特許第6008511号(P6008511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6008511
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】除電装置及びこれを用いた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/08 20060101AFI20161006BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   G03G21/08
   G02B5/02 C
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-37148(P2012-37148)
(22)【出願日】2012年2月23日
(65)【公開番号】特開2013-171274(P2013-171274A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2014年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】米田 亥央里
(72)【発明者】
【氏名】高野 克也
【審査官】 野口 聖彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−043784(JP,A)
【文献】 特開2003−288807(JP,A)
【文献】 特開2010−008970(JP,A)
【文献】 特開昭61−177474(JP,A)
【文献】 特開2010−210827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/08
G02B 5/02
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成装置に用いられ、静電潜像担持体の外周面に対向して配置され、前記静電潜像担持体上の静電潜像を除電する除電装置であって、
少なくとも1つの発光体と、少なくとも1つの光拡散レンズと、を備え、
前記発光体から照射される光は、当該光の方向に対してそれぞれ鋸歯型の溝を複数形成した第1の光拡散レンズ及び第2の光拡散レンズを通過し、前記静電潜像担持体上の前記静電潜像に照射され、
前記第1の光拡散レンズ及び第2の光拡散レンズは、前記静電潜像担持体に向かう発光方向から発光体側にかけて階段状に配置されることを特徴とするものであることを特徴とする除電装置。
【請求項2】
前記光拡散レンズは、前記発光体の照射側に配される第1の光拡散レンズと、前記静電潜像担持体と前記除電装置が対向する発光方向上面側に配される第2の光拡散レンズとを備え、前記発光体から照射される光が、前記第1の光拡散レンズと前記第2の光拡散レンズとによって構成される二層を通過し、前記静電潜像担持体上の前記静電潜像に照射されることを特徴とする請求項1に記載除電装置。
【請求項3】
前記除電装置を保護する保護部材を備え、
前記光拡散レンズは、前記保護部材に設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の除電装置。
【請求項4】
レーザ光を偏向走査する光走査装置と、
前記光走査装置による前記レーザ光の照射により前記静電潜像が形成される前記静電潜像担持体と、
請求項1から3のいずれか1項に記載の除電装置と、
トナーを用いて前記静電潜像を可視化する現像装置と、
前記現像装置により付着された現像剤を記録媒体に転写する転写装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ、ファクシミリ等に使用する除電装置及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置において、感光体ドラム(静電潜像担持体)上の表面を帯電させ、帯電域を画像情報に応じて露光することで静電潜像を形成し、現像剤を用いて静電潜像を可視化(現像)する方法が採用されている。
【0003】
感光体ドラムの帯電に先立って、感光体ドラムの表面上の電荷を除去するための除電装置が使用されている。除電装置によって、感光体ドラムの表面に光を照射して感光体ドラム内部にキャリアを発生させ、感光体ドラムの表面の電荷を除去している。
【0004】
このような除電装置の光源として、LED(Light Emitting Diode)チップが使用され、このLEDチップを複数個用いてLEDアレイが形成される。近年、画像形成装置の小型化が求められていることから、LEDアレイを用いたが除電装置が採用されている。
