(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記設定変更部は、前記運転状況判定部で外乱となる前記運転状況にあると判定した時間の累積値と前記車両の走行の開始時からの経過時間の累積値との比率に基づいて前記走行状態分布算出部が算出する前記走行状態分布を変更することを特徴とする請求項2に記載の車両用情報提供装置。
前記設定変更部は、前記走行状態データ取得部が取得した前記走行状態データに基づき、複数の前記走行状態分布を算出するための分布データを蓄積し、蓄積している前記分布データに基づいて複数の前記走行状態分布を算出するとともに、前記着脱状態検出部で前記運転席のシートベルトを着脱したと検出した場合に、蓄積している前記分布データを初期化することを特徴とする請求項6に記載の車両用情報提供装置。
前記設定変更部は、前記走行状態データ取得部が取得した前記走行状態データに基づき、複数の前記走行状態分布を算出するための分布データを蓄積し、蓄積している前記分布データに基づいて複数の前記走行状態分布を算出するとともに、前記開閉状態検出部で前記運転席のシートベルトを開閉したと検出した場合に、蓄積している前記分布データを初期化することを特徴とする請求項8に記載の車両用情報提供装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
まず、本発明に係る第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1は、本実施形態の車両用情報提供装置を搭載した車両の構成を表す図である。
図1に示すように、車両は、アクセルペダル開度量センサ1、ブレーキペダル操作量センサ2、操舵角センサ3、車輪速センサ4、ウインカ検出センサ5、およびナビゲーション装置6を備える。また、車両は、Gセンサ7、シフトセンサ8、前方車両検出装置9、およびコントローラ100を備える。
【0009】
アクセルペダル開度量センサ1は、アクセルペダルの開度量を検出する。そして、アクセルペダル開度量センサ1は、検出した開度量をコントローラ100に出力する。
ブレーキペダル操作量センサ2は、ブレーキペダルの操作量を検出する。そして、ブレーキペダル操作量センサ2は、検出した操作量をコントローラ100に出力する。
操舵角センサ3は、ステアリングホイール(不図示)の操舵角を検出する。そして、操舵角センサ3は、検出した操舵角をコントローラ100に出力する。操舵角センサ3としては、例えば、ステアリングコラムの回転角を検出する角度センサを採用できる。
【0010】
車輪速センサ4は、車輪の回転数(以下、「車輪速」とも呼ぶ)を検出する。続いて、車輪速センサ4は、検出した車輪速に基づいて車速を算出する。そして、車輪速センサ4は、検出した車輪速および算出した車速のそれぞれをコントローラ100に出力する。
ウインカ検出センサ5は、ウインカレバー(不図示)の操作状態(以下、「ウインカ操作」とも呼ぶ)を検出する。ウインカ操作としては、例えば、操作の有無がある。そして、ウインカ検出センサ5は、検出したウインカ操作をコントローラ100に出力する。
【0011】
シフトセンサ8は、シフトレバー(不図示)の操作状態(以下、「シフト操作」とも呼ぶ)を検出する。シフト操作としては、例えば、P、D、R等のシフトレバーの位置がある。そして、シフトセンサ8は、検出したシフト操作をコントローラ100に出力する。
情報呈示装置は、コントローラ100が出力した制御信号(後述)に従って、警報その他の情報を運転者に呈示する。呈示方法としては、音声や画像がある。情報呈示装置としては、例えば、ブザー音や音声により運転者への情報提供を行うスピーカ10、および画像やテキストの表示により運転者への情報提供を行う表示ユニットを採用できる。表示ユニットとしては、例えば、ナビゲーション装置6の表示モニタを流用してもよい。
【0012】
ナビゲーション装置6は、GPS(Global Positioning System)受信機、地図データベース、および表示モニタを備える。そして、ナビゲーション装置6は、GPS受信機および地図データベースから車両の現在位置および道路情報を取得する。続いて、ナビゲーション装置6は、取得した車両の現在位置および道路情報に基づいて車両が走行する道路の種別や道路幅員等の各種情報を取得する。続いて、ナビゲーション装置6は、取得した情報に基づいて経路探索の結果および経路案内の結果等を表示モニタに表示する。
Gセンサ7は、車両に発生した前後加速度および横加速度を検出する。そして、Gセンサ7は、検出した前後加速度および横加速度をコントローラ100に出力する。
前方車両検出装置9は、車両の進行方向前方に存在する他の車両その他の障害物の情報(例えば、障害物までの距離)を検出する。そして、前方車両検出装置9は、検出した情報をコントローラ100に出力する。前方車両検出装置9としては、例えば、車両の進行方向前方にレーザー光を出射して反射光を検出するレーザ距離計を採用できる。
【0013】
コントローラ100は、CPU(Central Processing Unit)、並びにROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびA/D(Analog to Digital)変換回路等のCPU周辺部品を備える。そして、コントローラ100(CPU、CPU周辺部品)は、運転不安定度判定処理を行う運転支援部100Aを備える。運転不安定度判定処理では、運転支援部100Aは、アクセルペダル開度量センサ1およびブレーキペダル操作量センサ2等が出力した検出結果に基づいて、運転者が操作可能な運転操作子の操作状態、および車両状態の少なくとも一方を含む走行状態データを取得する。運転操作子としては、例えば、ステアリングホイール、アクセルペダル、およびブレーキペダルがある。車両状態としては、前方車両に対する車間情報がある。本実施形態では、走行状態データとして、操舵角センサ3が出力した操舵角の情報(以下、「操舵角情報」とも呼ぶ)を採用する。
【0014】
続いて、運転支援部100Aは、取得した走行状態データ(操舵角情報)に基づいて時間的範囲の異なる複数の走行状態分布(第1走行状態分布(後述)、第2走行状態分布(後述))を算出する。続いて、運転支援部100Aは、算出した複数の走行状態分布(第1走行状態分布、第2走行状態分布)の分布間の相違量(相対エントロピーRHp(後述))に基づいて運転者の運転状態(運転の不安定度(後述))を推定する。そして、運転支援部100Aは、推定した運転状態(運転の不安定度)に基づいて警報その他の情報(以下、「呈示情報」とも呼ぶ)を運転者に呈示させる制御信号を情報呈示装置に出力する。これにより、運転支援部100Aは、運転者に呈示情報を呈示し、運転の不安定度(運転の不安定状態)について注意を喚起する。
【0015】
なお、走行状態データとしては、前方車両に対する車間情報(車間距離、車間時間)や、アクセルペダルやブレーキペダルの操作に基づく加減速情報等を採用してもよい。車間情報(車間距離、車間時間)や、加減速情報等を採用した場合、走行状態分布(第1走行状態分布、第2走行状態分布)および分布間の相違量(相対エントロピーRHp)の算出は、例えば、国際公開番号WO2009/013815(特願2009−524342号)の公報等に記載しているような公知の方法によって算出すればよい。
【0016】
図2は、本実施形態の車両用情報提供装置のシステム構成例を表すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態では、情報呈示装置として、視覚情報呈示装置、および聴覚情報呈示装置を例示している。また、視覚情報呈示装置としては、ナビゲーション装置6の表示モニタ、聴覚情報呈示装置としては、スピーカ10を例示している。
図3は、本実施形態の運転支援部100Aの構成を表すブロック図である。
図3に示すように、運転支援部100Aは、走行状態データ取得部110、運転状況判定部120、走行状態分布算出部130、運転不安定度判定部140、および情報呈示部150を備える。
走行状態データ取得部110は、操舵角センサ3が出力した検出結果を取得する。そして、走行状態データ取得部110は、取得した検出結果を走行状態データとする。
【0017】
運転状況判定部120は、アクセルペダル開度量センサ1、およびブレーキペダル操作量センサ2等が出力した検出結果に基づいて、現在の車両の運転状況(外乱運転状況(後述)、通常運転状況(後述))を判定する。具体的には、運転状況判定部120は、アクセルペダル開度量センサ1、およびブレーキペダル操作量センサ2等が出力した検出結果に基づいて、運転者が操作可能な運転操作子の操作状態および走行環境を検出する。続いて、運転状況判定部120は、検出した運転操作子の操作状態が設定操作状態であるか、または走行環境が設定走行環境であるかを判定する。
【0018】
設定操作状態としては、例えば、カーブ動作、車線変更操作、車両の加減速、アクセルペダル(不図示)の操作、ブレーキペダル(不図示)の操作、ウインカ操作、ナビゲーション装置6の操作、およびオーディオ装置(不図示)の操作がある。カーブ動作は、例えば、操舵角センサ3の検出結果に基づき検出する。具体的には、カーブ動作は、設定操舵角以上の状態が設定時間以上継続した場合にカーブ動作があると判定する。車線変更操作は、例えば、ウインカ操作、車線位置、自車位置、および自車の進行方向等に基づき検出する。車両の加減速は、例えば、Gセンサ7の検出結果に基づき検出する。アクセルペダルの操作は、例えば、アクセルペダル開度量センサ1の検出結果に基づき検出する。ブレーキペダルの操作は、例えば、ブレーキペダル操作量センサ2の検出結果に基づき検出する。ウインカ操作は、ウインカ検出センサ5の検出結果に基づき検出する。ナビゲーション装置6の操作は、ナビゲーション装置6からの信号に基づき検出する。オーディオ装置(不図示)の操作は、オーディオ装置(不図示)からの信号に基づき検出する。
【0019】
また、設定走行環境としては、例えば、不整路、うねり、トンネル、分合流、料金所、および坂道がある。不整路およびうねりは、例えば、車輪速センサ4の検出結果に基づき検出する。具体的には、不整路は、設定時間毎に計測した車輪速の今回値と前回値との差異を算出し、算出した差異が設定閾値以上の場合に不整路があると判定する。トンネル、分合流および料金所は、ナビゲーション装置6からの信号に基づき検出する。坂道は、Gセンサ7の検出結果に基づき検出する。また、運転状況判定部120は、運転操作子の操作状態が設定操作状態であると判定した場合、または走行環境が設定走行環境であると判定した場合には、運転の不安定度の判定に対して、外乱となる運転状況(以下、「外乱運転状況」とも呼ぶ)にあると判定する。一方、運転状況判定部120は、設定操作状態および設定走行環境のいずれでもないと判定した場合には、運転の不安定度の判定に対して、外乱となる運転状況にない(以下、「通常運転状況」とも呼ぶ)と判定する。
【0020】
走行状態分布算出部130は、走行状態データ取得部110が取得した走行状態データ(操舵角情報)に基づいて時間的範囲の異なる複数の走行状態分布(第1走行状態分布、第2走行状態分布)を算出する。具体的には、走行状態分布算出部130は、走行状態データ取得部110が取得した走行状態データに基づき、予め定めた相対的に長い時間的範囲で取得した操舵角情報で求めた第1走行状態分布と、第1走行状態分布よりも短い時間的範囲で取得した操舵角情報で求めた第2走行状態分布とを算出する。
【0021】
ここで、予め定めた相対的に長い時間的範囲(第1走行状態分布の時間的範囲)は、普段の操舵特性を取得可能な時間的範囲である。例えば、トリップの開始時から予め定めた設定時間(例えば、2160秒)が経過していない場合には、現在から180秒前までの時間範囲を第1走行状態分布の時間的範囲とする。トリップとしては、例えば、イグニッションスイッチ(不図示)をオン状態としてからオフ状態とするまでの期間、或いはナビゲーション装置6が経路案内を開始してから終了するまでの期間がある。一方、トリップの開始時から設定時間(2160秒)が経過している場合には、現在から設定時間(2160秒)前までの時間範囲を第1走行状態分布の時間的範囲とする。
【0022】
また、第1走行状態分布よりも短い時間的範囲(第2走行状態分布の時間的範囲)は、現在の操舵特性(直近の運転特性)を判定可能な時間的範囲である。例えば、トリップの開始時から設定時間(2160秒)が経過していない場合には、現在から120秒前までの時間範囲を第2走行状態分布の時間的範囲とする。一方、トリップの開始時から設定時間(2160秒)が経過している場合には、現在から90秒前までの時間的範囲を第2走行状態分布の時間的範囲とする。第1走行状態分布および第2走行状態分布は、走行状態データ取得部110が走行状態データ(操舵角情報)を取得するたびに算出する。第1走行状態分布および第2走行状態分布の算出例については、後述する。
【0023】
図4は、本実施形態の走行状態分布算出部130の構成を表すブロック図である。
図4に示すように、走行状態分布算出部130は、第1走行状態分布算出部130A、第2走行状態分布算出部130B、分布蓄積部130C、分布選択部130D、および分布設定部130Eを備える。
