0)/(S
0−小さい表示サイズS
1)=(第2速度V
2−V
0)/(V
0−第1速度V
1)を満たす値により決定される。
【0055】
燃料計101bの表示サイズはF
1である。
タコメータ101cの表示サイズR
0及び水温計101dの表示サイズT
0はそれぞれ、表示サイズS
0を決定する方法と同様に、大きい表示サイズR
1,T
1と小さい表示サイズR
2,T
2との間で、走行速度に応じて按分することによって決定される。
【0056】
すなわち、タコメータ101cの表示サイズR
0は、(R
0−小さい表示サイズR
2)/(大きい表示サイズR
1−R
0)=(第2速度V
2−V
0)/(V
0−第1速度V
1)を満たす値により決定される。また、水温計101dの表示サイズT
0は、(T
0−小さい表示サイズT
2)/(大きい表示サイズT
1−T
0)=(第2速度V
2−V
0)/(V
0−第1速度V
1)を満たす値により決定される。
【0057】
表示制御部105は、表示データ取得処理(ステップS104)と同様に、表示データ取得部102から表示データを取得する(ステップS108)。続けて、表示制御部105は、表示処理(ステップS105)と同様に、取得した決定データが示す各情報の表示サイズに従って、表示データ取得処理(ステップS108)において取得した各表示データが示す情報を表示部101に表示させる(ステップS109)。
【0058】
ここで、表示処理(ステップS109)における表示部101の表示例を
図5に示す。
図5に示すスピードメータ101aの表示サイズはS
0であり、
図4に示すスピードメータ101aの表示サイズS
1よりも大きい。
図5に示す燃料計101bの表示サイズはF
1であり、
図4に示す燃料計101bの表示サイズと同じである。
図5に示すタコメータ101cの表示サイズはR
0であり、
図4に示すタコメータ101cの表示サイズR
1よりも小さい。
図5に示す水温計101dの表示サイズはT
0であり、
図4に示す水温計101dの表示サイズT
1よりも小さい。
【0059】
このように、本実施形態では中速走行である場合に、走行速度が速くなるに従って優先度が高くなる情報は速度の変化に比例して表示サイズが大きくなり、走行速度が速くなるに従って優先度が低くなる情報は速度の変化に比例して表示サイズが小さくなる。この点、例えば第1速度V
1(=第2速度V
2)においてスピードメータ101aの表示サイズがS
1からS
2に変化するように表示パラメータデータが設定されてもよい。しかし、本実施形態のように速度の変化に応じて表示サイズを次第に変化させることが望ましく、これによって、表示サイズの急激な変化が運転手に与える違和感を軽減することが可能になる。
【0060】
第2の走行速度判断処理(ステップS106)において、走行速度が第2速度V
2より速い(高速走行)と判断した場合(ステップS106;Yes)、表示パラメータ決定部104は、表示パラメータ決定処理(ステップS103及びステップS107)と同様に、表示パラメータデータ103a〜dに基づいて各情報の表示サイズを決定し、決定データを出力する(ステップS110)。
【0061】
ここで、表示パラメータ決定処理(ステップS110)において決定される表示サイズの具体例について、
図2を参照して説明する。スピードメータ101aの表示サイズは大きい表示サイズS
2である。燃料計101bの表示サイズは一定の表示サイズF
1である。タコメータ101c及び水温計101dの表示サイズは0である。
【0062】
表示制御部105は、表示データ取得処理(ステップS104及びステップS108)と同様に、表示データ取得部102から表示データを取得する(ステップS111)。続けて、表示制御部105は、表示処理(ステップS105及びステップS109)と同様に、取得した決定データが示す表示サイズに従って、表示データ取得処理(ステップS111)において取得した各表示データが示す情報を表示部101に表示させる(ステップS112)。
【0063】
ここで、表示処理(ステップS112)における表示部101の表示例を
図6に示す。
図6に示すスピードメータ101aの表示サイズは、大きい表示サイズS
2であり、
図4及び
図5に示すスピードメータ101aの表示サイズS
1及びS
0よりも大きい。
図6に示す燃料計101bの表示サイズはF
