特許第6008769号(P6008769)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6008769
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】不整地走行車両
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/13 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   B60R21/13 C
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-64596(P2013-64596)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-189082(P2014-189082A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】黒田 耕介
(72)【発明者】
【氏名】大島 正
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−099156(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0183937(US,A1)
【文献】 米国特許第4148504(US,A)
【文献】 米国特許第5779271(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0314191(US,A1)
【文献】 特開2002−283911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が腰掛けて操縦する運転者用シート(37)及びこの運転者用シート(37)に並んで設けられ少なくとも1人のフロントシート同乗者が座ることができる助手席用シート(38)とからなるフロントシート(27)と、このフロントシート(27)の車両後方に、非使用時には、折り畳みあるいは取外し可能に設けられ、少なくとも1人のリヤシート同乗者が座ることができるリヤシート(28)とが備えられ、前記運転者、前記フロントシート同乗者及び前記リヤシート同乗者の上方を覆い、前記フロントシート(27)に用いられるフロントシートロールバー(24)及び前記リヤシート(28)に用いられるリヤシートロールバー(25)が、各々、別々に着脱可能に備えられている不整地走行車両において、
前記フロントシートロールバー(24)は、前記フロントシート(27)の後部上方にて、車幅方向左右に延びるトップミドルクロスパイプ(35)と、このトップミドルクロスパイプ(35)へ前記フロントシート(27)の車幅方向外側にて車体フレーム(20)から延びる左右のミドルサイドパイプ(30L、30R)とを備え、
前記左のミドルサイドパイプ(30L)と前記トップミドルクロスパイプ(35)とが集合する左の集合点(101L)に、前記左のミドルサイドパイプ(30L)と前記トップミドルクロスパイプ(35)とにまたがる左のガセット(102L)を備え、
前記右のミドルサイドパイプ(30R)と前記トップミドルクロスパイプ(35)とが集合する右の集合点(101R)に、前記右のミドルサイドパイプ(30R)と前記トップミドルクロスパイプ(35)とにまたがる右のガセット(102R)を備え、
前記左右のガセット(102L、102R)は、車両前後方向にねじ部品(103、103)を通すことにより、前記フロントシートロールバー(24)に、リヤシートロールバー(25)が結合されるように、前記ねじ部品(103、103)が延びている方向に垂直な面(122、122)を備えることを特徴とする不整地走行車両。
【請求項2】
前記トップミドルクロスパイプ(35)は、車幅方向中心から外側に向かって延びた後、前記左右のミドルサイドパイプ(30L、30R)との合流部の近傍で車両前方に曲がり、前記左右のミドルサイドパイプ(30L、30R)又は前記トップミドルクロスパイプ(35)の一方は、合流した位置で端末となり、
前記左右のミドルサイドパイプ(30L、30R)又は前記トップミドルクロスパイプ(35)の他方は、そのまま車両前方に延び、
前記左右のガセット(102L、102R)は、前記他方のパイプから前記一方のパイプ側へ大きく延びて、前記リヤシートロールバー(25)が結合される左右の結合部(135L、135R)を形成することを特徴とする請求項1記載の不整地走行車両。
【請求項3】
前記フロントシートロールバー(24)を構成する車両前後に延びる左右の前パイプ(32、32)と、前記リヤシートロールバー(25)を構成する車両前後に延びる左右の後パイプ(85、85)とは、高さ方向及び車幅方向の位置が略同一であって、前記ねじ部品(103、103)は、前記左右の前パイプ(32、32)の中心及び前記左右の後パイプ(85、85)の中心から前記一方のパイプ側へオフセットした位置に設けられることを特徴とする請求項2記載の不整地走行車両。
【請求項4】