第1走行状態分布算出部130Aは、第1走行状態分布を算出する。
第2走行状態分布算出部130Bは、第2走行状態分布を算出する。
分布蓄積部130Cは、第2走行状態分布算出部130Bが算出した第2走行状態分布を取得する。そして、分布蓄積部130Cは、取得した第2走行状態分布を蓄積する。
【0024】
分布選択部130Dは、車両の走行に関する情報に基づいて第1走行状態分布算出部130Aが算出する走行状態分布(第1走行状態分布)を変更する。車両の走行に関する情報としては、例えば、トリップの開始時からの経過時間がある。具体的には、分布選択部130Dは、運転状況判定部120が外乱運転状況を検出したか否かを判定する。そして、分布選択部130Dは、運転状況判定部120が外乱運転状況を検出したと判定した場合には、トリップの開始時からの経過時間が設定時間(例えば、2160秒)未満であるか否かを判定する。設定時間としては、例えば、第1走行状態分布の時間的範囲を採用できる。そして、分布選択部130Dは、トリップの開始時からの経過時間が設定時間(例えば、2160秒)未満であると判定すると、分布蓄積部130Cに蓄積している第2走行状態分布のうちから、外乱運転状況の検出時よりも前に算出・蓄積した第2走行状態分布(過去の第2走行状態分布)を選択する。
一方、分布選択部130Dは、トリップの開始時からの経過時間が設定時間(例えば、2160秒)以上であると判定すると、第2走行状態分布算出部130Bが検出した現在の第2走行状態分布を選択する。これにより、分布設定部130Eは、後述するように、選択した第2走行状態分布で第1走行状態分布算出部130Aが算出した第1走行状態分布を置き換える(変更する)。
【0025】
分布設定部130Eは、分布選択部130Dが第2走行状態分布を選択したか否かを判定する。そして、分布設定部130Eは、分布選択部130Dが第2走行状態分布を選択したと判定した場合には、選択した第2走行状態分布を第1走行状態分布算出部130Aが算出した第1走行状態分布とする(第1走行状態分布を置き換える)。
運転不安定度判定部140は、走行状態分布算出部130が算出した第1走行状態分布(第2走行状態分布で置き換えた場合には、置き換え後の第1走行状態分布)および第2走行状態分布に基づいて運転者の運転状態(運転の不安定度)を推定する。
情報呈示部150は、運転不安定度判定部140が推定した運転者の運転状態(運転の不安定度)に基づいて運転者に呈示情報を呈示する処理(以下、「情報呈示処理」とも呼ぶ)を行う。情報呈示処理では、情報呈示部150は、呈示情報(運転者に呈示する警報その他の情報)を運転者に呈示させる制御信号を情報呈示装置に出力する。
【0026】
(運転不安定度判定処理)
次に、運転支援部100Aが実行する運転不安定度判定処理について説明する。運転不安定度判定処理は、予め設定した制御周期(例えば、100ミリ秒毎)で実施する。
図5は、運転不安定度判定処理を表すフローチャートである。
図5に示すように、まず、ステップS101では、運転支援部100A(走行状態データ取得部110、運転状況判定部120)は、車両情報を取得する。車両情報としては、例えば、走行状態データ(操舵角情報)、および運転操作子の操作状態の情報がある。
続いてステップS102に移行して、運転支援部100A(運転状況判定部120)は、交通環境情報を取得する。交通環境情報としては、例えば、走行環境の情報がある。
【0027】
続いてステップS103に移行して、運転支援部100A(運転状況判定部120)は、ステップS101で取得した車両情報、およびステップS102で取得した交通環境情報に基づいて、現在の車両の運転状況(外乱運転状況、通常運転状況)を判定する。具体的には、運転支援部100A(運転状況判定部120)は、ステップS101で取得した車両情報、およびステップS102で取得した交通環境情報に基づいて、運転操作子の操作状態または走行環境がカーブ動作、車線変更操作、車両の加減速、アクセルペダル(不図示)の操作、ブレーキペダル(不図示)の操作、ウインカ操作、ナビゲーション装置6の操作、オーディオ装置(不図示)の操作、不整路、うねり、トンネル、分合流、料金所、および坂道の少なくともいずれかに該当するか否かを判定する。そして、運転支援部100A(運転状況判定部120)は、少なくともいずれかに該当すると判定した場合には、現在の車両の運転状況が外乱運転状況にあると判定する。一方、運転支援部100A(運転状況判定部120)は、いずれにも該当しないと判定した場合には、現在の車両の運転状況が通常運転状況にあると判定する。
【0028】
次いてステップS104に移行して、運転支援部100A(第1走行状態分布算出部130A、第2走行状態分布算出部130B)は、第1走行状態分布および第2走行状態分布を算出する。続いて、運転支援部100A(分布蓄積部130C)は、算出した第2走行状態分布を分布蓄積部130Cに蓄積する(記憶する)。
続いてステップS105に移行して、運転支援部100A(分布選択部130D)は、ステップS103の判定結果に基づいて、現在の車両の運転状況が通常運転状況、および外乱運転状況のいずれに該当するのかを判定する。そして、運転支援部100A(分布選択部130D)は、通常運転状況に該当すると判定した場合には、ステップS106に移行する。一方、運転支援部100A(分布選択部130D)は、外乱運転状況に該当すると判定した場合には、トリップの開始時からの経過時間が設定時間(例えば、2160秒)未満であるか否かを判定する。そして、分布選択部130Dは、トリップの開始時からの経過時間が設定時間(2160秒)未満であると判定した場合には、ステップS107に移行する。一方、分布選択部130Dは、トリップの開始時からの経過時間が設定時間(2160秒)以上であると判定した場合には、ステップS108に移行する。
【0029】
ステップS106では、運転支援部100A(分布設定部130E)は、ステップS104で算出した第1走行状態分布を第2走行状態分布で置き換えることなく(リセット(後述)、リストア(後述)を行うことなく)、ステップS109に移行する。
一方、ステップS107では、運転支援部100A(分布設定部130E)は、ステップS104で算出した第1走行状態分布を、ステップS104で算出した第2走行状態分布で置き換えた後(以下、「リセット」とも呼ぶ)、ステップS109に移行する。
