(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6008214
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】チャック工具及びビット構成
(51)【国際特許分類】
B23B 51/12 20060101AFI20161006BHJP
B23B 51/00 20060101ALI20161006BHJP
B23Q 3/12 20060101ALI20161006BHJP
B23B 31/02 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
B23B51/12
B23B51/00 P
B23Q3/12 G
B23Q3/12 C
B23B31/02 601E
B23B31/02 E
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-505464(P2014-505464)
(86)(22)【出願日】2012年4月23日
(65)【公表番号】特表2014-514970(P2014-514970A)
(43)【公表日】2014年6月26日
(86)【国際出願番号】AU2012000428
(87)【国際公開番号】WO2012142679
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2015年3月23日
(31)【優先権主張番号】2011901515
(32)【優先日】2011年4月21日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】515149166
【氏名又は名称】キム ジョン ケイトリー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】ケイトリー,キム
【審査官】
村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0226270(US,A1)
【文献】
特表2008−522844(JP,A)
【文献】
米国特許第7766585(US,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0259017(US,A1)
【文献】
特開平06−182608(JP,A)
【文献】
米国特許第05326199(US,A)
【文献】
特開平07−185914(JP,A)
【文献】
米国特許第05505570(US,A)
【文献】
米国特許第04002347(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 51/00 − 51/14
B23B 31/02 − 31/07
B23B 31/107
B23Q 3/12
B23B 45/00 − 47/34
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の直径のセンタリングシャフト部分を有するドリルビットとともに用いられるチャックであって:
前記ドリルビットの一定の直径のセンタリングシャフト部分を収容するドリルビットセンタリング構成であって、前記ドリルビットは、振れを最小限に抑えるように該チャックの回転軸と位置合わせされる、ドリルビットセンタリング構成を有する本体;
ドリルビットを駆動するためにドリルビットの第1の駆動肩部に係合した第1の肩部;
第1の肩部より大きい直径を持ち、アダプタの第2の肩部に係合するように構成された第2の駆動肩部を有する代替ドリルビットを駆動することに適応される第2の肩部
を含む、チャック。
【請求項2】
第2の肩部がチャックに係合したアダプタの一部であることを特徴とする、請求項1に記載のチャック。
【請求項3】
前記ドリルビットのロック部分に係合して前記ドリルビットと該チャックの前記本体との間の相対的な長手方向移動を防止するように構成されている、ドリルビット保持構成を含む、請求項1に記載のチャック。
【請求項4】
前記チャック及び前記ドリルビットのユーザによって前記本体の内方への力が加わると、前記ドリルを前記ドリルビット保持構成から離脱させるように動作可能であり、前記ドリルビットを前記チャックから長手方向に取り外すことを可能にする、前記保持構成に関連付けられるドリルビット解放機構を更に含む、請求項3に記載のチャック。
【請求項5】
前記ドリルビット解放機構は:
前記ドリルビットの前記ロック部分に当接するように付勢されるロック部材;及び