【0005】
LEDアレイにおいて、複数のLEDチップを密に配置することで、被照射面である感光体ドラムの表面に対して、実質的に均一化した高い照度の光を照射することを可能にしている。
【0006】
しかし、LEDアレイにおけるLEDチップの使用個数が多いため、低価格化を図ることが困難になる。また、LEDチップの使用個数を減じた場合、各LEDチップの間隔が大きくなり、感光体ドラムの表面に照射される光の照度分布にムラが生じて均一な照度を得ることが困難になる。
【0007】
特許文献1には、LEDアレイの照射方向上面に拡散シートや、若しくは半透明又はマット処理アクリル板の拡散板等の光拡散手段を設けることで、又はLEDアレイを構成する発光部を保護する樹脂に光拡散効果を樹脂を用いることで、均一な照度の光を照射する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−284484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の構成では、LEDチップの使用個数を減らすにつれて、LEDの光量を均一にするため透過率及び拡散性が一層高い光拡散面を要し、さらに、感光体ドラムの長手方向においてLEDアレイの照射光量の分布にばらつきがある場合、画像ムラ等が生じて良好な画像を形成することができない。また、LEDチップの個数を減らすにつれて、拡散板又は拡散シートを用いることで光量ムラが生じて安定した画像を得ることができないという課題がある。
【0010】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなれたもので、除電装置のLEDチップの個数を減じた場合でも、感光体ドラムに照射する照射光の光量を均一にすることができ、光量ムラによる画像不良を起こすことなく、常に安定した画質を得ることができる除電装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために本発明に係る除電装置及びこれを用いた画像形成装置の各構成は、次の通りである。
【0012】
本発明は、画像を形成する画像形成装置に用いられ、静電潜像担持体の外周面に対向して配置され、前記静電潜像担持体上の静電潜像を除電する除電装置であって、
少なくとも1つの発光体と、少なくとも1つの光拡散レンズと、を備え、
前記発光体から照射される光は、当該光の方向に対して複数の鋸歯形状の溝を形成した光拡散レンズを介して前記静電潜像担持体上の前記静電潜像に照射され
前記光拡散レンズは、
2層式鋸歯形状と1層式鋸歯形状とが階段状に交互に配置されることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の除電装置の前記光拡散レンズは、前記発光体の照射側に配される第1の光拡散レンズと、前記静電潜像担持体と前記除電装置が対向する発光方向上面側に配される第2の光拡散レンズとを備え、前記発光体から照射される光が、前記第1の光拡散レンズと前記第2の光拡散レンズとによって構成される二層を通過し、前記静電潜像担持体上の前記静電潜像に照射されることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の除電装置は、前記除電装置を保護する保護部材を備え、前記光拡散レンズは、前記保護部材に設けることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の画像形成装置は、レーザ光を偏向走査する光走査装置と、前記光走査装置による前記レーザ光の照射により前記静電潜像が形成される前記静電潜像担持体と、前述の除電装置と、トナーを用いて前記静電潜像を可視化する現像装置と、前記現像装置により付着された現像剤を被記録媒体に転写する転写装置と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、除電装置は、画像を形成する画像形成装置に用いられ、静電潜像担持体の外周面に対向して配置され、前記静電潜像担持体上の静電潜像を除電する除電装置であって、少なくとも1つの発光体と、少なくとも1つの光拡散レンズと、を備え、前記発光体から照射される光は、前記光拡散レンズを介して前記静電潜像担持体上の前記静電潜像に照射されることで、LEDチップ個数を減らしながら、感光体ドラムに均一且つ適切な光量分布を有する光(除電光)を照射することができ、また、コスト削減を図り、光量ムラによる画像不良を起こすことを未然に防ぐことができ、常に安定した画質を提供することができるという優れた効果を奏し得る。
【0018】