一方、ステップS108では、運転支援部100A(分布設定部130E)は、ステップS104で算出した第1走行状態分布を、分布蓄積部130Cが蓄積している第2走行状態分布のうち、外乱運転状況の検出時よりも前に算出・蓄積した第2走行状態分布で置き換えた後(以下、「リストア」とも呼ぶ)、ステップS109に移行する。
【0030】
ステップS109では、運転支援部100A(運転不安定度判定部140)は、ステアリングエントロピー法によって、ステップS104で算出した第1走行状態分布(第2走行状態分布で置き換えた場合には、置き換え後の第1走行状態分布)および第2走行状態分布の分布間の相違量(相対エントロピーRHp)を算出する。なお、分布間の相違量(相対エントロピーRHp)の算出例については、後述する。これにより、運転支援部100A(運転不安定度判定部140)は、第1走行状態分布および第2走行状態分布に基づいて、運転者の現在の運転操作が普段の運転操作と比べてどう違うか、つまり、普段の運転操作と比べて不安定な状態であるか否かを判定するための相違量(相対エントロピーRHp)を算出する。すなわち、運転支援部100A(運転不安定度判定部140)は、運転操作の滑らかでない乱雑さを表す値として、相対エントロピーRHpを算出する。一般的に、運転者の注意が運転に集中していない状態では、操舵が行われない時間が運転に集中した正常運転時よりも長くなり、大きな操舵角の誤差が蓄積する。したがって、運転者の注意が運転に戻ったときの修正操舵量が大きくなるという傾向がある。
【0031】
続いてステップS110に移行して、運転支援部100A(運転不安定度判定部140)は、ステップS109で算出した分布間の相違量(相対エントロピーRHp)に基づいて運転者の運転状態を推定する(運転者の運転状態が不安定状態にあるか否かを判定する)。具体的には、運転支援部100A(運転不安定度判定部140)は、ステップS109で算出した分布間の相違量(相対エントロピーRHp)が予め定めた判定閾値よりも大きいか否かを判定する。そして、運転支援部100A(運転不安定度判定部140)は、分布間の相違量(相対エントロピーRHp)が判定閾値よりも大きいと判定した場合には、運転者の運転状態が不安定状態にあると判定する。一方、運転支援部100A(運転不安定度判定部140)は、分布間の相違量(相対エントロピーRHp)が判定閾値以下であると判定した場合には、運転者の運転状態が不安定状態にないと判定する。
【0032】
続いてステップS111に移行して、運転支援部100A(情報呈示部150)は、ステップS110で推定した運転状態に基づいて運転者に呈示情報(運転者に呈示する警報その他の情報)を呈示する処理(情報呈示処理)を行う。具体的には、運転支援部100A(情報呈示部150)は、ステップS110で不安定状態と判定した状態が予め定めた不安定判定閾値(例えば、5秒)以上継続したか否かを判定する。そして、運転支援部100A(情報呈示部150)は、不安定状態と判定した状態が不安定判定閾値(例えば、5秒)以上継続したと判定した場合には、情報呈示処理を行う。一方、運転支援部100A(情報呈示部150)は、不安定状態と判定した状態が不安定判定閾値(例えば、5秒)以上継続していないと判定した場合には、情報呈示処理を行わない。
情報呈示処理の例を、
図6に示す。この例では、警告表示を行うとともに、「ピー!!そろそろ休憩しませんか。」等と音声で警告の呈示を行う。
【0033】
(第1走行状態分布、第2走行状態分布の算出例)
次に、第1走行状態分布、第2走行状態分布の算出例について説明する。
図7は、第1走行状態分布、第2走行状態分布の算出例を表すフローチャートである。
図7に示すように、まず、ステップS201では、走行状態分布算出部130(第1走行状態分布算出部130A、第2走行状態分布算出部130B)は、相対エントロピーRHpを算出可能な走行場面であるか否かを判定する。具体的には、走行状態分布算出部130(第1走行状態分布算出部130A、第2走行状態分布算出部130B)は、車速が予め定めた車速範囲(例えば、40〜120km/h)内にあるか否かを判定する。そして、走行状態分布算出部130は、車速が予め定めた車速範囲(40km/h〜120km/h)内にあると判定した場合には(Yes)、相対エントロピーRHpを算出可能な走行場面であると判定し、ステップS202に移行する。
【0034】
一方、走行状態分布算出部130(第1走行状態分布算出部130A、第2走行状態分布算出部130B)は、車速が予め定めた車速範囲(40km/h〜120km/h)外にあると判定した場合には(No)、相対エントロピーRHpを算出可能な走行場面ではないと判定し、この演算処理を終了する。これにより、走行状態分布算出部130(第1走行状態分布算出部130A、第2走行状態分布算出部130B)は、車速が極端に遅い場合および極端に速い場合(40km/h未満、または120km/h以上)を、相対エントロピーRHpを算出可能な走行場面から除外する。
【0035】
ステップS202では、走行状態分布算出部130(第1走行状態分布算出部130A、第2走行状態分布算出部130B)は、操舵角センサ3が出力した操舵角θを取得する。続いて、走行状態分布算出部130(第1走行状態分布算出部130A、第2走行状態分布算出部130B)は、取得した操舵角θに基づいて操舵角予測誤差θeを算出する。ここで、
図8に、相対エントロピーRHpを算出するために用いる特殊記号および該特殊記号の名称を示す。操舵角円滑値θn-tildeは、量子化ノイズの影響を低減した操舵角θである。また、操舵角の推定値θn-hatは、ステアリングホイールを滑らかに操作したと仮定してサンプリング時点における操舵角θを推定した値である。操舵角推定値θn-hatは、以下の(式1)に示すように、操舵角円滑値θn-tildeに対して二次のテイラー展開を施して得る。
【0037】
(式1)において、tnは操舵角θnのサンプリング時刻である。
操舵角円滑値θn-tildeは、量子化ノイズの影響を低減するために、3個の隣接した操舵角θnの平均値として以下の(式2)から算出する。
【0039】
(式2)において、lは、操舵角円滑値θn-tildeの算出時間間隔を150ミリ秒、すなわち、手動操作において人間が断続的に操作可能な最小時間間隔とした場合に、150ミリ秒内に含まれる操舵角θnのサンプル数を表す。
操舵角θnのサンプリング間隔をTsとすると、サンプル数lは、以下の(式3)で表しる。
l=round(0.15/Ts) ・・・(式3)
(式3)において、k=1、2、3の値をとり、(k*1)により150ミリ秒間隔の操舵角とそれに隣接する合計3個の操舵角θnに基づいて、円滑値θn-tildeを求めることができる。したがって、このような円滑値θn-tildeに基づいて算出する推定値θn-hatは、実質的に150ミリ秒間隔で得た操舵角θにより算出したことになる。