前記フロントシートロールバー(24)を構成する前記左右のミドルサイドパイプ(30L、30R)は、左右の第1ミドルサイドパイプ(137L、137R)と、これらの左右の第1ミドルサイドパイプ(137L、137R)の車両後方に延びる左右の第2ミドルサイドパイプ(138L、138R)とからなり、
前記リヤシートロールバー(25)は、左右のリヤサイドパイプ(111L、111R)と、これらの左右のリヤサイドパイプ(111L、111R)の間に渡されるリヤアッパクロスパイプ(36)とからなることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の不整地走行車両。
【請求項5】
前記左右のミドルサイドパイプ(30L、30R)が前記車体フレーム(20)へ取付けられる車体フレーム取付部(140、140)は、前記左右の結合部(135L、135R)よりも車両前方に位置し、前記左右のミドルサイドパイプ(30L、30R)は、前記車体フレーム取付部(140、140)から斜め後上方へ延びていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載の不整地走行車両。
【請求項6】
前記フロントシートロールバー(24)は、更に、前記トップミドルクロスパイプ(35)の前方にて、前記左右のミドルサイドパイプ(30L、30R)の間に渡されるフロントアッパクロスパイプ(34)を有し、
このフロントアッパクロスパイプ(34)は、フロントアッパクロスパイプ(34)が前記左右のミドルサイドパイプ(30L、30R)と接合する左右の前接合部(134、134)よりも車幅方向内方で、これらの左右の前接合部(134、134)よりも車両前方を通っていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の不整地走行車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不整地走行車両の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
荒地など整えられていない地面を走行する車両が知られている(例えば、特許文献1(Fig.1、Fig.12)参照。)。
【0003】
特許文献1のFig.1に、不整地を走行できる不整地走行車両が示される。この不整地走行車両は、フロントシート(7)(括弧付き数字は、特許文献1記載の符号を示す。要素名は一部変更した。以下同じ。)とリヤシート(8)とが前後に配置され、フロントシート(7)の側方及び上方は、フロントシートロールバーで囲われ、リヤシート(8)の側方及び上方は、リヤシートロールバーで囲われる。
【0004】
特許文献1のFig.12に、ロールバーの構造が示される。フロントシートロールバーは、車両斜め後上方へ延びる左右のルーフサポート(16b、16b)と、これらの左右のルーフサポート(16b、16b)の後端から後方へ各々延びる左右のルーフパイプ前半体(19a、20a)と、これらの左右のルーフパイプ前半体(19a、20a)から下方に延びる左右のセンターピラー(17b、17b)と、これらの左右のセンターピラー(17b、17b)間に渡されるクロスパイプ(22)とを有する。
【0005】
リヤシートロールバーは、左右のルーフパイプ前半体(19a、20a)の後端から後方へ延びる左右のルーフパイプ後半体(19b、20b)と、左右のルーフパイプ後半体(19b、20b)から下方に延びる左右のリヤピラー(18b、18b)と、左右のリヤピラー(18b、18b)の間に渡されるクロスパイプ(23)とを有する。左右のルーフパイプ後半体(19b、20b)の前端は、左右のルーフパイプ前半体(19a、20a)の後端に結合される。
【0006】
ところで、特許文献1の技術では、左右のルーフパイプ前半体(19a、20a)は、左右のセンターピラー(17b、17b)の後方まで延びている。すなわち、車両後方へ突出するため、フロントシートロールバーを取付け、リヤシートロールバーのみを取外し、使用するためには改良の余地があった。
【0007】
フロントシートロールバー及びリヤシートロールバーを備えた不整地走行車両において、フロントシートロールバーのみ取付けた状態で使用することができる技術が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7967100号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、フロントシートロールバー及びリヤシートロールバーを備えた不整地走行車両において、フロントシートロールバーのみ取付けた状態で使用することができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、運転者が腰掛けて操縦する運転者用シート及びこの運転者用シートに並んで設けられ少なくとも1人のフロントシート同乗者が座ることができる助手席用シートとからなるフロントシートと、このフロントシートの車両後方に、非使用時には、折り畳みあるいは取外し可能に設けられ、少なくとも1人のリヤシート同乗者が座ることができるリヤシートとが備えられ、運転者、フロントシート同乗者及びリヤシート同乗者の上方を覆い、フロントシートに用いられるフロントシートロールバー及びリヤシートに用いられるリヤシートロールバーが、着脱可能に備えられている不整地走行車両において、フロントシートロールバーは、フロントシートの後部上方にて、車幅方向左右に延びるトップミドルクロスパイプと、このトップミドルクロスパイプへフロントシートの車幅方向外側にて車体フレームから延びる左右のミドルサイドパイプとを備え、左のミドルサイドパイプとトップミドルクロスパイプとが集合する左の集合点に、左のミドルサイドパイプとトップミドルクロスパイプとにまたがる左のガセットを備え、右のミドルサイドパイプとトップミドルクロスパイプとが集合する右の集合点に、右のミドルサイドパイプとトップミドルクロスパイプとにまたがる右のガセットを備え、左右のガセットは、車両前後方向にねじ部品を通すことにより、フロントシートロールバーに、リヤシートロールバーが結合されるように、ねじ部品が延びている方向に垂直な面を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明では、トップミドルクロスパイプは、車幅方向中心から外側に向かって延びた後、左右のミドルサイドパイプとの合流部の近傍で車両前方に曲がり、左右のミドルサイドパイプ又はトップミドルクロスパイプの一方は、合流した位置で端末となり、左右のミドルサイドパイプ又はトップミドルクロスパイプの他方は、そのまま車両前方に延び、左右のガセットは、他方のパイプから一方のパイプ側へ大きく延びて、リヤシートロールバーが結合される左右の結合部を形成することを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、フロントシートロールバーを構成し車両前後に延びる左右の前パイプと、リヤシートロールバーを構成し車両前後に延びる左右の後パイプとは、高さ方向及び車幅方向の位置が略同一であって、ねじ部品は、左右の前パイプの中心及び左右の後パイプの中心から一方のパイプ側へオフセットした位置に設けられることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明では、フロントシートロールバーを構成する左右のミドルサイドパイプは、左右の第1ミドルサイドパイプと、これらの左右の第1ミドルサイドパイプの車両後方に延びる左右の第2ミドルサイドパイプとからなり、リヤシートロールバーは、左右のリヤサイドパイプと、これらの左右のリヤサイドパイプの間に渡されるリヤアッパクロスパイプとからなることを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、左右のミドルサイドパイプが車体フレームへ取付けられる車体フレーム取付部は、左右の結合部よりも車両前方に位置し、左右のミドルサイドパイプは、車体フレーム取付部から斜め後上方へ延びていることを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る発明では、フロントシートロールバーは、更に、トップミドルクロスパイプの前方にて、左右のミドルサイドパイプの間に渡されるフロントアッパクロスパイプを有し、このフロントアッパクロスパイプは、フロントアッパクロスパイプが左右のミドルサイドパイプと結合する左右の前接合部よりも車幅方向内方で、これらの左右の前接合部よりも車両前方を通っていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、左右のミドルサイドパイプとトップミドルクロスパイプとが集合する左右の集合点に、各々、またがるように左右のガセットが備えられている。これらの左右のガセットによって、フロントシートロールバーは堅固に補強される。
【0017】
加えて、左右のミドルサイドパイプとトップミドルクロスパイプとが集合する左右の集合点に設けられている左右のガセットは、ねじ部品が延びている方向に垂直な面を備えている。これらの垂直な面に、車両前後方向に延びるねじ部品を介してフロントシートロールバーにリヤシートロールバーが結合される。これにより、リヤシートロールバーを取外したときに、フロントシートロールバーに、車両後方へ突出する突起を無くすことができる。結果、車体フレームにフロントシートロールバーのみが取付けられている場合でも使用可能な不整地走行車両が提供される。
【0018】
請求項2に係る発明では、トップミドルクロスパイプは、左右のミドルサイドパイプとの合流部の近傍で車両前方に曲がっている。そして、左右のミドルサイドパイプ又はトップミドルクロスパイプの一方は、合流した位置で端末となり、他方は、そのまま車両前方に延びている。このように、一方のパイプの曲げRにより形成された空間に、結合用のねじ部品が配置されるので、デッドスペースとなり易い空間を有効活用できると共に、左右の結合部をコンパクトにすることができる。
【0019】
請求項3に係る発明では、フロントシートロールバーを構成する左右の前パイプと、リヤシートロールバーを構成する車両前後に延びる左右の後パイプとは、高さ方向及び車幅方向の位置が略同一である。すなわち、左右の前パイプと左右の後パイプとは、各々、車両前後に一直線状に延びるように連結されているので、車両前後に一直線状に延びていない場合に比べ、ロールバーの剛性を高めることができる。
