特許第6008375号(P6008375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6008375
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】自動販売機の扉用ロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/02 20060101AFI20161006BHJP
   G07F 9/10 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   E05B65/02 C
   G07F9/10 B
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-213368(P2015-213368)
(22)【出願日】2015年10月29日
【審査請求日】2016年7月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596018986
【氏名又は名称】丸幸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(72)【発明者】
【氏名】小林 信幸
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−113332(JP,A)
【文献】 特許第3693646(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 65/02
G07F 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機本体の外部に固定したケース本体に扉開放防止部材を取り付け、シリンダ錠の鍵による回動により前記扉開放防止部材を前記ケース本体に対してロックし、前記扉の開放を防止する自動販売機の扉用ロック装置において、
前記ケース本体内に回転可能に配置し、内ねじを有し前記シリンダ錠の外ねじと螺合し、回転により前記シリンダ錠を前記ケース本体の外部に押し出す又は内部に引き込むギア付リング部材と、
前記シリンダ錠の鍵による回動によって移動し前記扉開放防止部材をロック状態及びアンロック状態とするロック操作部材と、
前記アンロック状態において、前記ケース本体の外部から前記ギア付リング部材のギアを介して回転させる回転部材とを備えたことを特徴とする自動販売機の扉用ロック装置。
【請求項2】
前記回転部材は前記ギア付リング部材に隣接した歯車部材とし、該歯車部材のギアを前記ギア付リング部材のギアに噛合するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の扉用ロック装置。
【請求項3】
前記扉開放防止部材は前記ケース本体の孔部に挿入したL字状のロックアームとし、前記シリンダ錠の鍵による回動により前記ケース本体内の前記ロック操作部材のロックピンを前記ロックアームの凹溝に嵌入して前記ロックアームを回動不能、引き抜き不能のロック状態とし、前記ロックピンを前記凹溝から抜き出すことにより回動可能、引き抜き可能なアンロック状態とすることを特徴とする請求項2に記載の自動販売機の扉用ロック装置。
【請求項4】
前記アンロック状態で前記ロックアームを引き抜くことにより、前記ロックアームに取り付けていたロックボルトを前記ケース本体から引き出すことにより現われる前記歯車部材の軸部をドライバで回転させるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の自動販売機の扉用ロック装置。
【請求項5】
前記歯車部材をその軸方向に押し込むことにより、前記歯車部材のギアが前記ギア付リング部材のギアに回転可能に噛合するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の自動販売機の扉用ロック装置。
【請求項6】
前記ロック操作部材は前記シリンダ錠の鍵による回動によりカム部材を介して移動するようにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の自動販売機の扉用ロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機の扉の開放防止のために使用する自動販売機の扉用ロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外に設置される自動販売機の商品や金銭は夜間等に盗難の対象となり易く、図11に示すように、例えば特許文献1のようなL字状のロックアームにより扉を開放不能にする盗難防止のための扉用ロック装置が種々提案されている。