捕捉される押部材であって、第1の位置に戻るように付勢され、ユーザが該押部材を前記第1の位置から移動させるように該押部材に対して前記本体の内方への力を加えると、該押部材は前記チャックの前記本体の内方へ移動して前記ロック部材を前記ドリルビットの前記ロック部分との当接から外して離し、前記ドリルビットを前記チャックから長手方向に取り外すことを可能にする、請求項4に記載のチャック。
【請求項6】
前記ドリルビット保持機構は:
ロック部材であって、前記ドリルビットの前記ロック部分に当接するように付勢されるとともに前記本体内に位置付けられ、それによって、ロック部分を有するドリルビットは該ロック部材を一方向へは通過することができるが他の方向へは通過することができず、該ロック部材は、前記チャックの前記本体の外側へ該ロック部材を部分的に延出させる位置で止まり、前記チャック及び前記ドリルビットのユーザによって該ロック部材に対して前記本体の内方への、また付勢に抗する力が加わると、前記ドリルビットは一方向へ移動し、前記チャックから長手方向に取り外すことができる、ロック部材を含む、請求項5に記載のチャック。
【請求項7】
前記ドリルビットセンタリング構成は、ドリルビットの前記第1の駆動肩部分を通すことを可能にするようなサイズである、請求項1に記載のチャック。
【請求項8】
請求項2に記載のドリルビットとともに用いられるチャック及びドリルビットアダプタであって、該チャックは:
本体;
ドリルビットのロック部分に係合するとともに前記ドリルビットと該チャックの前記本体との間の相対的な長手方向移動を防止するように構成されている保持要素;
前記チャックの前記本体と同軸に位置合わせされるとともに前記ドリルビットの前記センタリングシャフト部分を収容するように構成されているボア;
を含み、該アダプタは:
ドリルビットの前記駆動肩部分に係合して前記ドリルビットに回転力を与えるドリルビット係合部分を含む、チャック及びドリルビットアダプタ。
【請求項9】
前記ドリルビット係合部分は、様々なドリルビットの少なくとも2つの異なるサイズの駆動肩部分を収容するように構成されている、請求項8に記載のチャック及びドリルビットアダプタ。
【請求項10】
チャック構成であって、前記チャックは:
前記チャックの長手方向に配置される工具ビット収容部分に対して長手方向及び平行に延在する少なくとも1つの駆動ピンを更に含み、
前記チャック構成は:
延長要素であって、中空スピゴットに係合するように構成されているとともに、第1のサイズ及び形状の駆動肩部よりも大きい駆動肩部を有するドリルビットに係合するように更に構成されており、該延長要素に回転力を伝達する少なくとも1つの駆動ピンに係合するように更に構成されている、延長要素を更に含む、請求項9に記載のチャック構成。
【請求項11】
チャック構成であって:
請求項1に記載のチャックであって:
該チャックの前記本体から長手方向に延在するスピゴットであって、中空体であり、該中空体は、前記チャックの工具ビット収容部分と軸方向に位置合わせされ、該スピゴットはまた、第1のサイズ及び形状の駆動肩部を有するドリルビットに係合するように構成されている、スピゴットを更に含む、チャック構成。
【請求項12】
前記スピゴットは、様々なドリルビットの少なくとも2つの異なるサイズの駆動肩部に係合するように構成されている、請求項11に記載のチャック構成。
【請求項13】
第1の端に、前記本体の穿孔部分に関連付けられる切断面を有し;
第2の端に、
複数の穿孔部分の直径用の一定の直径を有するセンタリングシャフト部分;
駆動肩部分;及び
ロック部分
を有する、請求項1に記載のチャックに入れて用いられるドリルビット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広範な工具を迅速に交換するための工具構成及びチャック装置に関する。特に、迅速交換用のチャックは、種々の直径のドリルビット、工具及び工具ホルダに係合するように構成されている。
【0002】
[参照]
本願と同じ発明者のChuck Tool and Bits Arrangementと題する2011年4月21日付けのオーストラリア仮特許出願第2011901515号が、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
工具を回転可能に支持するのに用いられるチャックが一般的に既知である。チャックは通常、電動ドリルに取着され、一般的に、様々な直径の工具のシャンクをクランプすることを可能にするように調整可能である三つあごタイプを有する。ドリルビットは、最も一般的にはチャックにクランプされ、通常は長い円筒形状であり、一端に、チャックに取り付けられる円形のシャンクを有し、反対端に切削面を有する。ドリルビットは、穿孔される孔のサイズに応じて直径が変わり、非常に小さい直径からより大きい直径まで一般に入手可能である。