本発明によれば、除電装置の前記光拡散レンズは、前記発光体の照射側に配される第1の光拡散レンズと、前記静電潜像担持体と前記除電装置が対向する発光方向上面側に配される第2の光拡散レンズとを備え、前記発光体から照射される光が、前記第1の光拡散レンズと前記第2の光拡散レンズとによって構成される二層を通過し、前記静電潜像担持体上の前記静電潜像に照射されることで、前記静電潜像担持体に対して照射される光の光拡散性が増加し、全体としてより均一で適切な光量分布の光が形成されるので、光量ムラによる画像不良を起こすことを未然に防ぐことができ、常に安定した画質を提供することができるという優れた効果を奏し得る。
【0019】
本発明によれば、除電装置の前記光拡散レンズは、高光拡散性を有し、前記発光体の照射する方向に対して二層且つ複数の鋸歯型の溝を形成することで、前記静電潜像担持体に対して照射される光の光拡散性が増加し、全体としてより均一で適切な光量分布の光が形成されるので、光量ムラによる画像不良を起こすことを未然に防ぐことができ、常に安定した画質を提供することができるという優れた効果を奏し得る。
【0020】
本発明によれば、除電装置は、前記除電装置を保護する保護部材を備え、前記光拡散レンズは、前記保護部材に設けることで、除電装置内の配置された発行体の保護を確保でき、安定した画質を提供することができるという優れた効果を奏し得る。
【0021】
本発明によれば、画像形成装置は、レーザ光を偏向走査する光走査装置と、前記光走査装置による前記レーザ光の照射により前記静電潜像が形成される前記静電潜像担持体と、前記除電装置と、トナーを用いて前記静電潜像を可視化する現像装置と、前記現像装置により付着された現像剤を被記録媒体に転写する転写装置と、を備えることで、LEDチップ個数を減らしながら、感光体ドラムに均一且つ適切な光量分布を有する光を照射することができ、また、コスト削減を図り、光量ムラによる画像不良を起こすことを未然に防ぐことができ、常に安定した画質を提供することができるという優れた効果を奏し得る。
できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施形態に係る現像装置を備える画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る画像形成装置の画像形成部の構成を示す概略図である。
図3】本実施形態に係る画像形成装置の感光体ドラム周辺の説明図である。
図4】本実施形態に係る除電装置の斜視図である。
図5】本実施形態に係る除電装置の構成を示す概略図である。
図6】本実施形態に係る除電装置のアクリル板カバーの部分拡大図である。
図7】本実施形態に係る除電装置における二層式鋸歯形状の光拡散レンズカバーの光量分布と、従来の拡散カバーの光量分布とを比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本実施形態に係る除電装置1を備える画像形成装置100を説明する。図1は、本実施形態に係る除電装置1を備える画像形成装置100の構成を示すブロック図である。尚、本実施形態では、画像形成装置100における画像形成に係る主要な構成要素を中心に説明し、その他の補助的な構成要素の説明を省略する。
【0024】
画像形成装置100は、スキャナとプリンタと周辺機器とを備えた複合機であり、読取部206と、画像処理部207と、画像形成部208と、周辺機器制御部209と、操作部(図示せず)と、記憶部203と、制御部202、除電装置1とを備える。
【0025】
読取部206は、原稿画像の読み取りを行い、読み取った原稿画像を画像処理部207で適正な電気信号に変換して画像データを生成する。画像形成部208は、生成された画像データを印刷出力する。周辺機器制御部209は、後処理装置であるフィニッシャーやソーターなどの周辺機器を制御する。操作部は、入力部204と表示部205とを備える。
【0026】
次に、画像形成部208の具体的な構成及び動作について説明する。
【0027】
図2は、画像形成装置100における画像形成部208の具体的な構成の模式図である。画像形成装置100は、電子写真方式のフルカラー画像形成装置であり、例えば、ネットワークを介して外部から送信されてくる画像データや読取部206によって読み取った画像データに基づいて、記録媒体(転写媒体)に対し多色または単色の画像を形成する。
【0028】
図2に示すように、画像形成装置100は、可視像形成ユニット10、供給トレイ20、記録媒体搬送手段30および定着装置40を備える。ここでは、可視像形成ユニット10にて現像した像(トナー像)は、記録媒体P(用紙)に直接転写するものとするが、中間転写ベルト等の中間転写媒体に転写するような構成としても良い。