【0003】
この扉用ロック装置では、自動販売機本体1の扉2の開放側の側面に固着される本体ケース3に、L字状のロックアーム4が取り付けられ、ロックアーム4のレバーは扉2の錠前面に位置して、扉2の開放を二重に防止している。本体ケース3にはシリンダ錠5が内装されており、このシリンダ錠5を操作してアンロックしない限り、ロックアーム4を動かすことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−278422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このロックアーム4の使用は盗難防止にそれなりに効果がある。しかし、本体ケース3を販売機本体1に装着するには、本体ケース3の裏側を販売機本体1内からボルト締めをしており、本体ケース3で使用するシリンダ錠5は、本体ケース3の外側からは取り外せない構造になっている。
【0006】
シリンダ錠5を交換する場合には、扉2を開けて本体ケース3を販売機本体1から一旦取り外さなければならない。従って、例えば多数の自動販売機のシリンダ錠5を一斉に交換する必要が生じた場合には、その交換作業に大変な手間を要する。
【0007】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、ロックアームを含む扉開放防止部材をロック、アンロックするための自動販売機の外部のケース本体内に設けたシリンダ錠についての交換作業を、自動販売機の扉を開けることなく簡便に実施できる自動販売機の扉用ロック装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る自動販売機の扉用ロック装置は、自動販売機本体の外部に固定したケース本体に扉開放防止部材を取り付け、シリンダ錠の鍵による回動により前記扉開放防止部材を前記ケース本体に対してロックし、前記扉の開放を防止する自動販売機の扉用ロック装置において、前記ケース本体内に回転可能に配置し、内ねじを有し前記シリンダ錠の外ねじと螺合し、回転により前記シリンダ錠を前記ケース本体の外部に押し出す又は内部に引き込むギア付リング部材と、前記シリンダ錠の鍵による回動によって移動し前記扉開放防止部材をロック状態及びアンロック状態とするロック操作部材と、前記アンロック状態において、前記ケース本体の外部から前記ギア付リング部材のギアを介して回転させる回転部材とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る自動販売機の扉用ロック装置によれば、本体ケースに取り付けた扉開放防止部材用のシリンダ錠を交換するに際し、自動販売機の扉を開放することなく、本体ケースの外側から操作してシリンダ錠を交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の本体ケースの周辺の分解斜視図である。
図2】本体ケースの正面図である。
図3】ロックアームの底面図である。
図4図1のA−A線に沿った本体ケースの断面図である。
図5図1のB−B線に沿った本体ケースの断面図である。
図6】本体ケース内に配置される部材の分解斜視図である。
図7】ロックアームのロック状態のケース本体の裏面図である。
図8】ロックアームのアンロック状態のケース本体の裏面図である。
図9】実施例2のロックアームのロック状態のケース本体の裏面図である。
図10】ロックアームのアンロック状態のケース本体の裏面図である。
図11】自動販売機にロックアームを取り付けた状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を図1図10に図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は実施例1の本体ケースの周辺の分解斜視図、図2は本体ケースの正面図である。自動販売機本体の外部の例えば側部に固定される金属製の本体ケース11の前方の孔部11aには、シリンダ錠12が装着可能とされている。孔部11aは円形の浅孔とされ、その奥部に円形の両側を面取りした挿通孔11bが形成されている。孔部11aの上部に設けられた孔部11cに、扉開放防止部材としてL字状の金属製ロックアーム13の軸部13aが回動自在に挿入される。孔部11cの下部にはロックアーム13に取り付けたロックボルトが挿入される上下方向の長溝11dが形成され、長溝11dの後方には後述する歯車部材を軸支する軸孔11eが設けられている。