【0004】
チャックを用いてドリルビットをクランプするときの問題は、滑ることである。これは穿孔プロセス中に生じ、チャックのジョーがシャンクの周りで滑る傾向があるため、損傷を与える。この結果、シャンクに凸状及び凹状双方の径方向溝が生じ、これは、不正確な回転及びシャンクの弱化を含む動作上の問題を引き起こす可能性がある。チャックは、締め付けられ過ぎて停止して閉じる可能性もあり、これによってチャックの解放及びドリルビットの取り外しが困難になる。チャックを持続的に動作させることも、ドリルビットの変更によって時間がかかる。
【0005】
他のドリルビットは、マンドレルの対応する六角形キャビティ内に挿入することができる六角形シャンクを有する。マンドレルは三つあごチャックに嵌まり、マンドレルの六角形キャビティはドリルビットを支持するとともに回転駆動手段として働く。この構成は、三つあごチャックを毎回操作する必要なくドリルビットを接続する上で有用であるが、振れを生じやすい。振れは、ドリルビットが回転中にその長手方向軸に沿って径方向変化を受けるため生じる。
【0006】
これは、ユーザがドリルビットの長さに沿って見た場合に左右への回転揺れとして見られる。この揺れは、ユーザが種々の材料、特に金属に穿孔する場合に正確に孔を開けることを難しくする。ドリルビットの始動も例えば板金の場合に非常に難しい。
【0007】
この振れの主な理由のうちの1つが、六角形シャフト及びボアが一般的に大量生産され、それらの長さに沿った真直度に関する精度及び寸法精度は、円形のボア及びシャフトに比して維持するのが難しい。ボア及びシャフトのこの真直度の欠如、並びに嵌め合わせられたときのボアとシャフトとの間の遊びによって、幾つかのレベルの振れが生じ、この振れは、幾つかの工具には許容可能であるが、ドリルにとっては許容不可能なレベルの振れであり、この理由は、マンドレルのいかなる振れもドリルのより長い長さにわたって増幅され、その結果、ドリルの切削面において大きい振れとなるためである。
【0008】
更なる問題は、六角形のチャックが1サイズのシャンクしか受け入れないことである。これは、一般的に、より小さい直径のドリルに好適な1/4インチである。より大きい直径のドリルは、より大きい回転力及び支持を必要とし、1/4インチのシャフトでは不適切となる。2つの異なるシャンクのサイズに適合するために、より小さい直径のドリル用の1つのチャック及びより大きい直径のドリル用の別のチャックである2つのチャックを有することができるが、これは、面倒なチャックの変更を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、上述した問題の1つ又は複数を克服するとともに公衆に有用な代替案を提供する、迅速交換用チャックアセンブリ及び好適な工具が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の1つの形態では、ドリルビット構成であって、本体を含み、当該本体は、第1の端に、当該本体の穿孔部分に関連付けられる切削面を有し;第2の端に、以下の少なくとも1つ:複数の穿孔部分の直径用の一定の直径を有するセンタリングシャフト部分;駆動肩部;及びロック部分を任意の順で有する、ドリルビット構成が提案される。
【0011】
好ましくは、駆動肩部分は穿孔部分の直径に応じて変わる所定のサイズを有する。
【0012】
更に好ましくは、駆動肩部分は六角形の断面である。
【0013】
また更に好ましくは、駆動肩部分は、より小さい直径のドリルビットにはより小さい六角形の断面、及びより大きい直径のドリルビットにはより大きい六角形の断面である。
【0014】
本発明の更なる態様では、本明細書において記載されるようなドリルビットとともに用いられるチャックであって:本体;ドリルビットの一定の直径のセンタリングシャフト部分を収容するドリルビットセンタリング構成であって、ドリルビットは、振れを低減するようにチャックの回転軸と位置合わせされる、ドリルビットセンタリング構成;及び、ドリルビットのロック部分に係合してドリルビットとチャックの本体との間の相対的な長手方向移動を防止するように構成されている、ドリルビット保持構成を含む、ドリルビットとともに用いられるチャックがある。また、ドリルビットの駆動肩部分に係合するチャックのドリルビット係合部分がドリルビットに回転力を与える。
【0015】
