特許第6008902号(P6008902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6008902
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】業者派遣システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20161006BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   G06Q50/10
   G06F13/00 510G
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-130698(P2014-130698)
(22)【出願日】2014年6月25日
(65)【公開番号】特開2016-9401(P2016-9401A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2016年4月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】310014713
【氏名又は名称】情野 勇一
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】情野 勇一
【審査官】 渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−352388(JP,A)
【文献】 特開2003−109190(JP,A)
【文献】 特開2011−095941(JP,A)
【文献】 特開2003−296887(JP,A)
【文献】 特開2007−207077(JP,A)
【文献】 美崎 栄一郎,ビジネスに効く! iPhone Biz 美崎栄一郎のアプリ術,Mac Fan 第22巻 第2号,日本,株式会社マイナビ,2014年 1月 7日,第22巻,114-115頁
【文献】 タクシー業務向け期間システム『タクシーの望』|カテゴリ100 エコー電子工業 サービスソリューション一覧|九州でNo.1の富士通ソリューションパートナー エコー電子工業株式会社,[online],エコー電子工業株式会社,2014年 5月15日,[検索日:2016.5.19],URL,http://web.archive.org/web/20140515185449/http://www.g-hopper.ne.jp/solution/pickup_taxi.html
【文献】 石川 温,販促NOW 3 MOBILE APPLICATION,TOP PROMOTIONS 販促会議 No.192,株式会社宣伝会議,2014年 3月 4日,073頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レッカー車両の派遣システムを含む業者派遣システムにおいて、
登録業者情報は登録業者が対応可能な業務に関する業務情報を含み、
ユーザ登録作業時にユーザが選択した登録業者もしくはユーザと過去に取引のあった登録業者を優先業者に設定可能とし、
ユーザ携帯端末にインストールされたアプリケーションソフトを起動するステップと、
前記アプリケーションソフトが前記携帯端末のGPS機能を用いて現在位置の位置情報を取得するステップと、
前記ユーザが前記位置情報に基づいて派遣指定場所を設定するステップと、
前記アプリケーションソフトが発生したトラブルの状況情報の入力を要求するステップと、
前記アプリケーションソフトがトラブル状況画像の撮影を示唆するステップと、
前記アプリケーションソフトが、前記派遣指定場所の位置情報と、前記状況情報と、トラブル状況画像が撮影された場合には前記トラブル状況画像と、を管理コンピュータに対して送信し業者派遣要請を行うステップと、
前記管理コンピュータが前記業者派遣要請に基づいて、前記派遣指定場所と、前記状況情報と、トラブル状況画像が存在する場合には前記トラブル状況画像と、を少なくとも有する派遣依頼情報を生成するステップと、
前記業者派遣要請を受けた前記管理コンピュータが、前記ユーザに優先業者が存在するか否かを判断するステップと、
優先業者が存在する場合、前記管理コンピュータが前記優先業者に前記派遣依頼情報を送信するステップと、
前記優先業者から対応可能の応答があった場合に、前記管理コンピュータが対応可能の応答があった優先業者を対応業者とするステップと、
前記優先業者から対応不可の応答があった場合、もしくは所定の待機時間内に応答がない場合、もしくは前記ユーザに優先業者が存在しない場合に、前記管理コンピュータが予め登録されている登録業者の前記業務情報と前記状況情報とを照会し、前記業者派遣要請に対応可能な登録業者を抽出した上で、前記派遣指定場所から近い順に優先順位を付与するステップと、
前記管理コンピュータが、優先順位の最も高い登録業者に前記派遣依頼情報を送信し、前記登録業者から対応不可の応答があった場合もしくは所定の待機時間内に応答がない場合、次の優先順位の登録業者に前記派遣依頼情報を送信し、前記登録業者から対応可能の応答があった場合に、前記管理コンピュータが対応可能の応答があった登録業者を対応業者とするステップと、
前記対応業者の会社情報と派遣する作業員の情報とを前記ユーザの携帯端末に送信するステップと、
前記対応業者による前記作業員の派遣報告を受けて、前記管理コンピュータが前記作業員の位置情報を前記ユーザの携帯端末に送信するステップと、
前記アプリケーションソフトが、前記作業員の派遣を報知するとともに、前記作業員の位置情報を地図表示するステップと、
を有することを特徴とする業者派遣システム。
【請求項2】
ユーザ情報がユーザ車両情報と自動車保険情報とを含み、