サンプリング時点における操舵角予測誤差θeは、ステアリングホイールが滑らかに操作したと仮定した場合のサンプリング時点における操舵角推定値θn-hatと実際の操舵角θnとの差として、以下の(式4)から算出できる。
【0041】
ただし、操舵角予測誤差θeは、手動操作において人間が断続的に操作可能な最小時間間隔、すなわち、150ミリ秒毎の操舵角θnに対してのみ算出するものとする。
以下に、操舵角予測誤差θeの具体的な算出方法を説明する。なお、操舵角θのサンプリング間隔Tsは、例えば、50ミリ秒とする。まず、150ミリ秒間隔の隣接する3個の操舵角θnを用いて、上記(式2)から3個の操舵角円滑値θn-tildeを算出する。3個の操舵角円滑値θn-tildeは、以下の(式5)で表す。
【0043】
次に、算出した3個の操舵角円滑値θn-tildeを用いて、上記(式1)から操舵角の推定値θn-hatを算出する。推定値θn-hatは、以下の(式6)で表す。
【0045】
そして、算出した操舵角推定値θn-hatと実際の操舵角θnとを用いて、上記(式4)から操舵角予測誤差θeを算出する。
続いてステップS203に移行して、走行状態分布算出部130(第1走行状態分布算出部130A、第2走行状態分布算出部130B)は、現時点までに算出し、コントローラ100のメモリに蓄積している設定時間T秒(例えば、2160秒)間の操舵角予測誤差θeを、ステップS202で算出した操舵角予測誤差θeの現在値を加えて更新する。すなわち、走行状態分布算出部130(第1走行状態分布算出部130A、第2走行状態分布算出部130B)は、コントローラ100のメモリに蓄積している操舵角予測誤差θeのうち最も古いT秒(2160秒)前のデータを捨てて、代わりに最新の操舵角予測誤差θeとして、ステップS202で算出した操舵角予測誤差θeの現在値を蓄積する。これにより、走行状態分布算出部130(第1走行状態分布算出部130A、第2走行状態分布算出部130B)は、コントローラ100のメモリに現在値からT秒(2160秒前)前までの操舵角予測誤差θeを蓄積する。
【0046】
図9、
図10は、第1走行状態分布および第2走行状態分布の算出方法を説明するための図である。
図11は、予測誤差区分biの範囲を表す図である。
続いてステップS204に移行して、走行状態分布算出部130(第1走行状態分布算出部130A)は、コントローラ100のメモリに蓄積している操舵角予測誤差θeに基づいて第1走行状態分布を算出する。具体的には、走行状態分布算出部130(第1走行状態分布算出部130A)は、
図9、
図10、
図11に示すように、コントローラ100のメモリに蓄積している操舵角予測誤差θeのうち、設定時間T秒(例えば、2160秒)前(トリップの開始時から設定時間(2160秒)が経過していない場合には、180秒前)から現在までの2160秒分の操舵角予測誤差θeを9個の予測誤差区分bi(=b1、b2、b3、b4、b5、b6、b7、b8、b9)に分類する。
【0047】
予測誤差区分biの範囲は、ステアリングエントロピーの算出に用いるα値に基づいて設定する。α値としては、例えば、操舵角θの時系列データに基づいて一定時間内の操舵角予測誤差θe、すなわち、ステアリングホイールを滑らかに操作したと仮定した場合の操舵角推定値θn-hatと実際の操舵角θnとの差を求め操舵角予測誤差θeの分布(ばらつき)を測定して90パーセントタイル値(操舵角予測誤差θeの90%が含まれる分布の範囲)を算出したものがある。すなわち、α値は、操舵角予測誤差θeの90%が区間[−α、α]の中に含まれるように設定する。
【0048】
具体的には、予測誤差区分b1は5α未満とし、予測誤差区分b2は−5α以上で且つ−2.5α未満とし、予測誤差区分b3は−2.5α以上で且つ−α未満とし、予測誤差区分b4は−α以上で且つ−0.5α未満とし、予測誤差区分b5は−0.5α以上で且つ0.5α未満とする。また、予測誤差区分b6は0.5α以上で且つα未満とし、予測誤差区分b7はα以上で且つ2.5α未満とし、予測誤差区分b8は2.5α以上で且つ5α未満とし、予測誤差区分b9は5α以上とする。予測誤差区分bi(=b1〜b9)の範囲は、第1走行状態分布および第2走行状態分布について同じものを用いる。続いて、走行状態分布算出部130(第1走行状態分布算出部130A)は、各予測誤差区分biに含まれる操舵角予測誤差θeの度数の全度数に対する確率pi(=p1、p2、p3、p4、p5、p6、p7、p8、p9)を求める。
【0049】
続いてステップS205に移行して、走行状態分布算出部130(第2走行状態分布算出部130B)は、コントローラ100のメモリに蓄積している操舵角予測誤差θeに基づいて第2走行状態分布を算出した後、この演算処理を終了する。具体的には、走行状態分布算出部130(第2走行状態分布算出部130B)は、コントローラ100のメモリに蓄積している操舵角予測誤差θeのうち、現在から直近の90秒前(トリップの開始時から設定時間(2160秒)が経過していない場合には、120秒前)までの操舵角予測誤差θeを9個の予測誤差区分bi(=b1〜b9)に分類する。続いて、走行状態分布算出部130(第2走行状態分布算出部130B)は、各予測誤差区分biに含まれる操舵角予測誤差θeの度数の全度数に対する確率qi(=q1、q2、q3、q4、q5、q6、q7、q8、q9)を求める。
(相対エントロピーRHpの算出例)
相対エントロピーRHpの算出例について説明する。
相対エントロピーRHpは、ステップS204で算出した確率piおよびステップS205で算出した確率qiに基づき、以下の(式7)から算出する。
【0051】
上記(式7)より、相対エントロピーRHpは、第1走行状態分布の確率pi(=p1〜p9)と第2走行状態分布の確率qi(=q1〜q9)とが等しい場合には0になる。一方、相対エントロピーRHpは、第1走行状態分布の確率piと第2走行状態分布の確率qiとがずれている場合にはずれが大きくなるほど大きな値になる。
【0052】
(動作その他)
次に、本実施形態の車両用情報提供装置を搭載した車両の動作について説明する。
運転者が、イグニッションスイッチ(不図示)をオン状態とし、トリップを開始したとする。そして、トリップの開始時からの経過時間が設定時間(例えば、2160秒)未満であるときに、車両がカーブに進入したとする。すると、運転支援部100A(運転状況判定部120)が、カーブ動作が行われたと判定し、現在の車両の運転状況が外乱運転状況にあると判定する(