1であり、
図4及び
図5に示す燃料計101bの表示サイズと同じである。表示処理(ステップS110)において、タコメータ101c及び水温計101dは表示部101に表示されない。
【0064】
表示処理(ステップS105、ステップS109及びステップS112)を実行した後に、表示パラメータ決定部104は、エンジンが停止したか否かを判断する(ステップS113)。エンジンが停止していないと判断した場合(ステップS113;No)、表示パラメータ決定部104は、これまで説明した第1の走行速度判断処理(ステップS102)以降の処理を継続する。
【0065】
表示パラメータ決定部104によりエンジンが停止したと判断された場合(ステップS113;Yes)、車両情報表示装置100は処理を終了する。
【0066】
これまで、第1実施形態に係る車両情報表示装置100の構成及び同装置100が実行する処理について説明した。
【0067】
第1実施形態で説明したように、車両情報表示装置100は、自車の走行速度及び表示パラメータデータ103a〜dに基づいて表示部101に各情報を表示する。スピードメータ101aは、高速走行時に大きい表示サイズS
2で表示され、これによって、高速走行時に表示部101に表示される自車の走行速度の視認性を高めることができる。したがって、運転手は、高速走行時であっても、走行速度のように安全運転のために必要な情報を的確に把握することが可能になる。
【0068】
また、第1実施形態では、高速走行時にエンジンの回転数及び冷却水の温度を表示部101に表示しない。これらの情報が表示部101に表示されないため、表示部101に表示されている情報である自車の走行速度及び燃料の残量の視認性は高くなる。したがって、運転手は、安全運転のために必要な情報を的確に把握することが可能になる。
【0069】
また、低速走行時であれば運転手は、高速走行時よりも余裕をもって表示部101を見ることができる。低速走行時には多くの情報を所定の大きさで表示することにより、運転手は安全運転のために必要な情報を的確に把握することができる。
【0070】
また、燃料計101bは、走行速度にかかわらず一定の表示サイズで表示される。そのため、燃料の残量のように走行速度にかかわらず安全運転のために必要な情報については、運転手は一定の視認性で常に把握することができる。
【0071】
このように、第1実施形態によれば、すべての速度域において、運転手は安全運転のために必要な情報を的確に把握することが可能になる。
【0072】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について
図7〜
図9を参照して説明する。第2実施形態に係る車両情報表示装置は、表示パラメータ記憶部103が記憶する表示パラメータデータを除いて、第1実施形態に係る車両情報表示装置100と同じ構成を備える(
図1参照)。そのため、本実施形態においても、対応する構成要素には第1実施形態と同一の参照符号を付して説明し、対応する構成要素に関する説明は省略する。
【0073】
図7は、第2実施形態に係る表示パラメータデータ203a〜203fを模式的に示す図である。同図に示すように、走行速度及び燃料の残量に関する表示パラメータデータ203a及び203bはそれぞれ、第1実施形態の表示パラメータデータ103a及び103bと同一であるため、これらの詳細な説明は省略する。
【0074】
本実施形態に係る表示パラメータデータ203c〜203fは、エンジンの回転数に関する表示パラメータデータ203c及び203eと、冷却水の温度に関する表示パラメータデータ203d及び203fとを含む。表示パラメータデータ203c及び203dはそれぞれ、第1実施形態に係る表示パラメータデータ103c及び103dと同じである。本実施形態に係る表示パラメータデータ203c〜203fの特徴は、第2速度V
2と第3速度V
3との間で、加速時と減速時とで異なる優先度及び表示パラメータが定められているところにある。
【0075】
第2速度V
2と第3速度V
3(V
1<V
3<V
2)との間で加速している時、エンジンの回転数に関する表示パラメータデータ203cが示す表示パラメータは、表示サイズR
3(R
2<R
3<R
1)と表示サイズR
2との間で走行速度の変化(走行速度と第3速度V
3との差)に比例して小さくなる。またこの時、冷却水の温度に関する表示パラメータデータ203dが示す表示パラメータも同様に、表示サイズT
3(T
2<T
3<T
1)と表示サイズT
2との間で走行速度の変化に比例して小さくなる。
【0076】
これに対して、第2速度V
2と第3速度V
3との間で減速している時、エンジンの回転数に関する表示パラメータデータ203eが示す表示パラメータは、表示サイズ0(非表示)と表示サイズR
3との間で走行速度の変化(第2速度V
2と走行速度との差)に比例して大きくなる。またこの時、冷却水の温度に関する表示パラメータデータ203fが示す表示パラメータも同様に、表示サイズ0(非表示)と表示サイズT
3との間で走行速度の変化に比例して大きくなる。
【0077】
第2実施形態に係る車両情報表示装置が実行する処理について、
図8及び
図9を参照して説明する。第2実施形態に係る車両情報表示装置が実行する処理は、
図8に示すように、第1実施形態に係る車両情報表示装置が実行する処理(
図3参照)と概ね同様である。第2実施形態に係る車両情報表示装置が実行する処理の特徴は、高速走行時の表示処理(ステップS112)の後に、第3の走行速度判断処理(ステップS513)及び非表示回復処理(ステップS514)にある。本実施形態では、第1実施形態と同一の処理には同一の参照符号を付しており、それらに関する詳細な説明は省略する。
【0078】
表示処理(ステップS112)が実行されると、表示パラメータ決定部104は、走行速度が第2速度V
2より速いか否かを判断する(第3の走行速度判断処理,ステップS513)。走行速度が第2速度V
2より速いと判断した場合(ステップS513;Yes)、表示パラメータ決定部104は表示パラメータ決定処理(ステップS110)に戻る。
【0079】
走行速度が第2速度V
2以下であると判断した場合(ステップS513;No)、車両情報表示装置は非表示回復処理(ステップS514)を実行し、その後、エンジン停止判断処理(ステップS113)を実行する。
【0080】
ここで、非表示回復処理(ステップS514)の詳細について
図9を参照して説明する。
表示パラメータ決定部104は、表示パラメータデータ203a、203b、203e、及び203fに基づいて表示サイズを決定し、決定データを出力する(ステップS521)。
【0081】
表示パラメータ決定処理(ステップS521)において表示サイズを決定する方法の詳細について説明する。
【0082】
スピードメータ101aの表示サイズは、第1実施形態に係る表示パラメータ決定処理(ステップS107)と同様に、表示サイズS
2と表示サイズS
1との間で走行速度に応じて按分することによって決定される。燃料計101bの表示サイズは、一定の表示サイズF
1と決定される。
【0083】
タコメータ101cの表示サイズは、0と表示サイズR
3との間で走行速度に応じて按分することによって決定される。具体的には、表示サイズR
0(図示せず)は、自車の走行速度がV
0で表される場合、(表示サイズR
0)/(表示サイズR
3−表示サイズR
0)=(第2速度V
2−V
0)/(V
0−第3速度V
3)を満たす値により決定される。
【0084】
水温計101dの表示サイズは、タコメータ101cの場合と同様に、0と表示サイズT
3との間で走行速度に応じて按分することによって決定される。
【0085】
このように第2実施形態では、高速走行から減速して一定の速度になるまで、タコメータ101c及び水温計101dが、表示部101に表示されていない状態から次第に大きく表示部101に表示される。これに対して、例えば第1実施形態に係るタコメータ101cの場合、高速走行から減速して第2速度V
2に達すると、表示サイズR
2で突然表示される。本実施形態によれば、非表示から表示を回復させる際に、非表示であった情報を突然大きく表示するよりも、運転手に与える違和感を軽減することが可能になる。
【0086】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれまで説明した実施形態に限定されるものではない。本発明は、例えば以下の変形例を含み、各実施形態及び各変形例を矛盾しない限度で任意に組み合わせたもの、さらに、本発明の要旨を変更しない範囲で各実施形態、各変形例、及びそれらを組み合わせたものに変更を加えたものを含む。
【0087】
(変形例1)