管理コンピュータは、業者派遣要請がレッカー車両の派遣要請の場合に、派遣依頼情報に前記ユーザ車両情報と前記自動車保険情報を付加することを特徴とする請求項1記載の業者派遣システム。
【請求項3】
派遣する作業員の情報が、前記作業員の顔写真データを含み、
さらに、作業員の位置情報は随時更新され、アプリケーションソフトは更新された前記作業員の位置情報を随時更新しながら地図表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の業者派遣システム。
【請求項4】
管理コンピュータと接続したデータサーバが、前記業者派遣要請に関する情報と、前記業者派遣要請を行ったユーザに関する情報と、前記対応業者に関する情報と、派遣される前記作業員の情報と、前記作業員の移動時間に関する情報と、前記作業員が行った作業内容に関する情報と、を含む作業履歴情報を随時記録し、
前記管理コンピュータが登録業者からの要求に応じて、前記作業履歴情報に基づ作業報告書を作成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の業者派遣システム。
【請求項5】
管理コンピュータが登録業者からの要求に応じて、前記作業履歴情報に対する統計的処理を行うことを特徴とする請求項4記載の業者派遣システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末にインストールされたアプリケーションソフトと管理コンピュータとの間の相互通信により業者の選定と手配を行う業者派遣システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
事故や故障等のトラブルにより車両の自走が困難となった場合、車両の運転者(ユーザ)はレッカー車両を手配してトラブル車両を修理工場等に搬送する必要がある。しかしながら、事故後のユーザは混乱状態にあるため、適切なレッカー業者に連絡を取ることが難しい。この問題点に関し、下記[特許文献1]にはユーザからの電話連絡に基づいてオペレータがデータ入力を行い、コンピュータがこの入力されたデータに基づいて予め定められた優先順位で登録レッカー業者を抽出し、オペレータを介してレッカー車両の手配を行う発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−30575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述のように事故後のユーザは混乱状態にあるため、レッカー車両の手配業者の連絡先が咄嗟に思い浮かばない場合がある。また、レッカー業者または手配業者への連絡が取れた場合でも、オペレータ等による人的作業が介在する場合、ユーザが現在位置や車の状態を上手く説明することができず、円滑な配車ができない場合がある。また、人的作業が介在する場合、人件費によってコスト増となる他、オペレータの能力不足や人員不足によってレッカー車両の手配が円滑に行われない可能性がある。
【0005】
また、ユーザはレッカー車両の手配後、そのレッカー車両の出動や現在位置を確認できず、待ち時間中に不安感や焦燥感を覚えるという問題点がある。
【0006】
さらに、レッカー車両の手配と同様、水道設備の水漏れ、ガスや電気等のライフラインの供給不備、家屋の鍵の破損・紛失、窓ガラスの破損、玄関や窓の開閉不備等、日常生活に著しく支障をきたすような緊急的なトラブルが生じた場合でも、ユーザが適切な業者を選択し連絡を取ることは容易なことではない。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、適切な業者の選定と作業員の派遣要請を携帯端末のアプリケーションソフトと管理コンピュータとの間の相互通信により行う業者派遣システムを提供することを目的とする。また、現場に向かう作業員の現在位置を確認可能な業者派遣システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(1)レッカー車両の派遣システムを含む業者派遣システムにおいて、
登録業者20情報は登録業者20が対応可能な業務に関する業務情報を含み、
ユーザ登録作業時にユーザが選択した登録業者20もしくはユーザと過去に取引のあった登録業者20を優先業者に設定可能とし、
ユーザ携帯端末10にインストールされたアプリケーションソフトを起動するステップと、
前記アプリケーションソフトが前記携帯端末10のGPS機能を用いて現在位置の位置情報を取得するステップと、
前記ユーザが前記位置情報に基づいて派遣指定場所を設定するステップと、
前記アプリケーションソフトが発生したトラブルの状況情報の入力を要求するステップと、
前記アプリケーションソフトがトラブル状況画像の撮影を示唆するステップと、
前記アプリケーションソフトが、前記派遣指定場所の位置情報と、前記状況情報と、トラブル状況画像が撮影された場合には前記トラブル状況画像と、を管理コンピュータ30に対して送信し業者派遣要請を行うステップと、
前記管理コンピュータ30が前記業者派遣要請に基づいて、前記派遣指定場所と、前記状況情報と、トラブル状況画像が存在する場合には前記トラブル状況画像と、を少なくとも有する派遣依頼情報を生成するステップと、
前記業者派遣要請を受けた前記管理コンピュータ30が、前記ユーザに優先業者が存在するか否かを判断するステップと、
優先業者が存在する場合、前記管理コンピュータ30が前記優先業者に前記派遣依頼情報を送信するステップと、
前記優先業者から対応可能の応答があった場合に、前記管理コンピュータ30が対応可能の応答があった優先業者を対応業者とするステップと、
前記優先業者から対応不可の応答があった場合、もしくは所定の待機時間内に応答がない場合、もしくは前記ユーザに優先業者が存在しない場合に、前記管理コンピュータ30が予め登録されている登録業者20の前記業務情報と前記状況情報とを照会し、前記業者派遣要請に対応可能な登録業者20を抽出した上で、前記派遣指定場所から近い順に優先順位を付与するステップと、