【0020】
また、ねじ部品は、左右の前パイプの中心及び左右の後パイプの中心から一方のパイプ側へオフセットした位置に設けられる。ねじ部品を前後のパイプの中心からオフセット配置したので、オフセット量を大きく確保することで、ねじ部品を前後のパイプから離すことができる。ねじ部品が前後のパイプから離間すれば、ねじ部品を回す際に、工具が前後のパイプに干渉し難くなる。結果、フロントシートロールバーに対し、リヤシートロールバーの着脱に係る作業性を高めることができる。
【0021】
請求項4に係る発明では、左右のミドルサイドパイプは、左右の第1ミドルサイドパイプと、左右の第2ミドルサイドパイプとからなる。すなわち、左右のミドルサイドパイプは、車両前後に2分割可能に設けられているので、フロントシートロールバーの剛性を維持しつつ、分解時に小さくすることができる。
【0022】
同様に、リヤシートロールバーは、左右のリヤサイドパイプと、これらの左右のリヤサイドパイプの間に渡されるリヤアッパクロスパイプとの3分割構造としたので、リヤシートロールバーの剛性を維持しつつ、フロントシートロールバー及びリヤシートロールバーを分解時に小さくすることができる。
【0023】
請求項5に係る発明では、左右のミドルサイドパイプは、車体フレーム取付部から斜め後上方へ延びている。車体フレーム取付部から斜め後上方へ延びている左右のミドルサイドパイプであれば、フロントシートの乗員が乗降するときに、フロントシートに座ったときに、斜め後上方へ延びる乗員の上半身の傾斜角に近似させることができる。結果、フロントシートの乗員の乗降性を高めることができる。
【0024】
請求項6に係る発明では、フロントアッパクロスパイプは、左右の前接合部よりも車幅方向内方で、左右の前接合部よりも車両前方を通っている。すなわち、フロントアッパクロスパイプを左右の前接合部よりも車両前方に配置したので、フロントシートの乗員が車内を左右に移動するときに、乗員の頭部がフロントアッパクロスパイプに接触し難くできる。結果、フロントシートの乗員の居住性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る不整地走行車両の左側面図である。
図2】本発明に係る不整地走行車両の平面図である。
図3】本発明に係るロールバーの分解斜視図である。
図4図1の4部拡大図である。
図5図4の5矢視図である。
図6】前部ルーフレールサイドと後部ルーフレールサイド間の結合構造を説明する平面図である。
図7】リヤアッパクロスパイプの取付構造を説明する図である。
図8図7の8−8線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図中及び実施例において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」は、各々、自動二輪車に乗車する運転者から見た方向を示す。
【実施例】
【0027】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、車両10は、不整地を走行できるように4輪を独立懸架式とした左ハンドルの不整地走行車両であり、車体フレーム20を含む車体19の前部に左右の前輪11が独立懸架され、車体フレーム20の後部に左右の後輪12が独立懸架されている。なお、実施例では、ハンドル13を左に設けたが、これに限定されず、ハンドル13を右に設けても差し支えない。
【0028】
車体フレーム20は、車幅方向中央部に配置され車両前後方向に延びるセンターフレーム21と、このセンターフレーム21の中央部から後方にかけてその上方を平行に延びるリヤフレーム22と、センターフレーム21の先端部に設けられ車両10の前部を保護するバンパ23と、センターフレーム21の前側上部に設けられ側面視略アーチ状を呈するフロントシートロールバー24と、このフロントシートロールバー24の上部後端から後方に延びるように設けられ側面視略L字状を呈するリヤシートロールバー25とを有する。
【0029】
また、車両10の前部は、前端部に設けられ車両10の前端を覆うフロントカバー41と、このフロントカバー41の後部に設けられ前輪11の上方から後方を覆うフロントフェンダ42と、このフロントフェンダ42の上部に設けられ車両10の前上部を覆うフロントアッパカバー43と、フロントフェンダ42の後部にヒンジ44を介して開閉可能に設けられる前部ドア45とを有する。
【0030】
車両10の後部は、前部ドア45の後部に配置され車両10の側部を覆うサイドカバー46と、このサイドカバー46の上部後方に配置され荷台50を形成するリヤサイドカバー51とを有する。リヤサイドカバー51は、前部が後部ドア52で構成され、後部が車体フレーム20に取り付けられる後部パネル53で構成される。後部ドア52は、後部パネル53の前端にヒンジ54を介して後部ドア52が開閉可能に設けられている。
【0031】