【0013】
ケース本体11の開放された裏面は合成樹脂製の裏面板14により覆われ、ケース本体11は金属製の補強板15を用いて自動販売機の側面にボルトを貫通して固定する。
【0014】
図3はロックアーム13の底面図であり、ロックアーム13の軸部13a上には、等間隔に内ねじを有する複数の凹溝13bが設けられている。これらのうちの任意の凹溝13bにロックボルト13dが螺合し得るようにされている。軸部13aの端末部に設けた孔部には抜け出し用ストッパとしてボルト13eが螺合されている。また、軸部13aの先端にはアーム部13fが軸部13aに対し直交して設けられている。
【0015】
図4図1の本体ケース11のA−A線に沿った断面図、図5はB−B線に沿った断面図である。本体ケース11の内部には隔壁11fを介して、第1の空隙部11gと第2の空隙部11hが、孔部11aの後方に順次に設けられている。隔壁11fには、孔部11aと連通する孔部11iと、孔部11iの上方にあって後述する歯車部材を挿着する切欠部11jと、更に切欠部11jの上方に位置した軸挿通部11kが設けられている。
【0016】
なお、切欠部11jは歯車部材の後軸部を軸挿通部11kに挿着するためのものであり、組立時において歯車部材を装着した後は、裏面板14からケース本体11内に突出された封止部により封止される。
【0017】
また、第1の空隙部11gと第2の空隙部11hの上部には、前述のロックアーム13用の孔部11cが前後方向に貫通して形成されており、第2の空隙部11hの上部には後述するロック操作部材のロックピンをロックアーム13の凹溝13b内に嵌入するためのロック孔11lが穿けられている。
【0018】
図6は本体ケース11の内部に配置される部材の分解斜視図である。シリンダ錠12の後方には第1の空隙部11g内に配置されるギア付リング部材16、シリンダ錠12の先端に取り付け第2の空隙部11h内に配置されるカム部材17、同様に第2の空隙部11hに配置されるロック操作部材18が設けられ、ギア付リング部材16と並列して第1の空隙部11g内に歯車部材19が配置される。なお、シリンダ錠12は鍵Kを挿入した状態を図示している。
【0019】
シリンダ錠12の胴体周囲に外ねじ12aが形成されており、胴体の両側は面取りされている。外ねじ12aにはナット12bが螺合されており、シリンダ錠12の先端には角柱から成る操作キー部12cが突出されている。
【0020】
シリンダ錠12の外ねじ12aは、第1の空隙部11g内に収納される円筒状のギア付リング部材16の内ねじ16aに螺合し回転可能とされている。ギア付リング部材16の中央部外周にはギア16bが形成され、ギア16bの前方はギア16bよりも小径の前円筒部16cとされ、後方はギア16bと同程度の径の後円筒部16dとされている。
【0021】
第2の空隙部11h内には、カム部材17が配置され、カム部材17の中央に設けた角孔状のキー溝17aに、シリンダ錠12の操作キー部12cが挿入可能とされている。また、カム部材17の上部にはカム17bが形成されている。
【0022】
このカム部材17は、第2の空隙部11h内に収納される枠板状のロック操作部材18の空胴部18a内に挿入され、空胴部18aの内側上部にはカム17bに係止する係止部18bが形成されている。また、ロック操作部材18の上部には、円柱状のロックピン18cが上方に向けて突出され、下部には支持棒18dが下方に向けて突出されており、支持棒18dにはコイルばね18eが巻回されている。更に、空胴部18aとロックピン18cとの間には、後述する歯車部材の軸部が挿入される軸孔18fが設けられている。
【0023】
また、ロック操作部材18はカム部材17の回動により、第2の空隙部11h内において上下動可能とされており、ロックピン18cはロック孔11lを通ってロックアーム13の凹溝13b内に嵌入可能とされている。そして、ロック操作部材18は支持棒18dに巻回されたコイルばね18eにより常時上方に付勢されている。
【0024】