前記管理コンピュータ30が、優先順位の最も高い登録業者20に前記派遣依頼情報を送信し、前記登録業者20から対応不可の応答があった場合もしくは所定の待機時間内に応答がない場合、次の優先順位の登録業者20に前記派遣依頼情報を送信し、前記登録業者20から対応可能の応答があった場合に、前記管理コンピュータ30が対応可能の応答があった登録業者20を対応業者とするステップと、
前記対応業者の会社情報と派遣する作業員の情報とを前記ユーザの携帯端末10に送信するステップと、
前記対応業者による前記作業員の派遣報告を受けて、前記管理コンピュータ30が前記作業員の位置情報を前記ユーザの携帯端末10に送信するステップと、
前記アプリケーションソフトが、前記作業員の派遣を報知するとともに、前記作業員の位置情報を地図表示するステップと、
を有することを特徴とする業者派遣システム100を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)ユーザ情報がユーザ車両情報と自動車保険情報とを含み、
管理コンピュータ30は、業者派遣要請がレッカー車両の派遣要請の場合に、派遣依頼情報に前記ユーザ車両情報と前記自動車保険情報を付加することを特徴とする上記(1)記載の業者派遣システム100を提供することにより、上記課題を解決する。
(3)派遣する作業員の情報が、前記作業員の顔写真データを含み、
さらに、作業員の位置情報は随時更新され、アプリケーションソフトは更新された前記作業員の位置情報を随時更新しながら地図表示することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の業者派遣システム100を提供することにより、上記課題を解決する。
(4)管理コンピュータ30と接続したデータサーバが、前記業者派遣要請に関する情報と、前記業者派遣要請を行ったユーザに関する情報と、前記対応業者に関する情報と、派遣される前記作業員の情報と、前記作業員の移動時間に関する情報と、前記作業員が行った作業内容に関する情報と、を含む作業履歴情報を随時記録し、
前記管理コンピュータ30が登録業者20からの要求に応じて、前記作業履歴情報に基づ作業報告書を作成することを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の業者派遣システム100を提供することにより、上記課題を解決する。
(5)管理コンピュータ30が登録業者20からの要求に応じて、前記作業履歴情報に対する統計的処理を行うことを特徴とする上記(4)記載の業者派遣システム100を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る業者派遣システムは、適切な業者の選定と作業員の派遣要請とを携帯端末のアプリケーションソフトと管理コンピュータとの間の相互通信により行う。これにより、作業員の派遣を円滑かつ正確に行うことができる。また、本発明に係る業者派遣システムは、派遣された作業員の現在位置をユーザの携帯端末に地図表示する。これにより、ユーザの待ち時間中の不安感と焦燥感とを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る業者派遣システムの概要を示す図である。
図2】本発明に係る業者派遣システムのアプリケーションソフト側のフローチャートである。
図3】本発明に係る業者派遣システムの管理コンピュータ側のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る業者派遣システムについて図面に基づいて説明する。本発明に係る業者派遣システム100は、管理コンピュータ30と、データサーバ32と、ユーザの携帯端末10(スマートフォン)にインストールされたアプリケーションソフト(以後、業者派遣アプリとする。)と、で主に構成されている。そして、管理コンピュータ30は、ユーザの携帯端末10と、管理コンピュータ30に予め登録されている登録業者20との間で適宜データの送受信を行い、登録業者20(対応業者)の選定等の処理を行う。
【0012】
登録業者20は、ユーザの業者派遣要請に対し作業員を派遣する業者であり、業者派遣システム100がレッカー車両の派遣システムの場合には、レッカー会社もしくは、レッカー車両を保有する自動車修理業者である。また、業者派遣システム100が例えば水道トラブルの業者派遣システム、ガス設備トラブルの業者派遣システム、電気設備トラブルの業者派遣システム、鍵トラブルの業者派遣システム、住宅設備トラブルの業者派遣システム等を含む場合には、登録業者20は、それぞれ水道設備業者、ガス設備業者、電気設備業者、鍵業者、住宅設備業者となる。尚、本発明に係る業者派遣システム100はこれらの業者のみに限定されるものではなく、例えば塀や壁の修繕業者、害虫駆除業者、造園業者、デリバリー飲食業者等、如何なる業者に適用しても良い。また、業者派遣システム100はレッカー車両の派遣システムを含んでいれば複数種類の業者に対応可能としても良い。例えば、ユーザが業者派遣アプリを起動すると、携帯端末10の画面上に発生トラブルの選択画面(業種選択画面)が表示され、ユーザがこのうちのレッカー車両要請ボタンを押下すると、業者派遣システム100は後述の処理に沿って登録されているレッカー業者(登録業者20)の選定等を行う。また、ユーザが水道トラブルのボタンを押下すると、業者派遣システム100は後述の処理に沿って登録されている水道設備業者(登録業者20)の選定等を行う。
【0013】
次に、登録業者20の登録業者情報に関して説明する。尚、登録業者情報及び後述のユーザ情報はデータサーバ32に記録蓄積され、管理コンピュータ30によって適宜照会される。尚、登録業者20の登録業者情報には、ユーザに開示されるオープン情報と内部管理に用いる管理情報とが存在する。