好ましくは、ドリルビット係合部分は、様々なドリルビットの少なくとも2つの異なるサイズの駆動肩部分を収容するように構成されている。
【0016】
更に好ましくは、ドリルビット保持構成に関連付けられるドリルビット解放機構が、チャック及びドリルビットのユーザによって本体の内方への力が加わると、ドリルを保持構成から離脱させるように動作可能であり、ドリルビットをチャックから長手方向に取り外すことを可能にする。
【0017】
本発明のまた更なる態様では、本明細書において記載されるようなドリルビットとともに用いられるチャック及びドリルビットアダプタであって、チャックは;本体;ドリルビットのロック部分に係合するとともにドリルビットとチャックの本体との間の相対的な長手方向移動を防止するように構成されている保持要素、チャックの本体と同軸に位置合わせされるとともにドリルビットのセンタリングシャフト部分を収容するように構成されているボアを含み;アダプタは、ドリルビットの駆動肩部分に係合してドリルビットに回転力を与えるドリルビット係合部分を含む、チャック及びドリルビットアダプタ。
【0018】
好ましくは、チャック及びドリルビットアダプタであって、ドリルビット係合部分は、様々なドリルビットの少なくとも2つの異なるサイズの駆動肩部分を収容するように構成されている、チャック及びドリルビットアダプタ。
【0019】
本発明の更なる態様では、本明細書において記載されるチャック及び/又は本明細書において記載されるアダプタとともに用いられるドリルビットアダプタであって、工具ビットアダプタは:本体であって、本体に回転エネルギーを伝達する、請求項に記載のチャックとともに用いられる第1の端、本体の第2の端であって、アダプタの本体の第2の端内に挿入されて固定される円筒端を有する様々な直径の工具ビットを収容して固定するように構成されている本体の第2の端を含む、本体を含み、工具ビットは、穿孔部端、ねじ/ボルトヘッド係合端、回転研磨端及びバフ研磨端を含む端の群のうちの端のうちの1つを有する自由加工端を有する、ドリルビットアダプタ。
【0020】
本明細書に援用されるとともに本明細書の一部をなす添付の図面は、本発明の幾つかの実施態様を示し、記載とともに、本発明の利点及び原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】従来技術の六角形シャンクドリルの側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるセンタリングシャフト、ロック部分及び駆動肩部分を有するドリルの側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるセンタリングシャフト、ロック部分及び駆動肩部分を有するドリルの側面図である。
【
図4】駆動肩部分の直径の変形形態を示す、センタリングシャフト、ロック部分及び駆動部を有するドリルの側面図である。
【
図5】
図4と比較した駆動部材の直径の変形形態を示す、センタリングシャフト及び駆動肩部分を有するドリルの側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるドリル及びマンドレルの等角図である。
【
図7】ドリルビットが挿入された状態の、本発明の一実施形態によるマンドレルの等角図である。
【
図8】本発明の1つの形態に従ったマンドレルの断面図、及びマンドレルの隣接する上面図である。
【
図9】本発明の更なる形態に従ったマンドレルの断面図、及びマンドレルの隣接する上面図である。
【
図10】本発明のまた更なる形態によるドリルビット及びマンドレルの断面図である。
【
図11】本発明のまた更なる形態によるドリルビット及びマンドレルの断面図である。
【
図12】本発明のまた更なる形態によるドリル、駆動部材及びマンドレルの分解等角図である。
【
図13】本発明のまた更なる形態による、使用に備えた適所にあるドリル、駆動部材及びマンドレルの等角図である。
【
図13A】示されている種々のドリルの種々の直径の駆動肩部に係合することが可能なアダプタを有するマンドレルの等角図である。
【
図14】本発明のまた更なる形態によるドリル、工具ホルダ及びマンドレルの等角図である。
【
図15】本発明のまた更なる形態によるドリル及び工具ホルダの等角図である。
【
図16】本発明の一実施形態による押しボタンロック機構及びその部品の幾つかの切欠き図である。
【
図17】本発明の一実施形態による更なる押しボタンロック機構及びその部品の幾つかの切欠き図である。
【
図18】本発明のまた更なる形態によるマンドレル、ドリル及び駆動部材の等角図である。
【
図19】
図18に示されている実施形態の部分的に分離させた図である。