荷台50は、リヤフレーム22にステー55を介して支持される。前輪11は、フロントクッション14により支持され、後輪12は、リヤクッション15により支持される。フロントアッパカバー43の後方にインストルメントパネル47が設けられ、このインストルメントパネル47の近傍に操舵用のハンドル13が配置される。
【0032】
図2に示すように、フロントシートロールバー24は、フロントフェンダ42の上部から後ろ上がりに延びる左右のフロントピラー31、31と、これらの左右のフロントピラー31、31の上端から後方に延びる左右の前部ルーフサイドレール32、32と、左右のフロントピラー31、31と左右の前部ルーフサイドレール32、32間に各々渡されるサポートパイプ29、29(図1参照)と、左右の前部ルーフサイドレール32、32の後部から下方に延びる左右のセンターピラー33、33と、左右のセンターピラー33、33の間に渡されるトップミドルクロスパイプ35と、左右のフロントピラー31、31の上端の間に渡されるフロントアッパクロスパイプ34と、右のフロントピラー31に設けられ乗員12が掴むフレーム側グリップ39(図1参照)とを有する。図1にて、左右のフロントピラー31、31と左右の前部ルーフサイドレール32、32とサポートパイプ29、29とで囲まれる部分に、各々サポートプレート29b、29b(図1参照)が渡される。
【0033】
図2にて、左右のフロントピラー31、31と、これらの左右のフロントピラー31、31の上端から後方に延びる左右の前部ルーフサイドレール32、32と、これらの左右の前部ルーフサイドレール32、32の後部から下方に延びる左右のセンターピラー33、33とから、各々、左右のミドルサイドパイプ30、30が構成される。
【0034】
リヤシートロールバー25は、左右のセンターピラー33、33の上端から後方に延びる左右の後部ルーフサイドレール85、85と、これらの左右の後部ルーフサイドレール85、85の後端から下方に延びる左右のリヤピラー86、86と、左右の後部ルーフサイドレール85、85の後部間に掛け渡されるリヤアッパクロスパイプ36とを有する。
【0035】
シート26は、前席としてのフロントシート27と、このフロントシート27の後方に位置する後席としてのリヤシート28とからなる。フロントシート27は、車幅方向左から右に運転者Dが腰掛けハンドル13をつかみ操縦する運転者用シート37と、この運転者用シート37に並んで設けられ同乗者Pを構成する同乗者P1、P2の2人が座っているフロントシート同乗者用シート38とからなる。すなわち、車幅方向に延びるシート26に、運転者Dと2名の同乗者P1、P2が座ることができ、運転者D及び同乗者P1、P2は、前部ドア45を開閉することで乗車又は下車できる。なお、フロントシート同乗者用シート38に座る同乗者は1名でも良い。なお、フロントシートロールバー24は、フロントシート27の後部上方に設けられている。
【0036】
運転者用シート37は、運転者Dの背中が当たる運転者用シートバック37bを有し、前席同乗者用シート38は、同乗者P1、P2の背中が当たる前席同乗者用シートバック38bを有する。後席となるリヤシート28は、同乗者P3、P4の2人が座っている後席同乗者用シート48a、48bである。すなわち、左右分割タイプのシートであって、荷物を積むことができる荷台を兼ねている。左側の同乗者用シート48aは、後席同乗者用シートバック48aaを有し、右側の同乗者用シート48bは、後席同乗者用シートバック48bbを有する。これらの後席同乗者用シートバック48aa、48bbは、左右別々に前方に倒すことができ、それにより荷台50(図1参照)を前方に拡げることができる。
【0037】
次に、ドア40について説明する。
図1にて、車両側面視で、ドア40は、運転者D及び同乗者P(フロントシート同乗者P1、P2)が乗降することができる左右の前部ドア45、45(手前側の符号45のみ示す。)と、これらの左右の前部ドア45、45の後方に設けられ同乗者(リヤシート同乗者P3、P4)が乗降することができる左右の後部ドア52、52(手前側の符号52のみ示す。)とからなり、左右の前部ドア45、45と左右の後部ドア52、52の間に、各々、左右のセンターピラー33、33(手前側の符号33のみ示す。)が配置される。
【0038】
ドア40は、左右の前部ドア45、45と、左右の後部ドア52、52とからなる。左右の前部ドア45、45同士及び左右の後部ドア52、52のドア同士は、車幅方向中心線に対し、各々、左右対称に配置されるので、左の前部ドア45と左の後部ドア52について説明し、右の前部ドア45と右の後部ドア52についての説明は省略する。
【0039】
左の前部ドア45は、高さ方向に延びる前縁61及び後縁62と、前縁61の上端と後縁62の上端の間に延びている上縁63と、前縁61の下端と後縁62の下端の間に延びている下縁64とを有する。これらの前縁61、後縁62、上縁63及び下縁64で囲まれる領域に第1外板面65が形成される。この第1外板面65は、車幅方向外方から第2外板面66を有する左ドア化粧板67で覆われている。左の前部ドア45を、例えば、無塗装で略黒色の樹脂とし、車両の仕様によって、塗装した左ドア化粧板67で覆うことで、コストアップを抑えつつ、車両の仕様追加に容易に対応できる。