【0014】
登録業者20の登録業者情報は、会社情報と、業務情報と、作業員情報と、で主に構成されている。登録業者情報のうちの会社情報は、登録業者20の会社自体に関する情報であり、少なくとも会社の所在地データと、管理コンピュータ30からのメールを受信する指定メールアドレスと、を有している。尚、指定メールアドレスは作業員本人の携帯端末に設定することも可能である。この場合、後述の派遣依頼情報は直接作業員に送付され、対応可否の応答メールも作業員自身が行う。また、登録業者20の会社情報は、補足的な情報として、連絡先(電話番号、FAX番号、メールアドレス)、責任者(担当者)氏名、また登録業者20がレッカー会社の場合はレッカー車両の保有台数等、を有している。さらに、会社情報は、会社の経歴等の紹介文や登録業者20が所有する資格や許認可等の情報を有していても良い。
【0015】
また、登録業者情報のうちの業務情報は登録業者20が対応可能な業務に関する情報である。この業務情報は、業者派遣要請時にユーザが入力した状況情報と照会され、業者派遣要請に対応可能な登録業者20の抽出に用いられる。特に、登録業者20がレッカー会社の場合、業務情報は登録業者20の保有するレッカー車両1台ごとのレッカー車両情報を有している。そして、このレッカー車両情報は、少なくとも対応車種情報と車両画像データとを有している。尚、レッカー車両情報は補助的な情報としてレッカー車両登録情報、レッカー車両保険情報等を有していても良い。このうちレッカー車両登録情報は、このレッカー車両が国土交通省によって自動車運送事業の認可を受けた車両であるか、有償運送許可を受けた車両であるかを示す情報である。また、レッカー車両保険情報はレッカー車両が任意の自動車保険に加入していることを示す情報である。尚、レッカー車両登録情報、レッカー車両保険情報等は、基本的にシステム運営側が確認する管理情報である。
【0016】
このレッカー車両情報のうち対応車種情報は、このレッカー車両が搬送可能な車両に関する情報であり、レッカー可能車両重量情報、レッカー可能車両寸法情報、クレーンの有無情報等である。この対応車種情報は、業者派遣要請のあったトラブル車両をレッカーすることが可能なレッカー車両の抽出に用いられる。
【0017】
また、レッカー車両情報のうち車両画像データは、レッカー車両を写真撮影した写真データであり、業者派遣要請を行ったユーザに対し出動したレッカー車両を示すことで待ち時間中の不安感と焦燥感とを軽減するものである。
【0018】
また、登録業者情報のうちの作業員情報は、登録業者20に所属する作業員一人一人の情報であり、少なくとも顔写真データ、連絡先(携帯端末の電話番号)、携帯端末の位置データアクセス情報を有している。また、作業員情報は補助的な情報として、業務経歴や勤続年数、作業員の紹介文等を有していても良い。尚、登録業者20がレッカー会社の場合、作業員はレッカー車両の運転者である。この場合の作業員情報としては、上記の情報の他に運転免許証情報、レッカー車両運転経歴情報等を含むことが好ましい。尚、運転免許証情報とはレッカー運転者が所有している運転免許の種類、取得年次等を示す情報である。また、レッカー車両運転経歴情報とは、レッカー運転者のレッカー車両の運転経歴年数、レッカー車両以外の車両の運転経歴年数等の情報である。
【0019】
作業員情報のうちの顔写真データは、作業員の顔写真の画像データであり、業者派遣要請を行ったユーザに出動した作業員の顔写真を示すことで待ち時間中の不安感と焦燥感とを軽減するものである。また、作業員情報のうちの携帯端末の位置データアクセス情報は、GPS(全地球測位システム)を用いた作業員の携帯端末(携帯電話、スマートフォン)の位置情報を、管理コンピュータ30が取得するためのアクセス情報である。そして、業者派遣システム100の管理コンピュータ30は、この位置データアクセス情報を用いて派遣された作業員の現在位置を取得し、この作業員の現在位置をユーザの携帯端末10に地図表示させることでユーザの待ち時間中の不安感と焦燥感とを軽減する。尚、業者派遣システム100がレッカー車両の派遣システムの場合には、この作業員(レッカー車両の運転者)の携帯端末の位置情報が、間接的にレッカー車両の現在位置を示すものとなる。
【0020】
次に、優先業者に関して説明する。優先業者とは、特定のユーザの業者派遣要請を優先的に受けられる登録業者20である。優先業者の設定は、例えば以下のようにして行う。先ず、登録業者20が過去に取引のあったユーザ等に業者派遣システム100へのユーザ登録の案内を送付する。そのユーザ登録の案内には優先業者の識別情報を有するQRコード(登録商標)やインターネットアドレス等が表示されている。そして、ユーザはこれらのサイトを経由して業者派遣システム100へのユーザ登録作業を行う。これにより、仲介した登録業者20がこのユーザの優先業者として設定される。また、業者派遣システム100へのユーザ登録時にユーザ自身が優先業者を選択することもできる。尚、優先業者の選択は必須ではなく、ユーザは優先業者なしでも業者派遣システム100へ登録が可能である。
【0021】
尚、業者派遣システム100がレッカー車両の派遣システムの場合、優先業者は基本的に自動車修理業者となる。そして、自社でレッカー車両を保有する自動車修理業者の場合は、業務内容に自動車修理を含むレッカー会社として業者派遣システム100に登録を行うことで優先業者となる。また、レッカー車両を保有しない自動車修理業者の場合は、提携するレッカー会社を登録業者20として登録し、この登録業者20を優先業者とする。この場合、優先業者(提携するレッカー会社)に業者派遣要請が送信された場合、提携した自動車修理業者にも業者派遣要請が送信されることが好ましい。
【0022】