【
図21】本発明のまた別の更なる形態によるドリル、及びセンタリングテーパ状部を有する駆動肩部材の等角図である。
【
図22】本発明のまた別の更なる形態によるドリル、及びセンタリングテーパ状部を有する駆動肩部材の等角図である。
【
図23】
図6〜
図13Aに示されているタイプのチャックとともに用いることができる種々の工具を示す図である。
【
図24】提供されるチャック、及び提供されるチャックと同じ固定具に取着されるチャック代替品が取り付けられていない、ハンドヘルド電動ドリルの斜視図である。
【
図25】
図24の代替チャック、及び標準的なドリル又は他の工具を保持するコレットを有するドリルビットアダプタの側面図である。
【
図27】示されている種々のドリルの少なくとも2つの駆動肩部に係合するように構成されているチャックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の以下の詳細な説明は、添付の図面を参照する。この説明は例示的な実施形態を含むが、他の実施形態が可能であり、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく記載の実施形態に対して変更を加えることができる。
【0023】
図1は、およそ1/4インチの六角形シャンク8、及びシャンク4Aの周りに延在するロック溝2を有する一般に入手可能な従来技術の迅速交換ドリルビットを示している。切削面2Aが反対端にある。六角形シャンク8は、チャックによるドリルビットの回転係合を可能にするように駆動肩部として働く。通常、ボールデテントが溝8に作用し、使用中にビットが引っ張り出されることを防止する。
【0024】
この構成に関連する問題は、六角形駆動手段が、製造中に回転させて形成することができないセンタリング手段でもあることである。各平面を、機械加工するか、研磨するか、又は鍛造によって形成しなければならず、その結果、本明細書において前述したような振れの問題が生じる。
【0025】
図3は本発明の1つの実施形態を示している。この図に示されているのは、シャンク4Aの中心から延在する円筒センタリングシャフト1を有するドリルビット4である。六角形肩部の形態の駆動肩部2がシャンクの外周の周りに延在している。溝8もロック部分と称されるシャンク4Aの周りに延在する。
【0026】
図11は、センタリングシャフト1を受け入れるように構成されているボア10、及びドリルビット4の六角形肩部2に係合する六角形ボア肩部13を有するチャック12(本明細書では迅速交換用チャックと称されることもある)を示している。ロック・ロック解除部材10Aが、1回の動作中に、溝8内の部分に当接することによって、ビットが長手方向に移動してチャックから出ることを防止する。
【0027】
図1のドリルビットとは異なり、六角形肩部2は長さが限られており、したがってビットの駆動のみに用いられ、センタリングには用いられない。シャンクは、振れを最小限に抑えるか又は排除するように、ボア10内に挿入されるとチャック12及びドリルビット4を位置合わせしてビット4を回転可能に正確に保持するセンタリングシャフト1を含む。
【0028】
この構成の利点は、センタリングシャフト1及びボア10が、迅速に大量生産され、直径のサイズ(種々の所定のサイズを作製することができる)及び真直度に関して寸法制御されることができる形状であることである。
【0029】
この構成の更なる利点は、標準的な長さのドリルビットを迅速に交換し、振れを最小限に抑えるか又は排除するように高レベルの回転同心性で動作させることができることであり、この理由は、チャック内でドリルビットをセンタリングするのに用いられるドリルビットの一部が所定の直径を有し、チャックの一部を、関連の製造環境において所望されるほどできるたけ正確にその所定の直径に対応するサイズにすることができるためである。
【0030】
図1のドリルビットの更なる不都合点は、六角形の直径がより小さい直径のドリルに限られ、より大きい直径のドリルを駆動するほど十分な強度がないことである。
図5は、より大きい直径のドリル4のより小さい直径の駆動肩部2を示しており、この駆動肩部2は、あらゆるドリル直径用のチャック12に嵌まるように全てのドリルビット上の共通の六角形のサイズとして選択される場合、より大きい直径のドリルに対しては十分な強度がない。
【0031】