【0040】
ドア40の上方は、運転者Dの顔面Df又は同乗者P2の顔面P2fが外から見えるようにして開放され、フロントシートロールバー24との間が開口する開口部76となっており、この開口部76には、ウインドウガラスは設けられていない。その代わりに、開口部76に、サイドネット90が張られている。
【0041】
なお、ドア40を構成する前部ドア45の上縁63は、車両側方から見たときに、運転者又は同乗者と重なる部位81に対して、他の部位82が低くなっている。本実施例では、ドア45の上縁63は、車両長手方向前端63aから後端63bに向け高くなっている。すなわち、左右の前部ドア45、45の前端上縁63a、63aに比べ、左右の前部ドア45、45の後端上縁63b、63bは高い。
【0042】
前部ドア45の下縁64は、車両後方に向け後上がりに延びている。すなわち、左右の前部ドア45の前下縁64aに比べ、左右の前部ドア45の後下縁64bは高く、左右の後部ドア52の前下縁64aに比べ、左右の後部ドア52の後下縁64bは高い。
【0043】
前部ドア45の上縁63と後部ドア52の上縁77との高さ方向の関係では、後部ドア52の上縁77は、前部77aが、前部ドア45の運転者D又は同乗者Pと重なる部位81とほぼ同じ高さとなっている。
【0044】
次に、ロールバーの構成等について説明する。
図3に示すように、フロントシートロールバー24は、車幅方向左右に延びるトップミドルクロスパイプ35と、このトップミドルクロスパイプ35へフロントシート27(図2参照)の車幅方向外側にて車体フレーム20(図1参照)から延びる左右のミドルサイドパイプ30L、30Rとを備えている。
【0045】
左右のミドルサイドパイプ30L、30Rは、各々、左右の第1ミドルサイドパイプ137L、137Rと、これらの左右の第1ミドルサイドパイプ137L、137Rの車両後方に各々延びる左右の第2ミドルサイドパイプ138L、138Rとからなる。第1ミドルサイドパイプ137L、137Rと第2ミドルサイドパイプ138L、138Rの結合構造については後述する。
【0046】
左のミドルサイドパイプ30Lとトップミドルクロスパイプ35とが集合する左の集合点101Lには、左のミドルサイドパイプ30Lとトップミドルクロスパイプ35とにまたがる左のガセット102Lが備えられている。
【0047】
同様に、右のミドルサイドパイプ30Rとトップミドルクロスパイプ35とが集合する右の集合点101Rには、右のミドルサイドパイプ30Rとトップミドルクロスパイプ35とにまたがる右のガセット102Rが備えられている。これらの左右のガセット102L、102Rへ、各々、車両前後方向にねじ部品(締結ボルト103)を通すことにより、フロントシートロールバー24に、リヤシートロールバー25が結合される。
【0048】
左右のミドルサイドパイプ30L、30Rの間に、ミッドクロス部106が渡される。このミッドクロス部106は、運転者用シートバック37b(図2参照)及びフロントシート同乗者用シートバック38b(図2参照)が取付けられると共にフロントシートロールバー24の剛性を高める部材である。
【0049】
リヤシートロールバー25は、車両側面視で、略L字状を呈する左右のリヤサイドパイプ111L、111Rと、これらの左右のリヤサイドパイプ111L、111Rの間に渡されるリヤアッパクロスパイプ36とからなる。なお、リヤサイドパイプとリヤアッパクロスパイプとの結合構造については後述する。
【0050】
次に、フロントシートロールバー24に、リヤシートロールバー25が結合される構造等について説明する。リヤシートロールバー25は、車幅方向左右2カ所で、フロントシートロールバー24に結合される。以下、車幅方向左側の結合構造について添え字のLを外して説明し、車幅方向右側の結合構造については、車幅方向左右対称な構造のため、説明を省略する。
【0051】
図4に示すように、ミドルサイドパイプ30の後上部30cに、水平方向から略下方へ曲がる下曲部114が設けられ、この下曲部114にガセット102が取付けられている。このガセット102は、車幅方向外方から下曲部114に突当てられる平板状の側板115と、ミドルサイドパイプ30を通る部分を切欠いた切欠部116をもち、車両側面視で、車両前方に開放され断面コ字状を呈するコ字部材117とを接合してなる。コ字部材117は、前後方向に水平に延びる上面121と、この上面121の後端から垂下され(車両の上下左右に延び)リヤシートロールバー25が突当てられ結合される垂直な面としての被突当面122と、この被突当面122から車両前方に延び切欠部116を有する下面123とを有する。
【0052】
図5に示すように、被突当面122に2つの締結孔124が設けられ、被突当面122の反対側となる車両前方に臨む側の面に、締結孔124に合わせて2つのウエルドナット125が溶接されている。
【0053】
リヤシートロールバー25は、突当面127を構成するブラケット128が溶接される。ブラケット128は、側面視で、車両後方に開放された断面コ字状を呈する部材であり、被突当面122に突き当てられる突当面127を有し、この突当面127に車両後方から締結ボルト103が挿入可能なボルト孔130が設けられる。