次に、ユーザの登録情報(ユーザ情報)に関して説明する。ユーザ情報は、ユーザの住所、氏名、生年月日等の個人情報と、携帯端末10のメールアドレス(登録メールアドレス)と、携帯端末10の電話番号と、を少なくとも有している。また、上記の情報に加えユーザ車両情報、自動車保険情報を有している。ここで、ユーザ車両情報とは、主に車検証に記載されている車両重量、種別、車両寸法に関する情報であり、前述した登録業者20側の対応車種情報と照会することで、ユーザの車両に対応可能なレッカー車両の抽出に用いられる。また、自動車保険情報は、ユーザの車両が加入している任意保険の有無、加入保険会社、ロードサービスの付帯の有無、車両保険の有無等の保険内容に関する情報であり、登録業者20による対応可否の判断や、後述の書類作成等に用いられる。
【0023】
業者派遣システム100へのユーザ登録は例えば以下のようにして行う。先ず、ユーザが書面の郵送もしくはインターネットを介したオンライン入力でユーザ情報の入力及び登録を行う。この際、優先業者が有れば、優先業者の設定を行う。ユーザ情報の登録が行われると管理コンピュータ30はユーザの登録メールアドレスに登録コードを送信する。登録コードを受信したユーザは、業者派遣システム100の業者派遣アプリをダウンロードするとともに、登録コードを入力して正式登録を行う。これにより、業者派遣システム100の使用が可能となる。
【0024】
次に、業者派遣システム100の動作を図2図3のフローチャートを用いて説明する。尚、図2はユーザの携帯端末10の業者派遣アプリ側の処理フローチャートであり、図3は管理コンピュータ30側の処理フローチャートである。また、本願ではユーザの携帯端末10にスマートフォンの使用を想定している。よって、携帯端末10への入力はタッチパネルによって行う例を示す。
【0025】
先ず、ユーザに緊急的なトラブルが生じた場合やユーザの車両にトラブルが発生しレッカー車両の手配が必要となった場合、ユーザは携帯端末10(スマートフォン)にインストールされている業者派遣アプリを起動する。これにより、業者派遣アプリは、携帯端末10の画面に「業者派遣要請ボタン」を有する初期画面を表示する(ステップS100)。尚、業者派遣システム100がレッカー車両の派遣システムの場合には、「業者派遣要請ボタン」は「レッカー車両の派遣要請ボタン」である。
【0026】
ここで、ユーザが「業者派遣要請ボタン」を押下すると(ステップS104:Yes)、業者派遣アプリは携帯端末10に搭載されているGPS機能を用いて現在位置の位置情報を取得し、携帯端末10に現在位置の地図表示を行う(ステップS108)。尚、この地図画面の現在位置には、作業員やレッカー車両を呼ぶ場所(派遣指定場所)を示唆する矢印が表示されている。尚、派遣指定場所は、例えば地図画面上の任意の位置を押下するなどして変更が可能である。
【0027】
次に、ユーザが画面上に表示されている確定ボタン等を押下して派遣指定場所の確定を行う(ステップS112:Yes)。これにより、業者派遣アプリは確定した派遣指定場所の位置情報を取得する(ステップS114)。
【0028】
次に、業者派遣アプリは状況情報の入力画面を表示して、発生したトラブルの状況入力を要求する(ステップS115)。この状況情報は、例えばレッカー車両の派遣要請であれば、トラブル車両が自走可能な状態か、車輪が回転可能な状態かなどの情報である。また、他の業者の派遣要請であれば、何の設備にどの様なトラブルが生じているかの情報、例えば、水道の水漏れ、鍵の故障、漏電等の情報である。尚、この状況情報の入力は、業者派遣アプリが表示した選択肢をユーザが選択することで行うことが好ましい。この構成によれば、業者が必要とする状況情報を漏れなく的確に収集することができる。
【0029】
状況情報の入力が完了すると、業者派遣アプリは携帯端末10に搭載されているカメラ装置を起動する(ステップS116)。そして、ユーザにトラブルの状況(例えば事故状況や事故車両、水道トラブルであれば漏水部分等)を撮影するよう示唆する。尚、トラブル状況の写真撮影はユーザの選択により省略することが可能である。
【0030】
ユーザがトラブル状況の撮影を行うと(ステップS118:Yes)、業者派遣アプリは派遣指定場所、状況情報、トラブル状況画像、ユーザ情報等の送信内容の確認画面を表示するとともに、個人情報(ユーザ情報)を登録業者20側に送信することの同意画面を表示する。ユーザが送信内容を確認し、また個人情報の送信に同意して表示画面の送信ボタンを押下すると(ステップS120:Yes)、業者派遣アプリは管理コンピュータ30に対し、インターネット等の通信システムを介して業者派遣要請を送信する(ステップS128)。このとき業者派遣要請として送信される情報は、業者派遣要請を行ったユーザを特定するためのユーザ識別情報、派遣指定場所の位置情報、状況情報、トラブル状況画像、要請日時情報等である。
【0031】
これにより、ユーザの携帯端末10による業者派遣要請は完了し、業者派遣アプリは管理コンピュータ30側から送信される対応業者情報を受信するまで待機する(ステップS132)。
【0032】
尚、ユーザの携帯端末10に、携帯端末10をドライブレコーダとして使用する周知のアプリケーションソフトがインストールされている場合には、このドライブレコーダのアプリケーションソフトが記録した事故映像を管理コンピュータ30に自動的に送信するようにしても良い。このドライブレコーダの事故映像の送信は業者派遣要請時でも良いし、他のデータ送信時でも良い。そして、このドライブレコーダの事故映像は後述の作業履歴情報の一部としてデータサーバ32に記録される。
【0033】
ユーザの携帯端末10から送信された業者派遣要請を業者派遣システム100の管理コンピュータ30が受信すると(図3、ステップS202:Yes)、管理コンピュータ30は業者派遣要請に含まれるユーザ識別情報をデータサーバ32に照会し、業者派遣要請を行ったユーザを特定する。そして、このユーザのユーザ情報を取得する(ステップS204)。