図4において見られるようなより大きい直径の六角形駆動部をあらゆるドリルビットに用いることができ、この六角形駆動部は、より大きい直径のドリルビットに対してより高い強度を提供する。しかし、より小さい直径のドリルビットであれば、材料コスト及び研磨コストの増大に起因して製造が経済的ではなくなる。これは、ドリルビットを製造するのに必要な材料が、ドリルビットが1つの鋼片から製造される場合に少なくとも肩部2Aの外径に足るものでなければならないためである。
【0032】
この問題を解決するために、最大1/2インチであるドリル直径の範囲に対して2つの最適にサイズ決めされた六角形肩部が選択される。これは
図2及び
図3に示されている。分かるように、センタリングシャフト1及び溝8は双方の六角形サイズ2及び2Aについて共通であるままである。
【0033】
図8は、
図2及び
図3のドリルのセンタリングシャフト1を受け入れるように構成されているボア10を有するマンドレル12を示している。ボア10は、
図2及び
図3のドリルの六角形肩部2又は2Aに係合する2つの六角形肩部7及び9を更に有する。
【0034】
図9、
図10及び
図11は、ボア10の両端に2つの六角形肩部7(
図9)及び11(
図9、
図10及び
図11)を有する本発明の実施形態を示している。
図10は、肩部11がより小さい直径のドリルの六角形2Aに係合するところを示しており、
図11は、肩部3がより大きい直径のドリルの六角形22に係合するところを示している。
【0035】
本発明の別の実施形態が
図12及び
図13に示されている。ここでは、1つの六角形肩部用の直径3のみがチャックのボア10内に存在する。この直径は、より小さい直径のドリルビットの六角形駆動肩部2に適するサイズである。
図11は、チャックのボア10内へのドリルビット4の挿入中(図示せず)に肩部2Aに係合する肩部3を示している。より大きいドリルビットに対応するには、駆動カラー13がチャック12に取着される。
【0036】
駆動カラー12は、ロックリング16に解放可能に係合する肩部15を含むロックピン14によってチャック12に固定され、これらの種々の実施形態が本明細書において記載される。駆動シャフト12Aがカラー13の肩部13Aに係合し、六角形のボア18がドリルビットの六角形シャフト2Aを回転させることを可能にする。
図13は、チャック12内に十分に挿入されて駆動カラー12に係合したドリルビット4を示している。駆動カラー13は駆動シャフト12Aを後退もさせ、駆動シャフトが回転中にワークに当たることを防止する。押しボタン17がドリルビットを解放する。駆動カラー13は、六角形肩部のサイズ2及び2Aが1mm〜13mmである広範なドリルビットの直径に嵌まるサイズである2つの異なる六角形駆動肩部3及び18を提供するチャック12上に配置される。より大きい六角形ボア18の直径を有する第3の駆動カラーを用いることができ、より大きい六角形肩部を有するより大きいドリル直径(13mm超)も迅速に交換することを可能にする。
【0037】
図13Aは、2つの六角形駆動肩部、すなわち第1の直径の肩部18A及び第2の直径の肩部18Bを有する駆動カラー13Aを示している。
【0038】
ドリル18C及び18Bはともに、駆動カラー13Aの対応する六角形駆動肩部に係合する異なる直径の駆動肩部2及び2Aを有する。例えば、ドリルビット18Cは、アーバ12内に挿入されるとより小さい直径の駆動肩部18Aに係合するより小さい直径の駆動肩部2を有することが分かる。ドリルビット18Bは、アーバ12内に挿入されるとより大きい六角形駆動肩部18Bに係合するより大きい肩部2Aを有する。
【0039】
図14は、標準的なドリル20A又は他の工具を保持するコレット20を有するドリルビットアダプタ19を含む、本発明の更なる好ましい実施形態を示している。ドリルビットアダプタ19の反対端には、センタリングシャフト1、溝8、及び六角形肩部2がある。コレット21は、同じ構成であるがより小さい工具用のより小さい六角形肩部2Aを有する。
【0040】
ドリルビットアダプタは、回転エネルギーを本体に伝達する、本明細書において記載されるようなチャックとともに用いられる第1の端を有する本体を有する。ドリルビットアダプタは、異なる直径の工具ビットを収容して固定するように構成されている本体の第2の端も有する。ドリルビットは、アダプタの本体の第2の端内に挿入及び固定される円筒端を有する。
【0041】
工具ビットは、穿孔部端、ねじ/ボルトヘッド係合端、回転研磨端及びバフ研磨端を含む端の群のうちの1つの端を有する自由加工端を有する。
【0042】
チャック12は
図2及び
図3のドリルビット4を迅速に交換するのと同様に、工具ホルダ19も迅速に交換する。これは、チャックが様々な工具及び一般に入手可能なドリルビットを迅速に交換することが可能であるという利点を提供する。