第1実施形態では、中速走行時の自車の走行速度、エンジンの回転数、及び冷却水の温度の優先度及びこれらの表示領域101a、101c及び101dの表示サイズは、速度の変化に比例して大きく又は小さくなることとした。しかし、中速走行時のこれらの表示領域101a、101c、及び101dの表示サイズは、速度の変化に応じて次第に大きく又は小さくなればよく、そのための方法は上述の第1実施形態における方法に限られない。例えば、速度の変化に応じて段階的に表示サイズが変化してもよい。また例えば、速度の変化に応じて次第に大きく又は小さくなる滑らかな曲線に従って表示サイズが変化してもよい。
【0088】
ここで、第1変形例に係る表示パラメータデータを
図10に示す。
図10は、表示サイズを段階的に変化させるための表示パラメータデータ303a〜dを模式的に示す図である。同図は、
図2と同様に、走行速度、燃料の残量、エンジンの回転数、及び冷却水の温度のそれぞれの表示パラメータデータ303a〜dを示す。表示パラメータデータ303a〜dは、中速走行時に段階的に表示サイズを変化させている点が、第1実施形態に係る表示パラメータデータ103a〜d(
図2参照)と異なる。
【0089】
第1実施形態に係る車両情報表示装置100は、表示パラメータデータ103a〜dに代えて表示パラメータデータ303a〜dを参照して、第1実施形態において説明した処理(
図3参照)を実行することができる。これによって、表示パラメータデータ303a〜dに従って表示部101に各情報が表示される。本変形例によっても、第1実施形態と同様に、運転手は安全運転のために必要な情報を的確に把握することが可能になるとともに、表示サイズの急激な変化が運転手に与える違和感を軽減することが可能になる。
【0090】
(変形例2)
第1実施形態では、走行速度、エンジンの回転数、及び冷却水の温度の優先度及びこれらの表示領域101a、101c、及び101dの表示サイズについて、中速走行時に次第に大きく又は小さくし、低速及び高速走行時には一定であるとした。しかし、情報の優先度及びその表示領域の表示サイズは、適宜各走行速度域で次第に大きく又は小さくしてもよい。
【0091】
ここで、第2変形例に係る表示パラメータデータを
図11に示す。
図11は、低速走行時及び中速走行時に、速度の変化に応じて表示サイズを次第に変化させるための表示パラメータデータ403a〜dを模式的に示す図である。同図は、
図2と同様に、走行速度、燃料の残量、エンジンの回転数、及び冷却水の温度のそれぞれの表示パラメータデータ403a〜dを示す。表示パラメータデータ403a〜dは、中速走行時だけでなく低速走行時にも速度の変化に比例して表示サイズを変化させている点が、第1実施形態に係る表示パラメータデータ103a〜d(
図2参照)と異なる。
【0092】
第1実施形態に係る車両情報表示装置100は、表示パラメータデータ103a〜dに代えて表示パラメータデータ303a〜dを参照して、第1実施形態において説明した処理(
図3参照)を実行することができる。ただし、
図11に示す表示パラメータデータ403a〜dが用いられる場合、表示パラメータ決定部104は、走行速度、エンジンの回転数、及び冷却水の温度について、低速走行時においても第1実施形態における中速走行時と同様に、表示パラメータを算出して決定する。具体的には、例えば走行速度の場合、表示パラメータ決定部104は、表示サイズS
4と表示サイズS
1との間で、走行速度に応じて按分することによって表示サイズを決定する。
【0093】
本変形例によっても、第1実施形態と同様に、運転手は安全運転のために必要な情報を的確に把握することが可能になる。
【0094】
(変形例3)
第1実施形態では、高速走行時にエンジンの回転数及び冷却水の水温を表示しないこととしたが、これらの情報は高速走行時に小さいサイズで表示されてもよい。
図12は、高速走行時であってもエンジンの回転数及び冷却水の水温を表示させるための表示パラメータデータ503a〜dの例を模式的に示す。
【0095】
本変形例に係る表示パラメータデータ503a〜dのうち、走行速度に関する表示パラメータデータ503a、及び燃料の残量に関する表示パラメータデータ503bは、第1実施形態に係る表示パラメータデータ103a及び103bとそれぞれ同じである(