【0034】
次に、管理コンピュータ30は、このユーザに優先業者が存在するか否かを判断する(ステップS206)。そして、優先業者が存在する場合(ステップS206:Yes)、管理コンピュータ30は優先業者の連絡先メールアドレスに派遣依頼情報を送信する(ステップS208)。このときの派遣依頼情報とは、ユーザ情報、派遣指定場所、状況情報、トラブル状況画像、要請日時情報等である。尚、業者派遣要請がレッカー車両の派遣要請の場合は、これらの情報に加えてユーザ情報に含まれるユーザ車両情報、自動車保険情報等も送信される。
【0035】
派遣依頼情報を受信した優先業者は、派遣依頼情報の内容を確認し対応の可否を判断する。そして対応が可能な場合、管理コンピュータ30に対し対応可能の応答メールを送信する。この応答メールには、優先業者(登録業者20)の識別情報と、派遣される作業員の識別情報と、派遣指定場所への到着予想時間等の情報が含まれている。尚、業者派遣要請がレッカー車両の派遣要請の場合は、これらの情報に加えて派遣されるレッカー車両24の識別情報が含まれている。そして、管理コンピュータ30が優先業者から対応可能の応答メールを受信すると(ステップS210:Yes、ステップS212:Yes)、管理コンピュータ30はこの優先業者を対応業者とし(ステップS307)、ステップS308に移行する。ステップS308の処理に関しては後述する。
【0036】
また、優先業者が存在しない場合(ステップS206:No)、優先業者から対応不可能との応答メールを受信した場合(ステップS210:Yes、ステップS212:No)、または予め設定された待機時間が経過しても優先業者からの応答メールが受信できなかった場合(ステップS210:No、ステップS214:Yes)、管理コンピュータ30は優先業者からの応答を締め切り、登録された登録業者20に対し優先順位の付与を行う(ステップS300)。
【0037】
ステップS300における優先順位の付与は、例えば次のようにして行う。先ず、業者派遣要請の状況情報と登録業者20の業務情報とを照会して、この業者派遣要請に対応可能な登録業者20を抽出する。尚、業者派遣要請がレッカー車両の派遣要請の場合には、ユーザ情報のうちのユーザ車両情報によりレッカーする車両の車両重量、種別、車両寸法を取得し、これを登録業者20のレッカー車両情報のうちの対応車種情報と照会することで、この業者派遣要請に対応可能なレッカー車両を保有する登録業者20を抽出する。またこれと同時に、業者派遣要請の状況情報(自走の可否等)と、登録業者20のレッカー車両情報のうちのクレーンの有無情報等とから、この業者派遣要請に対応可能なレッカー車両を保有する登録業者20を抽出する。次に、管理コンピュータ30は、派遣指定場所の位置情報と抽出された登録業者20の所在地データとを比較して、抽出された登録業者20に対し派遣指定場所から近い順に優先順位を付与する。
【0038】
次に、管理コンピュータ30は、一番優先順位の高い(派遣指定場所に近い)登録業者20の指定メールアドレスに派遣依頼情報を送信する(ステップS302)。このときの派遣依頼情報とは、派遣指定場所、状況情報、トラブル状況画像、要請日時情報等である。また、業者派遣要請がレッカー車両の派遣要請の場合は、これらの情報に加えてユーザ情報に含まれるユーザ車両情報、自動車保険情報も送信される。尚、このステップS302での派遣依頼情報には、ユーザ情報(ユーザの個人情報)は含まれない。
【0039】
派遣依頼情報を受信した登録業者20は、派遣依頼情報の内容を確認し対応が可能である場合、管理コンピュータ30に対し対応可能の応答メールを送信する。この応答メールには、登録業者20の識別情報と、派遣される作業員の識別情報と、派遣指定場所への到着予想時間等の情報が含まれている。尚、業者派遣要請がレッカー車両の派遣要請の場合は、これらの情報に加えて派遣されるレッカー車両24の識別情報が含まれている。そして、管理コンピュータ30がこの登録業者20から対応可能の応答メールを受信すると(ステップS304:Yes、ステップS306:Yes)、管理コンピュータ30はこの登録業者20を対応業者とする(ステップS307)。
【0040】
また、管理コンピュータ30が登録業者20から対応不可能との応答メールを受信した場合(ステップS304:Yes、ステップS306:No)、または予め設定された待機時間が経過しても登録業者20からの応答メールが受信できなかった場合(ステップS304:No、ステップS305:Yes)、管理コンピュータ30はこの登録業者20からの応答を締め切り、次の優先順位の登録業者20の指定メールアドレスに派遣依頼情報を送信する(ステップS309→ステップS302)。そして、管理コンピュータ30のこれらの処理は、管理コンピュータ30が登録業者20から対応可能の応答メールを受信し、ステップS307にて対応業者が決定するまで行われる。尚、応答メールの待機時間は一つの登録業者20に対して概ね5分以内とし、好適には1〜3分程度とすることが好ましい。
【0041】
ステップS307にて対応業者が決定すると、管理コンピュータ30は応答メールに含まれる登録業者20(もしくは優先業者)の識別情報をデータサーバ32に照会して、対応業者を特定するとともに対応業者の会社情報を取得する。また、派遣される作業員の識別情報をデータサーバ32に照会して、派遣される作業員を特定するとともに作業員の作業員情報を取得する。さらに、業者派遣要請がレッカー車両の派遣要請の場合は、派遣されるレッカー車両24の識別情報をデータサーバ32に照会して、派遣されるレッカー車両24を特定し、このレッカー車両24のレッカー車両情報を取得する。そして、管理コンピュータ30は、業者派遣要請したユーザの携帯端末10に対応業者の対応業者情報を送信する(ステップS308)。尚、ここでの対応業者情報とは、対応業者の会社情報(オープン情報)と、派遣される作業員の少なくとも顔写真データを含む作業員情報(オープン情報)と、派遣指定場所への到着予想時間等である。尚、業者派遣要請がレッカー車両の派遣要請の場合は、これらの情報に加えて派遣されるレッカー車両24の車両画像データを含むレッカー車両情報(オープン情報)が含まれる。