また、第1の空隙部11gの上方には、ギア付リング部材16に隣接して回転部材としての歯車部材19が配置される。歯車部材19はギア付リング部材16のギア16bと噛合するギア19aを有し、ギア19aの後方には、アンロック操作時にロック操作部材18に設けた軸孔18fに嵌入する後軸部19bが延在されている。また、後軸部19bの周囲には歯車部材19をケース本体11に対して前方に付勢するためのコイルばね19cが巻着されている。歯車部材19の前方側にはケース本体11に設けられた孔部11eに挿入され、回転軸として機能する円柱状の前軸部19dが設けられ、前軸部19dの前端にはドライバ操作用の十字溝19eが形成されている。
【0025】
図7はロックアーム13を回動不能、引き出し不能なロック状態にしたケース本体11の裏面図である。ケース本体11内においては、シリンダ錠12はギア付リング部材16を回転することにより、内ねじ16aによりケース本体11内に引き込まれており、シリンダ錠12の操作キー部12cにより、カム部材17を回動してロック操作部材18を上昇し、ロックピン18cがロックアーム13の凹溝13bに挿入されている。
【0026】
この状態では、ロックアーム13の凹溝13bの1つに螺合したロックボルト13dは、ケース本体11の長溝11d内に収容され、ロックアーム13の回動は不能となり、ロックすべき凹溝13bは下方のロックピン18cの方向を向くことになる。ロックボルト13dをねじ込む凹溝13bは、ケース本体11の自動販売機への取付位置等を考慮して複数の凹溝13bの1つを選択する。そして、ロックボルト13dを長溝11dに挿入した状態で、残りの凹溝13bの何れか1つに、ロック操作部材18のロックピン18cが嵌入できるように寸法的に定められている。
【0027】
ロックに際しては、シリンダ錠12を鍵Kを用いて回動すると、シリンダ錠12の操作キー部12cがカム部材17を回動し、更にカム部材17のカム17bがロック操作部材18を上昇させ、ロックピン18cが凹溝13bに嵌入し、カム17bが係止部18bに係止する。これにより、鍵Kのそれ以上の回動は不能となり、ロック操作部材18の上昇は停止する。
【0028】
このロック状態において、ロックアーム13の回動、引き抜きが規制され、ロックアーム13が固定される。歯車部材19はコイルばね19cにより付勢されて、ケース本体11内で前方に位置し、歯車部材19のギア19aはギア付リング部材16の前円筒部16cに相当する位置にあって、ギア16bと噛合していない。
【0029】
図8はロックアーム13をアンロックし、ロックアーム13を引き抜いた状態のケース本体11の裏面図である。シリンダ錠12をアンロックのために鍵Kにより回動すると、カム部材17を介してロック操作部材18が下降し、ロック操作部材18のロックピン18cはロックアーム13の凹溝13bから抜き取られる。そして、ロックアーム13を孔部11cから引き抜くと、ロックボルト13dが長溝11dから抜け出す。
【0030】
ロックボルト13dが抜け出すと、歯車部材19の前軸部19dの十字溝19eを設けた端部が外面に現われる。前軸部19dにドライバを当接して、コイルばね19cの付勢力に抗して軸孔11eに沿って押し込むと、歯車部材19の後軸部19bがロック操作部材18の軸孔18fに挿入され、ロック操作部材18は下降状態で固定される。
【0031】
これにより、歯車部材19は軸方向内部に移動して、歯車部材19のギア19aがギア付リング部材16のギア19aと噛合し、ギア19aはギア付リング部材16の後円筒部16dの縁部により、それ以上の押し込みは不能となる。
【0032】
ここで、ドライバの先端を十字溝19eに嵌合して歯車部材19を回転すると、その回転はギア19aからギア16bにより伝達されて、ギア付リング部材16を回転させる。ギア付リング部材16の内ねじ16aにはシリンダ錠12の外ねじ12aに螺合しているが、シリンダ錠12は面取りされた挿通孔11bに挿通されている。従って、ギア付リング部材16を回転しても、シリンダ錠12は回転することなく、挿通孔11bから外方に押し出され、シリンダ錠12をケース本体11の外部に取り出すことができる。
【0033】
なお、この状態でドライバを外せば、歯車部材19はコイルばね19cの付勢力により、ケース本体11の前方に移動し、ギア19a、16b同士の噛合が外れる。
【0034】
また、新たなシリンダ錠12を本体ケース11に取り付けるには、ロックアーム13を引き出したアンロック状態において、シリンダ錠12を本体ケース11の前面から孔部11aの挿通孔11b内に挿入し、ギア付リング部材16内に内挿する。そして、ドライバにより歯車部材19を押し込むと共に歯車部材19を回転し、ギア19a、ギア16bを介して、ギア付リング部材16を回転する。