【0043】
図15は本発明の代替的な実施形態を示している。ドリルビット4B及び4Cの六角形肩部の直径2及び2Aの代わりに、単一の肩部2E及び2Fを有する円形の直径2C及び2Dが用いられている。同様に、マンドレル12は、ドリル肩部2E及び2Fに係合する対応する平面2G及び2Hを有する2つの直径の円形のボア2i及び2Jを有する。
【0044】
図16は、本発明のこの実施形態の押しボタンアセンブリを示している。捕捉される押部材の押しボタンシャフト26が、付勢に抗するアセンブリの本体の内方への力によって第1の位置に戻るように動作し、力がチャックの本体の内方へロック部材23に対して加えられると、チャック12の中心に向かうボタンの径方向移動によって、ロック部材を径方向に移動させてドリルビットとの当接から外すことでチャックの中心から離し、それによって、ロック部材を、ドリルビット4の溝8との係合から解放するが、ロック部材はそうでなければドリルビットのロック部分に当接するように付勢される。
【0045】
例えばばね29等の付勢部材が、ロック部材23がドリルビットのロック位置に向かって付勢されることを確実にし、したがって、ドリルビットは適所にある間にロックされて長手方向移動が抑えられ、チャック内に保持される。面取り部1Aが面取り部23Aに作用し、ドリルビット4Dのマンドレルボア10(図示せず)内への挿入中に、ロック部材23を、ドリルビットのロック部分との当接から、第2の位置へ移動させる。ばね29は、部材23を付勢してドリル4Dの溝8に入れ、ドリルをマンドレル内にロックする。ボタン26を押下すると、ロック部材23が第1のロック位置からロック解除位置に向かって移動し、最終的にドリルビットが移動して引き出されることでドリルビット4Dを取り外すことが可能になる。
【0046】
図16はまた、ドリルビットの代替的な実施形態を示している。六角形シャフト24は縁に丸みが付けられている(縮尺に起因してより詳細には示さず)。この丸みによって、
図2及び
図3におけるドリルビット4のセンタリング部分1のようにセンタリングシャフト部分として働く外径を効果的に提供する。したがって、六角形シャフトは六角形形状であるが、この六角形肩部に駆動部はなく、六角形の縁は、マンドレル12のボア10内に挿入可能である外径25を提供するように切頭されている。この外径25は、センタリングシャフト1と同じように働く。
【0047】
図17は、本発明の更に好ましい実施形態を示している。この実施形態ではシャフト27Aであるロック部材の上部を押すことによってこの部材がマンドレル12の横方向に移動する。ロック部材27Bもマンドレル12の中心から離れるように移動する。これによってロック部材27Bが移動してドリル4Dの溝8との係合から外れ、ドリルを取り外すことができる。
【0048】
したがって、
図17は、ドリルビット4Dのロック部分に当接するように付勢されるとともに本体12内に位置付けられるロック部材27Aを示しており、それによって、ロック部分8を有するドリルビットはロック部材27Aを一方向へは通過することができるが他の方向へは通過することができない。ロック部材は、チャックの本体12の外側へロック部材を部分的に延出させる(27D)位置で止まり(27C)、チャック及びドリルビットのユーザによってロック部材に対して本体の内方へ、また付勢に抗して力が加わると、ドリルビットは一方向へ移動し、チャックから長手方向に取り外すことができる。
【0049】
図19及び
図20は、本発明のまた更なる形態を示しており、この場合、チャックが前述したタイプのものであり、チャックが、チャックの長手方向に配置される工具ビット収容部分に対して長手方向かつ平行に延在する少なくとも1つの駆動ピン35を含む、チャック構成が示されており、このチャック構成は:中空スピゴット34に係合するように構成されている延長要素30を更に含み、延長要素は、相補的なねじ32A及び31によって取着される。マンドレル31Aが、延長要素及び駆動部材30に係合することによってこの部材をマンドレルに固定するように、前部にねじ切り部分を有する。駆動ピン35は第1の後退位置から第2の伸張位置へ移動可能であり、肩部36を介して延長要素30に回転可能に係合する。少なくとも1つの駆動肩部分32がドリルビットのドリル駆動肩部33に係合する。より小さいドリルは、雌ねじボア32Aを通して挿入し、マンドレル31Aのより小さい直径の駆動肩部34に係合させることができる。
図19及び
図20に示されている押しボタン17が、ドリルが引っ張り出されないように解放可能にロックする。したがって、好適な駆動肩部を有する種々の直径のドリルに、延長要素を用いて1つのマンドレルが対応することができることを理解することができる。