【0042】
ユーザの携帯端末10が管理コンピュータ30からの対応業者情報を受信すると(図2、ステップS132:Yes)、業者派遣アプリはこの対応業者情報を表示するとともに、この対応業者に業者派遣要請を行って良いかの確認を要求する(ステップS134)
【0043】
そして、ユーザは所定のボタン表示を押下するなどして、この対応業者への業者派遣要請の可否の確認を行う。そして、業者派遣アプリはこの対応業者確認を管理コンピュータ30に送信する(ステップS135)。
【0044】
管理コンピュータ30はユーザの携帯端末10からの対応業者確認を受けて、この対応業者への業者派遣要請が承諾されていれば(ステップS312:Yes)、この対応業者の指定メールアドレスに出動指示を送信する(ステップS314)。このとき、対応業者が優先業者でない場合には、管理コンピュータ30は対応業者(登録業者20)に業者派遣要請を行ったユーザのユーザ情報(個人情報)を送信する。
【0045】
また、ユーザがこの対応業者への業者派遣要請を承諾しない場合(ステップS312:No)、管理コンピュータ30はステップS309の処理に戻り、次の優先順位の登録業者20の指定メールアドレスに派遣依頼情報を送信する。
【0046】
出動指示を受けた対応業者は作業員の派遣を行うとともに、作業員の派遣報告を管理コンピュータ30に送信する。尚、作業員の派遣の際にユーザの携帯端末10に電話連絡を行い、ユーザとの直接対話により状況確認等を行っても良い。
【0047】
管理コンピュータ30が作業員の出動を確認すると(ステップS316:Yes)、管理コンピュータ30は派遣された作業員の携帯端末の位置データアクセス情報を用いて、派遣された作業員の携帯端末の位置情報を取得する(ステップS320)。尚、この携帯端末の位置情報が間接的に派遣された作業員の位置情報もしくは派遣されたレッカー車両24の位置情報となる。
【0048】
次に、管理コンピュータ30は、ユーザの携帯端末10に出動情報を送信する(ステップS322)。この出動情報は、作業員の位置情報と、派遣された作業員の連絡先(携帯端末の電話番号)とを少なくとも含むものである。
【0049】
業者派遣アプリは管理コンピュータ30からの出動情報を受けて(図2、ステップS136:Yes)、ユーザに作業員の出動を報知するとともに、携帯端末10に作業員の現在位置(レッカー車両24の現在位置)を地図表示する。また、ユーザの要求により、作業員(レッカー車両24の運転者)の顔写真、作業員の携帯端末の電話番号、到着予定時刻、作業員の経歴等の作業員情報等を表示する。また、業者派遣要請がレッカー車両の派遣要請の場合は、ユーザの要求により派遣されたレッカー車両24の画像等を表示する(ステップS138)。
【0050】
尚、作業員の位置情報は管理コンピュータ30により随時取得され、携帯端末10に送信される。よって、携帯端末10に地図表示される作業員の現在位置(レッカー車両24の現在位置)は随時更新される。これにより、業者派遣要請を行ったユーザは作業員(レッカー車両24)が今どこにいるのかをリアルタイムで確認することができる。尚、管理コンピュータ30は作業員の時間経過に伴う位置情報の推移を移動履歴データとしてデータサーバ32に記録しておくことが好ましい。
【0051】
作業員が派遣指定場所に到着しユーザと対面すると、作業員は派遣指定場所に到着したことを管理コンピュータ30に報告する。管理コンピュータ30はこの報告を受けて(ステップS324:Yes)、ユーザの携帯端末10に業者派遣要請が終了したことを送信する(ステップS326)。
【0052】
業者派遣アプリは管理コンピュータ30からの業者派遣要請の終了連絡を受けて(ステップS140:Yes)、依頼要請ルーチンを終了し(ステップS150)、初期画面に復帰するなどの所定の処理を行う。
【0053】
派遣指定場所に到着した作業員は、発生したトラブルに対する対応処置を行う。尚、業者派遣要請がレッカー車両の派遣要請の場合は、この対応処置はトラブル車両のユーザが指定した場所へのレッカー移動である。この際、作業員は必要に応じて保険請求等に必要な事故現場の写真、事故車両の写真等を撮影し、管理コンピュータ30に送信する。尚、管理コンピュータ30はトラブル車両の搬送時も引き続き作業員の位置情報を取得し、時間経過とともに移動履歴データとしてデータサーバ32に記録しておくことが好ましい。
【0054】
発生したトラブルに対する対応処置が終了すると、作業員は作業が終了したことを管理コンピュータ30に報告する。尚、業者派遣要請がレッカー車両の派遣要請の場合、指定した場所へのトラブル車両の受け渡しが作業の終了となる。管理コンピュータ30はこの作業終了の報告を受けて(ステップS327:Yes)、この依頼要請ルーチンを終了する(ステップS330)。
【0055】
尚、この業者派遣要請に関する全ての情報、例えば業者派遣要請を行ったユーザ情報、業者派遣要請の日時、状況情報、トラブル状況画像、対応業者、対応業者決定までの時間、派遣された作業員の情報、(派遣されたレッカー車両24の情報)、作業員の移動履歴データ、派遣指定場所への到着時間及び所要時間(移動時間)、作業員が行った作業内容、作業終了時間及び所要時間、(自動車修理業者が行ったトラブル車両に対する修理内容)等は、この業者派遣要請に対する作業履歴情報として随時データサーバ32に記録される。
【0056】