図2参照)。本変形例と第1実施形態との違いは、エンジンの回転数及び冷却水の水温に関する表示パラメータデータ503c及び503dのうち、走行速度が第2速度V
2より速い高速走行時に係る部分にある。
【0096】
本変形例に係る表示パラメータデータ503c及び503dは高速走行時に、タコメータ101c及び水温計101dを非表示にするのではなく、小さい表示サイズR
2及びT
2とすることを示すデータである。
【0097】
本変形例に係る表示部101における高速走行時の表示例を
図13に示す。
【0098】
図13の表示部101に表示されたスピードメータ101a及び燃料計101bの表示サイズは、第1実施形態に係る表示部101に高速走行時に表示されるそれぞれ(
図6参照)の表示サイズと同じである。
図13の表示部101に表示されたタコメータ101c及び水温計101dの表示サイズ(横幅)は、それぞれR
2及びT
2であり、第1実施形態に係る表示部101に中速走行時に表示されるそれぞれ(
図5参照)の表示サイズより小さい。
【0099】
本変形例によれば、高速走行時に、優先度が高い情報は大きく表示されるため、優先度が高い情報の視認性が高くなる。また、高速走行時に、優先度が低い情報は小さく表示されるため、優先度が低い情報の視認性が低くなる。これによって、高速走行時の優先度が高い情報の視認性はより高められる。したがって、第1実施形態と同様に、運転手は安全運転のために必要な情報を的確に把握することが可能になる。
【0100】
なお、これまでの説明では、表示パラメータは表示サイズであるとしたが、表示パラメータは、運転手が表示部101に表示された情報を見る場合に、各情報の視認性に影響を与えるものであればよい。表示パラメータは、表示サイズの他に、例えば各情報の表示領域の表示コントラスト、表示形状、表示位置などであり、これらが任意に組み合わされてもよい。
【0101】
表示コントラストとは、表示部101に表示されるスピードメータ101a、燃料計101b、タコメータ101c及び水温計101dといった各情報の表示領域の背景に対する視覚的な区別のし易さである。
【0102】
各情報の表示領域101a〜dの表示コントラストは例えば、各情報の表示領域101a〜dの色相、輝度、及び彩度と、背景の色相、輝度、及び彩度との関係できまる。一般的に、計器の表示色と背景の色とが補色関係にあればコントラストは高い。逆に、計器の表示色と背景の色とが近い色相であればコントラストは低い。また、計器を表示する輝度が高ければコントラストは高く、その輝度が低ければコントラストは低い。さらに、計器を表示する彩度が鮮やかなものであればコントラストは高く、その彩度が濁ったものであればコントラストは低い。そして、コントラストが高ければ視認性が高く、コントラストが低ければ視認性が低い。
【0103】
表示パラメータにコントラストを採用する場合の表示パラメータデータは、
図2に示す表示パラメータデータ103a〜dの概念図の縦軸を表示サイズからコントラストに置き換えたものとすればよい。これによって、第1実施形態に係る車両情報表示装置100と同様の構成の装置を用いて、また当該装置が第1実施形態と同様の処理を実行して、第1実施形態と同じ効果を奏する。
【0104】
また、表示形状とは、表示部101に表示されるスピードメータ101a、燃料計101b、タコメータ101c及び水温計101dといった各情報の表示領域の形状である。例えば、実施形態では各表示領域の形状は同じであるとしたが、表示サイズとして各領域の面積を採用する場合、面積の変化とともに表示形状も変化させるように表示パラメータデータが定められてもよい。
【0105】
(変形例4)
ここから、表示パラメータとして表示位置を採用する例を
図14〜
図17を参照して説明する。表示位置とは、表示部101における各情報の表示領域の位置である。表示位置は例えば、表示部101の表示領域内に定められた基準位置から各情報の表示領域内に定められた点までの距離により表される。基準位置は、表示部101において情報を表示する全領域のうち、運転手が最も見易い位置が望ましい。これによって、情報の表示位置が小さいほどその情報の視認性は高くなり、情報の表示位置が大きいほどその情報の視認性は低くなる。この場合、優先度が高いほど表示位置は小さくなり、優先度は例えば、表示位置の逆数で表される。
【0106】