【0054】
トップミドルクロスパイプ35は、車幅方向中心から外側に向かって延びた後、ミドルサイドパイプ30との合流部の近傍で車両前方に曲がる曲部(前曲部133)を有する。トップミドルクロスパイプ35は、合流した位置で端末131となり、ミドルサイドパイプ30は、そのまま車両前方に延びている。
【0055】
ガセット102は、ミドルサイドパイプ30からトップミドルクロスパイプ35側へ車幅方向内方に大きく延びて、リヤシートロールバー25が結合される結合部135を形成する。なお、本実施例では、トップミドルクロスパイプ35を端末としたが、ミドルサイドパイプ30を合流した位置で端末とし、トップミドルクロスパイプ35をそのまま車両前方に延びるようにしても差し支えない。
【0056】
フロントシートロールバー24を構成する車両前後に延びる前パイプ(前部ルーフサイドレール32)と、リヤシートロールバー25を構成する車両前後に延びる後パイプ(後部ルーフサイドレール85)とは、高さ方向及び車幅方向の位置が略同一である。すなわち、前部ルーフサイドレール32の中心32C及び後部ルーフサイドレール85の中心85Cは一致している。そして、ねじ部品となる締結ボルト103は、前部ルーフサイドレール32の中心32C及び後部ルーフサイドレール85の中心85Cから車幅方向内方にオフセットした位置に設けられている。
【0057】
図1にて、ミドルサイドパイプ30が車体フレーム20へ取付けられる車体フレーム取付部140、140(図手前側の符号140のみ示す。)は、結合部135、135(図手前側の符号135のみ示す。)よりも車両前方に位置し、ミドルサイドパイプ30、30は、車体フレーム取付部140、140から斜め後上方へ延びている。
【0058】
図2にて、フロントシートロールバー24は、更に、トップミドルクロスパイプ35、35の前方にて、左右のミドルサイドパイプ30、30の間に渡されるフロントアッパクロスパイプ34を有する。このフロントアッパクロスパイプ34は、フロントアッパクロスパイプ34が左右のミドルサイドパイプ30、30と接合する左右の前接合部134、134よりも車幅方向内方で、左右の前接合部134、134よりも車両前方を通っている。
【0059】
次に、前部ルーフレールサイドと後部ルーフレールサイド間の結合構造について説明する。図6に示すように、前部ルーフサイドレール32の後端に、後方へ突出する第1結合リップ141が後方から前方へ嵌入された後、溶接され、後部ルーフレールサイド85の前端に、前方へ突出する第2結合リップ142が前方から後方へ嵌入された後、溶接される。
【0060】
次に、第1結合リップ141の車幅方向内面と第2結合リップ142の車幅方向外面とを突合せ、車幅方向に軸が延びているボルト143及びナット144で第1結合リップ141と第2結合リップ142とを締結することで、前部ルーフサイドレール32と後部ルーフレールサイド85とを結合した。
【0061】
次に、リヤアッパクロスパイプの取付構造について説明する。以下説明は、車幅方向左側の結合構造を説明するものであり、車幅方向右側の結合構造は、左右対称な構造であり説明を省略する。
【0062】
図7に示すように、リヤサイドパイプ111の後上部に、リヤアッパクロス取付ブラケット151が溶接され、このリヤアッパクロス取付ブラケット151に、リヤアッパクロスパイプ36の端部がボルト153及びナット154で締結される。
【0063】
図8に示すように、リヤアッパクロスパイプ36に、カラー部材155が貫通・溶接される。カラー部材155の軸方向長さ(L)は、リヤアッパクロスパイプ36の外径(D)より大きい(D<L)。リヤアッパクロス取付ブラケット151は、リヤサイドパイプ111に溶接されるフランジ部156、156と、これらのフランジ部156、156から上方に延びカラー部材155の端面がセットされる左右壁157L、157Rと、左右壁157L、157Rの間に渡されるリヤ天井部158とを有する。
【0064】
リヤアッパクロスパイプ36は、カラー部材155の両端が、リヤアッパクロス取付ブラケット151の左右壁157L、157Rの間にセットされると共にカラー部材155を貫通するボルト153及びナット154でリヤアッパクロス取付ブラケット151に締結される。
【0065】
以上に述べた不整地走行車両の作用を次に述べる。
図4〜5にて、左のミドルサイドパイプ30Lとトップミドルクロスパイプ35とが集合する左の集合点101Lに、またがるように左のガセット102Lが備えられている。この左のガセット102Lによって、フロントシートロールバー24は堅固に補強される。
【0066】