【0035】
これにより、ギア付リング部材16の内ねじ16aはシリンダ錠12の外ねじ12aに螺合して、シリンダ錠12をギア付リング部材16内に引き入れ、シリンダ錠12の操作キー部12cがカム部材17のキー溝17aに挿入される。これにより、新たなシリンダ錠12がケース本体11に装着されることになる。
【0036】
このシリンダ錠12の装着後に、ドライバを歯車部材19の前軸部19dの先端から離すと、歯車部材19はコイルばね19cに付勢され前方に移動し、ギア19aとギア16bとの噛合は外れ、後軸部19bはロック操作部材18の軸孔18fから抜け出す。
【0037】
そして、再びロックアーム13をロックするには、ロックアーム13を孔部11c内に押し込んで、ロックボルト13dを本体ケース11の長溝11dに押し込む。これにより、ロックアーム13の軸部13aは販売機本体の扉の前面に位置する。ここで、シリンダ錠12の操作キー部12cを鍵Kを用いて回動すると、カム部材17が連動してロック操作部材18が上昇し、ロックピン18cがロックアーム13の凹溝13bの1つに嵌入され、ロックアーム13がロックされ、扉の開放が不能となり盗難防止対策となる。そして、鍵Kをシリンダ錠12から引き抜けば、交換作業が完了する。
【実施例2】
【0038】
図9は実施例2におけるロックアームのロック状態のケース本体の裏面図であり、実施例1と同一の符号は同一の部材を示している。
【0039】
実施例1においては、歯車部材19の前後進によりギア19aはギア付リング部材16のギア16bと噛合したり外れるようにしたが、本実施例2においては、ギア16bの幅を円筒部16c、16dの範囲まで拡げることにより、ギア19aはギア16bに常時噛合している。ケース本体11の一部には、歯車部材19が前方に移動している状態で、ギア19aに噛合する歯形11mが形成されている。
【0040】
従って、図10に示すアンロック状態で、ロックアーム13を引き抜いても、歯車部材19がコイルばね19cにより前方に押されている限り、歯車部材19を歯形11mの存在により回転することはできない。
【0041】
ドライバにより歯車部材19を押し込むと、ギア19aはギア付リング部材16のギア16bとの噛合を維持しながら後方に摺動し、歯形11mの規制から外れて、歯車部材19はギア付リング部材16を回転させることが可能となる。以後の操作は、実施例1と同様である。
【0042】
なお、実施例1、2においては、扉開放防止部材をL字状のロックアーム13としたが、本発明の扉開放防止部材はこれに限定されることはない。例えば、自動販売機の扉に係止部を取り付け、この係止部をケース本体11に取り付けた係止部材により係止して、シリンダ錠によりロックするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
11 ケース本体
11a、11c 孔部
11d 長溝
11l ロック孔
11m 歯形
12 シリンダ錠
12a 外ねじ
12c 操作キー部
13 ロックアーム
13a 軸部
13b 凹溝
13d ロックボルト
13f アーム部
16 ギア付リング部材
16a 内ねじ
16b ギア
17 カム部材
17a キー溝
17b カム
18 ロック操作部材
18c ロックピン
19 歯車部材
19a ギア
K 鍵
【要約】
【課題】シリンダ錠の交換が容易に行い得る扉用ロック装置を得る。
【解決手段】 シリンダ錠12をアンロックのために鍵Kにより回動すると、カム部材17を介してロック操作部材18が下降し、ロック操作部材18のロックピン18cはロックアーム13の凹溝から抜き取られる。ロックアーム13が抜け出した後に、歯車部材19の前軸部19dの十字溝にドライバを当接して、前軸部19dを押し込むと、歯車部材19は軸方向内部に移動して、ギア19aがギア付リング部材16のギア16bと噛合する。ドライバを十字溝に嵌合して歯車部材19を回転すると、その回転はギア19aからギア16bにより伝達されて、ギア付リング部材16を回転させる。ギア付リング部材16の内ねじにはシリンダ錠12の外ねじに螺合しているので、シリンダ錠12は回転することなく、挿通孔から外方に押し出される。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11