図5のステップS103)。続いて、運転支援部100A(第1走行状態分布算出部130A、第2走行状態分布算出部130B)が、第1走行状態分布(予め定めた相対的に長い時間的範囲で取得した操舵角情報で求めた走行状態分布)および第2走行状態分布(第1走行状態分布よりも短い時間的範囲で取得した走行状態分布)を算出する(
図5のステップS104)。続いて、運転支援部100A(第1走行状態分布算出部130A、第2走行状態分布算出部130B)が、算出した第2走行状態分布を分布蓄積部130Cに蓄積する(
図5のステップS104)。
【0053】
続いて、運転支援部100A(分布選択部130D)が、ステップS103の判定結果に基づき現在の車両の運転状況が外乱運転状況にあると判定する(
図5のステップS105)。続いて、運転支援部100A(分布選択部130D)が、トリップの開始時からの経過時間が設定時間(2160秒)未満であると判定する(
図5のステップS105)。続いて、運転支援部100A(分布設定部130E)が、ステップS104で算出した第1走行状態分布をステップS104で算出した第2走行状態分布で置き換える(リセットする)(
図3のステップS107)。これにより、運転支援部100Aが、第1走行状態分布の確率pi(=p1〜p9)と第2走行状態分布の確率qi(=q1〜q9)とを等しくする。
【0054】
続いて、運転支援部100A(運転不安定度判定部140)が、置き換えた第1走行状態分布、および第2走行状態分布の分布間の相違量(相対エントロピーRHp=0)を算出する(
図5のステップS109)。続いて、運転支援部100A(運転不安定度判定部140)は、相対エントロピーRHp(=0)が判定閾値以下であると判定し、運転状態を推定する(不安定状態にはないと判定する。
図5のステップS110)。続いて、運転支援部100A(情報呈示部150)は、ステップS110で不安定状態と判定した状態が不安定判定閾値(例えば、5秒)以上継続していないと判定し、情報呈示処理を行わない(
図5のステップS110)。ここで、運転支援部100Aは、第1走行状態分布、および第2走行状態分布を、操舵角情報(走行状態データ)に基づき算出している(
図5のステップS104)。それゆえ、運転支援部100Aは、運転の不安定度を判定(運転の不安定状態を計測)するための操舵角情報(走行状態データ)だけを取得したい。
【0055】
しかしながら、運転支援部100Aは、運転操作子の操作状態や走行環境に起因する操舵変化等が発生する運転状況(外乱運転状況)でステアリングホイールの操作に乱れが発生する場合がある。それゆえ、運転支援部100Aは、ステアリングホイールの操作の乱れによる操舵角を含んだ操舵角情報を使用した走行状態分布(第1走行状態分布)を使用すると、運転の不安定状態の検出精度が悪くなる可能性がある。これに対し、本実施形態の運転支援部100Aは、運転の不安定状態に対して外乱となる運転状況(外乱運転状況)を検出すると、トリップの開始時からの経過時間が設定時間(例えば、2160秒)未満である場合、外乱運転状況を検出しているときの走行状態データによる第1走行状態分布を第2走行状態分布で置き換える(
図5のステップS105、S107)。これにより、本実施形態の運転支援部100Aは、運転の不安定度の判定(運転の不安定状態の計測)において、不安定状態にあると誤検知することを防止できる。
【0056】
また、上記カーブを走行中に、トリップの開始時からの経過時間が設定時間(例えば、2160秒)以上になったとする。すると、運転支援部100A(分布選択部130D)が、トリップの開始時からの経過時間が設定時間(例えば、2160秒)以上であると判定する(
図5のステップS105)。続いて、運転支援部100A(分布設定部130E)が、ステップS104で算出した第1走行状態分布を、分布蓄積部130Cに蓄積している第2走行状態分布のうちから、外乱運転状況の検出時よりも前に算出・蓄積し第2走行状態分布で置き換える(リストアする)(
図3のステップS108)。
【0057】
続いて、運転支援部100A(運転不安定度判定部140)が、置き換えた第1走行状態分布、および第2走行状態分布の分布間の相違量(相対エントロピーRHp)を算出する(
図5のステップS109)。続いて、運転支援部100A(運転不安定度判定部140)は、相対エントロピーRHpに基づき、運転状態を推定する(不安定状態であるか否かを判定する。
図5のステップS110)。続いて、運転支援部100A(情報呈示部150)は、ステップS110で不安定状態と判定した状態が不安定判定閾値(例えば、5秒)以上継続しているか否かを判定し、判定結果に基づき情報呈示処理を判定する(
図5のステップS110)。ここで、本実施形態の運転支援部100Aは、運転の不安定状態に対して外乱となる運転状況(外乱運転状況)を検出すると、トリップの開始時からの経過時間が設定時間(例えば、2160秒)以上である場合、外乱運転状況を検出しているときの走行状態データによる第1走行状態分布を、外乱運転状況の検出時よりも前に算出・蓄積し第2走行状態分布で置き換える(
図5のステップS105、S108)。これにより、本実施形態の運転支援部100Aは、運転の不安定度の判定(運転の不安定状態の計測)において、不安定状態にあると誤検知することを防止できる。
【0058】
本実施形態では、
図3の走行状態データ取得部110、
図5のステップS101が走行状態データ取得部を構成する。以下同様に、
図3の走行状態分布算出部130、
図4の第1走行状態分布算出部130A、第2走行状態分布算出部130B、
図5のステップS104が走行状態分布算出部を構成する。また、
図3の走行状態分布算出部130、
図4の分布選択部130D、分布設定部130E、
図5のステップS105、S107、S108が設定変更部を構成する。さらに、
図3の運転不安定度判定部140、
図5のステップS110が運転状態推定部を構成する。また、
図3の情報呈示部150、
図5のステップS111が情報呈示部を構成する。さらに、
図3の運転状況判定部120、
図5のステップS103が運転状況判定部を構成する。
【0059】
(本実施形態の効果)
本実施形態は、次のような効果を奏する。
(1)運転支援部100Aは、走行状態データ(例えば、操舵角情報)に基づいて時間的範囲の異なる複数の走行状態分布(例えば、第1走行状態分布、第2走行状態分布)を算出する。続いて、運転支援部100Aは、算出した複数の走行状態分布(例えば、第1走行状態分布、第2走行状態分布)に基づいて運転者の運転状態を推定する(例えば、不安定状態にあるか否かを判定する)。その際、運転支援部100Aは、車両の走行に関する情報(例えば、トリップの開始時からの経過時間)に基づいて運転支援部100Aが算出する走行状態分布(例えば、第1走行状態分布)を変更する。