加えて、左右のミドルサイドパイプ30L、30Rとトップミドルクロスパイプ35とが集合する左右の集合点101L、101Rに設けられている左右のガセット102L、102Rは、ねじ部品103、103が延びている方向に垂直な面(被突当面122、122)を備えている。これらの垂直な面122、122に、車両前後方向に延びるねじ部品(締結ボルト103、103)を介してフロントシートロールバー24にリヤシートロールバー25が結合される。これにより、リヤシートロールバー25を取外したときに、フロントシートロールバー24に、車両後方へ突出する突起を無くすことができる。結果、車体フレーム20にフロントシートロールバー24のみが取付けられている場合でも、使用に供することができる不整地走行車両が提供される。
【0067】
図5にて、締結ボルト103の軸線103Jは、前部ルーフサイドレール32の中心32C及び後部ルーフサイドレール85の中心85Cから車幅方向内方にオフセットした位置に設けられるので、フロントシートロールバー24に対し、リヤシートロールバー25の着脱に係る作業性を高めることができる。
【0068】
フロントシートロールバー24を構成する左の前パイプ(前部ルーフサイドレール32)と、リヤシートロールバー25を構成し車両前後に延びる左の後パイプ(後部ルーフサイドレール85)とは、高さ方向及び車幅方向の位置が略同一である。すなわち、前部ルーフサイドレール32と後部ルーフサイドレール85とは、各々、車両前後に一直線状に延びるように連結されているので、車両前後に一直線状に延びていない場合に比べ、ロールバー24、25の剛性を高めることができる。
【0069】
トップミドルクロスパイプ35は、左のミドルサイドパイプ30との合流部の近傍で車両前方に曲がっている。そして、左のミドルサイドパイプ30又はトップミドルクロスパイプ35の一方は、合流した位置で端末となり、他方は、そのまま車両前方に延びている。このように、一方のパイプの曲げRにより形成された空間に、結合用のねじ部品(締結ボルト103)が配置されるので、デッドスペースとなり易い空間を有効活用できると共に、左の結合部135をコンパクトにできる。
【0070】
以上、車幅方向左側に設けられる左のガセット及びその周辺部の構造について説明したが、車幅方向右側に設けられる右のガセット及びその周辺部の構造は、車幅方向中心線に対して対称な構造であり説明を省略する。
【0071】
図2にて、フロントアッパクロスパイプ34は、左右の前接合部134、134よりも車幅方向内方で、左右の前接合部134、134よりも車両前方を通っている。すなわち、フロントアッパクロスパイプ34をより車両前方に配置することにより、フロントシート27の乗員が車内を左右に移動するときに、フロントシート27に座る乗員の頭部がフロントアッパクロスパイプ34に接触し難くできる。結果、フロントシート27に座る乗員の居住性を高められる。
【0072】
図3にて、左右のミドルサイドパイプ30、30は、左右の第1ミドルサイドパイプ137L、137Rと、左右の第2ミドルサイドパイプ138L、138Rとからなる。すなわち、左右のミドルサイドパイプ30、30は、車両前後に2分割可能に設けられているので、フロントシートロールバー24の剛性を維持しつつ、分解時に小さくすることができる。
【0073】
同様に、リヤシートロールバー25は、左右のリヤサイドパイプ111L、111Rと、これらの左右のリヤサイドパイプ111L、111Rの間に渡されるリヤアッパクロスパイプ36との3分割構造としたので、リヤシートロールバー25の剛性を維持しつつ、フロントシートロールバー24及びリヤシートロールバー25を分解時に小さくすることができる。
【0074】
図1にて、ミドルサイドパイプ30は、車体フレーム取付部140から斜め後上方へ延びている。車体フレーム取付部140から斜め後上方へ延びているミドルサイドパイプ30であれば、フロントシート27の乗員が乗降するときに、フロントシート27に座ったときに、斜め後上方へ延びる乗員の上半身の傾斜角に近似させることができる。結果、フロントシート27の乗員の乗降性を高めることができる。
【0075】
尚、本発明は、実施の形態では不整地走行車両に適用したが、三輪車にも適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、ロールバーが備えられている不整地走行車両に好適である。
【符号の説明】
【0077】
10…車両(不整地走行車両)、20…車体フレーム、24…フロントシートロールバー、25…リヤシートロールバー、27…フロントシート、28…リヤシート、30L、30R…左右のミドルサイドパイプ、32…左右の前パイプ(前部ルーフサイドレール)、34…フロントアッパクロスパイプ、35…トップミドルクロスパイプ、36…リヤアッパクロスパイプ、37…運転者用シート、38…助手席用シート(フロントシート同乗者用シート)、85…左右の後パイプ(後部ルーフサイドレール)、101L、101R…左右の集合点、102L、102R…左右のガセット、103…ねじ部品(締結ボルト)、111L、111R…左右のリヤサイドパイプ、122…面(被突当面)、133…曲部(前曲部)、134…左右の前接合部、135L、135R…左右の結合部、137L、137R…左右の第1ミドルサイドパイプ、138L、138R…左右の第2ミドルサイドパイプ、140…車体フレーム取付部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8