図14は、変形例4に係る表示パラメータデータ603a〜dの例を模式的に示す。同図の横軸は走行速度Vであり、縦軸は表示パラメータとしての表示位置である。本変形例において基準位置は、表示部101の中心(重心)とする。また、本変形例において、各情報の表示領域内に定められた点は、各情報の表示領域の中心(重心)とする。
【0107】
図14に示す表示パラメータデータ603a〜dは、第1実施形態と同様に、自車の走行速度、燃料の残量、エンジンの回転数、及び冷却水の水温に関する表示パラメータデータを含む。
【0108】
図14の実線で示す表示パラメータデータ603aは、自車の走行速度に関するものである。同図に示す表示パラメータデータ603aは、低速走行時に低い優先度で表示位置S
1であり、高速走行時に高い優先度で表示位置S
2(<S
1)であることを示す。表示パラメータデータ603aは、中速走行時には、走行速度の変化(走行速度と第1速度V
1との差)に比例して、表示位置S
1と表示位置S
2との間で、優先度が高くなるとともに表示位置が次第に小さくなることを示す。
【0109】
図14の破線で示す表示パラメータデータ603bは、燃料の残量に関するものである。表示パラメータデータ603bは、走行速度にかかわらず一定の優先度及び表示位置F
1とすることを示す。
【0110】
図14の一点鎖線で示す表示パラメータデータ603cは、エンジンの回転数に関するものである。また、
図14の二点鎖線で示す表示パラメータデータ603dは、冷却水の温度に関するものである。表示パラメータデータ603c及び603dはそれぞれ、低速走行時に高い優先度で表示位置R
1及びT
1であり、高速走行時に低い優先度で表示位置R
2(>R
1)及びT
2(>T
1)であることを示す。表示パラメータデータ603c及び603dはそれぞれ、中速走行時に、走行速度の変化(走行速度と第1速度V
1との差)が大きくなるほど優先度が低くなり、走行速度の変化に比例して表示位置R
1及びT
1と表示位置R
2及びT
2との間で表示位置が次第に大きくなることを示す。
【0111】
本変形例に係る表示パラメータデータ603a〜dが表示パラメータ記憶部103に記憶された車両情報表示装置100(
図1参照)が、第1実施形態に係る車両情報表示装置100の処理(
図3参照)を実行した場合の表示部101の例を
図15〜17に示す。
図15は、低速走行時の表示例を示す。
図16は、中速走行時の表示例を示す。
図17は、高速走行時の表示例を示す。なお、
図15〜
図17では、表示位置の変化を分かりやすくするために、基準位置を中心とする同心円が点線で示されている。
【0112】
図14に示す表示パラメータデータ603aでは、走行速度が速くなるに従って、自車の走行速度の優先度及び視認性が高くなるように定められている。そのため、
図15〜
図17に示すように、スピードメータ101aの表示位置は、走行速度が速くなるに従って基準位置に近付く。また、表示パラメータデータ603bでは、走行速度にかかわらず、燃料の残量の優先度及び視認性が一定であるように定められている。そのため、燃料計101bの表示位置は、走行速度にかかわらず一定の基準位置にある。また、表示パラメータデータ603c及び603dでは、走行速度が速くなるに従って、エンジンの回転数及び冷却水の温度の優先度及び視認性が低くなるように定められている。そのため、タコメータ101c及び水温計101dの表示位置は、走行速度が速くなるに従って、基準位置から遠くなる。
【0113】
なお、本変形例では、表示位置は基準位置からの距離としたが、表示位置にはさらに基準位置に対する上下左右などの方向が加えられてもよい。例えば、自動車の場合、運転手は道路の中央近傍を最もよく見ると考えられるので、その自動車が右ハンドルのとき、インストルメント・パネルの左側が、その右側より視認性が高い位置と考えられる。また、ドライバーシートの高さ、ハンドルの位置などによって、表示部101の全領域の中で視認性が高い部分と低い部分との違いが生じうる。
【0114】
また、表示パラメータには、表示位置と表示サイズとが組み合わされてもよい。表示部101において表示可能な領域は限られているため、表示サイズが大きくなると、表示位置を移動させる必要がある場合もある。このような場合、移動方向には本変形例で説明した表示位置と視認性との関係が考慮されることが望ましい。
【0115】