このような構成により、車両の走行に関する情報(例えば、トリップの開始時からの経過時間)に基づいて運転支援部100Aが算出する走行状態分布(例えば、第1走行状態分布)を変更する。これによって、走行状態分布(例えば、第1走行状態分布)をより適切に算出でき、運転状態(例えば、不安定状態にあるか否か)の推定精度を向上できる。
【0060】
(2)運転支援部100Aは、トリップの開始時からの経過時間に基づいて運転支援部100Aが算出する走行状態分布(例えば、第1走行状態分布)を変更する。
このような構成により、例えば、トリップの開始時からの経過時間が短く、取得した走行状態データが少ない場合に、少ない走行状態データに応じた算出方法を設定できる。
(3)運転支援部100Aは、運転状態の推定(例えば、運転の不安定状態の計測)に対して外乱となる運転状況(例えば、外乱運転状況)を検出すると、トリップの開始時からの経過時間が設定時間(例えば、2160秒)未満である場合に、運転状態の推定(例えば、運転の不安定状態の計測)に対して外乱となる運転状況(例えば、外乱運転状況)を検出したときよりも前に算出した第2走行状態分布を選択し、トリップの開始時からの経過時間が設定時間(例えば、2160秒)以上である場合に、現在の第2走行状態分布を選択し、選択した第2走行状態分布で第1走行状態分布を置き換える。
このような構成により、運転状態の推定精度をより適切に向上できる。
【0061】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、上記第1実施形態と同様な構成等については同一の符号を使用する。
本実施形態は、運転支援部100A(運転不安定度判定部140)が、運転の不安定度の判定(運転の不安定状態の計測)に対して、外乱となる運転状況にあると判定した時間の累積値T
Aとトリップの開始時からの経過時間の累積値T
Bとの比率T
A/T
Bを算出し、算出した比率T
A/T
Bに基づいて運転支援部100Aが算出する走行状態分布(第1走行状態分布、第2走行状態分布)を変更する点が第1実施形態と異なる。具体的には、本実施形態は、第1実施形態とは、
図5のステップS109の内容が異なっている。
【0062】
ステップS109では、運転支援部100A(運転不安定度判定部140)は、ステアリングエントロピー法によって、ステップS104で算出した第1走行状態分布(第2走行状態分布で置き換えた場合には、置き換え後の第1走行状態分布)および第2走行状態分布の分布間の相違量(相対エントロピーRHp)を算出する。その際、運転支援部100A(運転不安定度判定部140)は、運転の不安定度の判定(運転の不安定状態の計測)に対して、外乱となる運転状況にあると判定した時間の累積値T
Aとトリップの開始時からの経過時間の累積値T
Bとの比率T
A/T
B(以下、「マスク割合」とも呼ぶ)を算出する。続いて、運転支援部100A(運転不安定度判定部140)は、算出したマスク割合T
A/T
Bに対応したα値を制御マップMから読み出す。これにより、運転支援部100A(運転不安定度判定部140)は、算出した比率T
A/T
Bに基づいて運転支援部100A(第1走行状態分布算出部130A、第2走行状態分布算出部130B)が算出する走行状態分布(第1走行状態分布、第2走行状態分布)を変更する。
【0063】
図12は、制御マップMを表すグラフである。
図12に示すように、制御マップMは、マスク割合T
A/T
Bが第1設定値T
A/T
B1(例えば、0.2)以上で且つ第2設定値T
A/T
B2(>T
A/T
B1。例えば、0.8)未満の範囲では、マスク割合T
A/T
Bの大きさにかかわらず、α値を予め定めた設定値に設定する。また、制御マップMは、マスク割合T
A/T
Bが第1設定値T
A/T
B1未満の範囲では、マスク割合T
A/T
Bの減少に応じてα値を設定値から直線的に減少させる。さらに、制御マップMは、マスク割合T
A/T
Bが第2設定値T
A/T
B2以上の範囲では、マスク割合T
A/T
Bの増加に応じてα値を設定値から直線的に増加させる。
【0064】
図13は、警報の感度を表すグラフである。
これにより、運転不安定度判定部140は、マスク割合T
A/T
Bが第1設定値T
A/T
B1未満である場合には、マスク割合T
A/T
Bが小さくなるほどα値が小さくなる。それゆえ、運転不安定度判定部140は、
図13に示すように、マスク割合T
A/T
Bが小さくなるほど警報(情報呈示処理)の感度が高くなる(警報(情報呈示処理)が実行しやすくなる)。また、運転不安定度判定部140は、マスク割合T
A/T
Bが第2設定値T
A/T
B2以上である場合には、マスク割合T
A/T
Bが大きくなるほどα値が大きくなる。それゆえ、運転不安定度判定部140は、マスク割合T
A/T
Bが大きくなるほど警報(情報呈示処理)の感度が低くなる(警報(情報呈示処理)が実行し難くなる)。
【0065】
(本実施形態の効果)
(1)運転支援部100Aは、車両の運転状況(例えば、外乱運転状況、通常運転状況)を検出する。続いて、運転支援部100Aは、検出した運転状況(例えば、外乱運転状況、通常運転状況)に基づいて運転支援部100Aが算出する走行状態分布(例えば、第1走行状態分布、第2走行状態分布)を変更する。
このような構成によれば、例えば、車両の運転状況に応じた走行状態分布(例えば、第1走行状態分布、第2走行状態分布)を算出できる。
【0066】
(2)運転支援部100Aは、運転状態の推定(例えば、運転の不安定度の判定)に対して外乱となる運転状況(例えば、外乱運転状況)にあると判定した時間の累積値T
Aとトリップの開始時からの経過時間の累積値T
Bとの比率T
A/T
Bに基づいて運転支援部100Aが算出する走行状態分布(例えば、第1走行状態分布、第2走行状態分布)を変更する。
このような構成によれば、例えば、運転状態の推定(例えば、運転の不安定度の判定)に対して外乱となる運転状況(例えば、外乱運転状況)の発生に応じた走行状態分布(第1走行状態分布、第2走行状態分布)を算出できる。
【0067】
(3)運転支援部100Aは、カーブ動作、車線変更、および車両の加減速の少なくとも1つに基づいて運転状況(例えば、外乱運転状況、通常運転状況)を判定する。