次に、業者派遣システム100に蓄積された作業履歴情報の使用方法を説明する。尚、ここで示す作業履歴情報の使用方法は一例であるから、作業履歴情報の使用方法はこれらの例に限定されるものではない。また、これらの作業履歴情報の使用方法は業者派遣システム100に必須のものではない。
【0057】
先ず、ユーザは携帯端末10の業者派遣アプリを介して、データサーバ32に蓄積された自身の業者依頼要請の履歴(作業履歴情報の一部もしくは全部)を閲覧、検索することができる。これにより、ユーザは過去の業者依頼要請の内容を確認することができる。また、登録業者20はデータサーバ32に蓄積された自社の作業履歴情報を閲覧、検索することができる。これにより、登録業者20は自社の業務履歴を業者派遣システム100を用いて管理することができる。
【0058】
また、業者派遣システム100がレッカー車両の派遣システムの場合、管理コンピュータ30はユーザの加入している任意保険の内容や保険会社に対応した必要書類、確認書類等を対応業者のコンピュータ端末もしくは派遣される作業員の携帯端末に適宜送信することができる。そして、対応業者や作業員はコンピュータ端末や作業員の携帯端末に接続したプリンタ等によりこれら書類等を適宜印刷し、保険会社への提出書類やユーザとの契約書類、ユーザに渡す書類等として活用することができる。これにより、対応業者や作業員の書類不備を防止することができる。
【0059】
また、業者派遣システム100は、データサーバ32に蓄積された作業履歴情報を使用して作業報告書の作成が可能である。この作業報告書としては、作業員が自身の在籍する登録業者20に提出する作業報告書、レッカー業者が自動車修理業者等に提出する作業報告書、保険会社への作業報告書、ユーザに対する作業報告書、その他、各種請求書等が挙げられる。尚、管理コンピュータ30には各作業報告書に対応したテンプレートを予め記録しておき、登録業者20等からの要求に応じて適切な書式の作業報告書を自動的に作成可能とすることが好ましい。
【0060】
また、業者派遣システム100は、データサーバ32に蓄積された作業履歴情報に対する統計的処理が可能である。この統計的処理としては、例えば、業者派遣要請の月別、季節別、曜日別、時間別の統計的処理が挙げられる。この統計的処理を行うことによって、登録業者20は月毎、季節毎、曜日毎、時間帯毎の業者派遣要請の頻度を把握、解析することができる。また、業者派遣要請の発生場所(派遣指定場所)に対する統計的処理を行うことによって、登録業者20はトラブル発生の多い地域、場所等を把握、解析することができる。また、状況情報や作業員が行った作業内容、修理内容等に対する統計的処理を行うことによって、登録業者20は発生トラブル(依頼内容や車種等)の傾向を把握、解析することができる。また、登録業者20の出動件数や作業員(レッカー車両)の稼働率、派遣指定場所到着までの所要時間、作業時間の各平均値の把握や他の登録業者20との比較、解析を行うことができる。そして、登録業者20はこれらの作業履歴情報等に対する統計的処理の結果を分析することにより、自社の経営方針の見直しや作業員の効率的運用及び配置等を行うことができる。
【0061】
また、業者派遣システム100では、作業履歴情報の特に移動履歴データや作業時間等から作業員の実働時間を算出し、作業員の勤怠データの作成に用いることができる。この構成によれば、客観的なデータによる正確な勤怠データの作成及び労務管理を行うことができる。
【0062】
以上のように、本発明に係る業者派遣システム100は、ユーザや登録業者20による人的な入力動作を極力簡素化し、登録業者20の選定と作業員の派遣に伴う多くの処理をユーザの携帯端末10にインストールされた業者派遣アプリと管理コンピュータとの間の相互通信により自動的に行う。これにより、登録業者20の選定と作業員の派遣とを円滑かつ正確に行うことができる。また、オペレータ等の人員が不要のため、業者派遣システム100を年中無休で動作させることが可能な他、人件費に係るコストを削減することができる。
【0063】
また、本発明に係る業者派遣システム100は、ユーザに作業員の出動を報知するとともに、ユーザの携帯端末10に作業員の現在位置を地図表示する。これにより、ユーザは作業員が今どこにいるのかをリアルタイムで確認することができる。また、ユーザの要求により、作業員の顔写真(派遣されたレッカー車両24の画像)、作業員の携帯端末の電話番号、到着予定時刻等を携帯端末10に表示する。これらのことにより、ユーザの待ち時間中の不安感と焦燥感とを大幅に軽減することができる。
【0064】
また、本発明に係る業者派遣システム100は、優先業者設定を有しており、自社の顧客等からの業者派遣要請を優先的に受けることができる。これにより、登録業者20(優先業者)は自社の顧客からの業者派遣要請を確保することができる。
【0065】
さらに、本発明に係る業者派遣システム100は、業者派遣要請に関する全ての情報を作業履歴情報として記録する。そして、これら作業履歴情報を利用して各種作業報告書、請求書、提出書類等を簡単に作成することができる。これにより、各種書類作成に係る作業を大幅に軽減することができる。また、作業履歴情報の閲覧や統計的処理を行うことで、自社の業務の管理、把握、解析を簡単に行うことができる。
【0066】
またさらに、本発明に係る業者派遣システム100は、作業履歴情報を勤怠データの作成に用いることができる。これにより、客観的なデータによる正確な勤怠データの作成及び労務管理を行うことができる。
【0067】
尚、上記の業者派遣システム100は本発明の具体的な一例であるから、各ステップの流れ、各ステップの処理方法等はこれに限定されるものではなく、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 携帯端末
20 登録業者
24 レッカー車両
30 管理コンピュータ
32 データサーバ
100 業者派遣システム
図1
図2
図3