本変形例によれば、第1実施形態と同様に、走行速度が速くなるに従って優先度が高くなる情報の視認性は高速走行時に高くなる。そのため、運転手は安全運転のために必要な情報を的確に把握することが可能になる。
【0116】
また、走行速度が速くなるに従って優先度が低くなる情報の視認性は高速走行時に低くなる。その結果、高速走行時に優先度が高い情報の視認性はより高められるため、運転手は安全運転のために必要な情報を的確に把握することが可能になる。
【0117】
また、表示位置は次第に変化するため、表示位置が変化することによって運転手に与える違和感を軽減することが可能になる。
【0118】
(変形例5)
これまで説明した表示パラメータデータでは、各情報の優先度が表示パラメータによって示されることとした。表示パラメータデータの構成はこれに限られない。例えば、表示パラメータデータは、自車の状態と各情報の優先度とを関連付けた状態−優先度データと、優先度と表示パラメータとを関連付けた優先度−表示パラメータデータとを含んでもよい。このような変形例に係る車両情報表示装置は、概ね第1実施形態に係る車両情報表示装置100と同様の構成を備え、表示パラメータ記憶部103に代わる表示パラメータ記憶部703と、表示パラメータ決定部104に代わる表示パラメータ決定部704とを備える。
【0119】
表示パラメータ記憶部703は、
図18に示すように、状態−優先度データ703a〜dと優先度−表示パラメータデータ703eとを含む表示パラメータデータを記憶している。
図19は、本変形例に係る状態−優先度データ703a〜dを模式的に示す図である。
図19は、
図2の縦軸を表示サイズから優先度に置き換えたものであって、
図19に示す状態−優先度データ703a〜dは、自車の状態としての自車の走行速度と、表示部101に表示される各情報の優先度との関係を示す。状態−優先度データ703aは自車の走行速度に関するものである。状態−優先度データ703bは燃料の残量に関するものである。状態−優先度データ703cはエンジンの回転数に関するものである。状態−優先度データ703dは冷却水の温度に関するものである。
【0120】
図20は、本変形例に係る優先度−表示パラメータデータ703eを模式的に示す図である。本変形例に係る優先度−表示パラメータデータ703eは、優先度が高いほど表示部101における視認性が高くなるように、優先度と表示パラメータとが関連付けられた優先度−表示パラメータデータの一例である。詳細には
図20に示すように、本変形例に係る優先度−表示パラメータデータ703eは、優先度が0のとき表示パラメータとしての表示サイズを0(非表示)とし、優先度に比例して表示サイズが大きくなるように関連付けられている。
【0121】
なお、優先度−表示パラメータデータにおいて、優先度と表示パラメータとの関係は、優先度が所定値以下の場合に、表示サイズを0(非表示)とするように定められてもよい。
【0122】
本変形例に係る表示パラメータ決定部704は、
図18に示すように、優先度特定部721と表示パラメータ特定部722とを含む。優先度特定部721は、表示データ取得部102から状態データとしての速度データを取得し、表示パラメータ記憶部703の表示パラメータデータに含まれる状態−優先度データ703a〜dを参照する。これによって、優先度特定部721は、自車の状態としての自車の走行速度に対応する各情報の優先度を特定し、特定した各情報の優先度を示す優先度データを生成する。
【0123】
さらに、表示パラメータ特定部722は、優先度データを優先度特定部721から取得するとともに、表示パラメータ記憶部703の表示パラメータデータに含まれる優先度−表示パラメータデータ703eを参照する。これによって、表示パラメータ特定部722は、各情報の優先度に関連付けられた各情報の表示パラメータを特定する。そして、表示パラメータ特定部722は、特定した各情報の表示パラメータを、表示部101に各情報を表示するための表示パラメータとして決定し、決定した各情報の表示パラメータを示す各情報の決定データを出力する。
【0124】
本変形例に係る車両情報表示装置が、第1実施形態に係る車両情報表示装置100と同様の処理(
図3参照)を実行することによって、表示部101には第1実施形態と同様の各情報の表示領域101a〜101dが走行速度に応じて表示される(
図4〜