【0029】
可視像形成ユニット10には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色に対応して、4つの可視像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bが並設される。つまり、可視像形成ユニット10は、4つの可視像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bからなり、可視像形成ユニット10Yは、イエロー(Y)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット10Mはマゼンダ(M)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット10Cはシアン(C)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット10Bはブラック(B)のトナーを用いて画像形成を行う。具体的な配置としては、供給トレイ20から定着装置40へ記録媒体Pを搬送する搬送路に沿って、4組の可視像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bが配設されており、搬送される記録媒体Pに各色のトナーを多重転写する。
【0030】
図2に示すように、可視像形成ユニット10(10Y,10M,10C,10B)は、それぞれ実質的に同一の構成を有する。すなわち、それぞれに、感光体(感光体ドラム、像担持体)11(11Y、11M、11C、11B)、帯電装置301(301Y、301M、301C、301B)、温湿度センサー313(313Y、313M、313C、313B)、レーザ光照射手段13(13Y、13M、13C、13B)、現像装置14(14Y、14M、14C、14B)、転写ローラ15(15Y、15M、15C、15B)、クリーナユニット16(16Y、16M、16C、16B)および除電装置1(1Y、1M、1C、1B)が設けられている。尚、感光体ドラム11、レーザ光照射手段13および現像装置14は、画像形成手段に相当する。
【0031】
図3は、可視像形成ユニット10の構成を示す概略図である。可視像形成ユニット10において、帯電装置301、レーザ光照射手段13、現像装置14、転写ローラ15、クリーナユニット16および除電装置1がこの順で静電潜像担持体である感光体ドラム11の表面を臨むように配置されている。
【0032】
帯電手段である帯電装置301は、感光体ドラム11の表面を所定の電位に均一に帯電させる装置であり、感光体ドラム11の表面から非接触で近接させてコロナ放電とグリッドバイアス制御によって帯電させる非接触帯電方式のコロナ帯電方式の帯電装置を用いている。
【0033】
レーザ光照射手段13は、帯電装置301によって帯電された感光体ドラム11の表面を画像データに応じて露光し、感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成する装置である。
【0034】
現像装置14は、感光体ドラム11の表面に形成される静電潜像にトナーを供給して現像し、可視像であるトナー像を形成する装置である。感光体ドラム11の表面へのトナーの供給に際しては、現像装置14にトナーの帯電電位とは逆極性の電位が現像バイアス電圧として印加される。これによって、トナーが静電潜像に円滑に供給される。
【0035】
転写ローラ15は、トナーとは逆極性のバイアス電圧を印加されており、感光体ドラム11に形成されたトナー像を、記録媒体搬送手段30によって搬送される記録媒体Pに転写させる装置である。
【0036】
クリーナユニット16は、転写ローラ15による転写処理の後に、感光体ドラム11の表面に残留したトナーを除去および回収する。クリーナユニット16は、ケース54およびクリーニングブレード51を備えている。クリーニングブレード51は、感光体ドラム11の表面に残留するトナーを回収するためのものであり、感光体ドラム11の軸方向を長手方向とする長尺状のゴム部材によって形成されている。
【0037】
除電装置1は、クリーニング処理後において感光体ドラム11上の残留電荷を除電する装置である。除電装置1については後述する。
【0038】