このような構成によれば、運転状態の推定に対し外乱となる運転状況(例えば、外乱運転状況)を比較的容易に判定できる。
(4)運転支援部100Aは、不整路、およびうねりの少なくとも1つに基づいて運転状況(外乱運転状況)を判定する。
このような構成によれば、運転状態の推定に対し外乱となる運転状況(例えば、外乱運転状況)を比較的容易に判定できる。
【0068】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、上記各実施形態と同様な構成等については同一の符号を使用する。
図14は、本実施形態の車両用情報提供装置を搭載した車両の構成を表す図である。
図15は、運転不安定度判定処理を表すフローチャートである。
本実施形態は、運転席のシートベルトが取り外すまたは取り付ける(以下、「単に着脱」とも呼ぶ)と、コントローラ100のメモリに蓄積している設定時間T秒(例えば、2160秒)間の操舵角予測誤差θeを初期化する点が第1実施形態と異なる。
具体的には、
図15に示すように、本実施形態は、第1実施形態とは、
図7のステップS201とステップS202との間にステップS206を設けた点が異なっている。
【0069】
また、車両は、
図14に示すように、シートベルトセンサ11を備える。
シートベルトセンサ11は、運転席のシートベルト(不図示)の着脱状態(取り外すまたは取り付ける)を検出する。続いて、シートベルトセンサ11は、検出した着脱状態をコントローラ100に出力する。
ステップS206では、運転支援部100Aは、シートベルトセンサ11が出力した着脱状態に基づき、運転席のシートベルト(不図示)を着脱(取り外すまたは取り付ける)したかを判定する。そして、運転支援部100Aは、運転席のシートベルト(不図示)を着脱したと判定すると(Yes)、コントローラ100のメモリに蓄積している設定時間T秒(例えば、2160秒)間の操舵角予測誤差θeを初期化した後、この演算処理を終了する。一方、運転支援部100Aは、運転席のシートベルト(不図示)を着脱していないと判定すると(No)、ステップS203に移行する。
【0070】
(本実施形態の効果)
(1)シートベルトセンサ11は、運転席のシートベルトの着脱状態を検出する。続いて、運転支援部100Aは、検出した着脱状態に基づいて運転支援部100Aが算出する走行状態分布(例えば、第1走行状態分布、第2走行状態分布)を変更する。
このような構成によれば、例えば、運転者が交代し、シートベルトを着脱した場合に、走行状態分布(第1走行状態分布、第2走行状態分布)を変更できる。
【0071】
(2)運転支援部100Aは、走行状態データ(例えば、操舵角情報)に基づいて複数の走行状態分布(第1走行状態分布、第2走行状態分布)を算出するための分布データ(例えば、操舵角予測誤差θe)をコントローラ100のメモリに蓄積する。また、運転支援部100Aは、コントローラ100のメモリが蓄積している分布データ(例えば、操舵角予測誤差θe)に基づいて運転者の運転状態を推定する。その際、運転支援部100Aは、運転席のシートベルトを着脱したと判定すると、コントローラ100のメモリが蓄積している分布データ(例えば、操舵角予測誤差θe)を初期化する。
このような構成によれば、例えば、運転者が交代し、シートベルトを着脱した場合に、走行状態分布(第1走行状態分布、第2走行状態分布)を初期化できる。
【0072】
(変形例)
なお、本実施形態では、シートベルト(不図示)を着脱(取り外すまたは取り付ける)したと判定した場合に、コントローラ100のメモリに蓄積している設定時間T秒(例えば、2160秒)間の操舵角予測誤差θeを初期化する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、運転席のドアを開放または閉止した(以下、「単に開閉」とも呼ぶ)と判定した場合に、コントローラ100のメモリに蓄積している設定時間T秒(例えば、2160秒)間の操舵角予測誤差θeを初期化してもよい。
【0073】
図16は、本実施形態の車両用情報提供装置を搭載した車両の構成を表す図である。
具体的には、
図16に示すように、車両は、ドア開閉センサ12を備える。
ドア開閉センサ12は、運転席のドアの開閉状態(開放または閉止した)を検出する。続いて、ドア開閉センサ12は、検出した開閉状態をコントローラ100に出力する。
ステップS206では、運転支援部100Aは、ドア開閉センサ12が出力した開閉状態に基づき、運転席のドアを開閉したか否かを判定する。そして、運転支援部100Aは、運転席のドアを開閉したと判定すると(Yes)、コントローラ100のメモリに蓄積している設定時間T秒(例えば、2160秒)間の操舵角予測誤差θeを初期化した後、この演算処理を終了する。一方、運転支援部100Aは、運転席のドアを開閉していないと判定すると(No)、ステップS203に移行する。
本実施形態では、
図16のドア開閉センサ12が開閉状態検出部を構成する。
【0074】
(本変形例の効果)
(1)ドア開閉センサ12は、運転席のドアの開閉状態を検出する。続いて、運転支援部100Aは、検出した開閉状態に基づいて運転支援部100Aが算出する走行状態分布(例えば、第1走行状態分布、第2走行状態分布)を変更する。
このような構成によれば、例えば、運転者が交代し、ドアを開閉した場合に、走行状態分布(第1走行状態分布、第2走行状態分布)を変更できる。
【0075】
(2)運転支援部100Aは、走行状態データ(例えば、操舵角情報)に基づいて複数の走行状態分布(第1走行状態分布、第2走行状態分布)を算出するための分布データ(例えば、操舵角予測誤差θe)を生成する。続いて、運転支援部100Aは、生成した分布データ(例えば、操舵角予測誤差θe)をコントローラ100のメモリに蓄積する。また、運転支援部100Aは、コントローラ100のメモリが蓄積している分布データ(例えば、操舵角予測誤差θe)に基づいて運転者の運転状態を推定する。その際、運転支援部100Aは、運転席のドアを開閉したと判定すると、コントローラ100のメモリが蓄積している分布データ(例えば、操舵角予測誤差θe)を初期化する。
【0076】
このような構成によれば、例えば、運転者が交代し、ドアを開閉した場合に、走行状態分布(第1走行状態分布、第2走行状態分布)を初期化できる。
以上、本願が優先権を主張する日本国特許出願2013−150724(2013年7月19日出願)の全内容は、参照により本開示の一部をなす。
ここでは、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく各実施形態の改変は当業者にとって自明なことである。