図6参照)。したがって、本変形例によっても、第1実施形態と同様に、すべての速度域において、運転手は安全運転のために必要な情報を的確に把握することが可能になる。
【0125】
(変形例6)
これまで、自車の状態が走行速度であるとして説明してきたが、自車の状態はこれに限られない。例えば、自車の状態として冷却水の水温又は燃料の残量を採用し、これらのいずれかが異常値を示す場合に、異常値を示す情報の優先度及び視認性を高くする表示パラメータデータが定められてもよい。この場合、表示パラメータ記憶部103は、さらに、自車の状態が異常値である場合に、それらが異常値でない場合よりも高い優先度となるような表示パラメータデータを記憶する。
【0126】
具体例として、冷却水の温度が90度を超える場合に、冷却水の温度が異常値であるとする例を挙げることができる。この具体例を第1実施形態に組み込むと、冷却水の水温が90度未満である場合の冷却水の温度に関する表示パラメータデータは、第1実施形態に係る表示パラメータデータ103dと同一とされてよい。また、冷却水の水温が90度を超えた場合の冷却水の温度に関する表示パラメータデータは、走行速度にかかわらず水温計101dを表示サイズT
1又はそれ以上の表示サイズとするデータであればよい。
【0127】
また具体例として、燃料がガソリンである場合に、ガソリンの残量が5リットル以下となったときに、ガソリンの残量が異常値であるとする例を挙げることができる。この例を第1実施形態に組み込むと、ガソリンの残量が5リットルより多い場合のガソリンの残量に関する表示パラメータデータは、第1実施形態に係る表示パラメータデータ103bと同一とされてよい。また、ガソリンの残量が5リットル以下となった場合のガソリンの残量に関する表示パラメータデータは、走行速度にかかわらず燃料計101bを表示サイズF
1よりも大きい表示サイズとするデータであればよい。
【0128】
本変形例では、自車の状態が異常値である場合に、その自車の状態の優先度を高くするとともに、その視認性を高くする。具体例として挙げたように、冷却水の温度の異常な上昇、燃料切れなどが走行中に生じることは危険であるが、本変形例によれば、運転手はそれらを事前に、しかも的確に把握することができる。したがって、本変形例によっても、運転手は安全運転のために必要な情報を的確に把握することが可能になる。
【0129】
(変形例7)
また例えば、自車の状態として自車の設定を採用し、各設定に応じた表示パラメータを表示パラメータ記憶部103が記憶していてもよい。
【0130】
具体的には、図示しない変速装置に関するモードを自車の設定として採用する例を挙げることができる。この場合、表示パラメータ記憶部103は、自車の走行速度、燃料の残量、エンジンの回転数、及び冷却水の温度に関する表示パラメータデータの組をモードごとに記憶していてもよい。
【0131】
変速装置に関するモードがエンジンの高回転領域を多用するスポーツモードや、ユーザの操作によって変速装置のギア比を選択可能なモードが選択されている場合の表示パラメータの組として、走行速度が上昇しても、タコメータ101cや水温計101dの表示を非表示としないものが表示パラメータ記憶部103に記憶されていてもよい。あるいは、これらのモードが選択されている場合の表示パラメータの組として、走行速度の上昇とともにスピードメータ101aの表示サイズを大きくし、タコメータ101cの表示サイズを走行速度にかかわらず予め大きな表示サイズとするものが表示パラメータ記憶部103に記憶されていてもよい。
【0132】
また、それ以外のモードが選択されている場合の表示パラメータの組として、第1実施形態と同様の表示パラメータデータ103a〜dが表示パラメータ記憶部103に記憶されていてもよい。
【0133】
この変形例のように、自車の設定によって各情報の優先度を変えることができる。具体例として挙げたスポーツモードでは、エンジンの回転数を特に意識しながら運転することが多い。また適宜、冷却水の温度や、走行速度にも注意をする必要がある。スポーツモードでは、エンジンの回転数の優先度を高くし、また適宜冷却水の温度や自車の走行速度の優先度を高くすることによって、利用者はそれらの情報を的確に把握することができる。このように、自車の設定によって各情報の優先度を変えることにより、運転手は安全運転のために必要な情報を的確に把握することが可能になる。