上記の構成の各可視像形成ユニット10において、感光体ドラム11は除電装置1で除電された後、帯電装置301によって表面が帯電され、帯電した感光体ドラム11の表面をレーザ光照射手段13で露光して静電潜像を形成し、静電潜像を現像装置14によって現像し、現像したトナー像を転写ローラ15によって記録媒体Pに転写する。転写後に感光体ドラム11の表面に残ったトナー像は、クリーナユニット16によって除去回収される。そして、このような記録媒体Pに対するトナー像の転写を、各色の可視像形成ユニット10において順次行うことで、記録媒体Pに各色のトナー像が多重転写される。
【0039】
また、記録媒体搬送手段30は、図2に示すように、駆動ローラ31、アイドリングローラ32および搬送ベルト33を含み、各可視像形成ユニット10によって記録媒体Pにトナー像が転写されるように、記録媒体を搬送する。
【0040】
駆動ローラ31およびアイドリングローラ32は、無端状の搬送ベルト33を張架するものであり、駆動ローラ31が所定の周速度で回転駆動されることで、搬送ベルト33が回転する。また、搬送ベルト33は、外側表面は所定の電位に帯電しており、記録媒体Pを静電吸着しながら搬送する。
【0041】
記録媒体搬送手段30によって搬送されて各可視像形成ユニット10を通過し、トナー像(未定着トナー像)が転写された記録媒体は、駆動ローラ31の曲率によって搬送ベルト33から剥離され、定着装置40に搬送される。
【0042】
定着装置40は、記録媒体に適度な熱と圧力とを与えて、記録媒体P上に転写されたトナーを溶解させて記録媒体に定着させ、記録媒体を排紙トレイ(図示せず)に排出する。定着装置40の構成は特に限定されるものではなく、例えば、加熱ローラ41と加圧ローラ42とを備え、これら両ローラによって記録媒体を挟持しながら搬送する構成のものを用いることができる。これらの動作によって、記録媒体Pに画像が形成される。
【0043】
尚、前述の画像形成装置100に備えられる上記各部材の動作は、制御手段である制御部(図示しない制御用集積回路基板または図示しないコンピュータ)202によって制御される。また、制御部202は、マイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータが実行する処理の手順を示した制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、作業用のワークエリアを提供するRAM(Random Access Memory)と、算出した累積トナー補給時間を一時的に記憶するEEPROM(Electronically Erasable Programmable ROM)不揮発性メモリ、スイッチ(図示せず)からの信号を入力する回路であって入力バッファやA/D変換回路を含む入力回路と、モータやソレノイドまたはランプなどを駆動するドライバを含む出力回路等とから構成される。
【0044】
次に、本発明に係る除電装置1を説明する。図4は、除電装置1の外観を示す斜視図である。
【0045】
除電装置1は、図5に示すように、感光体ドラムに照射する光源としてのLEDチップD(D1〜D12)を複数個備えたLEDアレイ3と、LEDアレイ3を保持する樹脂フレーム4と、各LEDチップDを保護し光拡散用途を持つ二層式鋸歯形状の光拡散レンズ(第1の光拡散レンズ8、第2の光拡散レンズ9)を設けたアクリル板カバー2を備える。尚、本実施形態では、12個のLEDチップD(D1〜D12)を備える例を示したが、これに限定されない。
【0046】
除電装置1は、プロセスカートリッジ(図示せず)に搭載される。除電装置1は、画像形成装置100の装置本体に取り付けられた帯電装置301を取り外して除電装置1を摺動することにより着脱自在となっている。
【0047】
図6は、アクリル板カバー2の部分拡大図である。アクリル板カバー2は、LEDチップDから照射される光が発光される発光側(LEDチップ発光側6)に配される第1の光拡散レンズ8、LEDチップD(D1〜D12)がアレイ状に配列された除電装置1の上面(発光方向上面5)に配される第2の光拡散レンズ9を備え、各LEDチップDから照射される光は、第1及び第2の光拡散レンズ8、9をそれぞれ通過する構成とする。
【0048】
LEDチップ発光側6と発光方向上面5とに配置される上記第1及び第2の光拡散レンズ8、9は、光拡散性の高い材質から成り、複数の鋸歯型の溝を有し、これらの複数の鋸歯型の溝は密に配置されている。
【0049】
また、第1及び第2光拡散のレンズ8、9は、発光方向上面5からLEDチップ発光側6にかけて階段状に配置される。
【0050】
二層に配置された第1及び第2の光拡散レンズは、各LEDチップDから照射される光を効果的に拡散し、光量ムラを防止しながら感光体ドラム11に光を照射することができる。このように効果的に光拡散を行うことで、使用するLEDチップDの個数を減らすことができ、コストを削減できる。