【0050】
図21は、マンドレルの対応するテーパ状のボア(図示せず)に挿入されるテーパ状のセンタリング部分39を有するドリルビットを含む本発明の更なる形態を示しており、ドリルビットは、ロック溝40及び六角形の駆動シャフト38も有する。
【0051】
この実施形態の利点は、テーパ状であることによって自動的にセンタリングされ、したがって振れを更に低減することである。
【0052】
設計又は実験によって求めることができる、自己解放する(ロックしないテーパ)角度のテーパが好ましい。
【0053】
図22は、テーパ状部41に隣接する直線的なシャフト42、ロック溝40及び六角形駆動部38を有するセンタリング部分を含む更なる好ましい実施形態を示している。テーパ状部41は、ドリルビットのセンタリングを助け、本発明の好ましい形態ではロックしない角度である。
【0054】
図23は、
図6〜
図13Aに示されているタイプのチャックとともに用いることができる種々の工具を示しており、特に、全てのドリル及び駆動ビットは、以下の少なくとも1つ:複数の穿孔部分の直径用の一定の直径を有するセンタリングシャフト部分;駆動肩部分;及びロック部分を任意の順で有する、切削端と反対の端の位置決め及びサイズ決めに従って構成される挿入端を有する。しかし、この図では、センタリングシャフト部分は自由端であり、ロック部分に隣接しており、駆動肩部分がその後に続く。同様に示されているのは、本特許出願の発明者であるKeightleyの名義で2010年12月23日に公開された、HOLE SAW ASSEMBLYと題する米国特許出願公開第2010/0322730号(全体的に本明細書に援用される)に詳細に記載されている穴鋸アセンブリである。
【0055】
図24は、提供されるチャック、及びハンドヘルド電動ドリルに提供されるチャックと同じ固定具に取着されるチャック代替品が取り付けられていない、ハンドヘルド電動ドリルの斜視図である。ドリルへのチャックの直接的な取り付けは、限られたスペース内で、例えば配管工によってシンクの下で、整備士によって自動車の車内及びエンジンベイにおいて、並びに電気技師によってスイッチボードにおいてより簡単に用いることができるより短いチャックを提供するという利点を有する。さらに、ドリル及びチャックの総重量がより軽く、したがってより長い間保持し、厄介な場所に容易に入れることができる。
【0056】
図25は、
図24の代替チャック、及び
図14に関して記載されているような標準的なドリル又は他の工具を保持するコレット(例えば標準的な三つあごチャック)を有するドリルビットアダプタの側面図である。
【0058】
図27は、
図19に示されているような取着可能な延長要素30ではなくアーバの本体内に組み込まれる二重の駆動肩部係合部を有する、本明細書において記載されるようなチャックアーバを示している。
【0059】
図28は、嵌め合わせられると
図2〜
図5及び
図21〜
図22に示されているドリルビットと同じ特徴を有する2ピースドリルビットの側面図である。2ピースのそのようなドリルビットを製造することの利点は、穿孔部分(又はついでに言えば工具部分)を従来の手段によって製造することができ、本明細書における記載に従ってチャックに挿入される第2の端を、既知のより安価な技法を用いて既知のより安価な材料で製造することができるため、コストが節減されることである。
【0060】
図29は、
図28の2ピースドリルビットの斜視図である。
【0061】
本明細書における何らかの背景技術又は従来技術への言及は、そのような背景技術又は従来技術が当業者の共通一般知識の一部をなすことを認めるか又は何らかの形で示唆するものではなく、そのように解釈されるべきではない。
【0062】
本明細書及び添付の特許請求の範囲を通して、文脈によって別途要求されない限り、「備える」及び「含む」、並びにそれらの変形形の用語は、言及した整数又は整数の群を含めることを示唆し、任意の他の整数又は整数の群を除外するものではないと理解される。
【0063】
本発明の範囲から逸脱することなく、本発明に更なる利点及び改良を明らかに加えることができる。本発明を、最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものに関して示し説明したが、本発明の範囲及び主旨内でその実施形態から逸脱することができることが認識され、本発明は、本明細書において開示される詳細に限定されず、あらゆる均等なデバイス及び装置を包含するように添付の特許請求の範囲の全範囲が与えられるべきである。