【0051】
また、使用するLEDチップDの個数を減らすことで、除電装置1と感光体ドラム11との間隔を小さくすることができるため、感光体ドラム11に照射する際に生じ得る光量ムラを防止することができる。
【0052】
次に、本実施形態に係る除電装置1を備える画像形成装置100によって形成される画像と、光拡散性と光透過率が高い従来の拡散フィルムカバーを備える画像形成装置によって形成される画像とを比較する実験結果を示す。
【0053】
〔実験例1〕
LEDアレイ及び従来の拡散フィルムカバーを発光方向上面に設けた除電装置を備える画像形成装置を用いて画像の形成を行い、形成された画像の良・不良を検証した。使用するLEDアレイにおいて、LEDチップの個数を12個とし、LEDチップ間隔は30mmである。LEDチップのタイプは側面発光の単色タイプを使用した。拡散フィルムカバーはヘーズ(92%)、全光線透過率(99%)の拡散フィルムを使用した。単色ベタ印字を通じて除電の際の光量ムラによる画像不良が画質に現れた。光拡散性・光透過率が異なる拡散フィルムカバーと半透明、又は粗面アクリル板を使用したが、前記と同様に光量ムラによる画像不良が発生した。
【0054】
〔実験例2〕
次に、本実施形態に係る除電装置1を備える画像形成装置100を用いて画像の形成を行い、形成された画像の良・不良を検証した。尚、除電装置1は、上述したように、LEDチップD(D1〜D12)を備えるLEDアレイ3、第1の光拡散レンズ8及び第2の光拡散レンズ9を備えるアクリル板カバー2、樹脂フレーム4を備える。
【0055】
実験例1と同様に、使用するLEDアレイにおいて、LEDチップの個数を12個とし、LEDチップ間隔は30mmと設定した。LEDチップのタイプは側面発光の単色タイプを使用した。また、二層式鋸歯形状の光拡散レンズ(第1及び第2の光拡散レンズ8、9)を備えるアクリル板カバー2には、アクリル性を有する材料を使用した。除電装置1を備える画像形成装置100を用いて、単色ベタ印字を通じて除電の際の光量ムラによる画像不良を起こすこと無く、常に安定した画質が得られた。尚、拡散フィルムカバー以外を除いて実験例1と同様の条件で画像形成の検証を行った。
【0056】
次に、本実施形態に係る除電装置1のLEDアレイ3を用いて測定した光量分布について説明する。
【0057】
図7は、本実施形態に係る除電装置1のLEDアレイ3を用いて測定した光量分布と、従来の除電装置の拡散フィルムを用いて測定した光量分布とを比較したグラフである。
【0058】
二層式鋸歯形状の光拡散レンズ(第1及び第2の光拡散レンズ8、9)を設けたアクリル板カバー2を介して、LEDチップD(D1〜D12)から照射された光を測定した際、照射された光の光量分布をW2で示す。一方、従来の拡散フィルムを設けたアクリル板を介して、LEDチップD(D1〜D12)から照射された光を測定した際、照射された光の光量分布をW1で示す。
【0059】
光量分布W2は、図7に示すように、光量分布W1に比べて、光拡散性が増加し、全体としてより一様な光量分布カーブを形成する。このため、感光体ドラム11に対して照射される光として、均一で適切な光量分布の光が形成される。この二層式鋸歯形状の光拡散レンズは、透明性が高いため、拡散フィルムに比べ必要な除電光量の確保が容易である。
【0060】
本発明は、LEDチップをアレイ状に配列したLEDアレイを備える除電装置を保護するアクリル板カバーに、LEDチップ発光側と、除電装置の発光方向上面とに、光拡散性の高い階段状且つ鋸歯型の溝を密に施した二層式鋸歯形状の光拡散レンズを設け、各LEDチップから照射される光を、二層式鋸歯形状の光拡散レンズを介して感光体ドラムの表面に照射することで、LEDチップ個数を減らした場合でも、感光体ドラムに均一且つ適切な光量分布を有する光(除電光)を照射することができるため、コストを削減でき、光量ムラによる画像不良を起こすことを未然に防ぐことができる。従って、常に安定した画質を提供することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 除電装置
2 アクリル板カバー
3 LEDアレイ
4 樹脂フレーム
5 発光方向上面
6 LEDチップ発光側
8 第1の光拡散レンズ
9 第2の光拡散レンズ
11 感光体ドラム
100 画像形成装置
206 読取部
207 画像処理部
208 画像形成部
209 周辺機器制御部
203 記憶部
202 制御部
D(D1〜D12) LEDチップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7